セラミック歯が欠ける6つの原因とは?| 修復するための効果的な方法
口腔の健康

セラミック歯が欠ける6つの原因とは?| 修復するための効果的な方法

はじめに

現在、多くの方が審美性や欠損した歯の補綴を目的としてセラミックを用いた被せ物(以下、本記事では「セラミック歯」と表記)を装着するケースが増えています。セラミック歯は天然歯よりも着色が少なく、適切に管理すれば長持ちするメリットがあります。しかし、天然歯と同様に、セラミック歯が欠ける、あるいはひび割れを起こすリスクも皆無ではありません。実際に、セラミック歯が破損してしまった場合、見た目や食事のしづらさなど日常生活への影響が大きく、精神的なストレスも相当なものになるでしょう。

免責事項

当サイトの情報は、Hello Bacsi ベトナム版を基に編集されたものであり、一般的な情報提供を目的としています。本情報は医療専門家のアドバイスに代わるものではなく、参考としてご利用ください。詳しい内容や個別の症状については、必ず医師にご相談ください。

そこで本記事では、セラミック歯が欠ける原因を中心に、その背景にある咬合(かみ合わせ)の問題、作製段階での不備、あるいは日常生活での習慣などを詳しく解説しつつ、万が一破損してしまった場合の対処法や、普段から気をつけたいポイントについて深掘りします。審美性を保ちながら長く快適にセラミック歯を使うためのヒントを、ぜひ最後までご覧ください。

ここでは、最新の歯科医療の知見や国内外の研究を踏まえつつ、特にセラミック歯の破損リスクとその回避策をわかりやすく説明していきます。なお、本記事の情報はあくまで一般的な参考情報であり、個々の症状には個人差があります。最終的な治療方針やメンテナンスについては、歯科医師などの専門家に相談するようにしてください。


専門家への相談

本記事の内容は、歯科医療の実地経験および歯科分野の文献を幅広く参考にしています。また、セラミック歯の治療やメンテナンスについてはBác sĩ Nguyễn Thường Hanh(Nội khoa – Nội tổng quát · Bệnh Viện Đa Khoa Tỉnh Bắc Ninh)によるアドバイスや臨床現場の視点も踏まえています。ただし、歯や口腔内の状態は人によって異なり、年齢や全身状態の違いも治療方法に大きく関わるため、疑問点がある場合は担当の歯科医師に直接相談することをおすすめします。


セラミック歯が欠ける主な6つの原因

セラミック歯は、審美的メリットが高い一方で、装着後の咬合状態や素材の選択などに問題があると破損しやすくなる場合があります。以下では、よく見られる6つの主な原因を詳しく解説します。

1. 咬み合わせのずれ(咬合の不調和)

セラミック歯を装着する際にもっとも重要なのは、患者さん本来の咬み合わせ(咬合)にしっかり適合させることです。もし咬合がずれていると、セラミック歯に局所的な強い力がかかり、欠けやひび割れの原因となります。とくに前歯部など審美面が重要な箇所では、小さな亀裂でも目立ちやすい上、唇や頬の内側を傷つけてしまう可能性もあるため、歯科医師による十分な咬合調整が不可欠です。

最近の研究では、咬合関係の不調和があるとセラミック修復物の破折リスクが有意に高まる傾向が示唆されています(Layton DM, Clarke M.(2021)Journal of Dentistry, 105, 103569. doi:10.1016/j.jdent.2021.103569)。この研究は数年にわたるデータを解析しており、日本の歯科医療でも参考にされることが増えています。咬合面に余計な力が集中する状態を長期放置すると、修復物だけでなく対合歯にも影響が及ぶため、装着後に定期的な咬合検査を行うことが推奨されています。

2. セラミック歯と歯根部(コア)の適合不良

セラミック歯を被せる際に、天然歯を削って作った支台(コア)との適合がゆるいと、わずかな衝撃でもセラミックが動揺してひび割れにつながります。支台が小さすぎる、あるいは接着剤の塗布が不十分なまま装着すると、固定力が弱くなるだけでなく、歯と補綴物の間にすき間が生じやすくなります。その結果、唾液やプラークが侵入しやすくなり、むし歯リスクや歯周炎リスクが高まるだけでなく、セラミック歯自体の寿命を縮める要因にもなるのです。

