【科学的根拠に基づく】児童虐待がもたらす心の傷:子どもの心に刻まれる深いトラウマの理解と回復への道
精神・心理疾患

【科学的根拠に基づく】児童虐待がもたらす心の傷:子どもの心に刻まれる深いトラウマの理解と回復への道

この記事を読んでいるあなたは、もしかしたら言葉にできない苦しみや、誰にも理解されない孤独を抱えているのかもしれません。子どもの頃に受けた心の傷は、目に見えないからこそ、その存在を疑われ、時には自分自身でさえ「自分の気のせいではないか」「自分が弱いだけではないか」と責めてしまうことがあります。 ある虐待サバイバーは、当時をこう振り返ります。「どうしてこんな目に遭わなければいけないのか分からず、『虐待されている』と言う自覚がなかった。『死にたい』と思うほど、ただただ辛かった」1。また、別のサバイバーは、親から受け継いだ血肉でできている自分自身を「たまらなく嫌」だと感じ、自己肯定感が育たない苦しみを語っています2。この感覚は、虐待や不適切な養育(マルトリートメント)を経験した多くの人々に共通する、深く根差した痛みです。 しかし、その苦しみはあなたのせいではありません。近年の脳科学や精神医学の目覚ましい進歩は、虐待という過酷な体験が、単なる「つらい記憶」にとどまらず、子どもの発達途上にある脳の構造や機能、さらには免疫系やホルモンバランスといった身体システム全体に、物理的な影響を及ぼすことを科学的に証明しています。その「見えない傷」は、確かにあなたの心と身体に刻まれているのです。 この記事は、あなたを一人にしないための、そして、その見えない傷の正体を科学的根拠に基づいて解き明かし、回復への具体的な道筋を示すための、包括的な医学的ガイドです。私たちは、日本の児童虐待の現状を示す統計データから筆を起こし、トラウマが脳や身体にどのような変化を引き起こすのか(神経生物学)、それがどのように私たちの感情、行動、人間関係に影響するのかを深く掘り下げます。 そして最も重要なこととして、その傷から回復するための科学的に有効性が証明された治療法や、自分自身でできる心の応急手当、さらには社会に存在する多様な支援窓口について、具体的かつ網羅的に解説します。トラウマのメカニズムを正しく理解することは、自分を責める気持ちから解放され、自分自身の人生を取り戻すための、力強い第一歩となります。この長い旅路を、専門的知見と共に歩んでいきましょう。希望は、必ず存在します。

この記事の科学的根拠

この記事は、明示的に引用された最高品質の医学的根拠にのみ基づいています。以下のリストには、実際に参照された情報源と、提示された医学的ガイダンスへの直接的な関連性のみが含まれています。

  • こども家庭庁: 本記事における日本の児童虐待相談対応件数に関する統計的指導は、出典資料に引用されている同庁発表の報告書に基づいています34
  • 世界保健機関(WHO): 児童虐待の包括的な定義に関する記述は、WHOが公表したファクトシートに基づいています6
  • 米国疾病予防管理センター(CDC): ACEs(逆境的小児期体験)研究とその健康への影響に関する分析は、CDCが主導した研究に基づいています1112
  • 福井大学(友田明美教授): 心理的虐待が子どもの脳構造に与える物理的影響に関する知見は、友田教授の研究チームによる脳画像研究に基づいています1518
  • 国立精神・神経医療研究センター(NCNP): 幼少期の虐待体験が成人後の免疫システム(特にIL-6)に及ぼす影響に関する記述は、NCNPの研究グループによる発見に基づいています24
  • 国際疾病分類第11版(ICD-11): 複雑性PTSD(C-PTSD)の診断基準に関する解説は、WHOが採択したICD-11の定義に基づいています40
  • トラウマフォーカスト認知行動療法(TF-CBT)研究: 子どものトラウマ治療の第一選択としてのTF-CBTの有効性に関する記述は、その効果を実証した複数のランダム化比較試験(日本での研究を含む)に基づいています5152

要点まとめ

  • 児童虐待は、単なる「つらい記憶」ではなく、子どもの脳や身体のシステムに物理的な変化を引き起こす「生物学的な傷害」です。あなたの苦しみは、気のせいではありません。
  • 日本の児童虐待相談対応件数は過去最多を更新し続けており、特に子どもの目の前でのDV(面前DV)を含む心理的虐待が約6割を占める深刻な社会問題です3
  • 虐待などの逆境的小児期体験(ACEs)の数が多いほど、成人後のうつ病や心疾患などのリスクが科学的に高まることが証明されており、これは個人の弱さの問題ではありません12
  • 虐待トラウマは、記憶を司る「海馬」の萎縮や、危険を察知する「扁桃体」の過活動を引き起こし、感情調節の困難や対人関係の問題につながります1921
  • PTSDに加え、人格の広範な領域に問題が生じる「複雑性PTSD(C-PTSD)」という診断があり、多くの虐待サバイバーの生きづらさを説明します40
  • TF-CBTなど科学的に有効性が証明された治療法や、グラウンディングのような自分でできる応急手当が存在します。回復への道はあります。
  • 一人で抱え込まず、児童相談所虐待対応ダイヤル「189」や各種NPO法人の相談窓口など、社会の支援を求めることが回復への重要な一歩です66

第1部:日本の現状 – 隠された危機の実態

児童虐待は、特定の家庭だけで起こる稀な悲劇ではありません。それは、私たちの社会全体が直面している、深刻かつ拡大し続ける公衆衛生上の危機です。この問題を正しく理解するためには、まずその客観的な実態を直視することから始めなければなりません。

1-1. 統計データが示す現実

こども家庭庁が公表した最新の統計は、日本の児童虐待問題の深刻さを浮き彫りにしています。令和4年度(2022年度)に全国の児童相談所が児童虐待相談として対応した件数は、速報値で21万9,170件に達し、過去最多を更新しました。これは前年度から11,510件(5.5%)の増加であり、統計が開始されて以来、一貫して増え続けていることを示しています3
この数字が意味するのは、年間20万人以上の子どもたちが、その安全や健やかな発達を脅かされる状況に置かれているということです。さらに、これはあくまで児童相談所が対応した「氷山の一角」であり、水面下に隠れた多くのケースが存在することを忘れてはなりません5
虐待の内容を詳しく見ると、現代日本の虐待の特性がより鮮明になります。

