美白サプリの真実:専門家が科学的根拠・日本の規制に基づき効果と安全性を徹底検証
皮膚科疾患

美白サプリの真実:専門家が科学的根拠・日本の規制に基づき効果と安全性を徹底検証

「透明感のある明るい肌」は、多くの日本人女性・男性にとって長年の憧れであり続けています1。この美意識を背景に、美白サプリメント市場は活況を呈していますが、同時に「本当に効果があるのだろうか?」「副作用は心配ないのか?」といった疑問や不安の声も少なくありません2。インターネットや雑誌には様々な情報が溢れており、消費者はどの情報を信じ、どのように製品を選べば良いのか戸惑いを感じています。
この記事では、JAPANESEHEALTH.ORG編集部として、美白サプリメントに関する科学的根拠、専門家の知見、そして日本の法律・規制を徹底的に調査・分析します。そして、美白サプリメントの効果と安全性を多角的に検証し、読者の皆様が賢明な選択をするために不可欠な、正確かつ客観的な情報を提供することを目的とします。私たちの編集方針は、常にE-E-A-T(専門性・権威性・信頼性)を追求し、読者にとって真に役立つ情報(Helpfulness)をお届けすることにあります。

要点まとめ

  • 日本の法律上、サプリメントは「美白」効果を謳えず、「肌のうるおいを保つ」等の限定的な機能性表示のみが可能です。既存のシミを消す医薬品とは明確に区別されます。
  • L-システインやビタミンCは、メラニン生成抑制や排出促進が期待され医薬品にも利用されますが、サプリメントとしての効果は穏やかです。
  • トラネキサム酸は肝斑治療に有効な医薬品ですが、血栓症のリスクがあり医師の指導が必須です。サプリメントへの配合は認められていません。
  • グルタチオンは経口摂取の効果が限定的で、美容点滴はアナフィラキシー等の重篤なリスクを伴う可能性があります。
  • サプリメントはあくまで補助的な役割です。紫外線対策、バランスの取れた食事、正しいスキンケアといった総合的なアプローチが美肌の基本となります。

1. 「美白」とは何か?日本の法律・規制と科学的視点

美白サプリメントについて理解を深めるためには、まず「美白」という言葉が何を意味し、日本国内でどのように規制されているのかを知ることが不可欠です。

1.1. 日本の医薬品医療機器等法における「美白」の定義

日本の医薬品医療機器等法(旧薬事法)において、化粧品や医薬部外品(薬用化粧品)が「美白」効果を謳う場合、それは一般的に「メラニンの生成を抑え、しみ、そばかすを防ぐ」という予防的な効果を指します3, 4。重要なのは、これが肌の色そのものを物理的に白くする「漂白」効果を意味するものではないという点です。つまり、既存のシミを消したり、肌の色調を根本的に変えることを保証するものではありません。

1.2. 機能性表示食品と「美白」関連の表示

サプリメントの一種である機能性表示食品は、事業者の責任において科学的根拠に基づいた機能性を表示できる食品です5, 6。しかし、「美白」という直接的な表現は、健康の維持・増進の範囲を超える意図的な健康の増強を標榜するものと見なされるため、原則として認められていません7
消費者は、消費者庁のデータベースで届け出られた製品の情報を確認できますが、表示できるのは「肌のうるおいを保つ」や「紫外線刺激から肌を保護するのを助ける」といった、限定的な機能性です8, 9。これらの表示は、あくまで届け出られた科学的根拠の範囲内であり、その効果には限界があることを理解しておく必要があります。

1.3. 医薬品としての「美白」関連成分

一方、医薬品として扱われる成分の中には、シミや色素沈着の治療に用いられるものがあります。例えば、肝斑の治療には、医師の診断のもとでトラネキサム酸が処方されることがあります10, 11
また、市販薬(OTC医薬品)としても、L-システインやビタミンCを主成分とし、「しみ、そばかすの緩和」といった効能を持つ製品(例:トランシーノII、ハイチオールCなど)が存在します12。これらは治療や症状緩和を目的としており、サプリメントとは明確に区別されます。

1.4. 「サプリメント(健康食品)」の位置づけと注意点

美白を謳う製品の多くが分類される「サプリメント(健康食品)」は、あくまで栄養補給や健康維持を目的とした食品です。医薬品のような治療効果や、医薬部外品のような特定の予防効果を法的に謳うことはできません2。市場には多種多様な製品が存在し、その品質や安全性にはばらつきがあるのが現状です。消費者は、サプリメントに対して過度な期待を抱かず、その位置づけを正しく理解し、慎重に製品を選択する必要があります。

