骨量減少(オステオペニア)とは?YAM値70〜80%予備群
この記事でわかること
目次
- 骨量減少(骨粗鬆症予備群)とは?骨密度が下がる仕組み
- YAM値・T-scoreの基準——骨密度分類のものさし
- 骨密度検査の種類——DXA法・超音波法・MD法の違い
- なぜ「骨量減少」の段階で対策する意味があるのか
- 骨密度検診の受け方——対象年齢・頻度・受けられる場所
- 二次性骨粗鬆症——薬や持病が原因で骨量が減ることもある
- 骨量減少と骨粗鬆症の違い——同じ「骨が弱い」でも対応が変わる
- 日本と国際機関(NIH/NIAMS)のとらえ方の比較
- 骨量減少になりやすい人——危険因子をチェック
- 進行させないためにできること——運動・食事・生活習慣
- 骨量減少の段階でも薬物治療が検討されるケース——FRAXの考え方
- よくある質問
- 参考文献
結論から言うと、骨密度検査でYAM値70〜80%と言われたら「骨量減少(骨粗鬆症予備群)」——まだ骨粗鬆症ではないが正常でもない中間段階で、日本骨代謝学会『原発性骨粗鬆症の診断基準(2012年改訂版)』ではYAM値80%以上を正常、70%超80%未満を骨量減少、70%以下を骨粗鬆症とする基準が使われている[1]。
この症状、いつ受診すべきか確認しますか?
回答に合わせて必要な質問だけを表示します。診断は行いません。
症状はいつから続いていますか?
回答により質問数が変わります・途中でいつでも記事に戻れます
閉経後の女性や50代以降に多く見つかる段階で、この時点で生活習慣を見直せば骨粗鬆症への進行を遅らせられる可能性があるとされているが、進行の速さには個人差が大きい。一方で公益財団法人骨粗鬆症財団のセルフチェック案内によると、骨密度だけでなく骨折リスクが高いと判断されれば、この段階でも薬物治療の対象になることがある[5]。
要点まとめ
- 骨量減少(オステオペニア)は同学会の診断基準でいうYAM値70%超80%未満のゾーン——骨粗鬆症(70%以下)ではないが、正常(80%以上)でもない[1]
- 日本整形外科学会によると骨密度検査にはデキサ法(DXA法・二重エネルギーX線吸収測定法)、超音波法、MD法、CT法があり、DXA法が最も精度が高いとされる[4]
- 公益財団法人骨粗鬆症財団によると、50歳前後の女性は閉経後に骨密度の低下が加速するとされ、この時期に骨量減少ゾーンへ入る人が増える[3][8]
- 厚生労働省の食事摂取基準に基づくカルシウム・ビタミンD・ビタミンKの摂取と、荷重運動・筋力トレーニングで進行を遅らせられる可能性がある[9]
- WHOの研究グループが開発したFRAXで算出した10年間の骨折確率が高ければ、骨密度が基準に満たなくてもこの段階で薬物治療の対象になりうる——受診の目安に当てはまるサインがあれば早めに整形外科を受診する[10]
編集方針: JHO編集部がAIツールの支援を受け、公的機関・学会・査読論文と照合して作成。最終確認は人の目。医師による個別診断の代わりにはなりません。数値・分類はガイドライン改定により変わることがあります(2026年7月時点・更新日 2026年7月17日)。本文の内容に誤りや古い情報にお気づきの場合は、お問い合わせフォームからご指摘いただければ確認のうえ修正します。
骨量減少(骨粗鬆症予備群)とは?骨密度が下がる仕組み
骨は一生のあいだ、古い骨を壊す「骨吸収」と新しい骨をつくる「骨形成」を繰り返しながら生まれ変わっている。公益財団法人骨粗鬆症財団はこの新陳代謝の仕組みを「骨リモデリング」と呼び、女性は15〜18歳、男性は20歳前後で最大骨量に達し、40代半ばまではほぼ維持されると説明している[3]。
その後、加齢や女性ホルモン(エストロゲン)の低下、カルシウム不足などによって骨吸収と骨形成のバランスが崩れ、同財団の説明では、失った骨量を骨形成が追いつかなくなると考えられている[3]。この減少が一定の範囲にとどまっている段階が「骨量減少(オステオペニア)」であり、さらに進んで骨がもろく折れやすくなった状態が「骨粗鬆症」である。日本整形外科学会は骨粗鬆症を「骨量(骨密度)が減る、または骨の質が低下することで骨がもろくなり、骨折しやすくなる病気」と定義している[4]。
