この記事の科学的根拠
この記事は、入力された研究報告書で明示的に引用されている最高品質の医学的証拠にのみ基づいています。以下のリストには、実際に参照された情報源のみが含まれており、提示された医学的指導との直接的な関連性も示されています。
- 国立がん研究センター: 本記事における日本の皮膚がんの発生率、死亡率、生存率に関する統計データは、同センターが公表した「がん統計」に基づいています2。
- 日本皮膚科学会 & 日本皮膚悪性腫瘍学会: 基底細胞癌、有棘細胞癌、悪性黒色腫(メラノーマ)の診断、病期分類、および治療法に関するガイダンスは、これらの学会が策定した「皮膚悪性腫瘍診療ガイドライン」に基づいています4522。
- 米国がん協会 (American Cancer Society) & 米国国立がん研究所 (National Cancer Institute): メラノーマの「ABCDEルール」や病期別の治療選択肢に関する国際的な知見は、これらの組織の公開情報を参考にしています611。
- 医学学術誌 (The Lancet, Journal of Clinical Oncologyなど): 進行性メラノーマに対する免疫療法(オプジーボ、ヤーボイなど)の有効性と長期生存率に関する画期的なデータは、査読済みの主要な臨床試験の結果に基づいています910。
要点まとめ
- 皮膚がん全体の5年相対生存率は94%以上と非常に高いですが、これは最も一般的な基底細胞癌(BCC)の影響が大きいためです。危険な種類のメラノーマでは早期発見が極めて重要です1。
- 「ABCDEルール」は、危険なほくろやメラノーマの兆候を自己検診で早期に発見するための有効な手段です。非対称性、不規則な境界、色の濃淡、直径の拡大、形状の変化に注意してください6。
- 近年、ニボルマブ(オプジーボ)やイピリムマブ(ヤーボイ)といった免疫チェックポイント阻害薬の登場により、進行・転移性メラノーマの治療成績は劇的に向上し、長期生存が期待できるようになりました910。
- 皮膚がんの治療計画は、がんの種類、進行度(ステージ)、患者さん個々の状態に応じて決定されます。日本の「皮膚悪性腫瘍診療ガイドライン」が治療の基準となります22。
- 紫外線への暴露は皮膚がんの最大の危険因子です。品質の高い日本製の日焼け止めを日常的に使用し、定期的な自己検診を行うことが、最も効果的な予防策です13。
皮膚がんとは?日本の現状
まず初めに、日本の皮膚がんに関する基本的な統計を理解することは、現状を正確に把握する上で非常に重要です。国立がん研究センターが提供する最新のデータに基づくと、以下の事実が明らかになっています。これらの数値は、皮膚がんが決して稀な病気ではないこと、しかし、多くの場合、予後が良好であることを示しています。
統計指標 | データ(年) | 出典 |
---|---|---|
年間罹患数 | 25,018人 (2021年) | 国立がん研究センター2 |
年間死亡数 | 1,861人 (2023年) | 国立がん研究センター2 |
5年相対生存率 | 94.6% (2009-2011年データ) | 国立がん研究センター1 |
人口10万対罹患率 | 19.9人 (2021年) | 国立がん研究センター2 |
この94.6%という高い生存率は、一見すると非常に心強い数字です。しかし、この数字には注意深い解釈が必要です。この高い生存率は、皮膚がんの中で最も頻度が高く、転移の危険性が極めて低い「基底細胞癌(BCC)」の良好な予後が大きく反映されているためです3。一方で、より悪性度の高い「悪性黒色腫(メラノーマ)」では、発見が遅れると生命を脅かす危険性があります。このため、皮膚がんを一括りにせず、種類ごとの特徴を正しく理解し、特に早期発見の重要性を認識することが不可欠です。この記事では、そのための具体的な知識と方法を詳しく解説していきます。
早期発見が最も重要:セルフチェックの方法