支台と補綴物の適合不良が起こると、長期的な酸の影響や摩耗でセラミックの素材が劣化しやすいとも報告されています。こうした問題が生じないよう、装着時には歯科医師や歯科技工士が密に連携し、高精度の型取りと適切な接着工程を行うことが大切です。

3. セラミック歯と天然歯の段差・隙間

最近は、歯を大きく削らずに行う「ノンプレップ・ラミネートベニア(Non-prep Veneer)」のような技術も存在します。天然歯の形態をできる限り温存できるメリットがある一方、歯面が凹凸のままセラミックを貼り付けるため、どうしても段差や隙間ができる可能性が高まります。結果として、その段差部分にプラークがたまりやすくなり、歯肉の炎症や出血、さらには歯槽骨吸収へと進行することもあります。歯槽骨が吸収されると歯周組織の支えが減少し、セラミック歯への負担が大きくなって、欠けやすくなるのです。

ある2022年の臨床研究(Louzada LM ほか. The Journal of Prosthetic Dentistry, 128(2), 267-275. doi:10.1016/j.prosdent.2021.01.021)では、ノンプレップのベニア治療を受けた患者の長期的な経過を観察した結果、適切な口腔ケアを継続していても、隙間部分に二次的な問題(歯肉炎や段差によるチッピングなど)が生じやすいとのデータが示されています。日本の臨床でも、ノンプレップ技術を適用するかどうかは、歯の形態や患者さんの咬合、メインテナンス能力などを総合的に判断して決められます。

4. セラミック素材自体の品質(低品質のものを使う場合)

セラミック素材にもさまざまな種類があり、たとえばジルコニア、e.max(リチウムディシリケート)、ポーセレンなど、強度や審美性に差があります。信頼できる歯科技工所を通さない、もしくは安価な素材にこだわりすぎると、焼成温度や結晶構造などに問題が生じやすく、結果的に強度不足となって欠けやすくなるケースがあります。低品質のセラミック歯を装着すると、色調不良だけでなく早期破損につながるため、やり直しで患者の負担も増大しかねません。

特に臼歯部は咬合力が大きいため、しっかりした強度をもつセラミック素材の選択が推奨されます。近年は、CAD/CAMシステムを用いて精密に加工されたジルコニアやリチウムディシリケートの材料が多く用いられており、審美性と強度を両立できるケースが増えているので、担当歯科医師や歯科技工士と十分に相談しつつ選ぶことが大切です。

5. 硬い食品の咀嚼や不適切な習慣

セラミック歯の破損原因として見落とされがちなのが、硬い食品や異物をかむ習慣です。たとえば、氷をかじったり、硬いナッツや殻付きの種を前歯で割ろうとしたり、爪を噛んだりしていると、セラミック歯に想定以上の負荷が加わり、ヒビや欠けが生じやすくなります。さらに、スポーツ中の外傷や交通手段(自転車やバイクなど)での激しい振動が頻繁に加わると、セラミック歯への衝撃が蓄積し、破損する危険性も高まります。

咬合力が強い方や、ナイトガードを装着せずに就寝中の食いしばりや歯ぎしりがある方は、セラミック歯を長持ちさせるためにも、事前にそのリスクを歯科医師に相談するとよいでしょう。

6. 定期検診の欠如

セラミック歯を装着した後は、最低でも半年に一度は歯科医院で定期検診を受けることが望ましいとされています。検診では、セラミック歯や歯肉との境界部にプラークや歯石がたまっていないか、咬合バランスは変わっていないか、歯周ポケットに炎症がないかなどをチェックします。問題があれば早期に発見・処置できるため、破損を未然に防ぐチャンスが増えるのです。

定期検診を怠ると、わずかな段差や隙間からむし歯や歯周病が進行し、歯根や歯周組織がダメージを受けてしまいます。結果としてセラミック歯が支えを失い、ぐらついたり欠けたりしやすくなるリスクが高まります。


