この記事の科学的根拠
この記事は、入力された研究報告書で明示的に引用されている最高品質の医学的根拠にのみ基づいています。以下は、実際に参照された情報源とその医学的指導との直接的な関連性を示すリストです。
要点まとめ
- 腟カンジダ症は女性の約75%が経験する一般的な疾患で、体内の常在菌「カンジダ菌」のバランスが崩れることで発症します。性感染症ではありません。
- 主な症状は「強いかゆみ」と「カッテージチーズ状のおりもの」ですが、自己判断は危険です。初めての症状や不安な場合は必ず婦人科を受診してください。
- 原因は免疫力の低下、抗生物質の使用、ホルモンバランスの変化、不適切な生活習慣など多岐にわたります。
- 治療は抗真菌薬の腟錠が基本です。市販薬は「医師に診断されたことがある人の再発」にのみ使用可能で、薬剤師への相談が必須です。
- 再発予防には、デリケートゾーンの通気性を保つ、洗いすぎない、糖質を控える、十分な休養を取るなどの生活習慣の改善が不可欠です。
もしかして腟カンジダ?見逃せない7つの危険信号とセルフチェック
デリケートゾーンに異変を感じたとき、それが腟カンジダ症なのかどうかを判断するための重要なサインがいくつかあります。以下に挙げる特徴的な症状を理解し、ご自身の状態と照らし合わせてみましょう。
腟カンジダ症の主な症状
我慢できないほどの強いかゆみ(激しい、強いかゆみ)
最も代表的な症状は、外陰部や腟の耐えがたいかゆみです。時には「痛がゆい」と表現されるほどの強い不快感を伴うこともあります3。
特徴的なおりものの変化(特徴的なおりもの)
おりものの見た目や質が変化します。白く濁り、ポロポロとした塊状になるのが特徴で、具体的には以下のように表現されます3。
- カッテージチーズ状
- 酒かす状
- ヨーグルト状
- 粥(おかゆ)状
ヒリヒリとした灼熱感や痛み(灼熱感、刺激感、痛み)
外陰部や腟にヒリヒリとした灼熱感や刺激感を覚えることがあります。特に排尿時や性交時に痛みが強くなることも少なくありません3。
外陰部の赤みと腫れ(発赤・腫脹)
横浜市衛生研究所の情報によると、炎症によって、外陰部や腟の粘膜が赤く腫れることがあるとされています4。
これらの症状は、月経前の一週間に悪化する傾向が見られるとMSDマニュアル家庭版は指摘しています5。
セルフチェックリスト
ご自身の症状を客観的に確認するために、以下のリストをご活用ください。
- [ ] 外陰部に、我慢できないほどの強いかゆみがある
- [ ] おりものが白く濁り、ポロポロとした塊(カッテージチーズや酒かすのような)になっている
- [ ] おりものの量が増えた
- [ ] 外陰部や腟に、ヒリヒリとした灼熱感や痛みがある
- [ ] 排尿時に痛みを感じる
- [ ] 性交時に痛みを感じる
- [ ] 外陰部が赤く腫れている
【重要】症状だけでは断定できない理由:他の疾患との見分け方
注意すべき最も重要な点は、上記の症状だけで腟カンジダ症と自己判断するのは危険であるということです。国際的な診療ガイドラインでも、症状のみで腟炎の原因を確実に特定することはできないと指摘されています6。なぜなら、細菌性腟症やトリコモナス腟炎、性器ヘルペスといった他の疾患も、非常によく似た症状を示すことがあるからです3。
間違った自己判断は、不適切な治療につながり、症状を悪化させたり、本来治療すべき疾患の発見を遅らせたりする可能性があります。特に初めて症状を経験した場合や、症状に確信が持てない場合は、必ず医療機関を受診してください。
以下の比較表は、ご自身の症状を客観的に評価し、医師に相談する際の参考情報としてお役立てください。
