【食欲不振】食欲がわかないのは普通?考えられる原因と受診の目安
消化器疾患

【食欲不振】食欲がわかないのは普通?考えられる原因と受診の目安

「お腹が空かない」「好きだったはずの料理を見ても食べたいと思えない」「何となくムカムカして食事がおっくう」——そんな状態が続くと、「このまま放っておいても大丈夫なのか」「もしかして大きな病気が隠れているのでは?」と不安になりますよね。

一時的な食欲の低下は、多くの人が経験するごく自然な反応です。しかし、食欲不振が何日も、何週間も続いたり、体重減少や疲れやすさ、気分の落ち込みなどを伴う場合は、体や心からの「サイン」の可能性があります。済生会の解説でも、消化器の不調、内臓の病気、薬の副作用、こころの不調など、さまざまな原因で食欲不振が起こることが示されています1

この記事では、Japanese Health(JHO)編集部が、公的機関や専門学会、世界の信頼できる情報源をもとに、食欲不振が「一時的なゆらぎ」で済む場合と、「病院受診を考えた方がよいサイン」の違い、考えられる主な原因、日常生活でできる工夫、そして受診の目安までを、できるだけわかりやすく整理しました。

「自分や家族の食欲不振がどのレベルなのか」「いつ・どこに相談すればよいのか」をイメージしやすくなるよう解説していきますので、気になるところからゆっくり読み進めてみてください。

Japanese Health(JHO)編集部とこの記事の根拠について

Japanese Health(JHO)は、健康と美容に関する情報を提供するオンラインプラットフォームです。膨大な医学文献や公的ガイドラインを整理し、日常生活で活用しやすい形でお届けすることを目指しています。

本記事の内容は、厚生労働省のe-ヘルスネットや自治体・公的研究機関の資料、日本消化器病学会や日本内分泌学会、国立精神・神経医療研究センターなどの専門機関、世界保健機関(WHO)や米国国立精神衛生研究所(NIMH)などの公的情報2、査読付き論文・ガイドライン3を中心に、信頼性の高い一次情報源をもとに作成しています。

  • 厚生労働省・自治体・公的研究機関:e-ヘルスネットや統計資料、がん情報サービスなど、日本人向けの公式情報を優先して参照しています。2,4
  • 国内外の医学会ガイドライン・専門センター:日本消化器病学会の機能性ディスペプシア診療ガイドラインや、神経性やせ症(神経性無食欲症)に関する学会資料・解説ページ3,5,6をもとに、病気が関わる食欲不振について整理しています。
  • 国際機関・海外の公的機関:WHOの精神疾患ファクトシートやNIMHの摂食障害パンフレット、Mayo Clinicなどの解説2,7,8を、日本の生活者にも役立つ形で紹介しています。

AIツールは、文献検索や構成案作成のアシスタントとして利用していますが、公開前には必ずJHO編集部が原著資料と照合し、重要な記述や数値、URLを一つひとつ確認しています。運営ポリシーや編集プロセスの詳細は、運営者情報(JapaneseHealth.org)をご覧ください。

要点まとめ

  • 食欲不振はストレスや生活リズムの乱れ、軽い体調不良などでも起こりますが、長く続く場合や体重減少・強いだるさを伴うときは病気が隠れていることがあります。1,4
  • 消化器の病気、感染症、心臓・肝臓・腎臓・甲状腺などの内臓疾患、うつ病や摂食障害、薬の副作用など、多くの要因が食欲低下に関わります。1,3,5
  • 高齢者では、歯や飲み込みの問題、多剤服用、社会的な孤立などから低栄養に陥りやすく、厚生労働省の調査でも65歳以上の低栄養傾向が一定割合で存在することが報告されています。2
  • 思春期以降の女性では、痩せ願望や体型への強いこだわりから神経性やせ症などの摂食障害に発展し、生命に関わる合併症を引き起こすことがあります。5,6,7,9
  • 「何となく食欲がない」だけでなく、2週間以上続く体重減少、飲み込みにくさ、強い痛みや息苦しさ、抑うつ気分や自殺念慮などを伴う場合は、早めに医療機関へ相談することが大切です。1,3,4,7
  • 日常生活の工夫(小分けに食べる、消化のよいものを中心にする、気分転換や軽い運動を取り入れるなど)で改善するケースもありますが、自己判断に頼りすぎず、「おかしいな」と感じたら早めに専門家を頼ることが安心につながります。

第1部:食欲不振の基本と日常生活の見直し

まずは、「食欲」とは何か、「食欲不振」がどのような状態を指すのかを整理しながら、生活習慣や環境といった最も身近な要因を振り返っていきます。

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1.1. 食欲の仕組みと「食欲不振」とは?

