【科学的根拠に基づく】脂肪肝の新常識「MASLD」の全貌:放置リスクと専門家が教える最新治療法
消化器疾患

【科学的根拠に基づく】脂肪肝の新常識「MASLD」の全貌:放置リスクと専門家が教える最新治療法

日本の成人3人に1人が罹患しているとも言われる「脂肪肝」。健康診断で指摘されても、「食べ過ぎや飲み過ぎが原因だろう」と軽く考えている方も少なくないかもしれません。しかし、その認識はもはや過去のものです。近年の研究により、脂肪肝が肝硬変や肝がんといった命に関わる病気に進行するだけでなく、心筋梗塞や脳卒中など全身の健康を脅かす危険な状態であることが次々と明らかになっています1。そして2023年、世界の肝臓専門医たちは、この病気の本質をより正確に捉えるため、「NAFLD(非アルコール性脂肪性肝疾患)」という呼び名を「MASLD(マスルド:代謝機能障害関連脂肪性肝疾患)」へと変更する歴史的な決定を下しました2。これは単なる名前の変更ではありません。脂肪肝が、肥満、糖尿病、高血圧といった「代謝機能の異常」に根差した全身の病気であることを明確にし、私たちの向き合い方を根本から変える、重要なパラダイムシフトなのです。この記事では、日本肝臓学会や日本消化器病学会、さらには米国や欧州の最新診療ガイドラインに基づき、「脂肪肝(MASLD)」がなぜ危険なのか、そして、その危険性にどう正しく対処すべきかを、専門家の視点から徹底的に解説します3

この記事の科学的根拠

この記事は、引用されている特定の研究論文や、国内外の主要な専門機関が公表した診療ガイドラインに完全に基づいています。JHO編集委員会は、読者の皆様に最高水準の正確性と信頼性を提供するため、以下の権威ある情報源を基に内容を構成しています。

  • 日本消化器病学会(JSGE)・日本肝臓学会(JSH): 本記事における日本の診断基準、治療方針、および「MASLD」という新しい日本語病名の定義に関する記述は、これらの学会が発表した最新の診療ガイドラインおよび公式声明に基づいています。
  • 米国肝臓病学会(AASLD): MASLDの国際的な診断基準やリスク因子の定義、治療薬「レスメチロム」に関する記述は、AASLDが公表した診療ガイドラインおよびコンセンサス声明を根拠としています。
  • 欧州肝臓学会(EASL)・欧州糖尿病学会(EASD)・欧州肥満学会(EASO): 心血管疾患リスク、生活習慣改善の目標、最新治療薬の推奨などに関する記述は、これらの欧州の主要学会が共同で発表した最新の臨床実践ガイドラインに基づいています。

要点まとめ

  • 脂肪肝の名称は「NAFLD」から「MASLD」へ変更されました。これは、病気の本質が「代謝機能の異常」にあることを明確にするための重要な変更です。
  • MASLDは放置すると肝炎(MASH)肝硬変、そして肝がんへと進行する可能性があります。特にMASHに進行すると、がんのリスクは12倍以上に増加します。
  • MASLDは肝臓だけの病気ではなく、心筋梗選挙脳卒中2型糖尿病などのリスクを著しく高める全身の病気です。
  • 健康診断では「ALT (GPT) > 30 U/L」が危険信号です。この数値を超えたら、専門医の受診を強く推奨します。
  • 最も効果的な治療法は「体重の7%減量」です。食事(地中海食推奨)と運動(週150分以上)による生活習慣の改善が、薬物療法以上に重要です。

第1章:「脂肪肝」の呼び名が変わった?知っておくべき新常識「MASLD」とは

2023年から2024年にかけて、肝臓病学の分野で大きな変革がありました。長年使われてきた「NAFLD(非アルコール性脂肪性肝疾患)」という病名が、国際的な合意を経て「MASLD(代謝機能障害関連脂肪性肝疾患)」へと変更されたのです。この変更の背景と、新しい用語の正確な意味を理解することは、脂肪肝という病気と正しく向き合うための第一歩です。

