【心の浮気（精神的な浮気）】とは？8つのサインと夫婦で向き合うためのポイント

第1部：心の浮気（精神的な浮気）の基本と日常生活の見直し

まずは、「心の浮気」とは何か、その基本から整理します。英語圏の心理学やカウンセリングの文献では、パートナー以外の人と、恋愛感情や性的な緊張を含む深い情緒的なつながりを持ち、そのことをパートナーに十分に開示していない状態を emotional infidelity と呼びます。^1,2,3

例えば、次のような状態は「心の浮気」に近づきやすいとされています。

• 悩みごとや嬉しい出来事を、真っ先にパートナーではなく特定の異性（または恋愛対象になり得る人）に打ち明けている
• メッセージのやり取りや通話時間がどんどん伸び、パートナーには内容を隠したくなる
• 「もしこの人と付き合えたら……」と空想する時間が増え、配偶者や恋人との時間に集中しづらい
• その相手に否定されたり既読スルーされたりすると、一日中気分が左右されてしまう

これらはすべて、「すぐに離婚・破局すべき」という意味ではありません。ただし、二人の関係の外側に「心の拠り所」ができてしまうと、信頼関係や安心感が少しずつ削られていくことが、複数の研究で指摘されています。^5,8

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1.1. 心の浮気のメカニズムと「ただの友だち」との違い

では、長年の親友や職場の同僚との親しい関係は、すべて心の浮気なのでしょうか。もちろん、そんなことはありません。ポイントは以下の3つです。^3,9

• ① 秘密の有無
  健全な友情でも、プライバシーはありますが、パートナーに知られたら困るような会話や行動が増えているかどうかは重要なサインです。スマホを常に裏返して置く、メッセージ履歴を消す、「誰といるの？」と聞かれてもごまかすなどは、心の浮気に近づいている可能性があります。³
• ② 感情の比重
  落ち込んだとき、真っ先に連絡したくなるのは誰か。褒められたい、認められたいと思うのは誰か。喜びや不安を一番に共有したい相手が、パートナーではなく「その人」に変わってきたとき、心の浮気のリスクは高まります。^1,2
• ③ 境界線の曖昧さ（恋愛感情の有無）
  互いを支え合う友情と、恋愛感情を含む関係は、感情の質が違います。「本当はこの人のことが少し好きかも」「もしフリーだったら、告白していたかも」といった思いが強くなり、相手のパートナーや自分のパートナーの存在を意識的に避けるようになると、境界線を越えつつあるサインです。^2,4

こうした要素が重なってくると、「まだ何も起きていない」と本人は感じていても、パートナーからは裏切りや孤独として体験されることが多くなります。

1.2. 悪化させてしまうNG習慣とセルフチェック

心の浮気は、特別な性格の人だけに起こるものではありません。仕事・育児・介護などの日常ストレスや、夫婦のすれ違いが続く状況が重なると、誰にでもきっかけが生まれ得ます。^5,6

特に、次のような習慣は心の浮気を後押ししやすいので、注意が必要です。

• パートナーに言えない愚痴や不満を、いつも同じ異性（または気になる人）にだけ打ち明けている
• 飲み会やオンラインゲーム、SNSなどで「ちょっとした冗談のつもり」で頻繁に異性といちゃつく
• 「自分だけの秘密の友だち」「家族には言えない自分をわかってくれる人」がいる
• 家庭の出費や時間の使い方をごまかしながら、その人との予定を優先している

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第2部：こころの背景要因 ― 性格・過去の経験・パートナーシップ

心の浮気は、単なる「気の迷い」や「誘惑に弱い性格」だけで説明できるものではありません。国際的なレビュー論文では、個人の性格傾向・愛着スタイル・過去の経験・現在の関係満足度・ストレス環境など、複数の要因が絡み合っていると報告されています。^5,8

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2.1. ライフステージと価値観の変化

結婚や出産、子育て、転勤、親の介護、更年期など、人生の大きな変化は、「自分はこのままでいいのか」という問いを生みやすくなります。日本心理学会の解説でも、浮気の背景要因として、マンネリ感や自己確認欲求、現実からの逃避が挙げられています。⁶

たとえば、

• 育児や家事を理由に、夫婦の会話やスキンシップが極端に減ってしまった
• 長時間労働や単身赴任で、パートナーと物理的にも心理的にも距離がある
• 子どもが独立し、「この先ふたりで何を楽しめばよいのか」わからない

