糖尿病フットケア チェックシート|5分でできる毎日の観察項目
この記事でわかること
目次
- 糖尿病フットケアとは?毎日の観察が必要な仕組み
- 続けるための工夫 — 「今日はいいや」を減らす3つのコツ
- 3つの仕組み — なぜ「気づいたときには進行している」のか
- 糖尿病フットケア チェックシートの毎日5分観察基準 — どこを・何を見るか
- 家族・介助者と一緒に確認する場合のポイント
- 観察とセットで行う「洗う・乾かす・保湿する」ケア
- 靴と靴下の選び方 — 観察を無駄にしない土台
- 観察の頻度 — リスクの高さで変わる目安
- 日本とIWGDF(国際)のガイドライン比較
- 爪切りと角質ケア — 観察のついでにやりがちな失敗
- 白癬(水虫)を軽く見てはいけない理由
- 「感覚がある」と思っていても要注意な理由
- 自分では確認できない検査 — ABI・振動覚・アキレス腱反射
- 気になる変化があったら — フットケア外来という選択肢
- 糖尿病フットケアのよくある質問
- 参考文献
結論から言うと、糖尿病フットケアは「毎日5分・部位別に見る」だけで潰瘍のサインを早期に見つけられます(IWGDFガイドライン)[3]。
この症状、いつ受診すべきか確認しますか?
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症状はいつから続いていますか?
回答により質問数が変わります・途中でいつでも記事に戻れます
神経障害があると痛みを感じにくく、小さな傷に気づかないまま悪化することがあります。指の間・かかと・足の裏・爪の5カ所を順番に見る習慣が、切断につながる足病変を防ぐ最初の一歩です(糖尿病情報センター)[2]。異常を見つけたら自己判断で処置せず、早めに医療機関へ相談してください。
このページでは、厚生労働省・日本医師会・日本糖尿病学会・日本糖尿病協会が作成した「足チェックシート」[1]と、国際糖尿病足病変ワーキンググループ(IWGDF)の2023年版ガイドライン[3]、看護学領域の観察項目[4]を突き合わせ、「毎日5分・部位別に見る」という一つの手順にまとめています。何かを覚える必要はなく、この順番どおりになぞるだけで、自己流で見落としがちな場所まで確認できます。
要点まとめ
- 国際糖尿病足病変ワーキンググループ(IWGDF)は、足潰瘍リスクのある人に「毎日、足を観察すること」を強く推奨しています(IWGDFガイドライン)[3]
- 日本医師会・日本糖尿病学会・日本糖尿病協会が作成した「足チェックシート」は11項目のはい・いいえ形式で、感覚異常や皮膚の変化を自己確認できます[1]
- 観察は指と指の間・かかと・足の裏・足の甲・爪の5カ所、鏡や家族の協力を使えば所要時間は5分程度です[2]
- 足潰瘍リスクが中〜高(IWGDF risk 2〜3)の人は、1日1回の皮膚温measuring(皮膚温の左右差が2.2℃以上・2日連続)で炎症の予兆を早期に捉える方法も提案されています(IWGDFガイドライン)[3]
- 皮膚の赤み・腫れ・治らない小さな傷・膿・熱感があれば、その日のうちに受診してください(厚労省・学会)[1]
- タコやウオノメ、巻き爪などを自分で削ったり市販薬で処置したりせず、専門の医師に相談することが勧められています(糖尿病情報センター)[2]
編集方針: JHO編集部がAIツールの支援を受け、厚生労働省・国立国際医療研究センター(糖尿病情報センター)・国際糖尿病足病変ワーキンググループ(IWGDF)・査読済み看護学論文と照合して作成。最終確認は人の目で行っています。医師による個別診断の代わりにはなりません。チェックシートの項目やガイドラインの推奨は改定により変わることがあります(更新日:2026年8月10日時点)。誤りや古い情報にお気づきの場合は、お問い合わせフォームからご指摘いただければ確認のうえ修正いたします。
糖尿病フットケア・毎日5分フットチェック・5ステップ
- 明るい場所に座り、靴下を脱ぐ(① 準備)
- 指と指の間を1本ずつ広げて見る(② 指間)
