産後の母乳食事ガイドのすべて:質の良い母乳を増やし、安心して育児するための完全解説
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産後の母乳食事ガイドのすべて:質の良い母乳を増やし、安心して育児するための完全解説

ご出産、誠におめでとうございます。産後の生活は、喜びに満ち溢れる一方で、特に初めてのお母様にとっては多くの疑問や不安が伴う時期でもあります。その中でも、「愛する我が子のために、質の良い母乳を十分に与えたい。一体何を食べれば良いのだろう?」という問いは、最も切実な悩みの一つではないでしょうか。家族からの伝統的な助言、インターネット上の多種多様な情報に囲まれ、混乱やプレッシャーを感じることも少なくありません。JHO編集委員会は、そのようなお母様方の「道しるべ」となるべく、本稿を執筆いたしました。この記事は、お母様方が自信と安心を持って、ご自身の食生活を築くための一助となることを目的としています。


本記事の科学的根拠

この記事で提示されるすべての医学的指導および推奨事項は、情報源として明確に引用された、最高品質の医学的根拠にのみ基づいています。以下は、参照された主要な情報源と、それらが本記事のガイダンスにどのように関連しているかのリストです。

  • 厚生労働省(MHLW): 本記事における「妊産婦のための食事バランスガイド」に関する指導は、厚生労働省の公式発表に基づいています1
  • 公益社団法人 日本産科婦人科学会(JAOG): 授乳中の生活習慣に関する推奨事項は、同学会の公開資料を参考にしています2
  • 公益社団法人 日本助産師会(JMA): 乳腺炎のケアや食事に関する見解は、日本助産師会が発行する「乳腺炎ケアガイドライン」に基づいています34
  • 世界保健機関(WHO): 母乳育児に関する国際的な基準や栄養に関する基本的な考え方は、WHOの資料を基にしています5

この記事の要点まとめ

  • 基本は「一汁三菜」:日本の伝統的なバランス食(主食、主菜、副菜、汁物)が、母乳育児中の食事の土台となります。
  • 賢いカロリー補給:妊娠前より1日あたり「プラス350キロカロリー」を目安に、栄養価の高い食品でエネルギーを補給しましょう。
  • 水分補給と体を温めること:母乳の約9割は水分です。こまめな水分補給と、温かい食事や飲み物で血行を促進することが大切です。
  • 重要な栄養素を意識する:特に「鉄分」「カルシウム」「たんぱく質」「DHA・EPA」を多様な食品から積極的に摂取することが、母乳の質と母体の回復を支えます。
  • 迷信からの解放:科学的根拠に基づき、「お菓子や揚げ物が直接乳腺炎を引き起こす」という考えは正しくありません。過度な食事制限によるストレスを避け、バランスの取れた食事を楽しみましょう。
  • 本当に避けるべきもの:アルコールは完全に避け、カフェインは摂取量を制限することが、赤ちゃんの健康のために不可欠です。

産後ダイエットの現代的アプローチ:科学的根拠に基づく食事法

産後の食事に関する情報は非常に多く、時に矛盾しているため、多くのお母様が混乱されています。例えば、「乳腺炎を避けるために、お菓子や脂っこいものは絶対に食べてはいけない」という伝統的なアドバイスがある一方で6、近年の科学的研究ではその考え方が否定されています7。このような情報の氾濫は、お母様方に不必要な罪悪感やストレスを与えかねません。実際、ストレスは母乳の分泌に悪影響を及ぼすことが知られています8

本稿の核心的な価値は、これらの情報を整理し、科学的根拠に基づいた事実と古くからの通説を明確に区別することにあります。私たちの哲学は「産後の食事は、我慢するためではなく、育むためのもの」です。生物学的な基本原則として、母乳は母親の血液から作られます9。したがって、母親の血液を豊かにし、全体的な健康を増進させる食事が、質の良い豊富な母乳への鍵となるのです。


栄養の「黄金の土台」:基本をマスターする

授乳期の健康的で効果的な食生活を築くためには、まず土台となる基本原則を理解することが極めて重要です。これらの原則は、日本の公的機関からの公式な指針に基づいており、科学的かつ文化的に適合したものです。