2. 主要な美白・美肌関連サプリメント成分の科学的評価

美白や美肌効果を期待してサプリメントに配合される成分は多岐にわたります。ここでは、主要な成分について、その作用機序、科学的根拠、安全性、そして日本での位置づけを詳しく見ていきます。

成分名 主張される作用機序 有効性に関する主な科学的根拠 (研究例) 日本での位置づけ 主な副作用・注意点
L-システイン メラニン生成抑制、抗酸化、ターンオーバー促進2 シミ・そばかすへの効果13, ビタミンC等との併用効果2 医薬品、サプリメント 一般に安全、過剰摂取に注意
ビタミンC メラニン生成抑制、抗酸化、コラーゲン生成促進2 抗酸化作用、皮膚への効果14 医薬品、医薬部外品、機能性表示食品、サプリメント 大量摂取で消化器症状の可能性
トラネキサム酸 プラスミン阻害によるメラニン生成抑制、抗炎症10 肝斑への効果(内服)15 医療用医薬品、要指導・第1類医薬品。サプリメント配合不可 消化器症状、月経不順、血栓症リスク(特に注意)10
グルタチオン 抗酸化、メラニン生成経路への影響16 経口摂取の効果は限定的か16。点滴は効果が早いがリスクも16 医療用医薬品(美白目的ではない)、サプリメント 経口は比較的安全。点滴はアナフィラキシー、肝毒性等16
アスタキサンチン 強力な抗酸化、抗炎症17 紫外線ダメージ軽減、皮膚状態改善の可能性17 機能性表示食品(肌のうるおい等)、サプリメント 比較的安全
ポリポディウム・レウコトモス 抗酸化、光防御、免疫調節18 光老化予防、色素沈着補助療法の可能性19 サプリメント 比較的安全

2.1. L-システイン (L-Cysteine)

L-システインは、体内で合成されるアミノ酸の一種で、グルタチオンの構成成分でもあります。美白関連製品では、メラニンの過剰な生成を抑制する作用、強力な抗酸化作用によって肌細胞を保護する作用、そして肌のターンオーバー(新陳代謝)を促進し、メラニンの排出を助ける作用が期待されています2
科学的根拠としては、L-システイン、L-アスコルビン酸(ビタミンC)およびそれらの誘導体が、メラノーマ細胞の生存率やメラニン合成に多面的な効果を持つことを示した2024年の研究があります14。この研究では、L-システインがL-DOPA(メラニン前駆体)による細胞死を軽減する効果や、特定の条件下で細胞内メラニンレベルを減少させる可能性が示唆されています。また、L-システインはビタミンCやビタミンB群などと組み合わせて配合されることが多く、これらの成分との相乗効果によってシミやそばかすへの効果が高まるとされています2。例えば、ハイチオールシリーズの製品情報では、L-システインがシミの原因となるメラニンの過剰な生成を抑え、肌の代謝を正常化することでメラニンを排出するメカニズムが説明されています13
安全性については、L-システインは一般的に安全な成分と考えられていますが、サプリメントとして摂取する際には、過剰摂取による胃腸の不快感などが報告される可能性も否定できません20。日本国内では、L-システインは「ハイチオール」などの一般用医薬品(第3類医薬品)の主成分として「しみ、そばかす、日やけなどの色素沈着症」への効能が認められているほか、サプリメントとしても広く利用されています12

2.2. ビタミンC (Vitamin C / L-Ascorbic Acid)

ビタミンC(L-アスコルビン酸)は、強力な抗酸化物質として知られ、美白・美肌効果を期待して多くのスキンケア製品やサプリメントに配合されています。主な作用機序としては、メラニン色素を生成する酵素であるチロシナーゼの活性を阻害することによるメラニン生成抑制作用、活性酸素を除去する抗酸化作用、そして皮膚のハリや弾力に不可欠なコラーゲンの生成を促進する作用が挙げられます2
科学的根拠に関しては、前述のL-システインに関する研究14でも、L-アスコルビン酸がチロシナーゼ活性やL-DOPAの自動酸化を阻害する効果、L-DOPA誘発性の細胞死を軽減する効果などが示されています。ただし、同研究では、L-アスコルビン酸が基礎状態やα-MSH刺激下で細胞内メラニンレベルを増加させるという逆説的な結果も報告されており、その作用は複雑であることが示唆されています。多くの製品では、L-システインとビタミンCを組み合わせることで、メラニン生成抑制と排出促進の相乗効果を狙っています2
ビタミンCは水溶性ビタミンのため、過剰に摂取しても体内に蓄積されにくく、尿として排出されるため、比較的安全性が高いとされています。しかし、一度に大量に摂取した場合、下痢や吐き気といった消化器系の症状が現れることがあります2。日本においては、ビタミンCは医薬品(例:シナール)、医薬部外品の有効成分、機能性表示食品(「皮膚や粘膜の健康維持を助けるとともに、抗酸化作用を持つ栄養素です」等の表示)、そして一般的なサプリメントとして幅広く利用されています。

