【2025年最新・専門家解説】溶連菌感染症の流行と劇症型(STSS)の危険性 - 症状・予防・治療の全知識
感染症

【2025年最新・専門家解説】溶連菌感染症の流行と劇症型(STSS)の危険性 – 症状・予防・治療の全知識

2023年以降、日本国内ではA群溶血性レンサ球菌咽頭炎、特に「人食いバクテリア」とも呼ばれ致死率の高い劇症型溶血性レンサ球菌感染症(STSS)が過去にない規模で流行し、大きな社会不安を引き起こしています12。本記事では、国立感染症研究所や厚生労働省の最新データ、そして国内外の専門的な診療指針に基づき、なぜ今流行しているのか、その危険性、そして私たちに何ができるのかを、包括的に解説します。


この記事の科学的根拠

本記事は、入力された研究報告書で明示的に引用されている最高品質の医学的証拠にのみ基づいています。以下に、参照された実際の情報源と、提示された医学的指導との直接的な関連性を示します。

  • 国立感染症研究所(NIID): 本記事における日本の流行状況、劇症型溶血性レンサ球菌感染症(STSS)の症例数、およびM1UK株に関する解説は、同研究所が公表した公式データおよびリスク評価に基づいています2914
  • 厚生労働省(MHLW): STSSに関する一般的な疑問への回答や、公衆衛生上の推奨事項は、同省の公式見解を引用しています1334
  • 米国疾病予防管理センター(CDC): 症状の鑑別点や治療の国際標準に関する記述は、CDCが医療専門家向けに発行する臨床指針に準拠しています22
  • 米国感染症学会(IDSA): 抗生物質の10日間投与の重要性など、治療に関する詳細な推奨事項は、IDSAの診療指針を根拠としています24
  • 学術論文(Emerging Infectious Diseases等): 2023年以降の日本におけるSTSSの再興と、50歳未満の死亡率上昇に関する具体的なデータは、査読付き学術論文の知見に基づいています2

要点まとめ

  • 2023年以降、日本で溶連菌感染症、特に致死率の高い「劇症型溶血性レンサ球菌感染症(STSS)」が過去最多のペースで急増しています1
  • 原因の一つとして、従来株より感染性・毒性が高い可能性のある「M1UK株」という系統の国内での広がりが、国立感染症研究所により指摘されています236
  • ただの喉の痛みと侮らず、特有の症状(咳がない、いちご舌など)を見極め、早期に適切な治療(抗生物質の原則10日間服用)を受けることが、心臓や腎臓の合併症、そして命に関わるSTSSを防ぐ鍵です24
  • 本記事では、最新の日本の状況を踏まえ、専門的知見を網羅的に解説します。

【緊急解説】なぜ今、溶連菌感染症が日本で問題になっているのか?

最近、ニュースや新聞で「溶連菌」や「人食いバクテリア」という言葉を頻繁に目にするようになり、不安を感じている方も多いのではないでしょうか。このセクションでは、なぜ今、溶連菌感染症がこれほど大きな問題となっているのか、その背景を最新の科学的データに基づいて解説します。

1.1. 過去にないレベルの流行:最新データが示す現実

国立感染症研究所(NIID)の発表によると、2024年のA群溶血性レンサ球菌咽頭炎の定点医療機関あたりの報告数は、過去の同時期と比較していかに異常なレベルであるかが示されています147。これは、単なる季節的な流行とは一線を画す事態です。専門家は、この背景の一つに、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック対策(マスク着用、手指消毒、社会的距離の確保)が緩和されたことによる「免疫負債(immunity debt)」があると指摘しています。つまり、数年間にわたり様々な病原体への接触が減ったことで、社会全体の集団免疫が低下し、多くの呼吸器感染症が流行しやすくなっているのです。溶連菌感染症もその例外ではありません。

