この記事の科学的根拠
この記事は、入力された研究報告書で明示的に引用されている最高品質の医学的根拠にのみ基づいています。以下のリストには、実際に参照された情報源と、提示された医学的ガイダンスとの直接的な関連性のみが含まれています。
- 妙佑医療国際 (Mayo Clinic): 本記事における肝臓の機能、肝疾患の症状、肝硬変の原因に関する記述は、世界的に評価の高い医療機関である妙佑医療国際が提供する情報に基づいています1233。
- 日本肝臓学会: 日本における肝がんの動向、NAFLD/NASHの診療ガイドラインに関する記述は、日本の肝臓学をリードする日本肝臓学会が発行した「肝がん白書」および各種診療ガイドラインを根拠としています1626。
- 厚生労働省: 日本の肝炎対策、医療費助成制度、肝疾患診療連携拠点病院に関する情報は、日本の公衆衛生を司る厚生労働省の公式発表に基づいています47。
- 米国肝臓学会 (AASLD) および欧州肝臓学会 (EASL): 肝硬変の管理、肝性脳症、NAFLDの評価に関する国際的な標準治療に関する記述は、これらの国際的な学会が策定した診療ガイドラインに基づいています21293943。
- 世界保健機関 (WHO): ウイルス性肝炎の排除に向けた世界的な目標に関する記述は、世界保健機関の公式報告に基づいています61。
要点まとめ
- 肝臓は「沈黙の臓器」と呼ばれ、自覚症状が出にくいため、定期的な健康診断による早期発見が極めて重要です。
- 日本の肝疾患の原因は、C型肝炎治療の進歩によりウイルス性が減少し、代わりにアルコールや肥満、糖尿病に関連する脂肪肝(MASLD/NASH)が急増しています。
- だるさ、食欲不振は初期症状の可能性があります。黄疸、腹水、意識障害は肝硬変が進行した危険なサインであり、直ちに医療機関の受診が必要です。
- C型肝炎は飲み薬(DAA)で95%以上が完治可能になりました。B型肝炎はウイルスの増殖を抑えるコントロールが治療の主軸です。
- 日本には、高額な肝炎治療の医療費を助成する制度や、専門的な相談が可能な「肝疾患診療連携拠点病院」などの手厚い支援体制が整っています。
第1章:肝臓入門:「沈黙の臓器」の重要性と病気のサイン
肝臓は、私たちの健康と生命を維持するために不可欠な、複雑で重要な役割を担う臓器です。しかし、その機能が損なわれ始めても、初期段階では明確なサインを発しないことが多く、「沈黙の臓”」として知られています。この章では、まず肝臓の基本的な働きと、なぜ症状が出にくいのか、そして病気が静かに進行する過程を理解することから始めます。この知識は、肝疾患の早期発見と予防の第一歩となります。
1.1. 生命を支える多機能工場:肝臓の主な働き(代謝、解毒、胆汁生成)
肝臓は腹部の右上に位置し、成人では重量が最大1.8 kgにも達する人体最大の内部臓器です1。この臓器は、単なる一つの器官ではなく、生命維持に不可欠な化学反応を絶え間なく行う巨大な「化学工場」に例えられます。その主な機能は、大きく分けて三つあります。
第一に代謝機能です。食事から摂取した栄養素(糖質、脂質、タンパク質)は、腸で吸収された後、門脈という血管を通ってまず肝臓に運ばれます。肝臓はこれらの栄養素を体が必要とするエネルギー源や、筋肉、ホルモン、酵素などの構成要素に変換します。例えば、血液の浸透圧を維持し、さまざまな物質を運搬するアルブミンや、出血時に血液を固めるために必要な凝固因子といった重要なタンパク質は、肝臓で合成されます2。この代謝機能が低下すると、体はエネルギー不足に陥り、栄養状態が悪化します。
第二に解毒機能です。肝臓は、体にとって有害な物質を無毒化し、体外へ排泄するフィルターの役割を果たします。アルコールや薬物、そして体内で生成されるアンモニアやビリルビン(赤血球の分解物)といった老廃物がその代表です2。肝臓はこれらの有害物質を分解し、水に溶けやすい形に変えて、尿や胆汁とともに排泄します。この解毒機能が損なわれると、有害物質が体内に蓄積し、脳や他の臓器に深刻なダメージを与える可能性があります。
第三に胆汁の生成と分泌です。肝臓は1日に約500~1000 mLの胆汁を生成します。胆汁は、脂肪の消化・吸収を助ける消化液であり、脂溶性ビタミン(A, D, E, K)の吸収にも不可欠です。また、コレステロールやビリルビンといった不要な物質を体外に排泄する経路としても機能します4。胆汁の流れが滞ると、脂肪の消化不良や、ビリルビンの蓄積による黄疸が生じます。
これらの機能は相互に関連し合っており、一つが損なわれると他の機能にも影響が及びます。肝臓が健康な状態を保つことが、全身の健康を維持する上でいかに重要であるかがわかります。
1.2. なぜ「沈黙」するのか?症状が出にくい理由と早期発見の重要性
肝臓が「沈黙の臓器」と呼ばれるのには、二つの大きな理由があります。一つは、肝臓の内部には痛みを感じる神経がほとんど分布していないことです5。そのため、肝細胞が炎症を起こしたり、破壊されたりしても、直接的な痛みとして感じることがありません。右上腹部に不快感や重苦しさを感じることがあっても、それは病気がかなり進行し、肝臓が腫れて周囲の膜(肝被膜)を圧迫した場合などが多く、初期のサインとは言えません。
もう一つの理由は、肝臓が持つ驚異的な「予備能力」と「再生能力」です2。肝臓は、その一部が損傷しても、残りの健康な部分が機能を代行する高い予備能力を持っています。症状が明らかになるのは、多くの場合、肝機能が正常の半分以下にまで低下してからと言われています8。さらに、肝臓は再生能力が非常に高い臓器であり、手術で一部を切除しても元の大きさに戻ることができます。
この沈黙は、短期的には生命を維持するための優れた特性ですが、慢性的な病気の進行においては大きな落とし穴となります。B型肝炎やC型肝炎のようなウイルス感染、あるいは非アルコール性脂肪肝(MASLD)のような生活習慣病は、自覚症状がないまま数十年という長い年月をかけて静かに肝臓を蝕んでいきます2。患者自身が「何かおかしい」と感じて医療機関を受診した時には、すでに病状が進行し、治療が困難な肝硬変や肝がんに至っているケースが少なくありません。