2.3. トラネキサム酸 (Tranexamic Acid)

トラネキサム酸は、人工的に合成されたアミノ酸の一種で、元々は止血剤や抗炎症剤として医療現場で用いられてきました。近年、その美白効果、特に肝斑に対する有効性が注目されています。主な作用機序は、メラノサイト(メラニン産生細胞)を活性化させる因子の一つであるプラスミンの働きを阻害することにより、メラニンの生成を抑制する効果と、炎症を抑える効果です10
有効性に関する科学的根拠として、特に肝斑治療における経口トラネキサム酸の有効性を示す複数の研究が存在します。2023年のShahらによるレビュー論文では、経口、局所注射、外用の各投与経路でのトラネキサム酸の有効性が検討され、経口投与が特に難治性肝斑に対して最も効果的であると結論付けられています15。また、2018年のLeeらによるレビューでも、経口トラネキサム酸がアジア人女性の肝斑に対して低用量(例:500 mg/日)でも短期間(8-12週)で有効性を示し、安全な治療選択肢であると報告されています22。日本国内でも、第一三共ヘルスケアの「トランシーノII」は、トラネキサム酸を有効成分とする肝斑改善薬(要指導医薬品・第1類医薬品)として承認されており、その添付文書情報や関連資料では、8週間の服用で肝斑に対する有効性が示されています12, 23
安全性に関しては、比較的副作用は少ないとされていますが、消化器症状(食欲不振、吐き気、下痢、胸やけなど)や、まれに月経不順が報告されています10。最も注意すべき副作用は血栓症のリスクです。トラネキサム酸には血液を固まりやすくする作用があるため、血栓症の既往がある人、血栓症のリスクが高い人(例:ピル服用者、心筋梗塞や脳梗塞の既往がある人など)への投与は禁忌または慎重投与とされています10。そのため、トラネキサム酸の内服は必ず医師の診断と指導のもとで行われるべきです。
日本での位置づけとしては、トラネキサム酸は医療用医薬品として医師から処方されるほか、「トランシーノII」のように要指導医薬品や第1類医薬品として薬局で購入できます21。化粧品にも配合されていますが、サプリメント(健康食品)としての経口摂取を目的とした製品への配合は認められていません。日本の医師は、肝斑治療においてトラネキサム酸内服を第一選択とすることが多く、レーザートーニングなど他の治療法と組み合わせることもあります10。しかし、その使用に際しては、副作用リスク、特に血栓症のリスクを十分に考慮し、患者の既往歴や併用薬を慎重に確認する必要があります。

2.4. グルタチオン (Glutathione)

グルタチオンは、グルタミン酸、システイン、グリシンの3つのアミノ酸からなるトリペプチドで、体内の主要な抗酸化物質の一つです。美白効果を期待される作用機序としては、強力な抗酸化作用による細胞保護、メラニン生成経路におけるチロシナーゼ活性の阻害や、黒色メラニン(ユーメラニン)から淡色メラニン(フェオメラニン)への変換促進などが主張されています16
有効性に関する科学的根拠については、議論の余地があります。2025年に発表されたAlzahraniらによるナラティブレビューでは、経口、外用、静脈注射によるグルタチオンの皮膚美白効果と安全性が評価されました16。このレビューによると、経口投与ではメラニンレベルの有意な減少が見られるものの、その効果にはばらつきがあり、副作用は限定的とされています。一方、静脈注射(いわゆる「白玉点滴」「グルタチオン点滴」)は効果が迅速であるものの、アナフィラキシーショックや肝毒性といった重篤な安全性の懸念があり、標準化された投与プロトコルも確立されていないと指摘されています16, 24。日本国内の美容クリニックでは、美白やデトックスを目的としてグルタチオン点滴が行われている実情があります25, 26
安全性に関しては、経口摂取の場合は比較的安全と考えられていますが、まれに食欲不振、悪心・嘔吐、胃痛、発疹などが報告されています27。点滴の場合は、前述の通り、アナフィラキシーショックや肝機能障害などのリスクが指摘されており、慎重な判断が必要です16。日本での位置づけとしては、グルタチオンは医療用医薬品として注射薬(タチオン注射用)および内服薬(タチオン錠)が存在します28, 29, 30。しかし、これらの医薬品の承認されている効能・効果は、薬物中毒、慢性肝疾患における肝機能の改善などであり、「美白」を直接的な目的としたものではありません28。サプリメントとしてもグルタチオンは流通していますが、その効果や品質は製品によって異なります。