骨量減少の段階では自覚症状はほとんどない。日本整形外科学会は骨粗鬆症について「痛みはないのが普通」で「転ぶなどのちょっとしたはずみで骨折しやすくなる」と説明しており[4]、これは骨量減少の段階からすでに始まっている変化の延長線上にあると考えられる。より詳しい病態や合併症については、骨粗鬆症の危険性とは?合併症と予防策で危険因子ごとに整理している。
今の血圧・脈拍を確かめる
数値を入れると、日本高血圧学会の血圧値の分類と「次にすること」を表示します。記録はこの端末の中だけに保存され、登録は不要です。
身長と体重からBMIも調べる
血圧手帳(この端末に保存)
これは診断ではありません。入力された数値を日本高血圧学会の血圧値の分類(高血圧の基準は診察室 140/90mmHg以上・家庭 135/85mmHg以上)に当てはめて「受診の目安」を機械的に示すもので、医師の診察に代わるものではありません。日本高血圧学会「高血圧管理・治療ガイドライン2025」では、降圧目標は年齢によらず診察室 130/80mmHg未満・家庭 125/75mmHg未満とされています。脈拍の目安は学会の分類ではなく一般的な参考範囲です。
YAM値・T-scoreの基準——骨密度分類のものさし
骨密度の評価には「YAM値(Young Adult Mean、若年成人平均値)」が使われる。同学会の診断基準によれば、これは腰椎では20〜44歳、大腿骨近位部では20〜29歳の健康な人の骨密度平均を100%としたとき、自分の骨密度が何%にあたるかを示す数値である[2]。同学会の診断基準では、脆弱性骨折がない場合、骨密度がYAMの70%以下または−2.5SD以下であれば骨粗鬆症、70%超80%未満であれば骨量減少(骨粗鬆症予備群)、80%以上であれば正常と分類される[1]。
| 分類 | YAM値の基準 | 意味・目安 |
|---|---|---|
| 正常 | 80%以上 | 骨密度は年齢相応の範囲内[1] |
| 骨量減少(骨粗鬆症予備群) | 70%超80%未満 | 将来的に骨折しやすくなる可能性があり、注意が必要な中間ゾーン[1] |
| 骨粗鬆症 | 70%以下 | 骨折予防のための治療が検討される状態[1] |
出典:日本骨代謝学会の診断基準(YAM値による分類、独立行政法人国立病院機構の医療機関資料より)[1]
もう一つの指標が「T-score」で、これは同じ性別の若年成人平均値を基準に、自分の骨密度が標準偏差(SD)でどれだけ離れているかを示す。国際的にはWHO基準としてT-scoreマイナス1.0からマイナス2.5未満を骨量減少(オステオペニア)、マイナス2.5以下を骨粗鬆症とする分類が広く使われており、これは日本のYAM値による分類とは算出方法が異なる指標である。どちらも「健康な若年成人の骨密度」を基準点とする点は共通するが、日本の実地診療では同学会の診断基準に基づくYAM値(%表示)を用いた分類が中心になっている[1]。
この診断基準は一度決まったら固定というものではない。日本では1996年に、骨密度がYAM値80%以上を正常、80%未満かつ70%以上を骨量減少、脆弱性骨折の既往があるか70%未満であれば骨粗鬆症とする基準が、この診断基準の中で定められた[1]。その後、同学会の診断基準は2000年度改訂版・2012年度改訂版と版を重ねるごとに見直され、脆弱性骨折の有無を組み合わせた判定(椎体骨折・大腿骨近位部骨折があれば骨密度の高低にかかわらず骨粗鬆症、その他の脆弱性骨折があり骨密度がYAMの80%未満でも骨粗鬆症とする)が、この診断基準の改訂で導入されている[1]。数値の境界線(70%・80%)自体は長く使われ続けている一方、どのような場合に薬物治療を開始するかという治療基準のほうは、FRAXの導入なども含めて時代とともに更新されてきたと考えられる。「YAM値70〜80%だから一律にこう対応する」という単純な話ではなく、ガイドラインが版を重ねるたびに運用の細部が調整されている領域だと理解しておくとよい。
骨密度検査の種類——DXA法・超音波法・MD法の違い