日本の健康の核心:バランスの取れた食事(一汁三菜)

主食、主菜、副菜、そして汁物から成る「一汁三菜」は、日本の食文化と健康の基盤です。これは単なる習慣ではなく、厚生労働省が示す「妊産婦のための食事バランスガイド」の中核的な推奨事項でもあります1。この食事構成を守ることで、必要な栄養素を過不足なく摂取しやすくなります。

  • 主食(ご飯、パン、麺類):主要なエネルギー源です。特に、食物繊維やビタミン、ミネラルが豊富な玄米や雑穀米を取り入れることが推奨されます9。ご飯はパンに比べて満腹感が持続しやすく、安定したエネルギー供給に繋がります10
  • 主菜(肉、魚、卵、大豆製品):たんぱく質の供給源です。魚、赤身肉、鶏肉、卵、豆腐、納豆など、多様な食品を組み合わせることが鍵となります11
  • 副菜(野菜、きのこ、海藻類):ビタミン、ミネラル、食物繊維を供給します。体を温める作用のある根菜類10や、栄養価の高い緑黄色野菜12など、彩り豊かな野菜を積極的に取り入れましょう。

水分補給と体を温めることの重要性

母乳の約87%は水分で構成されているため、母親が十分な水分を摂取することは、母乳生産において不可欠です13。一度に大量に飲むのではなく、一日を通してこまめに飲むことが効果的です。水やお茶(麦茶などカフェインを含まないもの)が良い選択肢です2。日本の文化では、体を冷やさないよう温かい食べ物や飲み物(温かい飲み物)を摂ることの重要性が強調されます14。体を温めることで血流が改善し、母乳の生成を助けると考えられているためです10。味噌汁などの汁物は、水分補給と体を温める効果を兼ね備えた優れた一品です9

カロリー摂取の目安:賢く「二人分」を食べる

厚生労働省の公式指針では、授乳期の女性は妊娠前の必要量に加えて「1日あたりプラス350kcal」のエネルギーを摂取することが推奨されています15。これは妊娠後期の推奨値(プラス450kcal)とは異なる点に注意が必要です12。350kcalという量は、おにぎり1個とゆで卵2個2、またはヨーグルト1カップと果物15程度に相当し、決して過大な量ではありません。これは、量よりも栄養の密度を重視する、賢明で持続可能なアプローチです。過度な食事制限は推奨されません6が、無計画に食べ過ぎるのではなく、母体の回復と長期的な健康を支えるバランスの取れた食事が求められます。


母乳の質と母体の回復を支える「黄金の栄養素」

基本的な食事原則に加え、特定の栄養素に焦点を当てることは、母乳の質を高め、お母様自身の回復を促進するために重要です。

鉄分:豊かな血液と母乳のために

なぜ重要か:鉄は血液中のヘモグロビンの主成分です。母乳は血液から作られるため、鉄分が不足すると母親の疲労に繋がり、母乳不足の一因となる可能性があります10

推奨量:授乳期の女性は1日あたり9.0mgの摂取が推奨されます15

食品源:レバー、赤身肉、カツオなどの動物性食品と、小松菜、ほうれん草、納豆、ひじきなどの植物性食品をバランス良く組み合わせましょう16。ビタミンCは鉄の吸収を高めるため、一緒に摂るのが効果的です12

たんぱく質:母子双方の体を築くために

なぜ重要か:たんぱく質は、産後の母体の組織修復と、赤ちゃんの急速な成長に不可欠なアミノ酸を供給します13

推奨量:妊娠前の必要量に加えて、1日あたりプラス20gの摂取が推奨されます15

食品源:魚、鶏肉、卵、乳製品、そして豆腐や納豆などの大豆製品から、動物性と植物性のたんぱく質を多様に摂取しましょう16

カルシウム:母親の未来を守るために

なぜ重要か:母乳の生成には、母体から多くのカルシウムが使われます。十分に補給しないと、将来的な骨粗しょう症のリスクが高まります。

推奨量:1日あたり650mgが目安です17。日本人女性はもともと摂取量が少ない傾向にあるため、意識的な摂取が重要です15

食品源:牛乳、チーズ、ヨーグルトなどの乳製品、ししゃもなどの骨ごと食べられる小魚、厚揚げや豆腐などの大豆製品、小松菜、ひじきなどが優れた供給源です12。ビタミンDはカルシウムの吸収を助けます14