といった状況では、「自分を理解してくれる誰か」を求める気持ちが強まり、心の浮気につながるリスクが高まります。

2.2. 愛着スタイル・自己肯定感・過去の経験

幼少期の親子関係や、過去の恋愛経験は、大人になってからのパートナーシップにも影響を与えることが知られています。⁵

• 不安型愛着の傾向が強い人は、「嫌われたくない」「捨てられたくない」という不安から、複数の人に同時に好かれようとしてしまうことがあります。
• 回避型愛着の傾向が強い人は、深い親密さを避けようとして、パートナーとの距離を一定以上縮めず、かわりに「距離のある相手」に心を預けることがあります。
• 過去に裏切られた経験が強い人は、「自分だけが一途に頑張っても報われない」といった思いから、無意識に心の逃げ道を求めてしまうことがあります。

もちろん、こうした傾向があるからといって、必ずしも心の浮気をするわけではありません。しかし、自分やパートナーの心のクセを理解しておくことは、「なぜこうなったのか」を責めるためではなく、今後どう向き合うかを考える土台になります。

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第3部：心の浮気のサインを具体的にチェックする

ここからは、日常の中で気づきにくい「心の浮気」のサインを、具体的に見ていきます。海外のカウンセラーやセラピストが紹介しているサインに、日本の生活状況や文化を踏まえた視点を加えました。^3,8,9

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3.1. 見落とされがちな8つのサイン

1. パートナーの悪口を、特定の人にだけ繰り返し話してしまう
   誰かに悩みを相談すること自体は悪いことではありません。しかし、ほぼ毎回同じ人に、パートナーの不満や愚痴を詳細に共有している場合、その人との間に独特な親密さが生まれます。聞き役の相手も、次第に「あなたの味方」というポジションになり、夫婦の問題が外部の二人だけの秘密になりやすくなります。
2. 軽い「ノリ」のはずが、異性との冗談半分のやり取りが増えていく
   職場やSNSでの軽い「いじり」や「冗談交じりの口説き文句」は、最初は笑い話でも、回数が重なると境界線が曖昧になります。「どうせ冗談だから」と思いながらも、相手からの好意を密かに楽しんでいたり、自分からも「もっと構ってほしい」と感じ始めているなら、心の浮気に近づいているサインです。^2,9
3. 「秘密の友だち」や、家族に話していない特別な相手がいる
   「配偶者（恋人）には紹介したことがないけれど、いつも二人で会っている」「飲み会のメンバーを一人だけ隠している」といった状態は、パートナーが知らない「もう一つの世界」を持っているという意味で、心の浮気の代表的なパターンです。相手の存在を隠すことで、ふたりの関係の親密さがさらに強化されてしまいます。
4. 他の人との性的な夢や妄想が頻繁で、それを楽しみにしてしまう
   夢に芸能人や昔の恋人が出てくることは、多くの人に起こりうる現象です。それだけで「浮気」と断定する必要はありません。ただし、現実の生活に不満が強く、寝る前から意図的に「この人との妄想」に浸ることが習慣になっている場合、現実のパートナーとの親密さを避ける方向に働くことがあります。
5. 異性の親友や同僚と、パートナーよりも密な連絡を取っている
   異性の親友がいること自体は珍しくありません。しかし、1日のメッセージの大半がその人で占められている／休日の予定をいつもその人と先に決めてしまうといった場合、パートナーから見ると「自分より優先されている」と感じやすくなります。相手の家庭状況やパートナーの存在を意識的に避けて話題にしないときも要注意です。³
6. 「冗談のつもり」の“モテアピール”や「いい人いない？」をやめられない
   既婚・交際中であっても、「自分はまだ魅力的だと証明したい」という気持ちから、周囲に対して軽く「誰か紹介してよ」「私モテちゃうからなあ」といった発言を繰り返す人もいます。これ自体はユーモアの一種ですが、常に誰かからの好意を探している状態が続くと、心の浮気の入口になりやすくなります。
7. お金や時間の使い方を、パートナーにだけは隠してしまう
   海外の調査では、配偶者に秘密でお金を使う「フィナンシャル・インフィデリティ（経済的不誠実）」も、浮気の一種として捉えられることがあります。⁵ 日常的に、会食費やプレゼント代、旅行費などをパートナーから隠していると、「秘密を共有する相手」との結びつきが強まり、心の浮気の温床になりやすくなります。
8. 家族や周囲からパートナーが批判されても、自然にかばえない
   もちろん、パートナーが完全に正しいとは限りません。それでも、本人がいない場で一方的に悪く言われたときに、まったくかばう気持ちが湧かないのであれば、心の中ですでに距離を置いている可能性があります。逆に、外部の特定の人の立場ばかり守ろうとしてしまう場合も、心の重心が移っているサインです。

