ペニスのかゆみ:性病?皮膚炎?原因別の症状・写真・治療法を徹底解説
男性の健康

ペニスのかゆみ:性病?皮膚炎?原因別の症状・写真・治療法を徹底解説

ペニスにかゆみを感じたとき、多くの男性が「これは性病(STD)ではないか?」という深刻な不安を抱えます。しかし、そのかゆみは、必ずしも性感染症だけが原因ではありません。下着による蒸れや接触皮膚炎といった日常的な原因から、専門的な治療を必要とする感染症、さらには稀ではあるものの注意すべき病気のサインである可能性まで、その背景は多岐にわたります3。この漠然とした不安を放置したり、誤った自己判断で市販薬を使用したりすることは、症状を悪化させ、治療を遅らせる最も大きな危険因子です9。この記事は、JAPANESEHEALTH.ORG編集委員会が、国内外の主要な医学研究や診療ガイドラインに基づき、ペニスのかゆみに関するあらゆる疑問に答えるために作成した包括的なガイドです。この記事を最後までお読みいただくことで、ご自身の症状の原因として何が考えられるのか、どのような場合に病院へ行くべきなのかという明確な判断基準、そして原因に応じた具体的な対処法について、深くご理解いただけます。あなたの不安を正しい知識で解消し、解決への確実な一歩を踏み出すためのお手伝いをします。

この記事の科学的根拠

本記事は、ご提供いただいた研究報告書に明記されている最高品質の医学的根拠にのみ基づいて作成されています。以下は、記事内で引用されている主要な情報源と、それが示す医学的指針との関連性です。

  • 日本性感染症学会(JSSTI): 性感染症(STD)の診断基準、標準的な治療法に関する記述は、同学会の「性感染症 診断・治療ガイドライン 2020」を根幹としています10
  • 日本皮膚科学会(JDA): 接触皮膚炎や乾燥といった非感染性のかゆみの原因、および皮膚の清潔保持などのセルフケアに関する推奨事項は、同学会の「皮膚瘙痒症診療ガイドライン 2020」に基づいています11
  • 厚生労働省(MHLW): 日本国内における梅毒の急増など、性感染症の疫学データや公衆衛生上の注意喚起に関する情報は、同省の公式発表と統計データを引用しています12
  • StatPearls (NCBI): 亀頭包皮炎の疫学、病態生理、詳細な治療アルゴリズムなど、国際的な医学的根拠については、米国国立生物工学情報センター(NCBI)が提供する査読付き出版物「StatPearls」の最新レビューを参考にしています13

要点まとめ

  • ペニスのかゆみは、性感染症(STD)だけでなく、下着によるかぶれ、汗による蒸れ、乾燥など日常的な原因でも起こります。
  • カンジダやヘルペス、クラミジア、そして近年急増している梅毒など、治療が必要な感染症が原因の場合、パートナーへの感染を防ぐためにも早期の専門医受診が不可欠です。
  • 市販薬による自己判断は危険を伴います。特に、感染症が原因の場合、不適切な薬の使用は症状を悪化させる可能性があります9
  • 強い痛みや腫れ、膿、水ぶくれ、しこりがある場合や、症状が1週間以上改善しない場合は、直ちに泌尿器科または皮膚科を受診してください。
  • この記事では、症状から原因を推測するセルフチェックリスト、受診すべき診療科の選び方、そして病院での検査・治療法までを網羅的に解説します。

まずはセルフチェック:あなたのかゆみはどのタイプ?

正確な診断は医師にしかできませんが、ご自身の症状を客観的に把握することは、原因を推測し、適切な行動をとるための第一歩です。以下のかゆみ以外の症状について確認してみましょう。

  • 見た目の変化:赤み、腫れ、ただれ、じゅくじゅくしている、皮がむけている、白いカスが付着している
  • 特定の症状:痛みを伴う水ぶくれ、膿が出ている、硬いしこりがある
  • 排尿時の変化:排尿時に痛みや違和感がある、尿道から分泌物が出る
  • かゆみのタイミング:特定の性行為の後から始まった、下着を新しいものに変えてから、ストレスを感じている時期と重なるなど