- かかとと足の裏を鏡に映して見る(③ 底面)
- 足の甲・くるぶし・爪を見て触れる(④ 甲・爪)
- 今日はいた靴の中に異物や段差がないか手で確認する(⑤ 靴)
見えない場所は鏡(合わせ鏡)を使うか、家族に見てもらいましょう(糖尿病情報センター)[2]。入浴後、靴下を脱いだ流れの中に組み込むと、新しく「観察の時間」を作らなくても続けやすくなります。長時間歩いた日や運動をした日は、圧迫や摩擦による小さな傷ができやすいため、いつもより時間をかけて丁寧に見ることが勧められています(糖尿病情報センター)[2]。5ステップのうち①〜④は自分の目と手で、⑤は靴を脱いだ直後に行うと、1日の中で自然な流れになります。ウォーキングなど運動を習慣にしている人は、運動直後をチェックのタイミングにするのもおすすめです。血糖コントロール全体の基本は食事療法など足のケア以外の対策とも合わせて考えることが大切です。
糖尿病フットケアとは?毎日の観察が必要な仕組み
糖尿病で高血糖の状態が長く続くと、神経障害と動脈硬化による血流障害が同時に起こりやすくなります。神経障害が進むと足の感覚が鈍くなり、小さな傷や靴擦れがあっても痛みとして気づけません。血流障害があると、できてしまった傷を治すための血液や酸素が届きにくく、治癒が遅れます。さらに高血糖は体の抵抗力を落とすため、細菌感染も起こりやすくなります(糖尿病情報センター)[2]。この「気づけない・治りにくい・感染しやすい」という3つが同時に重なることで、小さな傷が潰瘍や壊疽まで進行し、最終的に足の切断に至ることがあります。だからこそ、傷ができる前の段階で「毎日見て、触って気づく」ことが唯一の予防策になります。
ここで重要なのは、観察を「なんとなく眺める」で終わらせないことです。日本フットケア学会雑誌に掲載された報告では、足の変形、爪の状態(爪白癬・陥入爪・巻き爪・深爪)、皮膚損傷、胼胝(たこ)・鶏眼(うおのめ)、浮腫(むくみ)、皮膚の色、脱毛の有無、足背動脈・後脛骨動脈の触知など、部位ごとに具体的な観察点を系統立てて確認することの重要性が指摘されています[4]。「見る」対象をあらかじめ部位別に決めておくことで、感覚が鈍っていても見落としを減らせます。
また、視力低下も見落としの一因です。糖尿病網膜症などで視力が低下すると、傷などの足の変化そのものに気づきにくくなり、放置したまま潰瘍や壊疽に進行してしまうことがあると報告されています[2]。視力に不安がある場合は、鏡を使う工夫だけでなく、家族など周囲の人に定期的に見てもらう体制を作ることも有効な対策です[2]。
チェックリストという「形」にする理由もここにあります。感覚や記憶だけに頼ると、忙しい日や体調がすぐれない日にケアが抜け落ちがちです。指の間・爪・かかとと足の裏・足の甲・感覚という5つの確認先を固定し、入浴後など決まったタイミングに組み込むことで、判断せずに体が動く「習慣」に近づけることができます。
今の血圧・脈拍を確かめる
数値を入れると、日本高血圧学会の血圧値の分類と「次にすること」を表示します。記録はこの端末の中だけに保存され、登録は不要です。
身長と体重からBMIも調べる
血圧手帳(この端末に保存)
これは診断ではありません。入力された数値を日本高血圧学会の血圧値の分類(高血圧の基準は診察室 140/90mmHg以上・家庭 135/85mmHg以上)に当てはめて「受診の目安」を機械的に示すもので、医師の診察に代わるものではありません。日本高血圧学会「高血圧管理・治療ガイドライン2025」では、降圧目標は年齢によらず診察室 130/80mmHg未満・家庭 125/75mmHg未満とされています。脈拍の目安は学会の分類ではなく一般的な参考範囲です。
続けるための工夫 — 「今日はいいや」を減らす3つのコツ
チェックの内容自体は難しくありませんが、続けることの方が難しいと感じる人は少なくありません。以下は、観察を生活の中に組み込みやすくするための工夫です。
| 工夫 | 具体例 |
|---|---|
| 既存の行動にくっつける | 入浴後、靴下を脱いだ直後など「すでに毎日やっていること」の直後に組み込む |
