授乳中の抗生物質使用 完全ガイド:安全な薬、注意すべき薬を専門家が徹底解説
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授乳中の抗生物質使用 完全ガイド:安全な薬、注意すべき薬を専門家が徹底解説

現在、授乳中で、医師から抗生物質を処方されていませんか?その薬が赤ちゃんの健康に影響を与えないか、ご心配のことでしょう。あなただけではありません。多くの母親が同じ不安を抱えています。特に、インターネット上の情報や薬に付属する説明書の内容が矛盾しているように見え、大きな混乱を招くことがあります。本記事は、医療専門家の監修のもと、皆様に最も明確で信頼性の高い回答を提供します。どの種類の抗生物質が安全と見なされ、どの種類に注意が必要なのか、なぜこのテーマに関する情報がこれほどまでに分かりにくいのか、そして母子双方の健康を守るために何をすべきかを深く分析します。本記事のすべての情報は、日本および世界の主要な保健医療機関が発表した最新の医学的指針を基に集約・照合されており、皆様に包括的で信頼に足る参考情報を提供することを目的としています。


この記事の科学的根拠

この記事は、入力された研究報告書で明示的に引用されている最高品質の医学的根拠にのみ基づいています。以下は、参照された実際の情報源の一部と、提示された医学的指導との直接的な関連性を示したリストです。

  • 国立成育医療研究センター (NCCHD): 本記事における多くの薬剤の安全性評価、特に日本国内での実践に関する指針は、同センターが公開する「授乳中に安全に使用できると考えられる薬」のリストに基づいています12
  • 米国国立医学図書館 LactMed® データベース: テトラサイクリン系やニューキノロン系抗生物質など、より複雑な薬剤に関する詳細なリスク評価と国際的な専門家の見解は、世界標準の参照資料であるLactMed®のデータに基づいています34
  • 米国かかりつけ医協会 (AAFP): 授乳中の薬剤使用に関する一般的な原則、特に薬剤の母乳への移行を最小限に抑えるための実践的なアドバイスは、AAFPのガイドラインを参考にしています5
  • 日本産婦人科医会 (JSOG): 授乳中の薬物療法に関する日本の産婦人科領域における基本的な考え方や指針は、同学会の見解に基づいています6

要点まとめ

  • ほとんどの抗生物質は安全です:一般的な感染症に処方される抗生物質の大部分は、授乳中に安全に使用できると考えられています。治療のために授乳を中断する必要があるケースは極めて稀です。
  • 自己判断で授乳を止めないでください:母乳育児の恩恵は、母親の服薬によるごくわずかな危険性をはるかに上回ります。母乳は赤ちゃんにとって最良の栄養であり、重要な免疫物質を供給します。
  • 添付文書より医師の判断を信頼してください:日本の医薬品添付文書は、法的な理由から非常に慎重に記載されています。科学的根拠に基づく最新の臨床ガイドラインを熟知している医師や専門機関の助言に従うことが重要です。
  • 服薬のタイミングを工夫しましょう:薬を飲む時間を調整する(例:授乳直後に服用する)ことで、赤ちゃんへの影響をさらに最小限に抑えることができます。
  • 「搾って捨てる」は通常不要です:薬の服用後に搾乳して母乳を捨てる行為は、ほとんどの場合、医学的に不要であり効果もありません。

迅速な回答:ほとんどの抗生物質は授乳中に安全です

まず皆様の不安を和らげるために結論から申し上げますと、抗生物質の使用を理由に授乳を中止しなければならない状況は非常に稀です7。一般的な感染症に対して処方されるほとんどの抗生物質は、授乳期間中も安全であると見なされています。科学的研究や権威ある医療機関からの指針は、母親が薬を使用することによるごくわずかな危険性(もし存在したとしても)よりも、母乳育児を継続することの大きな利益の方がはるかに上回ることを示しています8。母乳は最適な栄養を提供するだけでなく、赤ちゃんを病気から守る重要な抗体を含んでいます。したがって、母親が治療を受けている間も授乳を維持することは非常に重要です。

