要点まとめ
- 重要性: 妊娠中のカルシウムは、胎児の骨や歯を形成する不可欠な材料であり、母体の骨の健康や妊娠高血圧症候群の予防にも関与する重要なミネラルです189。
- 日本の現状: 厚生労働省の調査によると、多くの日本人女性はカルシウムの推奨摂取量を満たしておらず、妊娠によってその需要はさらに高まります345。
- 推奨量: 日本の食事摂取基準では、妊婦のカルシウム推奨量は1日650mgとされています67。しかし、国際的にはより多くの摂取を推奨する機関もあります。
- 摂取方法: 牛乳・乳製品、小魚、大豆製品、緑黄色野菜などをバランス良く食事に取り入れることが基本です12131415。ビタミンDやビタミンKと一緒に摂ることで吸収率が高まります617。
- 注意点: サプリメントは食事で補えない場合の補助的な手段と考え、過剰摂取には注意が必要です1210。利用する際は必ず医師や管理栄養士に相談してください。
1. 妊娠中のカルシウム:その役割と重要性
まず、カルシウムが私たちの体、そして新しい命にとってどれほど根本的に重要なのかを理解することから始めましょう。
1.1. カルシウムとは?体内で最も豊富なミネラル
カルシウムは、私たちの体内に最も多く存在するミネラルです。その総量のうち約99%は骨と歯に貯蔵され、それらの強度と構造を維持する主成分となっています1。残りの1%は血液や細胞内に存在し、少量ながらも生命維持に不可欠な生理機能を担っています。具体的には、筋肉の収縮、神経からの情報伝達、血液の凝固、そして細胞内外の様々なシグナル伝達システムの調節など、その役割は多岐にわたります。
1.2. 妊娠期におけるカルシウム需要の高まり
妊娠中は、お腹の赤ちゃんの急激な成長、特に骨格形成のために、大量のカルシウムが必要となります。胎児は母親の体からカルシウムを受け取り、自身の骨や歯を作り上げていきます。このため、母体のカルシウム需要は著しく増大します。特に、胎児の成長が加速する妊娠後期に向けて、その需要はピークに達します。幸いなことに、母体は妊娠するとビタミンDの活性化を促し、食事からのカルシウム吸収率を高めるなど、この需要増に対応するための生理的な変化を起こします2。しかし、元々の摂取量が少なければ、この変化だけでは追いつかない可能性があります。
1.3. 日本人妊婦のカルシウム摂取の現状と課題
ここで深刻な問題となるのが、日本人女性のカルシウム摂取量の現状です。厚生労働省が毎年実施している「国民健康・栄養調査」の令和4年版によると、20代女性のカルシウム摂取量の平均値はわずか359mg/日であり、これは推奨される650mg/日を大幅に下回っています34567。この背景には、歴史的に乳製品の摂取が少なかった食文化や、近年の魚介類消費量の減少などが影響していると考えられます。このデータは、妊娠可能年齢にある多くの女性が、妊娠する前からすでに慢性的なカルシウム不足の状態にある可能性を強く示唆しています。このベースラインの低さが、妊娠による需要増大によって、母体と胎児の健康リスクをさらに高める要因となっているのです。
2. カルシウム不足が母体と胎児に及ぼす深刻な影響
妊娠中のカルシウム不足は、単なる「栄養不足」では済まされません。それは、お母さん自身の現在と未来の健康、そして赤ちゃんの健やかな発育に直接的な影響を及ぼす可能性があります。
2.1. 母体への影響
- 骨密度の低下と将来の骨粗しょう症リスク:食事からのカルシウム摂取が不足すると、体は胎児の成長に必要なカルシウムを確保するため、母親自身の骨を溶かしてカルシウムを供給します8。これは「骨貯金」を取り崩すようなものであり、妊娠・授乳期を通じて骨密度が一時的に低下する原因となります。産後に適切な栄養摂取と生活習慣を心がければ骨密度は回復しますが、もともとのカルシウム不足が深刻な場合や、回復が不十分な場合には、将来的な骨粗しょう症のリスクを高める可能性があります。