骨密度の測定方法にはいくつかの種類があり、日本整形外科学会は「デキサ法(2重エネルギーX線吸収法)、超音波法、MD法、CT法」を挙げている[4]。それぞれ精度・費用・受けられる施設の広さが異なるため、健診で使われる方法と精密検査で使われる方法が違うことも多い。
| 検査法 | 仕組み・特徴 | 精度と使われ方 |
|---|---|---|
| DXA法(デキサ法) | 2種類のX線を使い、腰椎・大腿骨近位部の骨密度を測定する[4] | 精度が最も高いとされ、診断・治療方針の判断に使われる標準的な方法[4] |
| 超音波法(QUS法) | かかとなどに超音波を当てて骨の状態を推定する。X線を使わない | 被ばくがなく健診・スクリーニングで使われやすいが、DXA法ほどの精度は期待しにくいとされる |
| MD法 | 手のX線写真から中手骨の骨密度を評価する | 簡便だが測定部位が四肢の末梢に限られ、腰椎・大腿骨近位部の状態を直接見るものではない |
出典:日本整形外科学会「骨粗鬆症」検査方法の解説をもとに整理[4]
骨密度の測定にはこのほかCT法もあるが、日本の実地診療で健診に広く使われているのはDXA法と超音波法である。健診で超音波法により「要精密検査」と判定された場合、より精度の高いDXA法で再検査を受けることが勧められる[4]。
ここまでの流れを整理すると、次のようになる。まず、閉経後の女性・家族に大腿骨近位部の骨折歴がある・低体重・喫煙や運動不足といった危険因子を持つ人は、症状がなくても骨密度検査を受けることが勧められる。検査で得られたYAM値は、同学会の診断基準に沿って「正常(80%以上)」「骨量減少(70%超80%未満)」「骨粗鬆症(70%以下)」の3つのいずれかに振り分けられる[1]。危険因子が複数あるほど、そして年齢が上がるほど、この振り分けで骨量減少・骨粗鬆症ゾーンに入る可能性が高くなるため、危険因子に心当たりがある人ほど早めに検査を受けておく価値がある。
なぜ「骨量減少」の段階で対策する意味があるのか
骨量減少の段階は自覚症状がほとんどないため、「まだ骨粗鬆症ではないのだから、今は何もしなくてよい」と考えてしまいがちである。しかし、骨折が起きてから初めて骨の弱さに気づくケースが多いことは指摘されている。大腿骨近位部骨折に関する国内の研究報告では、骨折して1年以内の死亡率は8〜24%であり、5年生存率はがんよりも低いとの報告があるとされる[8]。また、公益財団法人股関節研究振興財団の資料では、骨折して1年経っても骨折前の歩行状態に回復しない割合は50%に達すると指摘されている[8]。
つまり、骨粗鬆症は「骨折して初めて気づき、しかもそのときには手遅れに近いことがある病気」だという性質を持つと考えられる。骨量が減少した状態という自覚症状のない段階で数値を把握し、生活改善や必要に応じた受診につなげておくことは、将来の骨折とその後の生活の質の低下を避けるための、数少ない「先回りできるタイミング」だといえる。
骨密度検診の受け方——対象年齢・頻度・受けられる場所
骨密度検査は、症状がなくても一定の年齢に達したら一度は受けておきたい検査である。多くの自治体では女性を対象に40歳以降、5歳刻みの節目年齢(40・45・50・55・60・65・70歳など)で骨粗鬆症検診を実施しており、対象者には自治体から案内が届くことが多い。男性についても人間ドックや健診のオプションとして骨密度測定を選べる施設が増えている。
結果がYAM値80%以上の「正常」であれば、次の節目年齢まで数年おきの再検査で様子を見ることが一般的とされる。一方、70%超80%未満の「骨量減少」ゾーンに入った場合は、危険因子の有無に応じて1〜2年ごとの再検査が勧められることが多い。急激に数値が変化することは少ないが、閉経直後の女性は骨密度の低下速度が速い傾向があるため、産婦人科や整形外科で経過を見てもらう間隔を短めに設定する医師もいる。健診結果に「要精密検査」「要受診」と記載された場合は、自己判断で先延ばしにせず、整形外科・骨粗鬆症外来を早めに受診したほうがよい。
二次性骨粗鬆症——薬や持病が原因で骨量が減ることもある
