夜間のこむら返りが続く原因|見逃せない病気のサインと対処法
この記事でわかること
目次
- 夜間のこむら返り(有痛性筋痙攣)とは?なぜ寝ている間に起こるのか
- 数字で見る「こむら返りが多い人」— 背景疾患別の頻度
- 背景疾患別の見分け方 — 随伴症状のチェック表
- 受診サイン判定フロー — 「様子を見てよいか」「病院に行くべきか」を3段階で見分ける
- ほとんどが心配のいらない「日常性」の原因
- 見逃すと危ない背景疾患①:糖尿病性神経障害
- 見逃すと危ない背景疾患②:肝臓病(肝硬変)
- 見逃すと危ない背景疾患③:慢性腎臓病・人工透析
- 見逃すと危ない背景疾患④:薬の副作用(利尿薬・スタチンなど)と芍薬甘草湯の注意点
- 受診の目安 — すぐに受診が必要なサインと何科に行けばいいか
- 日本と海外のガイドライン・研究の比較 — 治療のエビデンスは発展途上
- よくある質問
- 参考文献
夜間のこむら返りの多くは、水分・ミネラル不足や長時間の立ち仕事など、心配のいらない原因によるものです。実際、腎臓透析を受けている患者の約55%、肝硬変のある患者の多くが日常的にこむら返りを経験しているという報告があり[5]、頻度や随伴症状によっては背景に糖尿病性神経障害・肝臓病・慢性腎臓病・薬の副作用が隠れていることがあります。
この症状、いつ受診すべきか確認しますか?
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片側だけの脱力やしびれ、ろれつが回らない状態を伴う場合は、こむら返りとは別の緊急疾患のサインである可能性があるため、すぐに受診してください。持病や新しい薬の有無、頻度(週2回以上か)を確認し、下の判定フローで自分がどの段階にあたるか見分けることができます。この記事では、日本神経学会やPMDAの公的情報、透析・肝硬変・糖尿病性神経障害に関する国際的な医学論文をもとに、「様子を見てよい原因」と「受診が必要なサイン」を具体的に分けて解説します。
要点まとめ
編集方針:JHO編集部がAIツールの支援を受け、公的機関(PMDA)・日本神経学会・査読付き医学論文(PubMed/Europe PMC収載)と照合して作成しています。最終確認は人の目で行っています。医師による個別診断の代わりにはなりません。数値・分類はガイドラインの改定により変わることがあります(更新日:2026年8月時点の情報)。内容に誤りや古い情報があるとお気づきの際は、事実を確認のうえ訂正しますので、お問い合わせよりお知らせください。
🔧 3秒セルフチェック:あなたの段階は?
次の3問に順番に答えてください。1つでも「はい」があれば、その段階を優先してください(赤>黄>緑の順)。
- 片側だけの脱力・しびれ・ろれつが回らない状態が、つった後も残っていますか? → はい:赤(すぐ受診)
- 糖尿病・肝臓病(肝硬変)・慢性腎臓病/透析のいずれかがありますか? または利尿薬・スタチンなどを服用中ですか? → はい:黄(早めに受診)
- 週2回以上つづく、または3ヵ月以上改善しませんか? → はい:黄(早めに受診)
すべて「いいえ」なら緑(水分・ミネラル補給とストレッチで経過観察)にあたる可能性が高いです。詳しい分岐図は下の「すぐに受診が必要なサイン」をご覧ください。
夜間のこむら返り(有痛性筋痙攣)とは?なぜ寝ている間に起こるのか
いわゆる「こむら返り」は医学的には有痛性筋痙攣と呼ばれ、日本神経学会は「運動の後や高齢者では就寝中によくみられる症状」としています[1]。日中の活動で失われた水分やナトリウム・カリウム・マグネシウム・カルシウムといった電解質が就寝中に偏ることや、日中に立ち仕事・運動で酷使した筋肉が、寝ている間の軽い脱水や体温低下、血流の緩やかな低下と重なって過敏になり、わずかな刺激で強い収縮(けいれん)を起こしやすくなると考えられています。長時間同じ姿勢で寝ることで血流が滞りやすいことも一因とされます。
