ベトナムや東南アジアなどで親しまれている甘い果物「スターアップル(star apple)」を、妊娠中に見かけて「食べても平気かな?」「糖分やお腹への影響が心配…」と悩む方も少なくありません。
結論からいうと、しっかり洗った完熟した果実の“果肉”を、妊娠中の1日の果物量の範囲内で少量楽しむのであれば、一般的には大きな問題はないと考えられます。ただし、日本の公的ガイドラインではスターアップルに特化した記載はなく、妊婦さんの体調や持病によって注意が必要な場合もあります。
この記事では、妊娠中の果物の基本ルール、日本や国際的な情報をもとにしたスターアップルの栄養とメリット、気をつけたいリスク、具体的な食べ方の目安、受診したほうがよいサインまで、段階的にくわしく解説します。最後まで読むことで、「どのくらいなら安心して楽しめるか」「自分は注意すべきタイプか」がイメージしやすくなるはずです。
Japanese Health(JHO)編集部とこの記事の根拠について
Japanese Health(JHO)は、健康と美容に関する情報を提供するオンラインプラットフォームです。膨大な医学文献や公的ガイドラインを整理し、日常生活で活用しやすい形でお届けすることを目指しています。
本記事の内容は、主に以下のような一次情報源に基づいて、JHO編集部がAIツールのサポートを受けつつ、原著資料を確認しながら作成しました。
- 厚生労働省・地方自治体・食品安全委員会などの公的資料:妊産婦のための食事バランスガイドや妊娠中の食中毒予防リーフレットなど、日本人向けの公式情報を参照しています12346。
- 周産期医学などの専門誌:妊娠中の生野菜・果物摂取の注意点に関するQ&A記事を参考にしています5。
- 査読付き英文論文:熱帯果物Chrysophyllum cainito(スターアップル)の成分・抗酸化作用・動物実験データに関する総説や毒性研究を参照しています79。
- 栄養成分データ:スターアップルの栄養組成をまとめた信頼性の高い食品情報サイトを利用しています8。
AIツールは文献検索や要点整理のアシスタントとして利用し、最終的な記述の確認・編集はJHO編集部が行っています。私たちの運営ポリシーや編集プロセスの詳細は、運営者情報(JapaneseHealth.org)をご覧ください。
要点まとめ
- スターアップルは熱帯原産の果物で、ビタミンCや食物繊維、カルシウムなどを含み、完熟した果肉を少量食べる分には妊娠中でも一般的に大きな問題はないと考えられます78。
- 日本の「妊産婦のための食事バランスガイド」では、妊娠中の果物は1日およそ2つ分(みかん2個、りんご1/2個など)が目安とされており1、スターアップルもこの範囲内で「1日1/2〜1個程度」が一つの目安になります(サイズやほかの果物との兼ね合いによって調整)。
- スターアップルは適度な甘さと食物繊維により、つわりのときの口直し、便通サポート、鉄分の吸収を助けるビタミンCの補給など、妊娠中の栄養補給に役立つ可能性があります78。
- 一方で、皮の近くには渋み成分(タンニンなど)やラテックス様の成分が多く含まれ、食べ過ぎると便秘やお腹の張りを悪化させるおそれがあります。未熟な実や皮、種、樹皮の抽出物などは安全性のデータが不足しているため避けた方が安心です79。
- 妊娠糖尿病や糖尿病、高血圧、腎臓病などを指摘されている方は、果物全般の量や甘いおやつの量を主治医に相談のうえで調整しましょう126。
- 輸入果物を生で食べる際は、妊娠中の食中毒予防の観点から、流水でよく洗う・必要に応じて皮を厚めにむく・カットしたら早めに食べるなど、基本的な衛生対策も大切です345。
「甘い果物だけど太らない?」「日本の病院ではあまり聞かない果物だけど大丈夫?」——海外の果物については、身近に相談できる人が少なく、不安を一人で抱えがちです。
この記事では、まず妊娠中の果物全体の基本ルールを整理したうえで、スターアップルの栄養やメリット、注意点を紹介します。さらに、今日からできる具体的な食べ方の工夫や、どのような症状があれば医療機関に相談した方がよいかも解説します。