表1:一般的な抗生物質の迅速な分類

概要を素早く把握していただくために、一般的な抗生物質のグループを授乳中の安全性に基づいて分類した表を以下に示します。

一般的な抗生物質の授乳中の安全性分類
抗生物質の系統 安全性水準 代表的な薬剤例 理由・注意点
ペニシリン系 ✅ 安全性高 アモキシシリン (サワシリン, パセトシン), アンピシリン (ビクシリン) 母乳への移行量は非常に少なく、新生児や乳幼児にも安全に使用されることが多い薬剤です9
セフェム系 ✅ 安全性高 セフカペン (フロモックス), セフジトレン (メイアクト), セファクロル (ケフラール) ペニシリン系と同様に非常に安全で、母乳への移行が少なく、一般的な感染症に対する第一選択薬です10
マクロライド系 ✅ 通常安全 アジスロマイシン (ジスロマック), クラリスロマイシン (クラリス), エリスロマイシン (エリスロシン) 国立成育医療研究センター(NCCHD)などの権威ある機関によって安全と評価され、広く使用されています11
テトラサイクリン系 ⚠️ 注意が必要 ミノサイクリン (ミノマイシン), ドキシサイクリン (ビブラマイシン) 長期使用した場合、子供の歯や骨の発育に影響を与える危険性が指摘されています。しかし、短期的な使用は医師の監督下で許容される場合があります7
ニューキノロン系 ⚠️ 注意が必要 レボフロキサシン (クラビット), シプロフロキサシン (シプロキサン), オフロキサシン (タリビット) 子供の関節軟骨への影響が懸念されています。しかし、一部の特定の薬剤は母乳への移行量が少ないため安全に使用できる場合があります。常に医師との十分な相談が必要です11

ご注意:この表はあくまで迅速な参考情報です。いかなる薬剤の使用も、医師による処方と指導が必要です。


なぜ授乳中の服薬情報は錯綜するのか?日本の「情報格差」を解明する

もしあなたが薬の添付文書を読んで、「服薬中は授乳を中止すること」という一文に戸惑いを感じたことがあるなら、それはあなた一人ではありません。これは日本の母親たちに不必要な不安を引き起こす主な原因の一つです。書類上の推奨事項と、科学的根拠に基づく医療現場の実践との間には、現実に隔たりが存在します。

添付文書:なぜ常に「授乳を中止」と記載されるのか?

添付文書は、基本的には製薬会社が作成する法的な性質を持つ文書です。その主な目的は、起こりうる訴訟の危険性から製造業者を保護することにあります12。そのため、これらの推奨事項の背後にある哲学は、しばしば「絶対安全」です。つまり、ある薬がすべての状況で100%安全であると証明する十分なデータがない場合、法的に最も安全な方法は、使用しないか授乳を中止するよう勧告することなのです12

このことが、驚くべき違いを生み出しています:

  • 日本国内では、添付文書で授乳の中止を推奨している薬剤は75%にものぼります12
  • 一方で、欧米諸国では、この数字はわずか約3%です12

この巨大な格差は、問題が必ずしも薬の危険性そのものにあるのではなく、大部分が日本の製薬業界における法的なアプローチと「危険性回避」の文化に根ざしていることを示唆しています。

臨床ガイドラインと専門機関:科学的根拠に基づく視点

上記のアプローチとは対照的に、国立成育医療研究センター (NCCHD)1日本産婦人科医会 (JSOG)6といった専門医療機関は、科学的根拠と実際の臨床データに基づいた推奨を行っています。彼らは以下のような要因を分析します:

  • 実際に母乳中に移行する薬の量はどのくらいか?
  • 赤ちゃんはその薬の量をどれくらい吸収するのか?
  • 世界中の何千もの授乳中の乳児に対する薬の影響に関する臨床報告。

これらのデータに基づき、専門機関は抗生物質を含むほとんどの薬が、授乳を中止することなく安全に使用できると結論付けています。あなたにとっての重要な結論は、添付文書と(最新の臨床ガイドラインに基づいている)医師の助言との間に相違がある場合、医師やNCCHDのような専門機関を信頼すべきであるということです。彼らは、現代の最も正確な医学知識を反映した情報を提供しています。


黄金律:薬はどのように母乳へ移行し、影響を最小化する方法

薬の使用に際してより自信を持つためには、薬がどのように母乳に移行するかの基本原則を理解することが非常に役立ちます。この知識は、医師と協力して最も安全な選択をする上で、主体的に関わる助けとなります。

母乳に移行する薬の量は実際にはごくわずか

あなたが錠剤を服用すると、薬は血中に吸収されます。血液から、ごく一部の薬が母乳中に拡散することがあります。しかし、この薬の量は通常、極めて低く、ほとんどの場合、母親が服用した量の1%から5%未満に過ぎません13