骨量減少・骨粗鬆症の多くは加齢や閉経に伴って起こる「原発性」のものだが、特定の病気や薬剤の影響で二次的に骨密度が下がる「二次性骨粗鬆症」という区分もある。代表的な原因として、関節リウマチや喘息などでステロイド薬(グルココルチコイド)を長期間使用している場合、甲状腺機能亢進症や副甲状腺機能亢進症などのホルモン疾患がある場合、糖尿病、慢性腎臓病、胃切除後や吸収不良症候群などで栄養素の吸収が低下している場合などが挙げられる。
二次性骨粗鬆症が疑われる場合は、原因になっている病気や薬剤のコントロールと並行して骨密度の管理を行う必要があるため、単純な生活習慣の改善だけでは対応しきれないことがある。持病があり長期的に薬を服用している人が骨量減少を指摘された場合は、担当の診療科と整形外科の両方に「骨密度が下がっている可能性」を伝え、原因疾患の治療方針と骨密度対策をすり合わせてもらうことが望ましい。
ステロイド性骨粗鬆症——ステロイド薬は、骨量減少・骨粗鬆症の原因薬剤としてよく知られている。関節リウマチ、気管支喘息、膠原病、炎症性腸疾患など幅広い病気の治療に使われるため、服用している人自体が多く、しかも服用開始から比較的早い時期に骨密度が低下し始めると考えられている。ステロイド薬を長期間(目安として3か月以上)服用する予定がある、またはすでに服用している場合は、服用開始時点、あるいは骨量減少を指摘された時点で、骨密度検査とあわせてカルシウム・ビタミンDの摂取状況を主治医に確認してもらうことが勧められる。自己判断でステロイド薬の服用を中止・減量することは原疾患の悪化につながるため避け、必ず処方医に相談したうえで骨密度対策を検討する必要がある。
続発性骨粗鬆症の主な原因疾患——ステロイド性のほかにも、糖尿病(特に1型糖尿病)、慢性腎臓病、関節リウマチ、甲状腺機能亢進症、副甲状腺機能亢進症、胃切除後の状態、性腺機能低下症などが、骨量減少・骨粗鬆症を引き起こす原因として位置づけられている。これらの持病がある人は、骨密度検査の頻度そのものを主治医と相談し、原発性の骨密度の低下とは異なる頻度・方法で経過を見ることが望ましいとされる。
骨量減少と骨粗鬆症の違い——同じ「骨が弱い」でも対応が変わる
骨量減少(YAM値70%超80%未満)と骨粗鬆症(YAM値70%以下)は、数値の上では地続きだが、実際の対応はかなり違う。同学会の診断基準によれば骨粗鬆症の段階では骨折予防のための薬物治療がまず検討されるのに対し[1]、骨量減少の段階では、危険因子の少ない人であれば生活習慣の改善と定期的な骨密度の再検査が中心になることが多い。
ただし「骨量減少だから薬は不要」と一律に決まるわけではない。骨密度の基準だけでは骨折リスクを見誤ることがあるため、年齢・既存骨折・家族歴・体重などを組み合わせて10年間の骨折確率を計算する、WHO研究グループ開発のFRAX®という評価ツールが用いられる[10]。骨密度が骨粗鬆症の基準に満たない骨量減少の段階でも、WHO研究グループのFRAXで算出した主要骨粗鬆症性骨折の確率が一定の水準を超えていれば、骨粗鬆症に準じた治療の対象として扱われることがある[10]。逆に骨密度が同程度でも危険因子が少なければ、経過観察にとどめる判断もありうる。この「数値だけで決めない」という考え方こそ、骨量減少の段階を診るうえでの実務上のポイントである。より広く骨粗鬆症そのものの症状や予防策を知りたい場合は、骨粗鬆症のよくある5つの症状と効果的な予防にまとめている。
また、骨量減少と診断された人がたどる経過は一様ではない。閉経後まもない時期にオステオペニアと分かった人は、その後の急降下期を生活改善と定期検査で乗り切れば、YAM値の低下ペースを緩やかにできる可能性がある。一方、すでに複数の危険因子を抱えている人や、骨密度の低下を指摘されてから時間が経ってから初めて検査を受け直した人では、同じ「骨量減少」という言葉でも実際にはすでに骨粗鬆症に近いところまで進んでいることもある。だからこそ、一度の検査結果だけで安心せず、示された頻度で再検査を受け続けることが、この段階における最も基本的な自己管理になる。
受診の目安——早めに整形外科を受診したほうがよいサイン