この「発症」と「自覚症状の出現」の間に存在する危険なタイムラグを埋める唯一の方法が、定期的な健康診断による早期発見です。特に、後述するようなリスク因子を持つ人は、症状がなくても積極的に肝機能検査や肝炎ウイルス検査を受けることが、自らの肝臓を守るために極めて重要となります9。病気が可逆的な段階、つまり肝臓の炎症や初期の線維化の段階で発見できれば、進行を食い止め、健康な状態を取り戻すことも可能なのです。
1.3. 肝臓病の進行ステップ:健康な肝臓から肝炎、肝硬変、そして肝がんへ
肝疾患の多くは、原因は異なっても、共通した段階的な進行パターンをたどります。この進行のプロセスを理解することは、なぜ早期の介入が重要なのかを把握する上で役立ちます。
- 脂肪肝・肝炎(炎症)
すべての始まりは、肝臓の「炎症」です。ウイルス、アルコール、過剰な脂肪、自己免疫など、様々な要因によって肝細胞が傷つけられると、免疫反応として炎症が起こります5。この段階は「肝炎」と呼ばれ、多くの場合、適切な治療や原因の除去によって肝臓は正常な状態に回復することが可能です。生活習慣病に関連する脂肪肝も、この初期段階に含まれます。 - 線維化(せんいか)
しかし、炎症が6ヶ月以上にわたって慢性的に続くと、肝臓は傷ついた組織を修復しようと絶えず働き続けます。この修復過程で、「コラーゲン」を主成分とする線維組織が過剰に生成され、肝臓内に蓄積していきます。これが「線維化」です5。健康な肝臓は柔らかいですが、線維化が進むにつれて徐々に硬くなっていきます。 - 肝硬変(かんこうへん)
線維化がさらに進行し、線維組織が肝臓全体に張り巡らされ、肝臓の正常な構造が破壊された状態が「肝硬変」です1。肝臓は硬く、ゴツゴツした岩のようになり、機能が著しく低下します5。この段階になると、肝臓の再生能力は失われ、元の健康な状態に戻ることは極めて困難になります。黄疸や腹水といった様々な合併症が現れるのもこの時期です。 - 肝がん
そして、肝硬変は肝がん、特に最も頻度の高い「肝細胞がん」の最大の危険因子です1。肝硬変の患者の多くが、最終的に肝がんを発症します1。慢性的な炎症と細胞の破壊・再生が繰り返される環境が、遺伝子の突然変異を誘発し、がん細胞の発生につながると考えられています。
この「炎症 → 線維化 → 肝硬変 → 肝がん」という一連の流れは、ウイルス性肝炎であれ、アルコール性肝障害であれ、あるいはMASLD/NASHであれ、多くの慢性肝疾患に共通する最終的な経路です。したがって、原因が何であれ、慢性的な「炎症」を管理し、「線維化」の進行を食い止めることが、肝硬変や肝がんといった最も深刻な事態を防ぐための鍵となります。
第2章:肝疾患の主な原因と種類
肝疾患と一言で言っても、その原因は多岐にわたります。かつて日本ではウイルス感染が主な原因でしたが、近年では生活習慣の変化に伴い、その様相は大きく変わりつつあります。この章では、代表的な肝疾患の種類とそれぞれの原因について、日本の現状を踏まえながら詳しく解説します。
疾患名 | 主な原因 | 主な特徴 | 日本での動向 |
---|---|---|---|
ウイルス性肝炎(B型・C型) | B型肝炎ウイルス(HBV)、C型肝炎ウイルス(HCV)の持続感染 | 血液・体液を介して感染。慢性化すると肝硬変・肝がんへ進行する危険性が高い。 | かつては肝がんの最大原因。C型肝炎は治療薬の進歩で激減。B型肝炎は持続的な管理が重要9。 |
アルコール性肝障害 | 長期にわたる過剰な飲酒(男性:純エタノール換算60g/日以上、女性:40g/日以上が目安) | 脂肪肝から肝炎、肝硬変へと進行。飲酒量に比例して危険性が増大する。 | 生活習慣の変化やストレスなどで問題飲酒が増加傾向にあり、依然として重要な原因の一つ4。 |
脂肪肝(MASLD/NASH) | 肥満、糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病 | 肝臓への脂肪蓄積が原因。炎症を伴うNASHは肝硬変・肝がんに進行する。 | 患者数が急増しており、新たな「国民病」と化している。ウイルス性肝炎に代わる肝がんの主要因になると予測されている5。 |
自己免疫性肝疾患(AIH, PBC) | 免疫系の異常(自己免疫) | 自身の免疫細胞が肝細胞(AIH)や胆管(PBC)を誤って攻撃する。中年以降の女性に多い。 | 比較的稀な疾患だが、診断技術の向上により患者数は増加傾向にある4。 |
2.1. ウイルス性肝炎:日本の肝疾患の主要因とその変遷(B型、C型を中心に)
ウイルス性肝炎は、肝炎ウイルスの感染によって引き起こされる肝臓の炎症であり、長年にわたり日本の肝疾患、特に肝硬変や肝がんの最大の原因でした9。
B型肝炎 (Hepatitis B)
B型肝炎ウイルス(HBV)の感染によって起こります。主な感染経路は、HBVを持つ母親からの出産時の母子感染、あるいは血液や体液を介した水平感染です2。成人になってから感染した場合、多くは一過性の急性肝炎で治癒しますが、乳幼児期に感染するとウイルスが体内に留まり続ける「持続感染(キャリア)」状態になることがあります。この持続感染が、慢性肝炎、肝硬変、そして肝がんへと進行する主な原因となります11。現在では、母子感染予防策とユニバーサルワクチンの普及により、新たな感染者は減少しています。
C型肝炎 (Hepatitis C)
C型肝炎ウイルス(HCV)の感染が原因で、主に血液を介して感染します。過去の輸血や血液製剤、あるいは衛生管理が不十分な状況での医療行為などが原因となりました。HCVに感染すると約70%が高い確率で持続感染に移行し、自覚症状がないまま静かに慢性肝炎、肝硬変、肝がんへと進行します2。かつて日本の肝がん患者の約7割がC型肝炎を原因としていましたが、2014年以降、インターフェロンを使用しない経口の抗ウイルス薬(DAA: Direct-Acting Antivirals)が登場したことで治療は革命的に進歩しました9。これにより、C型肝炎は「不治の病」から「ほぼ完治できる病気」へと変わりました。
