【女性の骨盤の痛み】考えられる12の原因と受診の目安
女性の健康

【女性の骨盤の痛み】考えられる12の原因と受診の目安

下腹部の奥や恥骨のあたりがズキズキする、片側だけが刺すように痛む、立ち上がると骨盤のあたりが引きつれる──。
「月経痛だろう」「年齢のせいかな」と我慢してしまいがちな骨盤の痛みですが、その裏には婦人科の病気だけでなく、消化管や尿路、場合によっては命に関わる病気が隠れていることもあります1

一方で、排卵や月経、妊娠・出産など、女性のライフステージにともなう変化が原因で、一時的な痛みとして現れているケースも少なくありません。長く続く慢性的な骨盤痛は、全女性の2〜24%にみられるとされており4、「自分だけがつらいのでは」と一人で不安を抱えている方も多いと言われています。

この記事では、日本の公的機関や専門学会、海外の信頼できる医学情報をもとに、女性の骨盤の痛みでよくみられる12の主な原因と、その特徴・受診の目安をわかりやすく整理します。
「どの程度なら様子を見てよいのか」「どんな症状があれば急いで病院に行くべきなのか」を具体的にイメージできるように、日常生活のセルフチェックから医療機関での検査、今からできる過ごし方の工夫まで、段階的にご紹介します。

骨盤の痛みは「がまんするしかないもの」ではありません。この記事が、ご自身の体調を見つめ直し、必要なときに適切な医療につながるきっかけになれば幸いです。

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Japanese Health(JHO)は、健康と美容に関する情報を提供するオンラインプラットフォームです。膨大な医学文献や公的ガイドラインを整理し、日常生活で活用しやすい形でお届けすることを目指しています。

本記事の内容は、以下のような一次情報源に基づいて、JHO編集部がAIツールのサポートを受けつつ、最終的には人の目で一つひとつ確認しながら作成しています。

  • 厚生労働省・自治体・公的研究機関:日本人向けの公式情報を優先して参照しつつ、骨盤痛や関連する婦人科疾患に関する説明は、MSDマニュアル家庭版や専門学会の解説ページなどを中心に整理しています1
  • 国内外の医学会ガイドライン・査読付き論文:日本産科婦人科学会・日本女性医学学会・日本心身医学的婦人科研究会などの情報や、急性骨盤痛の評価に関する総説論文、米国家庭医学会のレビューなどをもとに、診断・治療の流れを概観しています36
  • 教育機関・医療機関・NPOによる一次資料:慢性骨盤痛の定義や頻度については、日本の専門学会による一般向け解説ページ、日常生活上の原因や受診の仕方については国内の医療情報サイトなどを参考にしています47

AIツールは、文献の要約や構成案作成の「アシスタント」として活用していますが、公開前には必ずJHO編集部が原著資料と照合し、重要な記述を一つひとつ確認しながら、事実関係・数値・URLの妥当性を検証しています。

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要点まとめ

  • 骨盤の痛みは、婦人科だけでなく、消化管・尿路・筋肉や靱帯などさまざまな臓器・組織のトラブルが原因になります。婦人科以外の病気(虫垂炎、憩室炎、腸閉塞、尿路感染症など)が隠れている場合もあります12
  • 比較的よくある原因として「排卵痛」「月経痛・月経困難症」「卵巣嚢胞」「子宮筋腫」「過敏性腸症候群」「尿路感染症」「骨盤内炎症性疾患(PID)」「異所性妊娠」などが挙げられます1235
  • 突然の激しい痛み、冷や汗・ふらつき・意識が遠のく感じ、発熱や大量の不正出血、妊娠の可能性がある場合の強い痛みは、異所性妊娠や卵巣嚢胞破裂、卵巣茎捻転、虫垂炎など、緊急性の高い病気のサインの可能性があります26
  • 6か月以上続く慢性的な骨盤痛は、日本の専門学会では「慢性骨盤痛」と定義されており、子宮内膜症や子宮腺筋症、骨盤内炎症性疾患など、多くの病気が関わるとされています4
  • 痛みの性質(ズキズキ・チクチク・鈍い痛み)、場所、左右差、月経や排便・排尿との関係、いつから続いているかなどをメモしておくと、医療機関での診察や検査がスムーズになります67
  • 自宅でできるケア(骨盤周りを冷やさない、無理な運動や長時間同じ姿勢を避ける、ストレスケアなど)は補助的な役割であり、「様子を見る期間」が長くなりすぎないことが大切です。強い痛み・長く続く痛み・気になる出血があるときは、早めに医療機関に相談しましょう。