日本と国際機関(NIH/NIAMS)のとらえ方の比較
骨量が減少した状態・骨粗鬆症という段階分けや診断基準は、日本骨代謝学会の診断基準と国際的な機関とでは焦点の置き方が異なる。日本のガイドラインはYAM値(%表示)による3分類を明確に定め、実地診療で使いやすい形にしている[1]。一方、NIH(米国国立衛生研究所)傘下のNIAMS(国立関節炎筋骨格皮膚疾患研究所)は分類基準そのものよりも、骨折が起きたときの重さを前面に出す説明をしている[7]。
| 項目 | 日本(同学会の診断基準) | 国際機関(NIH/NIAMS) |
|---|---|---|
| 分類の軸 | YAM値%(70/80%を境に3分類)[1] | NIH/NIAMSによれば骨折が起きるまで自覚症状がない「サイレントな病気」という説明が中心[7] |
| 骨折後の実態 | 国内患者数は約1000万人以上とされる[4] | NIH/NIAMSは加齢に伴う骨折の主な原因として、閉経後の女性だけでなく高齢の男性にも起こると説明している[7] |
| 診断の遅れ | 予備群段階では自覚がないまま経過することが多いとされる | NIH/NIAMSは危険因子として加齢・性別・体格・人種・家族歴・薬剤・生活習慣を挙げている[7] |
日本のガイドラインは「今の骨密度がどのゾーンか」を明確にすることに強みがある一方、NIH/NIAMSの説明は「骨折してから初めて気づく病気である」という重さを伝えることに重点を置いていると考えられる[7]。骨量減少の段階でこの資料を読んでいる人にとっては、「まだ骨粗鬆症ではないから大丈夫」ではなく、「気づける今のうちに手を打てる段階にいる」ととらえるほうが、両者の情報を正しく統合したことになる。
骨量減少になりやすい人——危険因子をチェック
NIH/NIAMSは骨粗鬆症の危険因子として、加齢・性別(女性のほうがリスクが高い)・体格・人種(白人およびアジア系で特にリスクが高いとされる)・家族歴・ホルモンの変化・カルシウムとビタミンDが不足した食事・特定の薬剤・運動不足や喫煙などの生活習慣を挙げている(NIH/NIAMSの報告による)[7]。公益財団法人骨粗鬆症財団も、閉経後の女性・やせ型(低体重)・喫煙・過度の飲酒・運動不足・家族の骨折歴・特定の疾患やステロイド薬の長期使用などを同財団の資料では骨量減少・骨粗鬆症の危険因子として位置づけている[3]。
特に女性は50歳前後の閉経を境に骨密度が低下しやすいとされる。エストロゲンの分泌が急激に低下する閉経前後から骨量の減少が加速し始め、この急降下期に、公益財団法人骨粗鬆症財団の資料によれば、多くの人がYAM値70〜80%の骨量減少ゾーンへ入ってくると考えられている[3]。低下の速さや期間には個人差があり、すべての人が同じペースで進行するわけではない点には注意が必要である。
年代ごとの骨密度の推移をイメージすると理解しやすい。公益財団法人骨粗鬆症財団の説明では、女性は15〜18歳、男性は20歳前後で骨密度が最大骨量に達し、40代半ばまではほぼ横ばいで推移するとされる[3]。その後は加齢とともに緩やかに低下していくが、女性の場合は50歳前後の閉経を境に低下速度が加速し、この急降下期にYAM値が70〜80%の骨量減少ゾーンへ入る人が増えていく[3]。さらに年齢を重ねて70代・80代に至ると、骨密度がYAM値70%を下回り骨粗鬆症の基準に達している人の割合も増えることが、大腿骨近位部骨折の増加を指摘する資料からもうかがえる[8]。ただし低下の速さや到達点には個人差が大きく、実際の数値は年代だけで推測せず、骨密度検査で確認する必要がある。
進行させないためにできること——運動・食事・生活習慣
骨量減少の段階でできることは、大きく分けて「運動」「食事」「生活習慣の見直し」の3つである。
