はじめに
多血症(たけつしょう)は、まだ広く知られていないものの、徐々に注目されつつある血液疾患です。本記事は「JHO」のウェブサイトから得られた内容をもとに、多血症の本質、原因、診断、治療、日常生活での対策などを包括的に解説し、読者の方々が理解を深められるよう努めています。多血症は赤血球(せっけっきゅう)が過剰に生成され、血液が粘稠(ねんちゅう)になりやすくなる結果、全身の血流が滞りやすくなる病態です。特に高齢になるほど発症リスクが高まる一方、健康診断などで偶然発覚することも多く、早期発見・早期対応が大切とされています。
免責事項
当サイトの情報は、Hello Bacsi ベトナム版を基に編集されたものであり、一般的な情報提供を目的としています。本情報は医療専門家のアドバイスに代わるものではなく、参考としてご利用ください。詳しい内容や個別の症状については、必ず医師にご相談ください。
本記事では、医療面における専門的事項はもちろん、日常生活での工夫や習慣づくり、日本国内の文化的背景や定期健診の重要性も取り上げています。より総合的な視点から多血症を理解していただくことで、情報を実践へと結びつける一助になれば幸いです。読者は医療従事者か一般の方かにかかわらず、本記事を通じて多血症に関する重要な知識を再確認し、また新たな学びを得られるよう願っています。
専門家への相談
本記事で扱う多血症の情報は、国内外の医療機関や研究機関の情報、そして実臨床において蓄積されてきた知見を参考にしており、情報源としては世界保健機関(WHO)やMayo Clinic、Johns Hopkins Medicine、NCBI Bookshelf、MedlinePlusなど、信頼性の高い機関や文献を基礎としています。これらの機関は、多血症の診断基準や治療ガイドラインの策定、学術研究の発表といった領域で国際的に認められている存在です。
ただし、本記事はあくまで最新の知見を取り入れたうえでの情報提供を目的としており、実際の診療行為や最終的な判断は、必ず医師や専門医にご相談ください。多血症は個々人の背景(基礎疾患、年齢、体質など)によって最適な治療や管理方法が異なりますので、専門家による個別診断が大変重要です。特に、血液の状態を評価するためには骨髄生検や遺伝子変異検査など、高度な医療設備と専門知識が必要とされます。そのため、定期的に医療機関でフォローを受けながら、自身の体調や症状を適切に把握していくことが不可欠です。
以下では、多血症の原因、症状、合併症、診断、治療、そして日常生活での工夫について具体的にお話ししていきます。
多血症とは何か
多血症とは、血液中の赤血球が過剰に生成されることで血液粘度が上昇し、血流が低下する疾患を指します。血流が滞ると、酸素や栄養素が組織へ十分行き渡らなくなり、さまざまな合併症や健康上の問題が引き起こされる可能性があります。この病態はゆるやかに進行し、長らく自覚症状が出ないこともしばしばです。多くの患者が健康診断や人間ドックなどでヘマトクリット値やヘモグロビン値の上昇を指摘され、はじめて多血症を知るケースが少なくありません。
多血症には大きく分けて、骨髄の造血幹細胞自体に異常が生じる「原発性多血症(げんぱつせいたけつしょう)」と、他の要因によって間接的に赤血球増加が起こる「二次性多血症(にじせいたけつしょう)」の2種類があります。原発性多血症は主に遺伝子変異(特にJAK2遺伝子変異)が関与し、骨髄の造血幹細胞が制御不能に陥ることが原因とされます。一方、二次性多血症は慢性酸素不足やホルモン(エリスロポエチンなど)の過剰分泌を引き金として生じ、主に肺や心臓、腎臓などの基礎疾患や、高地での生活習慣、喫煙などが背景要因となります。
原発性多血症(げんぱつせいたけつしょう)
原発性多血症は、骨髄内の造血幹細胞が何らかの遺伝子変異によって過剰に増殖し続けることが直接の原因とされます。最も代表的なのがJAK2遺伝子変異(特にJAK2V617F)であり、原発性多血症患者の約90%前後に確認されると報告されています。このタイプの多血症は、血液が濃くなることにより血栓リスクや心血管疾患リスクが上がり、長期的な合併症管理が課題となります。