- 妊娠高血圧症候群(妊娠中毒症)との関連:複数の研究により、カルシウム摂取量が不足していると、妊娠高血圧症候群のリスクが高まることが示唆されています9。この疾患は、高血圧や蛋白尿を特徴とし、母体と胎児の双方に重篤な合併症を引き起こす可能性があります。この関連性から、世界保健機関(WHO)は、特にカルシウム摂取量が少ない地域の妊婦に対し、予防策としてカルシウムの補給を推奨しています。
- その他の不快な症状:カルシウムは筋肉の正常な収縮にも関与しているため、不足すると足がつる「こむら返り」が起こりやすくなります。また、歯のトラブルや、精神的な不安定感、イライラといった症状の一因となることもあります。
2.2. 胎児への影響
- 骨・歯の形成不全:胎児にとって、カルシウムは丈夫な骨と歯を形成するための最も基本的な材料です。母親からの供給が不足すれば、胎児の骨格と歯の発育が十分に行われないリスクがあります。具体的には、出生時の体重が少なくなる「低出生体重」や、乳幼児期の骨の変形などを引き起こす「くる病」、さらには将来の骨の健康状態にまで長期的な影響を及ぼす可能性が考えられます。
- 神経系の発達への関与:カルシウムイオンは、神経細胞間の情報伝達においても重要な役割を果たします。虽然直接的な影響に関する研究は限定的ですが、胎児の神経系が正常に発達するためにも、適切なカルシウム供給が重要であると考えられます。
- 出生後の成長への長期的影響:胎児期の栄養状態は、その後の生涯にわたる健康の礎を築きます。この時期のカルシウム不足が、出生後の成長や健康に長期的な影響を与える可能性も否定できません。
3. 妊娠中に推奨されるカルシウム摂取量:日本の基準と国際比較
では、具体的にどれくらいのカルシウムを摂取すれば良いのでしょうか。日本の基準と国際的な推奨量を見比べてみましょう。
3.1. 日本の食事摂取基準(2020年版)における推奨量
厚生労働省が発行する「日本人の食事摂取基準(2020年版)」では、18歳以上の妊婦におけるカルシウムの推奨量を1日650mgとしています67。興味深いことに、妊娠による「付加量(追加で摂るべき量)」は設定されていません。これは、先述の通り、妊娠中は食事からのカルシウム吸収率が高まるため、通常の推奨量を満たしていれば、胎児の需要にも応えられると考えられているからです2。一方で、サプリメントなどの利用で過剰に摂取することも健康リスクにつながるため、耐容上限量は1日2500mgと定められています1210。
3.2. 国際的な推奨量との比較
国際的に見ると、日本の推奨量はやや控えめです。いくつかの例を見てみましょう。
- 世界保健機関(WHO):特にカルシウム摂取量が少ない(低カルシウム摂取)集団に対して、妊娠高血圧症候群の予防を目的として、1日に1.5g~2.0g(1500mg~2000mg)もの元素カルシウムの補給を推奨しています。これは治療的な意味合いも含む高い数値です。
- 米国産科婦人科学会(ACOG):19歳以上の妊婦には1日1000mg、18歳以下の若年妊婦には1300mgの摂取を推奨しています。
これらの推奨量の違いは、対象となる人々の平均的なカルシウム摂取状況や体格、食文化の違い、そして予防の目的(骨の健康維持か、特定の疾患予防か)などが背景にあると考えられます。日本の推奨量650mg/日は最低限の目標と捉え、特に乳製品をあまり摂らない方は、より意識的に摂取を増やすことが望ましいと言えるでしょう。
3.3. 「いつから」「いつまで」摂取が重要か?
