乳がん
最終更新: 2026年7月 | 編集: JHO編集部(AI技術活用・公的資料に基づく)
✦ 結論から言うと
乳がんは日本人女性が最も多く罹患するがんで、生涯で女性の8人に1人(生涯罹患リスク11.8%)がかかると推計されています[2]。一方で、乳がん全体の5年相対生存率は92.3%と高く、早期に見つかるほど治療の選択肢は広がります[3]。40歳になったら2年に1回のマンモグラフィ検診を受けることが、命を守る最も確実な行動です[6]。
| 主な原因・関連要因 | 女性ホルモン(エストロゲン)への曝露期間、加齢、閉経後の肥満、飲酒、遺伝(BRCA1/BRCA2遺伝子変異)など[4] |
|---|---|
| 主な症状 | 乳房のしこり、乳房のくぼみ、乳頭・乳輪のただれ、左右非対称な形の変化、乳頭からの分泌物。ただし早期は無症状のことが多い[1] |
| 受診の目安 | 気になるしこりや分泌物があれば検診を待たず乳腺科・乳腺外科をすぐ受診。症状がなければ40歳から2年に1回の検診[1][6] |
乳がんとは?原因と主な症状が出る仕組み
乳房は、乳頭から放射状に広がる乳腺(15〜20の乳腺葉に分かれ、乳管と小葉からなる)と、それを包む脂肪組織からできています。乳がんは、この乳腺の組織にできるがんで、多くは乳管から発生し、一部は小葉から発生します[1]。進行すると、がん細胞は周りの組織を壊しながら増殖し、血液やリンパ液の流れに乗って骨、肝臓、肺、脳などに転移することもあります[1]。
乳がんの発生には女性ホルモンのエストロゲンが深く関わっており、初経年齢が低い、閉経年齢が高い、出産経験がない、初産年齢が高い、授乳経験がないなど、エストロゲンにさらされる期間が長いことがリスクを高めると考えられています。そのほか、飲酒、閉経後の肥満、運動不足、糖尿病の既往も発生リスクを高めるとされています[4]。
主な症状は乳房のしこりですが、乳房のくぼみ、乳頭・乳輪のただれ、左右の乳房の形の非対称化、乳頭からの分泌物なども挙げられます。ただし乳房のしこりの多くは、乳腺症(30〜40歳代の女性に多い良性の変化で、がんの原因にはならない)や線維腺腫(10歳代後半〜40歳代に多い良性腫瘍)などの良性の病気によるもので、しこり=乳がんとは限りません。気になる症状があれば、乳腺科・乳腺外科で乳腺専門医の診察を早めに受けることが早期発見につながります[1]。
上図:ホルモン受容体・HER2・Ki67というがん細胞のタンパク質を調べることで、治療薬の選択に使う「サブタイプ分類」を行う[1]。JHO編集部が作図
統計から見る乳がん:日本人女性のかかりやすさ
国立がん研究センターの最新がん統計によると、2023年に新たに乳がん(乳房)と診断されたのは103,424例(男性832例、女性102,592例)で、女性のがん罹患数の第1位です[2]。2024年の死亡数は16,005人(男性136人、女性15,869人)で、女性のがん死亡数では第4位にあたります[2]。
2023年データに基づく累積罹患リスク(生涯である病気と診断される確率)では、女性が生涯のうちに乳房(女性)のがんと診断される確率は11.8%、「何人に1人か」で示すと8人に1人です。2024年データに基づく生涯乳がん死亡リスクは1.7%(58人に1人)です[2]。乳がんの5年相対生存率(2009〜2011年診断例、女性のみ)は92.3%と、他の多くのがん種と比べて高い水準にあります[3]。
| 項目 | 数値 | 備考 |
|---|---|---|
| 新規罹患数(2023年) | 102,592例(女性) | 女性のがん罹患数第1位[2] |
| 死亡数(2024年) | 15,869人(女性) | 女性のがん死亡数第4位[2] |
| 生涯罹患リスク(2023年データ) | 11.8%(8人に1人) | 女性のみ[2] |
| 生涯死亡リスク(2024年データ) | 1.7%(58人に1人) | 女性のみ[2] |
| 5年相対生存率(2009〜2011年診断例) | 92.3% | 女性のみ、全ステージ平均[3] |
出典:国立がん研究センター がん統計「最新がん統計」(2023〜2024年データ)[2]/同「がん種別統計情報 乳房」(2009〜2011年診断例)[3]
ステージ(病期)別の詳しい5年生存率は、国立がん研究センターの「院内がん登録生存率集計結果閲覧システム」で最新の集計が公開されていますが、同システムはグラフ形式で提供されており、本稿執筆時点で個別の数値を文章として引用できる形では確認できませんでした。一般に、がんは早期(ステージが低い)ほど治療成績が良く、進行するほど治療成績が下がる傾向があること自体は、後述する「経過と治療」の項でステージごとの標準治療が大きく異なることからも裏付けられます[3]。正確な最新のステージ別数値を知りたい場合は、同システムを直接ご確認ください。
リスク要因:何が乳がんのなりやすさに関わるか
乳がんのリスク要因は「変えられないもの」と「生活習慣で調整できるもの」に分かれます。以下は国立がん研究センターが示す主なリスク要因で、これらがあるからといって必ず乳がんになるわけではなく、逆になくても乳がんにならないとは限りません[4]。
| 分類 | 要因 | 関連の考え方 |