疾患 | 主な症状:かゆみ | おりものの特徴 | におい | その他 |
---|---|---|---|---|
腟カンジダ症 | 非常に強い | 白く濁り、ポロポロしている(酒かす、カッテージチーズ状) | ほとんどない | 灼熱感、刺激感、性交痛 |
細菌性腟症 | 軽度~強い場合もある | 灰色がかった水っぽいおりもの | 魚が腐ったような強い臭い(アミン臭) | 刺激感 |
トリコモナス腟炎 | 強い | 泡状で黄緑色、強い悪臭 | 強い悪臭 | 灼熱感、刺激感 |
この表は、症状の傾向を理解するためのものであり、診断を確定するものではありません。正確な診断は、医師による診察と検査によってのみ可能です3。
なぜ繰り返す?腟カンジダ症を引き起こす8つの主な原因
腟カンジダ症は、特別な病原菌が新たに侵入して起こるのではなく、もともと私たちの体に住んでいる「カンジダ菌」という常在菌が、何らかのきっかけで異常に増殖することによって発症します。健康な状態では、腟内の善玉菌である乳酸菌などがカンジダ菌の増殖を抑え、バランスを保っています。しかし、このバランスが崩れると、カンジダ症の症状が現れるのです。
では、そのバランスを崩す「きっかけ」とは何でしょうか。ここでは、腟カンジダ症を引き起こす主な8つの原因を詳しく解説します。
- 免疫力の低下
ストレス、過労、睡眠不足、風邪などで体力が落ちると、体の抵抗力、すなわち免疫力が低下します2。免疫システムは、体内の常在菌のバランスを監視する重要な役割を担っています。この機能が弱まると、カンジダ菌が優勢になり、増殖しやすくなります。 - 抗生物質(抗菌薬)の使用
風邪や他の感染症の治療で処方される広域抗生物質は、病原菌だけでなく、腟内の環境を守っている善玉菌(乳酸菌など)まで殺してしまいます2。これにより腟内の菌叢(フローラ)が乱れ、カンジダ菌が抑制から解放されて一気に増殖する、これは非常に一般的な発症の引き金です。 - ホルモンバランスの変化
女性の体は、生涯を通じてホルモンの波に影響を受けます。特に、妊娠、月経前、経口避妊薬(ピル)の服用などにより、女性ホルモンであるエストロゲンのレベルが上昇すると、腟内のグリコーゲン(糖の一種)が増加し、カンジダ菌の栄養源となります2。実際に、妊娠中の女性は非妊娠時に比べてカンジダ菌の保菌率が高くなることが報告されています(妊娠時30%、非妊娠時15%)2。 - 高温多湿な環境
カンジダ菌はカビの一種であり、暖かく湿った環境を好みます。通気性の悪い合成繊維の下着、締め付けの強いスキニージーンズやストッキングの着用、濡れた水着や汗をかいた衣類を長時間身につけること、生理用ナプキンやおりものシートをこまめに交換しないことなどは、デリケートゾーンを蒸れた状態にし、カンジダ菌にとって絶好の増殖環境を作り出してしまいます7。 - 不適切な衛生管理
清潔を保とうとするあまり、石鹸でデリケートゾーンをゴシゴシ洗いすぎたり、ビデやシャワーで腟内まで洗浄(腟洗浄)したりすると、腟の自浄作用を担う善玉菌まで洗い流してしまい、かえって常在菌のバランスを崩す原因となります8。また、トイレの後に後ろから前へ拭く習慣があると、肛門周辺にいる腸内のカンジダ菌を腟へ運んでしまう可能性があります9。 - 基礎疾患の影響
特に血糖コントロールが不十分な糖尿病は、大きなリスク因子です。血液や体液中の糖分濃度が高い状態が続くと、それがカンジダ菌の栄養となり、増殖を促進してしまいます5。その他、HIV感染症など、免疫機能を低下させる疾患もカンジダ症のリスクを高めます4。 - 食生活の乱れ