食欲とは、単に「お腹が空いた」という感覚だけではなく、脳・ホルモン・消化管が連携してはたらく、複雑なシステムです。胃や腸が空になると、「そろそろエネルギー補給が必要だよ」という信号が血液を通じて視床下部という脳の一部に伝わり、「食べたい」という欲求として感じられます。

済生会の解説では、食欲不振を「何も食べていないのにお腹が空かない・食べたいと感じにくい状態」とし、消化器の病気や全身の疾患、精神的ストレス、薬の副作用など、多様な要因で起こりうると説明しています1

一方、がん情報サービスでは、がんやがん治療に伴う痛みや吐き気、口内炎、味覚の変化、精神的ストレス、食事環境の変化など、複数の原因が重なって食欲不振につながるとしています4

つまり、「食欲がない」という一つの症状の背景には、単純な風邪から重い内臓疾患、うつ病や摂食障害まで、さまざまな可能性が隠れているということです。

1.2. 一時的な食欲不振を悪化させるNG習慣

病気が原因でない場合でも、日常生活のちょっとした習慣が食欲の低下を長引かせることがあります。例えば、次のようなパターンです。

  • 食事時間が毎日バラバラ:夜遅くまで仕事や勉強をして、深夜に食事をとる生活が続くと、体内時計が乱れ、朝になってもお腹が空きにくくなります。
  • 朝食を抜く習慣:「朝は忙しいから」とコーヒーだけで済ませていると、昼食時も空腹感がはっきり出にくくなり、結果として1日の総摂取量が減っていきます。
  • カフェイン・アルコールのとりすぎ:夜遅い時間のカフェインやアルコールは睡眠の質を下げ、翌日のだるさや食欲低下につながります。
  • スマホを見ながらの「ながら食べ」:動画やSNSに意識が向いていると、「おいしい」「満足した」という感覚がぼやけ、食べ過ぎたり、逆に十分に食欲が刺激されないこともあります。
  • 極端なダイエット:短期間で体重を落とそうとして食事量を減らしすぎると、体は「飢餓状態」と判断し、ホルモンのバランスが崩れて、かえって食欲や体調のコントロールが難しくなります。

こうした習慣は、もともと軽い食欲不振だったものを長引かせたり、「いつの間にか体重が落ちていた」という状況につながりかねません。まずは自分の生活パターンを、1週間程度メモして振り返ってみると、自覚しやすくなります。

表1:食欲不振セルフチェックリスト
こんな症状・状況はありませんか? 考えられる主な背景・原因カテゴリ
ここ1〜2週間、仕事の忙しさやストレスが強く、食事時間もバラバラになっている 生活リズムの乱れ、心理的ストレス
食後すぐにお腹が張る/胃もたれやムカつきが強く、途中で食べるのをやめてしまう 胃炎・機能性ディスペプシアなど消化器の不調3
発熱や咳、下痢などの感染症状があり、その頃から食欲が落ちている ウイルス・細菌などによる感染症
憂うつ感や意欲低下、不眠などが続き、食べることにも興味が持てない うつ病などのメンタルヘルスの不調4
強い痩せ願望があり、太ることへの恐怖から意識的に食事量を減らしている 神経性やせ症などの摂食障害5,6,7
高齢の家族が「お腹が空かない」と言って食事量が減り、体重も落ちてきた 加齢に伴う口腔・嚥下の問題、低栄養、基礎疾患、服薬の影響2

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第2部:身体の内部要因 — 栄養・ホルモン・隠れた不調

生活習慣を整えても食欲不振が続く場合、体の内側で起きている変化や病気が関わっている可能性があります。ここでは、栄養不足やホルモンバランスの変化、慢性疾患など、いわゆる「内部要因」について整理します。