上記のどれか一つに当てはまるだけで「即アウト」というわけではありませんが、複数が当てはまり、かつ長期間続いている場合には、関係を見直すタイミングかもしれません。

3.2. 親しい友情と心の浮気の境界線

では、どこからが「心の浮気」で、どこまでが「健全な友情」なのでしょうか。心理学の解説では、次のようなポイントが境界線になるとされています。^3,9

• 透明性：パートナーにその人の存在や関係性を説明できるかどうか。説明すると関係が壊れる、怒られるとわかっているから隠しているのであれば、心の浮気の可能性が高まります。
• 優先順位：デートや家族の時間よりも、ついその人との予定を優先してしまう状態が続いていないか。
• 感情の方向性：その人からの連絡が来ないだけで一日中落ち込む、恋人・配偶者よりもその人の反応に心が揺さぶられる、という状態になっていないか。
• 身体的な境界線：ハグやボディタッチ、二人きりでの飲み・旅行など、身体的な距離感も含めて、パートナーとの約束や自分の価値観から大きく外れていないか。

こうした点を二人で話し合い、「自分たちのルール」をすり合わせていくことが、心の浮気を防ぎ、安心して付き合い続けられる人間関係を広げるうえでも役立ちます。

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第4部：今日から始める改善アクションプラン

心の浮気に気づいたとき、あるいはパートナーの行動に不安を感じたとき、いきなり「別れる／許す」を決める必要はありません。大切なのは、自分の気持ちを整理し、できる範囲から少しずつ行動を変えていくことです。^3,5

以下の表は、「今夜から」「数週間かけて」「必要に応じて専門家とともに」と、3つのレベルに分けたアクションプランの一例です。

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心の浮気に気づいたからといって、「自分は最低だ」「相手はもう終わっている」と決めつける必要はありません。むしろ、そこから正直な対話を重ねることで、以前よりもお互いの本音に触れ、関係が深まるカップルもいます。大事なのは、一人で抱え込まず、安心できる相手や専門機関を頼りながら進んでいくことです。

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第5部：専門家への相談 ― いつ・どこで・どのように？

心の浮気そのものは「病気」ではありませんが、その発覚や罪悪感、衝突がきっかけとなって、うつ状態や不安障害、睡眠障害、PTSD様の症状を引き起こすことがあると報告されています。^5,11

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5.1. すぐに専門家への相談を考えたいサイン

• 涙が止まらない・眠れない・食欲がないなどの状態が数週間以上続いている
• 仕事や家事・育児にまったく手がつかず、日常生活に大きな支障が出ている
• 「消えてしまいたい」「こんな人生なら終わった方が楽だ」といった考えが頻繁に浮かぶ
• パートナーからの暴言や暴力、経済的な支配、過度な監視行為（スマホチェックの強要など）が見られる

こうした場合には、心療内科・精神科などの医療機関や、配偶者暴力（DV）相談窓口・女性相談センター・男女共同参画センターなどの公的な相談窓口を早めに利用することが推奨されます。緊急性が高いと感じる場合は、ためらわずに119番通報や警察への相談も検討してください。

5.2. 相談先の選び方（カウンセリング・法律相談など）

• 夫婦・カップルカウンセリング
  二人のコミュニケーションパターンを整理し、責め合いではなく「どうしたらお互いが少し楽になれるか」を探る場です。民間のカウンセリングルームのほか、医療機関や自治体の相談窓口でも実施されていることがあります。
• 個人カウンセリング
  怒りや悲しみ、罪悪感、自責感など、複雑な感情を安全な場で言語化するためのサポートです。自分の「愛着スタイル」やこれまでの人間関係の傾向を見直すきっかけにもなります。
• 法律相談（弁護士会・自治体）
  日本の法律上、離婚や慰謝料請求の対象となる「不貞行為」は、原則として肉体関係の有無が重要視されますが、精神的な浮気であっても、婚姻関係の継続が著しく困難になった場合には、裁判所で考慮されることがあります。⁷ 具体的なケースは、必ず弁護士などの専門家に相談してください。

5.3. 相談前にまとめておくと役立つものと費用の目安

• 出来事のタイムライン：いつ頃からどのような変化があったのか（連絡頻度の増加・帰宅時間の変化・自分の気持ちの揺れなど）を、大まかにメモしておくと、相談の際に説明しやすくなります。
• 自分の希望・優先順位：「関係を修復したいのか」「まずは距離を置きたいのか」「子どもへの影響を最小限にしたいのか」など、現時点での希望を整理しておくと、専門家と方針を決めやすくなります。
• 費用の目安：カウンセリングは1回あたり数千円〜1万円台、法律相談は自治体や法テラスなど無料・低額の窓口もあります。詳細は各機関の公式サイトで確認してください。

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