赤ちゃんの背中を守る!早すぎるお座り練習は本当に必要か?小児理学療法士が教える最適な時期と正しい支援方法の完全ガイド
小児科

赤ちゃんの背中を守る!早すぎるお座り練習は本当に必要か?小児理学療法士が教える最適な時期と正しい支援方法の完全ガイド

愛情あふれる保護者の皆様、赤ちゃんの成長を見守る日々は大きな喜びに満ちていますが、同時に「これでいいのかな?」という小さな不安がつきまとうものでしょう。特に、赤ちゃんの「お座り」に関しては、「いつから、どうやって練習させればいいの?」「周りの子はもう座っているのに、うちの子はまだ…」「でも、早く練習させると体に悪いって聞いたことがあるし…」といった悩みを抱える方は少なくありません。JHO編集委員会は、小児理学療法士をはじめとする専門家の長年の研究と臨床現場での知見に基づき、皆様のその不安を確かな自信に変えるお手伝いをいたします。本記事は、最新の研究と公式データを基に、赤ちゃんの背骨の発達の仕組みを科学的に解き明かし、お座りの「最適な時期」と、赤ちゃんの自然な発達を安全かつ効果的に支援するための具体的な行動計画を徹底的に解説します。この記事を読み終える頃には、他の子との比較から解放され、ご自身のお子様の成長を専門家のように観察し、自信を持ってその唯一無二の旅路を支えることができるようになっているはずです。1</a href=”#ref-2″>2

この記事の科学的根拠

この記事は、入力された研究報告書において明確に引用されている最高品質の医学的根拠にのみ基づいています。以下の一覧は、実際に参照された情報源と、提示された医学的指導との直接的な関連性を示したものです。

  • 厚生労働省: 本記事における「日本の赤ちゃんの90%以上が生後9〜10ヶ月未満で一人座りが可能になる」との記述は、厚生労働省の平成22年乳幼児身体発育調査に基づいています。3
  • 世界保健機関(WHO): 「支えなしのお座りが可能になる時期は3.7ヶ月から8.9ヶ月の間」という世界的な発達範囲に関する記述は、WHOの調査研究を引用しています。4
  • 米国疾病予防管理センター(CDC): 「9ヶ月が一つの重要なチェックポイント」という発達のマイルストーンに関する見解は、CDCのガイドラインに基づいています。5
  • Summit Chiropractic Center: 「CカーブからSカーブへの背骨の発達」に関する生体力学的解説は、同センターの公開資料を参考にしています。7
  • さかぐち整骨院: 「早すぎるお座り練習による不良姿勢の定着や体幹筋発達阻害」に関するリスク分析は、同院の専門的見解を引用しています。12
  • 日本理学療法士協会: 「受動的な姿勢では筋肉の活動が低い」というEMG研究に関する記述は、同協会の資料に基づいています。16
  • 日本離乳食・小児食育学会: 「食事時の足置きの重要性」に関する指摘は、同学会の提言を引用しています。18
  • こども家庭庁: 「日本の乳幼児健康診査システムの活用」に関する情報は、同庁の公式資料に基づいています。22

要点まとめ

  • 赤ちゃんの90%以上が一人座りできるようになるのは、厚生労働省の調査によると生後9ヶ月から10ヶ月未満です。早期にできないことを心配する必要はありません。3
  • 発達の準備ができていない赤ちゃんを無理に座らせることは、Cカーブの背骨に過剰な負担をかけ、将来の姿勢の歪みや体幹の発達阻害につながる危険性があります。12
  • お座りのための最高の準備運動は、うつ伏せ遊び(タミータイム)を十分にさせることです。これにより、首・背中・肩など体を支える筋肉が自然に鍛えられます。7
  • 床置きソファ(バンボなど)やハイチェアなどのベビーグッズは、発達を「訓練」する道具ではありません。使用は短時間に留め、特にハイチェアは足裏がしっかりつく足置き付きのものを選びましょう。1517
  • 生後10ヶ月を過ぎても座れない、体の使い方に明らかな左右差があるなどの場合は、市区町村の乳幼児健診で専門家に相談することが推奨されます。22