運動——骨は重力や負荷がかかると、骨をつくる細胞(骨芽細胞)が活性化される一方、負荷が少ないと弱くなっていく性質がある。健康長寿ネットは、重力のかかる陸上でのウォーキングやジョギングのほか、軽いダンベルを持って体重以上の負荷をかけながら歩く「パワーウォーキング」、自体重から始める筋力トレーニングを効果的な運動として挙げており、健康長寿ネットは運動習慣の目安を「30分以上の運動を週2日以上行うこと」としている[9]。同ネットによれば、ウォーキングやジョギングは日中に行うと体内でのビタミンD合成も促されるため一石二鳥とされる[9]。より具体的な運動処方としては、無理のない範囲でのスクワットやかかと上げ運動を1セット8〜12回、週2〜3回程度から始め、慣れてきたら回数やセット数を少しずつ増やしていく方法が用いられることが多いが、持病や膝・腰の状態によって適切な強度は異なるため、開始前に医師や理学療法士に相談したほうがよいとされる。
食事——日本整形外科学会は骨粗鬆症予防の食事面のポイントとして「カルシウムを十分にとる」「ビタミンD、ビタミンK、リン、マグネシウムをとる」「適量のタンパク質をとる」を挙げている[4]。具体的な摂取量については、日本人の食事摂取基準(2025年版)でカルシウムの推奨量が成人男性750mg/日(18〜29歳は800mg)、成人女性650mg/日(75歳以上は600mg)と厚生労働省の食事摂取基準で定められている[11]。ビタミンDについては2020年版の食事摂取基準で厚生労働省の食事摂取基準(2020年版)で18歳以上男女ともに目安量8.5μg/日と設定されていた[12]。ビタミンKについては2020年版の食事摂取基準で成人男女ともに目安量150μg/日とされており、同基準では、納豆や緑黄色野菜を日常的にとっていれば不足しにくい栄養素とされる[12]。カルシウムは「骨格を構成する重要な物質であり、不足すると骨代謝が低下し骨粗鬆症の原因にもなる」と説明されている[11]。
| 栄養素 | 成人の目安量・推奨量 | 多く含む食品 |
|---|---|---|
| カルシウム | 男性750mg/日、女性650mg/日が目安[11] | 乳製品、豆腐・納豆などの大豆製品、小松菜、しらす干し |
| ビタミンD | 18歳以上男女とも目安量8.5μg/日[12] | 鮭、さんまなどの魚類、きのこ類、日光浴による皮膚での合成 |
| ビタミンK | 成人男女とも目安量150μg/日[12] | 納豆、小松菜などの緑黄色野菜 |
出典:厚生労働省「日本人の食事摂取基準」(2025年版・2020年版)をもとに整理[11][12]
カルシウムを多く含む食品としては、牛乳・ヨーグルト・チーズなどの乳製品、豆腐や納豆などの大豆製品、小松菜や大根の葉などの緑黄色野菜、しらす干しや干しエビなどの小魚類が代表的である。ビタミンDは鮭やさんまなどの魚類、きのこ類に多く含まれ、日光を浴びることで皮膚でも合成される。ビタミンKは納豆や緑黄色野菜に豊富に含まれる。これらを毎日の食事にまんべんなく取り入れることが、サプリメントに頼るよりも基本になると考えられている。骨密度対策と直接関わりが深いビタミンDの詳しい役割や目安量については、高齢者の骨粗鬆症予防に役立つビタミンDで詳しく解説している。
生活習慣——日本整形外科学会は「転ばないように注意する」「禁煙し、アルコールは控えめにする」「運動、日光浴をする」ことも予防のポイントとして挙げている[4]。喫煙は骨の代謝に悪影響を及ぼすとされ、過度の飲酒はカルシウムの吸収を妨げる可能性があり、注意が必要である。日光浴は皮膚でのビタミンD合成を助けるため、屋内にこもりがちな生活が続く場合は特に意識したい。転倒予防の観点では、自宅内の段差の解消や滑りにくい履物の使用、夜間のトイレへの動線に足元灯を置くことなども、骨折を防ぐという意味で骨量減少期から実践しておく価値がある対策である。
骨量減少の段階でも薬物治療が検討されるケース——FRAXの考え方
「骨量減少=経過観察だけ」と決めつけるのは早い。FRAX®は世界保健機関(WHO)の国際共同研究グループが作成したプログラムで、40歳以上を対象に、骨粗鬆症による骨折が今後10年間に発生する確率を計算するものである[10]。年齢・骨折歴・家族歴・体格・喫煙・飲酒・ステロイド使用など、大腿骨頸部の骨密度を入力しない場合で11の因子、入力する場合で12の因子を用いて算出する[10]。