第1部:骨盤の痛みの基本と日常生活の見直し

まずは、「そもそも骨盤とはどの部分か」「どのような臓器や筋肉が集まっているのか」を簡単に押さえ、そのうえで生活習慣や環境によって痛みが出やすくなるポイントを整理していきます。

1.1. 骨盤の構造と痛みが出る仕組み

骨盤は、背骨の一番下にある仙骨と、左右の寛骨(腸骨・恥骨・坐骨が合わさった骨)からなる「器」のような骨格で、上半身と下半身をつなぎ、内側には子宮・卵巣・卵管などの生殖器、膀胱や尿道などの尿路、直腸やS状結腸などの消化管が集まっています1。さらに骨盤底筋群と呼ばれる筋肉や靱帯がハンモックのように内臓を支えています。

骨盤の痛みは、大きく分けると次のようなところから生じます12

  • 婦人科:子宮、卵巣、卵管、子宮頸部、膣など
  • 消化管:虫垂(盲腸)、S状結腸、直腸など
  • 尿路:膀胱、尿管の下部、尿道など
  • 筋肉・靱帯・骨:骨盤底筋群、股関節周囲の筋肉、恥骨結合、仙腸関節など
  • 神経や心身の要因:神経の圧迫や心身症など

したがって、「骨盤の痛み」と感じていても、原因は一つとは限らず、複数の要因が重なっていることもあります。特に慢性的な骨盤痛では、子宮内膜症などの器質的な病気と、筋肉の緊張やストレスなどの要因が組み合わさっているケースも少なくないと報告されています45

1.2. 痛みを悪化させてしまうNG習慣

病気そのものとは別に、日常生活の中で骨盤まわりに負担をかけてしまい、痛みを悪化させているケースもあります。代表的な例として、次のようなものが挙げられます47

  • 長時間同じ姿勢で座りっぱなし:デスクワークや勉強で前かがみの姿勢が続くと、骨盤底筋や腰の筋肉に負担がかかり、血流が悪くなって痛みや重だるさが増すことがあります。
  • 腰や下腹部の「冷え」:薄着や、冬場にお腹周りを冷やしたまま過ごす習慣などは、筋肉のこわばりや月経痛の悪化につながることがあります。
  • 急な激しい運動・無理なストレッチ:普段運動習慣があまりない状態で急に激しいスポーツをすると、股関節周囲や骨盤底の筋肉を傷めてしまう場合があります。
  • 過度なストレスや睡眠不足:ストレスは自律神経のバランスを乱し、痛みを感じやすくしたり、月経痛や腸の不調を悪化させたりします4

こうした要因だけで強い骨盤痛が起こることは多くありませんが、すでに何らかの病気が背景にある場合には、痛みを増幅させる「悪循環」の一因になります。痛みが続くときには、病院を受診すると同時に、日頃の姿勢や冷え対策、ストレスケアなども振り返ってみるとよいでしょう。

表1:骨盤の痛みセルフチェックリスト(例)
こんな症状・状況はありませんか? 考えられる主な背景・原因カテゴリ
月経の前後になると骨盤の奥が重く痛み、鎮痛薬が手放せない 月経痛・子宮内膜症・子宮腺筋症など婦人科の原因
排便するときや便秘のときに左下腹部〜骨盤のあたりが強く痛む 過敏性腸症候群、憩室炎、便秘など消化管の原因
排尿のときにしみるような痛みがあり、下腹部や恥骨のあたりがズキズキする 膀胱炎などの尿路感染症
急に片側だけ強い痛みに襲われ、立っていられないほどつらい 卵巣嚢胞破裂、卵巣茎捻転、虫垂炎などの緊急性の高い病気
6か月以上、原因不明の骨盤の痛みが続き、仕事や家事に支障が出ている 慢性骨盤痛(子宮内膜症・骨盤内炎症性疾患など複合的な原因)