お座りの自然な時間計画:科学とデータが示すこと

赤ちゃんの成長における最大の誤解の一つは、「決まった月齢で特定のスキルを達成しなければならない」という固定観念です。この章では、その神話を解体し、信頼できるデータに基づいて「お座り」の正常な範囲がいかに広いかを示すことで、保護者の皆様を安心させることを目指します。

発達段階の分解:世界と日本の視点

まず理解すべき最も重要な点は、乳児の発達は競争ではなく、一人ひとり異なるペースで進む連続体であるということです。赤ちゃんの気質、体格、そして何よりも動き回る機会の多さが、発達のペースに大きく影響を与えることが専門家により指摘されています。1

この点を客観的に理解するために、複数の信頼できる情報源からのデータを比較してみましょう。日本の保護者にとって最も信頼性の高い基準は、厚生労働省の調査です。平成22年(2010年)に行われた「乳幼児身体発育調査」によると、日本の赤ちゃんの90%以上が、生後9ヶ月から10ヶ月未満で一人座りが可能になると報告されています。3 この事実は、生後7ヶ月や8ヶ月でお座りがまだできないお子さんを持つ保護者の方にとって、非常に心強いデータとなるでしょう。

より広い視野で見ると、世界保健機関(WHO)の調査では、支えなしのお座りが可能になる時期は生後3.7ヶ月から8.9ヶ月の間と、非常に広い範囲にわたることが示されています。4 また、米国小児科学会(AAP)や米国疾病予防管理センター(CDC)は、一般的にお座りができるようになる時期を6ヶ月から8ヶ月の間としつつ、9ヶ月を一つの重要な確認時点としています。45 注目すべきは、異なる国の権威ある機関が、9ヶ月という時期を一つの目安として共通認識している点です。

これらのデータをまとめた以下の表は、客観的な事実に基づき、保護者の皆様の不安を和らげるためのものです。

権威機関/情報源 発達段階:支えなしで座る 要点
日本の厚生労働省(平成22年調査) 90%の乳児が9〜10ヶ月未満で達成3 日本の赤ちゃんの大多数は10ヶ月までには達成します。焦る必要はありません。
世界保健機関(WHO) 典型的には3.7〜8.9ヶ月の間4 世界的に見ても非常に広い範囲が「正常」とされています。
米国小児科学会/米国疾病予防管理センター(AAP/CDC) 典型的には6〜8ヶ月の間。9ヶ月までに達成されるべき5 9ヶ月が一つの目安とされていますが、それまでの発達過程が重要です。

準備完了の合図を見極める:赤ちゃんのお座り前「自己訓練」

専門家の視点から見ると、「何ヶ月になったか」よりも「どのような準備ができているか」の方がはるかに重要です。月齢という数字に一喜一憂するのではなく、お子さんが見せる体のサインを読み解くことに集中しましょう。お座りは、以下の技能が順番に達成されていく自然なプロセスの集大成です。

  • 首すわり(Head Control): これは絶対的な前提条件です。自分の頭をぐらつかずに支える首の筋力がなければ、座ることはできません。4
  • 腕で押し上げる(Pushing Up on Arms): うつ伏せの状態で、頭と胸をぐっと持ち上げる動きです。この「うつ伏せ遊び(タミータイム)」を通じて、背中や肩の筋肉が強力に鍛えられます。これはお座りに向けての非常に重要な段階です。8
  • 寝返り(Rolling Over): 仰向けからうつ伏せへ、うつ伏せから仰向けへと体をひねる動きは、体幹の筋肉を鍛え、自分の体を制御する感覚(ボディ・アウェアネス)を養います。8
  • 三脚座り(The “Tripod Sit”): お座りが完成する直前に見られる最も特徴的なサインです。赤ちゃんは座った姿勢で、均衡をとるために体の前に片手または両手をつきます。4 これは、赤ちゃんが均衡の取り方を学んでいる最中であることを示すサインであり、保護者が慌ててその手をどかしてはいけません。
  • 足を口に持っていく動き: 仰向けで自分の足をつかんで口に持っていく遊びは、腹筋を鍛え、股関節の柔軟性を高める効果があります。