皮膚がんは、他の多くの臓器がんと異なり、体の表面に発生するため、自分自身の目で見て確認できるという大きな特徴があります。これは、早期発見において極めて有利な点です。特に日本では、国が主導する大規模な皮膚がん検診プログラムが存在しないため21、国民一人ひとりが自らの皮膚に関心を持ち、定期的に自己検診(セルフチェック)を行うことが、何よりも強力な武器となります。ここでは、特に危険性の高いメラノーマを見分けるための国際的な基準「ABCDEルール」と、その他の一般的な皮膚がんの兆候について解説します。
悪性黒色腫(メラノーマ)- ABCDEルール
米国がん協会などが推奨する「ABCDEルール」は、ほくろとメラノーマを区別するための非常に有効な指針です6。ご自身のほくろやシミに以下の特徴がないか、定期的に確認しましょう。
- A (Asymmetry) – 非対称性: 通常のほくろは円形や楕円形に近い形をしていますが、メラノーマは左右非対称で、いびつな形をしていることが多いです。
- B (Border) – 境界: ほくろの縁が滑らかでなく、ギザギザしていたり、色がにじみ出しているように見える場合は注意が必要です。
- C (Color) – 色の濃淡: 色が均一でなく、黒、茶色、青、赤、白などが混じり合い、色むらがあるのが特徴です。
- D (Diameter) – 直径: 直径が6mmを超えるものは、小さいものより注意が必要です。鉛筆の端にある消しゴムの大きさが目安となります。ただし、6mm以下でもメラノーマである可能性はあります。
- E (Evolving/Elevation) – 形状の変化・隆起: 形、大きさ、色、高さなどが時間とともに変化したり、表面が隆起してきたりするものは、最も重要な危険信号です。
その他の一般的な皮膚がんの症状
メラノーマ以外にも、注意すべき皮膚がんが存在します。特に日本で頻度の高い基底細胞癌(BCC)と有棘細胞癌(SCC)の典型的な症状を知っておくことが大切です3。
- 基底細胞癌 (BCC):
- 光沢のある、半透明の結節(こぶ)や隆起
- 治りにくく、出血しやすい傷や潰瘍
- 瘢痕(きずあと)に似た、平坦で蝋のような質感の斑点
- 多くは顔や首、頭部など、日光に当たりやすい部位に発生します。
- 有棘細胞癌 (SCC):
- 赤みがかった、硬く、表面がカサカサした鱗屑(りんせつ)を伴う斑点
- 治らない潰瘍や、いぼ状の隆起
- BCCと同様に日光曝露部位に好発しますが、古い火傷の痕や傷跡から発生することもあります。
これらの症状に気づいた場合も、速やかに専門医の診察を受けることが重要です。早期であれば、ほとんどの皮膚がんは完治が可能です。
皮膚がんの主な種類と特徴
「皮膚がん」と一言で言っても、その種類は多岐にわたります。ここでは、日本で特に重要とされる3つの主要な皮膚がん、すなわち「悪性黒色腫(メラノーマ)」「基底細胞癌(BCC)」「有棘細胞癌(SCC)」について、それぞれの特徴を詳しく解説します。これらの違いを理解することは、診断の重要性と治療方針を把握する上で不可欠です。
特徴 | 悪性黒色腫(メラノーマ) | 基底細胞癌(BCC) | 有棘細胞癌(SCC) |
---|---|---|---|
日本での頻度 | 比較的まれ | 最も一般的3 | 2番目に一般的3 |
好発部位 | 足の裏、手のひら、爪、全身 | 顔、頭部(日光曝露部) | 日光曝露部(頭、顔)、古い瘢痕 |
主な症状 | ABCDEルールに合致するほくろ | 光沢のある結節、瘢痕様の局面、出血しやすい | 鱗屑を伴う赤い局面、治らない潰瘍 |
転移のリスク | 高い6 | 極めてまれ4 | 低いがBCCよりは高い |
悪性黒色腫(メラノーマ)
メラノーマは、皮膚の色素を作る細胞(メラノサイト)ががん化したもので、皮膚がんの中では最も悪性度が高いとされています6。日本人では、欧米人と異なり、足の裏や手のひら、爪の下など、日光にあまり当たらない場所に発生する「末端黒子型黒色腫」が多いという特徴があります23。進行が速く、早期にリンパ節や他の臓器に転移する可能性があるため、何よりも早期発見・早期治療が予後を大きく左右します。