なお、日本で一般的な果物の選び方や妊娠中の食生活全体については、厚生労働省などの公的資料をベースにした解説もあわせて参考にしながら、自分に合ったバランスを考えていきましょう126。
記事を読み進めることで、「どのくらいなら楽しめるか」「自分にとって注意が必要なポイントはどこか」が整理され、主治医や家族とも相談しやすくなることを目指しています。
第1部:妊娠中の果物の基本とスターアップルの基礎知識
まずは、妊娠中の食生活全体の中で果物がどのような位置づけにあるのか、そしてスターアップルとはどのような果物なのかを整理します。ここを理解しておくと、「特別なスーパーフード」でも「危険な食べ物」でもなく、他の果物と同じように“量と食べ方しだい”でうまく付き合えることがイメージしやすくなります。
1.1. 妊娠中の果物の役割と1日の目安量
日本の「妊産婦のための食事バランスガイド」では、一般成人と同様に「主食・主菜・副菜・牛乳乳製品・果物」の5つのグループをバランスよくとることが推奨されています1。妊娠期はエネルギーや栄養素の需要が増える一方で、つわりや食欲不振で食事が偏りやすいため、ビタミン・ミネラル・食物繊維を補う果物は大切なポジションにあります。
ガイドラインのイラストでは、妊娠期の果物は1日「約2つ分」が目安とされ、みかん2個、りんご1/2個、バナナ1本などが例として示されています1。国立健康・栄養研究所などの資料でも、妊娠中の果物は「ビタミンや食物繊維補給に有用だが、糖分も含むため食べ過ぎには注意」とされています26。
スターアップルも基本的にはこの「1日2つ分の果物枠」の中に収めて考えればよく、他の果物と置き換えるイメージでとるとバランスがとりやすくなります。
1.2. スターアップルとは?スターフルーツとは別物
スターアップルは、英語で「star apple(Chrysophyllum cainito)」と呼ばれる熱帯果物で、東南アジアや中南米などでよく食べられています7。外見は丸く、緑〜紫色のツヤのある皮を持ち、横半分に切ると星形に見えることからこの名前がついています。日本でよく知られている「スターフルーツ(五角形の断面のカラマンダリン)」とは別の種類であり、性質も異なります。
果肉は白〜薄紫色で、熟すととろりとした甘さとほんのりした酸味があります。一方、皮や皮のすぐ内側にはラテックス(ゴム様の成分)や渋み成分が多く、ここを厚めに除いて果肉だけをスプーンですくって食べるのが一般的です7。
1.3. スターアップルの栄養成分のイメージ
栄養組成は品種や熟度によって変わりますが、海外の食品データによると、スターアップル100gあたりはおおよそ以下のような成分を含みます78。
- エネルギー:約60〜90kcal
- 炭水化物(糖質を含む):約14〜15g
- たんぱく質:約2g前後
- 食物繊維:約3g前後
- カルシウム:約15mg
- 鉄:約0.5〜2mg
- ビタミンC:約9mg
- ビタミンB群(B1,B2,B3など)が少量
つまり、スターアップルは「ほどよい甘さと食物繊維」「ビタミンCやカルシウム・鉄を少量含む果物」とイメージすると分かりやすいでしょう。妊娠中に不足しがちな鉄の吸収を助けるビタミンCや、骨や歯の形成に関わるカルシウムなどを含む点はメリットといえます67。
| こんな食べ方をしていませんか? | 考えられる背景・注意ポイント |
|---|---|
| 毎日、甘い果物を3〜4種類たっぷり食べている | 果物からの糖質・カロリー過多により、体重増加や妊娠糖尿病のリスクが高くなるおそれ |
| つわりで主食やおかずは食べられず、果物だけで一日を過ごしている | たんぱく質や鉄分、葉酸などが不足し、貧血や体調不良の原因になる |
| 輸入フルーツをよく洗わずにそのままかじっている | 細菌や寄生虫による食中毒のリスクが高くなるため、妊娠中は特に注意が必要 |