1.2. 「人食いバクテリア」の正体:劇症型溶血性レンサ球菌感染症(STSS)の急増

メディアで衝撃的に報じられる「人食いバクテリア」4。その医学的な正体は、劇症型溶血性レンサ球菌感染症(Streptococcal Toxic Shock Syndrome, STSS)という、極めて進行が速く、致命的な病態です5。厚生労働省(MHLW)の集計によると、STSSの届出数は2023年から顕著に増加し、2024年にはわずか数ヶ月で前年の報告数に迫るなど、過去最多を更新するペースで発生しています334

STSSの最も恐ろしい点は、その致死率の高さにあります。報告によれば、致命率は約30%に達し、発症から数十時間以内に多臓器不全へと進行することがあります1021。特に注目すべきは、2023年後半から報告されている衝撃的なデータです。CDCが発行する学術誌「Emerging Infectious Diseases」に掲載された日本の研究によると、50歳未満の比較的若い世代におけるSTSSの死亡率が、過去数年と比較して著しく上昇していることが示されました29。これは、もはや高齢者や基礎疾患を持つ人だけの問題ではないことを強く示唆しています。

1.3. 脅威の新系統「M1UK株」とは?

このSTSSの急増の背景として、国立感染症研究所(NIID)が警鐘を鳴らしているのが、「M1UK株(UK系統株)」という新たな系統の存在です36。この株は、英国での流行に関連して特定され、従来の株と比較して伝播性が高く、また、強力な毒素(ストレプコッカス化膿性外毒素Aなど)をより多く産生する能力を持つ可能性が指摘されています2。この毒素が、体内で「サイトカインストーム」と呼ばれる過剰な免疫反応を引き起こし、急激なショックや多臓器不全を招くSTSSの引き金になると考えられています。NIIDの報告によれば、このM1UK株が2023年後半から日本国内、特に関東地方を中心に検出数が増加しており、現在のSTSSの流行拡大との関連が強く疑われています236


溶連菌感染症とは? – 誰もが知るべき基本の知識

この疾患の正しい理解は、適切な予防と対策の第一歩です。ここでは、溶連菌感染症の基本的な知識を解説します。

2.1. 原因となる細菌:A群溶血性レンサ球菌

溶連菌感染症は、A群溶血性レンサ球菌(Group A Streptococcus, GAS)という細菌によって引き起こされる感染症です。この細菌の学術名は「Streptococcus pyogenes」といい、グラム陽性球菌に分類されます42。主に喉(咽頭)に感染して咽頭炎を引き起こしますが、皮膚に感染して「とびひ(伝染性膿痂疹)」や、より重篤な全身感染症であるSTSSの原因にもなります。

2.2. 感染経路:どうやってうつるのか?

国立感染症研究所によると、主な感染経路は以下の3つです14

  • 飛沫感染: 感染者の咳やくしゃみ、会話などで飛び散った飛沫(しぶき)に含まれる細菌を吸い込むことで感染します。これが最も一般的な経路です。
  • 接触感染: 細菌が付着したドアノブ、手すり、おもちゃなどに触れた手で、自分の口や鼻、目を触ることにより感染します。
  • 経口感染: まれですが、細菌に汚染された食品を介して感染することもあります。

2.3. 感染しやすい人・時期・場所

溶連菌感染症には、感染しやすい特定の傾向があります。

  • 年齢: 最も感染しやすいのは5歳から15歳の学童期の子どもですが、成人を含むどの年齢層でも感染する可能性があります2339。なお、3歳未満の乳幼児では、高熱などの典型的な症状が出にくいことがあるため注意が必要です22
  • 季節: 主に冬季および春から初夏にかけての2つの流行のピークが見られます8
  • 場所: 学校、保育園、幼稚園、職場など、人が集団で生活する環境で感染が広がりやすい特徴があります46
  • 家族内感染: 家族内で一人が感染すると、特に兄弟姉妹間での感染率は約25%に達するという報告もあり、家庭内での感染対策が重要です14

これは溶連菌?風邪との見分け方 – 重要な症状のサイン

「この喉の痛みは、ただの風邪だろうか?」そう迷うことは多いでしょう。しかし、溶連菌感染症には風邪とは異なる特徴的な症状があります。早期発見のために、これらのサインを見逃さないことが非常に重要です。