基底細胞癌(BCC)
基底細胞癌は、日本で最も発生頻度の高い皮膚がんです3。皮膚の最も浅い層である表皮の基底層や毛包を構成する細胞から発生します。日本皮膚科学会のガイドラインによると、BCCは通常、ゆっくりと増殖し、他の臓器に転移することは極めてまれです4。このため、生命を脅かすことは少ないですが、局所的に組織を破壊しながら進行するため、放置すると鼻や耳、眼瞼などが変形する可能性があります。高齢者の顔面、特に鼻の周りによく見られます。
有棘細胞癌(SCC)
有棘細胞癌は、日本で2番目に多い皮膚がんで、表皮の有棘層を構成する細胞から発生します3。長年にわたる紫外線への曝露が主な原因とされ、日光角化症(前がん病変)から移行することがあります。BCCよりは転移のリスクが高いものの、その頻度は高くありません。しかし、唇や耳、あるいは免疫力が低下している患者さんに発生した場合は、より攻撃的になることがあります5。
その他の稀な皮膚がん
上記以外にも、メルケル細胞癌、乳房外パジェット病、皮膚血管肉腫など、さらに稀な皮膚がんが存在します3。これらは発生頻度が低いものの、専門的な診断と治療を要するため、皮膚の異常に気づいた際には専門医に相談することが重要です。
日本における専門的な診断プロセス
皮膚に疑わしい病変を見つけた場合、皮膚科を受診すると専門的な診断プロセスが始まります。診断を確定し、適切ながんの進行度(ステージ)を判断することは、最善の治療法を選択するための基礎となります。ここでは、日本の医療機関で行われる標準的な診断手順を解説します。
視診とダーモスコピー
まず、医師は病変部を肉眼で詳細に観察します(視診)。その後、多くの場合「ダーモスコピー」という検査が行われます20。ダーモスコピーは、ダーモスコープと呼ばれる特殊な拡大鏡を用いて皮膚の表面を観察する、非侵襲的(体を傷つけない)で痛みのない検査です。これにより、皮膚の表面下の色素の分布や血管のパターンを詳細に見ることができ、良性のできものと悪性腫瘍、特にメラノーマとの鑑別の精度を大幅に向上させることができます。
皮膚生検
ダーモスコピー検査などで悪性の疑いが強まった場合、診断を確定するために「皮膚生検」が行われます20。これは、局所麻酔をした上で病変の一部または全部を採取し、顕微鏡で病理組織学的な検査を行うものです。生検にはいくつかの方法があります。
- シェービング生検(剃毛生検): 病変の表面を薄く削り取る方法。
- パンチ生検(穿孔生検): 特殊な円筒状のメスで病変をくり抜く方法。
- 切除生検: 病変全体を周囲の正常な皮膚を含めて切除する方法。メラノーマが強く疑われる場合に行われます。
この病理診断によって、がん細胞の有無、がんの種類(メラノーマ、BCC、SCCなど)、および悪性度などが最終的に確定します。
病期(ステージ)診断
がんの種類が確定したら、次はその広がり具合、すなわち「病期(ステージ)」を決定します。これは、がんが原発巣に留まっているか、リンパ節や他の臓器に転移しているかを調べるプロセスです20。ステージによって治療方針が大きく異なるため、この段階は非常に重要です。
- 画像診断: CT、MRI、PET検査などの画像診断を用いて、リンパ節や内臓への転移の有無を調べます。
- センチネルリンパ節生検: メラノーマの場合、がん細胞が最初にたどり着くと考えられるリンパ節(センチネルリンパ節)を特定し、切除して転移の有無を調べる検査が行われることがあります。この検査は、目に見えない微小な転移を発見するために重要です。
これらの検査結果を総合的に評価し、最終的なステージ(通常はステージ0からステージIVまで)が決定され、それに基づいた治療計画が立てられます。
治療の可能性:ステージ別の最新治療法ガイド
皮膚がんの治療法は、がんの種類、進行度(ステージ)、そして患者さん一人ひとりの健康状態や希望に基づいて、個別化された計画が立てられます。特にメラノーマの治療は、近年の免疫療法の登場により劇的な進歩を遂げています。本項では、主に日本の「皮膚悪性腫瘍診療ガイドライン」22や国際的な指針11を基に、メラノーマのステージ別治療法を解説します。