さらに、話はそこで終わりません。赤ちゃんがこのごく微量の薬を含む母乳を飲むと、薬は赤ちゃんの消化器系に入ります。ここで、その薬の一部だけが赤ちゃんの血中に吸収されます。この過程は、実際に赤ちゃんの体に影響を及ぼす可能性のある薬の量が無視できるほど少なく、もし赤ちゃんが病気で同じ種類の薬を直接処方される場合の治療量よりもはるかに低いことを意味します11

赤ちゃんへの影響を最小限に抑えるための実践的なヒント

母乳への移行量がすでに非常に少ないとはいえ、赤ちゃんが薬に接触する機会をさらに減らすために、いくつかの簡単な戦略を適用することができます。

  • 服薬のタイミングを賢く選ぶ:
    授乳が終わった直後に薬を服用してください。血中(ひいては母乳中)の薬物濃度は、服用後約1〜2時間で最高に達し、その後徐々に減少します。授乳直後に服用することで、次の授乳時間には薬物濃度が最も低い状態になります11。1日1回の服用の場合は、赤ちゃんの最も長い睡眠時間(通常は夜間)の直前に服用するのがよいでしょう5
  • 薬の特性を理解する(医師向け):
    医師は通常、半減期が短い(体からの排泄が速い)、血中タンパクとの結合率が高い(母乳へ移行する自由な薬が少ない)、乳児の経口吸収が悪いといった、より安全な特性を持つ薬を授乳中の女性に優先して処方します5。この選択は、安全性を確保する上で重要な部分です。

よくある誤解:「搾乳して捨てる」必要はあるか?

多くの母親が、薬を服用した後に一定時間「搾乳して捨てる(pump and dump)」よう助言されます。しかし、ほとんどの場合、この助言は不要であり、効果もありません14。理由は非常に単純です。母乳中の薬物濃度は、常にあなたの血中薬物濃度と動的な平衡状態にあります。これは以下のことを意味します:

  • ある時点で母乳を搾り捨てても、その直後に生成される母乳中の薬物濃度は変わりません。
  • あなたの血液中に薬が存在する限り、それは母乳中にも移行し続けます。

母乳中の薬物濃度が低下する唯一の方法は、あなたの体が時間とともに自然に薬を代謝し、体外へ排出するのを待つことです14。「搾乳して捨てる」ことは、貴重な母乳を無駄にするだけでなく、母親に不必要な負担をかけるだけです。代わりに、前述したように服薬のタイミングを合理的に選択することに集中してください。


詳細ガイド:特定の抗生物質の評価

このセクションでは、特定の抗生物質グループについて深く掘り下げ、詳細な情報と複雑な点についての説明を提供し、皆様が最も包括的な理解を得られるようにします。

最も安全なグループ:ペニシリン系とセフェム系

これらは授乳中の母親にとって最も安全で、第一選択とされる二つの抗生物質グループです。

  • 一般的な薬剤:
    • ペニシリン系:アモキシシリン(商品名:サワシリン, パセトシン)、アンピシリン(ビクシリン)13
    • セフェム系:セフカペン(フロモックス)、セフジトレン(メイアクト)、セファクロル(ケフラール)、セフゾン9
  • 安全性の理由:
    • これらは非常に徹底的に研究され、何十年にもわたって広く使用されてきました。
    • 母乳に移行する薬の量は臨床的に意味のないほど極めて微量です。
    • 最も重要なのは、これらが新生児や幼児が感染症にかかった際に直接処方される抗生物質そのものであるという点です。したがって、赤ちゃんが母乳を介して受け取るごく少量の薬は、完全に無害と見なされます11

もう一つの安全な選択肢:マクロライド系

マクロライド系もまた、非常に一般的で安全な選択肢です。

  • 一般的な薬剤:アジスロマイシン(ジスロマック)、クラリスロマイシン(クラリス)、エリスロマイシン(エリスロシン)13
  • 安全性の理由:これらの薬剤は、日本のNCCHDや他の多くの国際的なガイドラインで「授乳中に安全」なリストに含まれています。多くの種類の感染症に有効で、良好な安全性プロファイルを持っています。

注意が必要なグループ:テトラサイクリン系とニューキノロン系 – 「使用を避ける」助言の裏にある真実

これらは、「避けるべき」という一般的な助言のために最も多くの懸念を引き起こす二つの薬剤グループです。しかし、真実はより複雑で繊細です。これらのニュアンスを理解することは、医師とのより効果的な対話に役立ちます。