必須脂肪酸(DHA・EPA):赤ちゃんの脳を育むために

なぜ重要か:母乳の脂肪酸組成は、母親の食事内容に最も直接的に影響される要素の一つです18。特にDHAは、乳児の脳と視覚の発達に極めて重要です13

食品源:さば、いわし、さんま、鮭などの青魚に豊富に含まれています19

表3.1:授乳期に重要な栄養素を豊富に含む日本の食品源

栄養素 食品 実用的な量 栄養素量 出典
鉄分 (鉄分) 鶏レバー 20g 1.8mg 17
牛もも肉(赤身) 50g(薄切り1枚) 1.4mg 17
納豆 50g(1パック) 1.7mg 17
小松菜(ゆで) 70g(小鉢1杯) 2.0mg 17
ひじき(乾燥) 5g(大さじ1) 0.3mg 17
カルシウム (カルシウム) 牛乳 200ml(コップ1杯) 220mg 17
煮干し 10g(中5尾) 220mg 17
厚揚げ 80g(三角1枚) 192mg 17
小松菜(ゆで) 70g(小鉢1杯) 119mg 17
いりごま 9g(大さじ1) 108mg 17
たんぱく質 (たんぱく質) 1個(50g) 約6g 16
1切れ(80g) 約18g 12
木綿豆腐 1/3丁(100g) 約7g 12
葉酸 (葉酸) 枝豆 小鉢1杯 約130µg 14
ブロッコリー 1/4株 約50µg 14
いちご 5~6粒 約45µg 14

日本の「母乳に良いとされる食べ物」:伝統と科学の視点

母乳の出を良くすると言われる食品(ガラクタゴーグ)は、常にお母様方の大きな関心事です。ここでは日本の文化で親しまれている食品を取り上げ、伝統的な知恵を尊重しつつ、科学的な原則に基づいたバランスの取れた視点を提供します。

お米の力:餅米(もち米)と甘酒

日本の文化では、もち米やそれから作られるお餅が母乳の量を増やすという強い信念があります20。しかし、この考えには両面性があり、母乳が少ないと感じる時に勧める声がある一方で、過剰な生産を招き、赤ちゃんが飲みきれないと乳房の張りや乳腺の詰まりに繋がる可能性があると警告する声もあります6。ノンアルコールの甘酒も、栄養価が高く飲みやすいことから伝統的に推奨されてきました16

科学的な観点からは、これらの食品は炭水化物が豊富で、母乳生成に重要なエネルギーを効率的に供給します21。しかし、母乳生成ホルモン(プロラクチン)を直接刺激する成分が含まれているという強力な臨床的証拠は現在のところありません。

推奨:適度な摂取と自己観察を心がけましょう。「母乳が少ないかな?」と感じた時に、エネルギー補給として少量のお餅や温かい甘酒を試すのは良いでしょう。ご自身の体の反応によく注意を払ってください。

汁物と根菜の癒し

味噌汁や、大根、人参、ごぼうなどの根菜を使った汁物をたくさん摂ることは、非常に一般的なアドバイスです9。伝統的には、これらの食品は体を温め、血行を改善し、栄養を補給すると考えられています10。科学的には、これらは優れた水分補給源であり、食物繊維、ビタミン、ミネラルも豊富です。発酵食品である味噌は、良質なたんぱく質とプロバイオティクスの供給源ともなります10

ハーブティーのサポート

たんぽぽコーヒーやルイボスティーなど、カフェインを含まないハーブティーも人気があります9。フェヌグリークやフェンネルなどのハーブは、古くから母乳の分泌を促すと言われています16。ただし、授乳中に安全でないハーブもあるため、授乳中の母親向けに特別に作られた信頼できるブランドの製品を選ぶことが重要です9