これらのサインは、赤ちゃんが自分自身の体を使って、お座りに必要な「筋力」と「均衡感覚」を自ら養っている証拠です。保護者の役割は、この自然な「自己訓練」を急かすことではなく、安全な環境を提供し、見守ることなのです。

赤ちゃんの背中の生体力学:なぜ急ぐのが危険なのか

「少しぐらい練習させても大丈夫だろう」と考えるかもしれません。しかし、赤ちゃんの体、特に背骨は、大人のミニチュアではありません。発達のプロセスを無視した早期のお座り練習がなぜ危険なのか、その科学的な理由を詳しく解説します。

発達途中の背骨:「Cカーブ」から「Sカーブ」へ

生まれたばかりの赤ちゃんの背骨は、全体が緩やかに後ろに凸のカーブを描いており、アルファベットの「C」の字のような形をしています。7 これは、母親のお腹の中にいた時の自然な胎児姿勢の名残です。

一方、大人の背骨は、首(頸椎)、胸(胸椎)、腰(腰椎)に3つのカーブを持つ「S」字状になっています。このS字カーブは、重力に対して効率的に体を支え、歩行時の衝撃を吸収する重要な役割を果たします。このS字カーブは生まれつき持っているものではなく、赤ちゃんが自らの力で重力に抗する動きを経験する中で、段階的に獲得していくものなのです。7

  • 頸椎の前弯(首のカーブ): 最初の二次的なカーブは、首に形成されます。赤ちゃんがうつ伏せ遊びの中で、自分の力で頭を持ち上げることを繰り返すことで、首の筋肉が発達し、前に凸のカーブが作られます。7
  • 腰椎の前弯(腰のカーブ): 二番目の二次的なカーブは、腰に形成されます。これは、赤ちゃんが四つ這いやずりばいをし、やがてつかまり立ちをする過程で、下半身と上半身をつなぐ腰回りの筋肉が発達することで作られていきます。7

この発達の順序が示す重要な事実は、S字カーブは、能動的で自発的な運動を通じて『獲得』されるものであるということです。まだCカーブの状態の背骨を持つ赤ちゃんを無理に座らせることは、構造的に準備ができていない背骨に、垂直方向の大きな負荷をかけることに他なりません。

早すぎる「お座り練習」の危険性:理学療法士による分析

準備ができていない赤ちゃんを無理に座らせることには、単に「背中に悪い」という以上の、連鎖的な危険性が潜んでいます。

  • 背骨への過剰な負担と不良姿勢の定着: Cカーブの背骨を無理やり垂直にすると、重力は背骨全体に不均等にのしかかります。これを支える筋力がないため、赤ちゃんは背中を丸め(いわゆる猫背)、骨盤を後ろに倒した(骨盤後傾)姿勢で座るしかありません。12 この不自然な姿勢が習慣化すると、将来的な姿勢の歪みにつながる可能性があります。
  • 体幹の筋力発達の阻害: これが最も皮肉な点です。椅子やクッションで周りを固めて座らせると、赤ちゃんは外部の支えに頼ってしまいます。その結果、本来なら体を支えるために働くべきお腹や背中の深い部分の筋肉(体幹)が、活動する機会を失います。独立して座るために不可欠な筋肉が、良かれと思ってした「練習」によって、逆に発達が妨げられてしまうのです。12 日本理学療法士協会が紹介するある研究では、表面筋電図(EMG)を用いて赤ちゃんの筋肉の活動を測定したところ、カーシートのような受動的な姿勢では筋肉の活動が極めて低く、うつ伏せのような能動的な姿勢では活発に働くことが科学的に証明されています。16
  • 重要な運動発達段階の省略: これは見過ごされがちですが、非常に重要な危険性です。受動的に座ることに慣れてしまった赤ちゃんは、床の上で自ら動こうとする意欲や機会が減ってしまうことがあります。その結果、ずりばいや四つ這い(ハイハイ)といった、発達上きわめて重要な段階を十分に経験しないまま、次の段階に進んでしまう可能性があるのです。12 四つ這いは、単に移動するための手段ではありません。それは、左右の体を協調させて使う能力(両側協応)、肩周りの筋力と安定性(将来の書字などの巧緻運動の基礎となる)、手と目の協応、空間認識能力と問題解決能力を育むための最高の訓練です。
  • 他の機能への悪影響: 不良姿勢の影響は、運動機能だけに留まりません。猫背の姿勢は呼吸器の働きを妨げる可能性があります。さらに、日本離乳食・小児食育学会の指摘によると、背中が丸まると顎が上がりやすくなり、舌を正しい位置(上顎)につけて食べ物を飲み込む(嚥下)ことが難しくなります。18 これは、誤嚥の危険性を高めるだけでなく、長期的に見て噛み合わせや歯並びにも影響を与える可能性が指摘されています。17