カンジダ菌は糖質をエネルギー源として増殖します。そのため、甘いお菓子や清涼飲料水、精製された炭水化物を過剰に摂取する食生活は、カンジダ菌の増殖を助長し、発症や再発の危険性を高める可能性があります8。 - 性行為
腟カンジダ症は古典的な性感染症とは見なされていませんが、性行為が発症の一因となることはあります。性行為によってパートナーからカンジダ菌が持ち込まれたり、オーラルセックスを介して口腔内のカンジダ菌が移行したりすることで、腟内の菌バランスが乱れるきっかけになることがあります4。
これらの原因は、単独で作用するだけでなく、互いに影響し合い、特に再発を繰り返す方においては「負の連鎖」を生み出すことがあります。例えば、抗生物質の使用で一度発症すると、その不快感や痛みからくるストレスがさらに免疫力を低下させます10。そして、清潔にしたいという思いから過剰に洗浄してしまい、腟内環境をさらに悪化させる8…という悪循環に陥るのです。この連鎖を断ち切るためには、単に症状を抑えるだけでなく、背景にある生活習慣全体を見直すという、より包括的な視点が重要になります。
腟カンジダ症の正しい治し方:病院の治療と市販薬の全知識
腟カンジダ症の治療には、医療機関で処方される薬と、薬局・ドラッグストアで購入できる市販薬(OTC医薬品)があります。しかし、どちらを選ぶべきかは、ご自身の状況によって明確に異なります。ここでは、正しい治療法を選択するための知識を、順を追って詳しく解説します。
A. 初めての症状・再発でも不安な時:まずは婦人科受診が原則
デリケートゾーンに初めて異常を感じた場合、あるいは再発であっても症状がいつもと違う、不安が強いといった場合には、自己判断せず、必ず婦人科または産婦人科を受診してください。 これが最も重要で安全な原則です。
なぜ医師の診断が必要なのか?
理由は、前述の通り、似た症状を持つ他の疾患との正確な鑑別が必要だからです。医師は、問診に加えて、おりものを少量採取し、顕微鏡でカンジダ菌の有無を確認する「検鏡検査」や、菌を培養して種類を特定する「培養検査」を行います3。これにより、確実な診断を下すことができます。
特に、治療してもなかなか治らない、あるいは頻繁に再発する場合には、フルコナゾールなどの一般的な抗真菌薬が効きにくい非アルビカンス・カンジダ種(例:Candida glabrata)が原因である可能性も考えられます6。この場合、培養検査で菌種を特定することが、効果的な治療法を選択する上で不可欠となります。
B. 病院で処方される治療薬(医療用医薬品)
医療機関では、主に「局所療法(外用薬)」と「全身療法(内服薬)」の2つのアプローチで治療が行われます。
- 局所療法(腟錠・クリーム):腟内に直接薬剤を投与する腟錠(腟坐剤)が治療の基本です。外陰部のかゆみが強い場合には、塗り薬(クリーム)が併用されます。副作用が少なく、妊娠中でも安全に使用できるのが大きな利点です4。
- 全身療法(内服薬):経口で服用する抗真菌薬です。1回の服用で済むなど利便性が高い一方で、まれに吐き気や頭痛などの副作用が起こる可能性があり、特に妊娠中や授乳中は使用できません(禁忌)5。
どちらの治療法を選択するかは、症状の程度、妊娠の有無、患者の希望などを考慮して医師が判断します。
薬剤の種類 | 一般名 | 主な商品名 | 用法 | 特徴・注意点 |
---|---|---|---|---|
腟錠 (連日投与) | クロトリマゾール、オキシコナゾール硝酸塩など | エンペシド®、オキナゾール®100mgなど | 1日1回、就寝前に6日間連続で腟内に挿入 | 最も標準的な治療法。臨床報告で高い治療効果が示されている4。 |
