【食欲不振】食欲がわかないのは普通?考えられる原因と受診の目安
この記事でわかること
目次
- 要点まとめ
- セルフチェック:受診を考えるべきレベルはどれ?
- 第1部:食欲不振の基本と日常生活の見直し
- 1.1. 食欲の仕組みと「食欲不振」とは?
- 1.2. 一時的な食欲不振を悪化させるNG習慣
- 第2部:身体の内部要因 — 栄養・ホルモン・隠れた不調
- 2.1. 高齢者に多い食欲不振と低栄養
- 2.2. ホルモンバランスと女性のライフステージ
- 2.3. 栄養不足・ビタミン・ミネラルの欠乏
- 2.4. メンタルヘルスと食欲不振
- 第3部:専門的な診断が必要な疾患
- 3.1. 消化器疾患・がん・内臓疾患による食欲不振
- 3.2. 摂食障害(神経性やせ症・神経性過食症など)
- 3.3. すぐに受診が必要な危険なサイン
- 日本とアメリカ・世界の摂食障害への向き合い方の比較
- 第4部:今日から始める改善アクションプラン
- 第5部:専門家への相談 — いつ・どこで・どのように?
- 5.1. 受診の目安 — 受診を検討すべき主なタイミング
- 5.2. 症状に応じた診療科の選び方
- 診察に持参するチェックリスト(印刷してご利用ください)
- よくある質問
- 結論:この記事から持ち帰ってほしいこと
- この記事の編集体制と情報の取り扱いについて
- 参考文献
食欲不振の多くは一時的なストレスや生活リズムの乱れで起こりますが、2週間以上続く、短期間で明らかな意図しない体重減少がある、強い腹痛・抑うつ気分を伴う場合は、消化器疾患・甲状腺の病気・うつ病・摂食障害などが隠れている可能性があり、早めの受診が勧められます。これは済生会の解説をもとにした目安です。[1]
この症状、いつ受診すべきか確認しますか?
回答に合わせて必要な質問だけを表示します。診断は行いません。
症状はいつから続いていますか?
回答により質問数が変わります・途中でいつでも記事に戻れます
済生会は、消化器の不調・内臓の病気・薬の副作用・こころの不調など、さまざまな原因で食欲不振が起こると説明しています[1]。本記事では、日常的な原因と「受診を考えた方がよいサイン」の見分け方、専門的な診断が必要な病気、今日からできる工夫、相談先までを、公的機関・専門学会の情報をもとに整理しました。
要点まとめ
- 食欲不振はストレスや生活リズムの乱れ、軽い体調不良などでも起こりますが、長く続く場合や体重減少・強いだるさを伴うときは病気が隠れていることがあります。[2]
- 済生会・日本消化器病学会・日本内分泌学会の資料によれば、消化器の病気、感染症、心臓・肝臓・腎臓・甲状腺などの内臓疾患、うつ病や摂食障害、薬の副作用など、多くの要因が食欲低下に関わります。[1][3][4]
- 厚生労働省の調査では、65歳以上高齢者のうち低栄養傾向(BMI 20kg/m2以下)の人が男性で約12%、女性で約22%存在すると報告されています。[8]
- 思春期以降の女性では、痩せ願望や体型への強いこだわりから神経性やせ症などの摂食障害に発展し、生命に関わる合併症を引き起こすことがあります。[4][5][6]
- 済生会・厚生労働省の資料によれば、「何となく食欲がない」だけでなく、2週間以上続く体重減少、飲み込みにくさ、強い痛みや息苦しさ、抑うつ気分や自殺念慮などを伴う場合は、早めに医療機関へ相談することが大切です。[3]
編集方針:本記事はJHO編集部がAIツールの支援を受け、厚生労働省・国立がん研究センター・日本消化器病学会・日本内分泌学会・日本小児科学会・WHO・NIMHなど公的機関・専門学会の一次資料と照合して作成しています。医師による個別の診断・治療の代わりにはなりません。数値やガイドラインの内容は改定により変わることがあります(2026年7月時点の情報)。誤りや古い情報にお気づきの場合は、本記事末尾の連絡先までお知らせください。
セルフチェック:受診を考えるべきレベルはどれ?