日本神経学会はまた、筋ジストロフィーや筋萎縮性側索硬化症(ALS)などの神経・筋疾患がある人は、こむら返りを起こしやすいことがあるとしています[1]。つまり「こむら返りそのもの」は誰にでも起こりうるありふれた症状である一方、その起こりやすさや頻度は、背景にある病気や薬の影響で大きく変わるという点が、この記事でもっとも伝えたいポイントです。
年齢別に見ると、若く健康な人が運動後に一時的なこむら返りを経験するのと、高齢者が持病や複数の薬を抱えながら夜間に繰り返しこむら返りを経験するのとでは、背景にあるリスクがまったく異なります。同じ「足がつった」という症状でも、20代の運動選手であれば単なる筋疲労の可能性が高い一方、70代で糖尿病・高血圧の治療中の人であれば、薬の副作用や神経障害、腎機能の低下が絡んでいる可能性を考える必要があります。この記事では、年齢や持病の有無にかかわらず誰にでも起こる「ありふれた原因」と、特定の持病がある人でリスクが上がる「見逃せない原因」を分けて解説することで、自分がどちらに近いかを判断しやすくすることを目的としています。
今の血圧・脈拍を確かめる
数値を入れると、日本高血圧学会の血圧値の分類と「次にすること」を表示します。記録はこの端末の中だけに保存され、登録は不要です。
身長と体重からBMIも調べる
血圧手帳(この端末に保存)
これは診断ではありません。入力された数値を日本高血圧学会の血圧値の分類(高血圧の基準は診察室 140/90mmHg以上・家庭 135/85mmHg以上)に当てはめて「受診の目安」を機械的に示すもので、医師の診察に代わるものではありません。日本高血圧学会「高血圧管理・治療ガイドライン2025」では、降圧目標は年齢によらず診察室 130/80mmHg未満・家庭 125/75mmHg未満とされています。脈拍の目安は学会の分類ではなく一般的な参考範囲です。
数字で見る「こむら返りが多い人」— 背景疾患別の頻度
| 背景 | 報告されている頻度・数値 | 出典 |
|---|---|---|
| 人工透析(全体) | 約55%(95%信頼区間50〜59%、94研究・32,223人) | [5] |
| 人工透析(透析中に限定) | 約33%(95%信頼区間22〜47%) | [5] |
| 肝硬変(臨床試験の対象患者) | 試験参加者98人中48%が肝硬変を合併 | [4] |
| 利尿薬使用者の低カリウム血症(75歳以上女性・eGFR 60〜30) | 男性比オッズ比1.47倍(95%信頼区間1.13〜1.91) | [6] |
| 利尿薬使用者の低カリウム血症(75歳以上女性・eGFR 30未満) | 男性比オッズ比2.05倍(95%信頼区間1.08〜4.10) | [6] |
出典:Babroudi et al. 2026(透析患者データ)[5]/Tapper et al. 2024(肝硬変RCT)[4]/Maida et al. 2025(日本の診療データ)[6]
この表からわかるのは、こむら返りは「たまたま不運な人」だけに起こるのではなく、透析患者では過半数、利尿薬を使う高齢の女性では腎機能の低下とともにリスクが明確に上がるという点です。持病や服用中の薬がある人ほど、こむら返りを「よくあること」として放置せず、頻度の変化に注意を払う価値があります。
背景疾患別の見分け方 — 随伴症状のチェック表
| 背景疾患 | こむら返り以外に注目したい症状 | 相談先の目安 |
|---|---|---|
| 糖尿病性神経障害 | 足のしびれ・感覚の鈍さ・ピリピリ感[8] | 糖尿病内科・神経内科 |