腟錠 (週1回投与) | イソコナゾール硝酸塩、オキシコナゾール硝酸塩 | アデスタン®腟錠300mg、オキナゾール®腟錠600mg | 1週間に1回、腟内に挿入 | 日本産科婦人科学会のガイドラインでも選択肢とされており、毎日の通院が困難な場合に選択される。利便性が高い11。 |
経口薬 | フルコナゾール | ジフルカン®カプセル50mg、フルコナゾールカプセル50mgなど | 150mg(50mgを3カプセル)を1回のみ服用 | 非常に便利だが、副作用の危険性があり、妊娠・授乳中は使用不可4。 |
外用クリーム | クロトリマゾール、オキシコナゾール硝酸塩など | エンペシド®クリーム、オキナゾール®クリームなど | 1日数回、かゆみのある外陰部に塗布 | 外陰部の強いかゆみや炎症を和らげるため、腟錠と併用される4。 |
C. 市販薬(OTC医薬品)でのセルフケア:再発時のみ使える理由と正しい選び方
現在、日本では腟カンジダ症の治療薬が市販されており、セルフケアも可能になっています。しかし、これには厳格なルールがあります。
市販薬使用の絶対条件
市販の腟カンジダ症治療薬を使用できるのは、「過去に医師から腟カンジダ症と診断・治療を受けたことがあり、今回も同様の症状で再発した」と確信できる女性に限られます12。
これらの市販薬は「第1類医薬品」に分類され、購入時には薬剤師による情報提供と症状の確認が法律で義務付けられています12。これは、誤った使用による健康被害を防ぐための重要な安全対策です。初めての症状で市販薬を使用することは、絶対におやめください。
主な市販薬の比較
日本の市場で購入できる主な市販薬には、以下のようなものがあります。
ブランド名 | 有効成分 | 剤形 | 主な特徴 |
---|---|---|---|
メディトリート(大正製薬) | ミコナゾール硝酸塩 | 腟坐剤、クリーム | 医療用医薬品と同じ有効成分。腟内の原因菌をしっかり殺菌するため、症状が消えても6日間の連続使用が推奨される13。 |
エンペシドL(佐藤製薬) | クロトリマゾール | 腟錠、クリーム | 腟内で速やかに崩壊して有効成分が広がる発泡性の腟錠が特徴。医療現場でも広く使用される成分14。 |
フェミニーナ腟カンジダ錠(小林製薬) | オキシコナゾール硝酸塩 | 腟錠 | 医療用としても使用実績のある有効成分を含有。再発した腟カンジダ症の治療に3。 |
フェミニーナ軟膏S(小林製薬) | リドカイン、ジフェンヒドラミン塩酸塩など | 軟膏 | 【重要注意】これは腟カンジダ症の治療薬ではありません。 カンジダ菌を殺す作用はなく、かゆみを一時的に鎮める対症療法薬です。原因治療にはならず、これ単体での使用は症状を長引かせる可能性があります3。 |
市販薬を選ぶ際に最も注意すべきは、「フェミニーナ軟膏S」のような、かゆみ止めを主成分とする製品との混同です。これらはカンジダ菌を殺す抗真菌成分を含んでいないため、根本的な治療にはなりません。必ず「腟カンジダ再発治療薬」と明記された、抗真菌成分を含む製品(腟錠または腟坐剤)を選び、必要に応じて同シリーズの抗真菌クリームを併用してください。
難治性・再発性腟カンジダ症(RVVC)への専門的アプローチ
ほとんどの腟カンジダ症は、適切な治療によって1週間程度で改善します。しかし、一部の女性は、治療してもすぐに症状がぶり返したり、年に何度も再発を繰り返したりする「再発性外陰腟カンジダ症(Recurrent Vulvovaginal Candidiasis: RVVC)」に悩まされます。
再発性腟カンジダ症(RVVC)とは?