済生会・厚生労働省の目安をもとにした4段階です。
今の血圧・脈拍を確かめる
数値を入れると、日本高血圧学会の血圧値の分類と「次にすること」を表示します。記録はこの端末の中だけに保存され、登録は不要です。
身長と体重からBMIも調べる
血圧手帳(この端末に保存)
これは診断ではありません。入力された数値を日本高血圧学会の血圧値の分類(高血圧の基準は診察室 140/90mmHg以上・家庭 135/85mmHg以上)に当てはめて「受診の目安」を機械的に示すもので、医師の診察に代わるものではありません。日本高血圧学会「高血圧管理・治療ガイドライン2025」では、降圧目標は年齢によらず診察室 130/80mmHg未満・家庭 125/75mmHg未満とされています。脈拍の目安は学会の分類ではなく一般的な参考範囲です。
第1部:食欲不振の基本と日常生活の見直し
まずは、「食欲」とは何か、「食欲不振」がどのような状態を指すのかを整理しながら、生活習慣や環境といった最も身近な要因を振り返っていきます。
1.1. 食欲の仕組みと「食欲不振」とは?
食欲とは、単に「お腹が空いた」という感覚だけではなく、脳・ホルモン・消化管が連携してはたらく、複雑なシステムです。胃や腸が空になると、「そろそろエネルギー補給が必要だよ」という信号が血液を通じて視床下部という脳の一部に伝わり、「食べたい」という欲求として感じられます。
済生会の解説では、食欲不振を「何も食べていないのにお腹が空かない・食べたいと感じにくい状態」とし、消化器の病気や全身の疾患、精神的ストレス、薬の副作用など、多様な要因で起こりうると説明しています[1]。
一方、国立がん研究センターのがん情報サービスでは、がんやがん治療に伴う痛みや吐き気、口内炎、味覚の変化、精神的ストレス、食事環境の変化など、複数の原因が重なって食欲不振につながるとしています[2]。
つまり、済生会と国立がん研究センターの両資料が示すように、「食欲がない」という一つの症状の背景には、単純な体調不良から重い内臓疾患、うつ病や摂食障害まで、さまざまな可能性が隠れているということです。
1.2. 一時的な食欲不振を悪化させるNG習慣
病気が原因でない場合でも、日常生活のちょっとした習慣が食欲の低下を長引かせることがあります。厚生労働省のe-ヘルスネットでは、不眠が続くと日中の倦怠感・意欲低下・集中力低下に加えて食欲低下などの不調が現れることがあると説明されています[9]。厚生労働省のe-ヘルスネットが示すとおり、生活リズムが乱れて睡眠の質が落ちることも、食欲不振の一因になり得ます。例えば、次のようなパターンです。
- 食事時間が毎日バラバラ:夜遅くまで仕事や勉強をして、深夜に食事をとる生活が続くと、体内時計が乱れ、朝になってもお腹が空きにくくなります。
- 朝食を抜く習慣:「朝は忙しいから」とコーヒーだけで済ませていると、昼食時も空腹感がはっきり出にくくなり、結果として1日の総摂取量が減っていきます。
- カフェイン・アルコールのとりすぎ:夜遅い時間のカフェインやアルコールは睡眠の質を下げ、翌日のだるさや食欲低下につながります。[9]
- スマホを見ながらの「ながら食べ」:動画やSNSに意識が向いていると、「おいしい」「満足した」という感覚がぼやけ、食べ過ぎたり、逆に十分に食欲が刺激されないこともあります。
- 極端なダイエット:短期間で体重を落とそうとして食事量を減らしすぎると、体は「飢餓状態」と判断し、ホルモンのバランスが崩れて、かえって食欲や体調のコントロールが難しくなります。
厚生労働省の資料が示すこれらの生活習慣は、もともと軽い食欲不振だったものを長引かせたり、「いつの間にか体重が落ちていた」という状況につながりかねません。まずは自分の生活パターンを、1週間程度メモして振り返ってみると、自覚しやすくなります。
| こんな症状・状況はありませんか? | 考えられる主な背景・原因カテゴリ |
|---|---|
| ここ1〜2週間、仕事の忙しさやストレスが強く、食事時間もバラバラになっている | 生活リズムの乱れ、心理的ストレス[9] |
| 食後すぐにお腹が張る/胃もたれやムカつきが強く、途中で食べるのをやめてしまう | 胃炎・機能性ディスペプシアなど消化器の不調[3] |