これらの伝統的な食品の真の力は、ホルモンへの直接的な作用ではなく、心理的・生理的な総合効果にあるのかもしれません。母乳の量に不安を感じるお母様が、温かい甘酒や栄養満点の味噌汁を飲むといったセルフケアを行うことで、ストレスが軽減されます。ストレスが減ると、母乳の射出反射(オキシトシンホルモンによる)が改善される可能性があります8。同時に、水分とカロリーという母乳生成の基本要素も補給されます。この包括的なメカニズムを理解することは、伝統的な知恵を肯定しつつ、科学的な正確性を保つことに繋がり、読者からの深い信頼を築きます。


授乳中の食事に関する迷信を解き明かす:自信を持って食べるために

このセクションは、信頼できる情報源からの証拠に基づき、最も一般的な誤解を解き明かすことで、お母様方の不安を和らげ、信頼を築く上で重要な役割を果たします。

最大の迷信:「脂っこいもの、甘いもの、カレーは乳腺炎の原因になる!」

迷信:何世代にもわたり、日本の母親たちは「天ぷら、ケーキ、脂身の多い肉、さらにはカレーなどを食べると母乳が『ドロドロ』になり、痛みを伴う乳腺炎を引き起こす」と警告されてきました6

科学的真実:しかし、私たちはあなたを安心させたいと思います。現代の医学的根拠は、この見解を支持していません。日本助産師会が発行する公式の「乳腺炎ケアガイドライン」では、「乳腺炎の予防を目的とした食事制限は推奨されない」と明確に述べられています47

本当の原因:乳腺炎の主な原因は、母親が何を食べたかではなく、母乳のうっ滞(母乳が効率的に排出されないこと)や細菌感染です7

バランスの取れた推奨:ですから、罪悪感は手放してください。記念日のケーキや大好きな唐揚げを楽しんでも、それが直接乳腺を詰まらせることはありません。もちろん、加工された脂肪や糖分が多い食生活を続けることは全体的な健康にとって理想的ではありませんが、大切なのは「適度」であることです。効果的で頻繁な授乳に集中し、恐れることなく食事を楽しんでください。

本当に注意すべき「レッドライン」

  • アルコール:飲酒は避けるべきです。アルコールは母乳に直接移行し、未熟な赤ちゃんの肝臓では分解できず、発達に影響を与える可能性があります20。酒粕などに含まれるアルコールも懸念材料となり得ます19
  • カフェイン:完全な排除ではなく、制限が基本です。少量の摂取は問題ないことが多いですが、過剰なカフェインは赤ちゃんに移行し、興奮や寝つきの悪さを引き起こすことがあります9。国際的なガイドラインでは、1日の摂取量を200~300mg未満(コーヒーなら1~2杯程度)に抑えることが推奨されています15
  • 食物アレルギーに関する注意:赤ちゃんにアレルギーが診断されている場合や、強い家族歴がある場合を除き、予防策として母親が牛乳、卵、大豆などの一般的なアレルゲンを自己判断で除去する必要はありません22。これは、お母様方の新たな心配の種を取り除くための重要な情報です。

表5.1:授乳中の食事 – 真実と迷信

迷信 (The Myth) 真実 (The Fact) 推奨 (The Recommendation)
「お餅を食べると、必ず乳腺が詰まる」 お餅は高カロリーで、母乳生成のエネルギーになります。人によっては、作られた母乳がうまく排出されないと張りを感じることがありますが、食品自体が詰まりを引き起こすわけではありません。 時々のエネルギー補給として楽しみ、赤ちゃんにしっかり飲んでもらうことを心がけましょう。
「揚げ物やお菓子は母乳の質を悪くする」 脂肪や糖分が直接母乳を「悪く」することはありません。しかし、偏った食事は母体全体の健康に影響します。母乳の質は比較的安定していますが、脂肪酸の構成は母親の食事に影響されることがあります23 バランスの取れた食事の一部として、適度に楽しみましょう。魚やナッツ由来の健康的な脂肪を優先してください。
「カレーやスパイシーな食べ物は完全に避けるべきだ」 強い風味が母乳に移行し、味をわずかに変えることはありますが、それで問題が起きることは稀です。カレーが乳腺炎を引き起こすという証拠はありません7 ほとんどの赤ちゃんは影響を受けません。もし特定の食事の後に赤ちゃんが不機嫌になることに気づいたら、それを控えてみても良いでしょう。
「赤ちゃんのアレルギー予防に、牛乳や卵を除去すべきだ」 赤ちゃんにアレルギーが診断されていない限り、母親が予防的にアレルゲンを除去することは一般的な予防策として推奨されていません22 多様な食事を維持しましょう。アレルギーが疑われる場合は、医師やアレルギー専門医に相談してください。