危険因子がない場合の10年間の主要骨粗鬆症性骨折リスクは7.5%とされ、既存骨折があるとリスクは約2倍の15%になるとの目安が示されている。算出された確率が一定の水準(目安として15%以上)になると、骨密度の基準を満たさない段階でも治療開始を検討したほうがよいとされる考え方がある。ただし、これは医師が個々の患者の状態を踏まえて判断すべき事項であり、FRAXの数値だけで自己判断すべきものではない。骨量減少と言われた段階で「自分にはどの程度の治療方針が妥当か」を相談する材料として、この評価ツールの存在を知っておくとよい。薬物治療そのものの種類や効果については、骨粗鬆症に効く薬とは?効果的な治療薬一覧で解説している。
FRAXの計算には、年齢・性別・体重・身長のほか、これまでの骨折歴、両親の大腿骨近位部骨折歴、現在の喫煙状況、ステロイド薬の使用有無、関節リウマチの有無、続発性骨粗鬆症の原因となる病気の有無、1日あたりのアルコール摂取量、そして測定できる場合は大腿骨頸部の骨密度が、WHO研究グループのFRAXの入力項目として使われる[10]。同財団のウェブサイトで公開されているセルフチェックツールから、医療従事者でなくても入力・試算することができる[10]。ただし算出される数値はあくまで目安であり、実際の治療方針の決定は医師が骨密度・骨折歴・併存疾患などを総合して判断するものである点は変わらない。薬物治療をいつ始めるべきかという具体的な線引きには医師ごとの判断幅があり、十分な根拠はまだ確立していない部分も残っていると考えられる。
| 適用時期 | 年収の目安 | 計算式 | 100万円の場合 |
|---|---|---|---|
| ~2026年7月診療分 現行 | 年収約370万~770万円(区分ウ) | 80,100円+(医療費-267,000円)×1% | 87,430円 |
| 2026年8月診療分から 見直し後(第1段階) | 年収約370万~770万円(区分ウ) | 85,800円+1%(PDF原文の表記) | 約92,940円<br><small>(編集部試算)</small> |
| + 年間上限 53万円(新設) | |||
※「100万円の場合」の金額のうち、現行(~2026年7月)欄は出典PDFに記載の計算例そのものです。2026年8月欄について、出典PDFに印字されているのは「85,800+1%」という表記のみです。1%を乗じる基準額(現行の267,000円に相当する部分)と、100万円の場合の約92,940円は、PDFに印字されておらず、現行制度と同じ計算方法にもとづくJHO編集部試算です。正確な金額は加入されている健康保険組合等にご確認ください。
※ 制度は改定されることがあります。受診・手術の時期によって自己負担額が変わるため、最新の情報は
厚生労働省の高額療養費制度ページで必ずご確認ください。
出典:厚生労働省「高額療養費制度の在り方に関する専門委員会」(令和7年12月16日) (PDF)
|JHO確認日:2026-07-16
診察時に医師に伝えたいこと・聞きたいこと(メモして持参)
- 骨密度検査を受けたのはいつか、結果のYAM値(またはT-score)は何%だったか
- 身長が縮んだと感じる時期・程度(何cmくらい、いつ頃から)
- 両親・きょうだいに骨折歴があるか(特に大腿骨近位部の骨折)
- 現在服用中の薬(特にステロイド薬の使用歴)
- 「このYAM値なら、今すぐ薬物治療が必要か、それとも生活改善と経過観察でよいか」
- 「FRAXで骨折確率を計算した場合、自分はどの程度のリスクにあたるか」
骨量減少の段階における薬物治療開始の具体的な数値基準(FRAXの何%をもって治療を開始するかの一律の線引きなど)は、施設や医師の判断幅がある領域であり、今回参照した資料には確定的な統一基準の記載が見当たりませんでした。気になる場合は担当医に直接確認することをおすすめします。本文の内容に誤りや古い情報にお気づきの場合は、お問い合わせフォームからご連絡いただければ確認のうえ修正いたします。更新日:2026年7月17日。
よくある質問
骨量減少(オステオペニア)と診断されたら、必ず薬を飲むことになりますか?