これらの付随する症状の有無が、原因を絞り込むための重要な手がかりとなります。


かゆみの原因【感染症ではない場合】

多くの場合、かゆみの原因は性感染症ではなく、日常生活の中に潜んでいます。しかし、これらを放置したり、誤ったケアを続けたりすると症状が悪化し、二次的な細菌感染を引き起こすこともあるため注意が必要です。

接触皮膚炎(かぶれ)

原因: 特定の物質が皮膚に触れることでアレルギー反応や刺激が起こる状態です。下着の素材(特に化学繊維)、洗濯洗剤や柔軟剤のすすぎ残し、特定の石鹸やボディソープ、コンドームに使用されるラテックスや潤滑剤などが原因となり得ます4
症状と対処法: 原因と思われる物質に触れた部分に、境界が比較的はっきりした赤みやかゆみが生じます。最も重要な対処法は、原因物質を特定し、それに触れないようにすることです。症状が軽度であれば、下着を綿素材に変える、洗剤を低刺激性のものにする、しっかりとすすぐといった対策と、患部を清潔に保ち保湿することで改善することがあります。

汗や蒸れによる刺激(あせも、間擦疹)

原因: 陰茎や陰嚢は汗をかきやすく、下着の中で蒸れやすい部位です。特に夏場やスポーツ後、長時間のデスクワークなどで通気性が悪い状態が続くと、汗の成分や摩擦によって皮膚が刺激され、あせも(汗疹)や間擦疹(かんさつしん)と呼ばれる湿疹ができます4
対処法と予防法: 基本は皮膚を清潔に保ち、乾燥させることです。汗をかいたらシャワーを浴びるか、優しく拭き取ることが重要です。下着は吸湿性と通気性に優れた綿100%のものが推奨されます。

皮膚の乾燥・過剰な洗浄

原因: 意外に思われるかもしれませんが、陰部も乾燥します。特に加齢に伴い皮脂の分泌が減少すると乾燥しやすくなります。また、清潔を気にするあまり、洗浄力の強い石鹸でゴシゴシと洗いすぎることは、皮膚を守るべき皮脂膜や角質層を傷つけ、バリア機能を低下させてしまいます。バリア機能が低下した皮膚は、わずかな刺激にも敏感に反応し、かゆみを生じやすくなります11
対処法: 入浴時には、低刺激性の石鹸やボディソープをよく泡立て、手で優しく洗うように心がけましょう。ナイロンタオルなどでこすることは厳禁です。入浴後には、デリケートゾーンにも使用できる保湿剤でケアをすることも有効です。


かゆみの原因【感染症の可能性】

ここから解説する疾患は、自己判断での市販薬による対処が困難、あるいは危険を伴うため、必ず専門医による診断と治療が必要です。

亀頭包皮炎(細菌性・カンジダ性)

亀頭包皮炎は、陰茎の先端部分である亀頭と、それを覆う包皮に炎症が起きる病気で、ペニスのかゆみを引き起こす感染性の原因として最も頻度が高いものです1。多くは性感染症ではありませんが、原因菌を正確に特定し、適切な薬剤で治療することが重要です。

  • 細菌性亀頭包皮炎: 黄色ブドウ球菌や大腸菌などの一般細菌が原因となります。包茎で包皮内に恥垢(ちこう)と呼ばれる垢が溜まりやすい状態だと、細菌が繁殖しやすくなります14。強い赤みや腫れ、黄色い膿の付着が特徴的で、治療には抗生物質の外用薬(塗り薬)や内服薬(飲み薬)が用いられます。
  • カンジダ性亀頭包皮炎: カンジダという真菌(カビの一種)が増殖して起こります。カンジダ菌は健康な人の皮膚にも存在する常在菌ですが、体の抵抗力が落ちた時などに異常増殖します。白いチーズや酒粕のようなカス(白苔)の付着、独特の酸っぱい臭いを伴うことがあります1。治療には抗真菌薬の外用薬や内服薬が使われます。
    > 深掘りポイント:糖尿病や免疫抑制剤の使用などで免疫力が低下している方は、カンジダ性亀頭包皮炎を繰り返しやすくなることが知られています15。尿中に糖分が多く排出される糖尿病では、それがカンジダ菌の栄養源となってしまうためです。繰り返す場合は、背景にある疾患の可能性も視野に入れる必要があります。