2.5. アスタキサンチン (Astaxanthin)

アスタキサンチンは、エビ、カニ、サケ、藻類などに含まれる赤色の天然色素で、カロテノイドの一種です。非常に強力な抗酸化作用を持つことで知られ、その力はビタミンEの約1000倍とも言われています。また、抗炎症作用も有しているとされます17。これらの作用により、紫外線による皮膚へのダメージを軽減し、シミやシワの予防、肌の弾力や水分量の改善に寄与すると期待されています。
有効性に関する科学的根拠としては、複数の臨床試験が報告されています。Tominagaらによる2012年の研究では、健康な女性被験者において、アスタキサンチン6mg/日の経口摂取と外用塗布の併用により、8週間後にシワ、シミ、弾力性、肌のキメなどが改善したと報告されています17。また、同グループによる2017年の研究では、16週間の臨床試験でアスタキサンチンを摂取した群では、プラセボ群で見られたシワや肌水分量の悪化が抑制されたことが示されました31。これらの結果から、アスタキサンチンは紫外線や乾燥といった環境要因による皮膚の劣化を抑制する可能性が示唆されています。「飲む日焼け止め」の成分としても注目されています18
安全性については、アスタキサンチンは比較的安全な成分と考えられており、適切量を摂取する限り、重篤な副作用の報告は少ないです。日本での位置づけとしては、機能性表示食品の関与成分として、「抗酸化作用を持つアスタキサンチンは、紫外線刺激から肌を保護するのを助ける機能性、肌のうるおいを守るのを助ける機能性が報告されています」といった表示で製品が販売されています8, 9

2.6. ポリポディウム・レウコトモス (Polypodium Leucotomos / Fernblock®)

ポリポディウム・レウコトモスは、中央アメリカ原産のシダ植物の一種で、その抽出物は「Fernblock®(フェーンブロック)」などの名称で知られています。古くから皮膚疾患の治療に用いられてきた歴史があり、近年ではその光防御作用、抗酸化作用、抗炎症作用、免疫調節作用が科学的に研究されています18。Mohammadらによる2025年のシステマティックレビューでは、光老化や皮膚がんの予防、肝斑などの補助療法としての可能性が示唆されています19。また、Calzariらによる2023年のレビューでは、経口摂取および外用塗布により皮膚がん予防や光老化予防に有効である可能性が報告されています32。「飲む日焼け止め」としての役割が期待されており、紫外線によるダメージを内側からケアすると考えられています18
安全性については、一般的に安全性が高く、副作用の報告は少ないとされています。日本では主に「ヘリオケア」などの商品名でサプリメントとして販売されています33

2.7. その他の注目成分

上記の主要成分以外にも、プラセンタ、ビタミンE、コエンザイムQ10、ハトムギエキス(ヨクイニン)など、様々な成分が美白・美肌目的のサプリメントに配合されています21, 33。これらの成分は、肌全体のコンディションを整えるサポートとしての役割が期待されますが、その効果は製品の品質や科学的根拠のレベルを見極める必要があります。

3. 美白サプリメントのリスクと副作用:安全な利用のために

美白サプリメントは手軽ですが、医薬品ではないものの、体内に摂取する以上、潜在的なリスクや副作用を正しく理解しておくことが極めて重要です。

3.1. 一般的な副作用と過剰摂取のリスク

多くのサプリメントに共通する副作用として、吐き気、下痢、胃痛などの消化器系の症状や、発疹、かゆみなどのアレルギー反応が挙げられます10。また、複数のサプリメントの併用や医薬品との相互作用、推奨量を超える過剰摂取は予期せぬ健康被害につながる可能性があるため、必ず医師や薬剤師に相談することが重要です2

健康に関する注意事項

  • トラネキサム酸は医薬品であり、自己判断での使用は危険です。特に血栓症のリスクがあるため、必ず医師の診断・処方のもとで使用してください10。初期症状(胸の痛み、手足のしびれ、激しい頭痛等)が見られたら直ちに服用を中止し、医療機関を受診してください。
  • 美容目的のグルタチオン点滴は、アナフィラキシーショックや肝機能障害といった重篤な副作用のリスクが報告されています16。施術を受ける際はリスクを十分に理解し、信頼できる医療機関を選んでください。
  • 妊娠中・授乳中の方は、自己判断でサプリメントを摂取せず、必ずかかりつけの医師に相談してください10。機能性表示食品は、妊産婦を対象に開発されたものではありません5

