コンドームの正しい使い方:選び方から万が一の対処法まで完全ガイド
性的健康

コンドームの正しい使い方:選び方から万が一の対処法まで完全ガイド

コンドームの使用は、単に「装着する」という行為だけではありません。性と生殖に関する健康の分野において、この避妊法の理論上の有効性と実際の使用における有効性の間には、憂慮すべき隔たりが存在します。その差は、避妊の失敗率という形で現れ、安全と望まない結果を分ける境界線となっています。世界保健機関(WHO)などの国際的な保健機関や信頼性の高い研究によると、すべての性交において完璧に使用された場合(perfect use)、コンドームの年間失敗率はわずか約2%です1。これは、1年間コンドームを完璧に使用したカップル100組のうち、妊娠に至るのは約2組であることを意味します。しかし、実生活における一般的な使用(typical use)では、この数値は年間13%から18%にまで急上昇します2。この著しい差は、製品の品質に起因するものではなく、主に一貫性のない使用や不適切な使用方法といった、使用者側の誤りに起因することが指摘されています4。この差は単なる統計上の数字ではありません。それは毎年何百万件もの意図しない妊娠や性感染症(STI)の伝播につながる、現実の公衆衛生上の問題を示しています。この包括的なガイドの目的は、読者の皆様がその隔たりを埋める手助けをすることです。皆様が毎回の使用を「完璧な使用」に変え、ご自身とパートナーの健康を最大限に守るための深い知識と実践的な技術を提供します。これは単なる説明書ではなく、絶対的な安全へと導く詳細な地図なのです。


この記事の科学的根拠

この記事は、提供された調査報告書に明示的に引用されている最高品質の医学的根拠にのみ基づいて作成されています。以下は、実際に参照された情報源と、提示された医学的指導との直接的な関連性を示したリストです。

  • 世界保健機関(WHO): 性感染症予防におけるコンドームの有効性に関する指針は、WHOが公表したファクトシートに基づいています1, 38
  • 米国疾病予防管理センター(CDC): コンドームの正しい使用法と一般的な問題点に関する解説は、CDCの概要報告書を参考にしています21
  • Guttmacher研究所: 米国における避妊法の有効性に関するデータ、特に完璧な使用と一般的な使用の失敗率の比較は、同研究所の調査に基づいています3
  • 厚生労働省: 日本国内における避妊や予期せぬ妊娠に関する実態調査のデータは、厚生労働省の報告書から引用しています20, 35
  • 東京都福祉保健局: 若者向けの避妊具の正しい使い方や、都内の無料・匿名検査所に関する情報は、同局の提供する資料に基づいています17, 29
  • 日本家族計画協会: 啓発活動や専門家の監修情報は、同協会の公開資料を参考にしています40, 41

要点まとめ

  • コンドームの避妊効果は、理論上(完璧な使用で失敗率2%)と実生活(一般的な使用で失敗率13-18%)で大きく異なり、その差は主に「不適切な使い方」に起因します。
  • サイズ選びは最も重要です。大きすぎると脱落や漏れ、小さすぎると不快感や破損の原因になります。日本の標準的なMサイズ(直径32-36mm)から試すのが一般的です。
  • 装着は必ず、性器が接触する前に行います。射精前に分泌されるカウパー腺液にも、精子や性感染症の病原体が含まれている可能性があります。
  • 装着時は先端の精液溜まりをつまんで空気を抜き、根元までしっかり下ろします。空気の混入は破れの原因になります。
  • 潤滑剤は必ず「水性」または「シリコーン性」のものを使用してください。ワセリンなどの油性のものはラテックス製コンドームを劣化させ、破れやすくします。
  • 万が一、破れたり外れたりした場合は、72時間(種類によっては120時間)以内に緊急避妊薬(アフターピル)を服用することで、高い確率で妊娠を防ぐことができます。

自分に合うコンドームの選び方

コンドーム使用時の安全性と快適さは、パッケージを開ける前から始まっています。自分の身体やニーズに合った製品を正しく選ぶことは、保護効果を決定づける基礎的なステップです。この選択は単にサイズの問題だけでなく、素材やその他の機能に関わる個人的な医療上の判断でもあります。

サイズ選び

サイズは最も重要な要素です。きつすぎるコンドームは不快感を与え、感覚を鈍らせ、さらには勃起を妨げることさえあります。逆に、緩すぎると性交中に脱落したり、精液が漏れたりして、保護効果が全く失われてしまいます8。サイズの選択は、勃起時の陰茎の直径に基づきます。日本のメーカーは一般的に以下のようにサイズを分類しています9