表1:児童虐待相談対応の動向(令和4年度速報値)
項目 件数 構成比
虐待種別    
心理的虐待 129,484件 59.1%
身体的虐待 51,679件 23.6%
ネグレクト(育児放棄) 35,556件 16.2%
性的虐待 2,451件 1.1%
合計 219,170件 100%
相談経路    
警察等 112,965件 51.5%
近隣知人 24,174件 11.0%
家族親戚 18,436件 8.4%
学校 14,987件 6.8%
出典: こども家庭庁 令和4年度 児童相談所による児童虐待相談対応件数(速報値)3

このデータから読み取れる最も重要な点は、心理的虐待が全体の約6割を占め、圧倒的に多いということです3。これには、子どもの目の前で配偶者などに対して暴力をふるう「面前DV」が含まれます。そして、相談経路のトップが警察等であることは、この事実と深く関連しています。警察が家庭内暴力の事案で介入した際に、そこに居合わせた子どもが心理的虐待の被害者として認識され、通告に至るケースが非常に多いのです3。これは、社会が「殴る」「蹴る」といった直接的な暴力だけでなく、暴言や脅迫、無視、差別的な扱い、そして面前DVといった「見えない暴力」が子どもの心に深刻なダメージを与えるという認識を深めてきた結果とも言えます。この記事が焦点を当てる「心の傷」は、統計的にも日本の児童虐待問題の中核をなしているのです。
さらに悲劇的なことに、虐待によって命を落とす子どもも後を絶ちません。令和3年度中に発生した虐待死は、心中を含めると68件(74人)にのぼります3。特に憂慮すべきは、心中以外の虐待死(50人)のうち、実に48.0%にあたる24人が「0歳児」であり、その中でも生後0ヶ月の乳児が6人も含まれているという事実です3。加害の背景には、「予期しなかった妊娠」(32.0%)や妊婦健診の未受診(28.0%)、そして養育者の「育児不安」(34.7%)といった、妊娠期からの孤立や困難が横たわっています3。これは、虐待が単なる個人の資質の問題ではなく、社会的な支援体制の不備や、親が孤立しやすい社会構造に根差した問題であることを示唆しています。

1-2. 虐待の定義と4つの類型

虐待を経験した人が回復の道を歩む上で、自身の体験が何であったのかを正しく認識し、名付けることは非常に重要です。世界保健機関(WHO)は、児童虐待(Child Maltreatment)を「責任、信頼、または力の関係性の中で、子どもの健康、生存、発達、尊厳に現実の、または潜在的な危害をもたらす、あらゆる形態の身体的・情緒的虐待、性的虐待、ネグレクト、不当な搾取」と包括的に定義しています6
日本の児童虐待防止法では、虐待を以下の4つの類型に分類しています。それぞれの定義と具体例を理解することは、自分や他者の経験を客観的に捉える助けとなります。

身体的虐待 (Physical Abuse)

定義: 子どもの身体に外傷が生じる、または生じるおそれのある暴行を加えること。
具体例: 殴る、蹴る、叩く、つねる、激しく揺さぶる、火傷をさせる、溺れさせる、家の外に締め出すなど7。たとえ「しつけ」のためだと主張しても、子どもの心身を傷つける懲戒は法律で禁じられています8

性的虐待 (Sexual Abuse)

定義: 子どもにわいせつな行為をすること、またはさせること。
具体例: 性的行為への誘い、性器への接触や挿入、ポルノグラフィの閲覧強要、性的な行為を見せることなど5。これには、コンピュータで生成された画像(CSAM)なども含まれます10

ネグレクト(Neglect / 育児放棄・怠慢)

定義: 子どもの心身の正常な発達を妨げるような著しい減食、または長時間の放置、他の同居人による虐待の放置など、保護者としての監護を著しく怠ること。
具体例: 食事を十分に与えない、不潔な環境で生活させる、衣服を適切に着替えさせない、病気やけがをしても病院に連れて行かない、学校に通わせない、乳幼児を家に置いたまま外出するなど5

心理的虐待 (Emotional/Psychological Abuse)

定義: 子どもに著しい心理的外傷を与える言動を行うこと。
具体例: 言葉による脅し(「死ね」「お前なんか生まれてこなければよかった」)、無視、きょうだい間での差別的な扱い、子どもの自尊心を傷つけるような言動(罵倒、嘲笑)、子どもの目の前で家族に暴力をふるうこと(面前DV)など5
これらの類型は、しばしば複合的に発生します。例えば、身体的虐待には必ず心理的虐待が伴います。重要なのは、どの行為であっても、それが子どもの安全や尊厳を脅かし、発達に有害な影響を与える可能性があるという点です。自分の経験がこれらのいずれかに当てはまると感じても、決して自分を責めないでください。責任は常に行為者にあり、子どもに非はありません5

第2部:心と脳に刻まれる傷 – トラウマの神経生物学

「気の持ちよう」「考えすぎだ」—。虐待による苦しみを、個人の精神的な弱さや性格の問題として片付けられてきた経験を持つ人は少なくありません。しかし、現代科学は、トラウマが脳や身体のシステムに物理的な変化を引き起こす「生物学的な傷害」であることを明らかにしています。この科学的真実を理解することは、長年抱えてきた自己責任感や罪悪感から解放され、「自分のせいではなかった」という確信を得るための、極めて重要なプロセスです。

2-1. 「トキシック・ストレス」とACEs(逆境的小児期体験)

すべてのストレスが有害なわけではありません。適度なストレスは、私たちが困難を乗り越え、成長するための原動力にもなります。しかし、子ども時代に経験する虐待のような、強烈で、長期間にわたり、そして逃れられないストレスは「トキシック・ストレス(有害なストレス)」と呼ばれ、発達途上の脳や身体に深刻なダメージを与えます11
このトキシック・ストレスの影響を大規模な調査で明らかにしたのが、米国疾病予防管理センター(CDC)とカイザー・パーマネンテが共同で行った「ACEs(Adverse Childhood Experiences:逆境的小児期体験)研究」です12。この研究は、1万7,000人以上の成人を対象に、子ども時代(0~17歳)に経験した10項目の逆境体験(虐待、ネグレクト、家庭内の機能不全など)と、成人後の健康状態との関連を調べたものです12
研究が明らかにした事実は衝撃的でした。

