寝ている間に喉が乾く理由とは?効果的な改善方法を徹底解説
耳鼻咽喉科疾患

寝ている間に喉が乾く理由とは?効果的な改善方法を徹底解説

はじめに

こんにちは、JHO編集部です。今回は、「睡眠中の口や喉の乾き」についてご紹介したいと思います。夜間の喉や口腔内の乾燥に悩む方は少なくありません。とくに睡眠中は体の代謝が落ち着き、唾液分泌量も昼間より少なくなる傾向があります。その結果、朝起きたときに強い口渇を感じたり、喉がイガイガして不快感を覚えたりすることがあるのです。

免責事項

当サイトの情報は、Hello Bacsi ベトナム版を基に編集されたものであり、一般的な情報提供を目的としています。本情報は医療専門家のアドバイスに代わるものではなく、参考としてご利用ください。詳しい内容や個別の症状については、必ず医師にご相談ください。

しかしながら、こうした乾燥を放置すると、口腔内の健康にさまざまな影響を及ぼす可能性があります。そこで本記事では、喉が乾燥してしまう原因を8つ取り上げ、さらに具体的な対策方法を詳しく解説していきます。睡眠中の口や喉の乾燥が気になる方は、ぜひご覧ください。

専門家への相談

この記事は、医学的知見にもとづく情報をもとに編集していますが、筆者自身は医師や歯科医師などの医療従事者ではありません。そのため、本記事で紹介する内容はあくまでも一般的な情報であり、個別の症状や治療方針に関する決定は、必ず専門家(医師、歯科医師、薬剤師など)に相談していただくことをおすすめします。また、高血圧や糖尿病など持病をお持ちの方や、投薬治療中の方は、医師や歯科医師の指示を必ず優先してください。


8つの原因: なぜ喉が乾くのか?

睡眠中に喉が乾くのには、さまざまな要因が絡み合っていることが多いです。ここでは代表的な8つの原因を取り上げ、それぞれどのように乾燥を引き起こすのか、またどんな人が注意すべきかについて解説します。原因を知ることは対策の第一歩ですので、思い当たる点があれば日常生活を振り返ってみましょう。

1. 身体の脱水状態

前日に水分を十分に摂取していない場合や、夜間に大量の汗をかいた場合、体内の水分が不足して脱水症状になることがあります。脱水状態になると唾液の分泌が減少し、結果として口腔内が乾燥しやすくなります。夜間は昼間よりも水分を摂りづらく、汗で失われる水分を補給できない状態に陥りやすいため、意識して水分を確保することが大切です。

  • 夜間にトイレに起きるのが面倒で水分を控えすぎる
  • 夏場や暖房で寝室内の温度が高く、睡眠中に汗を大量にかく

こうした理由で水分摂取が不十分になると、翌朝の喉や口腔内の乾きが強くなることがあります。

2. 睡眠前や日常的に摂取する刺激物

アルコールやカフェインなどの刺激物は利尿作用を持つため、体内の水分が排出されやすくなり、結果として口腔内が乾燥する一因となります。さらに、アルコールには唾液分泌を減少させる働きもあるため、飲酒後に翌朝起きたときの口渇感が強まることがあります。また、喫煙も口腔内の血流や唾液分泌に悪影響を及ぼし、口や喉の乾燥を引き起こしやすいとされています。

  • 夜の晩酌や寝る前のコーヒーが習慣化している
  • 喫煙による唾液分泌の低下

睡眠の質を維持するためにも、寝る直前の刺激物摂取は控えることが望ましいです。

3. 口で呼吸する習慣

鼻づまりや慢性的な鼻炎などでうまく鼻呼吸ができない人は、自然と口呼吸に頼りがちです。口で呼吸をしていると、鼻の粘膜による加湿・加温のプロセスを経ずに空気が喉へ送られるため、喉や口腔内が乾燥しやすくなります。特に睡眠中は無意識のうちに口呼吸になってしまうケースが多く、いびきや睡眠時無呼吸症候群がある人は注意が必要です。