  • Sサイズ:直径 27–31 mm
  • Mサイズ:直径 32–36 mm(最も一般的で標準的なサイズ)
  • Lサイズ:直径 37–42 mm
  • XLサイズ:直径 43–47 mm

ご自身のサイズがわからない場合、まずは標準サイズ(Mサイズ)から試してみるのが一般的です。試用後、きつすぎるか緩すぎるかを感じ取り、次回以降の選択に活かすことができます8

素材

素材は感触に影響するだけでなく、特に敏感肌の人にとっては健康に直接関わります。

  • ラテックス(天然ゴムラテックス): 最も一般的で伝統的な素材です。伸縮性と耐久性に優れています。しかし、一部の人は天然ゴムラテックスに含まれるタンパク質にアレルギー(ラテックスアレルギー)があり、かゆみや発疹、より重篤な反応を引き起こす可能性があります8
  • ポリウレタン: ラテックスアレルギーを持つ人にとって優れた代替品です。ポリウレタン製のコンドームはラテックス製より薄いことが多く、熱伝導性が高いため、より自然な感触が得られます。ただし、伸縮性はやや劣ることがあります8
  • ポリイソプレン: アレルギーを引き起こすタンパク質を含まない合成ゴムです。ポリウレタンよりも柔らかく伸縮性に優れ、ラテックスに近い感触でありながらアレルギーを持つ人にも安全です12

自分とパートナーにとって適切で安全な種類を選ぶために、製品パッケージに記載されている素材情報を必ず確認してください8

潤滑剤とその他の機能

現在のコンドーム市場は、さまざまなニーズに応えるために多様化しています。

  • 潤滑剤: ほとんどのコンドームには、快適さを高めるために潤滑剤が塗布されています。中には温感タイプや冷感タイプの潤滑剤が付いたものもあります。
  • 感覚を高める機能: つぶつぶ(ドット)やスジ(リブ)付きのコンドームは、パートナーの快感を高めるために設計されています。
  • 脱落防止設計: 一部の製品には、本体部分にくびれを設けるなど、コンドームがよりしっかりとフィットし、脱落の危険性を減らすための特別な設計が施されています13

購入前・使用前のチェック

これは最終的かつ非常に重要な安全確認のステップです。

  • 使用期限: 箱と個包装の両方に印刷されている使用期限を必ず確認してください。期限切れのコンドームは素材が劣化し、弾力性が低下しているため、非常に破れやすくなっています9
  • 包装の状態: コンドームの個包装が破れたり、穴が開いたり、損傷の兆候がないことを確認してください。簡単なコツとして、包装を軽く押してみてください。内部に空気のクッション(a little air bubble)を感じられれば、包装が密封されている証拠です12
  • 品質認証: 日本国内では、製品が耐久性や安全性に関する厳格なテストに合格したことを保証する日本産業規格(JIS)のマークがある製品を探しましょう。

完全使用ガイド(絶対的な安全への地図)

ほぼ完璧な保護効果を得るためには、毎回の性交において正確な使用手順を遵守することが不可欠です。このセクションでは、準備から後処理まで、いかなる細部も見逃さないステップバイステップのガイドを提供します。

準備段階

入念な準備は失敗の危険性を減らし、プロセスを円滑に進める助けとなります。

  • 正しい保管方法: コンドームは熱や光に非常に敏感です。乾燥した涼しい場所で、室温で保管してください。直射日光、浴室のような高温多湿な環境、または防虫剤などの揮発性化学物質の近くは避けてください9。財布やズボンの後ろポケット、車のダッシュボードに長期間保管すると、ゴムの品質が劣化し、破れる危険性が高まります9
  • 手洗いと爪の確認: コンドームに触れる前には、手を清潔に洗ってください。さらに重要なのは、あなた(とパートナー)の爪が短く切られ、滑らかに整えられていることを確認することです。長くて鋭い爪やささくれは、包装を開ける際や装着時にコンドームを簡単に傷つけてしまう可能性があります9
  • 手にクリームやオイルが付いていないか確認: ハンドクリーム、ワセリン、マッサージオイルなどの油性の物質は、ラテックス製コンドームの構造を破壊し、破れやすくする可能性があります。手が完全に乾いて清潔であることを確認してください8
  • 装着のタイミング: これは黄金律の一つです。コンドームは、陰茎が完全に勃起した状態で、かつパートナーの性器(膣、肛門、口)に接触する前に装着しなければなりません12。射精直前に装着すれば十分だと誤解している人が多いですが、これは完全に間違いです。射精前に陰茎から分泌される液体(先走り液またはカウパー腺液)にも、精子や性感染症の病原体が含まれている可能性があります8