テトラサイクリン系

  • 一般的な助言:ほとんどの一般的な情報源は、授乳中にテトラサイクリン系(例:ミノサイクリン – ミノマイシン)の使用を避けるよう勧めています。その理由は、薬がカルシウムと結合し、子供の骨の成長に影響を与えたり、永久歯のエナメル質を変色させたりする懸念があるためです7
  • より深い真実と専門家の見解:この助言は、主に子供に直接、長期間薬を投与した場合の既知の影響に基づいています。しかし、母乳を介した薬の摂取に関しては状況が異なります。
    • NCCHDは、このグループに属する薬剤であるドキシサイクリン(ビブラマイシン)を「安全に使用可能」なリストに依然として掲載しています1
    • その理由は、母乳中の豊富なカルシウムが、母乳に移行したわずかな量の薬の大部分と結合するためです。この薬とカルシウムの複合体は、子供の消化器系で吸収されにくいのです5
    • したがって、現代の医学的指針では、母親によるテトラサイクリン系、特にドキシサイクリンの短期間(3〜4週間未満)の使用は許容可能であり、赤ちゃんに重大な危険性をもたらさないと考えられています。

ニューキノロン系

  • 一般的な助言:テトラサイクリン系と同様に、ニューキノロン系(例:レボフロキサシン – クラビット)も避けるよう助言されることがよくあります。主な懸念は、若い動物での研究で、成長中の関節軟骨に損傷を引き起こす可能性が示されたことに由来します7
  • より深い真実と専門家の見解:
    • この懸念は人間で証明されたものではありません。授乳中の乳児への影響に関するデータはまだ非常に限られています。
    • NCCHD1や国際的なデータベースLactMed®15は、シプロフロキサシン(シプロキサン)やオフロキサシン(タリビット)などの薬を、授乳中に使用可能であるとリストアップしています。
    • その理由は、実際に母乳に移行する薬の量が非常に少ないためです。テトラサイクリン系と同様に、母乳中のカルシウムによって赤ちゃんの消化管からの吸収も一部制限されます。

このグループの薬を使用する決定は、母親の治療上の利益と、赤ちゃんに対する理論上の危険性を、医師が慎重に比較検討する必要があります。これらのニュアンスを理解することは、医学が常に更新されていることを示しています。「使用を避ける」という一般的な助言は、新しいデータが利用可能になると、もはや完全には正確でなくなる可能性があります。


よくある質問(Q&A)

授乳中の母親がしばしば遭遇する具体的な状況についての回答を以下に示します。

乳腺炎になりました。どの薬を使えばよいですか?

乳腺炎は一般的な状態です。すべての乳腺炎が細菌感染によるものではなく、抗生物質が必要とは限らないことを知っておくことが重要です。

  • 初期段階(非感染性炎症):胸の一部に痛み、腫れ、わずかな赤みを感じるだけで高熱がない場合、これは乳汁のうっ滞による炎症の可能性があります。この場合、最も効果的な治療法は、炎症と痛みを和らげるための冷却と、イブプロフェンのような非ステロイド性抗炎症薬の服用です16。この段階では通常、抗生物質は不要です。
  • 感染段階:高熱、激しい痛み、広範囲にわたる胸の腫れと赤みなど、より重い症状がある場合、これは細菌性乳腺炎の可能性があります。医師は抗生物質を処方します。最も安全で一般的な選択肢はセフェム系(例:セフゾン、フロモックス、メイアクト)です17

重要な注意点:炎症を起こしている側の胸から授乳を続けること、または搾乳することは非常に重要です。この行為は、詰まった乳管を開通させる助けとなり、治療プロセスの不可欠な部分です16

歯科治療後、抗生物質を飲んでも大丈夫ですか?

はい、全く問題ありません。虫歯、歯肉炎、抜歯などの歯の問題を治療することは、母親の健康を確保するために必要です。

  • 局所麻酔薬:歯科で使用される局所麻酔薬は、血中に有意な濃度で移行することはほとんどなく、したがって母乳に影響を与えません18
  • 抗生物質:感染の予防または治療のために抗生物質が必要な場合、歯科医は通常、セフェム系(フロモックス、メイアクト)ペニシリン系などの安全な薬剤を処方します10
  • 鎮痛剤:アセトアミノフェン(カロナール)が最も安全な鎮痛剤の第一選択です。
風邪や喉の痛みで抗生物質は必要ですか?

これは非常によくある質問です。答えは病気の原因によって異なります。

  • ほとんどの一般的な風邪(鼻水、軽い咳、喉の痛み)はウイルスが原因です。抗生物質はウイルスには全く効果がありません11。不必要な抗生物質の使用は、副作用や薬剤耐性の問題につながる可能性があります。
  • 医師が細菌感染(例:レンサ球菌性咽頭炎、細菌性副鼻腔炎)と診断した場合、彼らはペニシリン系などの安全な抗生物質を処方します。
推奨されていない薬を誤って飲んでしまったらどうすればよいですか?