性感染症(STD)

特定の性行為によって感染する疾患です。かゆみは重要なサインの一つですが、無症状の場合も少なくありません。パートナーへの感染拡大を防ぐため、そしてご自身の健康を守るために、疑わしい場合は必ず専門の医療機関を受診し、パートナーと一緒に検査・治療を受けることが絶対的に重要です12

性器カンジダ症

症状: 男性では主にカンジダ性亀頭包皮炎として発症し、強いかゆみや白いカスが特徴です5。性行為によってパートナー間で感染し合うことがあります。
治療法: 抗真菌薬の外用または内服で治療します。

性器ヘルペス

症状: 初感染では、強い痛みを伴う小さな水ぶくれが多発し、その後ただれて潰瘍になります。発熱や所属リンパ節の腫れを伴うこともあります。一度感染すると、ウイルスは神経節に潜伏し、疲労やストレスなどをきっかけに再発を繰り返すのが特徴です2
治療法: 抗ウイルス薬の内服薬や外用薬が用いられます。頻繁に再発を繰り返す場合には、再発抑制療法という治療選択肢もあります。

クラミジア・淋菌性尿道炎

症状: 主な症状は尿道炎による排尿時の痛みや違和感、尿道からの分泌物(膿)ですが、陰茎の軽度のかゆみとして自覚されることもあります。しかし、特にクラミジアは男性では無症状のことが多く、自覚がないままパートナーに感染させてしまうケースが後を絶ちません16
治療法: それぞれの菌に有効な抗生物質(内服薬や点滴)による治療が必要です。近年、薬剤耐性菌が増加しているため、確実な治療と治癒確認が重要です。パートナーとの同時治療が必須です。

梅毒

重要トピック: 厚生労働省の発表によると、日本国内では近年、梅毒の報告数が著しく増加しており、特に若年層を含む幅広い年代で深刻な公衆衛生上の問題となっています17。これは決して他人事ではありません。
症状: 梅毒の症状は経過する時期によって様々です。感染初期(第1期)には、感染部位(性器や口など)に痛みのない硬いしこりや、ただれ(硬性下疳)ができます。これらは数週間で自然に消えますが、治ったわけではなく、病原体は血流に乗って全身に広がります。数ヶ月後の第2期には、全身に「バラ疹」と呼ばれる特徴的な赤い発疹が現れることがあり、かゆみを伴うこともあります2
治療法: ペニシリン系の抗生物質の内服が標準治療です。早期に発見し、早期に治療を開始すれば完治が可能な病気です。しかし、治療が遅れると脳や心臓に深刻な合併症を引き起こす可能性があります。

その他のSTD

比較的頻度は低いものの、トリコモナス原虫によるトリコモナス症、ケジラミ(毛じらみ)の寄生、あるいはマイコプラズマ・ウレアプラズマといった細菌によっても、かゆみが生じることがあります218


まれだが危険な病気の可能性

「たかがかゆみ」と軽視されがちですが、中には長期間治らないかゆみを症状とする、より深刻な病気が隠れている可能性もゼロではありません。

硬化性苔癬(こうかせいたいせん)

症状: 陰部の皮膚、特に亀頭や包皮が白っぽく変化し、硬くなり、萎縮していく病気です。強いかゆみや痛みを伴い、進行すると排尿困難や性交痛の原因となります。原因は不明ですが、自己免疫疾患の一つと考えられています。専門医による正確な診断と、ステロイド外用薬などによる長期的な管理が必須となります19

陰茎がん

症状: 非常に稀な疾患ですが、最も見逃してはならない病気です。初期症状として、治りにくいカリフラワー状のしこりや、ただれ(びらん・潰瘍)が現れることがあります3。長期にわたって放置された慢性的な亀頭包皮炎や、前述の硬化性苔癬が危険因子の一つとされています。
> 重要なメッセージ: もし、あなたの症状が2週間以上続いている、あるいは徐々に悪化している場合は、絶対に自己判断せず、速やかに専門医を受診してください。


病院へ行くべき?判断基準と診療科の選び方

受診を強く推奨する症状(レッドフラグ・サイン)

