血圧の測り方:手順と結果の読み方ガイド
心血管疾患

血圧の測り方:手順と結果の読み方ガイド

はじめに

こんにちは、JHO編集部です。今回は健康管理において非常に重要なテーマである血圧の測定についてお話しします。血圧が高いと、心臓病や脳卒中のリスクが上がるとされることから、多くの人が心配しています。特に自宅での血圧測定は、異常な血圧値を早期に発見し、健康状態をチェックするための重要な手段とされています。しかし、正しい方法で測定しなければ、正確なデータは得られません。自宅で血圧を測定する際の手順や、測定結果の読み取り方について詳しく学び、日々の健康管理に役立ててください。それでは、正しい血圧の測定方法について具体的に見ていきましょう。

専門家への相談

今回の記事では、血圧の測定に関する情報を提供するにあたって、信頼性を高めるために参照した組織や専門家の存在について言及いたします。特に、Phòng Khám Nội tim mạch BS Nguyễn Quang Khiênに在籍する専門家の方々にアドバイスをいただき、自宅で行う血圧測定方法や留意点を精査してもらいました。こうした専門家の知見に基づいているため、より実践的かつ正確な情報をお届けできるよう努めています。なお、血圧に限らず身体の不調や疑問点がある場合は、必ず医師や専門家に直接ご相談ください。

血圧測定の重要性

血圧とは、心臓が拍動し血液を体全体に送り出す際に血管にかかる圧力を指します。この圧力を測定することは、心血管系の健康状態を確認するためのきわめて重要な指標です。血圧測定は定期的な健康診断や、高血圧の診断を目的として行われます。自宅での測定を含めた定期的な血圧管理によって、異常の早期発見が可能となります。

特に高血圧と呼ばれる状態は自覚症状が乏しいまま進行することが多く、放置すると心臓病や脳卒中といった重大な合併症を引き起こす恐れがあります。家族に心疾患や糖尿病の既往がある方、肥満傾向にある方は注意が必要です。近年、カナダで実施された大規模なガイドライン改訂(Nerenbergら、2022年、Canadian Journal of Cardiology、doi:10.1016/j.cjca.2022.07.001)でも、こうした背景を踏まえ、家庭での血圧測定の重要性があらためて強調されています。

さらに、2023年の欧州高血圧学会(ESH)のガイドライン(Williamsら、2023年、Journal of Hypertension、doi:10.1097/HJH.0000000000003489)でも、家庭での血圧測定をこまめに行うことが高血圧管理の要であると提言されており、複数の国際的研究においても家庭測定データが治療方針の評価に非常に有用であると示されています。

自宅での血圧測定の必要性

自宅で血圧を測定する一番の理由は、高血圧には自覚症状がほとんどないという点です。症状が出ないまま進行するため、日頃から測定していなければ気づかないことが多く、重大な心疾患などにつながる可能性があります。血圧の状態を自分で把握できることは、早期発見・早期対策の大きなメリットです。

特に以下のような方々は、自宅での血圧測定が強く推奨されます。

  • 血圧が理想値の18歳以上の方:少なくとも2〜5年に一度は測定を行い、変化の有無を把握する。
  • 高血圧リスクが高い40歳以上、または糖尿病や肥満の家族歴がある方:年に一度の測定が望ましい。
  • 慢性的に高血圧や低血圧、あるいは心疾患がある方:定期的なチェックを欠かさない。
  • すでに高血圧または低血圧と診断されている方、もしくはリスクが高いと考えられる方:短い間隔(医師の判断に応じた頻度)で測定を行い、変動を追跡する。

こうした定期的な血圧モニタリングは、医療機関での白衣高血圧の影響や緊張感を避け、自宅というリラックスした環境で正確な数値を得るうえでも非常に効果的です。

測定のための注意点

血圧測定に影響を与える要因

血圧測定は多くの要因の影響を受けやすいため、正確な値を得るためには以下のポイントを理解することが大切です。

  • 白衣高血圧:病院や診療所で測定すると緊張により血圧が高めに出る場合があります。一方、自宅測定では通常値となるケースがあります。
  • 測定直前の飲食、運動、喫煙などは血圧を一時的に上昇させる可能性があります。正確な測定のためには控えることが重要です。
  • 測定時の姿勢:足を組む、腕の高さが心臓と合っていない、背もたれに寄りかかっていないなどで誤差が生じることがあります。
  • 血圧の日内変動:一般的に朝方は高く、夜間は低くなる傾向があります。時間帯による変化を理解しながら測定回数や測定時間を調整すると、より有用なデータを得やすくなります。

以上のような要因を踏まえて、自宅での測定時はできる限り落ち着いた状態を作り、測定環境を整えることが理想です。

家庭での血圧測定手順

測定前の準備

家庭で血圧を測定する場合、特別な準備が必要というわけではありませんが、正確な結果を得るためには以下の点に注意するとよいでしょう。質の良い血圧計を使用することで、日々の測定結果の精度が保たれ、医療機関にも共有しやすくなります。