なぜNAFLDからMASLDへ?「太っちょ」の汚名を返上し、病気の本質へ

従来の「NAFLD」という名称には、二つの大きな問題点が指摘されていました。一つは、「non-alcoholic(非アルコール性)」という言葉が、病気の原因を「アルコールではない」と否定的に定義しているだけで、その本質を捉えていない点です4。もう一つは、より深刻な問題として、「fatty(脂肪性の)」という言葉が持つスティグマ(負の烙印)です。研究によると、患者の約6割が「太っちょ」や「だらしない」といった非難をされていると感じており、これが病気への前向きな取り組みを妨げる一因となっていました5
このような背景から、米国肝臓病学会(AASLD)、欧州肝臓学会(EASL)などの世界の主要な肝臓学会は、患者の尊厳を守り、病態をより正確に反映する新しい名称を検討する国際的な専門家会議を招集しました6。その結果、2023年6月に新しい病名「MASLD」が提唱され、これに呼応して日本の日本消化器病学会(JSGE)と日本肝臓学会(JSH)も2023年9月にこの変更に賛同を表明。2024年8月には、正式な日本語名称が決定・発表されました7
この変更は、脂肪肝が単なる脂肪の蓄積ではなく、「代謝機能の異常(Metabolic Dysfunction)」という全身性の問題が肝臓に現れた状態であることを明確に位置づけるものです。これにより、診断は「アルコールを飲まない人の脂肪肝」という消極的なものから、「代謝異常を持つ人の脂肪肝」という積極的で根本原因に根差したものへと変わりました。この哲学の転換は、治療戦略にも大きな影響を与え、肝臓だけでなく、背景にある糖尿病や高血圧などの生活習慣病全体を管理することの重要性を浮き彫りにしたのです。まず、すべての脂肪性肝疾患を包括する新しい統括用語として「Steatotic Liver Disease (SLD) / 脂肪性肝疾患」が設定され、その上で、原因に応じて分類されることになりました2

MASLD、MASH、MetALD… 新しい用語の正確な定義

新しい分類を理解することは、ご自身の状態を正確に把握するために不可欠です。主要な用語を解説します。

  • MASLD (Metabolic Dysfunction-Associated Steatotic Liver Disease) / 代謝機能障害関連脂肪性肝疾患
    これは新しい分類の中核をなす病名で、従来のNAFLDの大部分を置き換えるものです。MASLDの診断は、画像検査や組織検査で肝臓への脂肪沈着が確認され、かつ、肥満、2型糖尿病、高血圧、脂質異常症といった5つの心血管代謝危険因子のうち、少なくとも1つが存在する場合に下されます6。つまり、「代謝異常」という明確な根拠に基づいて診断されるのが特徴です。
  • MASH (Metabolic Dysfunction-Associated Steatohepatitis) / 代謝機能障害関連脂肪肝炎
    これは、従来の「NASH(非アルコール性脂肪肝炎)」に代わる用語です。MASLDの中でも、肝臓に炎症や肝細胞の傷害(風船様変性など)を伴う、より進行した危険な状態を指します8。MASHは肝臓の線維化を進行させ、肝硬変や肝がんへと至る主要な駆動因子であり、早期に発見し介入することが極めて重要です3
  • MetALD (Metabolic Dysfunction-Associated and Alcohol-Related Liver Disease) / 代謝機能障害アルコール関連肝疾患
    これは、今回の改訂で新たに設けられた重要なカテゴリーです。MASLDの診断基準(代謝危険因子が1つ以上)を満たし、かつ、アルコール性肝障害(ALD)と診断されるほどの多量飲酒ではないものの、一定量以上(AASLDの基準では女性で週140g以上、男性で週210g以上)のアルコールを摂取している人が該当します7。これは、代謝異常とアルコール摂取が相乗的に肝臓へ損害を与える危険性を明確に認識するための分類です。