  • ACEsは非常にありふれている: 調査対象者の約3分の2が少なくとも1つのACEを経験しており、約6人に1人(17.3%)は4つ以上のACEを経験していました11。これは、虐待や家庭内の困難が、決して特殊な家庭だけの問題ではないことを示しています。
  • 「量-反応関係」の存在: 最も重要な発見は、ACEsの数と成人後の健康リスクとの間に、明確な「量-反応関係(dose-response relationship)」があることでした12。これは、経験したACEsの項目数(ACEスコア)が多いほど、うつ病、アルコール依存症、薬物乱用、自殺企図、心疾患、がん、糖尿病といった、さまざまな健康問題や社会的困難のリスクが段階的に、かつ劇的に増加することを意味します11

この「量-反応関係」という科学的知見は、虐待サバイバーにとって極めて大きな意味を持ちます。それは、今抱えている困難が「自分という人間が本質的に欠陥を抱えているから」ではなく、「子ども時代に何が起きたか」という客観的な出来事の積み重ねによって、科学的に予測されうる結果である、という視点への転換を促すからです。例えば、ACEスコアが高い人がうつ病になるリスクが高いのは、その人の意志が弱いからではなく、高線量の放射線を浴びた人ががんになりやすいのと同じように、生物学的な因果関係に基づいているのです。この理解は、個人を苦しめる罪悪感や羞恥心を和らげ、問題を「治療可能な傷害」として捉え直すことを可能にします。
トキシック・ストレスは、安全や安心が脅かされ続ける状況で、身体のストレス反応システムが過剰に、そして持続的に活性化されることで生じます。この状態が続くと、子どもの脳の発達、免疫システム、ホルモン分泌システムなどが恒久的に変容してしまうのです6

2-2. 記憶と感情の中枢「海馬」と「扁桃体」の変容

トキシック・ストレスが特に深刻な影響を及ぼすのが、脳の中でも感情や記憶、学習を司る重要な領域です。虐待による「心の傷」は、比喩ではなく、実際に脳の構造に物理的な「傷」として刻まれます。
日本のこの分野の研究を牽引する福井大学の友田明美教授は、最新の脳画像研究を用いて、マルトリートメントが子どもの脳に与える影響を可視化し、「脳の傷」として警鐘を鳴らしています15。特に、親からの暴言といった言葉の暴力(心理的虐待)が、殴られるといった身体的虐待よりも、脳の一部の領域に深刻なダメージを与える可能性があることを突き止めています16。これは、「言葉はただの言葉」ではなく、脳の構造を変えうる物理的な力を持つという、衝撃的な事実を私たちに示しています。
虐待による影響が顕著に現れる脳領域は、主に以下の二つです。

  • 海馬(Hippocampus): 記憶の形成と整理、学習、ストレス反応の制御などを担う領域です。多くの研究が、子ども時代に虐待を経験した成人は、この海馬の体積が、特に左側で萎縮していることを報告しています19。詳細な解析では、海馬の中でも特に、新しい神経細胞が生まれる「歯状回(Dentate Gyrus: DG)」と、記憶のネットワークで重要な役割を果たす「CA3野」というサブフィールドで、体積の減少が著しいことがわかっています19。研究によれば、虐待スコアが高い人は低い人に比べて、左のCA3野と歯状回が平均で約6%も小さいという結果が出ています19。この海馬の萎縮は、記憶力の低下、学習困難、そしてトラウマ記憶の断片化(出来事が順序立てて思い出せず、感情や身体感覚だけが蘇るなど)につながると考えられています。
  • 扁桃体(Amygdala): 恐怖や不安、怒りといった情動反応、特に「危険」を察知する警報装置のような役割を担う領域です。虐待環境で育った子どもの脳では、この扁桃体が常に危険を察知し続けなければならないため、過剰に活動し、肥大する傾向があります21。その結果、成人後も扁桃体は非常に敏感なままであり、些細な刺激に対しても過剰な恐怖や不安を感じたり(過覚醒)、感情のコントロールが困難になったり、対人関係で相手の表情を過度に警戒したりする原因となります21

このように、安全であるべき場所で危険に晒され続けた結果、脳は「生き延びる」ために適応しようとします。海馬の活動を抑えてつらい記憶を曖昧にし、扁桃体の感度を上げて危険をいち早く察知する。これらは、虐待環境下では生存戦略として有効だったかもしれません。しかし、安全な環境に移った後も、この「非常事態モード」の脳が働き続けることで、日常生活にさまざまな困難が生じるのです。それが、トラウマ症状の正体の一つです。

2-3. 免疫・ホルモン・概日リズムの乱れ

トラウマの影響は脳だけにとどまりません。心と身体は密接に連携しており、トキシック・ストレスは全身の生理機能に広範な乱れを引き起こします。

  • 視床下部-下垂体-副腎皮質(HPA)系の異常: HPA系は、ストレスに反応してコルチゾールなどのストレスホルモンを分泌し、身体を「闘争か逃走か(fight-or-flight)」の状態にする中枢的なシステムです23。虐待環境下ではこのHPA系が慢性的に活性化し、機能不全に陥ります。その結果、コルチゾールの分泌リズムが乱れ、ストレスに対する適切な反応ができなくなります。これが、慢性的な疲労感、うつ症状、不安障害などの一因となります23
  • 免疫系の変調と慢性炎症: 国立精神・神経医療研究センター(NCNP)の研究グループは、幼少期の虐待体験が、成人後の免疫システムに長期的な影響を与えることを発見しました24。具体的には、炎症を引き起こす代表的な物質である**インターロイキン-6(IL-6)**の分泌リズムに異常が生じることが示されています24。健康な人では、IL-6の濃度は朝に高く夜に低くなるという明確な日内変動(概日リズム)を示しますが、幼少期に情緒的虐待を経験した人では、この変動の波が小さく「平坦化」する傾向が見られました24。この免疫リズムの乱れは、身体の軽度な慢性炎症状態につながり、うつ病や不安障害だけでなく、心血管疾患や自己免疫疾患といった身体疾患のリスクを高める可能性が指摘されています25。虐待サバイバーがしばしば経験する原因不明の体調不良や睡眠障害は、こうした免疫・炎症システムの乱れと関連している可能性があるのです7
  • 自律神経系の失調: 危険を察知すると心拍数を上げて身体を興奮させる交感神経と、リラックスさせる副交感神経からなる自律神経系も、トキシック・ストレスによってバランスを崩します。常に交感神経が優位な「過覚醒」状態となり、リラックスできない、眠れない、動悸がする、イライラしやすいといった症状が現れます23