正しい装着手順 – 一歩ずつ

以下のステップを落ち着いて慎重に行ってください。急ぐと失敗につながる可能性があります。

  1. 包装を慎重に開ける: 手でコンドームを包装の一方に寄せます。その後、反対側の切り込みのある縁から包装を破ります。絶対に歯やハサミ、爪を使って包装を破らないでください。中のコンドームを誤って傷つけてしまう可能性があります11
  2. 裏表を確認する: コンドームを取り出します。装着する正しい面は、巻きしろが外側を向いており、小さな帽子のようで、スムーズに転がり降りる面です。もし不確かな場合は、少しだけ転がして確認できます。もし誤って裏返しに亀頭に当ててしまった場合は、裏返して使い続けないでください。それを捨てて新しいものを使ってください。理由は、コンドームの外面が性器の分泌物に接触し、精子や病原体を含む危険性があるためです9
  3. 先端をつまんで空気を抜く: コンドームを亀頭の上に置きます。親指と人差し指で先端の突出部分(精液溜まり)を軽くつまみ、中の空気を完全に押し出します。内部に空気が残っていると、射精時にコンドームが破れる主な原因の一つとなります9
  4. 根元まで転がし下ろす: 先端をしっかり押さえたまま、もう一方の手でコンドームの縁を陰茎の根元までゆっくりと転がし下ろします10。もしコンドームが転がり降りない場合は、裏返しになっている可能性があります。新しいものでやり直してください。
  5. (密着性を高めるための上級テクニック): コンドームがよりぴったりと確実にフィットするように、根元まで下ろした後、少しだけ引き上げてから再度下ろすという方法もあります。この操作により、コンドームが皮膚に密着し、ずれる危険性を減らすことができます17

性交中

もしコンドームがずれたり、破れたような違和感を覚えたりした場合は、直ちに中断してください。陰茎を抜き、確認し、必要であれば新しいコンドームに交換してください21。快適さを増し、摩擦を減らすために追加の潤滑剤が必要な場合は、重要なルールを思い出してください:水性またはシリコーン性の潤滑剤のみを使用すること。ワセリン、ベビーオイル、食用油、各種スキンクリームなどの油性のものは、ラテックスやポリイソプレン製のコンドームの構造を破壊し、破れる危険性を高めるため、絶対に使用しないでください9

射精後と取り外し方

取り外しの手順も、安全を確保するためには装着の手順と同じくらい重要です。

  1. 速やかに引き抜く: 射精直後、陰茎がまだ硬いうちに、コンドームの根元の縁をしっかりと押さえます。そして、ゆっくりとパートナーの体から陰茎を引き抜きます。これは、陰茎が萎えるとコンドームが緩んで脱落し、精液が漏れ出るのを防ぐために非常に重要です9
  2. 外して確認する: 完全に引き抜いたら、精液がこぼれないように注意しながらコンドームを陰茎から外します。一瞬時間を取り、コンドームが破れたり穴が開いたりしていないか、完全な状態かを確認してください23
  3. 正しく処理する: 衛生的に処理するために、精液が漏れないようにコンドームの口を結びます。その後、ティッシュペーパーなどに包んでゴミ箱に捨ててください。コンドームは水に溶けないため、絶対にトイレに流さないでください。深刻な排水管の詰まりの原因となります12