カルシウムは、妊娠が判明した時点から出産後まで、常に重要な栄養素です。特に胎児の骨格が急速に形成される妊娠中期以降は、その必要性がさらに高まります。そして、その需要は出産で終わりではありません。授乳期には、母乳を通じて赤ちゃんにカルシウムを供給するため、引き続き十分な量を摂取し続けることが、母親自身の骨の健康を守る上でも極めて重要です。
4. カルシウムを豊富に含む推奨食品13選(+α):日本の食卓から
カルシウムは、薬やサプリメントからではなく、まず多様な食品からバランス良く摂取することが基本です。ここでは、日本のスーパーで手に入りやすく、日々の食事に取り入れやすいカルシウム豊富な食品を、具体的な含有量や効果的な食べ方のポイントと共に紹介します。含有量は文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」11を参考にしています。
1. 牛乳・乳製品 (Milk and Dairy Products)
吸収率が高く、最も効率的なカルシウム源です。
- 牛乳:コップ1杯(200ml)で約220mgのカルシウムが含まれます6121314。カルシウムの吸収率は約40%と非常に高いのが特徴です13。脂質が気になる方は、低脂肪や無脂肪タイプを選びましょう。
- ヨーグルト:無糖プレーンタイプ100gで約120mgのカルシウムが摂れます6121314。乳酸菌による整腸作用も期待でき、便秘になりがちな妊婦さんには嬉しい効果です。果物やきな粉を加えて風味と栄養をプラスするのがおすすめです。
- チーズ:プロセスチーズ1切れ(約20g)で約126mgと非常に豊富6121314。ただし、リステリア菌感染のリスクを避けるため、加熱殺菌されていないナチュラルチーズは避け、プロセスチーズや包装に「ナチュラルチーズ(要加熱)」と書かれていないものを選びましょう。塩分や脂質も多いため、食べ過ぎには注意が必要です。
2. 小魚類 (Small Fish)
骨ごと食べられる小魚は、日本の食卓に欠かせないカルシウム源です。
- しらす干し・ちりめんじゃこ:骨ごと食べられるため非常に効率的1213。大さじ1杯(約5g)で約26mgのカルシウムが摂れます。ご飯にかけたり、和え物に使ったりと手軽に利用できます。
- いわし缶(水煮):骨まで柔らかく煮てあるため、1缶(固形量約150g)で約330mgものカルシウムが摂取可能です12。DHAやEPAといった良質な脂質も豊富です。
- めざし・ししゃも:焼くだけで手軽に食べられるカルシウム豊富な魚です。
3. 大豆製品 (Soy Products)
日本の伝統的な食材も、優れたカルシウム源となります。
- 木綿豆腐:1/3丁(約100g)で約86mgのカルシウムが含まれます121314。製造過程でカルシウムを含む凝固剤(にがりなど)が使われるため、絹ごし豆腐よりも多くのカルシウムを含みます。
- 高野豆腐(凍り豆腐):乾物1枚(約16g)を戻すと、約103mgのカルシウムが摂れます12。鉄分やタンパク質も豊富で、煮物に最適です。
- 納豆:1パック(約50g)で約45mgのカルシウムに加え、骨へのカルシウム沈着を助けるビタミンKも豊富です1415。
- 豆乳:製品によりますが、カルシウムが添加された「強化タイプ」を選ぶと、コップ1杯(200ml)で牛乳と同程度のカルシウムが摂れるものもあります。
4. 緑黄色野菜・その他野菜
野菜の中にもカルシウムが豊富なものはたくさんあります。
- 小松菜:ゆでたもの100g(約1/2束)で約150mgと野菜の中ではトップクラス12131415。アク(シュウ酸)が少ないため、下茹でなしで手軽に調理できます。
- 水菜:ゆでたもの100gで約210mgものカルシウムを含みます613。サラダや鍋物、おひたしなど幅広く使えます。
- チンゲン菜:ゆでたもの100gで約100mg12。油と一緒に調理すると、脂溶性ビタミンの吸収も高まります。