以下のような症状が一つでも当てはまる場合は、自己判断で様子を見るべきではありません。直ちに医療機関を受診してください。

  • かゆみに加えて、強い痛みや腫れがある
  • 排尿が困難、または排尿時に激しい痛みがある
  • 尿道から黄色や緑色の膿が出ている
  • 陰部に痛みを伴う水ぶくれが多発している
  • 陰部に硬いしこりや、治らないただれがある
  • 症状が1週間以上改善しない、または悪化している
  • パートナーにも同様の症状が出た、またはパートナーが性感染症と診断された

何科を受診すればよいか?泌尿器科 vs 皮膚科

ペニスのかゆみで受診を考えたとき、泌尿器科と皮膚科のどちらに行けばよいか迷う方は少なくありません。以下のフローチャートを参考にしてください6

表1:症状別・受診すべき診療科フローチャート
あなたの主な症状は? 推奨される診療科 根拠
尿道から膿や分泌物が出る、または排尿時に痛みや違和感がある 泌尿器科 尿道炎(淋菌、クラミジア等)の可能性が高く、泌尿器科が専門です8
性行為後に症状が出た、または性感染症の可能性に心当たりがある 泌尿器科 または 性感染症科 性感染症全般の検査・治療に精通しています6
皮膚の赤み、かぶれ、湿疹、皮むけが主で、尿道の症状はない 皮膚科 接触皮膚炎や陰部湿疹など、皮膚疾患の可能性が高く、皮膚科が専門です6
痛みを伴う水ぶくれや、治りにくい潰瘍(ただれ)、硬いしこりがある 泌尿器科 または 皮膚科 ヘルペス、梅毒、あるいは悪性腫瘍の可能性も鑑別する必要があるため、どちらの科でもよいので速やかに受診してください3
どの科に行けばよいか全く分からない 泌尿器科 または 皮膚科 どちらの科でも初期対応は可能です。必要に応じて適切な専門科を紹介してもらえます。まずはアクセスしやすい方へ行きましょう7

医師に伝えるべきことリスト

診察をスムーズに進め、より正確な診断につなげるために、以下の項目を事前にメモして準備しておくとよいでしょう。

  • いつから症状が始まりましたか?
  • どんな症状がありますか?(かゆみ、痛み、赤み、分泌物など具体的に)
  • 症状はどのように変化しましたか?(良くなった、悪くなった、変わらない)
  • 性行為の履歴(最後に性行為をしたのはいつか、パートナーは変わったかなど)
  • アレルギー歴や、現在治療中の病気はありますか?
  • これまでに市販薬などを使用しましたか?(もしあれば、薬の名前も)

病院での検査と治療の流れ

どのような検査をするのか?

問診と視診(患部の状態を見ること)が基本ですが、原因を特定するために以下のような検査が行われることがあります1

  • 培養検査・顕微鏡検査: 患部の分泌物や皮膚の一部を綿棒などでこすって採取し、原因となっている細菌や真菌の種類を特定します。
  • 血液検査: 梅毒やHIVなど、血液で抗体の有無を調べる必要のある感染症の検査です。
  • 尿検査: 尿道炎が疑われる場合に、尿中の細菌を調べます。
  • 皮膚生検: 非常に稀ですが、硬化性苔癬や陰茎がんなどが疑われる場合、局所麻酔をして皮膚組織の一部を採取し、病理検査を行うことがあります。

主な治療法まとめ

治療は原因疾患によって全く異なります。塗り薬(外用薬)、飲み薬(内服薬)、そして生活指導が治療の三本柱となります。以下の表で全体像を確認しましょう。

表2:原因別・治療法一覧
原因疾患 治療の基本 治療期間の目安 主な処方薬(分類) セルフケアのポイント
接触皮膚炎・湿疹 原因の除去、抗炎症 数日〜1週間 ステロイド外用薬、抗ヒスタミン薬 保湿、低刺激の石鹸、綿の下着4
亀頭包皮炎(カンジダ性) 抗真菌 1〜2週間 抗真菌薬(外用・内服) 清潔と乾燥、糖分の多い食生活の見直し1
亀頭包皮炎(細菌性) 抗菌 1〜2週間 抗生物質(外用・内服) 包皮を清潔に保つ1
性器ヘルペス 抗ウイルス 5〜10日間 抗ウイルス薬(内服・外用) 疲労やストレスを避ける、再発抑制2
クラミジア・淋菌 抗菌 約1〜2週間 各々に有効な抗生物質(内服・点滴) パートナーとの同時治療が必須2
梅毒 抗菌 2〜8週間(病期による) ペニシリン系抗生物質(内服) パートナーとの同時治療が必須2