NGな使い方とよくある間違い

最適な保護効果を得るためには、よくある間違いを避けることが非常に重要です。以下は、覚えておくべき「NG(No Good)」な行為のリストです。

  • 2枚重ねでの使用: コンドームを2枚重ねて着けると「安全性が2倍になる」という誤解が広まっています。実際は全く逆です。これにより2つのゴム層間の摩擦が増加し、はるかに破れやすくなります。常に1枚のコンドームのみを使用してください9
  • 再利用: コンドームは一回限りの使用を想定して設計されています。性交のたびに、使用済みのものを捨て、次の回には新しいものを使用しなければなりません15
  • 使用期限切れのコンドームの使用: 時間の経過とともにゴム素材は劣化し、弾力性と耐久性を失います。使用期限が切れたコンドームを使用すると、破れる危険性が著しく高まります9
  • 装着が遅すぎる、または外すのが早すぎる: コンドームは性行為の最初から最後まで装着する必要があります。射精前の分泌液にも精子や性感染症の病原体が含まれている可能性があります。性交が終わる前にコンドームを外すと、保護効果は失われます4
  • 裏返しにして使い続ける: もし誤ってコンドームを裏返しに装着しようとした場合は、それを捨てて新しいものを使用してください。外面には性器の分泌物が付着している可能性があり、それを裏返すことでパートナーの体内に病原体を運んでしまうことになります9
  • 不適切な潤滑剤の使用: 再度強調しますが、ラテックス製コンドームには水性またはシリコーン性の潤滑剤のみを使用してください。油性の製品はコンドームを損傷させます9

特別な状況への対応

個人や状況にはそれぞれ特有の事情があります。特定のケースに対する指導を提供することは、深い理解を示し、利用者が包括的にサポートされていると感じる助けとなります。これらの「話しにくい」質問に対処することは、信頼を築き、情報源としての専門的地位を確立するための強力な方法です。

包茎の方へ

包茎は一般的な状態であり、コンドームの使用に困難を伴うことがあります。判断を交えず、明確な指導を提供することが非常に重要です。

  • 仮性包茎の場合: これは勃起時に包皮が自然に剥ける状態です。コンドームを使用する際は、まず包皮を完全に剥いて陰茎の根元で保持し、その後通常の手順でコンドームを装着します13。装着後、陰茎を軽く数回しごくことで、コンドームと包皮が馴染み、密着性が高まります。これにより、性交中にコンドームが巻き上がったり、痛みを引き起こしたりするのを防ぐ助けとなります13
  • 真性包茎およびカントン包茎の場合: これらの場合、包皮を剥くことができないか、非常に困難です。痛みや損傷、さらには包皮が元に戻らなくなる嵌頓状態を引き起こす可能性があるため、絶対に無理に包皮を剥こうとしないでください。包皮を剥かずに、そのままの上からコンドームを装着します。重要なのは、正しいサイズを選び、コンドームと皮膚の間に隙間がないようにすることです。装着時に痛みを感じたり、困難であったり、安全性に自信が持てない場合は、専門の医師に相談することが最善の選択です13

オーラルセックス

オーラルセックスは絶対に安全だと誤解されがちですが、実際には淋病、梅毒、ヘルペス、HPVなどの性感染症はこの経路でも感染する可能性があります。したがって、オーラルセックス時にコンドームを使用することは重要な予防策です9

  • コンドーム交換のルール: オーラルセックスの後、膣性交やアナルセックスを続けたい場合は、必ず新しいコンドームに交換しなければなりません。口内の細菌が膣や肛門に持ち込まれると、感染症を引き起こす可能性があります9
  • 専用製品: 現在、オーラルセックス専用に設計されたコンドームも多く販売されており、これらは通常より薄く、イチゴ、ミント、チョコレートなどのフレーバーが付いているため、体験を向上させることができます9

アナルセックス

アナルセックスは、肛門の粘膜が薄く、自己潤滑機能がないため、性感染症の感染リスクやコンドームが破れるリスクがより高くなります。

  • 潤滑剤の重要性: 大量の潤滑剤を使用することが必須です。摩擦を最小限に抑え、性交をより快適にし、最も重要なこととしてコンドームが破れるリスクを大幅に減少させるために、水性またはシリコーン性の潤滑剤を選んでください1

緊急アクションプラン:コンドームが破れた・外れた場合

どれだけ注意深くても、事故は起こり得ます。コンドームが破れたり外れたりといった緊迫した状況では、冷静さを保ち、何をすべきかを正確に知っていることが非常に重要です。このセクションは、状況を効果的に処理し、危険性を最小限に抑えるための明確な行動計画を提供するように設計されています。緊急対策の費用や場所に関する具体的で地域に根差した情報を提供することは、この記事を真の救済ツールに変える最も強力な差別化要因です。

直ちに行うべきステップ

  1. 冷静になり、中断する: 事故に気づいたら、直ちに性交を中断します。
  2. 引き抜いて確認する: 男性は陰茎を引き抜き、コンドームの状態を確認します。
  3. (女性向け)優しく洗浄する: 女性は排尿して精液の一部を体外に押し出すことを試みることができます。その後、外性器を清潔な水と低刺激性の石鹸で優しく洗います。重要な注意点:膣の内部を深く洗浄(ビデなど)しないでください。この行為は効果がないばかりか、精子や病原体を子宮の奥深くまで押し込み、妊娠や感染のリスクを高める可能性があります。