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2.1. 高齢者に多い食欲不振と低栄養

高齢になると、歯の欠損や義歯の不適合、飲み込みにくさ(嚥下機能の低下)、味覚や嗅覚の低下など、食べるための機能が少しずつ変化していきます。また、運動量の低下や筋肉量の減少、複数の持病と薬の服用、配偶者との死別や独居などの生活環境の変化も、食欲や食事量に影響します。

厚生労働省のe-ヘルスネットでは、65歳以上の高齢者のうち、BMI 20kg/m2以下の「低栄養傾向」の人が、男性で約12%、女性で約22%存在することが報告されています2。 これらの人々では、転倒や骨折、感染症、要介護状態のリスクが高まることが指摘されており、「最近あまり食べられない」「体重がじわじわ減っている」といった変化は、早めに気づいて対処することが重要です。

また、別の厚生労働省資料では、高齢者では生理的な食欲の低下に加え、消化・吸収機能や身体機能の低下、複数の疾患・薬剤の影響などから、低栄養に陥りやすいことが示されています10。 高齢の家族が食欲不振を訴える場合、「年のせい」で片付けず、口腔状態や食べる環境、体重の変化を一緒に確認していくことが大切です。

2.2. ホルモンバランスと女性のライフステージ

女性は、月経周期、妊娠・出産、更年期など、ライフステージごとにホルモンバランスが大きく変化します。この変化に伴って、食欲や味覚、体重の変動が起こりやすくなります。

  • つわり(妊娠初期):においに敏感になったり、少量でも吐き気が強くなることで、「何を見ても食べたくない」と感じる時期があります。
  • 産後・授乳期:睡眠不足や育児ストレス、ホルモン変化から、食欲が落ちる人もいれば、逆に間食が増える人もいます。
  • 更年期:ほてりや動悸、不安やイライラなどの症状とともに、食欲の変化を感じる人も少なくありません。

こうした変化の中で、「体型を戻さなければ」「産後太りが怖い」といったプレッシャーが重なると、無理な食事制限から摂食障害に発展するケースも報告されています7,9。 気持ちや体調の変化を一人で抱え込まず、家族や医療者、支援窓口に早めに相談することが、心身の健康を守る第一歩です。

2.3. 栄養不足・ビタミン・ミネラルの欠乏

「食欲がないから食べない」状態が続くと、タンパク質やビタミン、ミネラルなどの栄養素が不足し、さらに疲れやすさや立ちくらみ、免疫力低下などを引き起こします。その結果、ますます体がだるくなり、「食べる元気さえ出ない」という悪循環に陥ることがあります。

特に、鉄欠乏性貧血やビタミンB群・亜鉛不足などは、だるさや味覚異常、集中力低下とセットで現れることが多く、これらが食欲不振の背景になっているケースも少なくありません。採血で確認できる項目も多いので、「ずっと疲れていて食欲がない」「何となく味がしない」といった場合は、受診時に相談してみるとよいでしょう。

2.4. メンタルヘルスと食欲不振

心の調子と食欲は、密接に関係しています。厚生労働省のe-ヘルスネットでは、うつ病において「意欲低下」や「抑うつ気分」と並んで、「食欲が出ない」「眠れない/起きられない」などの身体症状が現れることがあると説明しています3

一見すると「胃の調子が悪い」「体がだるい」といった身体症状が前面に出るため、本人も周囲も心の不調に気づきにくいことがあります。「気分の落ち込みが続く」「好きだった趣味にも興味が持てない」「朝起きるのがつらく、仕事や学校に行けない」といった状態が数週間以上続き、同時に食欲不振も認められる場合、うつ病などの可能性を含めて医療機関に相談することが勧められます。

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第3部:専門的な診断が必要な疾患

ここからは、セルフケアだけでは対応が難しく、専門的な検査や治療が必要となる代表的な病気について、概要を確認していきます。

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3.1. 消化器疾患・がん・内臓疾患による食欲不振

まず、多くの人が思い浮かべるのが胃や腸などの消化器の病気です。済生会の解説では、胃炎や胃潰瘍、逆流性食道炎、肝臓や膵臓の病気などの消化器疾患が、腹痛や不快感、吐き気、下痢などとともに食欲不振を引き起こすと説明されています1

