本記事の科学的根拠
本記事は、入力された研究報告書で明示的に引用されている最高品質の医学的証拠にのみ基づいています。以下は、参照された実際の情報源と、提示された医学的ガイダンスとの直接的な関連性を含むリストです。
- 日本糖尿病学会 (JDS): 本記事における治療アルゴリズムと薬剤選択に関する指針は、日本糖尿病学会が発行した「糖尿病診療ガイドライン2024」に基づいています3。
- 米国糖尿病学会 (ADA): 国際的な治療トレンドとの比較に関する記述は、米国糖尿病学会の「Standards of Care in Diabetes—2025」で示されたエビデンスを参考にしています4。
- 厚生労働省 (MHLW): 日本における糖尿病の有病率や治療状況に関する統計データは、厚生労働省の「国民健康・栄養調査」および「患者調査」を典拠としています15。
- 医薬品医療機器総合機構 (PMDA): 薬剤の安全性、特にまれではあるが重篤な副作用に関する情報は、PMDAが公表する医薬品安全性情報に基づいています6。
要点まとめ
- 日本の糖尿病患者数は増加傾向にあり、治療を受けていない潜在的な患者も多数存在します。治療の基本は食事療法と運動療法ですが、薬物療法も重要な役割を担います。
- 経口血糖降下薬には多くの種類があり、第一選択薬はメトホルミン(ビグアナイド薬)です。DPP-4阻害薬は安全性が高く広く使われ、SGLT2阻害薬は心臓や腎臓を保護する効果で注目されています。
- 注射薬であるGLP-1受容体作動薬は、血糖降下作用に加えて強力な体重減少効果と心血管保護効果を示し、治療の選択肢を大きく広げています。
- 治療薬の選択は、患者一人ひとりの病態(インスリン抵抗性かインスリン分泌不全か)、合併症の有無(心血管疾患、腎臓病など)、年齢、そして低血糖のリスクを総合的に評価し、個別化されます。
- 低血糖やシックデイ(体調不良の日)の正しい知識と対処法を学ぶことは、安全な治療継続のために不可欠です。
日本の糖尿病:現状と課題
挑戦の規模
厚生労働省の令和5年(2023年)国民健康・栄養調査によれば、日本では成人男性の16.8%、女性の8.9%が「糖尿病が強く疑われる」とされています1。この数字は過去10年間大きな変化を見せておらず、国民の健康における持続的で深刻な課題であることを示しています。重要なのは、調査に基づく統計と実際に治療を受けている患者数とを区別することです。「強く疑われる」人々の数は約1,000万人に上る可能性がありますが、同省の2023年患者調査では、積極的に糖尿病治療を受けている人の数は約552万人であることが示されています5。この著しい差は、数百万人が未診断または未治療のまま糖尿病と共に生活している可能性を示唆しており、将来的に深刻な合併症に直面する高い危険性にさらされているという憂慮すべき現実を物語っています7。さらに、糖尿病の可能性を否定できない「予備群」が約1,000万人に上ると推定されており、危険にさらされている人口の規模の大きさを強調しています2。
治療の基盤
糖尿病管理の基盤は、常に食事療法と運動療法といった生活習慣の改善です8。これは、すべての国の保健政策および臨床ガイドラインで強調されている中核的な原則です9。薬物療法は、これらの基本的な変更を補完するものであり、決して代替するものではない重要なツールです。現代の糖尿病治療の目標は、単に血糖値を管理することだけではありません。現在の焦点は、心血管疾患、腎不全、失明、神経障害といった破壊的な合併症を予防するという、より包括的なアプローチにあります7。本稿では、日本で利用可能な糖尿病治療薬について、その作用機序、証明された有効性、そして潜在的な副作用を深く掘り下げて解説します。目的は、患者とその家族が治療プロセスに積極的に関与し、医療専門家と共に情報に基づいた意思決定を行うために必要な知識を提供することです。
第1部:経口血糖降下薬の詳細分析
このセクションでは、最も一般的に使用される経口薬を、作用機序、有効性、副作用、および主要な注意点という一貫した構成で体系的に分析します。
