医学的レビュー:
田中 義彦(医師、医学博士)
日本腎臓学会 腎臓専門医
[所属機関名] 腎臓内科
この記事の科学的根拠
この記事は、引用元の研究報告書で明示的に引用されている最高品質の医学的根拠にのみ基づいています。以下の一覧には、実際に参照された情報源と、提示された医学的指導との直接的な関連性が含まれています。
- 日本腎臓学会 (JSN): この記事における慢性腎臓病(CKD)および多発性嚢胞腎(ADPKD)の診断基準、食事療法、管理に関する日本の臨床現場に即した指針は、同学会発行の「CKD診療ガイドライン2023」「多発性嚢胞腎(PKD)診療ガイドライン2020」などの複数の公式文書に基づいています。1613
- KDIGO (Kidney Disease: Improving Global Outcomes): 腎疾患に関する国際的な診療ガイドラインの推奨事項、特にCKDおよびADPKDの評価と管理に関するグローバルスタンダードな見解は、KDIGOが発行した「KDIGO 2024 Clinical Practice Guideline for the Evaluation and Management of Chronic Kidney Disease」および関連文書に基づいています。731
- KDOQI (Kidney Disease Outcomes Quality Initiative): 腎臓病における栄養管理、特に2020年のアップデート版ガイドラインで示されたたんぱく質やエネルギー摂取に関する詳細な推奨事項は、米国腎臓財団のKDOQIによる臨床実践ガイドラインに基づいています。35
要点まとめ
- 腎嚢胞には、多くが無害な「単純性腎嚢胞」と、進行性の遺伝性疾患である「多発性嚢胞腎(ADPKD)」があり、両者で対応が全く異なります。
- 単純性腎嚢胞の場合、特別な食事療法は原則不要です。将来の腎臓の健康のために、一般的な血圧管理や減塩を心がけることが推奨されます。
- ADPKDと診断された場合、食事療法は治療の重要な柱です。「積極的な水分摂取」「厳格な減塩」「カロリー管理」「たんぱく質の過剰摂取回避」が早期の基本となります。
- 腎機能が低下(CKDステージ進行)すると、たんぱく質、カリウム、リンの制限が追加で必要になります。特に加工食品に含まれる「無機リン」は避けるべきです。
- 食事療法は自己判断で行わず、必ず腎臓専門医や管理栄養士と連携し、定期的な血液検査に基づいて個別指導を受けることが最も重要です。
「腎臓に嚢胞があります」と言われた方へ:まずはご自身の診断を正しく理解しましょう
ご自身の状況を正確に把握するため、まずは以下の比較表をご覧ください。この違いを理解することは、不必要な心配を避け、本当に必要な対策に集中するための第一歩です。
特徴 | 単純性腎嚢胞 (Simple Kidney Cyst) | 多発性嚢胞腎 (ADPKD) |
---|---|---|
原因 | 一般的に不明、非遺伝性、加齢に伴い増加5 | 遺伝性。PKD1やPKD2などの遺伝子変異が原因6 |
嚢胞の数 | 通常は1個または少数5 | 両方の腎臓に多数の嚢胞が発生し、時間とともに増加5 |
進行性 | 通常は進行せず、腎機能への影響はほとんどない5 | 進行性。嚢胞が増大し、腎臓が腫大、将来的に腎不全(CKD)に至る可能性6 |
食事療法の主な目的 | 原則として特別な食事療法は不要。一般的な腎臓の健康維持(血圧・体重管理)が中心5 | 嚢胞の増大を抑制し、高血圧や腎機能低下といった合併症の進行を遅らせること7 |
重要な食事のポイント | 健康的な生活習慣の維持 | 積極的な水分摂取、厳格な塩分制限、体重管理、そして慢性腎臓病(CKD)の進行に合わせた栄養素の管理6 |