3.1. 典型的な症状チェックリスト

国立感染症研究所によると、通常2日から5日の潜伏期間を経て、以下の症状が突然現れます1441

  • 38℃以上の突然の高熱
  • 唾を飲み込むのも辛いほどの激しい喉の痛み(咽頭痛)
  • 喉の奥(扁桃)が真っ赤に腫れ、時に白い膿(白苔)が付着する
  • 首の前のリンパ節の腫れと、押したときの痛み

ここで最も重要な鑑別点があります。米国疾病予防管理センター(CDC)の指針によると、溶連菌感染症では通常、咳や鼻水はほとんど見られません622。咳や鼻水を伴う場合は、ウイルス性の咽頭炎(いわゆる風邪)の可能性が高いと考えられます。

3.2. 子供と大人で見られる特徴的なサイン

年齢によって、特徴的な症状の現れ方が異なる場合があります。

子供に特有のサイン

  • いちご舌: 舌の表面が赤くなり、ブツブツとした突起が目立つ、まるで苺のような状態になります44。これは非常に特徴的な所見です。
  • 猩紅熱(しょうこうねつ): 全身、特に体や首、手足に広がる、触るとザラザラするような細かい赤い発疹が現れることがあります。
  • 嘔吐や腹痛: 喉の症状に加えて、吐き気や腹痛を伴うことも少なくありません。

大人の場合

大人の溶連菌感染症は、子供よりも症状が重篤化する傾向があると言われています。実際に罹患した成人からは、「喉にガラスの破片が刺さっているような耐え難い痛みだった」「高熱と関節痛で起き上がることすらできなかった」といった体験談が報告されています151618

3.3. 危険なサイン:すぐに医療機関を受診すべき症状(STSSの初期兆候)

以下の症状が見られた場合は、通常の咽頭炎ではなく、命に関わるSTSSの可能性も考えられます。厚生労働省や国立感染症研究所も警告している危険なサインであり、夜間や休日であっても、直ちに救急医療機関を受診してください3435

  • 四肢の急激な痛みや腫れ(特に刺し傷や切り傷など、皮膚の損傷がある部位)
  • 意識が朦朧としている、呼びかけへの反応が鈍い
  • 呼吸が速い、息苦しい
  • 血圧の急激な低下に伴うめまい、ふらつき、失神

診断と治療:医療機関では何が行われるのか

溶連菌感染症が疑われる場合、医療機関での的確な診断と、それに続く適切な治療が不可欠です。特に、抗生物質の正しい服用が、合併症を防ぐ上で極めて重要になります。

4.1. 診断方法:迅速検査と培養検査

診断は、喉の奥を綿棒でこすって検体を採取することから始まります37

  • 迅速抗原検出キット(RADT): 最も一般的に行われる検査で、10〜15分程度で結果が判明します。陽性であれば確定診断となりますが、感染していても陰性と出てしまう「偽陰性」の可能性も一定程度あります24
  • 培養検査: 採取した検体を検査室で培養し、菌の存在を直接確認する方法です。結果判明までに数日かかりますが、最も確実な診断法であり、「ゴールドスタンダード」と位置づけられています。CDCの指針では、特に合併症のリスクが高い小児や青年において、迅速検査が陰性でも症状から強く感染が疑われる場合には、培養検査による確認が推奨されています22

4.2. 治療の基本:なぜ抗生物質が絶対に必要なのか

「溶連菌は細菌であるため、自然に治ることは期待できず、抗生物質による治療が絶対に必要です」と断言できます30。治療には、以下の3つの重要な目的があります38

  1. 症状の緩和と回復の促進: 適切な抗生物質を服用することで、熱や喉の痛みが速やかに改善します。
  2. 他者への感染拡大の防止: 服用開始後24時間で感染力はほぼなくなるとされており、家族や周囲への感染を防ぎます43
  3. 最も重要:重篤な合併症の予防: これこそが抗生物質治療の最大の目的です。後述するリウマチ熱や急性糸球体腎炎といった、心臓や腎臓に深刻な後遺症を残す可能性のある合併症を予防するために、抗生物質は不可欠です1125

