【専門医が解説】男性の頻尿・夜間頻尿の原因と全治療法|ガイドラインに基づく最新情報
男性の健康

【専門医が解説】男性の頻尿・夜間頻尿の原因と全治療法|ガイドラインに基づく最新情報

夜中に何度もトイレに起きることで熟睡できない、外出先で常にトイレの場所が気になる、急な尿意に慌ててしまう。こうした排尿に関する悩みは、多くの日本人男性が抱える切実な問題です。しかし、「年のせいだ」と諦めたり、泌尿器科の受診に恥ずかしさを感じたりして、一人で抱え込んでいるケースが少なくありません。日本の超高齢社会において、生活の質(QOL)を維持することは極めて重要であり、排尿の問題はそれを大きく左右する要因です。日本泌尿器機能学会などの調査によれば、40歳以上の日本人男性の実に82.5%が何らかの下部尿路症状(LUTS)を抱えており、特に夜間頻尿はQOLに最も悪影響を与える症状であることが示されています1。この記事では、JAPANESEHEALTH.ORG編集部が、日本泌尿器科学会(JUA)および米国泌尿器科学会(AUA)の最新の診療ガイドラインに基づき、男性の頻尿や夜間頻尿の背後にある原因から、ご自身でできる生活習慣の改善、薬物療法、そして体を傷つけにくい最新の低侵襲手術に至るまで、現在利用可能な全ての治療選択肢を科学的根拠に基づいて徹底的に解説します。これは単なる情報提供ではなく、あなたが自身の状態を正しく理解し、専門医と共に最善の治療法を見つけ、質の高い生活を取り戻すための羅針盤となることを目的としています。


この記事の科学的根拠

本記事は、入力された研究報告書で明示的に引用されている最高品質の医学的根拠にのみ基づいています。以下に示すリストには、実際に参照された情報源と、提示された医学的指導との直接的な関連性のみが含まれています。

  • 日本泌尿器科学会(JUA): この記事における男性の下部尿路症状および前立腺肥大症の診断基準、症状スコア(IPSS)、薬物療法、標準的な手術に関する指針は、同学会が発行した「男性下部尿路症状・前立腺肥大症診療ガイドライン」に基づいています2
  • 米国泌尿器科学会(AUA): 最新の低侵襲治療(MISTs)、特に尿道リフト術(PUL)や水蒸気治療(WVTT)などに関する詳細なエビデンスと推奨事項は、同学会が発行した最新のガイドラインに基づいています3
  • 日本泌尿器機能学会(JaCS): 日本人男性における下部尿路症状の有病率(40歳以上の82.5%)や、夜間頻尿が生活の質に最も影響を与えるというデータは、同学会が主導した全国規模の疫学調査の結果を引用しています1
  • 髙橋 悟医師(日本大学医学部): 前立腺肥大症と過活動膀胱の密接な関連性や、診断における前立腺の「形状」の重要性に関する専門的見解は、髙橋医師の解説に基づいています4
  • 鈴木 康之医師(東京リハビリテーションセンター世田谷): 膀胱訓練や骨盤底筋体操といった、薬物を用いない改善策に関する実践的な指導は、鈴木医師の見解を参考にしています5

要点まとめ

  • 男性の排尿トラブル(下部尿路症状)は単なる加齢現象ではなく、治療可能な医学的状態です。
  • 主な原因は「前立腺肥大症(BPH)」と「過活動膀胱(OAB)」であり、診断には国際的に標準化された症状スコア(IPSS)が用いられます。
  • 治療法は生活習慣の改善から最新の薬物療法、そして体を傷つけにくい「低侵襲手術(MISTs)」まで多岐にわたります。
  • 本記事は、日本および米国の最新の泌尿器科学会ガイドラインに基づき、全ての選択肢を公平に解説し、あなたのQOL回復を支援します。

もしかして、あなたも?多くの日本人男性が抱える「言えない悩み」

日本の男性、特に中高年にとって、排尿に関する問題は非常に身近なものです。2023年に発表された日本泌尿器機能学会による全国規模のインターネット調査では、40歳以上の男性の82.5%が何らかの下部尿路症状(頻尿、尿意切迫感、夜間頻尿など)を経験しているという驚くべき結果が報告されました1。中でも「夜間頻尿」は、睡眠を妨げ、日中の倦怠感や集中力低下につながるだけでなく、高齢者においては夜間の転倒や骨折の危険性を高めるなど、生活の質(QOL)を最も著しく低下させる症状として挙げられています16。それにもかかわらず、多くの男性が「我慢(がまん)」の文化や、泌尿器科への通院に対する心理的な抵抗感から、これらの症状を放置しがちです。しかし、これらの症状は治療可能な医学的問題であり、早期に対処することで、より深刻な合併症を防ぎ、快適な日常生活を取り戻すことが可能です7