| 便秘がつらく、渋みの強い果物の皮までたくさん食べている | タンニンなど収れん性の成分が多いと便が硬くなり、かえって便秘が悪化する可能性 |
第2部:妊娠中にスターアップルを食べる10のメリット
ここからは、妊娠中に適量のスターアップルを食べることで期待できるメリットを、一般的な栄養学的知見と既存の研究をもとに整理します。なお、スターアップル自体の妊婦を対象とした大規模臨床研究はほとんどないため、他の果物や栄養素に関する知見も踏まえた「可能性」として捉えてください7。
2.1. つわり・食欲不振時の口直しになる
スターアップルは、完熟すると甘みの中にほんのり酸味があります。妊娠初期のつわりでは、主食や肉類のにおいがダメでも、冷やした果物なら食べやすいという方も多く、適量の果物はエネルギーと水分補給、気分転換に役立つとされています26。
特にスターアップルはクリーミーな舌ざわりで、アイスクリームほど脂質や糖分が高くないため、「甘いものが欲しいけれど、できるだけ負担の少ないものを」というシーンにも向いています。ただし、吐き気が強いときは無理に食べず、体調の良い時間帯に少量ずつ試すようにしましょう。
2.2. 心血管の健康をサポートする可能性
スターアップルには食物繊維とポリフェノール、ビタミンCなどの抗酸化成分が含まれています78。一般に、食物繊維や抗酸化物質を多く含む果物や野菜は、血中コレステロールの改善や動脈硬化の予防に役立つ可能性が報告されており、妊娠中の母体の血圧・血管の健康維持にも間接的にプラスに働くと考えられています。
もちろん、果物だけで心血管疾患を防げるわけではありませんが、塩分や飽和脂肪酸を控えた食事、適度な運動と組み合わせることで、小さな一歩として役立ちます。
2.3. 体重管理を助ける間食になり得る
妊娠中は「体重が増えすぎても増えなさすぎてもよくない」と言われ、間食の選び方に悩む方が多いものです。スターアップルは100gあたり約60〜90kcal程度とされており78、ショートケーキや菓子パンと比べるとカロリーはかなり控えめです。
また、食物繊維が約3g含まれるため78、同じカロリーでも腹持ちがよく、血糖値の急上昇をある程度ゆるやかにする働きも期待できます。主食・主菜・副菜でしっかり栄養をとったうえで、「甘いものが欲しいときの選択肢」として活用すると、体重管理の味方になってくれます。
2.4. 貧血予防をサポートする(ビタミンCと鉄)
妊娠中は血液量が増え、鉄欠乏性貧血になりやすいため、鉄とともに「鉄の吸収を助けるビタミンC」を意識してとることが推奨されています26。スターアップルの果肉100gには、約9mgのビタミンCと、少量の鉄が含まれます78。
鉄分が豊富な赤身肉・魚・大豆製品・ほうれん草などと一緒に、デザートとしてスターアップルを食べれば、ビタミンCの効果で鉄の吸収がやや高まる可能性があります。ただし、貧血の治療としては医師から処方される鉄剤が基本であり、果物だけで貧血を治すことはできません。あくまで「食事サポート」として考えましょう。
2.5. 便通を整えるのに役立つ可能性
妊娠中はホルモンバランスの変化や子宮の増大、運動量の低下などの影響で、便秘に悩む方が多いことが知られています。厚生労働省の資料でも、妊娠期は意識的に食物繊維と水分をとることが勧められています6。
スターアップルには食物繊維が比較的多く含まれており78、適量であれば便のカサを増やし、腸の動きを促すことが期待できます。ただし、皮の付近には渋み成分(タンニン)が多く、ここを大量に食べると便が硬くなり、便秘が悪化する可能性もあるため、妊娠中は皮を厚めにむき、果肉部分を中心に食べるのがおすすめです。
2.6. 血糖値を急に上げにくいおやつになり得る
同じ甘いものでも、砂糖たっぷりのジュースや洋菓子と比べると、食物繊維を含む果物は血糖値の上がり方がゆるやかになる傾向があります。スターアップルも、糖質と同時に食物繊維や少量の脂質・たんぱく質を含むため、適量であれば血糖コントロールの面で比較的穏やかな選択肢といえます78。