これらの生物学的な変化は、トラウマが「心の問題」だけでなく、全身に影響を及ぼす「身体の病」でもあることを物語っています。

2-4. 世代を超える傷「エピジェネティクス」

「虐待は連鎖する」という言葉を聞いたことがあるかもしれません26。かつてこれは、虐待を受けた親が適切な子育てのモデルを知らないために、同じことを繰り返してしまうという心理的・社会的な文脈で語られてきました。しかし、近年の生命科学は、この世代間伝達に生物学的なメカニズムが関与している可能性を提示しています。それが「エピジェネティクス」です。
エピジェネティクスとは、DNAの塩基配列そのものを変えることなく、遺伝子の働きを制御(オン・オフ)する仕組みのことです28。私たちの身体は、環境からの情報に応じて、特定の遺伝子に「メチル基」という化学的な”しるし”を付けたり外したりすることで、その遺伝子の発現を調節しています。
研究によると、幼少期の虐待のような強いストレス体験は、このエピジェネティックな”しるし”を変化させることがわかっています28。特に、ストレス反応を制御する遺伝子(例えば、コルチゾール受容体の遺伝子)に変化が生じ、ストレスに対して過敏になったり、うまく対処できなくなったりするのです。
さらに驚くべきことに、こうしたエピジェネティックな変化の一部は、精子や卵子を介して次の世代に受け継がれる可能性があることが、動物実験や人間の研究で示唆されています。例えば、アメリカ同時多発テロ(9.11)の際にPTSDを発症した妊婦から生まれた子どもは、母親と同様にストレスホルモンであるコルチゾールの値が低い傾向があり、動揺しやすいことが報告されています30。また、シリア内戦のトラウマを経験した祖母を持つ家族を調査した研究では、暴力を直接経験していない孫の世代にも、祖母のトラウマに関連するエピジェネティックな変化が受け継がれていることが確認されました31
これは、親が受けたトラウマの影響が、子どもの気質やストレスへの脆弱性として、生物学的に「刷り込まれる」可能性があることを意味します。もちろん、これは運命を決定づけるものではありません。エピジェネティックな変化は、その後の良好な環境や適切な介入によって元に戻る可能性も示されています28。しかし、この知見は、虐待の世代間連鎖という問題の根深さを理解し、予防や早期介入の重要性を改めて浮き彫りにするものです。

第3部:トラウマが引き起こす多様な症状と困難

脳や身体に刻まれた傷は、私たちの感情、思考、行動、そして他者との関わり方など、人生のあらゆる側面に影を落とします。その現れ方は非常に多様であり、しばしば他の精神疾患と誤解されることもあります。ここでは、虐待トラウマが引き起こす代表的な困難について、そのメカニズムと共に解説します。

3-1. 愛着(アタッチメント)の傷と対人関係の困難

人間の赤ちゃんは、絶対的に無力な状態で生まれてきます。生き延び、健やかに成長するためには、特定の養育者(主に親)からの保護が不可欠です。この養育者との間に形成される情緒的な絆を「愛着(アタッチメント)」と呼びます32
子どもは、泣いたり不安になったりしたときに養育者に駆け寄り、慰められ、安心することで、「この世界は安全な場所だ」「自分は助けを求める価値のある存在だ」という根源的な信頼感を内面に育んでいきます。この「安全基地」としての養育者の存在が、子どもが安心して外の世界を探索し、社会性を発達させていくための土台となります32
しかし、虐待やネグレクト環境では、この最も基本的な愛着のプロセスが深刻に妨げられます。慰めや保護を求めるべき養育者自身が、恐怖や危険の源であるという矛盾した状況に置かれるためです。その結果、子どもは安定した愛着スタイルを形成できず、「不安定型愛着」や、より重篤な「無秩序・無方向型愛着」といった問題を抱えることになります33
この愛着の傷は、成人後の対人関係に大きな影響を及ぼします35

  • 人を信じられない、親密な関係が怖い: 「安全基地」を持てなかったため、他者を心から信頼することができず、深い関係を築くことに恐怖を感じる。
  • 見捨てられ不安: 常に相手に見捨てられるのではないかという強い不安に苛まれ、相手の顔色をうかがい、過剰に気を遣ってしまう36
  • 対人距離の調節が困難: 人に極端に依存してべったりと甘えるか、逆に人を突き放して孤立するか、両極端な行動をとりやすい35
  • 自己肯定感の低さ: 「どうせ自分は人から好かれない」という思い込みが強く、その思い込みを裏付けるような行動を無意識にとってしまい、結果的に孤立を深めるという悪循環に陥る35

これらの困難は、虐待サバイバーが社会で生きていく上で、絶え間ない生きづらさの原因となります。

3-2. PTSDと「複雑性PTSD(C-PTSD)」の違い

トラウマと聞くと、多くの人が「心的外傷後ストレス障害(PTSD)」を思い浮かべるでしょう。PTSDは、生命の危機を感じるような単回性の強烈な出来事(事故、災害、犯罪被害など)の後に発症することが多く、以下の3つの主要な症状を特徴とします38

  • 再体験(侵入)症状: トラウマとなった出来事を、意図せず繰り返し鮮明に思い出してしまう(フラッシュバック)、悪夢を見る。
  • 回避症状: トラウマを思い出させる場所、人、会話などを執拗に避ける。
  • 過覚醒症状: 常に神経が張り詰め、眠れない、イライラしやすい、ささいな物音にひどく驚く(驚愕反応)。

しかし、幼少期から長期間にわたって繰り返し、逃れられない対人関係の中で行われる虐待のようなトラウマを経験した人々は、これらのPTSDの古典的な症状に加えて、より広範で深刻な問題を抱えることが少なくありません。こうした状態を記述するために提唱されたのが「複雑性PTSD(Complex PTSD: C-PTSD)」という診断概念です40
C-PTSDは、2018年にWHOが改訂した国際疾病分類第11版(ICD-11)で正式に診断名として採用され、その重要性が国際的に認知されました。C-PTSDは、上記のPTSDの3症状に加えて、人格の根幹に関わる以下の3つの「自己組織化の障害(Disturbances in Self-Organization: DSO)」を特徴とします40