4.3. 抗生物質の種類と正しい服用期間

治療薬の選択と服用期間には、世界的な標準と日本特有の注意点があります。

  • 第一選択薬: 米国感染症学会(IDSA)や日本の各種診療指針でも推奨されているペニシリン系抗生物質(アモキシシリンなど)が、世界的にも標準治療薬(第一選択薬)です2426
  • 服用期間の徹底: ここが最も重要なポイントです。「症状が良くなっても、処方された抗生物質は原則として10日間(または医師の指示通り)は絶対に飲み切ってください」3132。自己判断で服用を中断すると、体内に生き残った少数の菌が再び増殖して再発したり、薬剤耐性菌を生み出す原因となります。さらに、不完全な治療はリウマチ熱などの重篤な合併症を引き起こす危険性を格段に高めることが、科学的に証明されています24
  • ペニシリンアレルギーの場合: アレルギーがある場合は、代替薬としてセフェム系抗生物質やクリンダマイシンなどが用いられます。
  • 日本特有の注意点: 日本の臨床現場では、マクロライド系抗生物質(クラリスロマイシン、アジスロマイシン等)に耐性を持つ溶連菌が10~20%の高い割合で存在すると報告されています272829。そのため、これらの薬剤は第一選択薬としては推奨されず、安易な使用は避けるべきとされています。

4.4. 症状を和らげる対症療法

抗生物質と並行して、つらい症状を和らげるための対症療法も重要です。

  • 解熱鎮痛剤の使用: 高熱や激しい喉の痛みに対しては、アセトアミノフェンやイブプロフェンなどの市販の解熱鎮痛剤が有効です。
  • 食事と水分補給: 喉への刺激が少ない、おかゆ、ゼリー、スープ、ヨーグルトなどを摂りましょう。脱水を防ぐため、十分な水分補給を心がけてください。
  • 安静: 体力の消耗を抑え、回復を早めるために、十分な休息と睡眠が不可欠です。

最も恐ろしい合併症:リウマチ熱、急性糸球体腎炎、そしてSTSS

「なぜ抗生物質を最後まで飲み切らないといけないのか?」その答えは、治療が不完全だった場合に起こりうる、これらの深刻な合併症にあります。

5.1. 心臓を侵す「リウマチ熱」

リウマチ熱は、不適切な治療の数週間後に発症することがある免疫系の異常反応です。関節炎や発熱に加え、最も恐ろしいのは心臓の弁に炎症が及び(心炎)、永続的な心臓弁膜症などの重い後遺症を残す可能性があることです11。抗生物質の普及により現代の日本では稀になりましたが、決して根絶されたわけではなく、依然として警戒が必要な合併症です。

5.2. 腎臓にダメージを与える「急性糸球体腎炎」

こちらも治療が不完全だった場合、感染から2~4週間後に発症することがあります。腎臓のフィルター機能を持つ「糸球体」に炎症が起こり、顔やまぶたのむくみ、コーラ色の尿(血尿)、高血圧といった症状が現れます12。ほとんどは自然に回復しますが、一部で腎機能障害が残る可能性もあります。治療後も尿検査による経過観察が必要なのは、この合併症の早期発見のためです。

5.3. 命に関わる「劇症型溶血性レンサ球菌感染症(STSS)」

前述の通り、STSSは溶連菌感染症が引き起こす最悪の病態です。通常の咽頭炎から直接STSSに移行するケースは稀とされていますが、皮膚の傷口(切り傷、擦り傷、水虫など)からの感染や、免疫力が低下している状態(病後、過労、高齢、基礎疾患など)で発症する危険性が高まります34。発症すると、血圧低下や多臓器不全が数時間という驚異的な速さで進行し、救命のためには集中治療室での緊急治療が必要となります5