多くの場合、健康診断などで指摘される腎嚢胞は「単純性腎嚢胞」であり、過度な心配は不要です。しかし、もし「多発性嚢胞腎(ADPKD)」と診断された場合は、食事療法が治療の重要な柱となります。
単純性腎嚢胞と食事:本当に知っておくべきこと
単純性腎嚢胞と診断された方にとって、最も重要な情報は「多くの場合、特別な食事療法は必要ない」ということです。
安心してください:単純性腎嚢胞は一般的で、ほとんどが無害です
単純性腎嚢胞は、特に50歳を過ぎると多くの人に見られる非常に一般的な所見です5。多くは他の目的で行われた超音波(エコー)検査やCT検査で偶然発見され、症状もなく、腎臓の働きに影響を与えることもありません5。そのため、単純性腎嚢胞があるからといって、特定の食品を禁止したり、厳格な食事制限を開始したりする必要は全くありません。むしろ、不必要な食事制限は栄養バランスを崩し、かえって健康を損なう可能性もあります。専門家としての最も重要なアドバイスは、過度に心配せず、これまで通りの健康的な生活を続けることです。
「嚢胞のための食事」ではなく「生涯の腎臓の健康のための食事」へ
特別な食事療法は不要ですが、これを機に、将来にわたって腎臓を健康に保つための生活習慣を見直すことは非常に有益です。これは嚢胞を治療するためではなく、すべての人にとって推奨される、慢性腎臓病(CKD)の予防という観点からのアプローチです。
- 血圧の管理: 腎臓の健康にとって最も重要な要素は、血圧を正常に保つことです。高血圧は腎臓に負担をかける最大の要因の一つです12。
- 適切な塩分摂取: 血圧管理と密接に関連するのが塩分です。日本人の食事摂取基準では、高血圧予防のために男性で1日7.5g未満、女性で6.5g未満の食塩摂取が推奨されています。将来的な腎臓への負担を考慮し、より健康的な目標として1日6g未満を目指すことは、優れた予防策となります13。
- 適正体重の維持: 肥満は腎臓を含む全身の健康にとってストレス要因となります。バランスの取れた食事と適度な運動で、ご自身の身長に見合った適正体重を維持するよう心がけましょう15。
- バランスの取れた食事: 特定の食品に偏らず、野菜、果物、全粒穀物を豊富に含み、加工食品を控えた食生活が、腎臓だけでなく全身の健康の基盤となります。
単純性腎嚢胞の診断は、食事療法を始めるきっかけではなく、ご自身の腎臓の健康について改めて考える良い機会と捉えることが賢明です。
多発性嚢胞腎(ADPKD)と食事:進行を遅らせるための包括的ガイド
多発性嚢胞腎(ADPKD)と診断された場合、食事療法は単なる健康管理ではなく、病気の進行を遅らせるための「治療の柱」となります。ADPKDは遺伝性の進行性の病気であり、薬物療法と並行して、食事と生活習慣の改善に積極的に取り組むことが、腎機能を長く保つために極めて重要です7。
ADPKD食事療法の4つの柱
腎機能が比較的保たれている早期の段階では、特に以下の4つの柱を徹底することが推奨されます。
柱1:積極的な水分摂取 – 最も強力な自己管理ツール
科学的根拠: ADPKDでは、嚢胞を大きくする原因の一つとして「バソプレシン」というホルモンの働きが知られています。水をたくさん飲むことで、このホルモンの分泌が抑制され、嚢胞の増大を遅らせる効果が期待されています6。
具体的な目標: 1日に2.5リットルから4リットルを目安に水分を摂取します10。これは日本腎臓学会やKDIGOのガイドラインでも推奨されている重要なアプローチです6。
実践のコツ:
- 一度に大量に飲むのではなく、1日を通してこまめに飲むことが重要です6。常に手元に水筒を置き、喉が渇く前に飲む習慣をつけましょう。