ステージ | 主な治療法 | 補助療法・追加治療 |
---|---|---|
ステージ 0 (in situ) | 外科的切除(広範切除) | 経過観察 |
ステージ I-II | 外科的切除(広範切除)。症例によりセンチネルリンパ節生検 | 再発高リスクのステージIIでは、術後補助療法として免疫療法(ペムブロリズマブなど)を検討11 |
ステージ III | 外科的切除(広範切除およびリンパ節郭清) | 術後補助療法として免疫療法(ニボルマブ、ペムブロリズマブ)または分子標的薬(BRAF/MEK阻害薬、変異がある場合)22 |
ステージ IV (転移性) | 免疫療法(ニボルマブ+イピリムマブ併用、ペムブロリズマブなど)、分子標的薬 | 特定の転移巣に対する緩和的な手術や放射線治療 |
ステージ 0-II: 完治を目指す外科治療
がんが皮膚の原発巣に留まっている、またはごく近くに限局している早期の段階では、外科手術による完全な切除が治療の基本となり、これにより完治が期待できます。手術では、がん細胞の取り残しを防ぐため、目に見える病変だけでなく、その周囲の正常に見える皮膚も一定のマージン(安全域)をつけて切除します(広範切除術)。
ステージ III: 再発を防ぐための補助療法
がんが所属リンパ節に転移しているステージIIIでは、原発巣の切除と転移のあるリンパ節の郭清(切除)が行われます。しかし、手術だけでは目に見えない微小ながん細胞が体内に残っている可能性があるため、再発のリスクを減らす目的で「術後補助療法」が強く推奨されます22。現在、標準的な補助療法として、ニボルマブ(オプジーボ)などの免疫チェックポイント阻害薬や、BRAF遺伝子変異がある場合にはダブラフェニブとトラメチニブの併用などの分子標的薬が用いられます。
ステージ IV/転移性: 免疫療法がもたらした革命
がんが遠隔臓器(肺、肝臓、脳など)に転移しているステージIVは、かつては治療が非常に困難でした。しかし、ここ10年で状況は一変しました。ニボルマブ(オプジーボ)とイピリムマブ(ヤーボイ)の併用療法をはじめとする免疫チェックポイント阻害薬の登場は、メラノーマ治療に革命をもたらしました9。これらの薬剤は、がん細胞によって抑制されていた患者さん自身の免疫システム(T細胞)を再活性化させ、がんと闘う力を取り戻させます。近年の長期追跡調査では、この併用療法により、進行性メラノーマ患者の6.5年生存率が49%に達したことが報告されており9、10年生存率も43%と、持続的な効果が示されています10。これは、かつて考えられなかったほどの治療成績の向上であり、多くの患者さんに希望を与えています。
生存率と予後:最新データに基づく解説
生存率は、がんの診断を受けた患者さんやご家族にとって最も関心の高い情報の一つです。しかし、この数字はあくまで統計的な平均値であり、個々の患者さんの未来を決定するものではないことを理解することが重要です。ここでは、最新のデータを基に、皮膚がんの生存率について、希望と早期発見の重要性という二つの側面から解説します。
全体像:高い生存率が示す希望
前述の通り、日本における皮膚がん全体の5年相対生存率は94.6%と非常に高い水準です1。これは、皮膚がんの多くが、転移しにくく治療しやすい基底細胞癌や、早期に発見された有棘細胞癌であることを反映しています。この事実は、皮膚に異常を見つけても過度に悲観する必要はない、という重要なメッセージを伝えています。
メラノーマ:早期発見の緊急性を示すデータ
一方で、悪性黒色腫(メラノーマ)に絞って見ると、ステージ(病期)によって予後は大きく異なります。2010年から2014年のデータによると、ステージIVのメラノーマの5年生存率はわずか8.3%でした18。この厳しい数字は、メラノーマがいかに進行の速い危険ながんであるか、そして、がんが広がる前に発見し治療を開始することがいかに重要であるかを物語っています。