これらの新しい用語を理解しやすくするために、以下の対照表にまとめました。

新旧の脂肪肝関連用語 対照表
旧名称 (Old Term) 新名称 (New Term) 日本語名称 (Japanese Term) 簡潔な定義
(包括的な概念なし) SLD (Steatotic Liver Disease) 脂肪性肝疾患 肝臓に脂肪が蓄積する病気の総称。
NAFLD (Non-Alcoholic Fatty Liver Disease) MASLD (Metabolic Dysfunction-Associated Steatotic Liver Disease) 代謝機能障害関連脂肪性肝疾患 肝臓への脂肪沈着に加え、心血管代謝危険因子が1つ以上ある状態。
NASH (Non-Alcoholic Steatohepatitis) MASH (Metabolic Dysfunction-Associated Steatohepatitis) 代謝機能障害関連脂肪肝炎 MASLDに、肝臓の炎症や細胞傷害が加わった進行性の状態。
(明確な分類なし) MetALD (Metabolic Dysfunction-Associated and Alcohol-Related Liver Disease) 代謝機能障害アルコール関連肝疾患 MASLDの基準を満たし、かつ中等量以上の飲酒習慣がある状態。
(明確な分類なし) ALD (Alcohol-Related Liver Disease) アルコール関連肝疾患 過度のアルコール摂取が主な原因である肝疾患。

第2章:沈黙の臓器を蝕む病。脂肪肝(MASLD)が本当に危険な理由

「脂肪肝」と聞いても、多くの方はすぐには命の危険を感じないかもしれません。しかし、それは「沈黙の臓器」と呼ばれる肝臓が発する危険なサインを見過ごしていることに他なりません。MASLDが本当に危険な理由は、肝臓そのものの破壊に留まらず、全身の健康を蝕むことにあります。

放置すれば「肝がん」へ。破滅的な進行経路

MASLDの最も恐ろしい側面は、自覚症状がないまま静かに進行し、最終的に肝がんという取り返しのつかない事態を招く可能性があることです。この進行経路は、一般的に以下の段階をたどります1

  1. MASLD(単純性脂肪肝): 肝臓に脂肪が蓄積しただけの比較的穏やかな状態。
  2. MASH(脂肪肝炎): 脂肪の蓄積に加え、肝臓に炎症と細胞死が起こり始める。この段階から線維化が進行する。
  3. 肝線維化 (Fibrosis): 炎症を修復しようとする過程で、コラーゲンなどの線維組織が蓄積し、肝臓が硬くなる。
  4. 肝硬変 (Cirrhosis): 線維化がさらに進行し、肝臓全体が硬くゴツゴツした状態になる。肝機能が著しく低下し、腹水や黄疸などの症状が現れる1
  5. 肝細胞がん (Hepatocellular Carcinoma – HCC): 肝硬変を背景に、肝臓にがんが発生する。

この進行の危険性は、決して低いものではありません。日本のデータを基にした統計では、その危険性が数字で明確に示されています。MASLD全体での肝がん発生率は年間1000人あたり0.44人と比較的低いものの、ひとたび炎症を伴うMASHに進行すると、その危険性は年間1000人あたり5.29人へと12倍以上に跳ね上がります9。さらにMASHから肝硬変に至った場合、5年間で肝がんを発症する確率は11.3%にものぼるという報告もあります10
かつて日本の肝がんの主な原因はB型・C型肝炎ウイルスでしたが、治療法の進歩によりウイルス性肝炎は制御可能になりつつあります。それに代わって、現在ではMASHが肝がんの主要な原因として急速に増加しており、専門家の間では大きな警鐘が鳴らされています11

肝臓だけの問題ではない:心筋梗塞や脳卒中の危険性も高める全身の病

MASLDの危険性は肝臓だけに留まりません。むしろ、多くの患者にとってより差し迫った脅威は、心血管系の疾患です。MASLDの根底にあるのはインスリン抵抗性や慢性的な炎症であり、これらは動脈硬化を促進する元凶となります。そのため、MASLDと診断された人は、そうでない人と比較して心筋梗塞や脳卒中といった命に関わる病気を発症する危険性が著しく高いことがわかっています3
実際、MASLD患者の最も多い死因は、肝疾患ではなく心血管疾患であるというデータも存在します12。つまり、肝臓は「炭鉱のカナリア」のように、全身の代謝システムに異常が生じていることを知らせる警告サインを発しているのです。この警告を無視することは、心臓や血管の時限爆弾を放置することに等しいと言えます。
さらに、MASLDは以下のような様々な全身の病気と密接に関連しています13