日常でできる予防とセルフケア

かゆみを予防し、再発を防ぐためには、日々のセルフケアが非常に重要です。

  • 正しく洗う: 日本皮膚科学会のガイドラインでも推奨されているように、洗いすぎは禁物です11。低刺激の石鹸をよく泡立て、手で優しく洗い、シャワーで十分にすすぎましょう。
  • 下着を選ぶ: 汗をよく吸い、通気性の良い綿(コットン)素材の下着を選びましょう。体を締め付けるようなタイトな下着は避けましょう。
  • 性行為時の注意: 不特定のパートナーとの性行為を避け、コンドームを正しく使用することが、多くの性感染症を予防する上で最も効果的な方法です12

よくある質問

Q1: ペニスのかゆみは自然に治りますか?

A: 原因によります。下着の摩擦による一時的なかぶれなど、原因がはっきりしていて一過性のものは、原因を取り除くことで自然に治ることもあります。しかし、亀頭包皮炎や性感染症といった感染症が原因の場合、適切な治療を行わない限り自然に治癒することはなく、むしろ悪化したり、パートナーに感染を広げたりする危険性があります。

Q2: 市販薬を使っても良いですか?注意点は?

A: 原因が明確な軽度の接触皮膚炎以外での、自己判断による市販薬の使用は非常に危険です。特に、感染症が疑われる場合に不適切な薬を使用すると、症状をこじらせてしまうことがあります。例えば、カンジダ(真菌)が原因のかゆみに対して、湿疹用のステロイド外用薬を塗ると、カンジダ菌の増殖を助長してしまい、かえって症状が悪化することがあります9。まずは専門医の診断を受けることが原則です。

Q3: パートナーにうつしてしまいますか?

A: 性感染症(STD)が原因の場合、高い確率でパートナーに感染させてしまいます。性器ヘルペス、クラミジア、淋病、梅毒、カンジダ症などはすべて性行為によって感染します。ご自身に症状がなくても、パートナーが感染源である場合や、ご自身が無症状の病原体保有者である可能性もあります。そのため、性感染症と診断された場合は、必ずパートナーにも検査と治療を受けてもらう必要があります。

Q4: 放置するとがんになりますか?

A: ほとんどのかゆみが、がんに直接結びつくことはありません。しかし、前述したように、硬化性苔癬や、治らない慢性的な亀頭包皮炎など、ごく一部の疾患は、長期的に陰茎がんの発生危険因子となることが知られています3。長期間治らない、あるいは悪化するようなしこりやただれがある場合は、絶対に放置せず、必ず専門医の診察を受けてください。

結論

ペニスのかゆみは、決して珍しい症状ではありません。しかし、その背景には、単純な皮膚トラブルから緊急の治療を要する性感染症、さらには稀な重要疾患まで、様々な可能性が隠されています。最も避けるべきは、不安や羞恥心から受診をためらい、不確かな情報に基づいて自己判断で対処してしまうことです。それが、解決を遅らせ、時には健康を大きく損なう最も大きな危険因子となります。この記事が、あなたがご自身の状態を正しく理解し、専門家への相談という、解決に向けた最も確実で安全な一歩を踏み出すための助けとなることを、JHO編集委員会一同、心から願っています。

免責事項本記事は情報提供のみを目的としており、専門的な医学的アドバイスに代わるものではありません。健康上の懸念がある場合、またはご自身の健康や治療に関する決定を下す前には、必ず資格のある医療専門家にご相談ください。