一般的に、1年間に3回または4回以上、症状を伴う腟カンジダ症を繰り返す場合にRVVCと定義されます4。全女性の5~10%未満が罹患すると推定されていますが、その影響は深刻です。絶え間ないかゆみや痛みといった身体的苦痛だけでなく、いつまた再発するかわからないという不安から、精神的なストレスやQOL(生活の質)の著しい低下を招くことも少なくありません10。
RVVCへの標準的な治療法
RVVCと診断された場合、単発の治療では不十分なため、より長期的な管理が必要となります。日本における難治例へのアプローチとしては、まず初期治療で症状を完全に抑えた後、再発を防ぐための「維持療法」が行われるのが一般的です。
具体的には、経口抗真菌薬であるフルコナゾールを週に1回、6ヶ月間にわたって服用し続けるという方法がしばしば用いられます4。この維持療法により、治療期間中の再発率を大幅に減少させることができますが、治療を中止すると再び再発する可能性も残ります。また、日本皮膚科学会のガイドラインによれば、この長期維持療法は日本では保険適用外となる場合があるため、治療方針については医師と十分に相談する必要があります15。
なぜ治療が効かないのか?:「非アルビカンス・カンジダ」の存在
「処方された薬をきちんと使っているのに、なぜ治らないのだろう?」と疑問に思う方もいるかもしれません。その原因の一つとして、感染しているカンジダ菌の種類が関係している可能性があります。
腟カンジダ症の約9割は「カンジダ・アルビカンス(Candida albicans)」という菌種によって引き起こされますが、残りの約1割は「カンジダ・グラブラータ(Candida glabrata)」などの「非アルビカンス・カンジダ種」が原因です4。これらの菌種は、フルコナゾールなどの標準的なアゾール系抗真菌薬に対して元々抵抗性(効きにくい性質)を持っていることが多く、通常の治療では効果が得られにくいのです6。
この事実は、再発を繰り返す場合に、なぜ専門的な診断が不可欠であるかを明確に示しています。症状が改善しない背景には、単なる体調不良や生活習慣の問題だけでなく、原因菌そのものの性質が関わっている可能性があるのです。こうした状況を打開するためには、医療機関で「培養検査」を受け、原因となっている菌種を正確に特定することが極めて重要です。菌種が判明すれば、その菌に効果的な別の薬剤を選択するなど、的を絞った治療戦略を立てることが可能になります。安易な自己判断による治療の繰り返しは、原因の特定を遅らせ、いたずらに苦痛を長引かせるだけの「試行錯誤の悪循環」に陥りかねません。必ず専門医に相談し、根本原因を探ることが解決への最短ルートです。
なお、国際的には、こうした耐性菌に対してホウ酸の腟内投与や、オテセコナゾール、イブレキサファンゲルプといった新しい経口抗真菌薬の有効性が報告されており5、将来的には治療の選択肢がさらに広がることも期待されています。
腟カンジダ症の再発を防ぐための生活習慣7か条
つらい腟カンジダ症の再発を防ぐためには、薬による治療だけでなく、日々の生活習慣を見直すことが非常に重要です。カンジダ菌が増殖しにくい環境を整え、体の抵抗力を高めるための具体的な7つのルールをご紹介します。
- デリケートゾーンは乾燥・通気を保つ
カンジダ菌は高温多湿の環境を好みます。デリケートゾーンをドライで涼しく保つことを心がけましょう。 - 正しい方法で清潔に保つ
清潔は重要ですが、「洗いすぎ」は禁物です。腟内の自浄作用を損なわないよう注意しましょう。 - 食生活を見直す
カンジダ菌の栄養源となる糖質の摂取をコントロールすることが、再発予防につながります。- 控えるべき食品:菓子類、清涼飲料水、果物、ハチミツなど、糖分(特にブドウ糖や果糖)を多く含む食品の過剰摂取は控えましょう。ファストフードや加工食品にも糖質が多く含まれている場合があるため注意が必要です8。
- 免疫力を維持する
体の抵抗力が低下すると、カンジダ菌が増殖しやすくなります。健康的な生活を維持しましょう。 - ナプキン・おりものシートはこまめに交換する
生理用ナプキンやタンポン、おりものシートは、湿気や経血がカンジダ菌の温床となりやすいです。長時間同じものを使い続けず、こまめに交換して蒸れを防ぎましょう12。 - 治療中の注意点を守る
治療を確実に成功させ、再発の危険性を減らすために、治療期間中は以下の点に注意してください。 - パートナーとの関係を考慮する
腟カンジダ症は主に自己感染によるものですが、相互感染(ピンポン感染)の可能性もゼロではありません。
よくある質問
Q1: 症状がなくなったら薬をやめてもいいですか?