ただし、妊娠糖尿病や糖尿病を指摘されている方では、「果物であっても糖質は糖質」と考え、1日に食べる総量とタイミングを主治医や管理栄養士と相談することが重要です12。
2.7. 骨や歯の健康を支えるカルシウム・リン
スターアップルには多量ではないもののカルシウムやリンが含まれます78。妊娠期は母体の骨量や歯の健康も気になるところですが、日本の公的資料では「カルシウムは牛乳・乳製品、小魚、青菜などからとるのが基本」としつつ、果物もビタミンCなどを通じて間接的に骨の健康を支える役割があると説明されています16。
スターアップルだけで必要なカルシウムをまかなうことはできませんが、「牛乳や小魚+果物」という組み合わせで、全体としてバランスのよい栄養摂取につなげることができます。
2.8. 免疫を支えるビタミン・抗酸化成分
妊娠中は免疫機能が変化し、風邪などの感染症にかかりやすくなることが知られています。ビタミンCやポリフェノールなどの抗酸化成分を含む果物や野菜は、免疫機能を支える栄養素として重要です7。
スターアップルもビタミンCやポリフェノールを含み78、他の果物と同様、バランスのよい食事の一部として取り入れることで、からだ全体のコンディションを整える助けになります。ただし、感染症予防はあくまで手洗い・うがい・ワクチン接種など複数の要素の組み合わせによるものであり、特定の果物だけで防げるわけではない点に注意しましょう。
2.9. 肌の調子をサポートする栄養素
妊娠中はホルモン変化により、シミやくすみ、乾燥などの肌トラブルが起こりやすくなります。ビタミンCはコラーゲンの合成に不可欠であり、日焼けや酸化ストレスから皮膚を守る役割があることが知られています7。
スターアップルはビタミンCを含むため78、他のビタミン豊富な野菜や果物と一緒にとることで、肌のコンディションを内側から支える一助になります。ただし、美容目的で大量に食べるのではなく、適量をコツコツ続けることが大切です。
2.10. 鉄の吸収を助けるビタミンC源として
先ほど触れたように、ビタミンCは植物性食品に含まれる「非ヘム鉄」の吸収を高める働きがあります26。スターアップルはビタミンCを含むため、レバーや赤身肉が苦手な方でも、豆類や青菜+スターアップルという組み合わせで、少しでも鉄の吸収効率を上げる工夫ができます。
もちろん、貧血の治療や予防は食事とサプリメント・内服薬を含めた全体の管理が必要ですが、「普段の食事に果物をどう組み合わせるか」という視点でも、スターアップルは一つの選択肢になり得ます。
第3部:妊娠中にスターアップルを食べるときのリスクと注意点
メリットがある一方で、妊娠中にスターアップルを食べる際には、いくつか押さえておきたい注意点もあります。ここでは、体重・血糖・便秘・アレルギー・安全性のエビデンスといった観点から整理します。
3.1. 食べ過ぎによる体重増加・血糖コントロールへの影響
果物は「ヘルシーなおやつ」というイメージがありますが、糖質が多く含まれるため、食べすぎればやはりカロリーオーバーにつながります。妊娠中の体重管理について、厚生労働省や各種解説では、「果物も含めて甘いものは適量に」と繰り返し強調されています126。
スターアップル1個(中くらい)で、おおよそ100〜150kcal程度と考えられます(大きさによって変動)。他の果物やお菓子も含め、「1日の果物は2つ分」「菓子・嗜好品は200kcal程度まで」を目安に、主食やおかずの量とのバランスをとることが大切です16。
妊娠糖尿病や糖尿病を指摘されている方は、果物の種類よりも「1回に食べる量」と「1日の総糖質量」が重要になるため、自己判断で量を増やさず、必ず主治医や管理栄養士に相談してください。
3.2. 便秘やお腹の張りを悪化させないための工夫
スターアップルは食物繊維を含む一方で、皮に近い部分には渋み成分(タンニンなど)が多く、そこをたくさん食べると便が硬くなり、便秘が悪化する可能性が指摘されています。妊娠中はもともと便秘になりやすいため、以下のような工夫をすると安心です。