第2部:体の内部要因 — ホルモン・消化管・尿路など12の代表的な原因

ここからは、女性の骨盤の痛みで比較的よくみられる12の代表的な原因を、「ホルモンや月経に関係するもの」「消化管・尿路の病気」「その他の婦人科疾患」に分けて見ていきます。ここで紹介する原因がすべてではありませんが、多くのケースで検討される代表的な病気です125

2.1. ホルモン・月経に関連する原因

女性ホルモンの変動や月経周期にともなって起こる骨盤の痛みは、比較的一般的です。ただし、同じ「月経に伴う痛み」でも、その裏に子宮内膜症などの病気が隠れていることもあります。

  • ① 排卵痛(排卵期の骨盤痛)
    排卵のタイミング(通常、月経周期の中間頃)で、下腹部や骨盤の片側だけに数時間〜数日程度痛みを感じることがあります。卵巣から卵子が飛び出す際に、卵巣を覆う膜が一時的に伸びたり、少量の出血や腹水が生じたりすることで痛みが出ると考えられています5
    いつも同じ時期・同じ程度の痛みで、強さが大きく変わらない場合には排卵痛の可能性がありますが、これまで経験したことのないほど強い痛みや、発熱・吐き気を伴う場合は別の病気も考えられるため、早めに受診しましょう。
  • ② 月経痛・月経困難症
    月経時に子宮が収縮して経血を体外に押し出す際、前かがみになるほどの痛みや骨盤全体の重い痛みを感じることがあります。いわゆる「生理痛」がこれにあたります。市販の鎮痛薬で日常生活が送れる程度であれば、一般的な範囲の月経痛と考えられますが、毎月寝込んでしまうほど強い痛みや、経血量が非常に多い場合、性交時の痛みや排便痛がある場合などは、子宮内膜症や子宮腺筋症などの病気が隠れている可能性があります45
  • ③ 月経前症候群(PMS)・月経前不快気分障害(PMDD)
    月経の数日前から、骨盤の重だるさや腰痛、乳房の張り、イライラや気分の落ち込みなどが同時に現れ、月経が始まると改善していくタイプの不調です。ホルモンバランスの変化に加えて、睡眠不足やストレス、生活リズムの乱れが影響するとされています4。骨盤の痛み以外にも心身のつらさが強い場合には、婦人科だけでなく、心療内科などで相談することも選択肢です。

2.2. 消化管に由来する原因

骨盤の中には直腸やS状結腸などの腸管も通っているため、消化管のトラブルが骨盤の痛みとして感じられることもあります12

  • ④ 過敏性腸症候群(IBS)
    検査をしても明らかな異常が見つからないにもかかわらず、腹痛や下痢・便秘が続く状態を指します。ストレスや自律神経のバランスが影響するとされ、骨盤のあたりでキリキリ・チクチクした痛みを感じることがあります。排便と関係して痛みが強くなったり軽くなったりするのが特徴です5
  • ⑤ 憩室炎(けいしつえん)
    大腸にできた小さな袋状の膨らみ(憩室)に炎症が起こった状態です。特に左の下腹部〜骨盤付近に痛みが出やすく、発熱や下痢・便秘を伴うことがあります2。強い痛みや高熱がある場合は、腸閉塞や穿孔(穴があくこと)などの合併症を起こすリスクもあるため、消化器内科や救急外来での診察が必要です。
  • ⑥ 腸閉塞(イレウス)などの腸のトラブル
    手術後の癒着やがんなどが原因で腸の中が塞がり、内容物やガスが流れなくなった状態を腸閉塞といいます。激しい腹痛・骨盤痛に加えて、吐き気や嘔吐、おならや便が出ない、腹部膨満などの症状が現れます2。これは救急対応が必要な病気の一つであり、「いつもと違う強い痛み」「冷や汗やふらつき」を伴う場合は、すみやかに救急外来や119への相談が推奨されます。