| 発熱や咳、下痢などの感染症状があり、その頃から食欲が落ちている | ウイルス・細菌などによる感染症 |
| 憂うつ感や意欲低下、不眠などが続き、食べることにも興味が持てない | うつ病などのメンタルヘルスの不調[10] |
| 強い痩せ願望があり、太ることへの恐怖から意識的に食事量を減らしている | 神経性やせ症などの摂食障害[4][5] |
| 高齢の家族が「お腹が空かない」と言って食事量が減り、体重も落ちてきた | 加齢に伴う口腔・嚥下の問題、低栄養、基礎疾患、服薬の影響[8] |
第2部:身体の内部要因 — 栄養・ホルモン・隠れた不調
生活習慣を整えても食欲不振が続く場合、体の内側で起きている変化や病気が関わっている可能性があります。ここでは、栄養不足やホルモンバランスの変化、慢性疾患など、いわゆる「内部要因」について整理します。より詳しい消化器症状については胃もたれ・消化不良を科学する記事もあわせてご覧ください。
2.1. 高齢者に多い食欲不振と低栄養
厚生労働省の資料によれば、高齢になると、歯の欠損や義歯の不適合、飲み込みにくさ(嚥下機能の低下)、味覚や嗅覚の低下など、食べるための機能が少しずつ変化していきます。[8]また、運動量の低下や筋肉量の減少、複数の持病と薬の服用、配偶者との死別や独居などの生活環境の変化も、食欲や食事量に影響します。
厚生労働省のe-ヘルスネットでは、65歳以上の高齢者のうち、BMI 20kg/m2以下の「低栄養傾向」の人が、男性で約12%、女性で約22%存在することが報告されています[8]。同資料では、これらの人々では、転倒や骨折、感染症、要介護状態のリスクが高まることが指摘されており、「最近あまり食べられない」「体重がじわじわ減っている」といった変化は、早めに気づいて対処することが重要です。
また、厚生労働省の別の資料でも、高齢者では生理的な食欲の低下に加え、消化・吸収機能や身体機能の低下、複数の疾患・薬剤の影響などから、低栄養に陥りやすいことが示されています[11]。高齢の家族が食欲不振を訴える場合、「年のせい」で片付けず、口腔状態や食べる環境、体重の変化を一緒に確認していくことが大切です。
2.2. ホルモンバランスと女性のライフステージ
日本内分泌学会の解説によれば、女性は、月経周期、妊娠・出産、更年期など、ライフステージごとにホルモンバランスが大きく変化します。この変化に伴って、食欲や味覚、体重の変動が起こりやすくなります。
- つわり(妊娠初期):においに敏感になったり、少量でも吐き気が強くなることで、「何を見ても食べたくない」と感じる時期があります。
- 産後・授乳期:睡眠不足や育児ストレス、ホルモン変化から、食欲が落ちる人もいれば、逆に間食が増える人もいます。
- 更年期:ほてりや動悸、不安やイライラなどの症状とともに、食欲の変化を感じる人も少なくありません。
こうした変化の中で、「体型を戻さなければ」「産後太りが怖い」といったプレッシャーが重なると、無理な食事制限から摂食障害に発展するケースがあることを、WHOの精神疾患ファクトシートは指摘しています[6]。気持ちや体調の変化を一人で抱え込まず、家族や医療者、支援窓口に早めに相談することが、心身の健康を守る第一歩です。
2.3. 栄養不足・ビタミン・ミネラルの欠乏
日本内科学会雑誌の論文が指摘するように、「食欲がないから食べない」状態が続くと、タンパク質やビタミン、ミネラルなどの栄養素が不足し、さらに疲れやすさや立ちくらみ、免疫力低下などを引き起こします。その結果、ますます体がだるくなり、「食べる元気さえ出ない」という悪循環に陥ることがあります。日本内科学会雑誌に掲載された鈴木(堀田)の論文でも、低栄養状態からの回復には段階的な栄養補給と専門的な管理が必要とされています[12]。
同論文によれば、鉄欠乏性貧血やビタミンB群・亜鉛不足などは、だるさや味覚異常、集中力低下とセットで現れることが多く、これらが食欲不振の背景になっているケースも少なくありません。採血で確認できる項目も多いので、「ずっと疲れていて食欲がない」「何となく味がしない」といった場合は、受診時に相談してみるとよいでしょう。