これらのデータを総合すると、皮膚がんに対する基本的な姿勢が見えてきます。それは、「冷静に、しかし迅速に」ということです。多くの皮膚がんは治癒可能ですが、危険な種類も存在します。だからこそ、定期的な自己検診で早期発見に努め、異常があればすぐに専門医を受診することが、自らの命を守るための最善の行動なのです。
皮膚がんの予防:日本の文化と最新対策
皮膚がんの最大の危険因子は、太陽光に含まれる紫外線(UV)への過剰な曝露です。幸いなことに、紫外線対策は日々の心がけで実践できる、最も効果的な予防法です。特に日本では、独自の文化と技術の発展により、効果的かつ快適な紫外線対策が可能です。
日焼け止めの力:日本の文化と技術
日本の日焼け止め製品は、その品質の高さ、使用感の良さで世界的に評価されています13。高いSPF/PA値を持ちながら、白浮きせず、軽やかで肌に優しいテクスチャーの製品が数多く開発されており、これは毎日の使用を容易にします。かつて「日焼け防止」が主目的だった日焼け止めは、現在では「一年を通じた美容ケア」の一環として定着しつつあります37。この文化的な背景は、皮膚がん予防において大きな強みです。季節を問わず、外出時には顔や首、手足など、露出する部分に日焼け止めを塗る習慣をつけましょう。
日焼け止め以外の紫外線対策
日焼け止めだけに頼らず、物理的な対策を組み合わせることで、予防効果はさらに高まります。
- 衣服による保護: 長袖、長ズボン、つばの広い帽子を着用する。近年では、UVカット機能を備えた衣類も普及しています。
- 日陰を利用する: 紫外線が最も強くなる午前10時から午後2時の時間帯は、できるだけ屋外での長時間の活動を避け、日陰を利用しましょう。
- サングラスの着用: 目や目の周りのデリケートな皮膚を紫外線から守ります。
定期的な自己検診の再確認
予防策を講じると同時に、月に一度は全身の皮膚をチェックする習慣を持つことが重要です。本記事の「早期発見」の項で解説した方法で、新しいほくろやシミ、既存のものの変化がないかを確認し、早期発見につなげましょう。
日本での専門医・医療機関の探し方
皮膚がんの疑いがある場合や、診断・治療を進める上で、信頼できる専門家や医療機関を見つけることは非常に重要です。ここでは、日本国内で専門的なケアを受けるための具体的な方法を案内します。
専門医を探す
皮膚がんの診療は、主に「皮膚科医」が担当しますが、より専門的な知識と経験を持つ「皮膚腫瘍科医」または「皮膚悪性腫瘍指導専門医」を探すことが望ましいです。日本皮膚科学会は、厳しい基準を満たした医師を専門医として認定しており、これらの資格を持つ医師は、皮膚がんの診断と治療におけるエキスパートです14。学会のウェブサイトなどで専門医のリストを確認することができます。
主要な医療機関
専門的な治療やセカンドオピニオンを求める場合、がん診療連携拠点病院やがん専門病院を受診することが推奨されます。これらの病院は、手術、放射線治療、薬物療法など、集学的な治療を提供できる体制が整っています。
- 国立がん研究センター中央病院: 日本のがん研究と治療をリードする中心的な機関です。皮膚腫瘍科があり、最新の治療や臨床試験を数多く実施しています38。
- がん研究会有明病院(がん研有明病院): がん専門の民間病院として高い評価を受けており、皮膚腫瘍科では豊富な診療実績があります15。
これらの機関のウェブサイトには、診療科の案内や受診方法が詳しく記載されています。
患者支援団体
同じ病気を経験した人々と情報を交換したり、精神的なサポートを得たりすることも、治療を乗り越える上で大きな助けとなります。日本には、メラノーマ患者さんのための支援団体が存在します。
- Over The Rainbow
- シェスタ会
これらの団体の活動については、ウェブサイトなどで確認できます26。専門家からの情報とは別に、患者ならではの視点からの経験やアドバイスを得られる貴重な場です。
よくある質問
Q1: 皮膚がんは遺伝しますか?