日本消化器病学会のガイドラインでは、機能性ディスペプシア(検査で明らかな異常が見つからないにもかかわらず、胃もたれや早期飽満感などが続く病態)が、食欲低下や摂食量の減少につながることが指摘されています3

また、がん情報サービスによると、胃がんや大腸がんなどの消化器がんだけでなく、がんそのものや手術、化学療法(抗がん剤)、放射線治療の副作用としても食欲不振が生じます。吐き気や便秘、口内炎や味覚変化、痛みや息苦しさ、不安・抑うつなど、複数の要因が重なって食欲を奪うことが多いとされています4

さらに、心不全や腎不全、肝硬変、甲状腺機能低下症・亢進症などの全身疾患、肺炎や尿路感染症などの感染症でも、「だるさ」や「微熱」とともに食欲不振が続くことがあります。こうした場合、食欲不振はあくまで「症状の一つ」であり、原因となる病気の診断と治療が最優先となります。

3.2. 摂食障害(神経性やせ症・神経性過食症など)

痩せたいという気持ち自体は、多くの人が経験する自然な感情です。しかし、その気持ちが極端になり、「太ることへの強い恐怖」「自分の体型に対するゆがんだイメージ」と結びついていくと、摂食障害という病気につながることがあります。

日本内分泌学会の「神経性やせ症(神経性無食欲症)|一般の皆様へ」では、神経性やせ症を、やせ願望や肥満恐怖、身体像の歪みを背景に、食事制限や絶食により著しい体重減少・低体重をきたす病気として説明しています。また、自己誘発性嘔吐や下剤乱用、過度な運動などの代償行為がみられることもあるとされています5

日本の精神医学研究センターによると、摂食障害は思春期〜若年成人を中心に、学生の4%以上にみられ、特に神経性無食欲症は思春期女子の0.5〜1%に発症すると推定されています6。 日本小児科学会の報告では、日本における神経性やせ症の年間有病率は10万人あたり約10人と推計され、死亡例も一定数存在することが示されています9

WHOやNIMHも、摂食障害を「食行動の重い乱れと、体重や体型への過度なこだわりを特徴とする精神疾患」であり、世界的に若者の健康を脅かす問題だと位置づけています2,7,8

痩せているのに「太っている」と感じて食事を極端に制限する、食べた後に必ず吐いてしまう、過度な運動で消費カロリーを増やそうとする——こうした行動は、単なる「ダイエット」ではなく、治療が必要な病気のサインかもしれません。早期に治療を始めた方が回復しやすいことが、多くの研究で示されています7,8,11,12

3.3. すぐに受診が必要な危険なサイン

次のような状態がある場合は、自己判断で様子を見続けるのではなく、早めに医療機関を受診してください。場合によっては、救急受診や119番通報が必要になることもあります。

  • 数日間、ほとんど食べたり飲んだりできていない:脱水や電解質異常のリスクがあります。
  • 急激な体重減少:数週間〜数か月で大きくやせた、標準体重の目安から明らかに大きく外れている場合など13
  • 強い腹痛・胸痛、息苦しさ、繰り返す嘔吐:消化管閉塞や心筋梗塞など緊急性の高い病気が隠れていることがあります。
  • 意識がぼんやりする、ふらつきがひどい、脈が非常に早い/遅い:重い脱水、心臓や脳のトラブルの可能性があります。
  • 強い抑うつ気分や「消えてしまいたい」という思い、自殺念慮:メンタルヘルスの緊急支援が必要な可能性があります3,7

摂食障害に関する日本のガイドラインや専門家の解説では、「著しいやせ」と「全身衰弱」「重い合併症」がある場合に、緊急入院が必要になるとされています13。 自分や家族に当てはまると感じたら、「大げさかも」と迷わず、早めに医療機関に相談してください。

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第4部:今日から始める改善アクションプラン

原因が何であれ、「まったく食べない状態を続けないこと」「少しでも心身の負担を減らすこと」が大切です。ここでは、医療機関を受診しつつ、または受診を検討しながら、今日から取り入れられるセルフケアの例をレベル別に整理します。