A型・E型肝炎 (Hepatitis A & E)
これらは主に汚染された飲食物を介して経口感染するウイルスです2。通常は急性の肝炎を引き起こし、慢性化することはありませんが、特にE型肝炎は高齢者や基礎疾患のある人で重症化することがあります13。
2.2. アルコール性肝障害:飲酒が肝臓を蝕むメカニズムと危険な飲酒量
アルコールは、適量であれば多くの人にとって問題ありませんが、長期にわたる過剰な摂取は肝臓にとって大きな負担となり、予防可能な肝疾患の主要な原因の一つです17。アルコールが肝臓で分解される過程で発生するアセトアルデヒドなどの物質が、肝細胞を直接傷つけ、炎症を引き起こします。
アルコールによる肝障害は、一般的に以下の段階を経て進行します5。
- アルコール性脂肪肝: 最初に現れる変化で、肝臓に中性脂肪が蓄積します。この段階では禁酒すれば改善が見込めます。
- アルコール性肝炎: 脂肪肝の状態でも飲酒を続けると、肝細胞の炎症と破壊が起こります。重症化すると劇症肝炎となり、命に関わることもあります。
- アルコール性肝硬変: 慢性的な肝炎が続くと、肝臓の線維化が進行し、最終的に肝硬変に至ります。
では、「過剰な飲酒」とはどの程度の量なのでしょうか。日本のガイドラインでは、1日の平均純エタノール摂取量が男性で60g以上、女性で40g以上の場合、「多量飲酒者」と定義され、肝障害のリスクが著しく高まるとされています4。これを身近なアルコール飲料に換算すると、純エタノール20gが「1単位」とされ、ビール中瓶1本(500ml)、日本酒1合(180ml)、ウイスキーダブル1杯(60ml)に相当します6。つまり、男性が毎日ビールを3本以上飲む生活を続けると、多量飲酒に該当し、肝臓を危険に晒していることになります。
2.3. 脂肪肝(MASLD/NASH):新たな国民病、肥満・糖尿病との密接な関係
近年の日本において、ウイルス性肝炎に代わって肝疾患の新たな主役となりつつあるのが、生活習慣に起因する脂肪肝です。これは、アルコールを原因としない肝臓への脂肪蓄積であり、近年、国際的なコンセンサスによりMASLD(Metabolic Dysfunction-Associated Steatotic Liver Disease:代謝機能障害関連脂肪性肝疾患)という新しい名称が提唱されています21。
MASLDは、かつてNAFLD(非アルコール性脂肪性肝疾患)と呼ばれていたもので、肥満、2型糖尿病、脂質異常症、高血圧といったメタボリックシンドロームと密接に関連しています1。単に脂肪が溜まっているだけの単純性脂肪肝(NAFL)の段階では、多くの場合、病状は進行しません。しかし、その一部では肝臓に炎症と線維化が生じ、肝硬変や肝がんに進行する可能性のある危険な状態、MASH(Metabolic Dysfunction-Associated Steatohepatitis:代謝機能障害関連脂肪肝炎)へと移行します3。
このMASLD/NASHの増加は深刻で、日本の成人における有病率は9~30%と推定され、患者数は1000万人以上、一部の推計では2300万人にものぼるとされています15。特に注目すべきは、欧米人と比較して肥満度が低くても内臓脂肪が溜まりやすいアジア人の特性から、BMIが25未満の「非肥満」の人でもMASLDを発症するケースが多いことです26。これは、見た目が痩せていても安心できないことを意味しており、日本の公衆衛生における大きな課題となっています。
2.4. 自己免疫性肝疾患:自身の免疫が肝臓を攻撃する病気(AIH, PBCなど)
自己免疫性肝疾患は、本来、体を守るべき免疫システムが誤って自分自身の肝臓を「異物」と認識し、攻撃してしまうことで発症する病気です2。原因は完全には解明されていませんが、遺伝的な要因に何らかの環境因子が加わって発症すると考えられています。
- 自己免疫性肝炎(AIH: Autoimmune Hepatitis): 免疫細胞が肝細胞そのものを攻撃し、破壊することで肝炎を引き起こします2。中年以降の女性に発症することが多いとされていますが、あらゆる年齢層で起こり得ます4。
- 原発性胆汁性胆管炎(PBC: Primary Biliary Cholangitis): 免疫細胞が肝臓内の細い胆管を攻撃し、破壊する病気です2。胆管が壊れると胆汁の流れが滞り(うっ滞)、その結果、肝細胞がダメージを受けて線維化が進行します。この病気も中年以降の女性に多いのが特徴です。
これらの疾患は比較的稀ですが、放置すると肝硬変へと進行するため、早期の診断とステロイド剤などによる適切な治療が重要です。
2.5. その他の肝疾患:遺伝性疾患と薬剤性肝障害
上記以外にも、肝疾患の原因は存在します。
- 遺伝性疾患: 特定の遺伝子の異常により、体内の物質代謝に問題が生じ、肝臓に過剰な物質が蓄積することで肝障害を引き起こします。銅が蓄積するウィルソン病や、鉄が蓄積するヘモクロマトーシスなどが知られています2。
- 薬剤性肝障害: 医師から処方される医療用医薬品だけでなく、市販の風邪薬や鎮痛剤、あるいは漢方薬やサプリメントなど、あらゆる化学物質が原因で肝障害を起こす可能性があります2。薬を服用し始めてから数週間後に症状が出ることが多いですが、数ヶ月後という場合もあります。
日本の肝疾患の原因は、C型肝炎治療の成功によってウイルス性が減少し、代わりにMASLD/NASHやアルコール性肝障害といった生活習慣関連のものが急増するという、大きな構造転換の時期にあります5。さらに、これらのリスクは単独ではなく、重複することで肝臓への負担を増大させます。例えば、元々脂肪肝がある人が飲酒を続けると、病気の進行が加速する可能性があります14。また、遺伝的にアルコールに弱い体質の人や、特定の遺伝子変異を持つ人は、同じ生活習慣でも肝疾患を発症しやすいことがわかっており26、個々の体質もリスクを左右する重要な要素です。
第3章:見逃してはいけない肝疾患の症状