| 肝臓病(肝硬変) | 黄疸・腹水・強い疲労感[4] | 消化器内科・肝臓内科 |
| 慢性腎臓病・透析 | むくみ・尿量や色の変化[5] | 腎臓内科 |
| 薬剤性(利尿薬・スタチンなど) | 脱力感・筋肉痛・尿の色が濃くなる[2][6] | 処方医・薬剤師 |
| 脳卒中など緊急疾患 | 片側の脱力・しびれ・ろれつが回らない[1] | 救急外来・脳神経内科 |
出典:日本神経学会[1]/PMDA添付文書[2]/Babroudi et al. 2026[5]/Maida et al. 2025[6]/Tao et al. 2026[8]
受診サイン判定フロー — 「様子を見てよいか」「病院に行くべきか」を3段階で見分ける
上の図は、夜間のこむら返りを経験したときに、まず何を確認すればよいかを示したものです。赤(すぐ受診)に該当する片側性の脱力・しびれ・ろれつが回らない状態は、こむら返り自体の症状ではなく、脳卒中など神経系の緊急疾患のサインである可能性があるため、こむら返りと切り離して緊急受診の判断をしてください[1]。黄(早めに受診)に該当する糖尿病・肝臓病・慢性腎臓病・薬剤性は、次の見出しから順に詳しく解説します。
ほとんどが心配のいらない「日常性」の原因
受診が必要なサインに該当しない場合、夜間のこむら返りの多くは次のような日常的な要因が重なって起きています。
- 水分・電解質の不足:日中の発汗や飲水不足で、ナトリウム・カリウム・マグネシウム・カルシウムのバランスが崩れると、筋肉や神経の興奮が起こりやすくなると考えられています。
- 長時間の立ち仕事・激しい運動の後:ふくらはぎの筋肉が疲労し、就寝中に軽い刺激でも収縮しやすい状態になります。
- 同じ姿勢での睡眠:血流がゆるやかに滞ることで、筋肉への酸素・栄養の供給が不安定になりやすいとされます。
- 軽度の妊娠中:体重増加や血流の変化により、こむら返りが増えることが知られていますが、頻度が高い場合や他の症状を伴う場合は産科に相談してください。
これらのケースでは、就寝前のふくらはぎ・アキレス腱のストレッチと、日中のこまめな水分補給が現実的な対処法になります。ストレッチについては、50歳以上を対象としたコクラン・レビュー(系統的レビュー)で、6週間の毎日のふくらはぎ・ハムストリングのストレッチが夜間の下肢こむら返りの「重症度(痛みの強さ)」を軽減する可能性があると報告されています(視覚アナログスケールでの平均差−1.30、95%信頼区間−1.74〜−0.86)[7]。ただし同じレビューは、頻度そのものを減らす効果の確実性は低いともしており[7]、ストレッチだけで症状が確実になくなると保証されているわけではありません。同じレビューでは、60歳以上を対象にふくらはぎのストレッチだけを12週間続けた別の試験で、頻度そのものにはほとんど差がなかったとも報告されており[7]、ストレッチの種類・期間によって効果の出方が異なる可能性があります。
電解質のうち、特にカリウムとマグネシウムは筋肉の収縮・弛緩を調節する働きに関わっているとされ、汗をかきやすい季節や、利尿薬の影響でこれらが不足すると、通常よりも軽い刺激で筋肉がけいれんしやすくなると考えられています。カルシウムも神経から筋肉への信号伝達に関わっており、極端に不足すると手足のしびれやこむら返りに似た症状(テタニー)を起こすことがあります。ただし、これらの電解質のうちどれがどの程度不足するとこむら返りが起こりやすくなるかという明確な数値基準を示した資料は、今回の調査では見当たりませんでした。市販のスポーツドリンクや経口補水液は、発汗量が多い日の電解質補給の選択肢の1つですが、慢性腎臓病がある人はカリウム制限が必要な場合があるため、自己判断で大量に摂取する前にかかりつけ医に確認することをおすすめします。