- 飲むものは「水」またはカフェインを含まない「麦茶」などが最適です。糖分の多いジュースや清涼飲料水は、カロリー過多や腎臓への負担につながる可能性があるため避けましょう11。
柱2:徹底した減塩 – 腎臓と血圧を守る
二重のメリット: ADPKD患者は若年から高血圧を合併しやすく、高血圧は病気の進行を早める最大の要因です8。厳格な減塩は、血圧をコントロールするだけでなく、過剰な喉の渇きを抑え、柱1の水分摂取を容易にするという二重のメリットがあります15。
明確な目標: 1日の食塩摂取量を6g未満に抑えることを目指します13。これは一般的な健康目標よりも厳しい数値であり、意識的な取り組みが必要です。
注意すべき「隠れ塩分」: パン、麺類、ハムやソーセージなどの加工肉、練り物、スープ類、そして一部の調味料には、自覚している以上に多くの塩分が含まれています。食品表示を常に確認する習慣をつけましょう15。
柱3:カロリー管理と適正体重の維持 – 進行を遅らせるために
直接的な関連性: 肥満(BMI 25以上)は、ADPKD患者において嚢胞の増大と腎機能低下を加速させることが研究で示されています6。
目標: BMIを25未満に維持することを目指します。BMIは「体重(kg) ÷ 身長(m) ÷ 身長(m)」で計算できます15。
達成方法: バランスの取れた食事で過剰なカロリー摂取を避け、お腹に強い衝撃が加わるコンタクトスポーツなどを除き、ウォーキングなどの適度な運動を習慣づけましょう11。
柱4:たんぱく質との賢い付き合い方
食事療法のニュアンス: 腎機能が低下した後期CKDとは異なり、早期のADPKDでは厳格なたんぱく質「制限」よりも、過剰な摂取を「避ける」ことが重視されます10。
一般的な目安: 早期CKDのガイドラインに基づき、1日あたりのたんぱく質摂取量が標準体重1kgあたり1.3gを超えないように心がけるのが一つの目安です14。
将来への備え: 腎機能が低下するにつれて、より厳格なたんぱく質制限が必要になることを理解しておきましょう。この食事療法は、病気のステージと共に進化していくものです。
腎機能の変化とともに:CKD(慢性腎臓病)食事療法のマスター
ADPKDが進行したり、他の原因で腎機能が低下したりすると、医師はeGFR(推算糸球体濾過量)という指標を用いて、その状態を「慢性腎臓病(CKD)」のステージとして説明します。eGFRは、血液検査のクレアチニン値などから計算される、腎臓の働きを示す重要な指標です。eGFRが低下するにつれて、食事療法の焦点はADPKDの4つの柱に加え、合併症を防ぐためのカリウムやリンの管理へと拡大していきます。
CKDステージ (eGFR mL/min/1.73m²) | たんぱく質 (g/kg標準体重/日) | 食塩 (g/日) | カリウム (mg/日) | エネルギー (kcal/kg標準体重/日) |
---|---|---|---|---|
G1-G2 (eGFR ≥ 60) | 過剰摂取を避ける (<1.3g) | < 6g (高血圧がなければ緩やかな目標も可) | 制限なし | 25-35 |
G3a (eGFR 45-59) | 0.8 – 1.0g | < 6g | 制限なし (高値でなければ) | 25-35 |
G3b (eGFR 30-44) | 0.6 – 0.8g | < 6g | 2,000mg未満に制限 | 25-35 |
G4-G5 (eGFR < 30) | 0.6 – 0.8g | < 6g | 1,500mg未満に制限 | 25-35 |
G5D (透析期) | 0.9 – 1.2g | < 6g | 2,000mg以下 | 30-35 |
注: これらは一般的な目安です。個人の目標値は必ず主治医や管理栄養士が血液検査の結果に基づいて設定します。標準体重(kg) = 身長(m) × 身長(m) × 22 で計算します21。 |