感染拡大を防ぐために:家庭・学校・職場でできる予防策

自分自身と周囲の人々を感染から守るために、日々の生活で実践できる予防策があります。

6.1. 基本的な感染対策

厚生労働省も推奨する、最も基本的かつ効果的な対策は以下の通りです13

  • 手洗い: 石鹸と流水による、こまめで丁寧な手洗いを徹底する。
  • 咳エチケット: 咳やくしゃみをする際は、マスクを着用するか、ティッシュやハンカチ、あるいは上着の内側や袖で口と鼻を覆う。

6.2. 家族が感染した場合の注意点

家族内で感染が確認された場合は、感染拡大を防ぐための追加対策が必要です。

  • 食器、コップ、箸、タオル、歯ブラシなどの共有は避けてください。
  • 感染者の看病をした後は、必ず手洗いをしてください。
  • 前述の通り、兄弟姉妹間での感染率は約25%と高いため14、他の子どもに喉の痛みなどの症状が出ていないか注意深く観察することが重要です。

6.3. 子供の登園・登校の目安

保護者にとって大きな関心事である、登園・登校の再開時期については、学校保健安全法に基づく明確な基準があります。それは、「適切な抗菌薬(抗生物質)による治療開始後、24時間以上経過し、全身状態が良好であること」です43。熱が下がり、喉の痛みが和らぎ、元気に過ごせるようであれば、この基準を満たしていると考えられます。ただし、登園・登校再開時に「登園許可証」や「治癒証明書」の提出が必要かどうかは、保育園、学校、または自治体の方針によって異なります。事前に確認しておくことが、スムーズな復帰のために推奨されます43


よくある質問(FAQ)

溶連菌感染症に関して、多くの方が抱く疑問についてお答えします。

Q1: 溶連菌は何回もかかるのですか?

はい、かかります。A群溶血性レンサ球菌には200種類以上の血清型があり、一度感染してもそれは特定の型に対する免疫しか得られません。そのため、異なる型の菌に感染することで、生涯にわたって何度もかかる可能性があります4045

Q2: 大人がかかると重症化しやすいですか?

必ずしも全ての成人が重症化するわけではありませんが、一般的に子供よりも症状が強く出たり、高熱や激しい痛みで社会生活への影響が大きくなる傾向があります。また、命に関わるSTSSは、子供よりも大人、特に高齢者や基礎疾患を持つ方に多いと報告されています21920

Q3: 劇症型(STSS)は人から人にうつりますか?

厚生労働省の見解によると、STSSという病態自体がインフルエンザのように直接うつるわけではありません34。しかし、原因となるA群溶血性レンサ球菌は人から人にうつります。感染してもほとんどの人は無症状か、軽症の咽頭炎や皮膚感染症で済みますが、ごく稀に、感染した菌が通常は存在しない血液や筋肉、肺などに侵入し、STSSを発症する人がいます。

Q4: ワクチンはありますか?

残念ながら、2024年現在、A群溶血性レンサ球菌に対して実用化されている有効なワクチンはありません34。そのため、日頃からの感染予防策と、感染した場合の早期治療が非常に重要となります。


結論

2023年から2024年にかけての日本の状況は、私たちに警鐘を鳴らしています。A群溶血性レンサ球菌咽頭炎は、もはや「よくある子供の喉の風邪」という認識では不十分です。特に、致命率の高い劇症型溶血性レンサ球菌感染症(STSS)の増加は、この感染症の持つ危険性を改めて浮き彫りにしました。しかし、過度に恐れる必要はありません。正しい知識を持つことが、最善の防御策となります。

本記事で繰り返し強調したように、「①おかしいと思ったら早期受診」「②的確な診断」「③処方された抗生物質の完全な服用」という3つの基本的な行動が、あなた自身、そしてあなたの大切な家族を、リウマチ熱やSTSSといった重篤な合併症の危険から守るために最も重要かつ不可欠な鍵です。喉の痛みに気づいたら、自己判断で様子を見たりせず、かかりつけの医療機関に相談してください。