見逃すと危ない背景疾患①:糖尿病性神経障害
糖尿病があり、足のしびれ・感覚の鈍さ・ピリピリ感を伴ってこむら返りが増えている場合、糖尿病性末梢神経障害(糖尿病性神経障害)が背景にある可能性を考える必要があります。神経障害の研究では、末梢神経、特に足先まで伸びる長い神経軸索は多くのエネルギーを必要とし、糖・脂質・アミノ酸代謝の乱れによってエネルギー産生に障害が生じることが、神経障害の進行に関わる仕組みとして近年注目されていると報告されています[8]。この神経の障害が、こむら返りの起こりやすさや治りにくさに関係していると考えられます。
糖尿病性神経障害によるこむら返りは、血糖コントロールの見直しとあわせて、神経内科・糖尿病内科での評価が必要になることがあります。すでに糖尿病があり、足のしびれ・感覚の低下・傷に気づきにくいといった症状も出ている場合は、こむら返りを「ただの疲れ」と自己判断せず、次の受診時に医師に伝えることをおすすめします。糖尿病と神経障害の関係については、当サイトの糖尿病性自律神経障害の解説記事もあわせてご覧ください。
見逃すと危ない背景疾患②:肝臓病(肝硬変)
肝硬変(慢性の肝臓病が進行した状態)がある人では、こむら返りは非常によくみられる合併症の1つです。米国の研究チームが専門誌に発表したランダム化比較試験の背景説明では、「筋痙攣は肝硬変患者に共通してみられ、生活の質(QOL)の低下と関連している」と報告されています[4]。この試験は98人の患者を対象に行われ、参加者のうち肝硬変の患者は48%、糖尿病の合併がある患者も40%含まれており、平均年齢63歳、67%が女性だったとされています[4]。この試験では、ストレッチ・瞑想のいずれも、こむら返りの重症度を有意に軽減したと報告されています(ストレッチ群で中央値1.44点、瞑想群で1.97点の改善、いずれも統計的に有意)[4]。
肝硬変によるこむら返りは、黄疸(皮膚や白目が黄色くなる)、腹水(お腹が張る)、むくみ、極度の疲労感などを伴うことがあります。すでに肝臓病と診断されている人はもちろん、飲酒歴が長い・慢性肝炎の既往があるなどでこれらの症状に心当たりがある場合は、消化器内科・肝臓内科への相談が必要です。
見逃すと危ない背景疾患③:慢性腎臓病・人工透析
人工透析を受けている患者では、こむら返りは非常に頻度の高い症状です。94件の研究・32,223人の透析患者データを統合した国際的なシステマティック・レビュー及びメタ解析(2026年発表)によれば、透析患者全体でのこむら返りの統合有病率は55%(95%信頼区間50〜59%)、透析中に限定した有病率は33%(95%信頼区間22〜47%)と報告されています[5]。同じ研究では、血液透析は腹膜透析よりもこむら返りの頻度が高い傾向があるとされています[5]。
透析を受けていない段階の慢性腎臓病でも、電解質異常(特にカルシウム・マグネシウムのバランスの乱れ)や、体内の老廃物の蓄積が神経・筋肉の興奮性に影響し、こむら返りが増えることがあると考えられています。すでに慢性腎臓病と診断されている人で、こむら返りが増えた、むくみが強くなった、尿の量や色が変わったといった変化がある場合は、腎臓内科での評価が望まれます。腎臓病全般の初期症状については、当サイトの初期症状と危険なサインのまとめ記事や、慢性腎臓病の合併症ガイドも参考にしてください。また、糖尿病がある人では糖尿病性腎症(糖尿病による腎臓の合併症)が進行して慢性腎臓病に至ることもあり、こむら返りの背景に糖尿病と腎臓病の両方が関わっているケースもあります。糖尿病と腎臓の関係については糖尿病性腎症のメカニズム解説記事で詳しく取り上げています。慢性腎臓病は自覚症状が出にくく「沈黙の臓器」と呼ばれる腎臓の病気だけに、こむら返りのような些細な変化が受診のきっかけになることもあります。慢性腎臓病そのものについてさらに詳しく知りたい方は、初期の腎不全(慢性腎臓病)の解説記事や慢性腎臓病の予防・診断・治療法まとめもあわせてご覧ください。