  • 服用中の薬が血圧に与える影響を医師に相談しておく。薬のタイミングによっては測定結果が異なる場合があるためです。
  • 測定前30分から1時間ほどは喫煙や運動、カフェインの摂取を控える。これらは一時的に血圧を上昇させる可能性があります。
  • 腕まわりにカフを巻きやすいよう、半袖または袖をまくりやすい服装を選ぶ。
  • 測定前に膀胱を空にする。満腹や尿意は血圧値に影響を及ぼすことがあります。
  • 椅子に座り、背もたれに寄りかかり、5分以上リラックスして安静を保つ。精神的な緊張も血圧を上げる要因となります。
  • 測定中は会話を避ける。話すだけでも血圧が上昇し、正確な値を得にくくなります。

測定手順

家庭での血圧測定は手軽に行え、数値化されるまでの時間も短いのが特徴です。以下の手順で行うと、より安定した測定値を得ることができます。

最初に、硬めの椅子に腰掛けましょう。深く腰を下ろし、両足をしっかり床につけます。このとき、背筋を無理に伸ばしすぎず、自然に背もたれにもたれるようにしてください。次に腕をテーブルなどに置き、心臓と同じ高さに保ちます。衣類の上からカフを巻くと正確性が損なわれるため、なるべく肌に直接カフを装着し、カフの下端が肘のすぐ上に来るように位置を調整します。

その後、血圧計のスイッチを入れ、指示に従って測定を開始します。測定中は姿勢を変えず、体をリラックスさせ、静かに息を続けます。測定が完了すると、血圧計に収縮期血圧と拡張期血圧の数値が表示されますので、結果を記録しましょう。普段から測定データをメモしておくと、医師の診察時などに役立ちます。

測定後の処置

測定結果が高めまたは低めに出た場合は、その場で焦らず、1週間に1度ほどの頻度で少なくとも3回程度測定してみましょう。数値に一時的な変化があっても、継続的に測定して平均値を把握することが大切です。もし複数回の測定結果が安定して高血圧と判定される場合は、生活習慣の見直しや医師への相談が必要となります。以下に改善のヒントを挙げます。

  • 塩分の摂取を控える:成人においては、1日あたり2,300mg未満、理想的には1,500mg未満に抑えることが推奨されています。加工食品や外食では塩分が多く含まれていることがあるため、表示の確認や味付けの調整を行いましょう。
  • 健康的な食事を心掛ける:果物や野菜、全粒穀物、低脂肪乳製品を中心にバランスのよい食生活を意識します。飽和脂肪酸を控え、魚や大豆製品なども取り入れるとさらに効果的です。
  • アルコールを控えめにする:アルコール摂取は血圧を上げる要因になり得ます。飲む量や頻度を見直し、適量を超えないようにしましょう。
  • 喫煙をやめる:タバコは血管や心臓に大きな負担をかけます。禁煙により血圧や心血管リスクが大幅に改善することが報告されています。
  • 適切な体重を保つ:肥満は高血圧や生活習慣病のリスクを高めます。数キロ減量するだけでも血圧が下がることがあります。
  • 定期的な運動:週あたり合計で150分程度の有酸素運動(ウォーキングやジョギングなど)を目安に行うことで、血圧管理や心肺機能向上に役立ちます。

生活習慣を見直しても血圧が改善しない場合は、医師の判断で薬物療法が提案されることがあります。薬物療法も生活習慣の改善と合わせて行うことで、その効果がより高まるとされています。

血圧測定結果の読み方

自宅で血圧を測定した際には、表示された結果を正しく読み取り、必要に応じて医師の診察に活かすことが大切です。血圧はmmHg(ミリ水銀柱)という単位で示され、収縮期血圧と拡張期血圧の二つの値によって構成されます。

  • 収縮期血圧(上の値):心臓が収縮して血液を送り出す際の最大圧力。
  • 拡張期血圧(下の値):心臓が次の拍動に向けて拡張し、血液をため込む間の圧力。

一般的に血圧は以下のように分類されます。

  • 収縮期血圧120未満かつ拡張期血圧80未満:理想血圧
  • 収縮期血圧120〜129、または拡張期血圧80〜84:正常血圧
  • 収縮期血圧130〜139、または拡張期血圧85〜89:前高血圧
  • 収縮期血圧140〜150、または拡張期血圧90〜99:高血圧1度
  • 収縮期血圧160〜179、または拡張期血圧100〜109:高血圧2度
  • 収縮期血圧180以上、または拡張期血圧110以上:高血圧3度

定期的な測定は、治療の効果を確認し合併症を未然に防ぐうえでも重要ですが、あくまでも医師による診察・検査を補助する手段であり、代替にはなりません。血圧の数値が安定しているように思えても、自己判断で薬の服用を中止しないよう注意が必要です。投薬中止や減量を検討する際は、必ず主治医と相談のうえで行いましょう。

注意
記事内で紹介している測定方法や生活習慣改善策は、あくまでも一般的な情報に基づく参考例です。個々の健康状態や既往症によっては推奨内容が異なる場合がありますので、必ず担当医や専門家にご相談ください。

参考文献

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