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表2:食欲不振の改善アクションプラン
ステップ アクション 具体例
Level 1:今夜からできること 「少しだけでも食べる」ことを優先する 茶碗1杯のご飯が難しければ、おかゆやスープ、ヨーグルト、豆腐など、消化しやすいものを少量ずつ複数回に分けてとる。
Level 1:今夜からできること 胃腸に負担をかけない 脂っこい揚げ物や香辛料の強い料理を控え、温かくて柔らかい料理(煮物、スープ、雑炊など)を中心にする。
Level 2:今週から試したいこと 食事リズムを整える 平日・休日とも、起床から2時間以内に軽い朝食をとる/夜遅くの食事・間食を控え、就寝2〜3時間前までに食事を終える。
Level 2:今週から試したいこと 「一人で食べない」工夫をする 家族と一緒に食卓を囲む時間を増やす、オンラインで友人と一緒に食事時間を共有する、デイサービスや地域の食事会を利用するなど。
Level 3:数週間〜長期的に続けたいこと 軽い運動と睡眠の質を見直す 日中に10〜20分の散歩やストレッチを取り入れ、夜はスマホやPCを早めに切り上げる。これにより、体内時計が整い、自然な空腹感が戻りやすくなります。

注意したいのは、「サプリメントだけで何とかしようとしない」ことです。ビタミンや栄養ドリンクはあくまで補助であり、原因となる病気や心の不調を治してくれるわけではありません。長引く食欲不振や体重減少がある場合は、「とりあえずサプリ」ではなく、「とりあえず相談」を優先しましょう。

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第5部:専門家への相談 — いつ・どこで・どのように?

「どのタイミングで受診するべきか」「何科にかかればよいのか」「診察のとき、何を伝えればよいのか」がわかると、一歩踏み出しやすくなります。

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5.1. 受診を検討すべき主なタイミング

  • 食欲不振が2週間以上続いている。
  • ここ1〜3か月で、意図せず2〜3kg以上の体重減少がある。
  • 腹痛、吐き気、下痢・便秘、発熱、息苦しさ、飲み込みにくさなど、他の症状を伴う。
  • 憂うつ感や不安、眠れない、仕事や学校に行けないなどの心の不調が目立つ3,7
  • 高齢の家族が「食べたくない」と言って食事量が減り、体重や筋力も落ちてきている2
  • 強い痩せ願望や、体型に対するゆがんだイメージから、意図的に食事量を極端に制限している5,6

5.2. 症状に応じた診療科の選び方

  • 主に胃腸症状が目立つとき:内科・消化器内科
  • がん治療中・治療後:主治医(がん専門医)や緩和ケアチーム4
  • つわりや妊娠・産後に関連した食欲不振:産婦人科
  • 強い抑うつ感や不安、痩せ願望・過剰な体型のこだわりがある:精神科・心療内科、摂食障害専門の外来5,6,7,8
  • 高齢者の食欲不振:かかりつけ医(家庭医・総合内科)、必要に応じて栄養サポートチームや歯科、リハビリテーション科など

5.3. 診察時に持参すると役立つものとポイント

  • 体重と食事の記録:1〜2週間分の体重の推移、1日の食事内容と量、お腹の症状や気分の変化をメモしておくと、原因の見立てに役立ちます。
  • 服用中の薬・サプリメントのリスト:薬の副作用が食欲不振の原因となっていることもあるため、必ず伝えましょう1,4
  • 既往歴・家族歴:胃腸の病気や摂食障害、うつ病などの家族歴も、診断のヒントになります5,6,7
  • 聞きたいことリスト:「どの検査が必要か」「生活で気をつけること」「仕事や学校との両立」など、事前に質問をメモしておくと、限られた診察時間を有効に使えます。

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よくある質問

Q1: 食欲がない日が続いていますが、どのくらい続いたら受診すべきですか?

A1: 一時的な風邪や疲れなどで、1〜2日程度食欲が落ちることは珍しくありません。しかし、食欲不振が2週間以上続く場合や、1か月のうちに2〜3kg以上の体重減少がある場合は、内科などへの受診を検討しましょう。腹痛や発熱、息苦しさ、飲み込みにくさ、強いだるさが同時にあるときは、早めの受診が勧められます1,4

Q2: 食欲はあまりないのですが、体重はあまり変わっていません。このまま様子を見ても大丈夫ですか?