2.4. メンタルヘルスと食欲不振
心の調子と食欲は、密接に関係しています。厚生労働省のe-ヘルスネットでは、うつ病において「意欲低下」や「抑うつ気分」と並んで、「食欲が出ない」「眠れない/起きられない」などの身体症状が現れることがあると説明しています[13]。また厚生労働省の別のe-ヘルスネットの解説では、うつ病が循環器疾患や糖尿病など身体の病気と相互に影響し合うことも紹介されており、心と体の不調は切り離して考えにくいことがわかります[10]。
一見すると「胃の調子が悪い」「体がだるい」といった身体症状が前面に出るため、本人も周囲も心の不調に気づきにくいことがあります。「気分の落ち込みが続く」「好きだった趣味にも興味が持てない」「朝起きるのがつらく、仕事や学校に行けない」といった状態が数週間以上続き、同時に食欲不振も認められる場合、うつ病などの可能性を含めて医療機関に相談することが勧められます。うつ病そのものについてはうつ病の完全ガイドで詳しく解説しています。
第3部:専門的な診断が必要な疾患
ここからは、セルフケアだけでは対応が難しく、専門的な検査や治療が必要となる代表的な病気について、概要を確認していきます。
3.1. 消化器疾患・がん・内臓疾患による食欲不振
済生会の解説によれば、多くの人が思い浮かべるのが胃や腸などの消化器の病気です。済生会の解説では、胃炎や胃潰瘍、逆流性食道炎、肝臓や膵臓の病気などの消化器疾患が、腹痛や不快感、吐き気、下痢などとともに食欲不振を引き起こすと説明されています[1]。胃がんについては胃がんの解説ページもあわせてご確認ください。
日本消化器病学会のガイドラインでは、機能性ディスペプシア(検査で明らかな異常が見つからないにもかかわらず、胃もたれや早期飽満感などが続く病態)が、食欲低下や摂食量の減少につながることが指摘されています[3]。
また、国立がん研究センターのがん情報サービスによると、胃がんや大腸がんなどの消化器がんだけでなく、がんそのものや手術、化学療法(抗がん剤)、放射線治療の副作用としても食欲不振が生じます。同サービスによれば、吐き気や便秘、口内炎や味覚変化、痛みや息苦しさ、不安・抑うつなど、複数の要因が重なって食欲を奪うことが多いとされています[2]。
厚生労働省・済生会の資料が示すように、心不全や腎不全、肝硬変、甲状腺機能低下症・亢進症などの全身疾患、肺炎や尿路感染症などの感染症でも、「だるさ」や「微熱」とともに食欲不振が続くことがあります。こうした場合、食欲不振はあくまで「症状の一つ」であり、原因となる病気の診断と治療が最優先となります。
3.2. 摂食障害(神経性やせ症・神経性過食症など)
日本内分泌学会の解説にあるとおり、痩せたいという気持ち自体は、多くの人が経験する自然な感情です。しかし、その気持ちが極端になり、「太ることへの強い恐怖」「自分の体型に対するゆがんだイメージ」と結びついていくと、摂食障害という病気につながることがあります。
日本内分泌学会の「神経性やせ症(神経性無食欲症)|一般の皆様へ」では、神経性やせ症を、やせ願望や肥満恐怖、身体像の歪みを背景に、食事制限や絶食により著しい体重減少・低体重をきたす病気として説明しています。同学会は、また、自己誘発性嘔吐や下剤乱用、過度な運動などの代償行為がみられることもあるとされています[4]。
日本小児科学会の報告では、日本における神経性やせ症の年間有病率は10万人あたり約10人と推計され、死亡例も一定数存在することが示されています[5]。WHOやNIMHも、摂食障害を「食行動の重い乱れと、体重や体型への過度なこだわりを特徴とする精神疾患」であり、世界的に若者の健康を脅かす問題だと位置づけています[6][7]。子どもの摂食障害については日本の小児における摂食障害の完全ガイドで詳しく取り上げています。
日本内分泌学会とNIMHがともに指摘するように、痩せているのに「太っている」と感じて食事を極端に制限する、食べた後に必ず吐いてしまう、過度な運動で消費カロリーを増やそうとする——こうした行動は、単なる「ダイエット」ではなく、治療が必要な病気のサインかもしれません。NIMHは、早期の相談・治療が回復につながりやすいことを紹介しています[7]。