  • 2型糖尿病
  • 慢性腎臓病
  • 高血圧
  • 脂質異常症
  • 大腸がんや乳がんなど、一部のがん
  • 閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSA)14

これらの疾患は互いに影響し合い、健康状態を悪化させる負の連鎖を生み出します。したがって、MASLDの治療は、単に肝臓の数値を改善することだけでなく、これらの全身危険性を総合的に管理するという視点が不可欠です。

「痩せているから大丈夫」は日本人にとって最も危険な誤解

「脂肪肝は太っている人の病気」というイメージが根強くありますが、これは特に日本人にとっては非常に危険な誤解です。欧米人と比較して、日本を含むアジア人は、それほど太っていなくても内臓に脂肪がたまりやすく、インスリン抵抗性を来たしやすいという遺伝的・体質的な特徴があります15
このため、BMI(体格指数)が25未満の「非肥満」であってもMASLDを発症する「痩せ型MASLD(Lean MASLD)」が、日本では決して珍しくありません。日本の調査では、非肥満者におけるMASLDの有病率は7%から20%にも上ると報告されており9、あるメタ解析では日本の痩せ型NAFLD(旧名称)の頻度は20.7%と、欧米の約10%に比べて著しく高いことが示されています15
健康診断で肥満を指摘されなかったからといって、安心はできません。特に、体重は標準でもお腹周りが気になる方、甘いものや炭水化物が好きな方、運動習慣がない方は、見えないところで肝臓に脂肪が蓄積している可能性があります。遺伝的な要因も関与しており、「痩せているから大丈夫」という思い込みが、発見の遅れにつながる最も危険な落とし穴なのです16

第3章:あなたも予備軍?脂肪肝(MASLD)の診断と自己点検

MASLDは自覚症状がほとんどないため、多くの場合、健康診断が発見の唯一のきっかけとなります。しかし、検査結果のどの数値に注目し、どのような場合に専門医を受診すべきかを知らなければ、せっかくのサインを見逃してしまいます。ここでは、専門医が実際に行う診断プロセスに沿って、ご自身の健康状態を確認する方法を解説します。

健康診断の結果、この数値を見逃すな!

年に一度の健康診断。結果票を受け取ったら、以下の項目を必ず確認してください。これらは、あなたの肝臓が発している重要なメッセージです。

  • ALT (GPT): 肝臓の炎症を示す最重要指標
    ALTは肝細胞に含まれる酵素で、肝細胞が壊れると血液中に漏れ出します。この数値の上昇は、肝臓で炎症(肝炎)が起きていることを示す最も感度の高い指標です。日本肝臓学会などの専門家組織は、「ALT値が30 U/Lを超えていたら、脂肪肝を疑い、専門医の受診を検討すべき」と強く推奨しています17。基準値内だからと安心せず、「30」という具体的な数値を一つの目安としてください。
  • AST (GOT) と γ-GTP: 補足的な情報
    ASTもALTと同様の肝酵素ですが、心臓や筋肉にも存在します。γ-GTPはアルコール性肝障害で特に上昇しやすいことで知られていますが、MASLDでも上昇します。専門医はこれらの数値を総合的に評価し、特にASTとALTの比率(AST/ALT比)にも注目します。一般的に、MASLDではこの比が1未満になることが多いのに対し、アルコール性肝障害や肝硬変が進行した状態では1以上になる傾向があります18
  • 腹囲 (Waist Circumference): 内臓脂肪の指標
    MASLDの根本原因である代謝異常は、内臓脂肪の蓄積と深く関連しています。腹囲の測定は、この内臓脂肪量を簡易的に評価するための重要な指標です。日本の特定健診(メタボ健診)では、男性85cm以上、女性90cm以上が基準値とされており、これに該当する場合はMASLDの危険性が高いと考えられます19