| 道具を手の届く場所に置く | 鏡・保湿クリーム・爪切りを脱衣所やベッド脇にまとめておく |
| 記録を簡略化する | チェックシートの項目に丸をつけるだけにし、文章での記録は異常があった日だけにする |
特に「①準備→②指間→③底面→④甲・爪→⑤靴」という順番を固定しておくと、途中で気が散っても抜けている工程に気づきやすくなります。この順番自体はガイドラインが定めたものではなく、部位別の観察という考え方[3][4]を毎日続けやすい形に整理したものです。順番を紙に書いて洗面所や脱衣所に貼っておくだけでも、思い出すきっかけとして役立ちます。
この手順表は、次章で紹介する「毎日5分の観察基準」の表と組み合わせて使うと、部位ごとに何を見ればよいかが一目でわかるようになります。
出典:厚生労働省・日本医師会・日本糖尿病学会・日本糖尿病協会「糖尿病患者さん 足チェックシート」[1]/国立国際医療研究センター 糖尿病情報センター「フットケア」[2]/日本フットケア学会雑誌17巻2号[4]をもとにJHO編集部が作図。
3つの仕組み — なぜ「気づいたときには進行している」のか
糖尿病情報センターは、足病変につながる仕組みを3つに整理しています[2]。
| 仕組み | 足に起こること |
|---|---|
| 糖尿病性神経障害 | 足の感覚が鈍くなり痛みを感じにくいため、ケガややけどなど足の異常に気づきにくく、放置しやすくなる。足や指の変形も起こり、たこや靴ずれができやすくなる[2] |
| 血流障害 | 動脈硬化などで足の血流が悪くなると、傷を治すために必要な血液や酸素が行き渡らず、傷が治りにくくなり潰瘍や壊疽まで進んでしまうことがある[2] |
| 抵抗力の低下 | 体の抵抗力が低下し、細菌に感染しやすくなったり、傷口が化膿しやすくなったりする[2] |
この3つは別々に起こるのではなく、同じ人の中で同時に進むことが多いとされています。「痛くないから平気」ではなく「痛くないからこそ、目と手で確認しないと気づけない」という前提に立つことが、チェックリストを使う一番の理由です。
末梢血管障害の評価では、足背動脈・後脛骨動脈の触知に加えて、冷感・間欠性跛行(歩くと足が痛くなり休むと治まる症状)・安静時の痛みといった自覚症状の有無も確認項目とされています(学会誌の報告)[4]。動脈硬化が進行すると動脈が触知しにくくなることもあり、その場合は簡易ドプラーやABIなどの検査で評価する必要があるとされています(学会誌の報告)[4]。冷感や間欠性跛行のような症状に心当たりがある場合は、チェックシートの結果にかかわらず、次の受診時に必ず伝えることが勧められます。歩いているときだけ痛みが出て休むと治まる、坂道や階段で特に足が重く感じるといった変化も、間欠性跛行の一種として扱われることがあるため、些細に思えても記録しておく価値があります[4]。
糖尿病フットケア チェックシートの毎日5分観察基準 — どこを・何を見るか
IWGDFは足潰瘍リスクのある人に対し、足を洗って乾かし、爪を切りそろえた上で「毎日、足の裏側を含めた全体を観察すること」を強い推奨(Strong recommendation)として示しています(IWGDFガイドライン)[3]。日本の看護学領域でも、足の変形・爪の状態(爪白癬・陥入爪・巻き爪・深爪)・皮膚損傷・胼胝(たこ)・鶏眼(うおのめ)・浮腫・皮膚の色・脱毛の有無を系統的に観察する重要性が報告されています[4]。以下は、この2つの情報源をもとに整理した部位別のチェック項目です。
| 部位 | 見る・触るポイント | 備考 |
|---|---|---|
| 指と指の間 | 赤み、ふやけ、白癬(水虫)の有無 | 湿った状態が続くと感染しやすい[2] |
| 爪 | 肥厚、白癬、陥入爪、巻き爪、深爪の有無 | 爪の角は深く切り落とさない[4] |
| かかと・足の裏 | 乾燥、ひび割れ、胼胝(たこ)、鶏眼(うおのめ) | 圧迫が原因でできることが多い[4] |