実践計画:忙しい産後ママのための簡単7日間献立プラン

理論やアドバイスを具体的な行動に移すため、7日間の献立プランは非常に価値のあるツールです。このプランは、日本の忙しい産後のお母様のために、「バランス(一汁三菜)」「栄養豊富」「手軽さ」「美味しさ」を基準に設計されています。煮物やスープを多めに作って数日に分けて食べる10、納豆や豆腐、調理済みの魚などを活用する16といった時短の工夫も取り入れています。

1日目

  • 朝食:ご飯、納豆と生卵、わかめと豆腐の味噌汁。シンプルながらたんぱく質と鉄分が豊富です9
  • 昼食:朝の味噌汁の残りにうどんを加え、ほうれん草を足す。手早く、水分も補給できます16
  • 夕食:鮭の塩焼き(DHA)、玄米ご飯、大根と人参のすまし汁、ひじきの煮物(鉄分・カルシウム)。栄養バランスの取れた食事です24
  • 間食/飲み物:ヨーグルトといちご(カルシウム、葉酸)。温かいルイボスティー。

2日目

  • 朝食:ロールパン、カップスープ、みかん。忙しい朝に手軽な組み合わせです16
  • 昼食:鮭のおにぎり、インスタントの野菜スープ。赤ちゃんの世話をしながらでも食べやすいです。
  • 夕食:鶏肉と野菜(人参、玉ねぎ、ピーマン)の生姜炒め、ご飯、かき玉汁。生姜が体を温めます。
  • 間食/飲み物:たんぽぽコーヒー、バナナ1本。

3日目

  • 朝食:おかゆに鰹節とネギを添えて。消化が良く、体が温まります。
  • 昼食:ざるそば、または温かい鴨南蛮そば。さっぱりとしながらも栄養のある食事です。
  • 夕食:豚肉のしゃぶしゃぶ(野菜たっぷり)、ご飯、ごまダレまたはポン酢で。油分を抑えつつ、たんぱく質をしっかり摂取できます。
  • 間食/飲み物:ゆでた枝豆(葉酸、たんぱく質)。水または麦茶。

4日目

  • 朝食:冷凍ピラフと牛乳で簡単なリゾット風に、りんご1個。便利な食材を活用した工夫です16
  • 昼食:お弁当(卵焼き、ウインナー、ブロッコリー)。準備しておけるバランスの良い昼食です。
  • 夕食:筑前煮(鶏肉、れんこん、人参、しいたけ)、ご飯、味噌汁。多めに作って翌日にも活用します10
  • 間食/飲み物:温かい豆乳。

5日目

  • 朝食:トースト(バター)、牛乳1杯。シンプルにカルシウムを補給。
  • 昼食:前日の筑前煮の残り。調理時間を節約します。
  • 夕食:さばの味噌煮(DHA)、ご飯、ほうれん草のすまし汁。魚から良質な脂質とカルシウムを摂取。
  • 間食/飲み物:くるみ一掴み、温かいハーブティー。

6日目

  • 朝食:全粒粉シリアルに牛乳とフルーツを添えて。手早く食物繊維を摂取。
  • 昼食:野菜たっぷり(じゃがいも、人参)の和風カレーライス。大好きなメニューを適度に楽しみます。
  • 夕食:麻婆豆腐(辛さ控えめ)、ご飯、キャベツのスープ。体を温め、植物性と動物性のたんぱく質を両方摂取。
  • 間食/飲み物:おせんべい、カフェインレスの緑茶。