専門医が行う精密検査:肝臓の「硬さ」と「脂肪量」を測る

健康診断で異常を指摘されたり、自己点検で危険性が高いと判断されたりした場合、消化器内科や肝臓内科の専門医はより詳しい検査を行い、肝臓の状態を正確に評価します。

  • 腹部超音波(エコー)検査
    これは最初に行われることが多い画像検査です。超音波を使って肝臓の内部を観察し、脂肪の蓄積具合を評価します。専門医は、①肝臓が腎臓よりも白く輝いて見えるか(肝腎コントラスト)、②肝臓の奥の方まで超音波が届きにくくなっていないか(深部減衰)、③肝臓内の血管が不明瞭になっていないか、といった所見を総合的に判断します20。近年の診断基準では、肝細胞の5%以上に脂肪が蓄積した軽度の脂肪肝から検出することを目指しています20
  • 非侵襲的線維化指標:肝臓の硬さを「採血」と「画像」で測る
    MASLDの予後を左右する最も重要な因子は、「線維化」の進行度、つまり肝臓がどれだけ硬くなっているかです。かつては肝生検(肝臓に針を刺して組織を採取する検査)でしか評価できませんでしたが、現在では患者さんの負担が少ない非侵襲的な検査が主流となっています。
    • FIB-4 index(フィブフォー・インデックス): これは、年齢、AST、ALT、血小板数の4項目から簡単に計算できる数値です。線維化の進行危険度をふるい分けするのに非常に有用で、多くの医療機関で活用されています。計算の結果、数値が1.3以上の場合は、線維化が進んでいる可能性があり、より精密な検査が推奨されます19
    • エラストグラフィ(FibroScan®, MRE): これらは、肝臓の硬さ(弾性)を直接測定する特殊な画像検査です。FibroScan(フィブロスキャン)は超音波の伝わる速度を、MREはMRIを利用して肝臓の硬さを数値化し、線維化の程度を客観的に評価します。同時に脂肪量も測定できるため、MASLDの診断と重症度判定に極めて有用です21

あなたはMASLD?国際基準に基づく確定診断の流れ

では、これまでの情報を基に、ご自身がMASLDに該当するかどうか、国際的な診断基準に沿って確認してみましょう。AASLD(米国肝臓病学会)などが示す診断フローは、以下のステップで構成されています6

  1. Step 1: 肝脂肪沈着の確認
    まず、腹部超音波検査などの画像検査や肝生検で、肝臓に脂肪がたまっていることが確認されていることが大前提です。
  2. Step 2: 心血管代謝危険因子の確認
    次に、後述のチェックリストにある5つの危険因子のうち、1つでも当てはまるものがあるかを確認します。
  3. Step 3: 診断
    Step 1とStep 2の両方を満たし、かつ他の肝疾患(ウイルス性肝炎、自己免疫性肝疾患、薬物性肝障害など)が除外されれば、「MASLD」と診断されます。

このプロセスを分かりやすくするために、以下のチェックリストをご活用ください。

MASLD診断基準チェックリスト(AASLD/EASL国際ガイドライン準拠)

あなたは当てはまりますか? 以下の5つの項目のうち、1つでも当てはまれば、あなたはMASLDの可能性があります。

  1. 肥満/過体重
    • BMIが 25kg/m² 以上である。(アジア人の場合は 23kg/m² 以上)22
    • または、腹囲が日本の基準で男性 85cm 以上、女性 90cm 以上である。19
  2. 血糖値異常
    • 2型糖尿病と診断されている、または治療中である。
    • または、HbA1cが 5.7% 以上である。6
    • または、空腹時血糖値が 100mg/dL 以上である。6
  3. 血圧異常
    • 血圧が 130/85mmHg 以上である。
    • または、高血圧の治療薬を服用している。6
  4. 脂質異常(中性脂肪)
    • 血中のトリグリセリド(中性脂肪)値が 150mg/dL 以上である。
    • または、脂質異常症(中性脂肪)の治療薬を服用している。6
  5. 脂質異常(HDL)
    • 血中のHDL(善玉)コレステロール値が男性で 40mg/dL 未満、女性で 50mg/dL 未満である。
    • または、脂質異常症(HDL)の治療薬を服用している。6