  • 感情調節の問題: 感情のコントロールが極めて困難で、些細なことで激しい怒りや悲しみに襲われたり、感情が麻痺して何も感じられなくなったりする。慢性的な自殺念慮や自傷行為を伴うことも多い。
  • 否定的な自己概念: 自分は汚れていて、価値がなく、欠陥のある人間だという、深く根差した恥や罪悪感、無力感を抱いている。
  • 対人関係の問題: 他者を信頼できず、持続的な人間関係を維持することが困難。孤立を感じる一方で、他者との境界線が曖昧になりやすい。

虐待サバイバーが抱える「生きづらさ」の多くは、この自己組織化の障害に起因します。自分がなぜこれほど感情に振り回され、自己嫌悪に陥り、人間関係でつまずくのか分からずに苦しんできた人々にとって、C-PTSDという診断概念は、自らの体験に的確な名前を与え、混乱した症状を体系的に理解する上で、大きな救いとなり得ます。

表2:PTSDと複雑性PTSDの症状比較
症状領域 PTSD 複雑性PTSD (C-PTSD)
トラウマ体験 主に単回性・短期の出来事(事故、災害など) 主に慢性的・反復性の対人関係トラウマ(虐待、DVなど)
中核症状 ① 再体験
・フラッシュバック、悪夢
② 回避
・トラウマ関連の刺激を避ける
③ 過覚醒
・不眠、イライラ、過剰な警戒心
① 再体験
・PTSDと同様
② 回避
・PTSDと同様
③ 過覚醒
・PTSDと同様
自己組織化の障害(DSO) (典型的には含まれない) ④ 感情調節の問題
・感情の嵐、感情麻痺、自傷行為
⑤ 否定的な自己概念
・慢性的な羞恥心、罪悪感、無価値感
⑥ 対人関係の問題
・不信感、孤立、関係維持の困難
出典: ICD-11の診断基準、および関連研究39に基づき作成

この表が示すように、C-PTSDはPTSDを包含しつつ、より人格の広範な領域にわたる障害を捉える診断です。自分の経験がどちらに近いかを理解することは、適切な治療法を選択する上で不可欠です。

3-3. 「発達性トラウマ障害(DTD)」という視点と誤診のリスク

子ども時代、特に乳幼児期の虐待やネグレクトは、脳が爆発的に発達する極めて重要な時期に、その健全な発達プロセスそのものを歪めてしまいます。その結果、一見すると「発達障害」のように見える症状群が現れることがあります。この現象を捉えるために、Bessel van der Kolk博士らによって提唱され、日本では浜松医科大学の杉山登志郎客員教授らがその重要性を訴えているのが、「発達性トラウマ障害(Developmental Trauma Disorder: DTD)」という臨床概念です36
DTDはまだICDやDSM(米国精神医学会の診断基準)の正式な診断名ではありませんが、臨床現場では極めて重要な視点です。DTDの子どもが見せる症状は、**注意欠如・多動症(ADHD)や自閉スペクトラム症(ASD)**と非常によく似ています44

  • ADHDとの類似症状: 常に危険に備えなければならない「戦闘モード」の脳は、落ち着いて一つのことに集中することができません。その結果、不注意、多動性、衝動性といったADHDそっくりの行動が見られます36
  • ASDとの類似症状: 極端なネグレクト環境で育った子どもは、人との関わり方を学ぶ機会を奪われ、他者の気持ちを理解したり、共感したりすることが困難になります。その結果、対人関係への無関心や、こだわり行動など、ASDに似た特徴を示すことがあります44

ここに、誤診の大きなリスクが潜んでいます。トラウマが原因で発達障害様の症状を呈している子どもを、背景にあるトラウマを見過ごして「生まれつきの発達障害」と診断してしまうと、治療の方向性が大きくずれてしまいます45。例えば、ADHDと誤診され、集中力を高める薬だけが処方されても、その子の脳が感じている「脅威」や「不安」が取り除かれなければ、根本的な問題は解決しません。むしろ、自分の行動をコントロールできないことでさらに叱責され、二次的なトラウマを負うことにもなりかねません。
この問題は、診断プロセスにおける根本的な問いかけの転換を求めています。つまり、「この子に何が問題なのか? (What’s wrong with you?)」と症状だけを見るのではなく、「この子に何があったのか? (What happened to you?)」と、その子の生育歴や背景にあるトラウマの存在をまず第一に考慮する視点です。このトラウマインフォームドなアプローチこそが、子どもを正しく理解し、適切な支援につなげるための鍵なのです。

第4部:回復への道のり – 科学的根拠のある治療法

トラウマによる傷が脳や身体に物理的な影響を及ぼすものである以上、その回復にも科学的根拠に基づいたアプローチが必要です。「気合」や「根性」で乗り越えるものではなく、専門的な知識と技術を用いて、傷ついた神経系を丁寧に修復していくプロセスです。幸いなことに、近年、トラウマ治療の分野は大きく進歩し、有効性が証明されたさまざまな治療法が開発されています。

4-1. 治療の第一歩「トラウマインフォームド・ケア(TIC)」

本格的なトラウマ治療に入る前に、すべての支援の土台となるべき基本的な考え方が「トラウマインフォームド・ケア(Trauma-Informed Care: TIC)」です。これは特定の治療技法ではなく、トラウマを経験した人々に関わる際の基本姿勢や哲学を指します47
TICの核心は、「その人の問題行動や困難は、本人の性格や意志の弱さによるものではなく、過去のトラウマ体験に対する適応的な反応(生き延びるための術)かもしれない」と捉え直すことにあります48。この視点に立つことで、支援者は非難や叱責ではなく、理解と共感をもって関わることができます。
TICは、米国の薬物乱用・精神衛生サービス庁(SAMHSA)によって提唱された「4つのR」で要約されます47

  • Realize(理解する): トラウマが非常に広範に存在し、人々の人生に深刻な影響を及ぼす可能性があることを理解する。
  • Recognize(気づく): 目の前の人の行動や症状に、トラウマの兆候やサインが現れていないかに気づく。
  • Respond(対応する): トラウマに関する知識を、方針や実践、手順に完全に統合し、適切に対応する。
  • Resist re-traumatization(再トラウマ化を防ぐ): 支援の過程で、意図せず相手を再び傷つけてしまう(再トラウマ化)ことを積極的に防ぐ。