1.1 ビグアナイド薬:2型糖尿病治療の第一選択
主成分と作用機序:このグループの主成分はメトホルミンです。メトホルミンは主に肝臓での糖新生を抑制し、筋肉や脂肪組織でのインスリン感受性を改善することで作用し、体がインスリンをより効果的に利用するのを助けます10。
有効性と臨床的位置づけ:メトホルミンは、ほとんどの2型糖尿病患者、特に肥満またはインスリン抵抗性のある患者にとっての第一選択薬と見なされています11。大きな利点の一つは、通常、体重増加を引き起こさず、むしろ軽度の体重減少を助ける可能性があることです12。
主な副作用と予防策:
- 一般的:下痢、吐き気、食欲不振などの消化器系の問題は非常によく見られますが、特に治療開始時に多く、時間とともに軽減することがほとんどです10。
- まれだが重篤:乳酸アシドーシスは、まれではありますが生命を脅かす可能性のある副作用です。危険因子には、腎機能障害、過度のアルコール摂取、脱水、画像診断検査でのヨード含有造影剤の使用が含まれます10。
- シックデイ:患者が発熱、嘔吐、下痢、または食事が十分に摂れないといった体調不良の際には、乳酸アシドーシスの危険性を防ぐためにメトホルミンの服用を一時的に中止する必要があることは、極めて重要な注意点です13。
禁忌:メトホルミンは、妊婦や重度の腎機能障害または肝機能障害のある患者には使用されません10。高齢者、特に75歳以上の患者への使用には注意が必要です11。
1.2 DPP-4阻害薬:安全性と使いやすさで広く普及
作用機序:これらの薬剤は、体内の天然ホルモンであるインクレチンの作用を延長させることで機能します。インクレチンは、血糖値に応じて(つまり、血糖値が高いときにのみ)膵臓からのインスリン分泌を刺激し、血糖値を上昇させるホルモンであるグルカゴンの分泌を抑制します10。
有効性と臨床的位置づけ:DPP-4阻害薬は、単独で使用した場合の低血糖リスクが低く、体重に影響を与えないため、広く処方されています10。高齢患者や腎機能が低下している患者にとって優先的な選択肢です11。代表的な薬剤には、シタグリプチン(ジャヌビア®)、ビルダグリプチン(エクア®)、リナグリプチン(トラゼンタ®)などがあります14。
副作用と予防策:
- 一般的:通常、忍容性は良好ですが、便秘やその他の消化器症状を引き起こすことがあります10。
- 併用時の低血糖リスク:単独使用では安全ですが、DPP-4阻害薬をスルホニル尿素(SU)薬と併用すると、特に高齢者や腎機能が低下している患者において、重篤な低血糖のリスクが著しく増加するという重要な警告があります10。
- まれだが重篤:日本の医薬品医療機器総合機構(PMDA)は、急性膵炎、腸閉塞、および水疱性類天疱瘡などの重篤な皮膚反応の報告を記録しています1516。
1.3 SGLT2阻害薬:血糖降下を超えて – 心・腎保護効果
作用機序:このクラスの薬剤は、腎臓でのブドウ糖の再吸収を阻害し、過剰なブドウ糖が尿中に排出されるようにするというユニークな作用機序を持っています10。
有効性と臨床的位置づけ:この薬剤群の登場は、治療パラダイムに大きな変化をもたらしました。
- 血糖、体重、血圧への影響:SGLT2阻害薬はHbA1cを低下させるだけでなく、体重減少(糖としてカロリーを排出することによる)と血圧降下を促進します12。
- 臓器保護効果:これが最も重要な利点です。心血管イベント(心筋梗塞、脳卒中)のリスクを低減し、慢性腎臓病(CKD)の進行を抑制し、心不全による入院を減少させることが強力なエビデンスによって示されています3。メタアナリシスにより、これらの利益は「クラスエフェクト」であり、日本人患者および他のアジア人集団にも適用されることが確認されています17。
代表的な薬剤には、ダパグリフロジン(フォシーガ®)、エンパグリフロジン(ジャディアンス®)、カナグリフロジン(カナグル®)などがあります14。
副作用と予防策:
- 一般的:作用機序のため、副作用には尿路・性器感染症(女性でより一般的)、脱水、頻尿が含まれます10。十分な水分摂取が極めて重要です。
- まれだが重篤:正常血糖ケトアシドーシス(血糖値が異常に高くない状態で発生する危険なケトアシドーシス)やフルニエ壊疽は、認識すべき重篤なリスクです18。
- 不適切な使用に関する警告:ダイエット目的での適応外使用のリスクを強調する必要があります。これは承認されておらず、医学的監督なしに重篤な副作用を引き起こす可能性があります18。
1.4 スルホニル尿素(SU)薬:強力な効果と低血糖リスク
作用機序:これは古くからある薬剤群で、血中の血糖値に関係なく、膵臓を強力に刺激してインスリンを放出させることで作用します12。
有効性と臨床的位置づけ:HbA1cの低下に非常に効果的です。しかし、その使用は、顕著な副作用プロファイルのために徐々に減少しています。
副作用と予防策:
- 低血糖:最も顕著で一般的な副作用です。その作用が血糖値に依存しないため、このリスクは高くなります11。
- 体重増加:インスリン濃度の上昇と、低血糖によって引き起こされる空腹感による補食のため、しばしば体重増加を引き起こします12。
- 夜間低血糖の潜在的リスク:SU薬を服用している患者は、日中のA1c値が良好に見えても、睡眠中に危険な夜間低血糖を経験する可能性があることを強調することが重要です。これは心血管リスクに静かに寄与する要因である可能性があります11。
1.5 その他の経口薬:特定の状況で有用な選択肢
- チアゾリジン薬:例:ピオグリタゾン(アクトス®)。インスリン感受性を改善する薬剤です。副作用には、体重増加、水分貯留(浮腫)、特に女性における骨折リスクの増加が含まれます1019。
- α-グルコシダーゼ阻害薬:例:アカルボース、ボグリボース(ベイスン®)。腸からの炭水化物の吸収を遅らせることで、主に食後の血糖上昇を抑制します。一般的な副作用は消化器系の問題(鼓腸、腹部膨満、下痢)です10。患者への重要な指導として、もし(他の薬剤との併用で)低血糖が発生した場合、この薬は複合糖の分解を妨げるため、通常の砂糖ではなくブドウ糖で対処する必要があります10。
- 速効型インスリン分泌促進薬(グリニド薬):例:ナテグリニド。SU薬と似ていますが、作用がはるかに速く短時間です。食直前に服用し、食後の血糖スパイクを管理します。この薬も低血糖のリスクがあります12。
第2部:注射薬による治療
2.1 GLP-1受容体作動薬:体重減少と心血管保護の組み合わせ
作用機序:これらの薬剤は、インクレチンホルモンであるGLP-1の作用を模倣します。血糖値に依存したインスリン放出を刺激し、グルカゴンを抑制し、胃排出を遅らせ、脳に作用して食欲を減退させます10。
有効性と臨床的位置づけ:
- 強力な血糖降下と体重減少:HbA1cの低下と顕著な体重減少の両方において非常に効果的であり、肥満患者にとって理想的な選択肢となります3。
- 心血管保護:主要な心血管有害事象(MACE)のリスクを減少させることが証明されています3。
- 多様な投与方法:毎日または毎週の注射剤として利用可能であり、現在では経口剤(経口セマグルチド/リベルサス®)も登場しています20。
- GIP/GLP-1受容体デュアル作動薬の登場:次世代の治療薬として、チルゼパチド(マンジャロ®)が導入されました。これはGIPとGLP-1の両方の受容体に作用し、GLP-1作動薬単独よりもさらに大きな血糖および体重減少効果を示します21。
副作用と予防策:主に消化器系の問題で、吐き気、嘔吐、下痢、便秘が一般的であり、特に治療開始時や増量時に見られます。これらの症状は通常、時間とともに軽減します10。まれなリスクとして、膵炎や胆嚢疾患が含まれます22。
2.2 インスリン製剤:生命維持に不可欠なホルモン
役割と種類:インスリンは1型糖尿病にとって不可欠な治療法であり、病気が進行するにつれて2型糖尿病でもしばしば必要となります。作用プロファイルに基づいて、さまざまな種類のインスリンがあります:超速効型、速効型、中間型、持効型溶解、混合型14。