| 足の甲・全体 | 赤み、腫れ、浮腫(むくみ)、皮膚の色、脱毛 | 血流低下のサインのことがある[4] |
| 感覚 | ジンジン・ピリピリ、しびれ、痛み、感覚の鈍さ | 問診票形式で「はい・いいえ」を確認[1] |
出典:厚生労働省・日本医師会・日本糖尿病学会・日本糖尿病協会「糖尿病患者さん 足チェックシート」[1]/国立国際医療研究センター 糖尿病情報センター「フットケア」[2]/日本フットケア学会雑誌17巻2号[4]
皮膚の損傷は、外反母趾や内反小趾、ハンマートゥ、クロウトゥ、シャルコー関節(足の骨の変形)といった足の形の変化と関係していることがあります[4]。胼胝(たこ)や鶏眼(うおのめ)の多くは圧迫が原因で起こるため、「同じ場所に繰り返しできる」場合は、靴や歩き方に負担のかかりやすいポイントがある可能性があります(学会誌の報告)[4]。毎日の観察で同じ場所に変化を見つけたときは、その場所だけでなく履いている靴のサイズや形も一緒に見直すことが勧められます。
すぐに受診が必要なサイン(受診の目安)
- 皮膚が赤くなったり腫れたりしている部分がある(厚労省・学会)[1]
- 小さな傷でもなかなか治らない(厚労省・学会)[1]
- 傷の周囲が赤くなる、熱を持つ、腫れる、膿が出る(糖尿病情報センター)[2]
- 左右の足で皮膚温に明らかな差を感じる、または左右差が2.2℃以上の状態が2日続く(皮膚温を自己測定している場合)(IWGDFガイドライン)[3]
これらのサインは、チェックシートの「はい」に丸がつく項目とも重なります。自分では様子を見てよいか判断がつかないときは、赤み・腫れ・治らない傷・膿・熱感という4点だけでも覚えておき、いずれかに当てはまれば当日〜翌日を目安に医療機関へ連絡することが勧められています(厚労省・学会)[1]。
家族・介助者と一緒に確認する場合のポイント
視力の低下や体が硬く足の裏まで手が届かないなど、一人での観察が難しい人もいます。糖尿病情報センターは、見えない場所は鏡を使うほか、家族などに協力してもらうことを具体的な方法として挙げています[2]。家族が確認する場合も、見るポイントは本人が一人で行う場合と同じで構いません。指の間・かかとと足の裏・足の甲・爪の4カ所を、明るい場所で毎日同じタイミングに見る形にすると、担当が変わっても抜け漏れが起きにくくなります。気になる変化があった日は、色・大きさ・触れたときの熱感をメモしておくと、次の受診時にそのまま伝えられます。
観察とセットで行う「洗う・乾かす・保湿する」ケア
毎日の観察は、清潔ケアと同じタイミングで行うと習慣化しやすくなります。国立国際医療研究センター糖尿病情報センターは、石けんをよく泡立てて柔らかいタオルやスポンジで優しく洗うこと、指の間も忘れずに洗うこと、洗った後は皮膚をこすらず押さえるようにして水気を拭き取ることを勧めています[2]。皮膚が乾燥している場合は保湿クリームを塗りますが、指の間は湿って水虫の原因になることがあるため保湿クリームを避けるとされています(糖尿病情報センター)[2]。IWGDFも、足潰瘍リスクのある人に対して「毎日足を洗い、特に指の間を丁寧に乾かし、乾燥した皮膚には保湿剤を使い、爪はまっすぐ切りそろえる」ことを強い推奨として示しており、日本側の案内と同じ方向を向いた内容です(IWGDFガイドライン)[3]。なお、IWGDFは足を長時間お湯に浸す「足浴」を避けるよう補足している点も押さえておきたいポイントです(IWGDFガイドライン)[3]。
| 手順 | やること | 注意点 |
|---|---|---|
| ① 洗う | 石けんを泡立て、柔らかいタオルやスポンジで指の間まで洗う | 長時間の足浴は避ける[3] |
| ② 乾かす | こすらず押さえるように拭き、指の間を特に丁寧に乾かす | 湿ったままだと白癬(水虫)の原因になる[2] |
| ③ 保湿する | 乾燥した部分に保湿クリームを塗る | 指の間は避ける[2] |
| ④ 爪を切る | まっすぐ切りそろえる(スクエアカット) | 爪の角を深く切り落とさない[3] |
靴と靴下の選び方 — 観察を無駄にしない土台