免責事項本記事は情報提供のみを目的としており、専門的な医学的助言に代わるものではありません。健康上の懸念がある場合や、ご自身の健康や治療に関する決定を下す前には、必ず資格のある医療専門家にご相談ください。

参考文献

  1. 感染症・予防接種ナビ. 【感染症ニュース】溶連菌感染症(A群溶血性レンサ球菌咽頭炎)全国定点報告4.91 去年のピークとほぼ同じ流行に… 医師「劇症型の増加は溶連菌感染症の流行が影響」. 2025年7月18日閲覧. Available from: https://www.kansensho.jp/pc/article.html?id=IE00001220
  2. Kinoshita R, Miyoshi-Akiyama T, et al. Resurgence of Streptococcal Toxic Shock Syndrome in Japan after Relaxation of COVID-19 Restrictions. Emerg Infect Dis. 2024;30(6):1176-1184. doi:10.3201/eid3006.231230. Available from: https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC11950261/
  3. The Transmission. Japan warns on surge in potentially deadly strep throat cases. 2024. 2025年7月18日閲覧. Available from: https://www.unmc.edu/healthsecurity/transmission/2024/03/26/japan-warns-on-surge-in-potentially-deadly-strep-throat-cases/
  4. ひまわり医院(内科・皮膚科). 「人食いバクテリア」劇症型溶血性レンサ球菌感染症について【感染経路・症状・予防策】. 2025年7月18日閲覧. Available from: https://soujinkai.or.jp/himawariNaiHifu/stss/
  5. withnews. 「人食いバクテリア」経験者が語る壮絶体験記 「秒で多臓器不全」. 2017. 2025年7月18日閲覧. Available from: https://withnews.jp/article/f0170209000qq000000000000000W03w10701qq000014622A
  6. 塩野義製薬. こどもに多いのどの病気 溶連菌感染症のおはなし. 2025年7月18日閲覧. Available from: https://wellness.shionogi.co.jp/infections/child/streptococcal.html
  7. 清水こどもクリニック. 溶連菌性咽頭炎. 2025年7月18日閲覧. Available from: https://shimizu-kodomo.jp/yourenkin
  8. 大正健康ナビ. 溶連菌感染症|原因・症状・対策・予防法. 2025年7月18日閲覧. Available from: https://www.taisho-kenko.com/disease/523/
  9. 国立感染症研究所. A群溶血性レンサ球菌による劇症型溶血性レンサ球菌感染症の50歳未満を中心とした報告数の増加について(2023年12月17日現在). IASR. 2024;45:10-11. Available from: https://id-info.jihs.go.jp/surveillance/iasr/45/528/article/010/index.html
  10. EL PAÍS. Japan is on high alert as record numbers of streptococcus infections are reported. 2024. 2025年7月18日閲覧. Available from: https://english.elpais.com/health/2024-03-20/japan-is-on-high-alert-as-record-numbers-of-streptococcus-infections-are-reported.html
  11. 広島県感染症・疾病管理センター(ひろしまCDC). A群溶血性レンサ球菌咽頭炎警報を発令中です. 2025年7月18日閲覧. Available from: https://www.pref.hiroshima.lg.jp/site/hcdc/1258079048228.html
  12. 松戸市医師会. 溶連菌性咽頭炎のおはなし. 2025年7月18日閲覧. Available from: https://www.matsudo-med.or.jp/column/233/
  13. 厚生労働省. A群溶血性レンサ球菌咽頭炎. 2025年7月18日閲覧. Available from: https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou11/01-05-17.html
  14. 国立感染症研究所. A群溶血性レンサ球菌咽頭炎とは. 2024. 2025年7月18日閲覧. Available from: https://www.niid.go.jp/niid/ja/diseases/ra/ekc/392-encyclopedia/340-group-a-streptococcus-intro.html
  15. Caloo. 病気体験レポート: 溶連菌感染症. 2025年7月18日閲覧. Available from: https://caloo.jp/reports/lists/d620?page=3
  16. 札幌西野 はるかピアノ教室. 溶連菌感染症の記録. 2016. 2025年7月18日閲覧. Available from: https://ameblo.jp/harukasensei-piano/entry-12149651327.html