これらの危険性は、個別に発生するのではなく、相互に関連し合っています。一つの不適切な介入が、ドミノ倒しのように次の発達段階に影響を及ぼす可能性があるのです。早期のお座り練習という行為は、赤ちゃんの体を「座る」という孤立した技能ではなく、相互に連携する一つの発達システム全体を危険に晒す行為と言えます。

保護者のための行動計画:赤ちゃんの「お座り」までを正しく支援する方法

では、保護者は具体的に何をすればよいのでしょうか。「してはいけないこと」を理解した上で、ここからは「すべきこと」、つまり赤ちゃんの自然な発達を真に支援するための、安全で前向きな行動計画を提案します。

黄金律:床遊びを優先し、うつ伏せ遊びを習得する

赤ちゃんのお座りの準備として、最も効果的で最も重要な活動は何かと問われれば、専門家は皆、口を揃えてこう答えるでしょう。「床の上で自由に遊ばせること」です。特にうつ伏せ遊び(タミータイム)は、お座りのための最高の準備運動です。その効果は首の筋力強化だけに留まりません。うつ伏せで頭や胸を持ち上げる動きは、肩、背中、お尻といった、体をまっすぐに支えるために必要な体の後ろ側の筋肉全体を鍛え上げます。7

うつ伏せ遊びの実践手引き:

  • 早くから、短く、頻繁に: 生後間もない頃から、1回数分程度の短い時間で、1日に何回か行いましょう。
  • 嫌がる場合は工夫を: 赤ちゃんがうつ伏せを嫌がるのはよくあることです。その場合は、保護者の胸やお腹の上、膝の上で試したり、丸めたタオルの上に赤ちゃんの胸を乗せて少し角度をつけてあげると楽になります。
  • 楽しく魅力的に: 保護者も床に寝そべって赤ちゃんと目線を合わせたり、鏡を見せたり、興味を引くおもちゃを少しだけ手の届かない場所に置いて、頭を上げて手を伸ばす動きを促しましょう。

ベビー用品の賢い使い方:頼りすぎず、正しく使う

市場には赤ちゃんの「発達を促す」とうたう製品が溢れていますが、その使い方には注意が必要です。基本的な原則は、「ベビー用品は、発達を『訓練』するためではなく、保護者の利便性や安全確保のために使うもの」と心に留めておくことです。

  • 床置きソファ(バンボなど): これらの製品は、発達を助ける道具ではなく、赤ちゃんの動きを制限する「容器」であると認識してください。使用は極めて限定的にすべきです。首が完全にすわってから、1日1〜2回、1回あたり10分から15分以内に留めるべきだと専門家は指摘しています。15 最大の懸念は、受動的な姿勢を強いることで、本来使われるべき筋肉の活動を妨げる点にあります。
  • ハイチェア(ベビーチェア): これらは長時間の遊びではなく、食事のために使用するものです。選ぶ際に最も重要な機能は、高さ調節可能な足置きがあることです。なぜなら、赤ちゃんの足裏がしっかりと平面につくことで、骨盤と体幹が安定し、背筋を伸ばした正しい姿勢で食事に集中できるからです。1718 足が宙に浮いた状態では、体は不安定になり、猫背になりやすくなります。これは専門家が特に重視する、非常に価値のある知識です。
  • 抱っこ紐(ベビーキャリア): 正しく使えば、赤ちゃんの心身の発達に良い影響を与えます。推奨されるのは、赤ちゃんの股関節が自然な「M字」または「カエル足」の形に保たれ、背中のCカーブを妨げない、人間工学に基づいて設計された内向き抱きのキャリアです。この姿勢は、股関節の健全な発達を促すことが知られています。16 一方で、赤ちゃんの背骨を無理に伸ばしてしまう可能性のある、長時間の前向き抱きには注意が必要です。