- 切り干し大根:乾物なので常備しやすく、水で戻したものを煮物にすると、手軽にカルシウム(10gで約50mg)を補給できます13。
5. 海藻類 (Seaweeds)
- ひじき:乾燥ひじき5gを戻すと、約50mgのカルシウムが摂れます1215。鉄分も豊富ですが、微量のヒ素が含まれるため、必ずたっぷりの水で戻し、戻し汁は捨ててから調理しましょう16。過剰摂取も避けるべきです。
6. 種実類 (Nuts and Seeds)
- ごま:特にすりごまは吸収が良く、大さじ1杯(約10g)で約120mgと非常に豊富13。和え物やご飯にふりかけるだけで手軽に摂取できます。
- アーモンド:おやつに少量(10粒で約26mg)つまむだけで手軽に補給。ビタミンEも豊富です。
7. その他
海外で一般的なカルシウム強化オレンジジュースやオートミールも選択肢の一つですが、日本ではまだ入手しにくい場合があります。まずは身近な和の食材を上手に活用することから始めるのが現実的です。
5. カルシウムを効率よく摂取するためのポイントと注意点
カルシウム豊富な食品をただ食べるだけでなく、少しの工夫でその吸収率を大きく高めることができます。逆に、知らず知らずのうちに吸収を妨げている食習慣もあるかもしれません。
5.1. 吸収率を高める栄養素との組み合わせ
- ビタミンD:カルシウムの吸収に最も重要なパートナーです。腸でのカルシウム吸収を促進する働きがあります68121317。
- ビタミンK:吸収されたカルシウムが骨に沈着(石灰化)するのを助ける役割を担います613。
- 多く含む食品:納豆、小松菜、ほうれん草などの緑黄色野菜。
- マグネシウム:カルシウムとマグネシウムは体内で互いにバランスを取りながら作用します68。カルシウム2に対してマグネシウム1の割合が理想的とされています。
- 多く含む食品:わかめなどの海藻類、アーモンドなどのナッツ類、豆腐などの豆類、玄米。
5.2. カルシウムの吸収を妨げる要因と対策
せっかく摂ったカルシウムを無駄にしないために、以下の点に注意しましょう。
阻害要因 | 多く含まれる食品・習慣 | 対策 |
---|---|---|
シュウ酸 | ほうれん草、たけのこ、紅茶など15 | 茹でてアク抜きをする。カルシウム豊富な食品(牛乳など)と一緒に摂ると、腸での吸収阻害を緩和できます。 |
フィチン酸 | 玄米、豆類、種実類の外皮など | 浸水時間を長くする、発酵させる(納豆)、よく噛むことで影響を軽減できます。 |
リンの過剰摂取 | 加工食品、インスタント食品、スナック菓子、清涼飲料水 | これらの食品に添加物として含まれるリン酸塩は、カルシウムの吸収を妨げ、排出を促します。できるだけ摂取を控えましょう。 |
食塩の過剰摂取 | 加工食品、外食、味の濃い料理 | ナトリウム(食塩)を摂りすぎると、尿からのカルシウム排泄量が増加します813。減塩を心がけることが大切です。 |
カフェインの過剰摂取 | コーヒー、紅茶、緑茶、エナジードリンクなど81516 | カルシウムの吸収をわずかに妨げ、尿への排泄を促す可能性があります。コーヒーなら1日1〜2杯程度にし、カフェインレス製品を選ぶのも良いでしょう。 |
食物繊維の過剰摂取 | 極端な菜食主義など | 適度な量は有益ですが、極端に摂りすぎると他のミネラルの吸収も妨げることがあります6。バランスが重要です。 |
5.3. 摂取のタイミングと回数
カルシウムは、一度に大量に摂取するよりも、1日の中で数回に分けて摂取する方が、吸収効率が良いとされています。朝・昼・晩の食事に、カルシウム豊富な食品を少しずつ散りばめることを意識しましょう。食事と一緒に摂ることで、ビタミンDなどの吸収を助ける栄養素も同時に摂取しやすくなります。
5.4. サプリメントの利用について
基本はあくまで食事からですが、状況によってはサプリメントが助けになります。