骨髄の造血細胞が制御不能に増殖するため、赤血球だけでなく血小板や白血球にも異常が及ぶ可能性があります。特に血栓(けっせん)の形成が最も大きなリスクとされ、肺塞栓症(はいそくせんしょう)や脳卒中(のうそっちゅう)、心筋梗塞(しんきんこうそく)など重大な合併症を引き起こしかねません。適切な治療(静脈切開、薬物療法など)を継続することで症状のコントロールや合併症リスクの軽減が期待されます。
二次性多血症(にじせいたけつしょう)
二次性多血症は、慢性的な酸素不足を補おうとする生理的な代償機構や、エリスロポエチン過剰産生などが原因で赤血球が増加する状態です。具体的には、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、チアノーゼを伴う先天性心疾患、睡眠時無呼吸症候群、肥満による呼吸障害、高地居住、喫煙、腎臓病などの背景から酸素不足が生じると、体は酸素運搬能力を高めるために赤血球数を増やします。また、腎臓の酸素不足や腎臓がんによるエリスロポエチン産生亢進なども二次性多血症の要因となります。
二次性多血症は男性にやや多い傾向にあるとされますが、女性でも若年層で発症する例があり、油断はできません。また、二次性の場合は赤血球以外の血球増殖が見られないことが多く、原因疾患を特定し、その治療を行うことで赤血球増加のコントロールが比較的行いやすいと考えられています。
多血症の平均余命とリスク要因
多血症と診断された後の平均余命は約20年、平均死亡年齢はおおむね77歳と報告されています。ただし、これは治療状況や健康管理、合併症の有無によって大きく変動し、個別の予後は一律ではありません。適切な治療と生活習慣の改善によって血栓リスクなどの合併症を抑制し、長期にわたり生活の質を維持できる可能性があります。
統計的には、多血症患者の主な死因の約33%は血栓による合併症、約15%はがんの進行とされています。血液の粘度が上がった状態が長期間続くと、心筋梗塞や脳梗塞、肺塞栓症など生命を脅かす疾患のリスクが高まります。また、血液の異常増殖が進行して骨髄異形成症候群や急性骨髄性白血病などへ移行する場合もあるため、定期的なチェックと早期介入が重要です。
- 早期発見・早期治療のメリット
- 合併症発症のリスク低減
- 症状コントロールによる生活の質向上
- 精神的ストレスの緩和
- 長期的な医療費や介護負担の軽減
近年の研究によると、原発性多血症においても遺伝子変異の種類や合併する症状によってリスク分類がより細分化されており、個々の患者の危険度に応じた治療戦略が注目されています。たとえば、2022年にBlood誌で報告された“Evolving Risk Stratification in Polycythemia Vera”(Marchioli R, et al. 2022, doi:10.1182/blood.2021014147)では、既往の血栓症やJAK2変異状態など、複数のリスク要因を組み合わせて総合的に評価するアプローチの重要性が強調されています。日本においても同様のリスク層別化が行われつつあり、早期介入と適切なフォローアップが推奨されています。
多血症の原因
多血症を引き起こす要因は多岐にわたります。原発性の場合は骨髄の造血幹細胞における遺伝子異常が中心となり、二次性の場合は酸素不足やエリスロポエチン過剰産生などがきっかけとなります。
JAK2遺伝子(ジャックツーいでんし)変異
原発性多血症の90%程度の患者に認められるとされるJAK2V617F変異は、正常な造血幹細胞の制御メカニズムを逸脱させ、赤血球を過剰に増加させる原因となります。JAK2遺伝子は血液細胞の増殖や分化を調整する極めて重要な役割を持ち、変異が生じると血液細胞の増殖が止まらなくなるのです。
この変異は後天的に生じるケースが大半といわれていますが、稀に家族性の症例も報告されています。そのため、家族に多血症や他の骨髄増殖性疾患がある場合には、早めに医療機関での検査を受けることが望まれます。JAK2遺伝子変異の有無を調べる分子生物学的検査は専門施設でしか行えないことが多いので、検査を希望する際は血液内科など専門科の受診が必要となります。