どれだけ丁寧に足を観察しても、合わない靴や靴下で新しい傷ができてしまえば意味がありません。糖尿病情報センターは、つま先に1センチ程度の余裕があり足の形に合った靴、革や内貼りが柔らかく内部に硬い縫い目のない靴、クッション性がよく靴底が安定した靴を選ぶことを勧めています[2]。運動や散歩の際は、足首が固定されるよう紐やマジックテープの付いた運動靴が推奨されています。神経障害がある人は、履く前に靴の中に異物がないか確認することも大切なポイントです(糖尿病情報センター)[2]。靴下については、吸湿性の良い綿素材で、内側の縫い目がゴツゴツしていない、きつすぎないものを選び、血行を妨げる重ね履きは避けます。水虫予防の観点から5本指靴下も勧められています(糖尿病情報センター)[2]。IWGDFも、素足での歩行・靴を履かない靴下だけでの歩行・薄底スリッパでの歩行を避けるよう教育することを強い推奨としており、屋内外を問わず足を保護する重要性を強調しています(IWGDFガイドライン)[3]。
見落としやすい「低温やけど」にも注意
- 湯たんぽや電気あんかによる低温やけど。使う場合は寝る前にスイッチを切る、設定温度を最低にする、厚手のバスタオルで包むといった対策が必要(糖尿病情報センター)[2]
- バスや電車の温風吹き出し口に足を近づけすぎない(糖尿病情報センター)[2]
- 夏の炎天下で素足のまま砂浜やプールサイドを歩かない(糖尿病情報センター)[2]
感覚が鈍っていると熱さそのものに気づけないため、「熱いと感じなかったから大丈夫」ではなく、器具の使い方そのものを見直すことが勧められています(糖尿病情報センター)[2]。
観察の頻度 — リスクの高さで変わる目安
IWGDFは、足潰瘍リスクの段階(IWGDF risk 0〜3)に応じて、医療者による定期チェックの頻度を分けて推奨しています。risk 1(神経障害または末梢動脈疾患のいずれか一方がある)は6〜12カ月ごと、risk 2(両方がある、または変形を伴う)は3〜6カ月ごと、risk 3(潰瘍や切断の既往がある)は1〜3カ月ごとに、医療者による診察を受けることが推奨されています(IWGDFガイドライン)[3]。一方で、自分自身による毎日の観察は、このリスク段階にかかわらず全員に共通して推奨されている点が重要です(IWGDFガイドライン)[3]。
| IWGDFリスク分類 | 医療者による定期チェック | 自分での毎日の観察 |
|---|---|---|
| risk 1(神経障害または血流障害の一方) | 6〜12カ月ごと | 毎日[3] |
| risk 2(両方あり、または変形を伴う) | 3〜6カ月ごと | 毎日(皮膚温の自己測定も検討)[3] |
| risk 3(潰瘍・切断の既往あり) | 1〜3カ月ごと | 毎日[3] |
出典:IWGDF Guideline on the Prevention of Foot Ulcers in Persons with Diabetes(2023年版)(IWGDFガイドライン)[3]
自分がどのリスク段階にあるかは自己判断ではわからないため、フットケア外来や主治医に一度確認しておくと、日々のチェックの緊張感が変わります(糖尿病情報センター)[2]。IWGDFのリスク分類は、末梢神経障害による感覚低下(LOPS)や末梢動脈疾患(PAD)の有無、潰瘍・切断の既往、変形の有無、関節可動域の制限、過剰な胼胝や前潰瘍性病変の有無といった項目を医療者が評価して決められます(IWGDFガイドライン)[3]。数値や器具を使った専門的な評価が必要なため、「痛みがないから大丈夫」と自己判定するのではなく、次の診察のタイミングで一度確認しておくことをおすすめします。
日本とIWGDF(国際)のガイドライン比較
| 項目 | 日本(厚労省・日本医師会・日本糖尿病学会等 2007年版) | IWGDF(国際 2023年版) |
|---|---|---|
| 毎日の足観察 | 問診票(はい・いいえ11項目)で自覚症状と外観変化を確認[1] | 「毎日、足全体を観察する」ことを強い推奨として明記[3] |