2.3. 尿路に由来する原因

膀胱や尿道の炎症・感染症も、骨盤の痛みとして感じられることがあります。

  • ⑦ 尿路感染症(膀胱炎など)
    膀胱炎は、排尿時のしみるような痛みや頻尿とともに、下腹部・恥骨のあたりの鈍い痛みを伴うことが多い病気です。女性は尿道が短く、肛門との距離も近いため、腸内細菌が尿道から侵入しやすい構造になっています17。悪化すると腎盂腎炎(腎臓の感染)に進行し、高熱や腰の強い痛みを伴うこともあるため、排尿症状と骨盤の痛みが同時にある場合は、早めに内科・泌尿器科での受診を検討しましょう。

2.4. その他の婦人科疾患による原因

婦人科の病気は、骨盤の痛みの中でも特に多い原因の一つです。ここでは、月経痛以外に比較的よくみられる代表的な疾患を取り上げます124

  • ⑧ 卵巣嚢胞(卵巣のう腫)
    卵巣に液体の入った袋状の構造ができた状態です。多くは良性で、数cm程度の小さな嚢胞は自覚症状がほとんどなく、検診の超音波検査で偶然見つかることも少なくありません2。しかし、嚢胞が大きくなると、下腹部〜骨盤の片側に鈍い痛みや圧迫感を感じることがあります。また、嚢胞が破裂したり、卵巣がねじれてしまう(卵巣茎捻転)と、突然の激しい痛み・吐き気・冷や汗などを引き起こし、緊急手術が必要になることもあります26
  • ⑨ 子宮筋腫
    子宮の筋肉の一部がこぶのように増殖した良性腫瘍で、女性では比較的よく見られる病気です。筋腫の大きさや位置によっては、月経痛の悪化や経血量の増加、骨盤の重苦しさ、頻尿、便秘などさまざまな症状を引き起こすことがあります4。貧血が進むほど出血量が多い場合や、日常生活が大きく制限されるほど痛みが強い場合には、ホルモン治療や手術などを検討することがあります。
  • ⑩ 子宮内膜症・子宮腺筋症
    日本の専門学会は、慢性骨盤痛の代表的な原因として、子宮内膜症や子宮腺筋症、骨盤内炎症性疾患などを挙げています4。子宮内膜症は、子宮の内側を覆う組織に似た組織が卵巣や骨盤の腹膜など子宮以外の場所にできる病気で、月経のたびに強い骨盤痛・腰痛・性交時痛・排便痛などを引き起こします。子宮腺筋症は、子宮筋層の中に子宮内膜に似た組織が入り込み、子宮全体が腫れて月経痛や出血量の増加をもたらす病気です。
  • ⑪ 骨盤内炎症性疾患(PID)
    骨盤内炎症性疾患(pelvic inflammatory disease: PID)は、子宮や卵管、卵巣、骨盤腹膜など小骨盤内の臓器に起こる細菌感染症の総称であり、日本産科婦人科学会・日本産婦人科医会も重要な疾患として取り上げています38。クラミジアや淋菌などの性感染症に由来することが多く、下腹部の痛み・発熱・帯下(おりもの)の変化・不正出血・性交時痛などがみられます。放置すると卵管の癒着や不妊症、異所性妊娠のリスクを高めるため、疑わしい症状がある場合は早期の抗菌薬治療が重要です。
  • ⑫ 異所性妊娠(子宮外妊娠)
    受精卵が子宮以外の場所(多くは卵管)に着床してしまう状態で、妊娠可能年齢の女性にとって非常に重要な「見逃してはいけない」疾患の一つです。妊娠検査薬が陽性であるにもかかわらず、超音波検査で子宮内に妊娠が確認できない場合や、片側の骨盤の強い痛み・不正出血・めまい・ふらつきなどがある場合、異所性妊娠を疑って詳しい検査が行われます68。卵管が破裂すると大量出血を起こし、命に関わることもあるため、妊娠の可能性があるときの強い骨盤痛はすぐに受診が必要です。

第3部:緊急性を含む「要注意の骨盤痛」— どんなときにすぐ受診が必要?