各栄養素の詳細解説
- たんぱく質 (Protein): 腎機能が低下すると、たんぱく質の代謝物である尿素窒素などの老廃物が体内に蓄積し、腎臓にさらなる負担をかけます14。そのため、ステージG3b以降はたんぱく質を制限する必要があります。ここで重要なのは、たんぱく質を制限するあまりエネルギー不足に陥らないことです。エネルギーが不足すると、体は自らの筋肉を分解してエネルギー源としてしまい、かえって栄養状態が悪化(Protein-Energy Wasting, PEW)してしまいます14。
- カリウム (Potassium): 腎臓はカリウムを体外に排出する重要な役割を担っています。腎機能が低下するとカリウムが体内に溜まりやすくなり、「高カリウム血症」を引き起こします。これは心臓に影響を与え、致死的な不整脈の原因となるため、厳格な管理が必要です14。バナナ、メロン、芋類、一部の葉物野菜、ドライフルーツなどはカリウムが多いため、制限が必要になります22。
- リン (Phosphorus): リンも腎機能低下に伴い体内に蓄積しやすくなります。高リン血症は、骨がもろくなったり、血管の石灰化を進めて心血管疾患の危険性を高めたりします13。ここで専門的な知識として重要なのが、「有機リン」と「無機リン」の違いです。豆類やナッツ類などの植物性食品に含まれる有機リン(フィチン酸)は体内への吸収率が低い(10-30%)のに対し、加工食品や清涼飲料水に食品添加物として含まれる無機リン(リン酸塩)は、ほぼ100%吸収されてしまいます25。したがって、食品表示の原材料名を確認し、「リン酸塩」と書かれた食品を避けることが、効果的なリン管理の鍵となります。
- 食塩とエネルギー (Salt and Energy): 食塩6g未満、エネルギー25-35 kcal/kgという目標は、CKDの全ステージを通じて基本となる重要な原則です13。
透析導入後のたんぱく質摂取量の逆転
上の表を見ると、透析(G5D)を開始するとたんぱく質の推奨量が大幅に増えることに気づくでしょう。これは一見矛盾しているように見えますが、明確な理由があります。透析治療は、腎臓の代わりに老廃物を除去してくれますが、同時に体にとって必要なたんぱく質(アミノ酸)も失われてしまいます23。この損失を補い、栄養状態を良好に保つために、透析患者は保存期CKDの患者よりも多くのたんぱく質を摂取する必要があるのです。この食事方針の変更も、必ず医療チームの指導のもとで行われます。
実践編:腎臓病の食事療法を日常生活に取り入れるヒント
臨床的な数値を日々の食生活に落とし込むには、具体的な工夫が必要です。ここでは、毎日の食事作りで役立つ実践的なテクニックを紹介します。
減塩のコツ (The Art of Low-Salt Cooking)
- だしの旨味を活用する: 昆布やかつお節から丁寧にとった「だし」を基本にすることで、塩分を控えながらも料理に深い味わいを与えることができます17。
- 酸味と香りを味方につける: 酢やレモン汁などの酸味、しょうが、しそ、にんにく、カレー粉などの香辛料や香味野菜を上手に使うと、味のアクセントが生まれ、薄味でも満足感を得やすくなります20。
- 「かける」より「つける」: 醤油やソースは料理に直接かけるのではなく、小皿にとって「つけて食べる」習慣にすると、使用量を大幅に減らせます。
- 麺類の汁は飲まない: ラーメンやうどん、そばの汁には多くの塩分が含まれています。具材だけを楽しみ、汁は残すように心がけましょう17。
カリウムを減らす調理法 (Taming Potassium)
- 「茹でこぼし」と「水さらし」: 野菜や芋類は、細かく切ってからたっぷりの湯で茹で、その茹で汁を捨てる「茹でこぼし」を行うことで、カリウムの量を減らすことができます17。また、水にさらすことでも一定の効果があります。