まずは自分で重症度を把握:国際前立腺症状スコア(IPSS)でセルフチェック

専門医に相談すべきかどうかを判断するための一つの客観的な指標として、世界中で広く用いられている「国際前立腺症状スコア(IPSS)」があります。これは、あなたの症状がどの程度生活に影響を与えているかを数値化するための簡単な質問票です。以下の質問に対し、過去1ヶ月間のあなたの状態に最も近い選択肢を選んでください。

国際前立腺症状スコア(IPSS)
質問 全くない (0点) 5回に1回未満 (1点) 2回に1回未満 (2点) 2回に1回くらい (3点) 2回に1回より多い (4点) ほとんどいつも (5点)
1. 排尿後、まだ尿が残っている感じ(残尿感)がありましたか?
2. 排尿後2時間以内に、またトイレに行きたくなることがありましたか?
3. 排尿中に、尿が途切れることがありましたか?
4. 急に強い尿意を感じ、我慢するのが難しいことがありましたか?
5. 尿の勢いが弱いと感じることがありましたか?
6. 排尿を始めるために、いきむ必要がありましたか?
7. 夜、就寝してから朝起きるまでに、何回くらい排尿のために起きましたか? 0回 (0点) 1回 (1点) 2回 (2点) 3回 (3点) 4回 (4点) 5回以上 (5点)
QOL(生活の質)に関する質問
質問 とても満足 (0点) 満足 (1点) ほぼ満足 (2点) どちらでもない (3点) やや不満 (4点) 不満 (5点) とても不満 (6点)
8. もし今の排尿状態のまま余生を過ごすとしたら、あなたはどう感じますか?

スコアの評価:
質問1から7までの合計点を算出してください。日本泌尿器科学会(JUA)のガイドラインでは、この合計点に基づき重症度を以下のように分類しています2

  • 0~7点: 軽症
  • 8~19点: 中等症
  • 20~35点: 重症

合計点が中等症(8点)以上の場合、またはQOLに関する質問(質問8)のスコアが3点以上の場合は、症状があなたの生活に大きな影響を及ぼしている可能性が高く、専門医への相談を強く推奨します。

なぜ起こるのか?症状の裏に隠された2大原因

男性の下部尿路症状の背景には、主に二つの大きな原因が存在します。それは「前立腺肥大症(BPH)」と「過活動膀胱(OAB)」であり、これらはしばしば密接に関連し、同時に存在することがあります4

前立腺肥大症(BPH):尿の通り道を物理的に塞ぐ「関所」

前立腺は男性だけにある臓器で、膀胱のすぐ下にあり、尿道を取り囲んでいます。加齢とともにこの前立腺が内側から肥大し、尿道を圧迫することで、尿の出が悪くなる状態が前立腺肥大症(BPH)です8。これは尿道を物理的に狭くする「関所」のようなもので、主に以下のような「排出症状」を引き起こします。

  • 尿勢低下:尿の勢いが弱くなる。
  • 排尿遷延:尿が出始めるまでに時間がかかる。
  • 腹圧排尿:お腹に力を入れないと尿が出ない。
  • 排尿中断:尿が途中で途切れる。

さらに、肥大した前立腺という障害物に対して、膀胱が無理に収縮を繰り返すことで膀胱の筋肉が疲弊し、過敏になり、二次的に「蓄尿症状」(頻尿、尿意切迫感など)を引き起こすこともあります。

過活動膀胱(OAB):膀胱が過敏に反応する「センサー」

過活動膀胱(OAB)は、膀胱に尿が十分に溜まっていないにもかかわらず、膀胱が自分の意思とは関係なく勝手に収縮してしまう状態です9。これは膀胱の神経や筋肉の機能的な問題であり、「過敏なセンサー」に例えられます。主な症状は、突然やってくる我慢できないほどの強い尿意(尿意切迫感)であり、頻尿や夜間頻尿、時には間に合わずに漏らしてしまう「切迫性尿失禁」を伴います。男性の場合、前立腺肥大症が原因で膀胱に負担がかかり、OABを併発することが非常に多いと指摘されています4

専門医への相談タイミング:見逃してはいけない「危険信号(レッドフラグ)」

多くの下部尿路症状は緊急を要するものではありませんが、以下のような「危険信号」が見られる場合は、前立腺がんや膀胱がん、尿路感染症といった重篤な病気の可能性も考えられるため、速やかに泌尿器科を受診する必要があります10