|---|---|---|
| 女性ホルモン(エストロゲン)関連 | 初経年齢が低い・閉経年齢が高い | エストロゲンにさらされる期間が長い[4] |
| 出産経験がない・初産年齢が高い | 同上[4] | |
| 授乳経験がない | 同上[4] | |
| 経口避妊薬の使用・閉経後の長期ホルモン補充療法 | エストロゲンを含む薬剤の使用[4] | |
| 生活習慣 | 飲酒、閉経後の肥満、運動不足 | リスクを高めると考えられている[4] |
| 既往歴 | 糖尿病の既往 | リスクを高めると考えられている[4] |
| 家族歴・遺伝 | 第一親等(親・子)に乳がんの血縁者がいる/BRCA1・BRCA2遺伝子変異 | リスクが高いことが分かっている[4] |
出典:国立がん研究センター がん情報サービス「乳がん 予防・検診」[4]
リスク要因が複数あっても発症しない人が大半で、逆にリスク要因が少なくても発症する人はいます。乳がんの予防で科学的根拠がある行動は、飲酒を控える・閉経後の体重管理・適度な運動であり、原因を「あなたのせい」にする話ではありません[4]。過度に不安にならず、検診による早期発見を軸に考えることが大切です。
症状:しこり以外にも気を付けたいサイン
乳がんの主な症状は乳房のしこりで、自分で乳房を触ることで気付く場合もあります。ほかに、乳房にくぼみができる、乳頭や乳輪がただれる、左右の乳房の形が非対称になる、乳頭から分泌物が出る、といった変化があります[1]。
ただし、早期の乳がんは自覚症状がないことが少なくありません。しこり、乳房のひきつれ、乳首から血性の液が出る、乳首の湿疹やただれなどの症状がある場合は、検診の結果を待つのではなく、すぐに医療機関を受診してください[6]。国立がん研究センターは「ブレスト・アウェアネス(乳房を意識する生活習慣)」として、①自分の乳房の状態を知る、②乳房の変化に気を付ける、③変化に気付いたらすぐ医師へ相談する、④40歳になったら2年に1回乳がん検診を受ける、という4つのポイントを勧めています[4]。
しこり=乳がんではない:似た症状の良性の病気
乳房のしこりは、乳がん以外の良性の病気で発生することもあります。国立がん研究センターは代表的なものとして次の3つを挙げています[1]。
| 病名 | 好発年齢 | 特徴 | 治療 |
|---|---|---|---|
| 乳腺症 | 30〜40歳代の女性に多い | 乳腺の良性の変化の総称。しこりや痛みが主な症状で、月経前に増大し月経後に縮小する | 基本的に治療不要。がんの原因にはならない[1] |
| 線維腺腫 | 10歳代後半〜40歳代の女性に多い | 代表的な良性腫瘍。触るところころと動く | 閉経後は自然に縮小することが多く特別な治療は不要。急速に大きくなる場合は摘出することもある[1] |
| 葉状腫瘍 | ― | 乳房にできる腫瘍の1つ。良性・悪性・中間の3つに分かれる | 性質に応じて経過観察または切除[1] |
出典:国立がん研究センター がん情報サービス「乳がんについて」4.関連する疾患[1]
見分けるカギ:良性の病気か乳がんかは、自分で触った感触だけでは正確に区別できません。しこりに気付いたら、自己判断せずに乳腺科・乳腺外科でマンモグラフィ・超音波検査、必要に応じて病理検査を受けて確認することが唯一確実な方法です[1]。
検診・早期発見:マンモグラフィがなぜ重要か
わが国の女性では、乳がんによる死亡は上位に位置し、罹患する人は30歳代後半から増加、40歳以上の女性では最も罹患数が多いがんです[6]。厚生労働省の「がん予防重点健康教育及びがん検診実施のための指針」に基づき、対策型検診(公費による集団検診)の対象は40歳以上の女性、2年に1回、検査項目は問診とマンモグラフィです[4]。
視触診や超音波検査は、乳がんで亡くなることを防ぐという科学的根拠が現時点で不十分なため、対策型検診としては推奨されていません。マンモグラフィと超音波検査を同時に受けることや、2年ごとのマンモグラフィの間に超音波検査を追加で受けることも推奨されていません[6]。
マンモグラフィは乳房を片方ずつプラスチックの板で挟んで撮影する乳房専用のX線検査で、小さいしこりや石灰化を見つけることができます。圧迫時間は数十秒ほどで、痛みを感じることもありますが、月経前1週間を避けて受診すると痛みが比較的少ないとされています。1回の撮影で乳房が受ける放射線量(0.05〜0.15ミリシーベルト)は、一般の人が1年間に受ける自然放射線量(約2.4ミリシーベルト)よりはるかに低く、適切な年齢・頻度で受ける限り、放射線被ばくによる健康被害はほとんどありません[6]。
検診で「がんの疑いあり(要精密検査)」と判定された場合は、必ず精密検査を受けてください。乳がんがあっても症状が出ないことはよくあり、「次回の検診まで待とう」「症状がないから大丈夫」という自己判断は禁物です[6]。
診断の進め方:検査の種類と分かること
乳がんの検査は、まず視診・触診、マンモグラフィ、超音波(エコー)検査を行います。視診では乳房のくぼみやただれの有無、左右差、乳頭からの分泌物の有無を確認し、触診では指で乳房からわきの下を触ってしこりの有無、大きさ、硬さ、動き方を確認します[5]。