- 基本的な考え方:食事からの摂取を第一とし、どうしても不足してしまう分を補うための補助的な手段と捉えましょう1315。
- 利用を検討する場合:つわりがひどくて十分に食事が摂れない、牛乳アレルギーなどで乳製品が全く摂れない、あるいは医師や管理栄養士から明確に推奨された場合などが考えられます。
- 選び方のポイント:カルシウムの種類(比較的吸収が良いとされるクエン酸カルシウムなど)、1粒あたりの含有量、信頼できるメーカーの製品か、そして吸収を助けるビタミンDなどが一緒に配合されているかなどをチェックすると良いでしょう8。
- 過剰摂取のリスク:サプリメントを利用する際は、耐容上限量(1日2500mg)10を超えないよう、食事からの摂取量と合わせて管理することが不可欠です。過剰摂取は、高カルシウム血症や腎結石、他のミネラル(鉄や亜鉛など)の吸収阻害といった健康リスクを引き起こす可能性があります12。必ず製品に記載された用法・用量を守り、自己判断で増量しないようにしてください。
健康に関する注意事項
- サプリメントの利用を開始する前や、種類を変更する際には、必ずかかりつけの医師、薬剤師、または管理栄養士に相談してください。
- 持病がある方や、他の薬を服用中の方は、相互作用の可能性があるため、特に専門家への相談が重要です。
6. 実践編:妊婦さんのためのカルシウムたっぷり1週間献立例(日本の食卓版)
理論は分かっていても、毎日の献立を考えるのは大変です。そこで、1日の目標量650mg以上を目指せる、簡単で美味しい1週間の献立例を提案します。和食を中心に、調理が簡単で妊婦さんの負担にならないメニューを考えました。
献立作成のポイント:
- 多様な食品群(乳製品、小魚、大豆製品、野菜)からカルシウムを摂取。
- 吸収を高めるビタミンD(魚、きのこ)、ビタミンK(納豆、緑黄色野菜)、マグネシウム(海藻、豆類)も意識。
- 調理が簡単で、妊婦さんの負担にならないメニュー。
- 和食中心にしつつ、洋食や中華も取り入れ、飽きない工夫。
曜日 | 朝食 | 昼食 | 夕食 | 間食 |
---|---|---|---|---|
月 | しらすご飯、豆腐とわかめの味噌汁、小松菜のおひたし | 納豆とろろ蕎麦 | 鮭の塩焼き、切り干し大根の煮物、ほうれん草のごま和え、ごはん | ヨーグルト(きな粉がけ) |
火 | チーズトースト、牛乳、ミニサラダ | いわし缶とトマトのパスタ | 鶏肉と野菜の黒酢あん、チンゲン菜のスープ、ごはん | アーモンド数粒 |
水 | ごはん、めざし、納豆、油揚げの味噌汁 | 豚肉と高野豆腐の卵とじ丼 | 麻婆豆腐、もずく酢、中華風スープ、ごはん | 牛乳 |
木 | ごはん、ししゃも、きのこの味噌汁 | きつねうどん(油揚げ入り)、ひじきの煮物 | 豚肉の生姜焼き(ごまがけ)、水菜とツナのサラダ、ごはん | プロセスチーズ |
金 | ヨーグルト、バナナ、アーモンド | チャーハン(干しエビ、卵、小松菜入り) | さばの味噌煮、きんぴらごぼう、豆腐のすまし汁、ごはん | カルシウム強化豆乳 |
土 | ごはん、卵焼き(しらす入り)、大根とわかめの味噌汁 | ミートソースドリア(チーズたっぷり) | 鶏肉とブロッコリーのクリーム煮、コンソメスープ、パン | 小魚アーモンド |
日 | パンケーキ(牛乳、卵使用)、フルーツヨーグルト | 冷やし中華(錦糸卵、きゅうり、ごまダレ) | 寄せ鍋(豆腐、魚、きのこ、水菜など) | 牛乳プリン |
簡単レシピヒント:「切り干し大根の煮物」は、切り干し大根、人参、油揚げ、干ししいたけを、だし汁、醤油、みりんで煮るだけ。常備菜として作っておくと便利です。「小松菜のごま和え」は、茹でた小松菜を、すりごま、醤油、砂糖で和えるだけ。すりごまをたっぷり使うのがポイントです。
よくある質問 – Bắt buộc phải có phần này (FAQ)
Q1. 牛乳が苦手/アレルギーです。どうすればカルシウムを摂れますか?