| 皮膚温の自己測定 | チェックシートには項目なし(医療者が振動覚等を測定)[1] | 中〜高リスク者に1日1回の皮膚温自己測定を条件付きで推奨[3] |
| 受診間隔の目安 | チェックシート自体には明記なし。フットケア外来など医療機関が個別に設定[2] | リスク段階別に1〜3カ月・3〜6カ月・6〜12カ月と数値で明記[3] |
日本の代表的なチェックシートは「症状の有無」を自己申告する問診形式が中心で、皮膚温の自己測定や受診間隔の数値目安までは踏み込んでいません。IWGDFはこの2点を数値付きで補っており、両方を組み合わせることで、感覚(問診)と数値(皮膚温・受診間隔)の両面から足を見る習慣を作れます(厚労省・学会)[1](IWGDFガイドライン)[3]。
もう一つの共通点は、どちらも「医療者による定期チェック」と「本人による毎日の観察」を分けて位置づけている点です。日本のチェックシートは医師記入欄を備え、外来受診時に医療者が振動覚やアキレス腱反射を確認する仕組みとセットで使われます(厚労省・学会)[1]。IWGDFも、医療者による定期的な足のスクリーニングとは別に、本人が毎日行う観察・洗浄・保湿・靴の中の確認を明確に区別して推奨しています(IWGDFガイドライン)[3]。つまり「毎日5分のセルフチェック」は医療機関での診察の代わりになるものではなく、次の受診までの間を埋める役割だと理解しておくと、過信も先延ばしも防ぎやすくなります。
もう一つ押さえておきたいのは、セルフチェックの「型」自体は今日から一人でも始められるという点です。医療機関でリスク段階の判定を受けていなくても、指の間・爪・かかとと足の裏・足の甲・感覚という5カ所を見る習慣を先に作っておき、次の受診でリスク段階や推奨頻度を確認したときに、そのまま続ける・回数を増やすといった調整を行う進め方でも問題ありません(糖尿病情報センター)[2](IWGDFガイドライン)[3]。「正しいリスク段階が分かってから始める」のではなく、「まず始めて、分かった時点で調整する」という順番の方が、習慣として続けやすいという考え方です。この記事のチェックリストは、その「まず始める」ための最小単位として作られています。
爪切りと角質ケア — 観察のついでにやりがちな失敗
チェックの流れで爪や硬くなった皮膚が気になり、自己流で処置してしまう人は少なくありません。しかし、たこ(胼胝)やうおのめ(鶏眼)を自分で削ったり、市販薬を使ったりすることは危険とされています。原因や状態によって対処法が異なり、誤った自己処置がかえって傷をつくるおそれがあるため、専門の医師に相談することが勧められています(糖尿病情報センター)[2]。爪については、深爪をせず、爪の角を深く切り落とさないことが基本です。巻き爪になっている場合は、短く丸く切るのではなく、長めにまっすぐ切ることが勧められています(糖尿病情報センター)[2]。日本フットケア学会雑誌の報告でも、爪の肥厚や陥入爪、巻き爪、深爪は観察すべき代表的な項目として位置づけられており、「どう切るか」だけでなく「なぜその状態になったのか」まで含めて医療者と共有することの重要性が指摘されています[4]。爪切りに使うはさみや爪切りは、傷をつけないよう先端が鋭すぎないものを選び、暗い場所や急いでいるときの爪切りは避けることも、日々のチェックと合わせて意識したいポイントです。
白癬(水虫)を軽く見てはいけない理由
足チェックシートには「みずむしなど足に感染症がある」かどうかを確認する項目があります(厚労省・学会)[1]。指と指の間は湿りやすく、白癬菌が繁殖しやすい場所です。皮膚のバリアが壊れると、そこから細菌が入り込み、抵抗力が落ちている状態と重なって感染が広がりやすくなります(糖尿病情報センター)[2]。指の間を洗ったあとにしっかり乾かすこと、5本指靴下を活用することは、単なる好みの問題ではなく、白癬の発生そのものを防ぐための具体的な対策として紹介されています(糖尿病情報センター)[2]。すでに白癬がある場合は自己判断で市販薬に頼らず、皮膚科または主治医に相談することが望まれます。爪の白癬(爪白癬)も見た目の変化だけで市販薬を選びがちですが、爪が厚くなる原因は白癬以外にもあり、誤った処置がかえって爪や周囲の皮膚を傷つけることがあるため、まずは医療機関での確認が優先されます(学会誌の報告)[4]。