超音波検査は乳房内の病変の有無やしこりの性状・大きさ、わきの下のリンパ節への転移の有無を調べる検査で、放射線被ばくがないため妊娠中でも検査が可能です。マンモグラフィで乳腺の密度が高く病変が見つけにくい「高濃度乳房」の場合は、超音波検査のほうが発見に役立つことがあります[5]。超音波検査では乳腺は白く、乳がんの多くは黒く写るため、高濃度乳房と判定された人では超音波検査のほうが乳がんの発見に役立つことがあるとされています[5]。
組織型(がんの種類)は主に非浸潤がんと浸潤がんに分けられます。非浸潤がんはがん細胞が乳管内または小葉内にとどまっているがんで、適切な治療を行えば転移することはなく再発もわずかとされます。浸潤がんは乳管や小葉を超えて周囲に広がっているがんで、浸潤がんの中で最も多いのは浸潤性乳管がんです。そのほかに、浸潤性小葉がんや粘液がんなどの「特殊型乳がん」があります[7]。
乳がんの可能性がある場合は、病変の一部を採取して顕微鏡で調べる病理検査(細胞診・組織診)で診断を確定します。細胞診は細い針を刺して細胞を採取する穿刺吸引細胞診が一般的で、局所麻酔は不要なことが多く、組織診は局所麻酔をして太い針で組織を採取する針生検(コア針生検・吸引式乳房組織生検)が通常行われます[5]。がんの広がりや転移を調べるためには、MRI検査・CT検査・骨シンチグラフィ・PET検査などの画像検査を追加で行います[5]。腫瘍マーカー(CEA、CA15-3など)は診断に使える特定のマーカーが乳がんには現在なく、主に再発・転移時の治療効果を見る参考情報として使われます[5]。
ステージ(病期)と病理学的な性質:診断の目安となる数値・基準
乳がんの進行の程度は、がんの大きさ、リンパ節転移の有無、遠隔転移(骨や肺など別の臓器への転移)の有無によって、0期〜IV期のステージ(病期)に分類されます[7]。
| ステージ | がんの大きさ | リンパ節転移 | 遠隔転移 |
|---|---|---|---|
| 0期 | 非浸潤がん | なし | なし |
| I期 | 2cm以下 | なし | なし |
| IIA期 | 2cm以下、または2〜5cm | 2cm以下では腋窩リンパ節転移(可動性あり)、5cm以下ではなし | なし |
| IIB期 | 2〜5cm、または5cm超 | 2〜5cmでは腋窩リンパ節転移(可動性あり)、5cm超ではなし | なし |
| IIIA〜IIIC期 | 大きさに関わらず | 固定した腋窩リンパ節転移、内胸・鎖骨上下リンパ節転移など、進展の程度で細分 | なし |
| IV期 | 大きさに関わらず | 大きさ・転移の有無に関わらず | あり(骨・肝臓・肺・脳など) |
出典:日本乳癌学会編「臨床・病理 乳癌取扱い規約 第18版」2018年、p6、金原出版(国立がん研究センター がん情報サービスに転載)[7]
あわせて、がんの性質として組織型(非浸潤がんか浸潤がんか)、病理学的グレード分類(顕微鏡で見たがん細胞の異型度をグレード1〜3で評価)、そして次章で説明する「サブタイプ分類」が調べられ、これらの組み合わせで標準治療が決まります[7]。
サブタイプ分類:ホルモン受容体・HER2・トリプルネガティブの違い
サブタイプ分類は、薬物療法でどの薬が適しているかを選ぶための分類です。本来は遺伝子検査の結果で決まりますが、通常はより簡易な病理検査でがん細胞中のホルモン受容体、HER2、Ki67というタンパク質を調べ、便宜的に分類します[7]。
| サブタイプ | 特徴 | 治療の中心となる薬剤 |
|---|---|---|
| ホルモン受容体陽性(ルミナル型) | エストロゲン受容体・プロゲステロン受容体のいずれかが陽性。女性ホルモンで増殖する性質 | ホルモン療法薬が第一選択。Ki67が高い・HER2陰性の場合は細胞障害性抗がん薬を併用することも[7] |
| HER2陽性 | HER2タンパクを過剰に作るがん細胞が一定以上ある | 抗HER2薬(分子標的薬)。原則、細胞障害性抗がん薬と併用[7] |
| トリプルネガティブ | エストロゲン受容体・プロゲステロン受容体・HER2のすべてが陰性 | 細胞障害性抗がん薬が中心。免疫チェックポイント阻害薬を使うこともある[7] |
出典:国立がん研究センター がん情報サービス「乳がん 治療」4.薬物療法[7]
見分けるカギ:ホルモン受容体(エストロゲン受容体・プロゲステロン受容体のいずれか)が陽性かどうか、HER2が陽性かどうかの組み合わせで、ホルモン受容体陽性・HER2陽性の両方を併せ持つタイプも含め、実際の治療方針はより細かく検討されます[7]。なお、Ki67の評価方法は研究中で明確な基準値(境界値)は定まっておらず、値が高いほど転移・再発の可能性が高くなるとされています[7]。
サブタイプ分類は本来、遺伝子検査の結果で決まりますが、通常は簡易な病理検査で代用されています。ホルモン受容体が陽性でHER2が陰性の場合、細胞障害性抗がん薬を使うかどうかを判断するために、複数の遺伝子を調べる「多遺伝子アッセイ」という検査が行われることがあります[7]。女性ホルモンによって増殖する性質をもつ乳がんは「ルミナル乳がん」と呼ばれることもあります[7]。