ベビー用品安全利用確認表

製品の種類 発達を促す道具か? 安全な使い方の指針 危険なサイン
床置きソファ いいえ。動きを制限する物です。 1日1-2回、1回10分以内。首が完全にすわってから。15 体がCの字に丸まる、足が浮く、前のめりになる。
ハイチェア 食事専用です。 足裏が足置きにしっかりつくことが必須。17 背筋が伸びる姿勢を保てる物。 足がぶらぶらしている、骨盤が後ろに倒れ猫背になる。
バウンサー/スイング あやすための物です。 短時間の使用に留める。睡眠には使用しない。 長時間放置する、受動的な姿勢が続く。
人間工学に基づく抱っこ紐 正しく使えば、はい。 内向き抱きで、赤ちゃんの膝がお尻より高い「M字」姿勢を保つ。16 赤ちゃんの足がだらんと垂れる、長時間の前向き抱き。

親子遊び:最高の体育館はパパ・ママ

赤ちゃんにとって最高の運動発達の場は、高価な知育玩具や特別なプログラムではなく、保護者との動的な触れ合いの中にあります。

  • 膝の上での支え座り: これが最も優れた「補助付きお座り」です。保護者は、赤ちゃんの筋肉がどのように働いているか、いつ疲れてきたかを肌で感じ取ることができます。そして、赤ちゃんが自分で頑張れるように、必要最小限の支援を動的に調整することができます。20
  • リーチングゲーム: 赤ちゃんが座れるようになったら、おもちゃを体の横や少し後ろなど、様々な場所に置いてみましょう。赤ちゃんは体をひねったり、傾けたりしながら手を伸ばすことで、均衡感覚や、転びそうになった時に手をついて体を守る「保護伸展反応」を発達させていきます。21

よくある質問と専門家への相談の時期

ここまでの説明で、基本的な考え方はご理解いただけたかと思います。最後に、保護者の皆様から特によく寄せられる質問にお答えし、どのような場合に専門家へ相談すべきか、日本の医療制度の中でどのように行動すればよいかを具体的に解説します。

Q1: 「うちの子は7ヶ月ですがまだ座れません。でも、友達の子は5ヶ月で座っていました。心配です。」

A: まず、他人との比較はやめましょう。第一章で示した通り、お座りができるようになる時期には非常に広い正常範囲があります。4 月齢ではなく、お子さん自身の発達のサイン(首すわり、うつ伏せでの腕立てなど)に注目してください。お子さんがこれらの準備段階を着実に進んでいるのであれば、全く心配する必要はありません。

Q2: 「クッションで周りを固めて『練習』させるのは大丈夫ですか?」

A: これは推奨されません。椅子と同様に、クッションは受動的な支えとなり、赤ちゃんが自分の筋肉ではなく外部の支えに頼ることを学習させてしまいます。12 保護者の膝の上で、動的な支援をしながら練習する方がはるかに効果的です。

Q3: 「座らせようとすると、背中がすごく丸まってしまいます(猫背)。どういう意味ですか?」

A: これは多くの場合、背中や体幹の筋力が、まだ上半身の重さを支えるのに十分ではないというサインです。このサインは、「もっとお座りの練習が必要」なのではなく、「もっと床遊びやうつ伏せ遊びが必要」であることを示しています。12 この状態が続くようであれば、次の健康診査で相談してみるとよいでしょう。

