医師推奨!自宅でできる喉のかゆみ解消法7選
耳鼻咽喉科疾患

医師推奨!自宅でできる喉のかゆみ解消法7選

はじめに

日常生活の中で、ときどき「のどがかゆい」という不快感に悩まされることがあります。かゆみは身体の他の部位であれば、手でかいて一時的に和らげることもできますが、のどのかゆみは直接かくわけにはいきません。その結果、しつこい咳や、たんを出そうとする行為が周囲を気にさせたり、自分自身にもストレスを与えたりするでしょう。しかし、こうした「のどのかゆみ」に対しては、自宅でも気軽にできる対処法がいくつか存在します。本記事では、その原因や考えられる症状の背景を丁寧に整理したうえで、医療機関に行かなくても自宅で試せる7つの方法を中心に詳しく解説します。

免責事項

当サイトの情報は、Hello Bacsi ベトナム版を基に編集されたものであり、一般的な情報提供を目的としています。本情報は医療専門家のアドバイスに代わるものではなく、参考としてご利用ください。詳しい内容や個別の症状については、必ず医師にご相談ください。

また、のどの不快感を引き起こす病気は意外に多岐にわたるため、セルフケアだけでは改善しない場合は、根本的な原因究明が必要です。もしご紹介する対策を一定期間続けても症状が良くならない、あるいは悪化する場合には、できるだけ早めに医師の診察を受けることをおすすめします。

専門家への相談

本記事では、耳鼻咽喉科などの医師の経験をもとにしたアドバイスや、各種信頼性の高い医療情報を参考にしています。加えて、医療機関にて長年診療を担当している専門家の所見や、世界的に認知されている公的医療サイト・医学文献も参考としています。なお、本記事は情報提供を目的としたものであり、医療行為の代替ではありません。のどのかゆみが長引く場合や、ほかの症状を併発している場合など、気になる点があれば必ず医師に相談してください。また、本記事には耳鼻咽喉科専門医として現場で診療を行うBác sĩ CKII Vũ Hải Long(Bệnh viện Nhân dân 115)の知見が盛り込まれています。

のどのかゆみ:主な原因

のどのかゆみを引き起こす原因としては、多種多様な要素が考えられます。代表的なものには、以下のようなものがあります。

  • アレルギー性鼻炎
    花粉やハウスダストなどのアレルゲンが原因で生じる鼻炎が悪化すると、鼻づまりやのどの不快感を伴うことが少なくありません。
  • 食物アレルギー
    特定の食材(エビ、カニ、そば、ピーナッツなど)を口にしたあと、のどや口腔内のかゆみ、腫れを感じる場合があります。
  • 薬物アレルギー
    一部の薬剤を服用することでアレルギー反応が出ると、のどの腫れやかゆみを伴う場合があります。
  • 細菌やウイルスの感染
    いわゆる風邪症候群やウイルス感染により、咽頭粘膜が炎症を起こしてかゆみや痛みを感じることがあります。
  • 脱水
    水分不足によって口腔内や咽頭の粘膜が乾燥すると、いがらっぽさやかゆみが生じやすくなります。
  • 胃酸の逆流(胃食道逆流症)
    胃酸が上がってくると、のどや食道に刺激が加わり、かゆみや違和感が引き起こされることがあります。
  • 副作用・その他要因
    一部の医薬品や環境刺激など、多様な要因で咽頭粘膜が敏感になり、かゆみを訴えることがあります。

7つのセルフケア:のどのかゆみを緩和する方法

のどのかゆみをどう治せばよいのか、どんな対策があるのかと疑問に思う方は少なくありません。以下では、自宅で比較的簡単に取り組める7つの方法を紹介します。これらはあくまで「症状を緩和」するためのケアであり、症状の根本原因を治すわけではありません。改善が見られない場合やほかの症状を伴う場合は、必ず医療機関で診察を受けてください。

1. うがい・含嗽(がんそう)に食塩水を使う

最もシンプルで手軽な対策が、ぬるま湯に塩を溶かした食塩水でうがいをすることです。日本語で「塩うがい」とも呼ばれます。以下の手順で行います。

  • コップ1杯(約240ml程度)のぬるま湯に、小さじ1/2~3/4程度の食塩を加えてよく溶かす。
  • 少量を口に含み、のどの奥まで届くように10秒ほどうがいして吐き出す。
  • これを1日2~3回程度繰り返す。

うがいをするとき、のどの奥まで届くように息を吐くように「がらがら」と音を立てるのがポイントです。食塩水が咽頭粘膜を適度に湿らせ、細菌やウイルスの繁殖を抑制し、炎症やかゆみを緩和してくれる可能性が期待できます。

2. はちみつでのどを保護する

はちみつには、抗菌作用や粘膜保護効果があるとされており、のどの炎症やかゆみをやわらげる「自然療法」として古くから利用されています。特に「純粋はちみつ」は粘度が高く、のどに留まりやすいため、かゆみの軽減に寄与すると考えられています。