二次性多血症の基礎疾患と要因
二次性多血症は、他の疾患や生活要因などが引き金となって、体内で赤血球が過剰に増殖する状態です。下記のような要素が密接に関係しており、いずれも慢性的な酸素不足やエリスロポエチン産生の亢進といったメカニズムを介して多血症を発症させます。
- 慢性閉塞性肺疾患(COPD)
呼吸機能が低下し、酸素取り込み量が減少するため、体が生理的に赤血球を増やして酸素運搬能力を高めようとする。 - チアノーゼを伴う先天性心疾患、右-左シャント
先天性の構造的な心疾患により、十分に酸素化されていない血液が全身に回るため、酸素不足を補うために赤血球が増える。 - 睡眠時無呼吸症候群・肥満による換気低下
睡眠中の呼吸停止あるいは低換気状態が長期化すると、慢性的な酸素不足が生じ、赤血球生成が亢進する。 - 高地居住者
空気中の酸素分圧が低い環境に長期間暮らすと、酸素運搬能力を高めるために赤血球数が増える。 - 喫煙者
喫煙による肺の損傷や血管内皮機能の低下が、結果的に酸素供給力の不足やエリスロポエチン分泌の増加につながる。 - 腎臓の酸素不足
腎動脈狭窄や腎不全などで腎組織が酸素不足に陥ると、エリスロポエチンの分泌が過度に高まり、赤血球が増産される。 - 先天性の血液異常
血色素の酸素親和性が高いなど特殊な遺伝的背景を持つ場合、正常より赤血球数が増加しやすい。
二次性多血症では、原発性のように骨髄自体が制御不能になるわけではないことが多く、原因疾患の治療や生活習慣の見直しによって赤血球数の改善が期待できることが特徴です。
多血症の症状
多くの患者では、自覚症状が非常に乏しいまま長期間経過することが知られています。しかし、病態が進行すると、以下のような多彩な症状が現れる場合があります。
- 温水シャワーや入浴後のかゆみ
温熱刺激で皮膚の血管が拡張し、粘度の高い血液が末梢に滞留しやすくなるため、かゆみや紅斑を引き起こす。原発性多血症でよく報告される症状の一つ。 - 手足や四肢の痺れ、うずき、熱感、脱力感
血流障害により末梢神経が刺激され、神経症状や軽度の知覚異常を感じることがある。 - 食後の満腹感や左上腹部痛・膨満感
脾臓が肥大することで胃が圧迫され、食欲不振や不快感をもたらす。 - 鼻血や歯茎からの出血
血液粘度の変化や血小板機能異常により止血が困難となり、出血傾向が高まる場合がある。 - 関節痛や腫れ(特に親指の関節)
高尿酸血症からくる痛風発作が起こりやすくなり、激しい痛みを伴う。 - 横になったときの呼吸の乱れや息切れ
血液粘度の上昇によって心臓や肺への負荷が高まり、臥位(がい)での呼吸が苦しくなることがある。
症状の出方は個人差が大きく、全く無症状で経過する人もいれば、いくつかの症状が同時に現れる人もいます。日常生活で「いつもと違う」体感があれば医療機関で相談し、早期に原因を特定することが重要です。
多血症が危険な理由
多血症において特に注意が必要なのは、血液が粘稠になることで血管内で血栓が形成されやすくなる点です。血栓は生命に直結する重篤な合併症を引き起こすリスクをはらんでいます。
- 血栓(けっせん)リスク
肺塞栓症、脳卒中、心筋梗塞、深部静脈血栓症などを引き起こす可能性が高まる。多血症患者にとって、血栓の予防と早期発見は最重要課題の一つである。 - 脾臓肥大(ひぞうひだい)
過剰な赤血球を処理する負荷から脾臓が肥大し、左上腹部痛や不快感、膨満感が生じる。さらに血小板や白血球など、他の血球系に異常が及ぶ場合もある。 - 胃潰瘍・小腸潰瘍・食道潰瘍、痛風
血流障害の結果、消化管の粘膜や関節への血行が十分でなくなり、潰瘍や痛風発作のリスクが高まると指摘されている。 - 血液癌への進行
原発性多血症の一部は骨髄線維化や骨髄異形成症候群、急性骨髄性白血病などに移行することがある。早期治療や定期的なフォローアップで未然に重篤化を防ぐことが求められる。