7日目

  • 朝食:野菜たっぷりのポトフ、パンを添えて。水分とビタミンを豊富に摂取できます16
  • 昼食:きのこと鶏肉のクリームスパゲッティ。気分を変える洋食メニューも適度に。
  • 夕食:寄せ鍋(野菜、きのこ、豆腐、たらなど)。家族で囲める簡単なごちそうです。
  • 間食/飲み物:温かい甘酒。

この献立プランはあくまで一例です。お母様の好みや食材の入手しやすさ、時間に合わせて柔軟に変更してください。


よくある質問

本当にケーキや揚げ物を食べると母乳が詰まる(乳腺炎になる)のですか?

いいえ、直接的な原因にはなりません。日本助産師会の「乳腺炎ケアガイドライン」4でも、乳腺炎予防のための食事制限は推奨されていません。乳腺炎の主な原因は、母乳がうまく排出されない「うっ滞」や細菌感染です7。もちろん、全体的な健康のためにはバランスの取れた食事が大切ですが、たまにご褒美として楽しむことに罪悪感を感じる必要はありません。大切なのは、効果的に授乳することです。

赤ちゃんのアレルギーが心配で、母親が卵や牛乳を避けるべきですか?

いいえ、自己判断で除去する必要はありません。米国母乳育児医学会(ABM)の臨床プロトコルによると、赤ちゃんにアレルギーが診断されている場合や、強い家族歴がある場合を除き、母親が予防的に特定の食品を除去することは推奨されていません22。多様な食品をバランス良く食べることが基本です。もし赤ちゃんのアレルギーが疑われる場合は、必ず医師やアレルギー専門医に相談してください。

母乳のために、水分は1日にどれくらい摂れば良いですか?

特定の量に決まりはありませんが、喉が渇いたと感じる前にこまめに飲むことが大切です。母乳の約87%は水分ですので13、十分な水分補給は不可欠です。食事に含まれる汁物(味噌汁など)も水分補給になります。おしっこの色が濃い黄色になったら、水分が足りていないサインかもしれません。水、麦茶、ルイボスティーなど、カフェインを含まない温かい飲み物がおすすめです2

結論:ご自身を育むことが、赤ちゃんを育むこと

母乳育児は、深く意義のある経験であると同時に、挑戦の連続でもあります。食事は、この旅の重要な一部ですが、それは規則と不安の重荷ではなく、力と喜びの源であるべきです。

本稿が伝えたい最も重要なメッセージは、「バランス」と「自信」です。ストレスは母乳育児に悪影響を与えることが科学的にも示されています8。したがって、食事に対してリラックスしたアプローチをとること自体が、解決策の一部となるのです。「何を食べるべきか」「何を避けるべきか」に固執するのではなく、ご自身の体を優しく、十分に育むことに集中してください。

  • 日本の食生活の基本、「一汁三菜」を土台にしましょう。
  • 十分な水分を摂り、体を温めることを意識しましょう。
  • 鉄分、カルシウム、たんぱく質、DHAなどの重要な栄養素を意識しましょう。
  • 「悪い食べ物」という恐怖から自分を解放しましょう。大切なのは適度なバランスです。
  • 赤ちゃんの健康を守るため、アルコールは避け、カフェインは制限しましょう。

あなた自身の体は、今、驚くべき仕事を成し遂げています。その体を信じ、慈しみ、栄養を与え、そしてリラックスすることを自分に許してください。幸せで、栄養に満ちたお母様こそが、幸せで、十分に育まれた赤ちゃんのための最良の基盤なのです。

最後に、ご自身や赤ちゃんの健康、栄養に関して心配なことや疑問があれば、決して一人で悩まず、かかりつけの医師、助産師、または管理栄養士に相談してください。専門家は、あなたの状況に合わせた最適なアドバイスを提供してくれます。

免責事項本記事は情報提供のみを目的としており、専門的な医学的アドバイスを構成するものではありません。健康に関する懸念や、ご自身の健康や治療に関する決定を下す前には、必ず資格のある医療専門家にご相談ください。

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