  • 鼻の構造的な問題や慢性副鼻腔炎
  • アレルギー性鼻炎などによる長期的な鼻づまり

口呼吸は喉の乾燥だけでなく、歯周病や口臭のリスク上昇とも関連しています。

4. 喉の炎症

ウイルスや細菌による喉の炎症は、初期症状として乾燥感をもたらすことが多く、進行すると痛み、腫れ、発熱などの症状に発展する可能性があります。風邪やインフルエンザなどでも、のどの痛みや違和感が生じる前に乾燥感を覚える場合があります。

  • 風邪やインフルエンザの初期段階
  • 細菌感染による咽頭炎や扁桃炎

これらは睡眠中に唾液分泌がさらに低下することで、起床時により強い乾きを感じることにつながります。症状が長引いたり悪化したりする場合は、医師に相談して原因を特定し、適切な治療を受けましょう。

5. 投薬による影響

高血圧治療薬、抗うつ薬、抗不安薬、アレルギー治療薬などのなかには、副作用として唾液の分泌を減少させるものがあります。また、癌患者が化学療法や放射線治療を受けた後、一時的もしくは長期的に口の乾きが生じるケースも報告されています。これらの薬物治療を行っている方は、自己判断で薬を中断することなく、主治医に相談してみると良いでしょう。

  • 抗コリン作用を持つ薬(唾液分泌を阻害する)
  • 抗うつ薬や抗不安薬
  • 抗ヒスタミン薬

薬の調整によって乾燥が軽減される場合もありますので、我慢せずに専門家に伝えることが大切です。

6. 慢性疾患

慢性的な疾患が原因で喉や口腔内が乾燥してしまうケースもあります。たとえば、胃食道逆流症では喉の違和感や刺激感があり、口腔内を保護する唾液が減少していると余計に症状が悪化することがあります。また、糖尿病、脳卒中、アルツハイマー病、シェーグレン症候群、HIVなどの疾患は唾液分泌機能に影響を及ぼす可能性が指摘されています。

  • シェーグレン症候群: 自己免疫反応によって唾液腺が障害され、口腔内の乾燥が強くなる
  • 糖尿病: 血糖値の変動で体液バランスが乱れ、口渇や頻尿を引き起こす

これらの慢性疾患に起因する場合は、基礎疾患の管理がとくに重要となります。

7. 年齢による影響

加齢にともない慢性疾患のリスクが高まるため、高齢者は唾液分泌が少なくなりやすく、口の乾燥を訴える方が増えます。また、口腔内や咽頭の粘膜自体も年齢とともに変化し、歯や歯茎のトラブルが重なることで乾燥がより顕著になることも少なくありません。

  • 歯科治療の遅れや義歯の不適合
  • 多剤併用(ポリファーマシー)による副作用の蓄積

高齢者が口渇を訴える場合には、複合的な要因を考慮して対応することが重要です。

8. 環境要因

空気の乾燥や室内の湿度不足、あるいは空気清浄機・エアコンの過度な使用も喉の乾燥を引き起こす要因となります。とくに冬場や季節の変わり目などは、室内と室外の温度差が大きくなるため、暖房によってさらに湿度が低下することがあります。また、花粉やホコリなどのアレルゲンが空気中に多く含まれる環境下で過ごすと、粘膜が刺激されて喉に違和感や乾燥感を覚えやすいです。

  • 加湿器を使わずに暖房を長時間つけっぱなし
  • 花粉やホコリなどによる粘膜刺激

室内環境を適切に整え、加湿や換気をこまめに行うことで、喉や口腔内の乾燥を予防しやすくなります。


対策:乾燥した喉をどう改善するか

睡眠中の喉の乾燥を改善するには、原因に応じたアプローチが必要です。以下では、一般的な対策を中心に、日常生活で実践しやすい方法をまとめました。

1. 十分な水分補給

日中は1.5~2.5リットルの水を目安に、できるだけ均等に摂取することが推奨されます。就寝前に必要以上に飲むと夜間の利尿で起きてしまうことがありますが、極端に控えすぎても脱水を招きかねません。適度な量を見極めるには、寝る2時間前くらいまでに少しずつ水分を摂り、あとは少量にとどめるなど工夫すると良いでしょう。