緊急避妊(アフターピル)

事故が起こり、意図しない妊娠のリスクを心配する場合、緊急避妊薬(一般的にアフターピルと呼ばれる)が効果的な選択肢です。

  • 黄金律: 薬は、無防備な性交後できるだけ早く服用する必要があります。薬の効果は時間とともに減少します24
  • 日本での入手方法: 現在、日本の緊急避妊薬は医師の処方箋が必要です。主に2つの方法で入手できます。
    • 対面診療: 産婦人科を受診します。
    • オンライン診療: 多くのクリニックが電話やビデオによる診療を提供し、その後自宅に薬を郵送してくれます。これはプライバシーを守りやすく、便利な選択肢です24

迅速な判断を助けるために、日本で一般的に使用される緊急避妊薬の比較表を以下に示します。

緊急避妊薬の比較
方法/薬品名 有効時間 推定避妊率 参考価格帯 備考
レボノルゲストレル法(ノルレボ, レボノルゲストレル) 72時間(3日)以内 約97%(72時間以内)24 6,000円~16,000円24 日本で最も一般的。副作用が少なく、1回の服用で済む25
ウリプリスタル酢酸エステル(エラ, エラワン) 120時間(5日)以内 約98.9%24 9,000円~20,000円26 効果がより高く、使用可能な時間が長い24
ヤッペ法(プラノバール) 72時間(3日)以内 約80%24(著しく低い) 3,000円~10,000円25 古い方法。効果が低く、副作用(吐き気など)が多く、2回服用が必要25

注意: 価格は参考であり、クリニックによって異なる場合があります。費用に診察料が含まれている場合と含まれていない場合があります。

性感染症(STI)の予防と検査

緊急避妊薬は性感染症を防ぐ効果はありません。STIへの感染リスクを心配する場合は、検査を受けることが、自身と将来のパートナーの健康を守るための責任ある行動です。

  • ウィンドウピリオド(検査可能となるまでの期間): STIの種類によって、感染後に検査で正確な結果が得られるようになるまでの期間が異なります。例えば、HIVの場合、この期間は通常90日(3ヶ月)です29。最適な検査時期については、医療従事者にご相談ください。
  • 無料・匿名での検査: 日本、特に東京のような大都市では、多くの保健所や検査相談室が、完全に無料で匿名によるSTIの相談・検査サービスを提供しています。本名や身分証明書を提示する必要はありません。これは、プライバシーを守りながら費用をかけずに健康状態を確認できる素晴らしいリソースです。

以下は、東京都内の代表的な検査・相談室のリストです。

東京都内の主な無料・匿名HIV/STI検査施設
施設名/区 住所/連絡先 検査項目 日時/予約方法
東京都新宿東口検査・相談室 新宿区。電話またはウェブサイトで連絡31 HIV、梅毒29 平日夜間、土日。電話/インターネットでの予約が必要32
渋谷区保健所 渋谷区宇田川町 HIV、梅毒、B型肝炎、クラミジア、淋菌33 通常、第3木曜日。LINEでの予約が必要33
中央区保健所 中央区明石町 HIV、梅毒、クラミジア、淋菌34 予約が必要。夜間検査あり34
北区保健所 北区東十条 HIV、梅毒30 オンラインフォームでの予約が必要。即日結果判明30
池袋保健所(豊島区) 豊島区東池袋 HIVおよびその他のSTI32 予約が必要32

他の地域の施設を探すには、「(地域名) + 保健所 + HIV検査」というキーワードで検索するか、地元の自治体の保健福祉に関するウェブサイトをご覧ください。

よくある質問

日本のコンドーム使用率はどのくらいですか?

コンドームは日本で最も一般的な避妊法の一つです。しかし、データによると、人工妊娠中絶に至ったケースで最も多く使用されていた避妊法もコンドームであり(約74.8%)、これはこの方法への依存度が高い一方で、不適切な使用や一貫性のない使用の割合が高いことを示唆しています35。大学生を対象とした調査でも使用率は比較的高いものの、「毎回の性交で必ず使用する」とは限らない状況が示されています36

生理中に妊娠する可能性はありますか?