サブタイプが異なれば効く薬も予後の傾向も異なるため、「ホルモン受容体陽性の人向けの情報」を「トリプルネガティブの人」にそのまま当てはめることはできません。ご自身のサブタイプは病理検査の結果で担当医から説明を受けます。
経過と治療:ステージ別のケア
以下は「診断されてからの標準治療の流れ」を示すもので、時間の起点はすべて「診断・治療開始時点」です。日本乳癌学会編の患者向けガイドラインおよび国立がん研究センターの情報をもとにしています[7]。
0期(非浸潤がん):乳房部分切除術(乳房温存手術)または乳房全切除術を行い、必要に応じてセンチネルリンパ節生検を実施。部分切除の場合は術後に放射線治療、ホルモン受容体陽性であれば術後にホルモン療法薬を用いることがあります[7]。
I〜IIIA期:乳房部分切除術または乳房全切除術を行います。がんが小さければ部分切除が可能で、術後に放射線治療を行います。必要に応じて手術前後に薬物療法を行い、術前薬物療法でがんが小さくなれば部分切除が可能になる場合もあります。腋窩リンパ節への転移があればリンパ節郭清を行います[7]。
IIIB〜IV期:がん細胞の性質(ホルモン受容体・HER2の状況など)や体の状態、本人の希望をもとに、主に薬物療法を行います。IIIB・IIIC期では薬物療法の効果に応じて手術や放射線治療を追加することがあり、IV期では薬物療法に加えて転移によって生じる症状を和らげる治療も行われます[7]。
手術:主な手術は乳房部分切除術(乳房温存手術、がんから1〜2cm離して切除、通常は術後に放射線照射)と乳房全切除術(乳房全体を切除)です。腋窩リンパ節への転移があればリンパ節郭清を行いますが、リンパ浮腫のリスクを伴うため、センチネルリンパ節生検の結果によっては郭清を省略できる場合があります[7]。乳房切除後には、自家組織や人工物(シリコンなど)を用いた乳房再建を行うこともできます[7]。
放射線治療:乳房部分切除術後は原則として残った乳房組織に照射します。1日1回、週5回、約4〜6週間かけて照射するのが一般的です。副作用として皮膚が日焼け状に赤くなる・かゆみ・水ぶくれなどが起こることがありますが、治療終了後2週間ほどで徐々に回復します[7]。
薬物療法:ホルモン療法薬、分子標的薬(抗HER2薬など)、細胞障害性抗がん薬、免疫チェックポイント阻害薬があり、サブタイプ分類によって主に決まります[7]。細胞障害性抗がん薬・分子標的薬は術前・術後どちらに行っても再発率や生存率は同程度とされていますが、ホルモン療法薬の術前・術後投与による差は明らかになっていません[7]。
乳がんは骨・肝臓・肺・脳に転移しやすいがんです。骨転移では鎮痛薬や放射線治療、骨折リスクがあれば整形外科的手術を検討します。肝転移・肺転移は基本的に薬物療法、脳転移は主に放射線治療(手術しやすい単発の転移なら手術も検討)が行われます[7]。
手術の種類と体への負担
乳房部分切除術(乳房温存手術)は、がんから1〜2cm離れた周囲を含めて切除し、美容的にも満足できる乳房を残すことを目的とします。切除した組織の断端(切り口)にがん細胞がないかを顕微鏡で確認し、確認できた場合には残された乳房への放射線治療(温存乳房照射)を行うことで、乳房全切除術と治療効果に差はないとされています。断端にがんが残っていた場合(断端陽性)は追加切除や放射線治療、場合によっては全切除への切り替えが検討されます[7]。
腋窩リンパ節(わきの下のリンパ節)への転移が診断された場合はリンパ節郭清(切除)を行いますが、これはリンパ浮腫(腕や手にリンパ液がたまってむくむ状態)など体への負担が大きい手術です。そのため、手術中に行うセンチネルリンパ節生検(がん細胞が最初にたどりつくリンパ節を調べる検査)の結果、転移がない、またはわずかであれば、郭清を省略しても再発の有無などに影響しないことが分かっています[7]。
乳房切除後の乳房再建には、自分のおなかや背中などの組織を使う自家組織再建と、シリコンなどの人工物を使う方法があり、手術と同時に行う一次再建と、数カ月〜数年後に行う二次再建があります。まれに、自家組織再建では移植組織の壊死、人工物再建では感染や乳房インプラント関連未分化大細胞型リンパ腫(BIA-ALCL)などの合併症が起こることがあるため、担当医とよく話し合って理解した上で選択することが勧められます[7]。
薬物療法の副作用と対処
ホルモン療法薬の副作用としてホットフラッシュ(ほてり)が起こることがありますが、多くは開始後数カ月を過ぎると軽減します。ほかに性器出血などの生殖器症状、骨密度低下などの骨の症状、関節痛、気分の落ち込みやイライラが出ることもあります。分子標的薬は薬によって異なりますが悪寒・下痢・発疹などの副作用があり、細胞障害性抗がん薬は正常な細胞にも影響するため、血液細胞数・肝機能・腎機能など検査で分かるものと、口内炎・吐き気・脱毛・下痢など自分で分かるものがあります。吐き気・嘔吐は近年、予防する薬の開発が進み、以前と比べて予防しやすくなっています。副作用が不安なとき・つらいときは担当の医師・薬剤師・看護師に相談してください[7]。
再発した場合の治療の考え方
再発には、手術した側の乳房やその周囲の皮膚・リンパ節にできる「局所領域再発」と、骨や肝臓などへの遠隔転移による「遠隔再発」があります。局所領域再発のみで遠隔再発がなければ、治癒を目指して手術で切除することが基本です。乳房全切除後の胸の皮膚に再発した場合や、周囲のリンパ節に再発した場合は、同じ場所への放射線治療歴がなければ手術後に放射線治療を追加することがあります[7]。