「感覚がある」と思っていても要注意な理由
チェックシートの「はい・いいえ」項目には、しびれやジンジン・ピリピリといった自覚症状が含まれています(厚労省・学会)[1]。看護学の報告では、患者が訴える違和感として「足の裏に何か張り付いている感じ」「じんじんする」「砂利の上を歩いている感じ」といった表現が紹介されています[4]。ここで注意したいのは、神経障害が進行すると、こうした自覚症状そのものが消えてしまうことがある点です[4]。つまり「最近しびれを感じないから良くなった」のではなく、「感じにくくなっている」可能性もあるということです。自覚症状の有無だけに頼らず、見て・触って確認する習慣が欠かせない理由がここにもあります。感覚の異常は性別によって現れ方が異なる場合もあり、男性に特有の糖尿病の初期症状のように、足以外のサインと合わせて確認しておくと見落としを減らせます。
自分では確認できない検査 — ABI・振動覚・アキレス腱反射
毎日のセルフチェックは「見て・触って気づく」ことが中心ですが、血流や神経の状態そのものを数値で評価するには医療機関での検査が必要です。看護学領域の報告では、足背動脈・後脛骨動脈の触知、ABI(足関節上腕血圧比)・TBPI(足趾上腕血圧比)といった血流の指標が、日々の観察と合わせて確認すべき項目として挙げられています[4]。日本の足チェックシートの医師記入欄にも、アキレス腱反射(異常・消失・減弱・正常)や振動覚の秒数を記録する欄が設けられています(厚労省・学会)[1]。これらはセルフチェックでは代替できない項目のため、「毎日5分の自己観察」と「定期的な医療機関での検査」は、どちらか一方ではなく両方が必要な関係にあると理解しておくことが大切です。
気になる変化があったら — フットケア外来という選択肢
足潰瘍や足壊疽などの糖尿病性足病変の予防を目的として、糖尿病の方を対象とした「フットケア外来」を開設している医療機関があります。看護師が一人ひとりに適した日々のお手入れ方法を一緒に考え、自分でケアできるよう手伝う外来です(糖尿病情報センター)[2]。チェックシートで気になる項目に丸がついた場合や、自分の観察に自信が持てない場合は、まずかかりつけの糖尿病の主治医に相談し、フットケア外来の有無を確認してみるとよいでしょう(糖尿病情報センター)[2]。すでに糖尿病性皮膚トラブルが疑われる変化がある場合は、そちらも合わせて確認してください。フットケア外来では、看護師が一人ひとりの生活状況や、これまでの足のお手入れ方法、傷ができたときにどう対処してきたかといった点まで確認しながら、その人に合った方法を一緒に考えていきます(学会誌の報告)[4]。チェックシートで気づいたことをそのまま伝えるだけでも、初回の相談はスムーズに進みます。
| 適用時期 | 年収の目安 | 計算式 | 100万円の場合 |
|---|---|---|---|
| ~2026年7月診療分 現行 | 年収約370万~770万円(区分ウ) | 80,100円+(医療費-267,000円)×1% | 87,430円 |
| 2026年8月診療分から 見直し後(第1段階) | 年収約370万~770万円(区分ウ) | 85,800円+1%(PDF原文の表記) | 約92,940円<br><small>(編集部試算)</small> |
| + 年間上限 53万円(新設) | |||
※「100万円の場合」の金額のうち、現行(~2026年7月)欄は出典PDFに記載の計算例そのものです。2026年8月欄について、出典PDFに印字されているのは「85,800+1%」という表記のみです。1%を乗じる基準額(現行の267,000円に相当する部分)と、100万円の場合の約92,940円は、PDFに印字されておらず、現行制度と同じ計算方法にもとづくJHO編集部試算です。正確な金額は加入されている健康保険組合等にご確認ください。