ここでは、セルフケアだけでは対応できず、できるだけ早く医療機関での診断・治療が必要となる代表的な病気と、受診の目安となる症状をまとめます。
「様子を見てよい痛み」と「すぐに病院へ行くべき痛み」の線引きはむずかしいですが、以下のようなポイントは一つの目安になります236

3.1. こんな骨盤痛はすぐに受診を検討

  • 突然、これまで経験したことがないほど強い痛みに襲われた
  • 痛みとともに、冷や汗・ふらつき・意識が遠のく感じ・息苦しさがある
  • 38℃以上の発熱、悪寒、吐き気・嘔吐が続いている
  • 妊娠の可能性があり、片側の下腹部〜骨盤の強い痛みや不正出血がある
  • 数日〜数週間にわたり、鎮痛薬を飲んでも痛みがほとんど変わらない
  • 血便・黒色便・全く便やガスが出ない、などの消化器症状を伴っている
  • 排尿時の激しい痛み・血尿・高熱がある

こうした症状がある場合は、自己判断で様子を見すぎず、平日であればかかりつけ医や婦人科・消化器内科、夜間・休日や症状が強いときは救急外来や救急相談窓口(#7119など、地域の救急電話相談)に連絡することが推奨されます。
意識がもうろうとする・呼吸が苦しい・大量の出血がある場合などは、ただちに119番通報を検討してください。

3.2. 医療機関での診察と検査の流れ

骨盤の痛みで受診した場合、医師はまず問診で次のような点を詳しく確認します67

  • 痛みが始まった時期・きっかけ(急に?徐々に?)
  • 痛みの場所(左右差があるか、中央か、腰に広がるかなど)
  • 痛みの性質(ズキズキ・チクチク・締め付けられる感じなど)
  • 月経周期との関係(毎月同じ時期に起こるか、月経とは無関係か)
  • 排尿・排便・性交との関係(どのタイミングで痛みが強くなるか)
  • 発熱・悪心・嘔吐・出血など同時に起きている症状
  • これまでに受けた手術歴、持病、内服薬、妊娠歴など

そのうえで、必要に応じて次のような検査が行われます236

  • 内診・経腟超音波検査:子宮・卵巣の状態、卵巣嚢胞や筋腫の有無などを確認
  • 妊娠検査:妊娠可能年齢の場合、異所性妊娠を見逃さないために重要
  • 血液検査:炎症反応・貧血・ホルモン値などをチェック
  • 尿検査:尿路感染症(膀胱炎・腎盂腎炎)などの有無を確認
  • 画像検査(CT・MRIなど):虫垂炎や憩室炎、腸閉塞、腫瘍などの評価

特に急性の骨盤痛では、簡便で放射線被曝のない経腟超音波検査が第一選択とされることが多く、卵巣嚢胞破裂や子宮筋腫、卵巣茎捻転、卵管膿瘍、異所性妊娠などの診断に役立ちます6

第4部:今日から始める骨盤痛ケア — アクションプラン

骨盤の痛みの根本的な原因は医療機関での診断・治療が必要ですが、受診と並行して日常生活の中でできる工夫もあります。ただし、自己判断で薬を飲み続けたり、痛みが強いのに受診を先延ばしにしたりすることは避けましょう。

表2:骨盤の痛みに対する改善アクションプラン(例)
ステップ アクション 具体例
Level 1:今夜からできること 骨盤周りを冷やさず、リラックスする 入浴で体を温める、下腹部や腰を冷やさない服装にする、就寝前1〜2時間はスマホを控えて深呼吸や軽いストレッチでリラックスする
Level 2:今週から始めること 痛みの記録をつけて、パターンを把握する カレンダーやアプリに、痛みの強さ(10段階など)、場所、月経や排便・排尿との関係、服用した薬とその効果をメモしておく。受診時に医師に見せると診断の助けになります。
Level 3:数週間〜数か月かけて見直すこと 生活リズム・ストレス・運動習慣を整える 睡眠時間と就寝・起床時刻を大きく乱さないようにする、長時間座りっぱなしを避けて1時間に1回は立ち上がる、ウォーキングなど無理のない範囲で体を動かす、仕事や家事の負担を一人で抱え込みすぎないなど。

これらの工夫はあくまで補助的なものであり、「痛みが軽いから受診しなくてよい」という意味ではありません。特に、痛みが徐々に強くなっている、月経や排卵に関係なく続いている、日常生活に支障が出ている場合には、早めに婦人科や内科などでご相談ください。

第5部:専門家への相談 — いつ・どこで・どのように?