乳房から離れた臓器への遠隔再発では薬物療法が中心です。ホルモン受容体陽性の場合はまずホルモン療法薬(分子標的薬を併用することも)、HER2陽性の場合は抗HER2薬と細胞障害性抗がん薬、それ以外やホルモン療法薬が効かなくなった場合は細胞障害性抗がん薬、トリプルネガティブの場合は免疫チェックポイント阻害薬を使うこともあります。1つの治療法で効果があり副作用が問題なければ継続し、効果がなくなれば別の治療法に変更するという考え方で進められます[7]。
遺伝性乳がん(HBOC):BRCA1/BRCA2遺伝子と検査
乳がんの一部は遺伝性で、BRCA1遺伝子・BRCA2遺伝子の変異が原因として知られています。ただし、これらの変異があるからといって必ず発症するとは限りません[4]。第一親等(親または子)に乳がんの血縁者がいる場合は乳がんのリスクが高いことが分かっており、遺伝医学の専門家がいる施設での遺伝カウンセリング・遺伝子検査が勧められます[4]。
BRCA1/2遺伝子検査は、一定の条件を満たしていれば保険診療で受けることができます(条件は日本遺伝性乳癌卵巣癌総合診療制度機構の解説を参照)[4]。BRCA1またはBRCA2遺伝子に変異があると分かった場合は、遺伝カウンセリング体制が整った施設で、発症前に乳房を切除する「リスク低減乳房切除術」や、卵巣・卵管を切除する「リスク低減卵管卵巣摘出術」を検討することがあります(これらの遺伝子は卵巣がん・卵管がんにも関連するため)[4]。
治療面では、HER2陰性でBRCA1またはBRCA2遺伝子変異があり、術後再発リスクが高い、手術が困難、あるいは再発したがんである場合には、分子標的薬による治療を検討することがあります[7]。遺伝性乳がんかどうかの判断や検査の要否は、担当医・遺伝カウンセラーとよく相談してください。
詳しい初期治療と遺伝性乳がんについては、こちらの記事もご参照ください:日本の初期乳がん治療のすべて:ASCO最新指針、遺伝性乳がん、経済的支援まで徹底解説
生存率をどう読むか:ステージと治療成績の関係
乳がん全体の5年相対生存率は92.3%(2009〜2011年診断例、女性のみ)です[3]。相対生存率とは、あるがんと診断された人が5年後に生存している割合を、性別・生まれた年・年齢分布が同じ日本人集団全体の生存割合と比べた指標で、100%に近いほど治療で生命を救えるがんであることを意味します[2]。
この92.3%は全ステージをまとめた平均値であり、実際にはステージが低いほど生存率は高く、ステージが進むほど下がる関係にあります。国立がん研究センターは「院内がん登録生存率集計結果閲覧システム」でステージ別の最新の生存率を公開していますが、この数値はグラフ形式で提供されており、本稿ではその個別の数値を正確に引用できないため、掲載を見送っています。ステージ別の詳細な数値をご確認になりたい場合は、同システムを直接ご覧いただくか、担当医にご自身の状況に応じた見通しを確認することをお勧めします[3]。
また、生存率には「実測生存率」(死因を問わずすべての死亡を計算に含めた生存率)と「相対生存率」(がん以外の死因を除き、がんのみによる死亡を計算した生存率)という2つの示し方があります。がんの治療成績を比較する際に一般に使われるのは相対生存率で、本稿で示す92.3%も相対生存率です[8]。生存率のデータは平均的、かつ確率として推測されるものであり、すべての人に当てはまる値ではない点にも留意してください[8]。
より詳しい生存率の統計や影響因子については、こちらの記事もご参照ください:日本の乳がん生存率:統計、影響因子、主体的戦略の完全ガイド
早期乳がんと進行・転移乳がんの違い
早期(0期〜IIIA期が中心)と進行・転移(IIIB期以降・IV期)では、治療の目的も薬の使い方も大きく異なるため、ここで分けて整理します。
| 項目 | 早期(0〜IIIA期が中心) | 進行・転移(IIIB〜IV期) |
|---|---|---|
| 治療の目的 | 手術による根治(がんを取りきる)[7] | 薬物療法を中心に、進行を抑える・症状を和らげる[7] |
| 手術の位置づけ | 治療の中心(乳房部分切除または全切除)[7] | 薬物療法の効果に応じて追加を検討(IIIB・IIIC期)。IV期では症状緩和目的が中心[7] |
| 薬物療法のタイミング | 術前・術後(再発予防・がん縮小が目的)[7] | 薬物療法そのものが主治療[7] |
| 遠隔転移 | なし(0〜IIIC期の定義上)[7] | IV期はあり(骨・肝臓・肺・脳など)[7] |
出典:国立がん研究センター がん情報サービス「乳がん 治療」[7]
見分けるカギ:遠隔転移(骨・肝臓・肺・脳など、乳房から離れた臓器への転移)の有無が、早期と進行・転移を分ける最も大きな境界線です。他の臓器に遠隔転移した場合も、がん細胞そのものは乳がん由来であるため、乳がんとしての治療方針が組まれます[7]。
遺伝性乳がんと散発性乳がんの違い