※ 制度は改定されることがあります。受診・手術の時期によって自己負担額が変わるため、最新の情報は
厚生労働省の高額療養費制度ページで必ずご確認ください。
出典:厚生労働省「高額療養費制度の在り方に関する専門委員会」(令和7年12月16日) (PDF)
|JHO確認日:2026-07-16
糖尿病フットケアのメモ — 受診時に持参する記入用シート
- 気になる症状がいつから続いているか(例:右足の指の間の赤みが3日前から)
- 現在使っている薬(インスリン・血糖降下薬など)
- 直近1週間の血糖値・HbA1cの記録(わかる範囲で)
- チェックシートで「はい」に丸をつけた項目
- 医師に聞きたいこと(例:この傷は様子見でよいか、フットケア外来を受けるべきか)
診察時間は限られていることが多く、口頭だけで症状の経過を正確に伝えるのは意外と難しいものです。チェックシートに丸をつけた項目や、気になった日付をメモにしておくだけで、医師は「いつから」「どの部位が」「どう変化したか」を短時間で把握できます。特に、痛みを感じにくい神経障害がある人ほど、自覚症状に頼らない記録が診断の助けになります(学会誌の報告)[4]。
皮膚温を自己測定する場合の具体的な機器の選び方や測定手順の標準化については、今回参照した資料には詳しい記載が見当たりませんでした。導入を検討する場合は、フットケア外来や主治医に相談してください。また、妊娠糖尿病や1型糖尿病など糖尿病の種類ごとに観察頻度をどう変えるべきかについても、今回参照した資料には具体的な記載が見当たりませんでした。糖尿病の種類にかかわらず、まずは主治医に自分のリスク段階を確認することをおすすめします。
糖尿病フットケアのよくある質問
糖尿病フットケアのチェックは毎日どのくらいの時間がかかりますか?
自分の足の裏が見えにくいのですが、どうすればよいですか?
タコやウオノメを見つけたら、自分で削ってもよいですか?
傷を見つけた場合、まず何をすればよいですか?
皮膚温を測る自己チェックは誰にでも必要ですか?
爪はどのように切ればよいですか?
靴下や靴はチェックの対象になりますか?
足チェックシートに「はい」がついた項目があれば、その日のうちに受診すべきですか?
長時間歩いた日は、いつも以上に念入りに見た方がよいですか?
足浴(お湯に足を浸すケア)は毎日のケアに含めてよいですか?
チェックシートで異常がなかった日は、翌日は省略してもよいですか?
参考文献
- 厚生労働省・日本医師会・日本糖尿病学会・日本糖尿病協会(糖尿病対策推進会議)「糖尿病患者さん 足チェックシート」2007年 https://www.mhlw.go.jp/shingi/2007/06/dl/s0629-11f_0021.pdf
- 国立国際医療研究センター研究所 糖尿病研究センター「糖尿病情報センター:フットケア」更新日2026年1月15日 https://dmic.jihs.go.jp/general/about-dm/040/070/11.html
- The International Working Group on the Diabetic Foot「IWGDF Guideline on the Prevention of Foot Ulcers in Persons with Diabetes」2023年 https://iwgdfguidelines.org/wp-content/uploads/2023/07/IWGDF-2023-02-Prevention-Guideline.pdf
- 日本フットケア学会雑誌17巻2号「糖尿病患者への予防的フットケアの意義」2019年 https://www.jstage.jst.go.jp/article/footcare/17/2/17_83/_pdf/-char/ja
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