A1: いいえ、自己判断で中止しないでください。特に腟錠(腟坐剤)は、症状が改善した後も、カンジダ菌を完全に除去して再発を防ぐために、指示された期間(多くは6日間)必ず使い切る必要があります。外陰部に塗るクリーム剤については、かゆみなどの症状がなくなれば中止しても差し支えありません13。
Q2: 治療中に生理が始まったらどうすればいいですか?
A2: 腟錠(腟坐剤)の使用中に生理が始まった場合は、一旦使用を中断してください。経血によって薬剤が腟内から洗い流されてしまい、十分な効果が得られない可能性があるためです。治療を開始する際は、ご自身の生理周期を考慮し、生理期間と重ならないように調整するのが望ましいです。生理が終了してから、治療を再開してください13。
Q3: 妊娠中でも治療できますか?
A3: はい、治療は可能であり、むしろ重要です。妊娠中はホルモンバランスの変化により腟カンジダ症になりやすく、日本性感染症学会の指摘によれば、放置すると出産時に赤ちゃんに産道感染(新生児鵞口瘡やおむつ皮膚炎の原因)する危険性があります。ただし、治療法には注意が必要です。フルコナゾールなどの経口薬(飲み薬)は胎児への影響が懸念されるため使用できず、医師の監督のもと、安全性の高い腟錠やクリームなどの局所療法で治療を行います16。妊娠中に症状を感じたら、必ずかかりつけの産婦人科医に相談してください。
Q4: パートナーも治療が必要ですか?
A4: パートナーが無症状である場合、通常は治療の必要はありません。腟カンジダ症は性感染症とは異なり、多くは自己の常在菌の増殖が原因だからです。ただし、男性のパートナーに陰茎のかゆみや赤みといった亀頭包皮炎の症状が出ている場合は、治療が必要です。その際は、パートナーにも皮膚科や泌尿器科の受診を勧めてください4。
Q5: 乳酸菌(プロバイオティクス)のサプリメントは効果がありますか?
Q6: 治ったサインは何ですか?
A6: 治療が成功し、「治癒した」と判断できるサインは、かゆみ、ヒリヒリ感、そしてカッテージチーズ状の白いおりものといった、不快な自覚症状がすべて消失することです18。ただし、カンジダ菌は常在菌であるため、症状がなくても腟内に少数は存在しているのが正常な状態です。治療後に培養検査を行って菌が少数検出されたとしても、症状がなければ問題はなく、それを「治癒」と判断します。過度に心配する必要はありません。
結論
本稿では、多くの女性が経験する腟カンジダ症について、その症状の見分け方から原因、病院での治療、市販薬の適切な使用法、そして再発を防ぐための生活習慣までを包括的に解説しました。
最後に、最も重要なポイントを改めてまとめます。
- 腟カンジダ症は身近な疾患です:特別な病気ではなく、体内の常在菌のバランスが崩れることで誰にでも起こり得ます。恥ずかしがらずに正しい知識を身につけることが大切です。
- 正確な診断が治療の第一歩です:特に初めて症状が出た場合や、再発を繰り返す場合は、自己判断は禁物です。必ず婦人科を受診し、医師による確定診断を受けてください。
- 効果的な治療法があります:治療の基本は抗真菌薬の腟錠です。病院で処方される薬のほか、再発時には市販薬も選択肢になりますが、使用条件を厳守する必要があります。
- 再発予防は生活習慣から:デリケートゾーンの通気性を保ち、洗いすぎを避け、免疫力を維持するなど、日々のセルフケアが再発のリスクを大きく左右します。
デリケートゾーンの悩みは、心身ともに大きなストレスとなります。しかし、正しい知識を持ち、適切なタイミングで専門家の助けを借りることで、必ずコントロールすることができます。この情報が、皆様の不安を少しでも和らげ、ご自身の健康と前向きに向き合うための一助となれば幸いです。ためらわずに、専門医への相談という一歩を踏み出してください。
参考文献
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