まず第一に、落ち着いてください。

  • パニックにならないでください:誤って一回分の薬を服用しただけで赤ちゃんに害が及ぶことは極めて稀です。なぜなら、母乳に移行する薬の量はごくわずかで、短時間だからです19
  • 次の行動:
    1. 自己判断で次の服用をしないでください。
    2. すぐに薬を処方した医師または薬剤師に連絡してください。あなたが授乳中であることと、誤って一回分服用したことを伝えます。彼らが最も正確なアドバイスをくれます。
    3. 赤ちゃんに異常な兆候(過度の眠気、不機嫌、発疹、下痢など)がないか観察してください。何か変化に気づいたら医師に報告してください。

信頼できる情報源:どこに助けを求めればよいか

情報が氾濫する現代において、信頼できる助けをどこに求めるかを知ることは非常に重要です。以下は、あなたにとって最良のリソースです。

日本国内:妊娠と薬情報センター

これは、妊娠中および授乳中の薬の使用に関する、日本で最も公式で権威があり、信頼できる相談機関です。このセンターは、政府の主要な医療機関である国立成育医療研究センター(NCCHD)に所属しています20

  • サービス:センターは、授乳中の母親に対して、薬の安全性に関する電話または対面での相談サービスを提供しています20
  • 連絡先情報:相談の申し込み方法、電話番号、受付時間の詳細は、NCCHDの公式ウェブサイトで確認できます21
  • オンラインツール:NCCHDのウェブサイトでは、最新の科学的根拠に基づいて定期的に更新される、授乳中に安全に使用できると考えられる薬のリストも提供されています1

国際的な参考資料:LactMed®データベース

LactMed®は、米国国立衛生研究所(NIH)傘下の米国国立医学図書館(NLM)が維持管理する、無料で非常に信頼性の高いデータベースです5

  • 内容:LactMed®には、何千もの薬、化学物質、ハーブに関する詳細な情報が含まれています。母乳中の薬物濃度、新生児の血中濃度、起こりうる副作用、そしてより安全な代替薬に関するデータを提供します。
  • 利用者:これは、世界中の医師や医療専門家が専門的な情報を調べるために使用する、標準的な参照資料です4

常にあなたの主治医と相談してください

この記事や上記の情報源は、非常に貴重な基礎知識を提供します。しかし、それらは個別の医療アドバイスに代わるものではありません。あなたの主治医は、あなたと赤ちゃんの具体的な健康状態を最もよく理解している人物です。常に以下のことを心がけてください:

  • すべての医師(一般医、歯科医、その他の専門医)に、あなたが授乳中であることを伝えてください。
  • 薬の使用に関する利益と危険性について、医師と共に話し合ってください。
  • 彼らの専門的な助言に基づいて、治療に関する最終的な決定を下してください。

結論

母乳育児の道のりは貴重な経験ですが、特に母親が病気の治療を必要とするときには、困難も伴います。この記事が、あなたに必要な明確さと自信を提供できたことを願っています。以下の要点を心に留めておいてください:

  • ほとんどの抗生物質は安全です:根拠のない恐れのために病気の治療をためらわないでください。
  • 自己判断で授乳を中止しないでください:母乳の利益は非常に大きいです。授乳の中止が必要となることは稀です。
  • 情報源を理解してください:日本の添付文書の情報は、しばしば過度に慎重です。専門医療機関やあなたの医師による、科学的根拠に基づいた臨床ガイドラインを信頼してください。
  • 常に専門家と相談してください:医師は、母子双方にとって安全な決定を下す上で、あなたの最良のパートナーです。

あなた自身の健康を大切にすることは、赤ちゃんをケアする上で不可欠な部分です。正しい知識を身につけ、医療専門家と緊密に協力することで、あなたは病気を乗り越えながら、神聖で意義深い母乳育児の旅を自信を持って続けることができます。

免責事項本記事は情報提供のみを目的としており、専門的な医学的助言を構成するものではありません。健康に関する懸念がある場合、またはご自身の健康や治療に関する決定を下す前には、必ず資格のある医療専門家にご相談ください。

参考文献

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  2. 国立成育医療研究センター. 授乳と薬について知りたい方へ. [インターネット]. [引用日: 2025年7月18日]. Available from: https://www.ncchd.go.jp/kusuri/lactation/
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