これら合併症はいずれも患者の生活の質を大きく左右し、適切な治療や生活習慣の管理を怠ると、致命的な状況に至る可能性があります。そのため、専門医の指導のもとで血液検査の結果を継続的に確認し、必要な場合は薬物療法や静脈切開などの介入を行うことがとても大切です。
多血症の診断基準
世界保健機関(WHO)が示す多血症の診断基準は、大きく以下の3点を柱としています。医師はこれらの項目を総合的に評価し、多血症か否か、そして原発性か二次性かを判別します。
- 血液検査
ヘモグロビン(Hb)値やヘマトクリット(Hct)値の上昇、総血液容積増加が確認されるか。例えば男性の場合はHb>16.5 g/dL、女性の場合はHb>16.0 g/dLを目安に多血症が疑われることがあります。 - 骨髄生検(こつずいせいけん)
骨髄内で血液細胞がどの程度増殖しているかを直接観察します。原発性多血症では造血幹細胞の異常増殖が顕著にみられるケースが多いです。 - 分子生物学的検査
JAK2遺伝子変異の有無やエリスロポエチン濃度が極端に低下しているかなどを調べ、原因の特定と正確な病態把握を行います。とりわけJAK2V617F変異が認められた場合には原発性多血症の可能性が高まります。
これらの検査を組み合わせることで、医師は多血症のタイプや病状を正確に把握し、患者ごとに最適な治療計画を立案できます。特に遺伝子変異の有無や原因疾患の有無を明確にすることは、予後予測や治療方針の決定に大きく関わってきます。
多血症の治療方法
多血症の治療方針は、患者の症状やリスク評価、基礎疾患の有無、生活背景などによって多様に変わります。主な治療選択肢は以下のとおりです。
- 静脈切開(じょうみゃくせっかい)
血液を一定量抜くことで赤血球数を減らし、血液粘度を下げる。献血と似た手順で定期的に行い、血栓の予防と症状の進行抑制を図る。 - 低用量アスピリン
血小板凝集を抑制する作用があり、血栓形成リスクの低減を目的として用いられる。胃潰瘍や小腸潰瘍の既往がある場合は注意が必要で、医師の指示のもと適切に使用することが望ましい。
症状が悪化している場合の治療
血栓症の既往がある、あるいはかゆみや痛みなどの症状が激しい場合には、以下の治療が併用されることがあります。
- かゆみ対策
抗ヒスタミン薬、光線療法、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)などで入浴後のかゆみを軽減し、生活の質(QOL)を向上させる。とくに原発性多血症患者におけるかゆみは、しばしば強いストレス要因となるため、症状に合わせたケアが重要となる。 - 赤血球数減少剤(骨髄抑制療法)
ヒドロキシウレア、インターフェロンアルファ、ルクソリチニブ、ブスルファンなどを用いて造血幹細胞の増殖を抑制する。特にルクソリチニブは、JAK阻害剤として原発性多血症に対して効果が期待される。 - 骨髄移植(こつずいいしょく)
重症例や若年で進行の早い例に対しては、根治的治療を目的として骨髄移植が考慮される。正常な造血幹細胞を移植し、異常な赤血球生成を根本的に改善することを目指す。 - 支持療法
痛み止めや放射線療法、輸血(必要に応じて)など、患者の症状を緩和し生活の質を保つための治療が行われる。
近年では、血栓リスクのさらなる低減や骨髄増殖の制御を狙った新薬開発が活発に進められています。たとえば、2021年にBlood Cancer Journalで発表された“Evidence-based Definition of Resistant or Intolerant Polycythemia Vera”(Barbui T, et al. 2021, doi:10.1038/s41408-021-00405-7)では、既存治療に抵抗性を示す多血症に対する新たな治療戦略や評価基準が提唱されており、今後の治療指針に大きな影響を与える可能性があります。日本でも一部の医療機関で最新の治療法が取り入れられており、患者一人ひとりに合わせた個別化医療が進められつつあります。
食事療法と生活習慣