専門家への相談:日本の乳幼児健診制度を活用する

ほとんどの赤ちゃんは自分のペースで発達していきますが、中には専門的な支援が必要な場合もあります。過度に心配する必要はありませんが、以下の点を一つの目安として、専門家への相談を検討してください。

相談を検討する目安:

  • 厚生労働省のデータで90%以上が可能になる生後10ヶ月を過ぎても、支えなしで座れない場合。3
  • 座る時に常に同じ側に傾くなど、体の使い方に明らかな左右差がある場合。
  • 体が異常に硬い、またはぐにゃぐにゃと柔らかすぎるように感じる場合。
  • 生後7〜8ヶ月になっても、首すわりや寝返りなど、お座りの準備段階のサインがほとんど見られない場合。

日本の乳幼児健康診査の活用:

これらの懸念を相談する最初の、そして最も重要な場所が、市区町村が実施する乳幼児健康診査です。22 3〜4ヶ月健診、6〜7ヶ月健診、9〜10ヶ月健診などは、発達の専門家(医師、保健師など)に直接相談できる貴重な機会です。短い診察時間の中で効果的に相談するためには、事前に質問をメモしておくことが有効です。国立成育医療研究センターのマニュアルでも推奨されているように、「最近、座らせようとすると背中が丸まるのが気になっています。うつ伏せ遊びは毎日しているのですが、他に気をつけることはありますか?」のように、具体的な状況と既に行っている対策を伝えると、専門家も的確な助言をやすくなります。24 健診の目的は、問題を早期に発見し、必要であれば小児科医や理学療法士といった専門家への「紹介」につなげることです。不安を一人で抱え込まず、公的な支援制度を積極的に活用してください。

結論:結果より過程を楽しみ、わが子の成長を信じよう

赤ちゃんがお座りを学ぶのを助ける最も確実で愛情深い方法は、床の上で自由に動き回り、自らの力で体を制御する術を習得する機会を十分に与えることです。発達とは、急がせることのできない、危険を伴わずに省略することのできない、自然なプロセスなのです。保護者の皆様の役割は、赤ちゃんを「訓練する指導者」になることではありません。安全な環境を整え、赤ちゃんの挑戦を温かく見守る「促進者」であり、その成長を信頼する「自信に満ちた観察者」であることです。赤ちゃんの動きの「なぜ」を理解し、彼らが生まれながらに持つ発達の時間計画を信じることで、皆様は赤ちゃんに最高の贈り物をしていることになります。それは、生涯にわたる健やかな動きの土台となる、強くしなやかな体です。どうか、寝返りのためにもがく姿、ずりばいでの不器用な前進、そして四つ這いでの探検を、心から祝福してあげてください。それら一つひとつが、お座りという素晴らしい発達段階、そしてその先にあるすべての成長へと続く、真の構成要素なのです。

免責事項本記事は情報提供を目的としたものであり、専門的な医学的助言に代わるものではありません。健康上の懸念や治療に関する決定を下す前には、必ず資格のある医療専門家にご相談ください。

参考文献

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  2. baby band. 【医師解説】赤ちゃんのお座りはいつから?練習法と注意点について [インターネット]. [引用日: 2025年7月21日]. Available from: https://www.babyband.jp/column/sit-up
  3. 萌文書林. 【図表 2-3】 一般調査による乳幼児の運動機能通過率 [インターネット]. [引用日: 2025年7月21日]. Available from: https://houbun.com/wp-content/uploads/2013/05/096_hosoku.pdf
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  5. Centers for Disease Control and Prevention. Important Milestones: Your Baby By Nine Months [Internet]. [cited 2025 Jul 21]. Available from: https://www.cdc.gov/ncbddd/actearly/milestones/milestones-9mo.html
  6. BabyCenter. When do babies start to sit up? [Internet]. [cited 2025 Jul 21]. Available from: https://www.babycenter.com/baby/baby-development/baby-milestones-sitting_6505
  7. Summit Chiropractic Center. Spinal Development In Children & The Importance Of Posture [Internet]. [cited 2025 Jul 21]. Available from: https://www.summitchiropracticvt.com/blog-summit-chiropractic-center/spinal-development-children
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