3.3. すぐに受診が必要な危険なサイン
すぐに受診が必要なサイン(場合によっては救急受診・119番通報を検討、厚生労働省・済生会の資料を踏まえた目安)
- 数日間、ほとんど食べたり飲んだりできていない:脱水や電解質異常のリスクがあります。
- 急激な体重減少:厚生労働省の資料では、数週間〜数か月で大きくやせた、標準体重の目安から明らかに大きく外れている場合を注意すべき状態としています[11]。
- 強い腹痛・胸痛、息苦しさ、繰り返す嘔吐:消化管閉塞や心筋梗塞など緊急性の高い病気が隠れていることがあります。
- 意識がぼんやりする、ふらつきがひどい、脈が非常に早い/遅い:重い脱水、心臓や脳のトラブルの可能性があります。
- 強い抑うつ気分や「消えてしまいたい」という思い、自殺念慮:厚生労働省・NIMHの資料によれば、メンタルヘルスの緊急支援が必要な可能性があります[13][7]。
厚生労働省の資料では、著しいやせと全身衰弱、重い合併症がある場合に緊急入院が必要になるとされています[11]。自分や家族に当てはまると感じたら、「大げさかも」と迷わず、早めに医療機関に相談してください。
日本とアメリカ・世界の摂食障害への向き合い方の比較
| 項目 | 日本(学会・厚労省系資料) | 米国・国際機関(NIMH/WHO) |
|---|---|---|
| 神経性やせ症の位置づけ | 日本内分泌学会:やせ願望・肥満恐怖・身体像の歪みを背景とする疾患として整理[4] | NIMHも同様に、体重・体型への過度なこだわりを伴う摂食障害として位置づけ、早期相談を推奨[7] |
| 公表されている頻度の目安 | 日本小児科学会:年間有病率 約10人/10万人(国内報告)[5] | WHOは世界的な精神疾患全体の負担の大きさを指摘するにとどまり、国別の詳細な数値は必ずしも一致しない[6] |
両者に共通するのは、「早期に気づき、専門家に相談すること」を回復の鍵として位置づけている点です。一方、有病率の推計方法や調査年が異なるため、単純に数字だけを比較すると誤解を招く可能性がある点には注意が必要です。
第4部:今日から始める改善アクションプラン
原因が何であれ、各資料が共通して強調するように、「まったく食べない状態を続けないこと」「少しでも心身の負担を減らすこと」が大切です。ここでは、医療機関を受診しつつ、または受診を検討しながら、今日から取り入れられるセルフケアの例をレベル別に整理します。
| ステップ | アクション | 具体例 |
|---|---|---|
| Level 1:今夜からできること | 「少しだけでも食べる」ことを優先する | 茶碗1杯のご飯が難しければ、おかゆやスープ、ヨーグルト、豆腐など、消化しやすいものを少量ずつ複数回に分けてとる。 |
| Level 1:今夜からできること | 胃腸に負担をかけない | 脂っこい揚げ物や香辛料の強い料理を控え、温かくて柔らかい料理(煮物、スープ、雑炊など)を中心にする。 |
| Level 2:今週から試したいこと | 食事リズムを整える | 平日・休日とも、起床から2時間以内に軽い朝食をとる/夜遅くの食事・間食を控え、就寝2〜3時間前までに食事を終える。 |
| Level 2:今週から試したいこと | 「一人で食べない」工夫をする | 家族と一緒に食卓を囲む時間を増やす、オンラインで友人と一緒に食事時間を共有する、デイサービスや地域の食事会を利用するなど。 |
| Level 3:数週間〜長期的に続けたいこと | 軽い運動と睡眠の質を見直す | 日中に10〜20分の散歩やストレッチを取り入れ、夜はスマホやPCを早めに切り上げる。睡眠が整うと、体内時計が整い、自然な空腹感が戻りやすくなります[9]。 |
注意したいのは、「サプリメントだけで何とかしようとしない」ことです。ビタミンや栄養ドリンクはあくまで補助であり、原因となる病気や心の不調を治してくれるわけではありません。長引く食欲不振や体重減少がある場合は、「とりあえずサプリ」ではなく、「とりあえず相談」を優先しましょう。
第5部:専門家への相談 — いつ・どこで・どのように?