肝臓病の恐ろしさは、その「沈黙」にあります。病気が初期の段階では、ほとんど自覚症状が現れません。しかし、進行するにつれて、体は様々な危険なサインを発し始めます。この章では、見過ごされがちな初期症状と、肝硬変の段階で現れる特徴的な合併症について詳しく解説します。これらのサインを知ることが、手遅れになる前に行動を起こすための鍵となります。
症状の段階 | 具体的な症状 | 症状の意味・注意点 |
---|---|---|
初期症状 | ・全身の倦怠感、疲れやすさ ・食欲不振、吐き気 ・右上腹部の不快感、張り ・発熱、頭痛など風邪様の症状 |
非特異的で他の病気と区別がつきにくい。風邪や疲れと自己判断して放置しがちだが、これが肝臓からの最初のSOSである可能性も4。 |
進行した症状 (肝硬変の合併症) | ・黄疸:皮膚や白目が黄色くなる、尿の色が濃くなる ・腹水・浮腫:お腹が張る、足がむくむ ・肝性脳症:意識が混乱する、異常な行動をとる ・食道・胃静脈瘤:突然の吐血、黒い便 ・皮膚の異常:クモ状血管腫、手掌紅斑 ・出血傾向:あざができやすい、鼻血が出やすい |
肝機能が著しく低下した危険なサイン。これらの症状は肝硬変が「非代償期」に入ったことを示し、生命に関わる状態。一つでも当てはまれば、直ちに医療機関の受診が必要1。 |
3.1. 初期症状:だるさ、食欲不振など、風邪と間違えやすいサイン
肝疾患の初期段階で現れる症状は、非常に曖昧で、他の多くの病気でも見られるものです。そのため、肝臓の異常とは気づかずに見過ごされてしまうことがほとんどです。
- 全身の倦怠感・疲労感: 「なんとなく体がだるい」「疲れが取れない」といった感覚は、最もよく見られる初期症状の一つです4。肝臓の代謝機能が低下し、エネルギーを効率的に作り出せなくなることが一因と考えられます。
- 食欲不振・吐き気: 食欲がわかない、あるいは吐き気を感じるといった消化器系の症状も現れます4。
- 右上腹部の不快感: 肝臓が位置する右上腹部に、痛みというよりは「張っている感じ」や「重苦しい感じ」といった不快感を覚えることがあります31。
- 風邪様の症状: 急性肝炎の場合、発熱や頭痛、関節痛など、まるで風邪をひいたかのような症状で始まることがあります6。
これらの症状は、休息すれば治まることも多いため、「働きすぎかな」「風邪気味かな」と自己判断してしまいがちです。しかし、これらのサインが持続する場合や、前章で述べたリスク因子がある場合は、一度医療機関で肝機能検査を受けることが賢明です。
3.2. 進行した肝疾患の危険な兆候(肝硬変の合併症)
病気が進行し、肝硬変の状態になると、肝臓の機能は著しく低下します。この段階を「非代償性肝硬変」と呼び、生命を脅かす様々な合併症が出現します。これらの症状は、肝臓の機能不全が全身に及んでいることを示す明確な危険信号です。
- 黄疸 (Jaundice): 肝臓の重要な役割の一つは、古くなった赤血球の分解物であるビリルビンという黄色い色素を処理し、胆汁として排泄することです。肝機能が低下すると、このビリルビンを処理しきれなくなり、血液中に溢れ出します。その結果、皮膚や眼の白目の部分が黄色く染まり、尿の色が紅茶のように濃くなります1。これは、肝臓の「解毒・排泄機能」の破綻を意味します。
- 腹水・浮腫 (Ascites and Edema): 肝臓はアルブミンというタンパク質を生成しており、これは血液の水分を血管内に保つ役割を担っています。肝硬変になるとアルブミンの生成能力が低下し、血液中のアルブミン濃度が下がります。さらに、肝臓が硬くなることで肝臓内の血流が滞り、門脈という血管の圧力が異常に高まります(門脈圧亢進症)。これらの要因が重なり、血管から水分が漏れ出して、腹部に水が溜まる「腹水」や、足がむくむ「浮腫」が起こります1。これは、肝臓の「タンパク質合成機能」の低下と血流障害の表れです。
- 肝性脳症 (Hepatic Encephalopathy): 腸内で発生したアンモニアなどの有害物質は、通常は肝臓で解毒されます。しかし、肝機能が低下するとこれらの毒素を処理できず、血流に乗って脳に到達します。その結果、脳の機能が障害され、時間や場所が分からなくなる、話のつじつまが合わなくなる、性格が変化する、羽ばたくような手の震え(羽ばたき振戦)が見られるなどの症状が現れます。重症化すると昏睡状態に陥ることもあります1。これは、肝臓の「解毒機能」が完全に破綻した状態です。
- 食道・胃静脈瘤 (Esophageal/Gastric Varices): 門脈圧亢進症により、肝臓を迂回する新しい血流路(側副血行路)が形成されます。その結果、食道や胃の静脈に大量の血液が流れ込み、血管が瘤(こぶ)のように膨れ上がります。これが静脈瘤です。この静脈瘤は血管壁が薄く、破裂しやすいため、突然大量の血を吐いたり(吐血)、便が真っ黒になったり(下血)することがあり、命に関わる緊急事態となります10。
- 皮膚の異常 (Skin Manifestations): 首や胸、肩のあたりに、赤い小さなクモが足を広げたような形の血管拡張(クモ状血管腫)や、手のひらが異常に赤くなる(手掌紅斑)ことがあります11。これらは、肝臓で分解されるべき女性ホルモン(エストロゲン)のバランスが崩れることで生じます。
これらの進行した症状の出現は、肝硬変が代償期(機能が保たれている状態)から非代償期(機能が破綻した状態)へと移行したことを意味し、予後が著しく悪化する転換点となります。例えば、腹水が現れた患者の5年生存率は約25~38%にまで低下するというデータもあり34、これらのサインを認識し、直ちに専門的な治療を開始することが極めて重要です。
第4章:肝疾患の診断:最新の検査方法
肝疾患の診断は、健康診断で受ける身近な血液検査から、専門的な画像診断、そして最終的な確定診断に至るまで、段階的に行われます。近年、技術の進歩により、体に負担の少ない非侵襲的な方法で肝臓の状態をかなり正確に評価できるようになりました。この章では、どのような検査で何がわかるのかを解説します。
4.1. 健康診断でわかること:血液検査(AST, ALT, γ-GTP)の読み解き方
多くの肝疾患は、会社の健康診断や人間ドックで受ける血液検査の異常値が発見のきっかけとなります。特に重要なのは以下の項目です。