  • 寝る前のコップ一杯の水(多すぎず、少なすぎず)
  • 水以外にもビタミン・ミネラルが豊富な果物や野菜を摂取

朝起きた直後は、ぬるま湯や温かいお茶などで口腔内を潤すのも効果的です。

2. 刺激物の摂取を控える

カフェインやアルコールは体内の水分を排出しやすくし、結果的に口腔内を乾燥させる作用があります。また、睡眠の質も損なう恐れがありますので、夜間はできるだけ控えることが望ましいです。喫煙習慣がある場合は、口や喉の乾燥だけでなく歯周病や口腔がんリスクの増大にもつながるため、禁煙を検討することが自分自身の健康を守る大きなステップになるでしょう。

  • 夜のコーヒーや紅茶をノンカフェインのハーブティーに置き換える
  • アルコール摂取後には水をしっかり飲む
  • タバコを吸う方は医療機関と相談して禁煙治療を検討する

3. 呼吸器感染症の一時的な改善策

風邪やインフルエンザなど、軽度の呼吸器感染症が原因となって喉が乾燥しているときは、以下のような対策を試すことで一時的に症状を緩和できます。

  • 生理食塩水でのうがい: 粘膜を潤し、喉の炎症をやわらげる効果が期待できる
  • 非ステロイド性抗炎症薬の利用: 鼻や喉の炎症による痛みや腫れを軽減
  • 鼻スプレーやトローチの使用: 鼻づまりやのどの痛みがある場合、症状を部分的にやわらげる

ただし、症状が長引いたり強くなったりする場合、自己判断は禁物です。早めに医療機関を受診し、適切な治療を受けるようにしましょう。

4. 慢性病や薬剤の治療方法

慢性疾患がある方や投薬中の方は、主治医との連携が欠かせません。たとえば、副作用で唾液分泌が低下している可能性がある場合、薬の種類や投与量を調整してもらったり、必要に応じて代替薬を検討することも選択肢のひとつです。また、ガムやのど飴などで唾液の分泌を促す方法や、人工唾液製剤を利用するケースもあります。

  • 主治医に症状を伝え、薬の副作用を再評価してもらう
  • 唾液分泌を促進するガム(シュガーレスが望ましい)や飴をこまめに利用
  • 病気や治療状況によっては、歯科医師とも連携し口腔ケアを検討

5. 呼吸路の通気性を確保する

鼻づまりや副鼻腔炎、いびき、無呼吸症候群がある場合は、根本的な原因を取り除くことが重要です。これらを改善することで、口呼吸による喉の乾燥を緩和できる可能性があります。たとえば、耳鼻咽喉科で検査を受けて適切な治療を受ける、またはマウスピースやCPAP(持続陽圧呼吸療法)の導入を検討するなど、複合的なアプローチが有効です。

  • 鼻炎の治療や点鼻薬による鼻腔のケア
  • いびきや無呼吸症候群の診断・治療のための睡眠検査
  • 生活習慣の改善(肥満解消、禁煙など)

6. 寝室環境の調整

寝室の湿度が低すぎると、喉の乾燥を助長します。加湿器や適度な換気によって湿度を保つことが大切です。ただし、過度に湿度を上げすぎるとカビやダニの発生リスクが高まるため、適正湿度(一般的には40~60%前後)を維持するようにしましょう。また、寝室の清潔を保ち、雑菌やホコリ、花粉などのアレルゲンを減らす工夫も有効です。

  • 加湿器を使用しつつ、定期的な換気を実施
  • フィルター付き空気清浄機でホコリや花粉を除去
  • シーツや枕カバーをこまめに洗濯して清潔に保つ

さらに深める研究知見と応用

ここからは、最近の研究(主に過去4年以内)で明らかになったドライマウスや口腔内乾燥に関する知見をいくつかご紹介し、先述の対策とどのようにつながっているかを説明します。

たとえば、Hara M. ら(2022年)は、日本の高齢者を対象に行った研究で、自己申告による薬剤使用とドライマウス症状の関連を調査しています(International Journal of Environmental Research and Public Health, 19(3), 1677, doi:10.3390/ijerph19031677)。この研究によると、多くの薬剤を併用している方ほど唾液分泌低下や口渇を訴える割合が高いことが確認されました。これは「5. 投薬による影響」や「7. 年齢による影響」で述べた内容と一致しており、薬の服用状況や基礎疾患がある方は特に注意が必要であることを示唆しています。