  • 朝起きたら、大さじ1杯程度の純粋はちみつをそのままゆっくり飲み込む
  • お湯を適温に冷ました後、はちみつと混ぜて飲む

ただし、1歳未満の乳児ははちみつに含まれる菌のリスクがあるため避ける必要がありますので、注意しましょう。

3. しょうが湯(しょうが+はちみつ+レモン)を飲む

しょうが、はちみつ、レモンはいずれも、のどの粘膜を保護したり免疫力をサポートしたりする食材として知られています。この3つを組み合わせたしょうが湯は、のどのかゆみに加えて、冷えや胃腸の不調などにも昔から愛用されています。

  • しょうがを薄切りにして適量のお湯で煮出すか、すりおろししょうがをお湯に溶かす
  • はちみつを大さじ1杯ほど加え、レモンを数滴またはスライスを入れる
  • ゆっくりと飲む

しょうがには体を温める作用もあるため、就寝前に飲むと夜間ののどの乾燥によるかゆみが緩和されることがあります。また、レモンに含まれるビタミンCも、健康維持に役立つといわれています。

4. りんご酢(アップルビネガー)をお湯で割って飲む

欧米などでは伝統的にアップルビネガーが健康管理に使われてきました。りんご酢を適度なお湯で割って飲むことで、のどのかゆみの軽減が期待できる場合があります。酸味が強いので、好みではちみつを少し加えると飲みやすくなります。

  • カップ1杯分(約240ml)の熱湯を用意し、少し冷ましてから大さじ1杯のりんご酢を加える
  • お好みではちみつを小さじ1杯加えてよく混ぜる
  • ゆっくりとすするように飲む

もし胃酸過多の人や、酸に敏感な人は刺激を感じやすいので、体調に合わせて控えるか、量を減らすようにしてください。

5. ターメリックミルク(ウコン入りミルク)を夜に飲む

ウコン(ターメリック)は、抗炎症作用や抗酸化作用が期待できる香辛料として広く知られています。インドでは「ゴールデンミルク」とも呼ばれる、ターメリックを使ったホットドリンクが一般的。のどのかゆみや炎症を和らげるのに役立つと考えられています。

  • 小さじ1杯程度のターメリックパウダーと約200mlの牛乳を小鍋に入れてかき混ぜる
  • 中火にかけて沸騰直前まで温める
  • 適温になったらカップに注ぎ、夜寝る前にゆっくり飲む

就寝前に温かいターメリックミルクを飲むと、夜間ののどの不快感が多少やわらぐとされます。はちみつや黒コショウを少量加えると、味わいの変化やのど越しのスムーズさを得られます。

6. 西洋わさび(ホースラディッシュ)入りのハーブティー

あまり日本では馴染みがないかもしれませんが、ホースラディッシュ(西洋わさび)を乾燥させたパウダーや、クローブ(丁子)、はちみつを合わせたハーブティーは欧米で昔から「のどのケア」に使われてきたともいわれます。

  • カップにホースラディッシュパウダー大さじ1杯、クローブ粉末小さじ1杯、はちみつ小さじ1杯を入れる
  • 熱湯を注いでよくかき混ぜ、少し温度が下がったらゆっくり飲む

ただし、においや辛味が強いので、好みに合わない場合は無理をしない方がよいでしょう。

7. その他のハーブティー

のどのかゆみをやわらげるとされるハーブには、以下のようなものが挙げられます。

  • ネトル(イラクサ)
  • イチョウ葉
  • リコリス(カンゾウ)
  • トウキ
  • レッドクローバー
  • カモミール
  • スリッペリーエルム
  • ミルクシスル

市販のハーブティーには複数のハーブがブレンドされているものも多く、のどの保護効果やリラックス効果を得られる場合があります。ただし、ハーブの種類によってはアレルギーを持っている方や、服薬との相互作用が懸念される場合もあるので、違和感を覚えたときは中止し、必要であれば医師や薬剤師に相談してください。

のどのかゆみに関連する症状:受診が必要な場合

自宅ケアを行っても症状が改善しない場合や、以下のような症状が重なっている場合は、できるだけ早めに病院を受診することをおすすめします。

  • のどの痛みが強い
  • 発熱がある
  • 飲み込みづらい(嚥下困難)
  • 呼吸がしづらい(息苦しい、ゼーゼーする)
  • 呼吸時の笛音(喘鳴)
  • じんましんの発症
  • 顔や唇の腫れ

こうした症状がある場合、アレルギー症状や感染症が進行している可能性、あるいは重篤な病気の合併症が疑われることがあります。早期に専門医の診断を受けることで、重症化を防ぐだけでなく根本原因を取り除く治療方針が立てられるでしょう。

