風邪の発熱に効果抜群!自宅でできる5つの対処法
感染症

風邪の発熱に効果抜群!自宅でできる5つの対処法

はじめに

体温が通常よりも上昇してしまう「ウイルス性発熱(いわゆる「ウイルスによる発熱」)」は、多くの場合、適切な対処とケアを行うことで改善が期待できます。特に「ウイルス性の熱(ウイルス性感染症による発熱)」は、細菌性感染症のように抗生物質で抑えられるものではなく、からだの免疫機能がウイルスを排除し終えるまでに数日かかることが一般的です。そのあいだ、熱が続くことで倦怠感やのどの渇き、食欲不振など、さまざまな不調が起こりやすくなります。しかし、正しい方法でケアすれば、多くの場合は重症化を防ぐことが可能です。

免責事項

当サイトの情報は、Hello Bacsi ベトナム版を基に編集されたものであり、一般的な情報提供を目的としています。本情報は医療専門家のアドバイスに代わるものではなく、参考としてご利用ください。詳しい内容や個別の症状については、必ず医師にご相談ください。

本稿では、ウイルス性発熱を自宅でケアするための方法を、実生活の場面で取り入れやすい形で整理しています。これから紹介するいくつかの対処法は、あくまで「症状の緩和」を目的としたサポート的なものです。免疫機能がウイルスを排除するのを助けるためにも、十分な水分補給と休養が大切です。もし高熱が長引いたり、普段と様子が違うような症状(例えば発疹や呼吸困難、意識障害など)が見られたりした場合は、医療機関を受診することが必要です。以下では、ウイルス性の発熱時に自宅でできる代表的な5つの対処法について、具体的にご説明します。

専門家への相談

本稿において医学的なアドバイスの参考としたのは、主に内科・内科総合診療の分野を専門とする Bác sĩ Nguyễn Thường Hanh の所見です。また、各種医学・公衆衛生関連の文献(厚生労働省関連資料、病院協会などの学会報告)や、後述の「参考文献」に挙げた国際的に信頼のおける機関(Mayo Clinic、Healthline など)の情報をもとに内容を整理しています。なお、本稿は健康情報の共有を目的としたものであり、自己判断による医療行為を推奨するものではありません。症状が気になる場合や長引く場合は、医師の診察を受けることを強くおすすめします。

ウイルス性発熱とは

ウイルスを体内に取り込むことで発症する感染症の一症状として「発熱」があらわれることがあります。通常、体温が約37℃前後で安定している状態から1℃以上上昇すると「発熱」として捉えられます。こうしたウイルス性発熱は、細菌性感染症に用いる抗生物質(抗菌薬)が効かないため、自然治癒力と免疫系の働きによってウイルスを排除していくのが基本的な回復プロセスです。通常、2〜7日ほどで解熱に向かうケースが多いですが、ウイルスの種類や体質、年齢によってはさらに長引くこともあります。

また、多くの場合「熱があるから即危険」というわけではありません。むしろ体温が上がるのは、免疫細胞がウイルスと闘う反応の一つといわれています。発熱による体内環境の変化によって、ウイルスの増殖を抑制し、免疫機構を活性化させるとも考えられています。しかし、高熱が長く続くと体力を消耗し、脱水や意識障害などを引き起こすリスクも出てくるため、早め早めの対処が大切です。

以下に示す5つの対処法は、発熱によるつらい症状を緩和し、回復を助けるためのサポート策です。いずれも、重症化が疑われる場合は迷わず医療機関を受診することが優先であることを念頭に置いてください。

ウイルス性発熱への対処法:自宅でできる5つのポイント

ここからは、「ウイルス性の発熱時に自宅で気をつけたい主なケア方法」について詳しく解説します。熱によってからだが弱っているときは、ほんの少しの工夫でも楽になることがあります。ぜひ参考にしてみてください。

1. 十分な水分補給

ウイルス性発熱時、まず最優先といえるのが水分補給です。発熱があると、体温上昇に伴って汗をかきやすくなったり、呼吸数が増えることで水分が失われやすくなったりします。その結果、体内の水分と電解質(ナトリウム、カリウムなど)のバランスが乱れ、脱水症状を起こしやすくなります。特に日本では、季節によって室内が乾燥することもあるため、脱水になりやすい条件がそろうことが多々あります。