さらに、TICの実践には6つの主要原則があります49。それは、①安全、②信頼性と透明性、③ピアサポート、④協働と相互性、⑤エンパワメント・意見表明・選択、⑥文化・歴史・ジェンダーに関する配慮です。
例えば、精神科の病棟でTICを実践する場合、威圧的な態度や強制的な対応を避け50、治療方針を一方的に決めるのではなく、患者と支援者が協働して意思決定を行います49。また、なぜそのような症状が出るのかを本人に説明する「心理教育」も重要な要素です48。自分が悪いのではなく、トラウマの影響でそうなっているのだと理解することは、自己否定感を和らげ、回復への主体性を取り戻す助けとなります50

4-2. 子どものための第一選択治療「TF-CBT」

子どものトラウマ治療において、現在、世界中の多くの治療ガイドラインで「第一選択」として推奨されているのが、「トラウマフォーカスト認知行動療法(Trauma-Focused Cognitive Behavioral Therapy: TF-CBT)」です51
TF-CBTは、3歳から18歳までのトラウマを経験した子どもを対象とした、短期(通常12~16セッション)で構造化されたプログラムです52。その最大の強みは、数多くのランダム化比較試験によってその高い有効性が科学的に証明されている点にあります。特に、日本の地域社会に住む子どもたちを対象とした研究でも、PTSD症状やうつ症状を有意に改善させる効果が実証されており、日本の文化や環境においても有効な治療法であることが確認されています51
TF-CBTは、子どもセッション、親(または養育者)セッション、そして親子合同セッションで構成され、親子が共に回復の道を歩むことを目指します52。その内容は、PRACTICEという頭文字で表される構成要素からなります56

  • Psychoeducation and Parenting skills(心理教育とペアレンティングスキル)
  • Relaxation skills(リラクゼーション法)
  • Affective expression and regulation skills(感情の表現と調節スキル)
  • Cognitive coping skills(認知コーピングスキル)
  • Trauma narrative and processing(トラウマ・ナラティブの作成と処理)
  • In vivo exposure(段階的曝露)
  • Conjoint child-parent sessions(親子合同セッション)
  • Enhancing future safety and development(将来の安全と発達の促進)

治療の前半では、リラクゼーション法や感情コントロールのスキルを学び、トラウマと向き合うための土台を築きます。そして治療の中核となるのが「トラウマ・ナラティブ」です。これは、子どもが安全な環境で、信頼できる治療者のサポートのもと、つらかった体験を自分の言葉で語り、書き、整理していくプロセスです。断片的で恐怖に満ちた記憶を、始まりと終わりがある一つの「物語」として再構成することで、トラウマに支配された状態からの脱却を目指します。このプロセスを通じて、子どもはトラウマ体験を乗り越え、自信と安心感を取り戻していくのです57

4-3. 自分でできる心の応急手当:グラウンディング

トラウマの症状、特にフラッシュバックは、時と場所を選ばずに突然襲ってくることがあります。過去の恐怖や感覚が、まるで今ここで起きているかのように生々しく蘇り、圧倒されてしまう。そんな苦しい瞬間に、自分自身でできる応急手当が「グラウンディング(Grounding)」です58
グラウンディングとは、その名の通り、意識を「今、ここ」の現実に着地させる(グラウンドさせる)ためのテクニックです59。パニックに陥った心を、身体の五感を通じて現在の安全な場所へと引き戻します。
フラッシュバックが起きそうになったり、強い不安に襲われたりしたとき、以下のステップを試してみてください。

  1. まず、目を開ける: 恐怖から目をつぶってしまいがちですが、それは過去のイメージをより鮮明にしてしまいます。勇気を出して目を開け、意識を外の世界に向けましょう60
  2. 深く、ゆっくり呼吸する: 鼻からゆっくり息を吸い(2秒)、口や鼻からさらにゆっくりと息を吐き出します(4秒)。吐く息に集中し、「リラックス」と心の中で唱えるのも効果的です61
  3. 五感を使って「今、ここ」を確認する(5-4-3-2-1法):
    • 見る(5つ): 周りを見渡し、目に入るものを5つ、声に出して言ってみます。「青いカーテン」「木製の机」「白い壁」「パソコンの画面」「カレンダー」59
    • 触る(4つ): 身体で感じている感覚を4つ確認します。「足の裏が床に触れている感覚」「椅子がお尻を支えている感覚」「服が肌に触れる感覚」「自分の手を握った感覚」61
    • 聞く(3つ): 耳を澄まし、聞こえてくる音を3つ見つけます。「エアコンの音」「遠くを走る車の音」「自分の呼吸の音」。
    • 嗅ぐ(2つ): 鼻で匂いを2つかいでみます。「コーヒーの香り」「部屋の匂い」。
    • 味わう(1つ): 口の中にある味を1つ感じてみます。「お茶の味」「何も味がしないという感覚」。

このエクササイズは、暴走しがちな思考や感情から注意をそらし、身体感覚という確かな現実へと意識を繋ぎ止めるための強力なアンカーとなります。これは特別な技術ではなく、誰でも、いつでも、どこでも実践できるセルフケアです。

4-4. 回復のプロセスと希望

トラウマからの回復は、一直線の道のりではありません。良くなったと思ったらまた落ち込んだり、過去の感情がぶり返したりすることもあります7。それはごく自然なプロセスであり、決して後退ではありません。
近年、複雑性PTSDの当事者や治療者によって書かれた、回復のための優れた書籍が数多く翻訳・出版されています。ピート・ウォーカーの『複雑性PTSD:生き残ることから生き抜くことへ』や、アリエル・シュワルツの『複雑性PTSDの理解と回復』などは、多くのサバイバーにとって羅針盤となるでしょう62
これらの書籍が示すように、回復のプロセスにはいくつかの段階があります。フラッシュバックを管理できるようになること、自己破壊的な行動を減らすこと、歪んだ自己イメージを修正し、自分に価値があると思えるようになること、そして他者と安全で健康的な関係を築くスキルを学ぶことなどです63
最も大切なのは、「自分の人生の舵を取り戻す」という感覚です63。トラウマは、あなたから主体性や選択の自由を奪いました。回復とは、その奪われたものを取り戻し、過去に決められるのではなく、自分の意志で未来を選択していくプロセスなのです。それは決して容易な道ではありませんが、不可能ではありません。