日本では、健康保険に加入している場合、原則3割負担で医療機関を受診できます。「どの診療科に行けばよいかわからない」「いきなり婦人科はハードルが高い」と感じる方も多いかもしれませんが、迷う場合はまずかかりつけ医や総合診療を行う内科で相談するのも一つの方法です。

5.1. 受診を検討すべき危険なサイン

  • 突然の激しい骨盤痛・下腹部痛(特に片側)
  • 高熱(38℃以上)、悪寒、吐き気・嘔吐を伴う痛み
  • 妊娠の可能性があり、強い痛みや不正出血がある
  • 血便・黒色便、排便やガスが全く出ない状態が続く
  • 排尿時の激しい痛みと発熱、腰の強い痛みが同時にある
  • 6か月以上続く原因不明の骨盤痛で、仕事や家事がつらい

これらの症状がある場合は、平日の日中であれば婦人科・消化器内科・泌尿器科などを中心に受診を検討し、夜間・休日や症状が強い場合は救急外来や救急相談窓口に連絡しましょう。

5.2. 症状に応じた診療科の選び方

  • 月経や排卵との関係が強い痛み/おりものの変化・不正出血・性交時痛がある
    → 婦人科(レディースクリニック、総合病院の産婦人科など)
  • 排便と関係する痛み/便秘・下痢・血便・発熱を伴う
    → 消化器内科、必要に応じて救急外来
  • 排尿時痛・頻尿・血尿と下腹部痛が同時にある
    → 内科・泌尿器科
  • 原因がよくわからない慢性的な骨盤痛・複数の症状が混在している
    → まずはかかりつけ医・総合診療科で相談し、必要に応じて婦人科・整形外科・心療内科などを紹介してもらう

5.3. 診察時に持参すると役立つものと費用の目安

  • 痛み日誌(痛みの強さ・場所・タイミングをメモしたもの)
  • 現在飲んでいる薬やサプリメントがわかるもの(お薬手帳など)
  • 過去の検査結果や紹介状(別の医療機関で検査や治療を受けたことがある場合)
  • 健康保険証、必要に応じて限度額適用認定証など

診察料や検査料は、行われる検査の内容によって大きく異なりますが、健康保険3割負担の場合、初診+基本的な血液・尿検査・超音波検査などで数千円〜1万円台になることが多いとされています。詳しい費用は、受診予定の医療機関に事前に確認すると安心です。

よくある質問

Q1: 骨盤の痛みは様子を見ても大丈夫なことが多いですか?

A1: 軽い月経痛や排卵痛など、一時的でパターンがはっきりしている痛みは、セルフケアや市販の鎮痛薬で様子を見ることもあります。ただし、痛みが日常生活に支障をきたしている場合、痛みの強さが以前より増している場合、6か月以上続いている場合には、子宮内膜症や子宮筋腫、慢性骨盤痛などの病気が隠れている可能性もあります4。我慢するのではなく、婦人科などで相談することをおすすめします。

Q2: 骨盤の片側だけが痛いとき、どんな原因が考えられますか?

A2: 片側の骨盤痛は、卵巣嚢胞・卵巣嚢胞破裂・卵巣茎捻転、排卵痛、憩室炎、虫垂炎、異所性妊娠など、さまざまな病気で見られることがあります256突然の激しい痛みや発熱、吐き気、冷や汗、ふらつきを伴う場合は、緊急性の高い病気の可能性があるため、すぐに医療機関を受診してください。

Q3: 妊娠初期に骨盤の痛みがあります。よくあることですか?

A3: 妊娠初期には、子宮が大きくなる過程で軽い張りや骨盤の違和感を感じることがあります。一方で、片側の強い痛み・鮮やかな出血・肩や首に放散するような痛み・ふらつきなどがある場合は、異所性妊娠や流産などの可能性も否定できません68。妊娠中の骨盤痛は自己判断がむずかしいため、必ず産婦人科で相談し、必要な検査を受けましょう。

Q4: 市販の痛み止めを飲み続けても大丈夫ですか?

A4: 一般的な解熱鎮痛薬は、用法・用量を守って短期間使用する範囲では大きな問題にならないことが多いとされていますが、長期間連日で飲み続けることはおすすめできません。痛み止めが効かないほどの痛み、飲むのをやめるとすぐに強い痛みが戻るような場合は、病気を「隠している」可能性もあります。自己判断で市販薬に頼り続けず、一度医療機関で原因を確認することが大切です。

Q5: 骨盤の痛みとストレスやメンタルは関係ありますか?