- AST (GOT) と ALT (GPT): これらは肝細胞の中に多く含まれる酵素です。何らかの原因で肝細胞が破壊されると、これらの酵素が血液中に漏れ出し、数値が上昇します。したがって、ASTとALTの値は、現在、肝臓でどの程度の炎症(肝細胞の破壊)が起きているかを示す指標となります4。ALTは特に肝臓に特異性が高いとされています。
- γ-GTP (γ-GT): この酵素は、アルコールの摂取や、胆汁の流れが滞る(うっ滞)ことで数値が上昇します。特にアルコール性肝障害の鋭敏なマーカーとして知られていますが、脂肪肝や薬剤性肝障害でも上昇します4。
- 肝機能の指標(アルブミン、血小板、ビリルビンなど): 病気が進行し、肝硬変になると、肝臓の「作る力」や「解毒する力」そのものが低下します。その結果、肝臓で作られるアルブミンや血小板の数が減少し、処理されるべきビリルビンの値が上昇します6。これらの数値の異常は、単なる炎症ではなく、肝機能の低下が進んでいることを示唆します。
重要なのは、ASTやALTの値が「現在進行形の炎症」を示すのに対し、アルブミンや血小板の値は「長期間にわたるダメージの蓄積」を反映するということです。肝硬変が進行すると、もはや壊れる肝細胞が少なくなるため、ASTやALTが正常値に近いにもかかわらず、肝機能は著しく低下しているという状況も起こり得ます29。したがって、これらの検査項目を総合的に見て判断することが重要です。
4.2. 肝臓の状態を視る:画像診断(腹部超音波、CT、MRI)
血液検査で異常が指摘された場合、次に行われるのが画像診断です。これにより、肝臓の形や大きさ、内部の状態を直接的に観察することができます。
- 腹部超音波(エコー)検査: 体への負担がなく、簡便に行える第一選択の検査です。プローブと呼ばれる装置を腹部に当てるだけで、肝臓の脂肪蓄積(脂肪肝の診断)、肝臓の表面の凹凸(肝硬変の所見)、そして肝がんの有無などをスクリーニングできます11。
- CT検査・MRI検査: 超音波検査よりもさらに詳細な断層画像を得ることができます。特に、肝がんが疑われる場合には、造影剤を使用して腫瘍の性質を詳しく調べたり、正確な位置や大きさを特定したりするために不可欠な検査です11。
4.3. 肝臓の硬さを測る:非侵襲的検査(FIB-4 index、エラストグラフィ)の活用
かつて肝臓の線維化(硬さ)の程度を正確に知るには、体に針を刺して組織を採取する肝生検しかありませんでした。しかし近年、血液検査や画像技術を用いた非侵襲的な方法が開発され、診断のあり方を大きく変えました。
- FIB-4 index(フィブフォー・インデックス): これは、年齢、AST、ALT、血小板数という、通常の血液検査で得られる4つの項目から簡単に計算できるスコアリングシステムです37。このスコアによって、肝臓の線維化が進んでいるリスクを推定できます。日本のガイドラインでも推奨されており、例えばFIB-4 indexが1.3未満であれば、重度な線維化が進んでいる可能性は低いと判断できます29。この方法は、かかりつけ医でも容易に実施できるため、専門医へ紹介すべき患者を絞り込むための非常に有用なツールとなっています。
- エラストグラフィ: これは、超音波やMRIの技術を応用して、肝臓の「硬さ」を直接測定する検査です。肝臓は線維化が進むほど硬くなるため、この硬さを数値化することで、線維化の進行度を客観的に評価できます。代表的なものに、超音波を用いるフィブロスキャン(VCTE)や、MRIを用いるMRエラストグラフィ(MRE)があります29。これらの検査の登場により、多くの患者が肝生検を受けることなく、自身の病気の進行度を把握できるようになりました。
現代の肝疾患診断は、まず血液検査で炎症の有無を確認し、次にFIB-4 indexのようなスコアで線維化のリスクを層別化、そしてリスクが高いと判断された患者にはエラストグラフィでさらに詳しく評価するという、段階的かつ非侵襲的なアプローチが主流となっています。
4.4. 確定診断:肝生検が必要な場合
非侵襲的検査が大きく進歩した現在でも、肝生検は依然として肝疾患診断の「ゴールドスタンダード(最も信頼性の高い基準)」と位置づけられています17。腹部に局所麻酔をした後、細い針を刺して肝臓の組織を少量採取し、顕微鏡で詳しく観察する検査です。
肝生検によって、肝細胞の脂肪沈着や炎症、線維化の程度を直接確認できるため、NASHの確定診断や、他の稀な肝疾患との鑑別には不可欠です。しかし、出血や痛みを伴う侵襲的な検査であるため、現在では、非侵襲的検査の結果がはっきりしない場合や、複数の病気の可能性が考えられ、治療方針の決定のために正確な診断が必要な場合に限定して行われることが多くなっています37。
第5章:肝疾患の治療法:生活習慣の改善から最新医療まで
肝疾患の治療は、その原因や進行度によって大きく異なります。目標も、C型肝炎のように「完治」を目指すものから、B型肝炎のように「コントロール」するもの、そして肝硬変のように「合併症を管理」するものまで様々です。この章では、すべての治療の基礎となる生活習慣の改善から、目覚ましい進歩を遂げた薬物療法、そして最終的な選択肢である肝移植まで、現代の肝疾患治療の全体像を解説します。
5.1. すべての基本となる生活習慣の改善
特にアルコール性肝障害やMASLD/NASHといった生活習慣に関連する肝疾患において、その治療の根幹をなすのが生活習慣の改善です。
食事療法
- MASLD/NASHの場合: 最も重要なのは、摂取カロリーを適正化し、体重を減らすことです。特に糖分の多い清涼飲料水や菓子類、脂質の多い加工食品は控えるべきです22。栄養バランスの取れた食事(「主食1品、主菜1品、副菜2品」が基本)を心がけることが推奨されます41。体重を7~10%減量することで、肝臓の脂肪や炎症、さらには線維化の改善も期待できます22。