- 完熟した実を選び、硬くて渋い未熟果は避ける
- 皮を厚めにむき、白〜薄紫色の柔らかい果肉を中心に食べる
- 1回に食べる量は1/2〜1個程度までにし、様子を見ながら増やす
- 水分や他の食物繊維源(野菜・海藻・豆類)も合わせてとる
3.3. アレルギーやラテックス様成分への注意
スターアップルの皮や樹液にはラテックス様の成分が含まれており、人によっては口のかゆみや腫れ、蕁麻疹(じんましん)などのアレルギー症状を起こす可能性があります7。同じアカテツ科(Sapotaceae)の果物(サポジラ、カニステルなど)でアレルギー症状を経験したことがある方は、スターアップルでも注意が必要です。
初めて食べる場合は、少量から試し、食後数時間は体調の変化に気を配りましょう。呼吸が苦しい、唇や舌が腫れる、全身にじんましんが出るなどの症状があれば、アナフィラキシーの可能性があるため、すぐに救急受診・119番通報が必要です。
3.4. 洗浄不足・衛生面による食中毒リスク
妊娠中は、リステリア菌やトキソプラズマなどの食中毒を起こす細菌・寄生虫に感染した場合、母体だけでなく胎児への影響が問題になることがあります。厚生労働省や食品安全委員会は、妊娠中の方に対して「生野菜や果物は食べる前によく洗う」「カットフルーツは早めに食べる」など、基本的な衛生対策を繰り返し呼びかけています345。
スターアップルのような輸入果物を生で食べるときも、以下の点を意識しましょう。
- 食べる直前に、流水で表面をこすり洗いしてから皮をむく
- 包丁やまな板は、生肉・生魚を切ったものとは別のものを使うか、よく洗浄・消毒する
- カットした果物は冷蔵保存し、その日のうち、できれば数時間以内に食べきる
3.5. 樹皮エキスなど「薬草的な利用」は避ける
Chrysophyllum cainito(スターアップル)は、果肉だけでなく、葉や樹皮が伝統医療で使われてきた歴史があります。近年の実験では、樹皮の水抽出エキスが強い抗酸化作用を持つ一方で、ゼブラフィッシュ胚に対して胚毒性を示したという報告もあり、妊娠中の使用には注意すべきだとされています9。
現時点で、妊婦を対象にした樹皮エキスの安全性データは十分ではありません。そのため、スターアップルの「お茶」「濃縮エキス」「サプリメント」など、医薬品やサプリメントに近い形での摂取は避け、あくまで完熟した果実の果肉を、食事の一部として少量楽しむにとどめるのが安全です。
3.6. スターアップルを避けた方がよい/主治医に相談したいケース
- 過去にスターアップル、サポジラなどアカテツ科の果物でアレルギー症状を経験したことがある
- 妊娠糖尿病、糖尿病、重度の肥満などで、医師から果物の量を制限するよう指示されている
- 腎臓病や高カリウム血症など、カリウムや特定のミネラル制限が必要な病気がある
- サプリメントやハーブティーなど、スターアップル由来のエキス製品を勧められている・検討している
こうした場合は、自己判断で食べ始める前に、必ず主治医や助産師、管理栄養士に相談しましょう。
第4部:今日からできるスターアップルの上手な取り入れ方
「結局、どれくらいなら食べてもいいの?」「どうやって食べれば安心?」という具体的な疑問に応えるために、ここでは妊娠中の一日の食事の中でスターアップルを上手に取り入れるステップを整理します。
| ステップ | アクション | 具体例 |
|---|---|---|
| Level 1:今日からできる基本ルール | 妊娠中の果物量と衛生面のルールを確認する | 「果物は1日2つ分まで」「食べる前によく洗う」「カットしたらその日のうちに食べ切る」など、厚労省の食事バランスガイドや食中毒予防資料を家族とも共有する134。 |
| Level 2:スターアップルを試してみる | 完熟した実を少量からスタート | はじめての場合は、よく洗ってから皮を厚めにむき、1/4〜1/2個を目安に食後に食べてみる。数時間、かゆみや胃痛などが出ないかチェック。 |