この診断プロセスは、単に病名を付けるためだけのものではありません。むしろ、あなたの将来の危険性を層別化するための重要な道具です。ALT値の上昇は最初の警告、FIB-4 indexは線維化危険度のふるい分け、そして精密検査は予後の予測につながります。この流れを理解することで、医師との対話がより円滑になり、ご自身の治療に主体的に関わることができるようになるのです。

第4章:【行動計画】専門医が教える脂肪肝(MASLD)を改善・克服するための具体的段階

MASLDと診断された、あるいはその危険性が高いとわかった場合、次に必要なのは具体的な行動です。幸いなことに、MASLDは生活習慣の改善によって、進行を食い止めるだけでなく、状態を改善させることが可能な病気です。ここでは、最新の科学的根拠に基づいた、今日から始められる行動計画を提案します。

治療の絶対的基盤:体重7%減を目指す生活習慣の抜本的改革

MASLD治療において、現在最も確実で効果的な方法は、生活習慣の改善による減量です。特に、現在の体重から7%〜10%の減量を達成することが、治療の絶対的な目標となります。この水準の減量に成功すると、肝臓の脂肪(Steatosis)が改善するだけでなく、炎症(MASH)や線維化(Fibrosis)までもが改善することが多くの研究で証明されています23。これは、どんな高価な薬よりも効果的な「治療」なのです。

食事療法:何を、どのように食べるか

  • 目標設定: まずは厳しいカロリー計算よりも、「7%減量」という明確な目標を設定しましょう。例えば体重80kgの人なら、5.6kgの減量が目標です。
  • 食事内容の見直し:
    • 推奨される食事: 地中海式食事パターンが推奨されています。具体的には、野菜、きのこ類、海藻類を増やして食物繊維を豊富に摂り、魚(特に青魚)、オリーブ油、ナッツ類を積極的に取り入れます23
    • 控えるべきもの: 飽和脂肪酸の多い赤身肉や加工肉、バター、そして糖質の過剰摂取は避けるべきです。特に、果糖(フルクトース)が多く含まれる清涼飲料水やお菓子は、肝臓で直接脂肪に変換されやすいため、厳しく制限することが重要です23
    • 最新の知見: 炭水化物や脂質だけでなく、タンパク質の過剰摂取も肝臓での脂肪合成を促進する可能性があるという研究報告もあり、バランスの取れた食事が鍵となります24

運動療法:継続こそが力

  • 目標設定: 世界保健機関(WHO)や各国の指針では、週に150分〜300分の中等度の有酸素運動が推奨されています。これは、「ややきつい」と感じる程度の歩行や軽いジョギングを1回30分、週に5回行うイメージです25
  • 運動の種類: 有酸素運動に加えて、週に2〜3回の筋力トレーニング(レジスタンス運動)を組み合わせると、筋肉量が増えて基礎代謝が上がり、インスリン抵抗性の改善にもつながるため、より効果的です。
  • 継続のコツ: 最も重要なのは、無理なく続けられること。「毎日10分多く歩く」「エスカレーターを階段に変える」といった日常生活の中での小さな工夫から始め、運動を特別な行事ではなく、生活の一部として習慣化することが成功への近道です25

アルコールとの正しい付き合い方

MASLDは「非アルコール性」という言葉が外れましたが、アルコールが肝臓に有害である事実に変わりはありません。MASLDと診断された方は、肝臓がすでに代謝的なストレスにさらされている状態です。そこにアルコールという追加の負担をかけることは、病状を悪化させる危険性を高めます。