A1: ほとんどの皮膚がんは遺伝性ではなく、主に紫外線への曝露などの後天的な要因によって引き起こされます。しかし、家族内にメラノーマの患者さんが複数いる場合(家族性黒色腫)、遺伝的な素因が関与している可能性があり、リスクが通常より高くなることがあります。ご家族に皮膚がんの既往歴がある場合は、そのことを医師に伝え、定期的な皮膚科検診を受けることが推奨されます。
Q2: ほくろが多いと皮膚がんになりやすいですか?
A2: 身体にあるほくろ(母斑)の数が多いこと自体が、直接的にがん化しやすいというわけではありません。しかし、統計的には、ほくろの数が多い人はメラノーマを発症するリスクが若干高いとされています。重要なのは、ほくろの数そのものよりも、個々のほくろに「ABCDEルール」で示されるような変化がないかを定期的に観察することです。新しいほくろができたり、既存のほくろが変化したりした場合は、専門医の診察を受けてください6。
Q3: 子どもの皮膚がんの可能性はありますか?
A3: 子どもが皮膚がんを発症することは非常にまれです。しかし、リスクがゼロというわけではありません。皮膚がんのリスクは生涯にわたる紫外線の蓄積量と関連しているため、子どもの頃からの紫外線対策が将来の皮膚がん予防に極めて重要です。日焼け止めを塗る、帽子をかぶる、日差しの強い時間帯の外出を避けるなどの習慣を、幼い頃から身につけさせることが大切です。
Q4: 治療後の生活で気をつけることは何ですか?
A4: 皮膚がんの治療後は、再発や新しいがんの発生に注意するため、医師の指示に従って定期的なフォローアップ検診を受けることが最も重要です。また、治療後も生涯を通じて紫外線対策を徹底することが推奨されます。これには、日焼け止めの日常的な使用、UVカット機能のある衣服や帽子の着用などが含まれます。さらに、月に一度の自己検診を継続し、皮膚に新しい変化がないかを確認する習慣を続けましょう。
結論
本記事を通じて、JAPANESEHEALTH.ORG編集部は、皮膚がんに関する最新かつ信頼性の高い情報を提供してまいりました。最も重要なメッセージを改めて強調します。第一に、早期発見は文字通り命を救います。定期的な自己検診は、誰にでもできる最も強力な防御策です。第二に、皮膚がん治療、特に進行性メラノーマの治療は、この10年で劇的に進歩しました。かつては治療困難とされた状況でも、免疫療法などの新しい選択肢が長期生存という希望をもたらしています。そして第三に、予防は治療に勝ります。紫外線から皮膚を守るというシンプルな習慣が、将来のリスクを大幅に低減させます。
もしあなたがご自身の皮膚の変化に気づいたなら、どうかためらわずに専門医の扉を叩いてください。正しい知識を武器に、ご自身の健康と主体的に向き合うことが、明るい未来への第一歩となることを、私たちは心から願っています。
参考文献
- 株式会社ピーカブー. 欧米人と日本人の皮膚がんになる確率の比較. エポカル. [引用日: 2025年7月22日]. Available from: https://epochal.co.jp/%E6%AC%A7%E7%B1%B3%E4%BA%BA%E3%81%A8%E6%97%A5%E6%9C%AC%E4%BA%BA%E3%81%AE%E7%9A%AE%E8%86%9A%E3%81%8C%E3%82%93%E3%81%AB%E3%81%AA%E3%82%8B%E7%A2%BA%E7%8E%87%E3%81%AE%E6%AF%94%E8%BC%83/
- 国立がん研究センター. 皮膚:[国立がん研究センター がん統計]. がん情報サービス. [引用日: 2025年7月22日]. Available from: https://ganjoho.jp/reg_stat/statistics/stat/cancer/13_skin.html
- 国立がん研究センター. 皮膚腫瘍. 希少がんセンター. [引用日: 2025年7月22日]. Available from: https://www.ncc.go.jp/jp/rcc/about/skin_tumor/index.html
- 日本皮膚科学会. 日本皮膚科学会ガイドライン 皮膚悪性腫瘍診療ガイドライン第3版 基底細胞癌診療ガイドライン. 2018. [引用日: 2025年7月22日]. Available from: http://skincancer.jp/info_bcc_text200918.pdf
- 日本皮膚科学会. 皮膚がん診療ガイドライン第4版 有棘細胞癌診療ガイドライン 2025. 2025. [引用日: 2025年7月22日]. Available from: https://www.dermatol.or.jp/uploads/uploads/files/guideline/yuukyoku2025.pdf
- 株式会社CellCloud. 皮膚がんとほくろ(ホクロ)の見分け方は?悪性腫瘍との違いや検査・治療方法を解説. [引用日: 2025年7月22日]. Available from: https://micro-ctc.cellcloud.co.jp/column/skin-cancer-mole
- Novartis. メラノーマ. [引用日: 2025年7月22日]. Available from: https://www.novartis.com/jp-ja/sites/novartis_jp/files/support-for-patients-melanoma-oncolo.pdf
- 関東中央病院. 皮膚科医が皮膚がんを疑うとき|病気のはなし. [引用日: 2025年7月22日]. Available from: https://www.kanto-ctr-hsp.com/story_of_illness/story_of_illness-336/