  17. ファミケア. 溶連菌感染症の冬. 2025. 2025年7月18日閲覧. Available from: https://famicare.jp/2025/01/24/ambassador-blog-strep-throat/
  18. Caloo. 病気体験レポート: 溶連菌感染症. 2025年7月18日閲覧. Available from: https://caloo.jp/reports/lists/d620
  19. Caloo. 病気体験レポート: 溶連菌感染症. 2025年7月18日閲覧. Available from: https://caloo.jp/reports/lists/d620?page=2
  20. Caloo. 病気体験レポート一覧: 溶連菌感染症 95件 (4ページ目). 2025年7月18日閲覧. Available from: https://caloo.jp/reports/lists/d620?page=4
  21. 厚生労働科学研究成果データベース. 我が国の劇症型溶血性レンサ球菌感染症の疫学. 2016. Available from: https://mhlw-grants.niph.go.jp/system/files/2016/162111/201617010A_upload/201617010A0006.pdf
  22. Centers for Disease Control and Prevention. Clinical Guidance for Group A Streptococcal Pharyngitis. 2024. 2025年7月18日閲覧. Available from: https://www.cdc.gov/group-a-strep/hcp/clinical-guidance/strep-throat.html
  23. Centers for Disease Control and Prevention. About Strep Throat. 2025年7月18日閲覧. Available from: https://www.cdc.gov/group-a-strep/about/strep-throat.html
  24. Shulman ST, Bisno AL, Clegg HW, Gerber MA, Kaplan EL, Lee G, et al. Clinical practice guideline for the diagnosis and management of group A streptococcal pharyngitis: 2012 update by the Infectious Diseases Society of America. Clin Infect Dis. 2012;55(10):e86-102. doi:10.1093/cid/cis629. Available from: https://academic.oup.com/cid/pages/group-a-streptococcus-guidelines
  25. American Academy of Family Physicians. IDSA Updates Guideline for Managing Group A Streptococcal Pharyngitis. 2013. 2025年7月18日閲覧. Available from: https://www.aafp.org/pubs/afp/issues/2013/0901/p338.html
  26. つだ小児科クリニック. 小児呼吸器感染症診療ガイドライン2022のCQ. 2025年7月18日閲覧. Available from: https://tsudashonika.com/disease-cat/respiratory/child-respiratory-infections-guideline/
  27. 亀田総合病院 感染症内科. 亀田感染症ガイドライン:咽頭炎. 2025年7月18日閲覧. Available from: https://www.kameda.com/pr/infectious_disease/post_74.html
  28. 京極こどもクリニック. 溶連菌感染症と抗菌薬. 2025年7月18日閲覧. Available from: https://www.k-kids.or.jp/disease/%E6%BA%B6%E9%80%A3%E8%8F%8C%E6%84%9F%E6%9F%93%E7%97%87%E3%81%A8%E6%8A%97%E8%8F%8C%E8%96%AC/
  29. 日本感染症学会. 気道感染症の抗菌薬適正使用に関する提言(改訂版). 2022. Available from: https://www.kansensho.or.jp/uploads/files/guidelines/2211_teigen.pdf
  30. 済生会中津病院. A 群溶血性レンサ球菌咽頭炎. 2016. Available from: https://www.nakatsu.saiseikai.or.jp/visitor/about/infection/pdf/streptococca-20160527.pdf
  31. ケアネット. 溶連菌咽頭炎への抗菌薬、10日間から短縮可能?. 2024. 2025年7月18日閲覧. Available from: https://www.carenet.com/news/general/carenet/60927
  32. Medical Note. A群β溶血性レンサ球菌性咽頭炎(溶連菌感染症)の治療方法~抗菌薬の重要性や市販薬について解説. 2023. 2025年7月18日閲覧. Available from: https://medicalnote.jp/diseases/A%E7%BE%A4%E6%BA%B6%E8%A1%80%E6%80%A7%E3%83%AC%E3%83%B3%E3%82%B5%E7%90%83%E8%8F%8C%E5%92%BD%E9%A0%AD%E7%82%8E/contents/230420-002-SX