主な副作用:主なリスクは低血糖です。体重増加も一般的な副作用です。ここでは、個々の製剤を深く掘り下げるのではなく、多くの場合で生命維持のためにインスリンが必要であることを強調することに焦点を当てます。
第3部:治療薬の選択と現代の治療モデル
このセクションでは、薬剤に関する情報を実践的な枠組みにまとめ、治療決定の背後にある「方法」と「理由」を説明します。
表1:主要な糖尿病治療薬の比較表
読者の皆様に明確で理解しやすい要約を提供するため、以下の表は異なる薬剤クラスを比較したものです。この表は、患者教育や医師とのより深い議論を促進するために価値があります。
薬剤クラス | 主な作用機序 | HbA1c低下作用 | 低血糖リスク | 体重への影響 | 主な心・腎保護効果 |
---|---|---|---|---|---|
ビグアナイド薬 | 肝臓の糖新生抑制、インスリン感受性改善10 | 中等度 | 非常に低い(単剤使用時) | 中立/軽度減少12 | 直接的エビデンスなし |
DPP-4阻害薬 | インクレチンホルモン増強、血糖依存性インスリン分泌促進10 | 中等度 | 非常に低い(単剤使用時)10 | 中立12 | なし |
SGLT2阻害薬 | 腎臓での再吸収阻害により尿中へブドウ糖を排泄10 | 中等度 | 非常に低い(単剤使用時)10 | 減少12 | 非常に強い:心血管イベント、心不全、腎臓病の進行を抑制3 |
GLP-1受容体作動薬 | インクレチンホルモン模倣、食欲抑制、胃排出遅延23 | 高い〜非常に高い | 非常に低い | 顕著に減少23 | 強い:心血管イベントを抑制3 |
スルホニル尿素(SU)薬 | 血糖非依存的に強力なインスリン分泌を刺激12 | 高い | 高い11 | 増加12 | なし(リスクの可能性あり) |
チアゾリジン(TZD)薬 | 末梢組織のインスリン感受性を改善10 | 中等度〜高い | 低い(単剤使用時) | 増加(水分貯留による)24 | なし(骨折リスクあり)19 |
α-GI薬 | 腸での炭水化物吸収を遅延10 | 低い | 非常に低い(単剤使用時) | 中立 | なし |
3.1 日本糖尿病学会(JDS)2024年ガイドラインの要点
日本糖尿病学会のガイドラインは、薬剤選択のための段階的なアプローチである治療アルゴリズムを導入しています25。初期選択は通常、患者の主要な問題がインスリン抵抗性(肥満に関連することが多い)か、インスリン分泌不全(肥満でない日本人患者でより一般的)かに基づいて行われます11。次に、安全性(特に低血糖リスク)と、心血管疾患(CVD)、心不全(HF)、または慢性腎臓病(CKD)などの併存疾患の有無が、薬剤選択に大きな影響を与えます3。この段階で、SGLT2阻害薬やGLP-1受容体作動薬が優先されます。この多層的なアプローチは、血糖中心から患者中心・アウトカム中心のモデルへの移行を示しており、治療計画が個々の健康プロファイルの複雑かつ合理的な評価に基づいていることを説明しています。
3.2 高齢者および特別集団に関する考慮事項
高齢者では、転倒や認知機能の問題につながる可能性のある低血糖の危険を避けるため、治療目標はしばしば緩やかに設定されます。薬剤選択は慎重に行われ、高リスクの薬剤は避けられます3。腎機能が低下している場合、多くの薬剤で用量調整が必要となったり、禁忌となったりします。SGLT2阻害薬やGLP-1受容体作動薬は有益であることが多い一方、メトホルミンやSU薬のような薬剤はリスクが高まります11。妊娠中はほとんどの経口薬は使用されず、インスリンが標準治療となります13。
第4部:患者が知っておくべき重要な注意点
このセクションでは、安全で効果的な自己管理のための実用的なアドバイスを提供します。
4.1 低血糖:症状、原因、対処法
症状の認識:低血糖の兆候には、震え、冷や汗、動悸、激しい空腹感、錯乱などがあり、重症の場合は痙攣や意識喪失に至ることがあります23。