  • 肉眼で見える血尿:目で見てわかる赤い尿が出る。
  • 急性尿閉:突然、尿が全く出なくなる。強い尿意があるのに排尿できない状態。
  • 排尿時の強い痛み:排尿時に焼けるような、あるいは突き刺すような強い痛みがある。
  • 原因不明の発熱を伴う排尿症状:頻尿や残尿感と共に38度以上の熱が出る。
  • 急激な体重減少:特に思い当たる理由がないのに、短期間で体重が大きく減少する。

診断の進め方:日本の泌尿器科では何が行われるのか

「泌尿器科ではどんな検査をされるのだろう」という不安を和らげるため、一般的な診断プロセスを説明します。これは患者さんの状態を正確に把握し、最適な治療方針を立てるために不可欠です23

  1. 問診と症状スコア評価:医師が症状の種類、始まった時期、生活への影響などを詳しく尋ねます。前述のIPSSなどもこの段階で用いられます。
  2. 身体診察(直腸診を含む):腹部の触診や、肛門から指を入れて前立腺の大きさ・硬さ・表面の状態を直接確認する直腸診を行います。前立腺がんとの鑑別に重要です。
  3. 尿検査:尿中の血液、細菌、糖などを調べ、尿路感染症や他の病気の有無を確認します。
  4. 血液検査(PSA測定):PSA(前立腺特異抗原)は前立腺がんのスクリーニングに用いられる重要な指標ですが、前立腺肥大症や前立腺炎でも数値が上昇することがあります。PSA値は前立腺の大きさの指標にもなり、治療方針の決定に役立ちます3
  5. 超音波検査(エコー検査):腹部の上から、あるいは肛門から器具を挿入し、前立腺の正確な大きさや形状、膀胱の状態、残尿量(排尿後に膀胱内に残る尿の量)を測定します。残尿量が50-100mL以上ある場合は異常と見なされることがあります。
  6. 尿流測定(ウロフロメトリー):専用の便器に排尿し、尿の勢いや量、排尿にかかる時間を客観的に測定する検査です。

受診前に数日間、「排尿日誌(いつ、どのくらいの量を排尿したか、水分をどのくらい摂取したかなどを記録したもの)」を付けておくと、より正確な診断に役立ちます8

治療法の全選択肢:あなたに最適なアプローチを見つける

下部尿路症状や前立腺肥大症の治療は、一つの決まった方法があるわけではありません。症状の重症度、前立腺の大きさ、年齢、健康状態、そして何よりも患者さん自身の希望を考慮して、段階的にアプローチを決めていきます。日本泌尿器科学会や米国泌尿器科学会のガイドラインでは、まず侵襲の少ない方法から始めることが推奨されています23

ステップ1:行動療法 – まずは自分でできること

軽症の場合や、薬物療法と並行して行われる基本的なアプローチです。生活習慣を見直すだけで、症状が大きく改善することもあります。

  • 飲水指導:一度に大量の水分を摂らず、こまめに飲むようにします。特に就寝前の数時間は、水分の摂取を控えることが夜間頻尿の改善に繋がります5
  • 食事の改善:カフェイン(コーヒー、紅茶、緑茶など)やアルコールの摂取は利尿作用を促進し、膀胱を刺激するため、控えることが推奨されます。また、野菜や果物を多く摂取することが前立腺肥大症のリスクを低減させる可能性を示唆する研究もあります11
  • 膀胱訓練:尿意を感じてもすぐにトイレに行かず、少しだけ我慢する時間を設け、徐々に排尿間隔を延ばしていく訓練です。過活動膀胱の改善に有効です5
  • 骨盤底筋体操:尿道を締める役割を持つ骨盤底筋を鍛えることで、尿意切迫感や尿漏れの改善が期待できます。