  33. 新宿区. A群溶血性レンサ球菌咽頭炎(溶連菌感染症)にご注意ください. 2025年7月18日閲覧. Available from: https://www.city.shinjuku.lg.jp/kenkou/yobo01_000001_00081.html
  34. 厚生労働省. 劇症型溶血性レンサ球菌感染症(STSS)に関するQ&A. 2024. 2025年7月18日閲覧. Available from: https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000137555_00003.html
  35. 感染症情報センター. 劇症型溶血性レンサ球菌感染症. 2025年7月18日閲覧. Available from: https://id-info.jihs.go.jp/diseases/alphabet/agun/020/stss.html
  36. 国立感染症研究所. 劇症型溶血性レンサ球菌感染症(STSS)のリスク評価. 2024. 2025年7月18日閲覧. Available from: https://www.niid.go.jp/niid/ja/group-a-streptococcusm/2656-cepr/12594-stss-2023-2024.html
  37. Al-Abbas A, Mohammadi M. Diagnostic Methods, Clinical Guidelines, and Antibiotic Treatment for Group A Streptococcal Pharyngitis: A Narrative Review. Cureus. 2020;12(10):e10740. doi:10.7759/cureus.10740. Available from: https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC7593338/
  38. Chiappini E, Regoli M, Bonsignori F, Sollai S, Parretti A, Galli L, et al. Treatment of group A streptococcal pharyngitis. Clin Ther. 2012;34(6):1447-57. doi:10.1016/j.clinthera.2012.05.005. Available from: https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC3327337/
  39. Shaikh N, Leonard E, Martin JM. Prevalence of streptococcal pharyngitis and streptococcal carriage in children: a meta-analysis. Pediatrics. 2010;126(3):e557-64. doi:10.1542/peds.2009-2648. Available from: https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/29554121/
  40. Ashurst JV, Edgerley-Gibb L. Streptococcal Pharyngitis: Rapid Evidence Review. Am Fam Physician. 2024;109(5):451-452. Available from: https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/38648833/
  41. DeMuri GP, Wald ER. Group A β-hemolytic Streptococcal Pharyngitis: An Updated Review. Pediatr Infect Dis J. 2023;42(8):721-726. doi:10.1097/INF.0000000000003960. Available from: https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/37493159/
  42. 社会福祉法人 恩賜財団 済生会. A群溶血性レンサ球菌(溶連菌)咽頭炎. 2025年7月18日閲覧. Available from: https://www.saiseikai.or.jp/medical/disease/a_group_hemolytic_streptococcus_pharyngitis/
  43. キッズドクターマガジン. 溶連菌に感染したら保育園はいつから行ける?登園許可証は必要?. 2025年7月18日閲覧. Available from: https://kids-doctor.jp/magazine/wuhynvqaid
  44. 池袋ながとも耳鼻咽喉科. 溶連菌感染症. 2025年7月18日閲覧. Available from: https://nagatomo-ent.jp/group-a-streptococcal-pharyngitis
  45. 国立成育医療研究センター. 溶連菌(A群レンサ球菌)感染症. 2025年7月18日閲覧. Available from: https://www.ncchd.go.jp/hospital/sickness/children/yorenkin.html
  46. おおたかの森こどもクリニック. 溶連菌感染症. 2025年7月18日閲覧. Available from: https://otakanomori-cc.com/streptococcus.html
  47. 国立保健医療科学院. A群溶血性レンサ球菌咽頭炎(溶連菌感染症)の報告数が増加しています(2024年6月8日). 2024. 2025年7月18日閲覧. Available from: https://h-crisis.niph.go.jp/archives/406135/
この記事はお役に立ちましたか?
はいいいえ