- 缶詰の活用: 果物の缶詰は、シロップの中にカリウムが溶け出しているため、生の果物よりもカリウム含有量が少ない場合があります。シロップをしっかり切ってから利用するのは一つの方法です24。
賢い買い物と治療用特殊食品
- 食品表示の確認: 買い物の際には、栄養成分表示を必ず確認しましょう。特に「食塩相当量」をチェックします。「ナトリウム(mg)」で表示されている場合は、「ナトリウム(mg) × 2.54 ÷ 1000」で食塩相当量(g)に換算できます15。
- 治療用特殊食品の利用: たんぱく質制限とエネルギー確保を両立させるための強力な味方が、「低たんぱくご飯」やパン、麺類などの治療用特殊食品です。これらを主食に活用することで、おかずで良質なたんぱく質をしっかり摂りながら、1日の総たんぱく質量を目標内に収めやすくなります18。
食事の具体例:1日の献立案
以下の献立は、食事療法の原則を具体的にイメージするための例です。
焦点: 積極的な水分摂取、食塩6g未満、適正カロリー、たんぱく質の過剰摂取回避 | |
---|---|
食事 | 献立例 |
朝食 | 全粒粉パン、無塩バター、目玉焼き、グリーンサラダ(レモン汁とオリーブオイル)、牛乳 |
昼食 | 鶏むね肉のグリル(ハーブと香辛料で下味)、玄米ご飯、野菜たっぷりコンソメスープ(減塩)、ほうれん草のおひたし(だし醤油を数滴) |
夕食 | 魚の塩焼き(塩はごく少量)、豆腐とわかめの味噌汁(減塩味噌、具沢山で汁は少なめに)、きんぴらごぼう(だしとみりんで風味付け) |
間食 | 果物、無塩ナッツ |
水分 | 1日を通して水やお茶を2.5L以上 |
焦点: 厳格なたんぱく質・食塩・カリウム・リン制限、エネルギー確保 | |
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食事 | 献立例 |
朝食 | 低たんぱくパン、マーガリン、野菜炒め(茹でこぼした野菜を使用、香辛料で味付け) |
昼食 | 低たんぱくご飯、豚肉の生姜焼き(肉は少量、玉ねぎは多めに)、春雨スープ(減塩、だしを効かせて) |
夕食 | 低たんぱくご飯、白身魚の野菜あんかけ(魚は少量、野菜は茹でこぼし、片栗粉でとろみ付け)、きゅうりとわかめの酢の物 |
間食 | エネルギー補給ゼリー、低たんぱくビスケット |
水分 | 主治医の指示に従う(制限がある場合が多い) |
よくある質問
Q1: コーヒーやお茶は飲んでもいいですか?
A: ADPKDの場合、かつてはカフェインが懸念されましたが、近年の見解では適度な摂取は問題ない可能性が高いとされています。ただし、水分補給の主体はあくまで水が望ましいです11。一般的なCKDでは、ミルクやクリーム(リンやカリウムを含むことがある)の入れすぎに注意すれば、適量の摂取は通常問題ありません。
Q2: アルコールはどうですか?
Q3: ハーブ系のサプリメントや健康食品は安全ですか?
A: いいえ、自己判断での摂取は絶対に避けてください。 多くのハーブや健康食品は腎臓に有害な成分を含んでいたり、カリウムが非常に高かったりする場合があります。腎臓専門医に相談なく、いかなるサプリメントも摂取してはいけません。
Q4: 植物性の食事(プラントベースドダイエット)は腎臓病に良いですか?
A: 非常に有益な可能性があります。植物性たんぱく質は腎臓への負担が少ない傾向があり、食品添加物由来の無機リンも少ないです25。ただし、植物性食品はカリウムが高いものが多いため、安全な献立を作成するには管理栄養士との連携が不可欠です。
Q5: 日本(JSN)と海外(KDIGO)のガイドラインに違いはありますか?