| Level 3:日常の果物の一つとして取り入れる | 他の果物とローテーションする | りんご・みかん・キウイなど普段の果物と組み合わせ、週に1〜2回程度、1日1/2〜1個のスターアップルを楽しむ。妊娠糖尿病の指摘がある場合は主治医と相談の上で量を調整。 |
| Level 4:体調や検査結果に合わせて見直す | 体重増加や血糖値、便通を見ながら柔軟に調整 | 健診で体重増加が急なときや血糖値の指摘があったときには、一時的に果物量全体を減らす・甘いお菓子を控えるなど、主治医と相談してバランスを再調整する。 |
どのステップでも、「一人で抱え込まず、パートナーや家族、医療者と情報を共有しながら進めること」が大切です。海外の果物は日本語の情報が少なく不安になりがちですが、基本は「妊娠中の果物のルール+一般的な衛生対策」に沿って考えれば、必要以上に恐れる必要はありません。
第5部:医療機関に相談したほうがよいケースと受診のポイント
最後に、スターアップルを含めた果物の摂取に関連して、「これは自己判断で様子を見ず、医療機関に相談したほうがよい」というサインと、受診時に役立つポイントをまとめます。
5.1. すぐに受診を検討すべき危険なサイン
- スターアップルを食べた直後〜数時間以内に、唇や舌の腫れ、息苦しさ、ぜーぜーする呼吸、全身のじんましんが出た
- 激しい下痢や嘔吐、高い熱、意識がもうろうとするなど、強い食中毒を疑う症状がある
- お腹の張りや痛みが強く、出血や破水のような症状がある
これらの症状がある場合は、果物に限らず緊急性の高い状態の可能性があります。迷ったときは、地域の救急相談窓口や産婦人科に電話で相談し、必要に応じて119番通報も検討してください。
5.2. 数日〜数週間単位で相談したいサイン
- スターアップルを含め、果物を食べると毎回お腹が張る・痛くなる・下痢になるなどの症状が続く
- 妊娠糖尿病や高血圧症と診断されており、果物をどの程度食べてよいか分からない
- 海外の果物やサプリメントを日常的に利用しており、薬との飲み合わせが心配
- 妊娠中の体重増加や便秘がつらく、食事全体を見直したいと感じている
このような場合は、次回の妊婦健診で助産師や医師に相談したり、栄養相談の機会があれば管理栄養士に質問してみるとよいでしょう。食べた量や頻度、症状が出たタイミングをメモしておくと、相談がスムーズになります。
5.3. 受診時に持参すると役立つ情報・メモ
- 妊娠週数・身長・直近の体重推移(母子健康手帳)
- 最近1週間の食事内容や間食の記録(スターアップルを食べた日・量・時間)
- 出現した症状(腹痛、便秘、下痢、発疹など)の日時と程度
- 服用中の薬・サプリメントの一覧(お薬手帳があると便利)
こうした情報があれば、医師や管理栄養士が妊娠経過や食事との関係をより正確に把握し、あなたに合ったアドバイスをしやすくなります。
よくある質問
Q1: 妊娠中にスターアップルを食べても大丈夫ですか?
一般的には、完熟したスターアップルの果肉をよく洗ってから皮を厚めにむき、妊娠中の1日の果物量(約2つ分)の範囲内で少量食べるのであれば、大きな問題はないと考えられます178。ただし、日本の公的ガイドラインにはスターアップルに特化した記載はなく、妊婦さんを対象にした大規模研究もほとんどありません。
妊娠糖尿病やアレルギー、腎臓病などの持病がある方は、果物全般の量も含めて、必ず主治医に相談したうえで摂取量を決めましょう。
Q2: 1日にどれくらいの量までなら食べてもよいですか?
日本の「妊産婦のための食事バランスガイド」では、果物は1日約2つ分が目安とされています1。スターアップルの場合、一般的な中サイズ1個を「果物2つ分」とみなし、りんご1/2個をスターアップル1/2個に置き換えるイメージで調整するとよいでしょう。
目安としては、他の果物も含めて1日1/2〜1個程度にとどめると安心です。体格や運動量、ほかのおやつの量によっても適量は変わるため、健診で体重増加を指摘された場合は、医師や管理栄養士に相談して調整してください。
Q3: 皮ごと食べても大丈夫でしょうか?