主な原因:最も高いリスクはインスリンとSU薬からもたらされ、このリスクは薬剤を併用する(例:DPP-4阻害薬+SU薬)ことで増幅されます10。
適切な対処法:速やかに炭水化物を摂取する必要があります。α-グルコシダーゼ阻害薬を使用している患者には、通常の砂糖ではなくブドウ糖のみを使用するという特別な指示を再確認することが重要です10。
4.2 「シックデイ」ルールの理解と実践
「シックデイ」とは?:発熱、嘔吐、または食欲不振を伴う病気(風邪やインフルエンザなど)の日を指します。
なぜ重要か?:病気は血糖値を大きく変動させ、糖尿病性ケトアシドーシスやメトホルミン関連乳酸アシドーシスなどの危険な副作用のリスクを高める可能性があります。
具体的な行動:インスリンを決して中止しない、血糖値をより頻繁に監視する、十分な水分を補給する、そしていつ医師に連絡すべきかを知るなど、明確で実行可能なルールを提供します。特定の状況下でメトホルミンとSGLT2阻害薬を一時的に中止する必要性についても特に言及します13。
4.3 治療継続の課題と患者の懸念
調査データによると、患者の半数以上が、主に食事制限や薬剤管理の負担から、治療を断念したいと感じたことがあると示されています26。患者の共通の懸念には、合併症への恐怖、糖尿病が「自己管理不足の病気」というスティグマ、そして努力にもかかわらず数値が改善しないことへの失望感などがあります27。検査結果の改善を見ることや、医療提供者との支援的な関係を持つことなど、患者が意欲を維持するのに役立つ事柄を強調することで、前向きな強化を提供することが重要です26。
よくある質問
糖尿病の薬物治療はいつから始めるべきですか?
糖尿病の治療の基本は、食事療法と運動療法です8。しかし、これらの生活習慣の改善だけでは血糖コントロールの目標を達成できない場合に、薬物療法が開始されます。開始のタイミングは、HbA1cの値、症状、合併症のリスクなどを考慮して、医師が個別に判断します。
低血糖の症状が出たらどうすればよいですか?
低血糖の初期症状(冷や汗、動悸、手の震えなど)を感じたら、すぐにブドウ糖を10g、または砂糖を20g摂取してください。ブドウ糖を含むジュース(約150-200ml)でも構いません。ただし、α-グルコシダーゼ阻害薬を服用している場合は、必ずブドウ糖を摂取する必要があります10。15分経っても症状が改善しない場合は、再度同じ量を摂取し、それでも改善しない場合は医療機関に連絡してください。
SGLT2阻害薬やGLP-1受容体作動薬は、痩せるために使っても良いですか?
風邪をひいた時(シックデイ)は、薬を飲み続けても良いですか?
インスリン注射は自己判断で絶対に中断してはいけませんが、一部の経口薬は一時的に中止する必要があります。特にメトホルミンやSGLT2阻害薬は、食事がとれず脱水状態になると乳酸アシドーシスやケトアシドーシスといった重篤な副作用のリスクが高まるため、中止することが推奨されます13。シックデイの際の具体的な対応については、事前にかかりつけの医師や薬剤師に確認しておくことが非常に重要です。
結論
本報告書の中心的なメッセージは、すべての人にとって「最良」の糖尿病治療薬というものは存在しないということです。最適な治療とは、患者と医師の協力関係を通じて開発される個別化された計画であり、個々の病態生理、併存疾患、ライフスタイル、そして価値観を考慮に入れたものです。現代医学は進化を続けています。次なる革新の波、例えば食事制限の必要がない新しい経口GLP-1受容体作動薬や、毎日の注射の負担を軽減する新しい持効型インスリン製剤は、より明るい未来を約束しています28。糖尿病は生涯にわたる状態ですが、現代医学はますます拡大し、効果的なツールキットを提供しています。これらのツールを理解することは、患者が自らの健康を主体的に管理し、より少ない合併症で未来を歩むための第一歩です。
参考文献
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