第5部:一人で抱え込まないために – 社会の支援と相談窓口

トラウマからの回復は、一人きりで成し遂げられるものではありません。信頼できる専門家や支援団体、そして社会全体の理解とサポートが不可欠です。幸い、日本にはさまざまな困難を抱える子どもや家族のための相談窓口が存在します。声を上げること、助けを求めることは、弱さではなく、生き抜くための強さと勇気の証です。

5-1. 「虐待かも?」と思ったら:児童相談所虐待対応ダイヤル「189」

もし、あなた自身が子どもで助けを求めている場合、あるいは近所の子どもが虐待を受けているのではないかと疑われる状況に気づいた場合、ためらわずに連絡してほしい番号があります。それが、児童相談所虐待対応ダイヤル「189(いちはやく)」です66

  • 全国共通・24時間365日対応: この番号にかけると、お住まいの地域を管轄する児童相談所に自動的につながります66
  • 通話料無料: 令和元年12月より通話料は無料化されており、費用の心配なく相談できます66
  • 匿名での相談・通告が可能: 最も重要な点として、相談や通告は匿名で行うことができます。あなたの名前を名乗る必要はなく、誰が連絡したかという秘密は固く守られます66

「確信がないのに通報して、もし間違っていたら…」とためらう気持ちは自然なものです。しかし、児童相談所は通告を受けてから調査を行い、事実確認をします。あなたの役割は、専門機関に「気づきのバトン」を渡すことです。あなたのその一本の電話が、子どもの命を救うことになるかもしれません。

5-2. 声を届けられる場所:多様な相談窓口

児童相談所以外にも、さまざまな団体が相談窓口を設けています。特に、子どもや若者にとっては、電話よりもLINEなどのチャットツールの方が相談しやすい場合があります。自分の状況や気持ちに合わせて、最もアクセスしやすい窓口を選んでください。

表3:主な相談窓口と支援団体一覧
団体・サービス名 連絡先・アクセス方法 主な対象者 受付時間など
【緊急・全国】      
児童相談所虐待対応ダイヤル 電話:189 (いちはやく) 虐待の通告・相談をしたいすべての人 24時間365日、通話料無料66
児童相談所相談専用ダイヤル 電話:0120-189-783 (いちはやく・おなやみを) 虐待以外のこどもの福祉に関する相談 24時間365日、通話料無料66
24時間子供SOSダイヤル 電話:0120-0-78310 (なやみいおう) いじめなど子どものSOS全般 24時間365日66
子どもの人権110番 電話:0120-007-110 子どもの人権問題全般 平日 8:30~17:1566
【LINE相談】      
親子のための相談LINE LINE ID: @oyako_line こども(18歳未満)とその保護者 平日 9時~23時、土日祝 9時~17時など自治体により異なる68
かながわ子ども家庭110番相談LINE LINE ID: @kana_kodomo110 神奈川県在住・在学等の子どもと保護者 毎日 9時~20時70
法務局 LINEじんけん相談 LINE ID: @linejinkensoudan いじめや人権問題で悩む人 平日 8:30~17:1567
【NPO法人による相談】      
NPO法人 児童虐待防止協会(大阪) 電話:06-6646-0088 子育てや虐待に悩む人 月~金 11:00~16:0071
NPO法人 CAPNA(愛知) 電話:052-232-0624 / メール相談あり 子育てや虐待に悩む人 月~土 11:00~14:0072
NPO法人 児童虐待防止全国ネットワーク Webサイトで全国の民間団体を紹介 全国の支援団体を探したい人 73
認定NPO法人 子ども支援センターつなっぐ Webサイトから寄付・支援 被害を受けた子どもを支援したい人 74
出典: 各機関の公式ウェブサイト66に基づき作成

これらのNPO法人は、行政とは異なる民間の立場から、より相談者の気持ちに寄り添った柔軟な支援を提供していることが多く、匿名性も高く保たれています71。電話が苦手な人、自分のペースで悩みを整理したい人は、メール相談やLINE相談から始めてみるのも良いでしょう。大切なのは、一人で抱え込まず、外部の世界とつながることです。

5-3. 虐待の世代間連鎖を断ち切るために

虐待サバイバーが親になったとき、最も恐れることの一つが「自分も同じことをしてしまうのではないか」という不安です26。自分が受けたのと同じように、わが子を愛せないのではないか、つい手を上げてしまうのではないか、という恐怖は、多くの当事者を苦しめます。
この「虐待の世代間連鎖」は、悲しいことに、単なる思い過ごしではなく、実際に報告されています26。その背景には、本稿で解説してきた複数のメカニズムが複雑に絡み合っています。

  • 愛着パターンの伝達: 不安定な愛着スタイルを内面化した親は、子どもとの間に安定した愛着関係を築くことが困難な場合があります。子どもの行動を「わがまま」や「自分を困らせるもの」と否定的に解釈しやすく、適切な応答ができないことがあります34
  • エピジェネティクスによる脆弱性: 親の未解決なトラウマが、エピジェネティックな変化を通じて子どものストレスへの脆弱性を高めている可能性も指摘されています28
  • 子育てスキルの欠如: 適切な養育モデルを知らずに育ったため、子どもの発達段階に応じた関わり方や、肯定的なしつけの方法を知らない場合があります。

しかし、この連鎖は断ち切れない運命ではありません。むしろ、自分が虐待の被害者であったと自覚し、その連鎖を断ち切りたいと強く願っていること自体が、回復への最も大きな一歩です。
連鎖を断ち切るためには、まず自分自身のトラウマと向き合い、癒すことが不可欠です。専門家の助けを借りて、自分がなぜ感情のコントロールに苦しむのか、なぜ子どもの行動に過剰に反応してしまうのかを理解すること。そして、具体的な子育てのスキルを学ぶこと。これらは、負の連鎖を断ち切るための具体的な行動です。
また、社会全体でこの連鎖を断ち切る取り組みも進んでいます。例えば、妊娠期から乳児のいるすべての家庭を訪問する「こんにちは赤ちゃん事業」や、育児支援が必要な家庭にヘルパーを派遣する事業などは、孤立しがちな親を社会とつなぎ、虐待の発生を予防するための重要なセーフティネットです76
あなたが過去に受けた傷は、あなたの子育てを困難にするかもしれませんが、同時に、子どもの痛みを誰よりも深く理解できるという強みにもなり得ます。その痛みを理解しているからこそ、あなたは連鎖を断ち切ることができるのです。