はい、あります。排卵期に比べて可能性は低いですが、精子は女性の体内で数日間生存可能であり、月経周期が不規則な場合もあります。そのため、妊娠の可能性は依然として存在し、避妊具の使用が必要です19

コンドームはすべての性感染症(STI)を防げますか?

コンドームは、体液を介して感染する病気(HIV、淋病、クラミジアなど)の予防に非常に効果的です。しかし、皮膚と皮膚の接触で感染する病気(性器ヘルペス、尖圭コンジローマ、梅毒など)に対しては、コンドームが覆っている皮膚の領域しか保護できません。潰瘍や水疱などの病変部が覆われていない領域にある場合、感染のリスクは残ります1

パートナーとコンドームの使用についてどのように話せばいいですか?

これは、相互の尊重と共同責任に関する重要な会話です。性交の直前ではなく、リラックスできる時間を選びましょう。「お互いの健康が大切だから」という形で話を切り出すことができます。コンドームの使用は二人を守るためのものであり、共通の責任であることを強調してください17。日本の研究では、女性が使用を提案することに困難やためらいを感じることがあると示されているため、オープンで率直なコミュニケーションが非常に重要です36

他にどのような避妊法がありますか?

経口避妊薬(ピル)、子宮内避妊具(IUD)、避妊パッチ、避妊インプラントなど、他にも多くの効果的な避妊法があります。しかし、避妊と性感染症予防の両方を効果的に行えるのはコンドームだけであることを覚えておくことが重要です。そのため、医療専門家が推奨する最適な保護戦略は「デュアルプロテクション(二重の防御)」です。これは、性感染症予防のためにコンドームを使用し、さらに妊娠の可能性を最大限に低くするために別の高効果な避妊法(ピルなど)を併用する方法です17

結論

コンドームの正しい知識と実践は、単なる避妊技術以上の意味を持ちます。それは、ご自身とパートナーの健康、そして未来に対する責任ある選択です。理論上の有効性と現実の失敗率との間に存在する大きな隔たりは、製品の欠陥ではなく、私たち一人ひとりの知識と行動にかかっています。本稿で詳述したように、適切なサイズ選びから、装着のタイミング、正しい手順、そして万が一の事態への備えまで、すべてのステップが連動して「完璧な使用」を構成します。特に、油性潤滑剤の回避や、緊急避妊薬、性感染症検査に関する正確な情報を知っておくことは、リスクを管理し、不安を軽減するために不可欠です。健康に関する対話、特に性に関する対話をオープンに行うことは、信頼関係を深め、より安全な選択を可能にします。このガイドが、皆様にとって信頼できる知識の源となり、より安全で健康的な性生活を送るための一助となることを心より願っています。

免責事項この記事は情報提供のみを目的としており、専門的な医療アドバイスを構成するものではありません。健康上の懸念がある場合や、ご自身の健康や治療に関する決定を下す前には、必ず資格のある医療専門家にご相談ください。