見逃すと危ない背景疾患④:薬の副作用(利尿薬・スタチンなど)と芍薬甘草湯の注意点
新しく飲み始めた薬がある場合、こむら返りの原因が薬にあることがあります。日本神経学会は、横紋筋融解症(筋肉が急激に壊れる病気)を起こしうる薬剤として、スタチン系やフィブラート系などのコレステロール低下薬、コデインなどの咳止め薬を挙げ、カリウム欠乏・熱中症・脱水・外傷などとあわせて発症の原因になるとしています[1]。横紋筋融解症は筋肉痛・脱力に加えて尿の色が濃くなるなどの症状を伴う緊急性の高い状態で、単純なこむら返りとは区別が必要です。スタチンによる筋肉症状は、こむら返りのような軽い違和感から、まれに横紋筋融解症のような重い症状まで幅があるとされており、スタチンを飲み始めてから足がつりやすくなったと感じる場合は、自己判断で服薬を中止せず、まず処方医に相談することが勧められます。
利尿薬(特にループ系・チアジド系)は、体内のカリウムを排出させる作用があり、低カリウム血症を通じてこむら返りや筋力低下を起こすことがあります。日本の診療データ67,135人分を分析した研究では、利尿薬を使用している患者のうち低カリウム血症は男性より女性に多く見られ(女性413人・男性285人、統計的に有意な差)、75歳以上の女性では腎機能(eGFR)が60〜30の群で男性の1.47倍、30未満の群では2.05倍、低カリウム血症のオッズが高いと報告されています[6]。つまり、高齢の女性で腎機能が低下している人が利尿薬を使う場合は、特に電解質の変化に注意が必要というのがこの研究の結論です。
こむら返りの頓用薬として広く使われる芍薬甘草湯についても注意が必要です。PMDAが公開する医療用医薬品の添付文書には、効能又は効果として「急激におこる筋肉のけいれんを伴う疼痛、筋肉・関節痛、胃痛、腹痛」と記載され、用法及び用量に関連する注意として「治療上必要な最小限の期間の投与にとどめること」と明記されています[2]。同添付文書は、アルドステロン症・ミオパチー・低カリウム血症のある患者への投与を禁忌とし、ループ系利尿剤(フロセミドなど)・チアジド系利尿剤(トリクロルメチアジドなど)と併用すると、偽アルドステロン症があらわれやすくなり、その結果として低カリウム血症によるミオパチーが起こりやすくなるとしています[2]。重大な副作用として、間質性肺炎、偽アルドステロン症、うっ血性心不全・心室細動・心室頻拍(Torsade de Pointesを含む)、ミオパチー・横紋筋融解症、肝機能障害・黄疸が挙げられており、高齢者については「減量するなど注意すること」とされています[2]。
つまり、利尿薬を服用中の人が芍薬甘草湯を自己判断で連用することは、この添付文書が明記するリスクと重なる可能性があるため、すでに降圧薬や利尿薬を服用している人は、市販の漢方薬を使う前に薬剤師・医師に相談することが望ましいと考えられます。
受診の目安 — すぐに受診が必要なサインと何科に行けばいいか
すぐに受診が必要なサイン(赤:救急外来・脳神経内科)
- 片側だけの脱力・しびれ・ろれつが回らない状態が、つった後も続いている[1]
- 意識がもうろうとする、激しい頭痛や胸痛を伴う
- 力が入らず立てない、顔の片側が動かしにくい
早めの受診が望ましいサイン(黄:かかりつけ医・内科)