  • 許容量の厳守: 日本の指針では、MASLD患者の飲酒量は1日あたりの純アルコール換算で男性30g未満、女性20g未満に抑えるべきとされています17。これはビール(5%)なら中瓶1本、日本酒(15%)なら1合程度に相当します。
  • 休肝日の設定: 週に2日以上の休肝日を設け、肝臓を休ませることが強く推奨されます26
  • MASHや線維化が進んでいる場合: 肝炎(MASH)や線維化が確認された場合は、原則として完全な禁酒が最も安全な選択です。

薬物療法はどこまで進んだか?日本の現状と世界の希望

「生活習慣の改善が重要とは分かっているが、薬はないのか?」多くの方がそう思われるでしょう。ここでは、MASLD/MASHに対する薬物療法の最新動向を、日本の現状と世界の最前線に分けて解説します。

日本の現状:特効薬はまだない

まず、非常に重要な点として、2024年後半の時点では、日本国内で「MASH」を適応症として承認された治療薬はまだ一つもありません。したがって、現在の日本の医療現場におけるMASLD治療の基本は、前述した生活習慣の改善と、背景にある糖尿病、高血圧、脂質異常症といった併存疾患を既存の薬で適切に管理することになります。

世界の最前線:希望の光が見えてきた

一方で、世界に目を向けると、MASH治療薬の開発は目覚ましい進歩を遂げており、新たな時代が幕を開けようとしています。

  • レスメチロム (Resmetirom): MASH治療における歴史的な突破口です。甲状腺ホルモン受容体β(THR-β)に選択的に作用するこの薬剤は、肝臓の脂肪を燃焼させ、炎症を抑える効果があります。大規模な臨床試験で、肝臓の炎症と線維化の両方を組織学的に改善することが証明され、米国でMASH治療薬として初めて承認されました。さらに、2024年7月に発表された欧州の最新指針(EASL-EASD-EASO)では、線維化が進行した(段階2以上)非肝硬変MASH患者に対する治療薬として、世界で初めて推奨されました3。日本でも開発が進んでおり、将来的な承認が期待されています。
  • GLP-1受容体作動薬: セマグルチド(オゼンピック、ウゴービなど)やチルゼパチド(マンジャロ)といった、2型糖尿病や肥満の治療に使われる薬剤です。これらはMASHの直接的な治療薬として承認されているわけではありませんが、強力な体重減少効果と血糖改善作用を通じて、MASLDの根本原因である代謝異常に働きかけます。臨床試験では、肝臓の脂肪を劇的に減少させ、MASHを改善する効果が示されており、特に肥満や糖尿病を合併するMASLD患者にとっては非常に重要な治療選択肢となります3。さらに、GCG/GLP-1受容体二重作動薬であるマズデュチドのように、肝脂肪含有量を80%以上も減少させるという驚異的なデータを示す新薬も登場しています27
  • その他の薬剤: ビタミンEやピオグリタゾン(糖尿病治療薬)なども、一部の指針では特定の患者(例:糖尿病を合併しないMASH患者にビタミンE)に対して考慮されることがありますが、その効果や安全性には限界があり、使用は限定的です23

この分野の進歩は非常に速いため、近い将来、日本でも新しい治療選択肢が登場する可能性は十分にあります。しかし、どんな優れた薬が登場したとしても、治療の土台が生活習慣の改善であることに変わりはありません。

治療効果の監視:定期検査と専門医との連携

MASLDは高血圧や糖尿病と同じく、長期的な管理を必要とする慢性疾患です。治療を開始したら、その効果を定期的に評価し、必要に応じて方針を修正していくことが重要です。

  • 定期的な経過観察: 専門医のもとで、3ヶ月から半年に一度は血液検査(ALTなど)を受け、治療効果を確認しましょう。
  • 線維化の監視: 1〜2年に一度はFIB-4 indexの再計算や、フィブロスキャンなどの画像検査を受け、肝臓の線維化が進行していないかを確認することが望ましいです。
  • チーム医療: MASLDの管理は、肝臓専門医だけでなく、かかりつけ医、管理栄養士、運動療法士など、多職種の専門家と連携して行うことが理想的です。全身の病気として捉え、総合的に健康状態を管理していく視点を持ってください。