よくある質問

Q1: 子どもの頃に受けた暴言が、今でもつらいです。これは虐待だったのでしょうか?
はい、それは「心理的虐待」に該当します。本稿で解説した通り、言葉による脅しや自尊心を傷つける言動は、児童虐待防止法で定められた虐待の一類型です5。近年の脳科学研究では、親からの暴言などの心理的虐待が、子どもの脳の構造に物理的なダメージを与えることさえ証明されています16。あなたの苦しみは決して「気のせい」ではなく、科学的根拠のある心身の傷です。
Q2: 自分はADHD(注意欠如・多動症)だと思っていましたが、虐待トラウマが原因の可能性はありますか?
その可能性は十分にあります。虐待のような慢性的なトラウマ環境で育つと、脳は常に危険に備える「戦闘モード」になり、落ち着きがなくなったり、集中力が続かなかったりします。この状態は「発達性トラウマ障害(DTD)」と呼ばれ、その症状がADHDと非常によく似ているため、誤診されるリスクが指摘されています3644。重要なのは、症状だけを見るのではなく、「自分に何があったのか」という生育歴を含めて専門家と相談することです。
Q3: 虐待の記憶が断片的で、はっきり思い出せません。これは普通のことですか?
はい、それはトラウマを経験した人によく見られる現象です。強いストレスに晒されると、記憶の整理を担う脳の「海馬」という部分が萎縮し、機能が低下することがあります19。その結果、出来事を時系列で順序立てて思い出すことができず、感情や身体感覚だけが突然蘇る「フラッシュバック」として記憶が断片的に現れることがあります。これはあなたの記憶力の問題ではなく、脳が自己防衛のために起こしている反応です。
Q4: 虐待を受けた自分も、親になったら子どもに同じことをしてしまうのではないかと怖いです。
その不安を感じること自体が、あなたが虐待の連鎖を断ち切ろうとしている何よりの証拠です。虐待の世代間連鎖は報告されていますが、それは運命ではありません26。まずあなた自身が専門家の助けを借りてトラウマを癒し、安定した心の状態を取り戻すことが、連鎖を断ち切るための最も重要なステップです。あなたは、子どもの痛みを誰よりも理解できる親になれる可能性を秘めています。
Q5: どこに相談すればよいか分かりません。匿名で話を聞いてもらえますか?
はい、匿名で相談できる窓口は数多くあります。緊急性が高い場合や虐待の通告をしたい場合は、全国共通・24時間・通話料無料で匿名相談が可能な児童相談所虐待対応ダイヤル「189」があります66。また、電話が苦手な場合は、LINEを使った相談窓口もありますし68、NPO法人が運営するホットラインも、より親身に話を聞いてくれるでしょう71。一人で抱え込まず、まずは話しやすいと感じる場所に連絡してみてください。

結論

本稿では、児童虐待がもたらす心の傷について、その統計的な実態から、脳や身体に及ぼす神経生物学的な影響、そして具体的な症状、回復への道筋までを包括的に解説してきました。この長い旅を通じて、最も伝えたかったメッセージは、あなたの苦しみは決して「気のせい」や「弱さ」ではなく、過酷な体験に対する、科学的に裏付けられた心身の反応であるということです。
ACEs研究が示すように、逆境体験の積み重ねが健康リスクを高めることは、もはや疑いようのない事実です12。友田明美教授らの研究が明らかにしたように、言葉の暴力でさえ脳の構造を物理的に変容させます18。そして、複雑性PTSDや発達性トラウマ障害という概念は、あなたが抱える生きづらさの正体に、的確な名前と理解を与えてくれます40。これらの科学的知見は、あなたを長年苦しめてきた自己責任論という重い鎖から解き放つ力を持っています。
あなたが経験してきた症状—過剰な不安、感情の爆発、人間関係の困難、自己否定感—は、異常な環境を生き延びるために、あなたの脳と身体が必死で編み出した「適応戦略」でした。それは、かつてのあなたを守るための鎧だったのです。回復とは、その鎧がもはや不要になったことを理解し、安全な現在を生きるための新しい、より健康的な心のあり方や対人関係のスキルを学び直していくプロセスに他なりません。
TF-CBTのような有効性が証明された治療法が存在し51、グラウンディングのように自分で実践できるセルフケアの技術もあります59。そして何より、あなたを支えるための相談窓口や支援団体が、社会には数多く存在します66。助けを求めることは、敗北ではなく、自分の人生を取り戻すための最も勇気ある行動です。
トラウマからの回復は、過去を消し去ることではありません。過去の体験が、もはやあなたの現在の感情や行動、未来の可能性を支配しないように、その体験を人生の物語の中に正しく位置づける作業です。その傷は、あなたのアイデンティティそのものではなく、あなたが乗り越えてきた歴史の一部です。
その経験は、あなたから多くのものを奪ったかもしれません。しかし、それは同時に、他者の痛みを深く理解できる共感性や、逆境を生き抜いた強靭さ(レジリエンス)をあなたの中に育んだ可能性もあります。その傷つき体験を、今度はあなた自身と、もしかしたら同じように苦しむ誰かを支えるための力に変えていくこと—それもまた、回復の一つの形です。
あなたは、何が起きたかによって定義される存在ではありません。これから何をするかによって、あなた自身の人生を定義していく権利と力を持っています。その第一歩を、今日ここから踏み出してください。あなたは、決して一人ではありません。

免責事項
この記事は情報提供のみを目的としており、専門的な医学的アドバイスを構成するものではありません。健康上の懸念がある場合、またはご自身の健康や治療に関する決定を下す前には、必ず資格のある医療専門家にご相談ください。

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  39. PTSD の薬物療法ガイドライン:プライマリケア医のために – 日本トラウマティック・ストレス学会, [オンライン]. Available: https://www.jstss.org/docs/2013090600351/file_contents/guideline.pdf. [引用日: 2025年7月8日].
  40. 複雑性PTSDについて – 日野市の心療内科、こころクリニック, [オンライン]. Available: https://kokoro-hino.tokyo/?p=1896. [引用日: 2025年7月8日].
  41. 発達性トラウマ障害のカウンセリング・相談 | (株)心理オフィスK, [オンライン]. Available:
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