参考文献

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  2. 神田西口クリニック. ペニスがかゆい。原因は?治療法や疑われる疾患を医師が解説. [インターネット]. [2025年7月29日引用]. Available from: https://kanda-cl.com/about-itchypenis/
  3. ユビーAI受診相談. 陰茎のかゆみ の原因と、関連する病気をAIで無料チェック. [インターネット]. [2025年7月29日引用]. Available from: https://ubie.app/lp/search/itching-of-the-penis-s7983
  4. 池田模範堂. 陰部のかゆみ(男性) 原因・症状・治療法|肌トラブル情報館. [インターネット]. [2025年7月29日引用]. Available from: https://www.ikedamohando.co.jp/study/skin-trouble-info/male-delicatearea-itch.html
  5. 第一三共ヘルスケア. デリケートゾーン(陰部)のかゆみの症状・原因|くすりと健康の情報局. [インターネット]. [2025年7月29日引用]. Available from: https://www.daiichisankyo-hc.co.jp/health/symptom/47_inbunokayumi/
  6. ユビーAI受診相談. 何科を受診したらよいですか?また、病院を受診する目安はありますか? |陰茎がかゆい. [インターネット]. [2025年7月29日引用]. Available from: https://ubie.app/byoki_qa/clinical-questions/symptom/092umiravlz
  7. 病院なび. 「陰嚢・陰茎がかゆい」症状を感じたときに行くとよい診療科は?. [インターネット]. [2025年7月29日引用]. Available from: https://byoinnavi.jp/yl05
  8. むかいクリニック. Q.(男性の)陰部がかゆいのですが、泌尿器科の診察でしょうか、皮膚科の診察になるのでしょうか。. [インターネット]. [2025年7月29日引用]. Available from: https://mukai-urology.com/faq/faq01/
  9. とどくすり. 女性のデリケートゾーンのかゆみや腫れは放置せずに病院へ!想定される病気とは?. [インターネット]. 2024年7月17日 [2025年7月29日引用]. Available from: https://todokusuri.com/column/post_20240717/
  10. 日本性感染症学会. ガイドライン委員会. [インターネット]. [2025年7月29日引用]. Available from: https://jssti.jp/guideline_c.html
  11. 日本皮膚科学会. 皮膚瘙痒症診療ガイドライン 2020. [インターネット]. 2020年 [2025年7月29日引用]. Available from: https://www.dermatol.or.jp/uploads/uploads/files/guideline/souyouGL2020.pdf
  12. 厚生労働省. 性感染症. [インターネット]. [2025年7月29日引用]. Available from: https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/seikansenshou/index.html
  13. Wray AA, Khetarpal S. Balanitis. In: StatPearls [Internet]. Treasure Island (FL): StatPearls Publishing; 2024 Jan-. [2025年7月29日引用]. Available from: https://www.ncbi.nlm.nih.gov/books/NBK537143/
  14. 吉祥寺まいにちクリニック. 亀頭包皮炎 |原因・症状・検査・治療など. [インターネット]. [2025年7月29日引用]. Available from: https://kichijojiclinic.com/medical/kitouhouhien/
  15. American Osteopathic College of Dermatology. Balanitis. [インターネット]. [2025年7月29日引用]. Available from: https://www.aocd.org/page/Balanitis
  16. 日本感染症学会, 日本化学療法学会. JAID/JSC 感染症治療ガイドライン2018―男性尿道炎とその関連疾患―. [インターネット]. 2018年5月 [2025年7月29日引用]. Available from: https://www.kansensho.or.jp/uploads/files/guidelines/guideline_JAID-JSC2018_maleurethritis1805.pdf
  17. 厚生労働省. 性感染症に関する特定感染症予防指針の改正に向けた検討について. [インターネット]. 2024年 [2025年7月29日引用]. Available from: https://www.mhlw.go.jp/content/10906000/001478424.pdf
  18. Healthline. Mycoplasma Genitalium: Symptoms, Diagnosis, and Treatment. [インターネット]. [2025年7月29日引用]. Available from: https://www.healthline.com/health/sexually-transmitted-diseases/mycoplasma-genitalium
  19. 日本皮膚科学会. 硬化性萎縮性苔癬 診断基準・重症度分類・診療ガイドライン. [インターネット]. [2025年7月29日引用]. Available from: https://www.dermatol.or.jp/uploads/uploads/files/guideline/lichen%20sclerosus%20et%20atrophicus.pdf
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