- 肝硬変の場合: 進行した肝硬変では、逆に栄養不足(低栄養)が問題となります。筋肉量が減少しやすいため、1日あたり体重1kgあたり1.2~1.5gの十分なタンパク質と、35 kcalのエネルギーを摂取することが重要です36。腹水を管理するためには、塩分を1日2g未満に制限する必要があります39。
運動療法
ウォーキングや水泳、軽いジョギングなどの有酸素運動を、1回30分以上、週に3~4回行うことが推奨されます。運動は、たとえ体重が大きく減少しなくても、肝臓の脂肪を減らす効果があることがわかっています22。
禁酒・節酒
アルコール性肝障害の患者にとっては、完全な禁酒が治療の絶対的な基本です。また、進行した線維化や肝硬変と診断された場合は、原因がアルコールでなくても、肝臓へのさらなる負担を避けるために禁酒が強く推奨されます1。
5.2. ウイルス性肝炎の治療:ほぼ完治が可能になったC型肝炎と、コントロールを目指すB型肝炎
C型肝炎
C型肝炎の治療は、この10年で劇的に変わりました。かつては副作用の強いインターフェロン注射が主流でしたが、現在ではDAA(直接作用型抗ウイルス薬)と呼ばれる経口薬(飲み薬)によるインターフェロンフリー治療が標準です19。ハーボニー、マヴィレット、エプクルーサといった薬剤が日本でも使用されており44、これらを8~12週間服用することで、95%以上の患者でウイルスを体内から完全に排除(治癒)できます11。副作用も少なく、安全に治療が行えるようになりました。
B型肝炎
B型肝炎の現在の治療目標は、ウイルスの完全な排除ではなく、ウイルスの増殖を強力に抑制し、肝炎を鎮静化させ、肝硬変や肝がんへの進行を「コントロール」することです。治療には、核酸アナログ製剤という経口の抗ウイルス薬が用いられます11。この薬を毎日服用することで、血液中のウイルス量を検出できないレベルまで抑えることが可能ですが、服用を中止するとウイルスが再増殖するため、多くの場合、生涯にわたる治療が必要となります。
5.3. 脂肪肝(MASLD/NASH)の治療:減量と薬物療法の可能性
MASLD/NASHに対する最も効果的な治療法は、食事療法と運動療法による減量です22。しかし、生活習慣の改善だけでは効果が不十分な場合や、病状が進行している場合には薬物療法が検討されます。
現在、MASLD/NASHの治療薬として日本で正式に承認されている薬剤はありません37。しかし、併存する疾患の治療薬が肝臓にも良い影響を与えることがわかっています。
- ビタミンE: 糖尿病のないNASH患者において、肝臓の炎症や脂肪化を改善する効果が示されています29。
- ピオグリタゾン: 2型糖尿病を合併するNASH患者において、肝組織を改善する効果があります29。
- GLP-1受容体作動薬: オゼンピックなどの2型糖尿病治療薬ですが、体重減少効果と肝脂肪改善効果が期待され、現在NASH治療薬としての臨床試験が世界中で進められています48。
MASLD/NASHの治療は、肝臓だけでなく、全身の代謝異常を是正するという視点が重要です。これは、肝臓の健康が全身の健康と密接に結びついていることを示しています。
5.4. 肝硬変の治療:進行を食い止め、合併症を管理する方法
肝硬変の治療は、原因疾患への対処(例:B型肝炎の抗ウイルス療法)と並行して、進行を遅らせ、第3章で述べたような命に関わる合併症を予防・管理することが中心となります。
- 腹水: 塩分制限と、スピロノラクトンやフロセミドといった利尿薬の服用でコントロールします39。
- 肝性脳症: 腸内でのアンモニア産生を抑えるために、ラクツロースという下剤や、リファキシミンという抗菌薬が用いられます43。
- 食道静脈瘤: 門脈の血圧を下げるために、プロプラノロールやカルベジロールなどの非選択的β遮断薬が予防的に投与されます36。すでに出血のリスクが高い静脈瘤に対しては、内視鏡を用いて輪ゴムで縛る治療(内視鏡的静脈瘤結紮術)が行われます。
- 肝がんのサーベイランス: 肝硬変の患者は肝がんのハイリスク群であるため、症状がなくても6ヶ月に1回の腹部超音波検査と腫瘍マーカー(AFP)の血液検査が必須です39。
5.5. 最終手段としての肝移植
末期の肝不全や、他の治療法では根治が望めない肝がんに対して、唯一の根治的治療法となるのが肝移植です7。これは、病気の肝臓をすべて取り除き、ドナーから提供された健康な肝臓を移植する手術です。日本では、脳死ドナーからの移植に加えて、健康な近親者から肝臓の一部を提供してもらう生体肝移植が広く行われているのが特徴です17。肝移植は非常に高度な医療ですが、成功すれば社会復帰も可能です。
第6章:日本の肝疾患対策:知っておきたい公的支援と相談窓口
日本は、肝疾患、特にウイルス性肝炎との闘いにおいて、世界でも先進的な公衆衛生対策と手厚い医療支援制度を構築してきました。肝疾患と診断された、あるいはその疑いがある人々が、安心して適切な医療を受けられるための仕組みが整っています。この章では、日本の肝疾患の現状をデータで確認し、国が提供する支援制度や相談窓口について具体的に解説します。
制度名 | 対象疾患 | 助成内容 | 自己負担月額(原則) |
---|---|---|---|
肝炎治療特別促進事業47 | B型ウイルス性肝炎、C型ウイルス性肝炎 | インターフェロン治療、核酸アナログ製剤治療、インターフェロンフリー治療(DAA)にかかる医療費を助成。 | 1万円 (世帯所得に応じて2万円の場合あり) |
肝がん・重度肝硬変治療研究促進事業47 | B型・C型肝炎ウイルスによる肝がん、重度肝硬変 | 入院・通院にかかる医療費(保険適用分)を助成。 | 1万円 (所得要件あり) |
ウイルス性肝炎患者等の重症化予防推進事業47 | B型・C型ウイルス性肝炎 | 陽性者に対する初回の精密検査費用と、その後の定期検査費用を助成。 | 自己負担なし または一部助成(自治体により異なる) |
6.1. 日本における肝疾患の現状:統計データで見る患者数と動向
まず、日本の肝疾患がどのくらいの規模の問題なのか、具体的なデータを見てみましょう。
- 総患者数: 厚生労働省の調査によると、日本の肝疾患の総患者数は約51万人と報告されています3。