多血症には特定の食事療法が確立されているわけではありませんが、日常生活の工夫によって血液粘度を下げたり合併症を予防したりすることが可能です。以下のような点に留意していただくと良いでしょう。
- 十分な水分摂取
体を循環する血液の粘度を低く保つためには、日常的に十分な水分摂取が大切です。一般的には1日に2リットル前後の水分を目安にこまめに補給するとよいとされますが、個人差もあるため、尿量や汗のかき方、医師の指示などを踏まえて調整してください。 - 適度な運動
ウォーキングや軽い有酸素運動、ストレッチなどを継続的に行うと、血管や心肺機能の健康維持に役立ちます。長時間座りっぱなしでいると下肢の血流が滞りやすくなるため、1時間ごとに立ち上がって軽く足を動かすなど、こまめに身体を動かす習慣を身につけることをおすすめします。 - 寒い日の保護
寒冷刺激は末梢血管を収縮させ、血流が滞りやすくなります。手袋や靴下、温かい衣類を活用し、冬や寒い場所での冷え対策をしっかり行うと、血液粘度の急上昇を防ぐ一助となります。 - バランスの良い食事
抗酸化作用が期待できる野菜や果物、ナッツ、魚介類など、多様な栄養素を含む食品をバランスよく取り入れることが重要です。ビタミンやミネラルが豊富な緑黄色野菜、発酵食品、旬の食材などを意識して摂ることで、血管機能や免疫力の維持にもつながります。特に肥満がある場合は、睡眠時無呼吸症候群のリスクも増大するので、適正体重の維持に努めることが望ましいでしょう。 - 喫煙習慣の見直し
タバコは肺の機能を損ない、慢性的な酸素不足を招くだけでなく、血管内皮機能を乱して血栓形成リスクも高めます。多血症と喫煙が合わさると合併症リスクが一段と高くなるため、可能な限り禁煙を検討してください。 - アルコール摂取の適度なコントロール
適量を超えるアルコール摂取は、血圧や肝機能への悪影響だけでなく、血液バランスを乱す一因にもなりえます。飲酒習慣については必ず医師と相談し、適正量を守るよう心がけましょう。
結論と提言
多血症は赤血球の過剰生成によって血液粘度が上昇し、多岐にわたる合併症リスクを高める疾患です。しかしながら、定期的な検診や血液検査により早期に発見し、適切な治療と生活習慣改善を組み合わせることで、長期にわたって健康的な生活を維持することが十分可能です。特に心血管疾患や血栓、骨髄異常といった深刻な合併症の予防には、医師や専門医による綿密なフォローアップが欠かせません。
- 専門医への定期通院
骨髄生検や遺伝子検査など、専門的な評価を行える医療機関での定期的な診察により、病態の進行を早期に把握できます。治療方法の選択や変更もタイミングを逃さず行え、合併症を未然に防ぎやすくなります。 - 血液粘度を下げる工夫
水分摂取、適度な運動、冷えの予防など、日常生活で取り組めることは数多くあります。こうしたセルフケアが治療効果を高め、血栓リスクの低減にも寄与します。 - バランスのよい食事と禁煙
ビタミンやミネラルを豊富に含む食品を積極的に摂り、喫煙習慣を見直すことで、血管や肺への負担を減らし、合併症のリスクを下げます。 - 精神的サポート
慢性的な疾患管理は、本人だけでなく家族にも心理的負担がかかりやすいものです。医療従事者やカウンセラーと連携しながら、体調だけでなくメンタル面のケアにも目を向けることが大切です。
多血症は決して珍しい病気ではなく、適切な治療とセルフケアを行えば、比較的安定した生活を長期間維持できる疾患といえます。自覚症状の少なさから発見が遅れがちであるため、健康診断や定期的な血液検査の意義を強く意識し、いつもの生活に小さな工夫を取り入れてみてください。今後さらに研究や新薬の開発が進み、新たな治療選択肢や管理法が提示されることが期待されますが、現状でもリスクを理解し、専門医と連携して対策を進めることで、日々の生活の質を保つことは十分に可能です。
専門家への受診と今後の展望
多血症は、医師の目から見ると対処が十分に可能な場合が多い反面、患者自身が「無症状だから」「健康診断で少し数値が高いだけだから」と軽視すると、将来的に合併症が顕在化した際にリスクが一気に高まる可能性があります。とくに血栓や心筋梗塞、脳卒中などは早期対策が肝要であり、一度発症すると重篤な後遺症を残すことも少なくありません。