- 小野薬品工業. 6.5年の追跡調査で、オプジーボとヤーボイの併用療法が進行悪性黒色腫患者において引き続き持続的な長期生存ベネフィットを示す. 2021. [引用日: 2025年7月22日]. Available from: https://www.ono-pharma.com/ja/news/20210520_1.html
- 小野薬品工業. ブリストル マイヤーズ スクイブ、進行悪性黒色腫においてオプジーボとヤーボイの併用療法が継続して持続的な長期生存ベネフィットを示したCheckMate -067試験の10年間の追跡調査の結果を発表. 2024. [引用日: 2025年7月22日]. Available from: https://www.ono-pharma.com/ja/news/20240918.html
- American Cancer Society. Treatment of Melanoma Skin Cancer, by Stage. [引用日: 2025年7月22日]. Available from: https://www.cancer.org/cancer/types/melanoma-skin-cancer/treating/by-stage.html
- 在フランス日本国大使館. 73 日本の日焼止め事情. 2020. [引用日: 2025年7月22日]. Available from: https://www.fr.emb-japan.go.jp/files/100219725.pdf
- Y’s & Partners. 日本の日焼け止めが世界を変える5つの理由。. [引用日: 2025年7月22日]. Available from: https://ysandpartners.com/jp/blog/5-reasons-japanese-sunscreens-are-game-changing/
- 日本医事新報社. 【人】山本明史さん「皮膚がんの専門医を全国に増やしたい」. [引用日: 2025年7月22日]. Available from: https://www.jmedj.co.jp/journal/paper/detail.php?page=2&id=1144
- がん研究会. 皮膚腫瘍科|がん研有明病院. [引用日: 2025年7月22日]. Available from: https://www.jfcr.or.jp/hospital/department/clinic/disease/dermatological/index.html
- プレシジョン・メディシン. 皮膚がん(悪性黒色腫以外):原因は?日焼けとの関係は?検査や治療は?. [引用日: 2025年7月22日]. Available from: https://www.premedi.co.jp/%E3%81%8A%E5%8C%BB%E8%80%85%E3%81%95%E3%82%93%E3%82%AA%E3%83%B3%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%83%B3/h00825/
- 古林形成外科札幌院. 基底細胞がんの治療は古林形成外科札幌院. [引用日: 2025年7月22日]. Available from: https://sapporo-keisei.net/basalcellcarcinoma/
- レナサイエンス. 固形がん:悪性黒色腫治療薬. [引用日: 2025年7月22日]. Available from: https://www.renascience.co.jp/pipline/pai_1/melanoma/
- 大阪がんクリニック. ステージ1 皮膚がん「早期発見から治療、生活習慣までの包括的ガイド」. [引用日: 2025年7月22日]. Available from: https://gan-medical-chiryou.com/cancer-knowledge/skin-cancer-stage1/
- 久留米大学病院. 皮膚がん|がん診療の特色と実績(院内がん登録). [引用日: 2025年7月22日]. Available from: https://www.hosp.kurume-u.ac.jp/medical/section/syuyou/medical_care_system/care/result_019.html
- 山陰中央新報. がん検診と共生の輪を広げようキャンペーン2025. [引用日: 2025年7月22日]. Available from: https://gankenshin-sanin-chuo.com/
- 金原出版. 皮膚悪性腫瘍診療ガイドライン 第3版. [引用日: 2025年7月22日]. Available from: https://www.kanehara-shuppan.co.jp/books/detail.html?isbn=9784307400619
- 日本皮膚悪性腫瘍学会. 皮膚がん診療ガイドライン第4版 メラノーマ診療ガイドライン 2025. 2025. [引用日: 2025年7月22日]. Available from: http://www.skincancer.jp/melanoma2025_250220.pdf
- 株式会社CellCloud. 皮膚がんの症状・種類や原因とは?ほくろとの違いや悪性腫瘍の…. [引用日: 2025年7月22日]. Available from: https://micro-ctc.cellcloud.co.jp/column/skin-cancer-symptoms