「どのタイミングで受診するべきか」「何科にかかればよいのか」「診察のとき、何を伝えればよいのか」がわかると、一歩踏み出しやすくなります。
5.1. 受診の目安 — 受診を検討すべき主なタイミング
済生会・厚生労働省・日本内分泌学会の資料を踏まえた目安です。
- 食欲不振が2週間以上続いている。
- ここ最近、意図せず明らかな体重減少がある。
- 腹痛、吐き気、下痢・便秘、発熱、息苦しさ、飲み込みにくさなど、他の症状を伴う。
- 憂うつ感や不安、眠れない、仕事や学校に行けないなどの心の不調が目立つ[13]。
- 高齢の家族が「食べたくない」と言って食事量が減り、体重や筋力も落ちてきている[8]。
- 強い痩せ願望や、体型に対するゆがんだイメージから、意図的に食事量を極端に制限している[4]。
5.2. 症状に応じた診療科の選び方
診察に持参するチェックリスト(印刷してご利用ください)
済生会・国立がん研究センター・日本内分泌学会の解説を踏まえた項目です。
- 体重の推移(1〜2週間分)と、1日の食事内容・量のメモ
- お腹の症状(痛み・張り・吐き気など)や気分の変化のメモ
- 服用中の薬・サプリメントのリスト
- 胃腸の病気・摂食障害・うつ病などの家族歴
- 医師に聞きたいこと(必要な検査・生活の注意点・仕事や学校との両立など)
食欲不振の原因や重症度には個人差が大きく、今回参照した公的資料・学会ガイドラインには、すべての年齢層・すべての病態を網羅した基準の記載は見当たりませんでした。特に「軽度の食欲不振がどの時点で治療対象になるか」という線引きは、個々の状態や医師の判断によって変わるため、この記事の情報だけで自己診断せず、気になる場合は医療機関にご相談ください。
よくある質問
Q2: 食欲はあまりないのですが、体重はあまり変わっていません。このまま様子を見ても大丈夫ですか?
Q3: ストレスによる食欲不振と、うつ病による食欲不振はどう違いますか?
Q4: 思春期の子どもが「太りたくない」と言ってあまり食べません。どこまでが普通で、どこからが摂食障害ですか?
Q5: 高齢の親が「お腹が空かない」と言って食べようとしません。どんな点に注意すべきですか?
Q6: ダイエットで食事量を減らしていますが、最近ほとんどお腹が空きません。このまま続けても大丈夫でしょうか?
Q7: 栄養ドリンクやサプリメントだけで食欲不振を補うことはできますか?
Q8: 子どもやパートナーがあまり食べたがらないとき、どのように声をかければよいですか?