A: 基本的なエビデンスは共通しており、大きな方向性に違いはありません。JSNのガイドラインは、日本の食生活や臨床現場の実情に合わせて調整されています7。この記事では、両方のガイドラインの推奨事項を統合し、最も信頼性の高い情報を提供しています。
結論
この記事は、腎嚢胞と食事に関する包括的な情報を提供する教育ガイドです。しかし、この記事が個別の医学的アドバイスに取って代わることは決してありません。腎臓病の食事療法を成功させるために最も重要なことは、患者、腎臓専門医、そして管理栄養士の三者による強固なパートナーシップです18。医療チームだけが、あなたの血液検査結果を正確に解釈し、病状や他の病態に合わせて食事計画を個別に調整し、専門的なサポートを提供することができます32。この記事で得た知識を活用し、ご自身の医療チームとより深く、建設的な対話を行ってください。それが、あなたの健康の旅路を主体的にコントロールするための、最も確実な方法です。
参考文献
- 日本腎臓学会編. エビデンスに基づくCKD診療ガイドライン2023. 東京医学社, 2023. Available from: https://minds.jcqhc.or.jp/summary/c00779/
- 日本腎臓学会編. CKD診療ガイド2024. 東京医学社, 2024. Available from: https://jsn.or.jp/medic/guideline/
- 腎嚢胞(じんのうほう)|すこやかコラム – ときわ会. [インターネット]. [引用日: 2025年6月25日]. Available from: https://www.tokiwa.or.jp/columns/sukoyaka/050.html
- 日本腎臓学会編. エビデンスに基づく多発性囊胞腎(PKD)診療ガイドライン2020. 2020. Available from: https://jsn.or.jp/academicinfo/report/evidence_PKD_guideline2020.pdf
- Kidney Disease: Improving Global Outcomes (KDIGO) ADPKD Work Group. KDIGO 2025 Clinical Practice Guideline for the Evaluation, Management, and Treatment of Autosomal Dominant Polycystic Kidney Disease (ADPKD). Kidney Int. 2025. Available from: https://kdigo.org/guidelines/autosomal-dominant-polycystic-kidney-disease-adpkd/
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- ADPKD(常染色体優性多発性嚢胞腎)の生活上の注意点. [インターネット]. [引用日: 2025年6月25日]. Available from: https://adpkd.jp/basic/care.html
- 腎嚢胞を予防するために、生活で気をつけることはありますか? |多発性嚢胞腎 – ユビー. [インターネット]. [引用日: 2025年6月25日]. Available from: https://ubie.app/byoki_qa/clinical-questions/qsa74rxgz
- 日本腎臓学会編. 慢性腎臓病に対する食事療法基準 2014年版. 日腎会誌 2014;56(5):561-586. Available from: https://cdn.jsn.or.jp/guideline/pdf/CKD-Dietaryrecommendations2014.pdf
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- 暮らし方の知恵 | PKDFCJ|多発性嚢胞腎財団日本支部. [インターネット]. [引用日: 2025年6月25日]. Available from: https://www.pkdfcj.org/?page_id=957
- 成人 CKD 患者への栄養管理 – 日本腎臓学会. [インターネット]. [引用日: 2025年6月25日]. Available from: https://jsn.or.jp/data/gl2024_ckd_ch08.pdf
- 日本腎臓学会編. CKD生活・食事指導マニュアル. 2015. Available from: https://cdn.jsn.or.jp/guideline/pdf/H25_Life_Diet_guidance_manual.pdf
- 慢性腎臓病の食事療法 – 腎援隊. [インターネット]. [引用日: 2025年6月25日]. Available from: https://jinentai.com/ckd/tips/5_3.html
- 慢性腎臓病の食事療法 – 東京女子医科大学. [インターネット]. [引用日: 2025年6月25日]. Available from: https://www.twmu.ac.jp/NEP/shokujiryouhou.html
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- これだけは知っておきたい食事管理のポイント | 透析レシピ – キッセイ薬品. [インターネット]. [引用日: 2025年6月25日]. Available from: https://www.kissei.co.jp/dialysis/recipe/point.html
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- Ikizler TA, Burrowes JD, Byham-Gray LD, et al. KDOQI Clinical Practice Guideline for Nutrition in CKD: 2020 Update. Am J Kidney Dis. 2020;76(3 Suppl 1):S1-S107. Available from: https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32829751/