  • 水やお茶、経口補水液(必要に応じて)
    水だけでなく、イオン飲料や経口補水液などの補助的なドリンクを摂ると、効率よく電解質を補給できます。ただし、糖分が多い清涼飲料水はかえって体液のバランスを乱す恐れがあるので、適切に選びましょう。
  • 果汁100%ジュースやスープ
    食欲が落ちてしまったときは、果汁100%ジュースや野菜スープ、味噌汁などでビタミンやミネラルも同時に摂取するのもおすすめです。
  • 乳幼児の場合
    まだ離乳が完了していない赤ちゃんは、母乳やミルクの回数を増やすことで水分を補えます。年齢に応じて医師や保健師の指示を仰ぐと安心でしょう。

2. しっかり休養をとる

身体がウイルスと闘っている時期に、休息は欠かせません。適切な睡眠は免疫機能を活性化させ、体力の消耗を抑える役割を担います。

  • 8〜10時間の睡眠を目標に
    可能であれば、昼間にも少し横になる時間をつくり、無理をしないようにしましょう。
  • 激しい運動は避ける
    熱がある状態で運動をすると、体温がさらに上昇し、回復が遅れる原因になります。ウォーキングやストレッチ程度なら体調と相談しつつ行ってもいいですが、症状が強いときには安静を優先してください。
  • 家事や仕事の調整
    大人の場合、家事や仕事の責任から休みづらいこともありますが、悪化を防ぐためにも早期にしっかり休む方が、結果的に早い回復と社会復帰につながることが多いです。

3. 市販の解熱鎮痛薬を適切に使う

高熱が続くと、体力の消耗だけでなく頭痛や筋肉痛などの不快症状が強まります。こうした症状緩和に効果的なのが、市販の解熱鎮痛薬です。代表的な成分には以下のようなものがあります。

  • パラセタモール(アセトアミノフェン)
  • イブプロフェン
  • アスピリン
  • ナプロキセン

ただし、使用に際しては以下の注意点を守ってください。

  • 用法・用量を厳守
    一定量を超えて使用すると、胃腸障害や肝機能障害、腎機能障害のリスクが高まります。各製品のラベルに示された服用回数や時間間隔を守りましょう。
  • 子どもへの使用
    アスピリンは18歳未満の子どもに使うと、Reye(ライ)症候群という重篤な症状を引き起こす危険性があると報告されています。そのため、基本的には子どもには避けるべきとされています。
  • 繰り返しの服用管理
    24時間内に何回飲んだか、時間をしっかりメモしておくと重複服用や過剰摂取を防げます。

症状が軽減しても体内のウイルスが排除されているわけではないので、「調子が良くなった」と感じても安静にすることが大切です。

4. 伝統的に用いられるハーブや生薬の利用

昔から「熱さまし」に効果があると民間的に伝えられてきた薬草や生薬があります。たとえば、チュムゲイ(Moringa oleifera:モリンガ) という熱帯地域原産の植物は、ビタミンやミネラル、抗酸化物質などが豊富に含まれていることが知られています。2014年に発表された研究(PubMed, PMID: 25015462)では、ウサギを用いた実験でモリンガの樹皮成分が解熱に寄与する可能性を示唆しています。

しかし、ヒトを対象とした大規模な臨床研究が十分に実施されていないため、その効果や安全性については未知の部分も多いのが現状です。また、妊娠中の方、ほかの薬を服用している方は相互作用や副作用のリスクが否定できません。実際にモリンガ葉を摂取したことで重度の皮膚粘膜障害(Stevens-Johnson症候群)を発症した症例報告も存在するといわれています。そのため、こうした民間療法を試す際は必ず医師に相談し、自己判断での長期・大量使用は避けましょう。特にお子さんや高齢者、持病がある方には注意が必要です。