YAM値とT-scoreはどう違いますか?
骨密度検査はどこで受けられますか?
男性も骨量減少になりますか?
骨量減少の段階で運動を始めても遅くないですか?
カルシウムのサプリメントを飲めば骨量減少は改善しますか?
健診で「要精密検査」と言われましたが、様子を見てもよいですか?
骨量減少から骨粗鬆症になるまで、どれくらいの期間がかかりますか?
閉経前の女性でも骨量減少になることはありますか?
参考文献
- 独立行政法人国立病院機構福山医療センター「日本骨代謝学会がまとめた診断基準(原発性骨粗鬆症の診断基準)(YAM値・脆弱性骨折による分類)」 https://fukuyama.hosp.go.jp/files/000063079.pdf
- 独立行政法人国立病院機構福山医療センター「日本骨代謝学会がまとめた診断基準(原発性骨粗鬆症の診断基準)」YAM(若年成人平均値)の定義 https://fukuyama.hosp.go.jp/files/000063079.pdf
- 公益財団法人骨粗鬆症財団「どんな病気」骨粗鬆症の定義・骨リモデリング・主な骨折部位 https://www.jpof.or.jp/osteoporosis/tabid249.html
- 公益社団法人日本整形外科学会「骨粗鬆症」症状・診断・予防・治療 https://www.joa.or.jp/public/sick/condition/osteoporosis.html
- 公益財団法人骨粗鬆症財団「セルフチェック」骨密度検査と受診の案内 https://www.jpof.or.jp/osteoporosis/selfcheck/frax.html
- NIH National Institute of Arthritis and Musculoskeletal and Skin Diseases (NIAMS) “Osteoporosis” https://www.niams.nih.gov/health-topics/osteoporosis
- 公益財団法人股関節研究振興財団「大腿骨近位部骨折が増加しています——50歳を超えたら骨折予防」 https://www.kokansetu.or.jp/personal/hpjclumn.php?no=29
- 健康長寿ネット(一般財団法人長寿科学振興財団)「骨粗鬆症予防の運動とは」 https://www.tyojyu.or.jp/net/kenkou-tyoju/shippei-undou/undou-kotsusoshoushou.html
- 公益財団法人骨粗鬆症財団「骨折評価ツールFRAX」対象年齢・因子数・骨折確率 https://www.jpof.or.jp/osteoporosis/selfcheck/frax.html
- 厚生労働省「日本人の食事摂取基準」カルシウム推奨量 2025 https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/001396865.pdf
- 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」ビタミンD・ビタミンK目安量 https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/000586553.pdf
この記事について(運営者情報・免責事項) タップで表示
医療情報に関する重要なお知らせ
本記事はAI技術を活用し、厚生労働省・WHO等の公的医療機関の情報に基づいて作成されています。医療専門家による個別の監修は受けておりません。健康上の判断や治療については、必ず医師にご相談ください。詳しくは編集ポリシーをご覧ください。