「遺伝性乳がん」と、遺伝によらない「散発性乳がん」では、検査の勧め方や家族への対応が異なるため分けて整理します。乳がん全体のうち遺伝性の占める割合について、今回参照した資料には明確な数値の記載が見当たりませんでした。
| 項目 | 遺伝性乳がん(HBOC) | 散発性乳がん |
|---|---|---|
| 原因 | BRCA1・BRCA2遺伝子の変異[4] | 単一の遺伝子変異によらない、複数要因の積み重ね[4] |
| 家族歴 | 第一親等に乳がん・卵巣がんの血縁者がいることが多い[4] | 家族歴がなくても発症しうる |
| 検査 | 遺伝カウンセリング+BRCA1/2遺伝子検査(条件を満たせば保険適用)[4] | 通常の病理検査(サブタイプ分類など)[7] |
| 追加で検討されること | リスク低減乳房切除術・リスク低減卵管卵巣摘出術の検討(発症前)[4] | 該当なし |
| 治療への影響 | HER2陰性でBRCA変異がある場合、分子標的薬の選択肢が広がることがある[7] | サブタイプ分類(ホルモン受容体・HER2)に基づく標準治療[7] |
出典:国立がん研究センター がん情報サービス「乳がん 予防・検診」[4]/「乳がん 治療」[7]
見分けるカギ:BRCA1・BRCA2遺伝子変異があるからといって必ず発症するとは限らず、逆に変異がなくても発症することはあります。家族に乳がん・卵巣がんになった人が複数いる、若い年齢で発症した血縁者がいるなどの場合に、遺伝カウンセリングでの相談が勧められます[4]。
妊娠・整容・治療後の生活
妊娠・出産について:治療が妊娠・出産に影響することがあります。将来子どもをもつことを希望する場合は、妊孕性(にんようせい、妊娠するための力)を温存できるかどうかを治療開始前に担当医に相談しましょう[7]。治療終了後、一定期間を経過すれば妊娠は可能ですが、使用する薬によっていつから妊娠できるかは異なるため担当医への確認が必要です[8]。
整容(アピアランスケア):乳房切除後は自家組織やシリコンなどによる乳房再建が可能です(手術と同時の一次再建、数カ月〜数年後の二次再建)。手術後は腕や肩が動かしにくい、リンパ浮腫などが起こることがあり、医師の指導のもとリハビリテーションを段階的に取り入れることが勧められます[7]。下着は傷が擦れない前開き・ノンワイヤータイプが手術直後は便利で、手術後専用の補整下着や、自治体によっては購入への助成制度もあります[8]。
経過観察:初期治療終了後3年間は3〜6カ月ごと、4〜5年目は6〜12カ月ごと、5年目以降は年1回の頻度で問診・視触診を受けることが勧められ、乳房部分切除後は年1回程度のマンモグラフィが推奨されます[8]。症状がなく経過が順調な場合、それ以上の検査を追加しても生存期間に差はないとする研究が複数報告されています[8]。
手術後の日常生活の工夫:治療した側の腕があがりにくい、腕を回しにくい、だるい、痛む、しびれる、わきの皮膚が突っ張るといった症状は、切除した範囲が広いほど起こりやすいとされます。担当医に相談の上、腕や肩の運動を段階的に取り入れることが勧められます。リンパ節郭清や放射線治療の後に腕や手がむくむリンパ浮腫は、いったん起きると治りづらいこともあるため予防が大切で、リンパ浮腫外来のある医療施設に相談する方法もあります[8]。
手術直後の下着は、傷が擦れたり締め付けられたりしないゆったりしたもの、前開きタイプ、ノンワイヤーのものが便利とされます。乳房全切除や左右差が気になる場合はパッドで調整する方法もあり、自治体によっては補整下着の購入への助成制度もあります。銭湯や温泉での入浴に不安がある場合は、貸し切り浴場や個別の洗い場がある施設を選ぶ、入浴専用肌着(入浴着)を使うといった工夫が紹介されています[8]。
性生活・妊娠について:性生活によってがんが進行することやパートナーへの感染はありませんが、薬物療法中やその後は、腟分泌物や精液に薬の成分が含まれることがあるため、パートナーへの影響を避けるためコンドームの使用が勧められます。薬は胎児に影響するため、治療中・治療終了後一定期間は避妊が必要です。治療した側のわきの下の感覚変化や、薬による腟の乾燥・粘膜萎縮で性交痛を伴うことがあり、パートナーと状況や気持ちを話し合うことが大切とされています[8]。治療終了後、一定期間を経過すれば妊娠は可能ですが、使用薬剤によっていつから可能かは異なるため担当医への確認が必要です。妊娠中に再発すると治療が難しくなることがあるため、リスクについても医師に確認しておくとよいとされています[8]。
仕事や社会復帰:がんと診断されても必ずしも仕事を辞める必要はなく、体調が落ち着いていれば仕事をしながら治療を受けることもできます。勤務時間や業務内容の調整について、上司や同僚に相談することが勧められます[8]。
食生活・運動:乳がんの再発リスクを明確に高める特定の食品はありませんが、肥満は再発リスクを高めるとされています。健康的な食生活と適度な運動を続け、肥満を避けることが勧められます[8]。詳しくはこちらもご参照ください:【乳がんと食事】治療中・治療後に「何を食べて」「何を控えるか」をわかりやすく解説
放射線治療後の生活:放射線が肺に照射されることで起こる肺炎はまれに長引くことがあり、咳・微熱が続く、息苦しさ・倦怠感・胸の痛みが残る場合は、放射線治療を受けたことを医師に伝えて相談してください。適切な治療で肺炎は治りますが、治った後も肺に影が残ることがあります。放射線があたった皮膚は汗や皮脂の分泌が減って乾燥しやすくなるため、保湿を心がけるとよいとされています[8]。