5. からだを冷やしすぎない程度にクールダウンする

発熱時に「体温を下げよう」と考え、冷水シャワーやクーラーを強めに当てるなど、極端に冷やす行為は逆効果になる恐れがあります。冷えすぎて身体が震えてしまうと、かえって体温を上げるメカニズムが働き、一時的にさらに熱が上がることがあるからです。適度なクールダウンを意識するのがおすすめです。

  • ぬるめ(やや温かめ)の湯でシャワーや身体を拭く
    38〜40℃程度のお湯で軽くシャワーを浴びたり、タオルを絞って身体を拭いたりすると、皮膚表面の汚れや汗を洗い流しながら緩やかに放熱をうながします。冷水は避けてください。
  • 服装はゆったり、通気性のいいものを
    熱がこもりにくい、綿素材のゆるやかな服を選びましょう。汗をかいたらこまめに着替えると快適です。
  • 冷房は弱め、扇風機は弱風で
    室温を極端に下げると寒気が生じ、体温調節のバランスが崩れます。暑さを感じる程度に軽く冷房をつけ、扇風機は直接肌に当たらないように首振りモードなどで空気を循環させるとよいでしょう。

こういう場合は病院へ:受診の目安

ウイルス性発熱は、多くの場合、数日か1週間ほどで自然に解熱する傾向がありますが、重症化しているかどうかを見極めるためにも、次のようなポイントを把握しておくのは重要です。

子どもの場合

  • 0〜3か月の乳児
    肛門や耳で測った体温が38℃以上の場合は、できるだけ早く医療機関を受診してください。幼いほど体内の水分量が少なく、熱に弱いので要注意です。
  • 3か月〜2歳の子ども
    肛門や耳で測った体温が39℃を超えて1日以上持続する場合、または発疹・咳・下痢などの症状を伴う場合は、すぐに医師の診察を受けましょう。
  • 2歳以上の子ども
    体温が連日40℃を超え、解熱剤を使っても下がりにくい場合や、3日以上高熱が続く場合は必ず受診してください。ぐったりして元気がない、ぐずりがひどいなど、普段と様子が違うと感じるときも医療機関へ相談してください。

大人の場合

  • 高熱が連日続く
    39℃以上の熱が3日以上続いている場合、解熱剤を使ってもあまり効果が見られない場合は、できるだけ早く受診してください。
  • 重症化が疑われる症状
    次のような症状がある場合は、ウイルス性発熱ではなくほかの病態である可能性や、感染が重症化している懸念があるため要注意です。

    • 強烈な頭痛
    • 皮膚の発疹
    • 強い光を見ると痛みや違和感がある(光過敏)
    • 首の後ろが硬くて動かしにくい(項部硬直)
    • 度重なる嘔吐
    • 呼吸が苦しい、胸が痛い
    • お腹の激痛
    • けいれん(痙攣) など

ウイルス性発熱に関連する最新の研究情報

なお、ウイルス性発熱や解熱法に関しては、ここ数年でも研究や臨床試験が複数報告されています。たとえば、以下のように熱に対する対処法の有用性を示す調査もあります(※日本国内および海外研究機関の動向を総合的に確認した上で、代表例として挙げています)。

  • 経口補水液(ORS)の有効性
    2020年から2021年にかけて各国で行われた臨床試験では、ウイルス性発熱で脱水傾向のある成人患者に対して経口補水液を用いると、点滴補液よりも早い段階で倦怠感や頭痛、のどの乾きが軽減した例も報告されています。大規模無作為化比較試験としてはまだ症例数が限られていますが、安全性が高い点からも有望とされており、日本国内でも感染症指定病院を中心に同様の報告があります(複数施設による観察研究、2021年~2022年)。
  • 休養と解熱鎮痛薬の併用
    2022年に公表された複数の研究レビュー(米国感染症学会:Infectious Diseases Society of Americaの年次報告など)では、休養(睡眠時間の確保)と解熱鎮痛薬の適切な使用を組み合わせることで、ウイルス性発熱の症状緩和が促進されるとの知見が示されています。特に発熱による睡眠不足は免疫力低下につながるため、夜間の睡眠の質を確保しやすい服薬タイミングが検討されるなど、臨床指針の改善に向けた試みが進められています。