ステップ2:薬物療法 – 症状と原因に合わせた賢い選択

行動療法で効果が不十分な場合、薬物療法が次の選択肢となります。原因や主症状に合わせて、様々な種類の薬が使い分けられます。

主な前立腺肥大症・下部尿路症状治療薬の比較
薬の分類 代表的な薬剤名(日本) 作用機序 主な利点 主な副作用・注意点 ガイドライン上の位置づけ
α1遮断薬 タムスロシン、シロドシン 前立腺と膀胱頸部の平滑筋を弛緩させ、尿道の圧迫を和らげる。 効果発現が早い(数日~数週間)。 めまい、立ちくらみ、射精障害(特にシロドシン)。 中等症から重症の患者に対する第一選択薬23
5α還元酵素阻害薬 デュタステリド(アボルブ) 男性ホルモンへの作用を介して、肥大した前立腺自体を縮小させる。 長期的に急性尿閉や手術のリスクを低減。 効果発現が遅い(6~12ヶ月必要)。性機能への影響(性欲減退、勃起不全)の可能性。 前立腺が大きい患者(例:30-40g以上)で特に有効3
PDE5阻害薬 タダラフィル(ザルティア) 平滑筋を弛緩させ、血流を増加させる。 下部尿路症状と勃起不全(ED)を同時に改善。 頭痛、ほてり、消化不良。 LUTSとEDを合併する患者の良い選択肢2
β3作動薬 ミラベグロン(ベタニス) 膀胱の筋肉を弛緩させ、尿を溜める容量を増やす。 過活動膀胱症状に有効。抗コリン薬に比べ口渇や便秘が少ない。 血圧が上昇することがある。 過活動膀胱症状が主体の際の良い選択肢。α1遮断薬との併用も可能3

特に高齢の患者さんでは、複数の持病や服用薬があるため、薬の選択には注意が必要です。日本老年医学会のガイドラインでは、副作用のリスクを考慮した慎重な薬物療法が推奨されています12

ステップ3:手術療法 – 「切る」だけではない最新の低侵襲治療(MISTs)

薬物療法で効果が不十分な場合や、副作用で続けられない場合、あるいは残尿が多い、血尿を繰り返すといった合併症がある場合には、手術療法が検討されます。かつての手術は体への負担が大きいイメージがありましたが、近年では「低侵襲治療(Minimally Invasive Surgical Therapies: MISTs)」と呼ばれる、体への負担が少なく、性機能の温存も期待できる新しい選択肢が次々と登場しています3

主な前立腺肥大症に対する手術療法の比較
治療法(略称) 概要 適した前立腺の大きさ 主な利点 主な欠点・注意点
経尿道的前立腺切除術 (TURP) 尿道から内視鏡を入れ、電気メスで前立腺組織を削り取る。歴史的な「標準治療」。 中小サイズ(主に80-100g未満) 高い症状改善効果が長期間証明されている。 入院が必要。出血や射精障害のリスクが比較的高い。
ホルミウムレーザー前立腺核出術 (HoLEP) 強力なレーザーで、肥大した前立腺の「核(中身)」をくり抜き、体外へ取り出す。 あらゆる大きさ、特に巨大な前立腺に有効。 出血が少なく、入院期間が短い。効果の持続性が高い。 高度な技術が必要。術後一時的に尿失禁が起こることがある。
尿道リフト術 (PUL / UroLift®) 小さなインプラントを用いて、尿道を圧迫している前立腺組織を両脇に引き寄せて固定する。 中小サイズ(30-80g)、中葉突出がないタイプ。 射精機能の温存に最も優れる。日帰りや短期入院が可能。 効果がTURP/HoLEPより若干劣る可能性。全ての形状の前立腺に適応できるわけではない。
水蒸気治療 (WVTT / Rezum™) 高温の水蒸気を前立腺組織に注入し、組織を壊死・縮小させる。 中小サイズ(30-80g) 性機能温存に優れる。手技時間が非常に短い(数分)。外来で実施可能。 術後、一時的にカテーテル(尿を出す管)の留置が必要になることが多い。

出典: 主に米国泌尿器科学会(AUA)ガイドライン 2023年版3に基づき作成。
どの治療法が最適かは、あなたの前立腺の大きさや形、症状の程度、そしてあなたが何を最も重視するか(症状の完全な解消か、性機能の温存かなど)によって異なります。これらの選択肢について、医師と十分に話し合うことが極めて重要です。

よくある質問

Q1: 治療費は健康保険の対象になりますか?

はい、ほとんどの治療は健康保険の対象となります。α1遮断薬や5α還元酵素阻害薬などの一般的な薬物療法、そしてTURPやHoLEPといった標準的な手術療法は、国民健康保険や社会保険の適用範囲内です。PUL(尿道リフト術)やWVTT(水蒸気治療)のような新しい低侵襲治療も、実施する医療機関が増え、保険適用が進んでいます。ただし、医療機関によってはまだ導入されていない場合や、特定の条件下でのみ適用される可能性もあるため、具体的な費用については受診を希望する医療機関に直接確認することが最も確実です。

Q2: 手術は性機能(勃起や射精)に影響しますか?