セラミック歯が欠けてしまった場合の対処法

もしセラミック歯が実際に破損した場合、次のステップを速やかに取ることが望ましいです。

  • 破片の確保
    口腔内に飛び散ったセラミックの破片を確認できる範囲で丁寧に取り除き、清潔な容器か袋に保管します。破片が比較的大きく、元の形状を保っている場合は、歯科医院で再接着できる可能性があります。
  • 歯科医院への連絡
    状況を電話で説明し、なるべく早めの診察予約をとりましょう。セラミック歯が鋭利な欠け方をしている場合、舌や頬の粘膜を傷つける恐れがあります。
  • 応急処置
    欠けた部分のエッジがとがっている場合は、薬局などで入手できる歯科用ワックスを上からかぶせて保護します。食事や会話の際に唇や舌を切り傷から守るためです。
  • 強い咬合力を避ける
    特にセラミック歯周辺では咀嚼を控え、柔らかい食事を心がけるとよいでしょう。熱い飲み物や冷たい飲み物を直接当てることも、痛みや不快感を引き起こすことがあるため注意してください。
  • 検査・再装着の判断
    歯科医院では、レントゲン撮影や咬合状態のチェックを行い、再接着が可能か、あるいは補綴物の再作製が必要かを判断します。早めに対応すれば二次的なむし歯や歯周組織のダメージを軽減できる可能性が高まります。

セラミック歯を長持ちさせるためのケアポイント

セラミック歯は天然歯に比べてプラークが付着しにくいとされますが、適切なケアを怠ると、むし歯や歯周炎につながるリスクは決して小さくありません。以下のようなポイントを心がけることで、破損リスクを下げ、セラミック歯の寿命を延ばすことが期待できます。

  • 毎日のブラッシングと補助清掃用具の活用
    歯間ブラシ、デンタルフロス、ウォーターフロッサー(口腔洗浄器)などを用いて、歯と歯の間やセラミック歯と歯肉の境目などを丁寧に清掃しましょう。セラミック歯と天然歯の境目はとくにプラークが残りやすいので注意が必要です。
  • 硬い食べ物や異物の噛み癖の改善
    氷をかじる、ペンを噛む、頑丈な殻を歯で割るなどの習慣がある場合は、できるだけ避けてください。咬合力の強い方や就寝時に歯ぎしりの癖がある方は、ナイトガードの装着を検討するのも一つの方法です。
  • スポーツ時のマウスガード使用
    接触の多いスポーツや転倒のリスクが高いアクティビティを行う際は、市販または歯科医院で作製されたマウスガードを使用して、歯や補綴物を保護することがおすすめです。
  • 定期的な歯科検診とプロフェッショナルクリーニング
    原則6か月に一度は歯科医院での検診を受け、咬合チェックや歯周ポケットの状態を確認してもらいましょう。歯科衛生士によるプロフェッショナルクリーニングは、手磨きで落としきれないプラークや歯石を除去するのに効果的です。
  • 材料や施術法の相談
    セラミック歯の素材選びから、装着方法、メンテナンス方法まで、担当歯科医師や歯科技工士と十分に意見交換し、自分のライフスタイルや咬合状態に合った最適解を探ることが重要です。

おわりに(推奨事項と注意点)

セラミック歯は、審美性の向上や天然歯のダメージ部分の補綴として効果的な選択肢ですが、咬み合わせや日常のケア、素材の品質など、多角的な視点から検討しなければ破損リスクが高くなる可能性があります。欠けやひびが入ってしまったときに早期対応を行えば、修復が可能な場合もありますが、放置すると歯根や歯周組織にまで問題が広がり、治療が複雑化してしまう恐れも否定できません。

常に意識しておきたいのは、

  • 咬合バランスの維持
  • 日々の口腔ケアの丁寧さ
  • 定期検診での早期発見
  • 適切な素材選択と専門家との連携

という4つの柱です。これらを守ることで、セラミック歯をより長く、美しく保つことが期待できます。

なお、本記事は一般的な口腔ケア情報およびセラミック歯に関する最新の知見をまとめたもので、特定の症状や病態を診断・治療するものではありません。個々の状態に応じた最適なアドバイスは、歯科医師などの専門家による診察が不可欠です。気になる症状や疑問がある方は、早めにかかりつけ医や専門の歯科医院に相談しましょう。


参考文献


免責事項
本記事は歯科医療に関する一般的な情報提供を目的として作成されたものであり、個別の診断や処方、治療を行うものではありません。記事内の情報は信頼できる文献・研究をもとにしていますが、実際の症状・治療方針については必ず歯科医師や関連する専門家にご相談ください。特に、持病やアレルギーなどがある方は、専門的な検査と診断を受けることが安全かつ確実です。以上の点をご理解のうえ、ご自身の状況に合わせて適切に情報をご活用いただければ幸いです。

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