結論:この記事から持ち帰ってほしいこと
食欲不振は、「疲れがたまっているだけ」「最近忙しいから」と見過ごされがちですが、その背景には、生活習慣の乱れやストレスから、消化器疾患、がん、うつ病、摂食障害、高齢者の低栄養まで、さまざまな要因が潜んでいます。
この記事で見てきたように、「どのくらい続いているか」「どんな症状を伴っているか」「体重や生活への影響はどうか」を整理すると、自分や家族の状態を客観的に捉えやすくなります。「少し様子が変だな」と感じた段階で、かかりつけ医や専門外来に相談することは、決して大げさではありません。
一方で、日常生活の中でできる小さな工夫——食事を小分けにする、消化のよい料理を選ぶ、軽い運動や睡眠リズムを整える、誰かと一緒に食卓を囲む——も、体と心の回復を支える大切な一歩です。
この記事の編集体制と情報の取り扱いについて
Japanese Health(JHO)は、信頼できる公的情報源と査読付き研究に基づいて、健康・医療・美容に関する情報をわかりやすくお届けすることを目指しています。
本記事の原稿は、最新のAI技術を活用して下調べと構成案を作成したうえで、JHO編集部が一次資料(厚生労働省や各種学会のガイドライン、国立がん研究センター、WHO・NIMHなどの公的サイト、査読付き論文など)と照合しながら、内容・表現・数値・URLの妥当性を人の目で一つひとつ確認しています。最終的な掲載判断はすべてJHO編集部が行っています。
ただし、本サイトの情報はあくまで一般的な情報提供を目的としており、個々の症状に対する診断や治療の決定を直接行うものではありません。気になる症状がある場合や、治療の変更を検討される際は、必ず医師などの医療専門家にご相談ください。
最終更新日:2026年7月19日
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参考文献
- 社会福祉法人 恩賜財団済生会. 食欲不振. 済生会 公式サイト. https://www.saiseikai.or.jp/medical/symptom/anorexia/(最終アクセス日:2026-07-19)
- 国立がん研究センター がん情報サービス. 食欲がない・食欲不振 もっと詳しく. https://ganjoho.jp/public/support/condition/anorexia/ld01.html(最終アクセス日:2026-07-19)
- 日本消化器病学会. 機能性消化管疾患診療ガイドライン 2021―機能性ディスペプシア(FD). 2021. https://www.jsge.or.jp/committees/guideline/guideline/pdf/fd2021r_.pdf(最終アクセス日:2026-07-19)
- 日本内分泌学会. 神経性やせ症|一般の皆様へ. https://www.j-endo.jp/modules/patient/index.php?content_id=59(最終アクセス日:2026-07-19)
- 日本小児科学会. 疾患名:摂食障害. 2016. https://www.jpeds.or.jp/uploads/files/2016_ikotyosa_hokoku-118-118.pdf(最終アクセス日:2026-07-19)
- World Health Organization. Mental disorders. Fact sheet. 2025. https://www.who.int/news-room/fact-sheets/detail/mental-disorders(最終アクセス日:2026-07-19)
- National Institute of Mental Health (NIMH). Eating Disorders. https://www.nimh.nih.gov/health/topics/eating-disorders(最終アクセス日:2026-07-19)
- 厚生労働省 e-ヘルスネット. 高齢者の低栄養予防. https://kennet.mhlw.go.jp/information/information/food/e-02-014.html(最終アクセス日:2026-07-19)
- 厚生労働省 e-ヘルスネット. 不眠症. https://kennet.mhlw.go.jp/information/information/heart-summaries/k-02.html(最終アクセス日:2026-07-19)
- 厚生労働省 e-ヘルスネット. からだの病気とこころ. https://kennet.mhlw.go.jp/information/information/heart-summaries/k-05.html(最終アクセス日:2026-07-19)
- 厚生労働省. 高齢者にとっての「食べること」の意義/高齢者の消化・吸収・代謝の変化. 2009. https://www.mhlw.go.jp/shingi/2009/05/dl/s0529-4at.pdf(最終アクセス日:2026-07-19)
- 鈴木(堀田)眞理. 神経性やせ症の栄養療法. 日本内科学会雑誌. 2015;104(7):1479-1484. https://www.jstage.jst.go.jp/article/naika/104/7/104_1479/_pdf(最終アクセス日:2026-07-19)
- 厚生労働省 e-ヘルスネット. 心身の不調への対応. https://kennet.mhlw.go.jp/information/information/heart-summaries/k-04.html(最終アクセス日:2026-07-19)
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