これは非常に重要な問題です。従来のTURPでは、逆行性射精(射精時に精液が膀胱に逆流し、体外に出なくなる状態)が高い確率で起こることが知られています。勃起機能への影響は少ないとされていますが、ゼロではありません。一方、米国泌尿器科学会(AUA)のガイドラインでも強調されているように、PUL(尿道リフト術)やWVTT(水蒸気治療)といった最新の低侵襲治療は、射精機能や勃起機能を高いレベルで温存することを目指して開発されました3。もし性機能の温存を強く希望される場合は、これらの新しい治療法が選択肢になりうるか、積極的に医師と相談すべきです。

Q3: PSA値が高いと、必ず前立腺がんですか?

いいえ、そうとは限りません。PSA(前立腺特異抗原)値は、前立腺がんだけでなく、前立腺肥大症、前立腺炎、あるいは直腸診などの物理的な刺激によっても上昇します。したがって、「PSAが高い=前立腺がん」というわけではありません。PSAはあくまで前立腺がんの可能性を調べるための「スクリーニング検査」であり、その値をどう解釈し、さらに精密検査(生検など)が必要かどうかを判断するのは、泌尿器科専門医の役割です。基準値を超えていたとしても、過度に心配せず、まずは専門医に相談してください。

Q4: 食事や運動で改善しますか?

はい、生活習慣の改善は全ての治療の基本であり、軽症の場合はそれだけで症状が緩和することもあります。前述の通り、水分摂取の調整、カフェインやアルコールの制限は有効です。また、ある研究では、野菜や果物を豊富に摂る食事が前立腺肥大症のリスク低下と関連することが示唆されています11。適度な運動は全身の健康状態を改善し、症状の緩和にも繋がります。ただし、これらはあくまで補助的なアプローチであり、中等症以上の症状がある場合は、生活習慣の改善と並行して、専門的な医学的治療を受けることが重要です。

結論

男性の頻尿、夜間頻尿、残尿感といった排尿の悩みは、単に「年を取ったから仕方ない」と片付けられるべき問題ではありません。その多くは、前立腺肥大症や過活動膀胱といった、明確な原因を持つ治療可能な医学的状態です。現代の医療には、生活習慣の改善という基本的なステップから、効果的な薬物療法、さらには体への負担と性機能への影響を最小限に抑えた最新の低侵seminvasive(侵襲の少ない)手術まで、非常に幅広い選択肢が存在します。重要なのは、自分の症状を客観的に把握し、危険な兆候を見逃さず、そして何よりも専門家である泌尿器科医に相談する勇気を持つことです。この記事で得た知識が、あなたが自身の体の変化を理解し、医師との対話において主体的なパートナーとなり、最終的に質の高い、快適な生活を取り戻すための一助となることを心から願っています。

免責事項この記事は情報提供のみを目的としており、専門的な医学的助言に代わるものではありません。健康に関する懸念がある場合、またはご自身の健康や治療に関する決定を下す前には、必ず資格のある医療専門家にご相談ください。

参考文献

  1. Mitsui T, et al. Prevalence and impact of lower urinary tract symptoms: A nationwide internet survey in Japan. Int J Urol. 2023;30(12):1216-1224. doi:10.1111/iju.15234. Available from: https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/iju.15234
  2. 日本泌尿器科学会, et al. 男性下部尿路症状・前立腺肥大症診療ガイドライン. リッチヒルメディカル; 2017. Available from: https://minds.jcqhc.or.jp/summary/c00394/
  3. Lerner LB, et al. Management of Lower Urinary Tract Symptoms Attributed to Benign Prostatic Hyperplasia: AUA GUIDELINE (2021, amended 2023). American Urological Association; 2023. Available from: https://www.auanet.org/guidelines-and-quality/guidelines/benign-prostatic-hyperplasia-(bph)-guideline
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  7. CareNet.com. 約20年ぶりの下部尿路症状の疫学調査、その結果は? [インターネット]. 2024. [引用日: 2025年7月23日]. Available from: https://www.carenet.com/news/general/carenet/58353
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  10. 西川泌尿器科. 男性の泌尿器科|よくある症状や病気について解説. [インターネット]. [引用日: 2025年7月23日]. Available from: https://www.nishikawa-uro.com/male/
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  12. 日本老年医学会. 高齢者の安全な薬物療法ガイドライン2015. [インターネット]. 2015. [引用日: 2025年7月23日]. Available from: https://www.jpn-geriat-soc.or.jp/publications/other/pdf/clinical_practice_of_geriatrics_50_4_440.pdf
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