また、Sakamoto K. ら(2021年)の研究では、血液透析を受けている患者を対象に、人工唾液や唾液代替製品が口の乾きに及ぼす影響を検証しました(Biological & Pharmaceutical Bulletin, 44(12), 1862-1868, doi:10.1248/bpb.b21-00535)。その結果、唾液を補う製品の使用によりドライマウス感が緩和され、口腔内の清潔感や口腔関連の生活の質が向上する可能性が示されています。これは「4. 慢性病や薬剤の治療方法」で述べた人工唾液製剤の活用やガム、のど飴などによる唾液促進策が、有効である根拠の一つともいえるでしょう。

さらに海外の研究では、睡眠時に口が乾く背景として、いびきや閉塞性睡眠時無呼吸症候群が関わることが多く指摘されています。すでに「3. 口で呼吸する習慣」「5. 呼吸路の通気性を確保する」で述べたように、鼻呼吸が阻害される状態が長く続くと、口腔内や咽頭粘膜が乾燥し、朝起きたときの喉の不快感が強まるリスクが上がるのです。特に肥満や鼻腔形態の問題を抱える人は、このような症状を生じやすいとされています。


結論と提言

結論

睡眠中に口や喉が乾燥するのは、脱水、刺激物摂取、口呼吸、喉や鼻の炎症、薬の副作用、慢性疾患、加齢、そして環境要因など、実に多岐にわたる原因によって引き起こされます。これらが単独でなく複合的に作用するケースも多いため、「なぜ口が乾くのか」を自分なりに整理し、その背景を明らかにすることが大切です。

口や喉の乾燥を放置すると、口臭や歯周病、喉の炎症などを招くおそれがあり、さらには睡眠の質の低下に直結する可能性も否めません。定期的に乾燥が起きる、あるいは日々の対策を行っても症状が改善しない場合は、根本的な原因が潜んでいる可能性がありますので、専門家に相談することをおすすめします。

提言

  • 原因の把握
    まずは自分の生活習慣や睡眠状況、服用している薬の副作用などを整理してみましょう。日中の水分摂取量や食事内容、寝室の湿度も見直すことで、原因がはっきり見えてくることがあります。
  • 生活習慣の改善
    十分な水分補給、刺激物の制限、禁煙、適度な室温・湿度の維持など、誰でもできる対策をコツコツ続けることが大切です。とくに夜間のアルコール摂取やコーヒーなどは寝付きや睡眠の質に影響するため、できるだけ控えると効果が感じられるでしょう。
  • 医療機関での相談
    慢性疾患をお持ちの方や、多剤併用によって唾液分泌が低下している可能性がある場合には、医師や歯科医師に相談し、必要に応じた検査・治療を受けましょう。いびきや睡眠時無呼吸症候群が疑われる場合も、専門の医療機関で早めに診断を受け、適切なケアを行うことをおすすめします。
  • 口腔ケアの徹底
    唾液が少ない状態が長引くと、虫歯や歯周病のリスクが高まります。定期的に歯科検診を受け、ブラッシングやデンタルフロスを適切に使い、ガムやのど飴で唾液分泌を促すなどの工夫を取り入れましょう。
  • 環境の整備
    寝室の湿度が低い場合には加湿器を活用し、空気清浄機やフィルター付き換気システムなどで空気中のアレルゲンやホコリを減らすのも効果的です。寝具やカーテンの洗濯、室内のこまめな掃除なども粘膜の負担を減らすうえで大きな意味を持ちます。

健康的な睡眠環境と適切な水分補給は、喉の乾燥対策において重要な役割を果たします。毎日の小さな積み重ねが症状の緩和につながり、結果的には生活の質全体を大きく向上させる可能性があります。ぜひ、この記事をきっかけに今の生活を見直し、必要に応じて専門家と協力しながら、快適な睡眠と健康な口腔内環境を維持できるようにしていきましょう。


注意事項

この記事で取り上げた情報は、あくまでも一般的な知見や最近の研究結果に基づくものであり、個々の状態に対する医学的アドバイスの代わりにはなりません。すでに何らかの持病をお持ちの方や、症状が長期化している方は、必ず専門の医師・歯科医師に相談してください。また、本記事の内容は執筆時点の情報を参考としており、今後新たな研究結果や医療ガイドラインの更新などによって推奨が変わる可能性があります。


参考文献

(Hara M. ら(2022年), Sakamoto K. ら(2021年)の研究については本文中に言及しています)

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