スターアップルの皮や皮の近くには、ラテックス様の成分や渋み成分(タンニン)が多く含まれており、人によっては口のかゆみや胃のムカつき、便秘の悪化につながる可能性があります7。妊娠中は消化管もデリケートになっているため、基本的には皮を厚めにむき、柔らかい果肉部分だけを食べることをおすすめします。
どうしても皮付きで試したい場合でも、ごく少量からにとどめ、体調の変化がないか慎重に様子を見てください。
Q4: 妊娠糖尿病といわれていますが、少しなら食べてもいいですか?
妊娠糖尿病の方にとっては、果物も「糖質源」の一つです。スターアップルに限らず、どの果物をどれくらい食べてよいかは、血糖コントロールの状態やインスリン・内服薬の有無によって大きく変わります12。
自己判断で「少しなら大丈夫だろう」と摂取量を決めるのではなく、必ず主治医や糖尿病専門医、管理栄養士に相談し、「1回の量」「食べるタイミング」「他の食事とのバランス」について具体的な指示をもらうようにしてください。
Q5: スターアップルのお茶やサプリメントは、妊娠中でも飲んでよいですか?
スターアップルの樹皮や葉の抽出エキスについては、動物実験で胚毒性が報告されており、妊娠中の使用には注意すべきだとする論文があります9。妊婦を対象とした安全性試験はほとんど行われていないため、妊娠中に樹皮エキスや高濃度サプリメントを摂取することは避けた方が安全と考えられます。
基本的には、完熟した果実の果肉を食事の一部として少量楽しむにとどめ、ハーブティーやサプリメントなど「薬草的な利用」をしたい場合は、必ず医師と相談してください。
Q6: 便秘がひどいのですが、スターアップルは便秘解消に役立ちますか?
スターアップルは食物繊維を含むため、適量であれば便通を整える助けになる可能性があります78。ただし、皮付近の渋み成分を多くとると、便が硬くなってかえって便秘が悪化する場合もあります。
妊娠中の便秘対策としては、果物だけに頼るのではなく、十分な水分、野菜・海藻・豆類、適度な運動(医師の許可の範囲で)などを組み合わせることが重要です6。便秘が長く続く場合や腹痛を伴う場合は、自己判断で下剤を使わず、産婦人科で相談しましょう。
Q7: 妊娠初期と後期で、スターアップルの食べ方を変えた方がよいですか?
妊娠初期はつわりで食べられるものが限られる一方、摂取した食品が胎児に直接影響する度合いはまだ比較的低いとされています9。中期以降は胎盤を通じて母体の栄養状態が胎児に反映されるため、体重管理や血糖コントロールをより意識する時期になります26。
スターアップルに限らず、妊娠を通じて一貫して「果物は1日2つ分を目安」「食べる前によく洗う」「甘いお菓子の代わりとして上手に置き換える」という基本を守ることが大切です。妊娠後期で体重増加や血糖値の指摘がある場合は、果物量全体の見直しも検討しましょう。
結論:スターアップルは「適量と食べ方次第」で妊娠中も楽しめる
熱帯地域で親しまれているスターアップルは、ビタミンCや食物繊維、カルシウムなどを含む甘い果物であり、完熟した果肉を妊娠中の果物量の範囲内で少量楽しむのであれば、一般的には大きな問題はないと考えられます178。
一方で、皮や樹皮エキスには安全性がはっきりしない成分も含まれており、食べ過ぎれば体重増加・血糖コントロールの悪化・便秘の悪化などにつながる可能性があります79。妊娠糖尿病やアレルギー、腎臓病などを持つ方は特に注意が必要です。
大切なのは、「特定の果物を過度に恐れる」ことでも、「身体によさそうだからと食べ過ぎる」ことでもなく、妊娠中の食事全体の中でバランスをとりながら、スターアップルを上手に取り入れることです。不安がある場合は、一人で悩まず、主治医や助産師、管理栄養士に相談しながら、自分にとって安心できる選択を見つけていきましょう。
この記事の編集体制と情報の取り扱いについて
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参考文献
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