- 肝硬変: 推定患者数は40万~50万人です53。その内訳は、C型肝炎によるものが約7.6万人、B型肝炎によるものが約1.9万人とされ、ウイルス以外の原因(アルコール、脂肪肝など)が増加傾向にあります16。
- NAFLD/NASH: 生活習慣病の増加に伴い、患者数は爆発的に増えています。日本の成人におけるNAFLDの有病率は約30%とされ、推定患者数は2300万人にも達するという報告もあります16。これは、肝疾患の「次の波」が生活習慣病から来ていることを明確に示しています。
- 肝がん: 2021年の新規診断数は約34,700例、2023年の死亡者数は約22,900人でした54。しかし、C型肝炎治療の進歩により、肝がんによる死亡者数は2000年代半ばをピークに減少傾向にあります16。
これらのデータは、日本の肝疾患対策がC型肝炎という大きな課題に対して一定の成功を収めた一方で、MASLD/NASHという新たな、そしてより大規模な課題に直面しているという「成功と新たな挑戦」の物語を物語っています。
6.2. 国の取り組み:肝炎ウイルス検査の促進と「肝炎対策基本指針」
日本政府は、肝炎対策を国の重要な公衆衛生課題と位置づけ、トップダウンで包括的な対策を進めてきました。その基本となるのが「肝炎対策基本法」およびそれに基づく「肝炎対策基本指針」です。
この指針の核心は、すべての国民が少なくとも一度は肝炎ウイルス検査を受けることを推奨している点です47。肝炎は自覚症状なく進行するため、検査を受けない限り感染に気づくことはできません。このため、各都道府県や市町村では、保健所や委託医療機関で無料または安価な肝炎ウイルス検査を実施しています56。
さらに、国民への正しい知識の普及と啓発を目的とした「知って、肝炎プロジェクト」などのキャンペーンも積極的に展開されており58、行政、医療機関、企業、そして国民が一体となって肝炎克服を目指す体制が作られています。
6.3. 経済的負担を軽減する医療費助成制度
日本の肝疾患対策の大きな特徴は、高額な治療に対する手厚い医療費助成制度です。これにより、経済的な理由で治療を断念することがないよう、セーフティネットが張られています。
- 肝炎治療特別促進事業: B型肝炎の核酸アナログ製剤治療や、C型肝炎のDAA治療といった高額な抗ウイルス療法を対象とする制度です。この制度を利用すると、患者の自己負担額は、世帯の所得に応じて月額1万円または2万円に軽減されます47。例えば、本来であれば数百万円かかるC型肝炎のDAA治療も、この制度のおかげで多くの患者がアクセス可能となっています。
- 肝がん・重度肝硬変治療研究促進事業: B型・C型肝炎ウイルスが原因で肝がんや重度の肝硬変に至った患者の入院・通院医療費を対象とします。一定の所得要件を満たせば、月々の自己負担額が1万円に抑えられます47。
これらの制度は、日本の肝炎対策の成功を支える屋台骨であり、患者が最新・最善の治療を受ける権利を保障する上で極めて重要な役割を果たしています。
6.4. どこに相談すればよいか:肝疾患診療連携拠点病院と身近な「かかりつけ医」
肝臓の異常を指摘されたり、不安を感じたりした時に、どこに相談すればよいのかを知っておくことは重要です。日本には、そのための明確な医療連携体制が整備されています。
- まずは「かかりつけ医」へ: 健康診断で異常を指摘された場合や、何か気になる症状がある場合は、まず身近な内科や消化器内科の「かかりつけ医」に相談しましょう56。多くのかかりつけ医は、初期の診断やFIB-4 indexを用いたリスク評価を行うことができます。
- 専門医療機関への紹介: より専門的な検査や治療が必要と判断された場合、かかりつけ医は専門の医療機関に紹介してくれます。その中核となるのが、各都道府県に設置されている「肝疾患診療連携拠点病院」です47。これらの拠点病院には、肝臓の専門医や専門知識を持つ看護師、相談員などが配置されており、高度な医療の提供と、患者やその家族からの相談支援を行っています。
- 情報収集と相談: 治療や制度に関する詳しい情報を得たい場合は、「肝炎情報センター」のウェブサイトが非常に有用です18。また、各拠点病院には「肝疾患相談センター」が設置されており、電話や対面で無料相談に応じています47。
このように、日本にはかかりつけ医から拠点病院へとスムーズに連携する医療提供体制と、それを支える公的な情報・相談支援体制が整っています。これは、患者が孤立することなく、適切な情報と医療にアクセスできるための強力なサポートシステムです。
第7章:未来へ向けて:肝疾患の予防と共生
これまで見てきたように、肝疾患は静かに進行し、時には生命を脅かす深刻な病気です。しかし、その多くは予防可能であり、また、たとえ診断されたとしても、現代の医療と支援制度を駆使することで、病気と共生しながら質の高い生活を送ることが可能です。この最終章では、肝臓を守るための具体的な予防策をまとめ、肝疾患と共に生きる人々へのメッセージを送ります。
7.1. 肝臓を守るために今日からできること:予防策のまとめ
肝疾患の予防は、個人の努力と社会的な取り組みの両輪で成り立っています。今日から実践できる具体的な行動は以下の通りです。
- ワクチンを接種する: B型肝炎は、ワクチンで高い確率で予防できます2。特に、これから出産を考える世代や、医療従事者など感染リスクのある方は、自身の抗体価を確認し、必要であればワクチンを接種することが重要です。
- 検査を受ける: これまで一度も肝炎ウイルス検査を受けたことがない方は、ぜひ一度検査を受けましょう47。これは、自分自身の肝臓の状態を知るための最も確実な第一歩です。また、健康診断を毎年受け、肝機能の数値をチェックする習慣をつけましょう。
- 適正な飲酒を心がける: アルコールは肝臓に直接的なダメージを与えます。休肝日を設け、1日の飲酒量を純エタノール換算で20g程度(ビール500ml缶1本相当)に抑えるなど、責任ある飲酒を実践しましょう2。すでに肝機能の異常を指摘されている場合は、禁酒が最善の策です。