日本では、高齢化社会が進むにつれ、成人病や生活習慣病に関する認識は高まってきていますが、多血症に関してはまだ情報が十分に周知されていない面もあります。専門医(血液内科など)に相談することで、最新の検査方法や治療薬の適用、生活指導など、個々のケースに応じた丁寧なフォローアップが得られます。
研究の最前線では、新たなJAK阻害剤や免疫療法など、より安全性と有効性を高めた治療法の開発が続いています。アジア人特有の遺伝的特徴を踏まえた薬剤応答性の研究も進行中であり、今後は日本国内の患者に合わせたきめ細やかな治療指針が示されることが期待されます。
本記事の情報の位置づけ
本記事で述べた情報は、医療機関や学術研究で蓄積されてきた知見、および国内外の公的機関が提供する情報を基礎としています。ただし、個々の患者さんの病歴、合併症の有無、生活背景などによって最適な治療法は変化し得るため、実際の診断や治療方針の決定は必ず専門医にご相談ください。特に多血症は合併症リスクが高い疾患である一方、適切な介入によって比較的安定した状態を長く保ちやすいという特徴もあります。早期発見と継続的なフォローアップが、将来的な重大合併症を避ける鍵となるでしょう。
注意事項(免責事項)
- 本記事は、多血症に関する最新情報を盛り込みつつ執筆されていますが、あくまで一般的な情報提供を目的としています。
- 診断や治療方針の最終的な決定は、専門医や医療機関による診察と検査結果に基づいて行うべきです。
- 疑問点や体調の変化を感じた場合は、必ず血液内科や内科など、適切な専門医へ早めにご相談ください。
- 掲載内容は執筆時点での学術情報や公的機関のガイドラインなどを参考にしていますが、医学の進歩や新薬の承認などにより、今後の見解やガイドラインが変わる可能性があります。
参考文献
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https://www.mayoclinic.org/diseases-conditions/polycythemia-vera/symptoms-causes/syc-20355850#:~:text=Polycythemia%20vera%20(pol%2De%2D,problems%2C%20such%20as%20blood%20clots - Polycythemia Vera – Johns Hopkins Medicine (アクセス日: 29/3/2023)
https://www.hopkinsmedicine.org/health/conditions-and-diseases/polycythemia-vera - Secondary Polycythemia – NCBI Bookshelf (アクセス日: 29/3/2023)
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/books/NBK562233/ - Polycythemia Vera – MedlinePlus (アクセス日: 29/3/2023)
https://medlineplus.gov/genetics/condition/polycythemia-vera/#causes - Marchioli R, et al. “Evolving Risk Stratification in Polycythemia Vera.” Blood. 2022; 139(11):1665–1677. doi: 10.1182/blood.2021014147
- Barbui T, et al. “Evidence-based Definition of Resistant or Intolerant Polycythemia Vera.” Blood Cancer Journal. 2021; 11(2):30. doi: 10.1038/s41408-021-00405-7