日常生活でできる予防策

のどのかゆみを引き起こす根本原因はさまざまですが、下記のような生活習慣を意識しておくと、症状が出にくくなる可能性があります。

  • たばこの煙を避ける
    受動喫煙も含め、喫煙環境はのどや鼻の粘膜に悪影響を及ぼすので、意識して回避しましょう。
  • 水分をこまめにとる
    体内や口腔内が乾燥しないように、特に乾燥が強い季節は意識的に水分を補給します。ただし、過度なカフェインやアルコール飲料は逆に脱水傾向を招くことがあるため注意が必要です。
  • カフェインやアルコールを控える
    カフェインやアルコールは利尿作用があり、脱水状態を助長して粘膜の乾燥を加速させる場合があります。
  • 大気汚染や花粉症シーズンには屋外活動を調整
    大気が汚れている時期や花粉量が多い時期に窓を開け放すと、花粉やホコリが室内に入りやすいです。状況に応じて窓の開閉を管理するなどの工夫が大切です。
  • 風邪やインフルエンザ流行期の手洗い徹底
    ウイルスや細菌の感染を予防するためにも、帰宅時や食事前などは念入りに石鹸で手を洗いましょう。

かゆみの原因は多種多様:根本治療の重要性

のどのかゆみに対しては、上述したようなセルフケアがある程度有効な場合もあります。しかし、これらはあくまで症状の緩和策です。もし根底に別の疾患があり、その症状としてのどのかゆみが現れている場合には、根治には専門的なアプローチが必要です。自己判断のみで終わらせず、以下のいずれかの状況にあてはまるときには早めに医師の診察を検討してください。

  • セルフケアを数日~1週間以上続けても変化がない
  • 息苦しさや飲み込みづらさ、声がれがひどい
  • 高熱や全身倦怠感を伴う

特にアレルギー性疾患や感染症は、放置すると慢性化したり重症化したりする可能性があります。

研究や専門家の知見の追加

近年では、日本国内外でアレルギー性鼻炎や慢性咳嗽(しつこい咳)、のどの不快感に関する研究が活発に行われています。たとえば、2020年に欧州呼吸器学会(ERS)が発表した「慢性咳嗽の診断と治療に関するガイドライン」では、のどに慢性的な刺激やかゆみを訴える患者の評価や治療方針の重要性が示されました(Morice AH, et al. 2020, European Respiratory Journal, 55(1), 1901136, doi:10.1183/13993003.01136-2019)。これは欧米を中心としたガイドラインですが、咳やのどの不快症状の管理は日本国内でも同様に重要視されており、同様のアプローチが役立つ可能性があります。
さらに、日本ではアレルギー性鼻炎や上気道炎症状に関するガイドラインが定期的に改訂されており、2020年に公表された「日本におけるアレルギー性鼻炎治療ガイドライン2020」(Okubo K. ほか, Allergology International, 69(4): 331-345, doi:10.1016/j.alit.2020.06.001)においても、のどのかゆみに悩むアレルギー性鼻炎患者への総合的な治療戦略や生活管理の重要性が強調されています。こうしたガイドラインは、日本人の生活・文化背景を踏まえた推奨内容が含まれており、国内の医療現場でも広く参考にされています。

以上のように、海外・国内ともに近年の研究やガイドラインからも「のどのかゆみとその原因疾患」への関心は高まっており、適切な治療やセルフケアを選択することが重視されています。もし症状が長期化する場合は、専門医による診断と治療方針の策定が必要です。

おすすめのセルフケアの実践と医師への相談

先述したように、のどのかゆみはごく軽い刺激から慢性炎症、重篤なアレルギーなどさまざまな要因で起こりえます。まずは食塩水やはちみつ、しょうが湯など、手軽な方法で症状を和らげるのはよい選択ですが、改善しない場合は原因に応じた医学的アプローチが必要です。特に繰り返すアレルギー症状や、感染症が疑われるときは病院での精密検査を検討しましょう。

結論と提言

  • のどのかゆみの原因は多彩:アレルギー、感染症、脱水、胃酸逆流など幅広い要因がある
  • 自宅での対処法が有効なことも:うがい、はちみつ、ハーブティーなどで粘膜を保湿・保護し、症状を軽減できる場合がある
  • 長期化・悪化した場合は医療機関へ:のどの強い痛みや発熱、息苦しさ、呼吸困難、嚥下障害などは早期の専門的治療が必須
  • 予防策の徹底:脱水を避け、喫煙環境を避け、必要に応じて花粉シーズンなどには外出方法を見直す
  • 最新の研究によりアプローチが明確化:欧米や日本のガイドラインでも慢性咳嗽やアレルギー性鼻炎の重要性が指摘され、生活習慣の改善と医療的アプローチが組み合わさってこそ十分な効果が期待される

本記事で紹介したセルフケアはあくまでも参考情報であり、すべての症状が解消することを保証するものではありません。症状が続く場合やほかの異常がみられる場合は、必ず医療専門家にご相談ください。

参考文献


免責事項

本記事は医療専門家による診断や治療を代替するものではなく、あくまで参考として提供しています。症状や健康状態には個人差があり、原因によっては医師の診断と治療が必要な場合もあります。疑問点や不安がある方は、必ず医師など専門家にご相談ください。

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