A1. 牛乳や乳製品が摂れない場合でも、心配はいりません。日本の伝統的な食材には優れたカルシウム源がたくさんあります18。具体的には、小魚類(しらす、煮干し、いわし缶)、大豆製品(木綿豆腐、高野豆腐、納豆、油揚げ)、緑黄色野菜(小松菜、水菜、チンゲン菜)、種実類(ごま、アーモンド)などを積極的に食事に取り入れましょう。例えば、木綿豆腐1/2丁(約150g)、納豆1パック、小松菜のおひたし1食分(約70g)、すりごま大さじ1杯を1日で摂れば、それだけで約350mg以上のカルシウムを確保できます。カルシウム強化された豆乳を利用するのも良い方法です。
Q2. つわりで食欲がありません。それでもカルシウムは必要ですか?どうすれば?
A2. はい、つわりで辛い時期でも、赤ちゃんは成長のためにカルシウムを必要としています19。食事が十分に摂れないと、お母さんの骨からカルシウムが使われてしまいます。無理にたくさん食べる必要はありませんが、食べられるときに少量でも栄養価の高いものを選ぶ工夫が大切です。例えば、ヨーグルトやチーズ、牛乳プリン、ごまを和えたもの、さっぱりとしたもずく酢などは、比較的食べやすいかもしれません。どうしても食事が摂れず、栄養不足が心配な場合は、自己判断でサプリメントに頼るのではなく、必ずかかりつけの医師に相談してください。状況に応じて、適切な栄養指導やサプリメントの処方を検討してもらえます。
Q3. カルシウムを摂りすぎるとどうなりますか?
Q4. 妊娠高血圧症候群の予防にカルシウムが良いと聞きました。本当ですか?
Q5. カルシウム剤と鉄剤は一緒に飲んでも大丈夫ですか?
A5. カルシウムと鉄は、互いに腸管での吸収を妨げ合う(拮抗する)可能性があります23。そのため、貧血の治療で鉄剤を処方されている方が、同時にカルシウムのサプリメントを利用する場合は、飲むタイミングをずらすなどの工夫が推奨されることがあります。例えば、朝食後に鉄剤、夕食後にカルシウム剤、というように、少なくとも2〜3時間以上間隔をあけるのが一般的です。ただし、最適な飲み方は個人の状況や製品によっても異なりますので、必ず処方を受けた医師や、薬局の薬剤師に確認し、その指示に従ってください。
結論
妊娠中のカルシウム摂取は、新しい命を育む上で、そしてお母さん自身の健康を守る上で、決して軽視できない重要なテーマです。日本の食生活では意識しないと不足しがちな栄養素だからこそ、その重要性を正しく理解し、日々の食事に賢く取り入れていく必要があります。本記事で紹介したように、牛乳・乳製品だけでなく、小魚、大豆製品、緑黄色野菜など、私たちの身の回りにはカルシウム豊富な食材がたくさんあります。そして、ビタミンDやビタミンKといった栄養素を組み合わせることで、その効果を最大限に引き出すことができます。バランスの取れた食事が、何よりも優れたサプリメントです。この記事が、あなたの健やかなマタニティライフと、赤ちゃんの輝かしい未来の一助となることを、JAPANESEHEALTH.ORG編集部一同、心より願っています。食事や栄養に関して不安な点や、個別具体的なアドバイスが必要な場合は、一人で悩まず、かかりつけの医師や管理栄養士に相談することを忘れないでください。
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