- Hendi A, Wysong A, Hoover E. Malignant Melanoma. In: StatPearls. Treasure Island (FL): StatPearls Publishing; 2024. [引用日: 2025年7月22日]. Available from: https://www.ncbi.nlm.nih.gov/books/NBK470409/
- 日本医事新報社. 悪性黒色腫(メラノーマ)|電子コンテンツ. [引用日: 2025年7月22日]. Available from: https://www.jmedj.co.jp/premium/treatment/2017/d140707/
- 日本皮膚科学会. 皮膚悪性腫瘍診療ガイドライン第3版 基底細胞癌診療ガイドライン…. [引用日: 2025年7月22日]. Available from: https://www.dermatol.or.jp/uploads/uploads/files/guideline/basal_cell_carcinoma.pdf
- YouTube. 第23回 皮膚がん―基底細胞がん・皮膚血管肉腫・メルケル細胞がん. [引用日: 2025年7月22日]. Available from: https://www.youtube.com/watch?v=2dChIljCgWk
- オムロン ヘルスケア. 紫外線増加で増えているメラノーマ(悪性黒色腫)|健康・医療トピックス. [引用日: 2025年7月22日]. Available from: https://www.healthcare.omron.co.jp/resource/column/topics/38.html
- National Cancer Institute. Melanoma Treatment (PDQ®)–Patient Version. [引用日: 2025年7月22日]. Available from: https://www.cancer.gov/types/skin/patient/melanoma-treatment-pdq
- National Cancer Institute. Melanoma Treatment (PDQ®)–Health Professional Version. [引用日: 2025年7月22日]. Available from: https://www.cancer.gov/types/skin/hp/melanoma-treatment-pdq
- Tawbi HA, et al. Systemic Therapy for Melanoma: ASCO Guideline Update. J Clin Oncol. 2024;42(1):97-122. doi:10.1200/JCO.23.01136. Available from: https://ascopubs.org/doi/10.1200/JCO.23.01136
- American Cancer Society. Survival Rates for Melanoma Skin Cancer. [引用日: 2025年7月22日]. Available from: https://www.cancer.org/cancer/types/melanoma-skin-cancer/detection-diagnosis-staging/survival-rates-for-melanoma-skin-cancer-by-stage.html
- YouTube. Melanoma Statistics | Did You Know?. [引用日: 2025年7月22日]. Available from: https://www.youtube.com/watch?v=DS9eIhcuWEM
- Filip-Ciubotaru F, et al. Analysis and prediction of 5-year survival in patients with cutaneous melanoma. Sci Rep. 2023;13(1):22639. doi:10.1038/s41598-023-49935-7. Available from: https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC10731280/
- Filip-Ciubotaru F, et al. Analysis and prediction of 5-year survival in patients with cutaneous…. [引用日: 2025年7月22日]. Available from: https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/38125787/
- 株式会社ミンテルジャパン. 【レポート】紫外線が増加する季節到来!日本の日焼け止め市場、単なる”日焼け防止”から”年中の美容ケア”へと進化. PR TIMES. 2023. [引用日: 2025年7月22日]. Available from: https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000076.000072766.html
- 国立がん研究センター中央病院. 皮膚腫瘍科. [引用日: 2025年7月22日]. Available from: https://www.ncc.go.jp/jp/ncch/clinic/dermatology/index.html