参考文献

  1. World Health Organization (WHO). Condoms. [インターネット]. [2024年2月12日更新; 引用日: 2025年7月22日]. Available from: https://www.who.int/news-room/fact-sheets/detail/condoms
  2. Wikipedia. Condom. [インターネット]. [引用日: 2025年7月22日]. Available from: https://en.wikipedia.org/wiki/Condom
  3. Guttmacher Institute. Contraceptive Effectiveness in the United States. [インターネット]. [引用日: 2025年7月22日]. Available from: https://www.guttmacher.org/sites/default/files/factsheet/contraceptive-effectiveness-united-states.pdf
  4. Crosby R, Bounarath P. Condom use errors and problems: a global view. Sex Health. 2012;9(1):81-95. doi:10.1071/sh11095. Available from: https://www.publish.csiro.au/sh/fulltext/sh11095
  5. Trussell J. Contraceptive failure in the United States. Contraception. 2011;83(5):397-404. Available from: https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC5363251/
  6. Sanders SA, Yarber WL, Kaufman EL, et al. Baseline correlates of inconsistent and incorrect condom use among sexually active women in the Contraceptive CHOICE Project. Sex Transm Dis. 2011;38(11):1037-42. Available from: https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC3192989/
  7. Steiner MJ, Cates W Jr, Warner L. Correct and consistent use of condoms. Sex Transm Dis. 2003;30(1):65-6. Available from: https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC3168044/
  8. Yahoo! JAPANニュース. 【中高生の性教育】親も子どもも知っておきたい 「コンドーム」の正しい装着方法を国内シェアNO.1メーカーが解説. [インターネット]. [引用日: 2025年7月22日]. Available from: https://article.yahoo.co.jp/detail/b7dc786ba0fb8b6a6df1c43dba23a88740559f69
  9. GME医学検査研究所. コンドームで性病予防はできる?正しく使うポイントや性病リスクを下げる方法も紹介. [インターネット]. [引用日: 2025年7月22日]. Available from: https://www.gme.co.jp/column/column39_howtouse-condom.html
  10. Wikipedia. コンドーム. [インターネット]. [引用日: 2025年7月22日]. Available from: https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B3%E3%83%B3%E3%83%89%E3%83%BC%E3%83%A0
  11. National Health Service (NHS). Condoms. [インターネット]. [引用日: 2025年7月22日]. Available from: https://www.nhs.uk/contraception/methods-of-contraception/condoms/
  12. Planned Parenthood. How to Put On a Condom. [インターネット]. [引用日: 2025年7月22日]. Available from: https://www.plannedparenthood.org/learn/birth-control/condom/how-to-put-a-condom-on
  13. 上野クリニック. 包茎だとコンドームを付けづらい?正しい付け方や選び方について解説!. [インターネット]. [引用日: 2025年7月22日]. Available from: https://www.ueno.co.jp/phimotic/blog/phimotic-column22/
  14. 船橋市公式ホームページ. コンド-ムの正しい使い方. [インターネット]. [引用日: 2025年7月22日]. Available from: https://www.city.funabashi.lg.jp/kenkou/kansenshou/001/p004563.html
  15. オカモト株式会社. 保管上の注意. [インターネット]. [引用日: 2025年7月22日]. Available from: https://www.okamoto-condoms.com/howto.html
  16. 講談社コクリコ. 【中高生の性教育】コンドームの正しい装着方法 親も子どもも知っておきたい〔わかりやすい動画付き〕. [インターネット]. [引用日: 2025年7月22日]. Available from: https://cocreco.kodansha.co.jp/cocreco/general/health/seikyoiku/v8hrb?page=4
  17. 東京都福祉保健局. ちゃんと知ってる? 避妊具の使い方. [インターネット]. [引用日: 2025年7月22日]. Available from: https://www.youth-healthcare.metro.tokyo.lg.jp/sos/1026
  18. 相模ゴム工業株式会社. コンドームの装着方法. [インターネット]. [引用日: 2025年7月22日]. Available from: https://www.sagami-gomu.co.jp/condom/howtouse/
  19. TENGA公式サイト. コンドームFAQ. [インターネット]. [引用日: 2025年7月22日]. Available from: https://www.tenga.co.jp/condom/faq/
  20. 厚生労働省. コンドームメーカーとしての取組. [インターネット]. [引用日: 2025年7月22日]. Available from: https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10901000-Kenkoukyoku-Soumuka/0000117688.pdf
  21. Centers for Disease Control and Prevention (CDC). Condom Use: An Overview. [インターネット]. [引用日: 2025年7月22日]. Available from: https://www.cdc.gov/condom-use/index.html
  22. communitymedicine4all. WHO updates fact sheet on Condoms (12 February 2024). [インターネット]. [引用日: 2025年7月22日]. Available from: https://communitymedicine4asses.wordpress.com/2024/02/15/who-updates-fact-sheet-on-condoms-12-february-2024/