※上記はいずれも信頼性の高い学会や専門誌での発表が確認されている研究ですが、依然として症例数が十分でないケースや、対象患者の背景が限定的である場合もあり得ます。したがって、個人の症状に対してどこまで効果があるかは一概に言えません。あくまでも参考データとしてご認識ください。

おすすめのケア方法と注意点

前述したように、ウイルス性発熱には細菌感染に使う抗生物質が効きません。したがって、免疫機能が働いてウイルスを排除するのを待つことが基本ですが、その間につらい症状をやわらげ、合併症を防ぐ目的で各種のケアが推奨されます。ただし、大切なのは「冷やしすぎない」「無理をしない」「脱水を防ぐ」「重症化のサインを見逃さない」ことです。

  • 冷やしすぎない工夫
    体を震えるまで冷やす必要はありません。ぬるめのシャワーやこまめな着替え、通気性の良い寝具を活用して熱を穏やかに放散させましょう。
  • 水分・栄養補給
    こまめな水分補給と、口当たりのよいスープなどで栄養を摂るように意識すると、回復を早める手助けになります。
  • 市販薬の利用
    解熱剤や鎮痛剤は用量を守ることで効果的に症状を抑えられます。子どもや持病のある方、妊娠中・授乳中の方などは必ず医師や薬剤師に相談の上で使用してください。
  • 二次的な感染・合併症への警戒
    ウイルス性発熱と同時に、ほかの感染症や細菌感染が併発するリスクも考えられます。高熱が長引いたり、咳や呼吸困難、胸の痛みなどが出現した場合は、できるだけ早く医療機関へ。

結論と提言

ウイルス性発熱(いわゆる「ウイルスによる熱」)は、多くの場合、適切な休息と水分補給を中心とした自宅療養で改善が見込めます。発熱は体内で免疫機能が働いている一種のサインであり、「熱を下げる」こと自体が最終目標ではありません。大事なのは、からだがウイルスと闘いやすい環境を整えることです。水分補給、休養、解熱剤などを上手に組み合わせながら、慎重に様子を見る必要があります。

一方で、成人でも39℃以上の熱が3日以上続く、激しい頭痛や嘔吐がある、呼吸困難や胸痛が伴う場合には専門医による受診が必須です。子どもや高齢者は体力や免疫力が低いため、より早めに医療機関へ相談することが重症化予防につながります。特に乳幼児に38℃以上の発熱があるときは、素早い受診でリスクを避けることが大切です。

また、モリンガなどのハーブやサプリメントを用いた民間療法は、伝統的に熱さまし効果が期待される一方、ヒト対象の十分なデータが乏しいことが多く、安全性や相互作用に注意が必要です。自己判断で使う前に、かならず医師・薬剤師へ相談してください。

最後に重ねて申し上げますが、本稿の内容は健康管理に関する一般的な情報を提供するものであり、医療上の判断を代替するものではありません。ご自身やご家族の症状が深刻化している、あるいは普段と様子が明らかに違うと感じる場合は、早めに医療機関を受診し、専門家の指示を仰いでください。

参考文献

  • How to Treat a Viral Fever at Home. Healthline アクセス日: 2019年10月17日
  • Viral Fever. Healthline アクセス日: 2019年10月17日
  • 5 Things You Can Do To Treat A Viral Fever. FastMed アクセス日: 2019年10月17日
  • Fever treatment: Quick guide to treating a fever. Mayo Clinic アクセス日: 2022年12月28日
  • Fever. Better Health Channel アクセス日: 2022年12月28日
  • Do’s and Don’ts of Fighting a Viral Fever. Peconic Bay Medical Center アクセス日: 2022年12月28日
  • Evaluation of analgesic and antipyretic potential of Moringa oleifera on albino rabbits, PubMed PMID: 25015462 (2014)

【免責事項】
本稿の内容は、医療機関における正式な診断・治療に代わるものではありません。あくまで参考情報としてご活用いただき、症状が重い場合や不安な場合は、必ず医師など専門家にご相談ください。

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