A2: 「食べたい気持ちはないが、何とか頑張って食べている」場合、体重に大きな変化がなくても、体や心に負担がかかっていることがあります。がん情報サービスでも、食欲がなくても無理に食べていると体重がすぐには変化しないことがあると述べられています4

だるさや気分の落ち込み、胃の不快感など、他の症状がないかを確認し、2週間以上続く場合や生活に支障が出ている場合は、一度かかりつけ医に相談すると安心です。

Q3: ストレスによる食欲不振と、うつ病による食欲不振はどう違いますか?

A3: ストレスが強いと、一時的に食欲が落ちたり、逆に食べ過ぎてしまったりすることがあります。多くの場合、原因となる出来事が落ち着けば、少しずつ元の状態に戻っていきます。

一方、うつ病では、「何をしても楽しくない」「何もやる気が出ない」といった気分の変化が長期間続き、これに伴って食欲低下や不眠、だるさなどの身体症状が出ることが多いとされています3。 「以前楽しめていた趣味にも興味が持てない」「理由もなく涙が出る」「朝が特につらい」といった状態が2週間以上続き、食欲不振も伴う場合は、メンタルヘルスの専門家への相談を検討してください。

Q4: 思春期の子どもが「太りたくない」と言ってあまり食べません。どこまでが普通で、どこからが摂食障害ですか?

A4: 思春期は、誰でも体型や見た目を気にしやすい時期です。ただし、日本の専門機関によると、思春期女子の約0.5〜1%に神経性無食欲症が発症すると推定されており6,9、その背景には強い痩せ願望や体型のゆがんだ認識があることが多いとされています5,7,8

「体重が標準より大きく下回っているのに、太っていると思い込んでいる」「食事をほとんどとらない/食べた後に故意に吐く」「家族や友人に隠れて極端な運動をしている」といった場合は、摂食障害が疑われます。早期に専門の外来や精神科・心療内科に相談することが、回復への近道です。

Q5: 高齢の親が「お腹が空かない」と言って食べようとしません。どんな点に注意すべきですか?

A5: 高齢者の食欲不振は、歯や義歯の問題、嚥下障害、複数の薬の副作用、運動量の低下、孤立や喪失体験など、さまざまな要因が重なって起こることが多いとされています2,10

次の点をチェックしてみましょう。

  • 硬いものを噛みにくそうにしていないか
  • 飲み込むときにむせたり、咳き込んだりしていないか
  • ここ1〜3か月で体重や筋力が明らかに落ちていないか
  • 寂しさや不安、抑うつ的な言動が増えていないか

一つでも気になる点があれば、かかりつけ医に相談し、必要に応じて栄養士や歯科、リハビリスタッフなどと連携して支援を受けるとよいでしょう。

Q6: ダイエットで食事量を減らしていますが、最近ほとんどお腹が空きません。このまま続けても大丈夫でしょうか?

A6: 適切な範囲での減量は、健康のために有用な場合もありますが、極端な食事制限を続けると、体は「飢餓状態」と判断し、ホルモンバランスや代謝が大きく乱れます。摂食障害の専門機関は、過度なやせ願望や体重へのこだわりが、神経性やせ症などの発症リスクになると指摘しています5,6,7

「お腹が空かない」状態が続き、体重も標準より明らかに少ないのにこれ以上体重を落とそうとしている場合は、一度減量計画を見直し、医師や管理栄養士に相談することをおすすめします。

Q7: 栄養ドリンクやサプリメントだけで食欲不振を補うことはできますか?

A7: サプリメントや栄養ドリンクは、足りない栄養素を一時的に補うことはできても、「なぜ食欲が落ちているのか」という根本原因を解決してくれるわけではありません。がん治療中の食欲不振などでは、医療チームがエネルギー・タンパク質の補給方法を含めて総合的にサポートすることが推奨されています4

長引く食欲不振や体重減少がある場合は、「サプリで様子を見る」のではなく、原因を明らかにするための受診を優先しましょう。

Q8: 子どもやパートナーがあまり食べたがらないとき、どのように声をかければよいですか?