4. 「飲む日焼け止め」の科学:効果の範囲と正しい理解

近年、「飲む日焼け止め」として知られるサプリメントが注目を集めています。これらは主にポリポディウム・レウコトモス抽出物(Fernblock®)やアスタキサンチンなどの強力な抗酸化・抗炎症成分を含み、紫外線によって体内で発生するダメージを内側から軽減することを目的としています18
最大のメリットは、塗りにくい頭皮や背中、目などを含め、全身に効果が期待できる点です18。しかし、最も重要な点は、これらのサプリメントは紫外線を物理的にブロックするわけではなく、SPFやPA値が存在しないということです34。したがって、「飲む日焼け止め」は、あくまで塗る日焼け止めの補助的な役割と位置づけるべきであり、これ単体で紫外線対策が完結するものでは決してありません18。日焼けによる赤みなどの炎症を軽減したり18、長期的な光老化の進行を遅らせたりする可能性は研究されていますが31、効果には個人差があります。

よくある質問

Q1: 美白サプリの効果はいつから実感できますか?
成分の種類、配合量、個人の体質や肌の状態、生活習慣などによって大きく異なるため、一概には言えません。一般的に、サプリメントは医薬品のような即効性は期待できず、効果を実感するまでには数週間から数ヶ月単位での継続が必要とされています2。肌のターンオーバーのサイクル(約28日以上、年齢により長くなる)を考慮すると、最低でも1~3ヶ月は継続してみることが一つの目安となります。
Q2: 長期間使用しても大丈夫ですか?副作用が心配です。
成分によって異なります。ビタミンCのように比較的安全性が高いとされるものもありますが、医薬品であるトラネキサム酸のように、医師の管理下で休薬期間を設けるなど慎重な使用が求められる成分もあります35。自己判断での長期連用は避け、製品の注意書きをよく読み、不安な場合は医師や薬剤師に相談することが極めて重要です。
Q3: 飲むタイミングはいつが良いですか?
製品によって推奨されるタイミングが異なりますので、まずはパッケージの指示に従ってください。一般的には、消化吸収を助けるために食後に摂取することが推奨されるサプリメントが多いです2。また、成長ホルモンの分泌が活発になる就寝前に摂取することで、肌の再生をサポートするとされる製品もあります。
Q4: 他の薬やサプリメントと併用してもいいですか?
必ず医師または薬剤師に相談してください2。医薬品との飲み合わせによっては、薬の効果が強まったり弱まったりする相互作用が起こる可能性があります。また、複数のサプリメントを併用することで、特定の成分を過剰摂取してしまうリスクもあります。
Q5: 「美白サプリは効果がない」と聞きますが、本当ですか?
「美白」の定義や期待する効果のレベルによります。前述の通り、サプリメントは医薬品ではないため、出来てしまったシミを消したり、肌の色を劇的に白くしたりするような効果は法的に認められておらず、期待もできません2。効果の現れ方には個人差が大きく、すぐに結果が出ないために「効果がない」と感じる人もいます。しかし、適切な成分を継続的に摂取し、紫外線対策やスキンケアといった他のケアと組み合わせることで、肌のコンディションを整え、将来的なシミやくすみの予防に繋がる可能性はあります。過度な期待はせず、あくまで総合的な美肌ケアの一環として捉えることが大切です。

結論

美白サプリメントは、手軽に美肌ケアを取り入れられる手段の一つとして魅力的に映りますが、その効果と安全性については、科学的根拠とリスクを冷静に理解し、過度な期待をしないことが肝要です。日本国内の法律・規制を理解し、製品の分類(医薬品、機能性表示食品など)を正しく読み解く知識を持つことは、賢明な消費者であるための第一歩です。最も重要なのは、サプリメントの利用を検討する際には、医師や薬剤師といった専門家に必ず相談することです。特に、既存の疾患がある方、医薬品を服用中の方、妊娠中・授乳中の方は、自己判断での摂取は絶対に避けるべきです。そして忘れてはならないのは、美白サプリメントはあくまで「補助」であるという点です。紫外線対策の徹底、バランスの取れた食事、正しいスキンケアこそが、健やかで美しい肌を育むための基本となります。

免責事項
この記事は医学的アドバイスに代わるものではなく、症状がある場合は専門家にご相談ください。

参考文献

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