よくある質問

Q1. 脂肪肝(MASLD)は治りますか?
はい、治る可能性は十分にあります。特に、肝臓に脂肪が溜まっているだけの初期段階(単純性脂肪肝)であれば、体重の7%減量を目標とした食事療法や運動療法によって、肝臓を完全に正常な状態に戻すことも可能です23。炎症(MASH)や線維化が始まっていても、生活習慣の改善によってその進行を止め、改善させることができます。最も重要なのは、早期に発見し、行動を起こすことです。
Q2. 日本で承認されているMASHの治療薬はありますか?
2024年後半の時点では、残念ながら日本国内で「MASH(代謝機能障害関連脂肪肝炎)」を適応症として承認された治療薬はまだありません。しかし、米国でレスメチロムという新薬が承認されるなど、世界中で研究開発が活発に進められています。将来的には日本でも新しい薬が使えるようになることが期待されますが、現時点での治療の主役は、あくまで生活習慣の改善です。
Q3. ALTが30を超えたら、すぐに入院が必要ですか?
いいえ、直ちに入院が必要になるわけではありません。ALTが30 U/Lを超えるというのは、肝臓に何らかの負担がかかり、炎症が起きている可能性を示す「警告サイン」です17。このサインを無視せず、まずは消化器内科や肝臓内科といった専門の医療機関を受診し、なぜ数値が上がっているのかを詳しく調べてもらうことが重要です。その上で、医師の指導のもと、生活習慣の改善や必要な治療を開始することになります。
Q4. 痩せているのですが、それでもMASLDになりますか?
はい、なります。特に日本人は欧米人に比べて、太っていなくても内臓に脂肪がつきやすく、MASLDを発症しやすい体質を持っています。これを「痩せ型MASLD」と呼び、日本のMASLD患者のかなりの割合を占めています15。体重が標準でも、甘いものや炭水化物をよく食べる方、運動不足の方は危険性が高まります。「痩せているから大丈夫」という思い込みは禁物です。

結論

本稿では、脂肪肝に関する最新の医学的知見を、国際的な権威ある指針と日本のデータに基づいて包括的に解説しました。最後に、読者の皆様が明日からの行動に移せるよう、最も重要なメッセージを要約します。

  • 認識を変える:「脂肪肝」は「MASLD」という全身の代謝異常の病である。もはや「食べ過ぎ」の結果ではなく、糖尿病や心筋梗塞につながる危険なサインです。この新しい認識が、病気と向き合う出発点となります。
  • 危険性を直視する:放置すれば肝硬変・肝がん、そして心臓や血管の病気に至る。「沈黙の臓器」の警告を無視してはいけません。特に、炎症を伴うMASHへの進行は、その危険性を飛躍的に高めます。また、日本人特有の「痩せ型MASLD」の危険性も忘れてはなりません。
  • 早期発見が鍵を握る:健康診断の「ALT > 30 U/L」は専門医受診のサイン。自覚症状がないからこそ、客観的なデータが命綱です。健康診断の結果を正しく読み解き、早期に専門家へ相談する勇気が、あなたの未来を守ります。
  • 最強の治療法は自分自身の中にある:「体重の7%減量」を目指す生活習慣の改革。最新の治療薬の開発は進んでいますが、現時点で最も確実かつ強力な治療法は、食事と運動による減量です。これは誰にでも今日から始められる、最も効果的な処方箋です。

脂肪肝(MASLD)は「沈黙の病」ですが、決して「手の施しようのない病」ではありません。この記事で得た知識を武器に、今日から生活を見直し、必要であれば専門医の扉を叩いてください。あなたの肝臓、そしてあなたの未来は、あなた自身の行動にかかっています。

免責事項
本記事は情報提供のみを目的としており、専門的な医学的助言に代わるものではありません。健康に関する懸念や、ご自身の健康や治療に関する決定を下す前には、必ず資格のある医療専門家にご相談ください。

参考文献

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