心のケア:乳がんは他のがんと比べ比較的若い年齢で発症することが多く、仕事や家族への不安が生活に影響することもあります。患者会やピアサポート、がん相談支援センターの利用も選択肢です[8]。詳しくはこちらもご参照ください:乳がん治療後の心のケア完全ガイド:再発の恐怖、うつ、外見の変化への専門的対処法のすべて
男性の乳がんについて
乳がんは女性に多いがんですが、男性にも発生することがあります。2023年の統計では、男性の新規罹患数は832例で、女性(102,592例)と比べるとまれです[2]。男性乳がんも女性と同様、多くの場合は乳管から発生し、治療の流れは基本的に女性乳がんと同じです。また、男性乳がんの予後は女性乳がんと比べて大きな差はないとされています[1]。男性でも乳房のしこりなど気になる症状があれば、「男性だから乳がんではない」と自己判断せず、乳腺科・乳腺外科を受診することが勧められます。
受診の目安:今すぐ受診か、次回検診まで様子見か
🔴 すぐに医療機関(乳腺科・乳腺外科)を受診:しこりに気付いた、乳房のひきつれがある、乳首から血性の分泌物が出る、乳首に湿疹やただれがある——これらは検診を待たず、症状として受診してください[6]。
🟡 検診で「要精密検査」と判定された:症状がなくても、必ず精密検査を受けてください。「次回の検診まで待とう」「症状がないから大丈夫」という自己判断はしないでください[6]。
🟢 症状がなく、前回の検診が「精検不要」だった:40歳以上であれば2年に1回のペースで定期的にマンモグラフィ検診を受け続けてください[4]。
受診科の目安は「乳腺科」「乳腺外科」です。標榜がない医療機関では「外科」「婦人科」でも相談できる場合がありますが、乳腺専門医のいる施設が望ましいとされています[1]。
なお、現在乳がんで治療中の人は、治療終了後にいつ検診を再開するかを主治医と相談してください。乳がん以外の乳房の疾患で治療中の人も、がん検診を受診するかどうかを主治医と相談することが勧められています[6]。また、新型コロナワクチンなど、接種後に腋窩リンパ節が腫れることがあるワクチンを接種予定の場合は、マンモグラフィ・乳房超音波検査をワクチン接種前に受けるか、接種後少なくとも6〜10週間の間隔をあけることが勧められています。ワクチン接種後すぐに検診を受ける場合は、問診時に接種歴を医師に伝えてください[4]。
日本と米国のガイドライン比較
日本乳癌学会は「患者さんのための乳癌診療ガイドライン2023年版」を公開し、初期治療・薬物療法・遺伝性乳がんなどについて日本人向けの推奨を示しています[9]。米国では米国臨床腫瘍学会(ASCO)や米国総合がん情報ネットワーク(NCCN)が診療ガイドラインを公表しています。今回参照した日本側の資料は日本乳癌学会自身の一次情報であり、米国側ガイドラインの原文は本稿執筆にあたって直接確認できていません。そのため、両者の推奨内容を項目ごとに数値で比較した表は掲載を見送ります(推測での「一致」「相違」の記載は、根拠のない断定になるため避けています)。
確認できる範囲で言えることは、日本・米国とも、ホルモン受容体・HER2・トリプルネガティブというサブタイプ分類に基づいて薬物療法を選択する考え方、40歳前後からのマンモグラフィ検診を推奨する考え方は共通しているという点です。ただし検診の推奨年齢・頻度の細部(例えば40歳からか45歳からか、毎年か2年に1回か)は国・学会によって異なることが知られており、日本国内で受診する場合は、必ず国内の指針(厚生労働省の指針に基づく対策型検診:40歳から2年に1回)に従ってください[4]。
また、ステージ分類の枠組み自体(0期〜IV期、TNM分類に基づく考え方)は国際的に共通する体系がベースになっていますが、日本国内で公表されている分類は日本乳癌学会編「臨床・病理 乳癌取扱い規約」に基づくものです[7]。海外の医療機関にかかる予定がある場合や、海外の臨床試験情報を調べる場合は、分類の版(第何版か、何年改訂か)が日本の最新版と揃っているかを確認すると、情報の取り違えを防げます。
医療費の目安
| 適用時期 | 年収の目安 | 計算式 | 100万円の場合 |
|---|---|---|---|
| ~2026年7月診療分 現行 | 年収約370万~770万円(区分ウ) | 80,100円+(医療費-267,000円)×1% | 87,430円 |
| 2026年8月診療分から 見直し後(第1段階) | 年収約370万~770万円(区分ウ) | 85,800円+1%(PDF原文の表記) | 約92,940円<br><small>(編集部試算)</small> |
| + 年間上限 53万円(新設) | |||
※「100万円の場合」の金額のうち、現行(~2026年7月)欄は出典PDFに記載の計算例そのものです。2026年8月欄について、出典PDFに印字されているのは「85,800+1%」という表記のみです。1%を乗じる基準額(現行の267,000円に相当する部分)と、100万円の場合の約92,940円は、PDFに印字されておらず、現行制度と同じ計算方法にもとづくJHO編集部試算です。正確な金額は加入されている健康保険組合等にご確認ください。