A5: はい、関係することがあります。ストレスは自律神経のバランスを乱し、痛みを感じやすくしたり、腸の動きや月経痛を悪化させたりすることが知られています45。特に慢性骨盤痛では、器質的な異常に加えて、筋肉の緊張や心理的要因が痛みを長引かせていることもあります。婦人科と心療内科・精神科が連携して治療を行うケースもありますので、「気のせい」と決めつけず、つらさをそのまま医師に伝えてみてください。

Q6: どのタイミングで「もう受診したほうがよい」と判断すべきですか?

A6: 一つの目安として、(1) 痛みが1〜2週間以上続く、(2) 市販の鎮痛薬を使っても十分に抑えられない、(3) 痛みのために仕事・家事・学校生活が明らかに困難になっている、(4) 発熱・出血・吐き気など他の症状を伴っている、(5) 妊娠の可能性がある、のいずれかに当てはまる場合は、早めの受診を検討してください467。迷う場合は、地域の相談窓口やかかりつけ医に電話で相談してみるのもよい方法です。

結論:この記事から持ち帰ってほしいこと

骨盤の痛みは、「女性なら仕方ない」と我慢してよいものではありません。排卵や月経にともなう一時的な痛みであっても、日常生活に支障が出ているのであれば、それは十分に相談してよいサインです。

一方で、異所性妊娠や卵巣嚢胞破裂、卵巣茎捻転、虫垂炎、憩室炎、腸閉塞、骨盤内炎症性疾患など、早急な治療が必要な病気が隠れていることもあります2368突然の激しい痛み・発熱・出血・妊娠の可能性といった「赤信号」が見られるときには、決して我慢せず、すみやかに医療機関へ連絡しましょう。

今日からできるのは、痛みのパターンを記録し、生活習慣を少しずつ整え、「自分の体の声」を無視しないことです。一人で不安を抱え込む必要はありません。必要なときには、婦人科や内科、心療内科など、専門家の力を借りながら、自分らしいペースで体と向き合っていきましょう。

この記事の編集体制と情報の取り扱いについて

Japanese Health(JHO)は、信頼できる公的情報源と査読付き研究に基づいて、健康・医療・美容に関する情報をわかりやすくお届けすることを目指しています。

本記事の原稿は、最新のAI技術を活用して下調べと構成案を作成したうえで、JHO編集部が一次資料(ガイドライン・論文・公的サイトなど)と照合しながら、内容・表現・数値・URLの妥当性を人の目で一つひとつ確認しています。最終的な掲載判断はすべてJHO編集部が行っています。

ただし、本サイトの情報はあくまで一般的な情報提供を目的としており、個々の症状に対する診断や治療の決定を直接行うものではありません。気になる症状がある場合や、治療の変更を検討される際は、必ず医師などの医療専門家にご相談ください。

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免責事項 本記事は情報提供のみを目的としており、専門的な医学的助言や診断、治療に代わるものではありません。健康上の懸念がある場合や、治療内容の変更・中止等を検討される際には、必ず資格のある医療専門家にご相談ください。

参考文献

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  3. 日本産科婦人科学会・日本産婦人科医会. (3)骨盤内感染症(PID)の総論. https://www.jaog.or.jp/note/…/骨盤内感染症(PID)の総論(最終アクセス日:2025-11-26)

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  6. Frasca D, et al. Evaluation of Acute Pelvic Pain in Women. American Family Physician. 2023. https://www.aafp.org/pubs/afp/issues/2023/0800/acute-pelvic-pain.html(最終アクセス日:2025-11-26)

  7. 国立成育医療研究センター監修. 骨盤の痛みの原因として日常生活上の要因は?. Ubie医療情報サイト. https://ubie.app/byoki_qa/clinical-questions/symptom/b5w76u611vl(最終アクセス日:2025-11-26)

  8. MSDマニュアル プロフェッショナル版. 骨盤内炎症性疾患(PID). MSD K.K.. https://www.msdmanuals.com/…/骨盤内炎症性疾患-pid(最終アクセス日:2025-11-26)

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