  23. GME医学検査研究所. セックス後にすること編. [インターネット]. [引用日: 2025年7月22日]. Available from: https://www.gme.co.jp/u-25_sexual-support/after-sex.html
  24. HSクリニック. アフターピルの値段はいくら?72時間・120時間以内服用の相場比較も. [インターネット]. [引用日: 2025年7月22日]. Available from: https://hs-clinic.jp/price-afterpill/
  25. プライベートクリニック高田馬場. アフターピルの価格一覧!副作用などの違いを解説. [インターネット]. [引用日: 2025年7月22日]. Available from: https://www.private-clinic.jp/blog/1245/
  26. ひなたクリニック. アフターピルの値段はどこで買うと安い?相場や人気のオンライン通販も紹介. [インターネット]. [引用日: 2025年7月22日]. Available from: https://hinataclinic.com/afterpill-cost-2/
  27. Pillクリニック. アフターピル(緊急避妊薬)の値段は?通販と病院はどっちが安い?. [インターネット]. [引用日: 2025年7月22日]. Available from: https://www.pillcli.jp/column/afterpill-price/
  28. 渋谷文化村通りレディスクリニック. 東京・渋谷 | アフターピル | 2900円~ | 即日院内処方【日曜・祝日も】. [インターネット]. [引用日: 2025年7月22日]. Available from: https://www.shibuya-bunkamuradori-ladies.jp/hinin/ec
  29. 東京都福祉保健局. 検査・相談|東京都性感染症ナビ. [インターネット]. [引用日: 2025年7月22日]. Available from: https://www.hokeniryo1.metro.tokyo.lg.jp/seikansensho/inspection_consultation/index.html
  30. 東京都北区. HIV・性感染症の相談・検査. [インターネット]. [引用日: 2025年7月22日]. Available from: https://www.city.kita.lg.jp/socialcare-health/medical/1009084/1009102/1009161/1009163.html
  31. 大田区. HIV感染症(大田区HIV及び性感染症検査). [インターネット]. [引用日: 2025年7月22日]. Available from: https://www.city.ota.tokyo.jp/seikatsu/hoken/kansen_taisaku/hiv/hiv.html
  32. 豊島区. HIV(エイズ)・性感染症の検査・相談. [インターネット]. [引用日: 2025年7月22日]. Available from: https://www.city.toshima.lg.jp/221/kenko/kenko/kansensho/sekansensho/002204.html
  33. 渋谷区. HIV・性感染症検査. [インターネット]. [引用日: 2025年7月22日]. Available from: https://www.city.shibuya.tokyo.jp/kenko/kansen/sei-kansen/hiv_kensa.html
  34. 中央区. HIV・性感染症検査及び相談. [インターネット]. [引用日: 2025年7月22日]. Available from: https://www.city.chuo.lg.jp/a0031/kenkouiryou/iryou/kansen/seikansenshou/eizusodan.html
  35. 厚生労働省. 新型コロナウイルス感染症流行下の自粛の影響-予期せぬ妊娠等に関する実態調査と女性の健康に対する適切な支援提供体制構築のための研究. [インターネット]. [引用日: 2025年7月22日]. Available from: https://www.mhlw.go.jp/content/11920000/000779764.pdf
  36. 岩手県立大学看護学部紀要. 大学生の性行動の現状及びSTD 望まない妊娠の予防に関する 効果的な介入の検討. [インターネット]. [引用日: 2025年7月22日]. Available from: https://www.i-repository.net/il/cont/01/G0000155repository/000/004/000004066.pdf
  37. 市川ゼミ. 2013年度 ゼミ生の研究報告 「大学生・専門学生の性行動に関する研究」. [インターネット]. [引用日: 2025年7月22日]. Available from: http://ncuitikawa.blog.fc2.com/blog-entry-19.html
  38. World Health Organization (WHO). Use condoms to prevent STIs. [インターネット]. [引用日: 2025年7月22日]. Available from: https://www.who.int/teams/global-hiv-hepatitis-and-stis-programmes/stis/prevention/condoms
  39. オカモト株式会社. 社会貢献活動. [インターネット]. [引用日: 2025年7月22日]. Available from: https://www.okamoto-inc.jp/csr/contributions
  40. 日本家族計画協会 (JFPA). 啓発用コンドームの配布について. [インターネット]. [引用日: 2025年7月22日]. Available from: https://www.jfpa.or.jp/business/business-condom/
  41. 富士製薬工業株式会社. 監修:北村邦夫(一般社団法人 日本家族計画協会 会長). [インターネット]. [引用日: 2025年7月22日]. Available from: https://www.fujimoto-pharm.co.jp/jp/patient/pdf/4_thaled-guide_supplement.pdf
  42. Guttmacher A. Can condom users likely to experience condom failure be identified?. Fam Plann Perspect. 1993;25(5):220-6. Available from: https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/8262171/
  43. Marrs R, O’Leary A, Mena L, et al. How often do condoms fail? : A cross-sectional study exploring incomplete use of condoms, condom failures, and other condom problems among Black and White MSM in the Southern U.S. Sex Transm Dis. 2015;42(5):279-84. Available from: https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC4408017/
  44. Finer LB, Zolna MR. Systematic assessment of condom use measurement in evaluation of HIV prevention interventions. J Acquir Immune Defic Syndr. 2011;57 Suppl 1:S53-S60. Available from: https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC4013255/
この記事はお役に立ちましたか?
はいいいえ