A8: 「ちゃんと食べなさい」と責める形ではなく、「最近食欲がないみたいだけど、体調はどう?」「何か心配なことはない?」と、体と心の両方に寄り添う聞き方が大切です。NIMHや各国の専門機関も、摂食障害の早期発見には、家族や周囲の人が変化に気づき、批判ではなく支援的な姿勢で関わることが重要だとしています7,12

無理に食べさせようとせず、一緒に受診したり、学校の養護教諭やカウンセラー、地域の相談窓口に相談するなど、「一人で抱え込まなくていい」と伝えていきましょう。

結論:この記事から持ち帰ってほしいこと

食欲不振は、「疲れがたまっているだけ」「最近忙しいから」と見過ごされがちですが、その背景には、生活習慣の乱れやストレスから、消化器疾患、がん、うつ病、摂食障害、高齢者の低栄養まで、さまざまな要因が潜んでいます。

この記事で見てきたように、「どのくらい続いているか」「どんな症状を伴っているか」「体重や生活への影響はどうか」を整理すると、自分や家族の状態を客観的に捉えやすくなります。「少し様子が変だな」と感じた段階で、かかりつけ医や専門外来に相談することは、決して大げさではありません。

一方で、日常生活の中でできる小さな工夫——食事を小分けにする、消化のよい料理を選ぶ、軽い運動や睡眠リズムを整える、誰かと一緒に食卓を囲む——も、体と心の回復を支える大切な一歩です。

Japanese Health(JHO)編集部は、信頼できる公的情報源や専門機関の知見をもとに、これからも日本の生活者に寄り添った健康情報をお届けしていきます。気になる症状があるときは、この記事をきっかけに、「一人で我慢しないで相談してみよう」と思っていただけたら幸いです。

この記事の編集体制と情報の取り扱いについて

Japanese Health(JHO)は、信頼できる公的情報源と査読付き研究に基づいて、健康・医療・美容に関する情報をわかりやすくお届けすることを目指しています。

本記事の原稿は、最新のAI技術を活用して下調べと構成案を作成したうえで、JHO編集部が一次資料(厚生労働省や各種学会のガイドライン、国立がん研究センター、国立精神・神経医療研究センター、WHO・NIMHなどの公的サイト、査読付き論文など)と照合しながら、内容・表現・数値・URLの妥当性を人の目で一つひとつ確認しています。最終的な掲載判断はすべてJHO編集部が行っています。

ただし、本サイトの情報はあくまで一般的な情報提供を目的としており、個々の症状に対する診断や治療の決定を直接行うものではありません。気になる症状がある場合や、治療の変更を検討される際は、必ず医師などの医療専門家にご相談ください。

記事内容に誤りや古い情報が含まれている可能性にお気づきの場合は、お手数ですが運営者情報ページ記載の連絡先までお知らせください。事実関係を確認のうえ、必要な訂正・更新を行います。

免責事項 本記事は情報提供のみを目的としており、専門的な医学的助言や診断、治療に代わるものではありません。健康上の懸念がある場合や、治療内容の変更・中止等を検討される際には、必ず資格のある医療専門家にご相談ください。

参考文献

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  3. 厚生労働省 e-ヘルスネット. 心身の不調への対応. https://kennet.mhlw.go.jp/information/information/heart-summaries/k-04.html(最終アクセス日:2025-11-26)

  4. 国立がん研究センター がん情報サービス. 食欲がない・食欲不振 もっと詳しく. https://ganjoho.jp/public/support/condition/anorexia/ld01.html(最終アクセス日:2025-11-26)

  5. 日本消化器病学会. 機能性消化管疾患診療ガイドライン 2021―機能性ディスペプシア(FD). 2021. https://www.jsge.or.jp/committees/guideline/guideline/pdf/fd2021r_.pdf(最終アクセス日:2025-11-26)

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  8. 日本小児科学会. 疾患名:摂食障害. 2016. https://www.jpeds.or.jp/uploads/files/2016_ikotyosa_hokoku-118-118.pdf(最終アクセス日:2025-11-26)

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