※ 制度は改定されることがあります。受診・手術の時期によって自己負担額が変わるため、最新の情報は
厚生労働省の高額療養費制度ページで必ずご確認ください。
出典:厚生労働省「高額療養費制度の在り方に関する専門委員会」(令和7年12月16日) (PDF)
|JHO確認日:2026-07-16
乳がん治療に際して受けられる経済面・生活面での支援制度(高額療養費制度、傷病手当金、患者会の助成情報など)については、日本乳癌学会の患者向けガイドラインや、がん相談支援センターでの無料相談も活用できます[9]。具体的な自己負担額は治療内容・薬剤・入院日数によって大きく異なるため、上記の目安と合わせて、必ず医療機関の医事課やがん相談支援センターでご自身の見積もりを確認してください。
治療費以外にも、手術後の補整下着・パッドの購入費(自治体によっては助成制度あり)、通院にかかる交通費、薬物療法中に仕事を休む場合の傷病手当金など、見落としやすい費用・制度があります[8]。BRCA1/2遺伝子検査についても、一定の条件を満たせば保険診療の対象になります[4]。がん相談支援センターは、がん診療連携拠点病院などに設置されており、その病院にかかっていない人でも無料・匿名で利用できる窓口です[8]。費用や制度について一人で抱え込まず、早めに相談することが勧められます。
よくある質問(FAQ)
乳がんは何人に1人がなりますか?
乳がん検診は何歳から、どのくらいの頻度で受ければよいですか?
しこりがあれば必ず乳がんですか?
マンモグラフィは痛いですか、被ばくは大丈夫ですか?
視触診や超音波だけの検診でもよいですか?
ホルモン受容体陽性・HER2陽性・トリプルネガティブは何が違いますか?
BRCA1・BRCA2の遺伝子検査は保険が使えますか?
乳房を残す手術(温存手術)と全部切除する手術、どちらが選ばれますか?
抗がん剤治療で必ず髪の毛は抜けますか?
治療後、性生活や妊娠に影響はありますか?
男性も乳がんになりますか?
乳房をすべて切除すれば再発しませんか?
手術後の経過観察はどのくらいの頻度で必要ですか?
乳がんの原因は何ですか?食生活が悪かったからですか?
非浸潤がんと浸潤がんはどう違いますか?
リンパ節を切除すると必ずリンパ浮腫になりますか?
乳がんに関する記事一覧
記事一覧 47件
症状・見分け方 3
検査・数値 2
食事・生活 4
治療・薬 28
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- 食事と運動で乳がん治療をより効果的にする方法:あなたらしい生活を送るための完全ガイド
合併症・リスク 7
その他 3
ステージ別の詳細な生存率データ、および日米ガイドラインの項目別の詳しい相違点については、今回参照した資料には数値として明記されたものが見当たりませんでした。国立がん研究センターの「院内がん登録生存率集計結果閲覧システム」や、米国側ガイドラインの一次資料を直接ご確認いただくか、担当医にご相談ください。
参考文献
- 国立がん研究センター がん情報サービス「乳がんについて」更新・確認日:2023年07月05日 ganjoho.jp/public/cancer/breast
- 国立がん研究センター がん統計「最新がん統計」更新・確認日:2026年07月14日 ganjoho.jp/reg_stat/statistics/stat/summary
- 国立がん研究センター がん統計「がん種別統計情報 乳房」更新・確認日:2026年03月23日 ganjoho.jp/reg_stat/statistics/stat/cancer/14_breast
- 国立がん研究センター がん情報サービス「乳がん 予防・検診」更新・確認日:2025年03月28日 ganjoho.jp/public/cancer/breast/prevention_screening
- 国立がん研究センター がん情報サービス「乳がん 検査」更新・確認日:2023年07月05日 ganjoho.jp/public/cancer/breast/diagnosis
- 国立がん研究センター がん情報サービス「乳がん検診について」更新・確認日:2024年09月20日 ganjoho.jp/public/pre_scr/screening/breast
- 国立がん研究センター がん情報サービス「乳がん 治療」更新・確認日:2025年06月19日(引用元:日本乳癌学会編「患者さんのための乳がん診療ガイドライン2023年版」p12・p15・p17・p41・p145、「臨床・病理 乳癌取扱い規約 第18版」2018年 p6、金原出版) ganjoho.jp/public/cancer/breast/treatment
- 国立がん研究センター がん情報サービス「乳がん 療養」更新・確認日:2025年03月28日 ganjoho.jp/public/cancer/breast/follow_up
- 日本乳癌学会「患者さんのための乳がん診療ガイドライン2023年版」2023年6月公開 jbcs.xsrv.jp/guideline/p2023