- 健康的な体重を維持する: MASLD/NASHの最大の予防策は、肥満を防ぐことです。バランスの取れた食事と、定期的な運動習慣(1日30分程度のウォーキングなど)を生活に取り入れましょう2。これは肝臓だけでなく、全身の健康を守るための基本です。
- 薬やサプリメントは賢く利用する: 複数の薬を服用している場合や、健康食品・サプリメントを利用する際には、自己判断せず、必ず医師や薬剤師に相談しましょう2。予期せぬ薬剤性肝障害を防ぐことができます。
- 危険な行為を避ける: 他人の血液に触れる可能性のある行為、例えば注射器の使い回しや、カミソリ・歯ブラシの共用などは避けましょう2。安全な性交渉を心がけることも、B型肝炎などの感染予防につながります。
これらの予防策は、個人の意識と行動が基本となりますが、ワクチン接種やウイルス検査のように、社会の公衆衛生システムを活用することが不可欠です。個人の努力と社会の支援が連携して初めて、肝疾患の予防は効果的に機能します。
7.2. 肝疾患と診断された方へ:病気と向き合い、より良く生きるために
肝疾患の診断を受けることは、誰にとっても大きな不安を伴う出来事です。しかし、悲観的になる必要はありません。C型肝炎が治癒可能になったように、肝疾患の治療は日進月歩で進んでいます。そして日本には、高額な医療費を支える公的助成制度や、専門家へつながる相談窓口が整備されています。
重要なのは、診断をきっかけに、自身の健康と真剣に向き合うことです。
- 主治医との信頼関係を築く: 定期的な通院を欠かさず、治療方針や生活上の注意点について、納得できるまで主治医と話し合いましょう。積極的に自身の治療に参加することが、最善の結果につながります。
- 正しい情報を得る: インターネットには不確かな情報も溢れています。肝炎情報センターや拠点病院のウェブサイトなど、信頼できる情報源から知識を得ることが大切です。
- 一人で抱え込まない: 家族や友人、あるいは患者会や相談センターの専門家に、不安な気持ちを打ち明けてみましょう。精神的なサポートは、治療を続ける上で大きな力となります。
世界保健機関(WHO)は、2030年までにウイルス性肝炎を公衆衛生上の脅威として排除するという世界目標を掲げています61。また、近年の国際的な研究では、肝がんの約6割が予防可能であると指摘されており63、個人と社会の行動が未来を大きく変える力を持つことが示されています486465。
日本の肝疾患対策は、この世界的な潮流の最前線にあります。肝疾患との闘いは、もはや絶望的なものではなく、予防と早期発見、そして適切な治療によってコントロールし、共に生きていくことが可能な時代になりました。この記事で得た知識が、読者の皆様が自らの肝臓を守り、健康な未来を築くための一助となることを心から願っています。未来の肝臓の健康は、過去の習慣ではなく、今日からの行動によって決まるのです。
よくある質問
Q1: 肝機能の数値が少し高いだけなのですが、病院に行くべきですか?
A1: はい、行くべきです。肝臓は「沈黙の臓器」であり、自覚症状がないまま病気が進行することが多いため、たとえ軽度であっても数値の異常は肝臓からの重要なサインです。特に、数値の異常が続いている場合や、肥満、多量の飲酒習慣など、他のリスク因子がある場合は、放置せずに一度かかりつけ医や消化器内科を受診し、原因を調べてもらうことを強くお勧めします。
Q2: C型肝炎は治ると聞きましたが、一度治ればもう安心ですか?
A2: ウイルスは排除できますが、「完全に安心」とは言えません。特に、治療開始前にすでに肝硬変まで進行していた場合、ウイルスがいなくなった後も肝がんを発症するリスクは残ります44。そのため、治療が成功した後も、医師の指示に従って定期的に超音波検査などのがん検診を受け続けることが非常に重要です。
Q3: お酒を全く飲まないのに、脂肪肝と言われました。なぜですか?
A3: それは、アルコール以外の原因による脂肪肝、いわゆるMASLD(代謝機能障害関連脂肪性肝疾患)の可能性が高いです。MASLDは、飲酒習慣がなくても、肥満、糖尿病、脂質異常症といった生活習慣病や、食べ過ぎ、運動不足が原因で発症します1。近年、日本で急増しており、新たな「国民病」とも言われています。放置すると肝硬変や肝がんに進行する可能性があるため、食事や運動などの生活習慣の見直しが必要です。
Q4: 肝臓に良いとされるサプリメントは効果がありますか?
A4: 科学的根拠が確立されているものは非常に少ないのが現状です。むしろ、特定の成分の過剰摂取が逆に肝臓に負担をかけ、「薬剤性肝障害」を引き起こす危険性もあります2。サプリメントを利用する際は、自己判断で安易に始めるのではなく、必ず事前に主治医や薬剤師に相談し、安全性を確認してください。最も確実な方法は、バランスの取れた食事を心がけることです。
結論
本記事を通じて、肝疾患が単一の病気ではなく、ウイルス、アルコール、生活習慣など多様な原因から生じ、自覚症状なく進行する「沈黙の脅威」であることを詳述しました。しかし、同時に、その脅威は決して克服不可能なものではないことも明らかになりました。日本の先進的な医療技術、特にC型肝炎を治癒可能にしたDAA治療の登場、そしてそれを支える手厚い公的助成制度や医療連携体制は、世界に誇るべきものです。
今、日本の肝疾患対策は、ウイルス性肝炎の制圧という大きな成果を土台に、MASLD/NASHという新たな国民病との闘いへと移行しています。この闘いの主役は、医療者だけでなく、私たち一人ひとりです。自身の健康状態に関心を持ち、定期的な検査を受け、バランスの取れた食事や運動、節度ある飲酒といった健康的な生活習慣を実践すること。それが、自らの肝臓を守る最も強力な手段となります。
たとえ病気と診断されても、正しい知識を持ち、専門家と連携し、利用できる社会資源を活用すれば、病と共生しながら質の高い人生を送ることは十分に可能です。この記事が、読者の皆様にとって、肝臓の健康について考え、行動を起こすきっかけとなれば、JHO編集委員会としてこれ以上の喜びはありません。
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