夜間のこむら返りで何科を受診すべきか迷う場合、まずは内科・かかりつけ医で相談し、既往歴(糖尿病・肝臓病・腎臓病)や服用中の薬をすべて伝えることが第一歩です。神経症状(しびれ・感覚の低下)が強い場合は神経内科、透析中または透析導入が検討されている場合は腎臓内科が適切です。日本の公的医療保険では、初診料・再診料は原則3割負担(現役世代)で、血液検査(電解質・腎機能・肝機能)を含めても初診時の自己負担は数千円程度が一般的な目安です。長期の治療で自己負担が高額になった場合は、高額療養費制度の対象になることがあります。
受診の際は「いつから」「どのくらいの頻度で」「つった後に何か症状が残るか」を伝えられるようにしておくと、診察がスムーズになります。すでに糖尿病・肝臓病・慢性腎臓病のいずれかで通院している場合は、こむら返りについて次回の定期受診の際に必ず一言伝えてください。多くの場合、既存の通院先で採血のついでに電解質やカリウム値を確認してもらうだけで、薬剤性かどうかの手がかりが得られます。逆に、これらの持病が1つもなく、頻度も月に数回程度であれば、慌てて救急外来を受診する必要性は低いと考えられます。
| 適用時期 | 年収の目安 | 計算式 | 100万円の場合 |
|---|---|---|---|
| ~2026年7月診療分 現行 | 年収約370万~770万円(区分ウ) | 80,100円+(医療費-267,000円)×1% | 87,430円 |
| 2026年8月診療分から 見直し後(第1段階) | 年収約370万~770万円(区分ウ) | 85,800円+1%(PDF原文の表記) | 約92,940円<br><small>(編集部試算)</small> |
| + 年間上限 53万円(新設) | |||
※「100万円の場合」の金額のうち、現行(~2026年7月)欄は出典PDFに記載の計算例そのものです。2026年8月欄について、出典PDFに印字されているのは「85,800+1%」という表記のみです。1%を乗じる基準額(現行の267,000円に相当する部分)と、100万円の場合の約92,940円は、PDFに印字されておらず、現行制度と同じ計算方法にもとづくJHO編集部試算です。正確な金額は加入されている健康保険組合等にご確認ください。
※ 制度は改定されることがあります。受診・手術の時期によって自己負担額が変わるため、最新の情報は
厚生労働省の高額療養費制度ページで必ずご確認ください。
出典:厚生労働省「高額療養費制度の在り方に関する専門委員会」(令和7年12月16日) (PDF)
|JHO確認日:2026-07-16
日本と海外のガイドライン・研究の比較 — 治療のエビデンスは発展途上
| 項目 | 日本(PMDA・臨床現場) | 海外(コクラン・国際研究) |
|---|---|---|
| 頓用の漢方薬 | 芍薬甘草湯が広く使用され、PMDA添付文書は最小限の期間の投与を推奨[2] | コクラン・レビューでは主に非薬物療法(ストレッチ)が評価対象で、漢方薬単独の国際的な大規模RCTは限定的[7] |
| ストレッチの効果 | 臨床現場で広く推奨されているが、大規模な国内RCTのエビデンスは限定的 | 50歳以上で6週間の継続的ストレッチが重症度を軽減する可能性(低い確実性のエビデンス)[7] |
| 肝硬変患者のこむら返り | 臨床上よく知られるが、大規模な疫学データの公表は限定的 | 米国のRCTで生活の質との関連や非薬物療法の効果が報告されている[4] |
出典:PMDA「〔東洋〕芍薬甘草湯エキス細粒 医療用医薬品添付文書」(2023年11月改訂)[2]/Hawke et al. Cochrane Database Syst Rev 2021[7]/Tapper et al. 2024(肝硬変RCT)[4]
日本と海外で共通しているのは、「こむら返りを根本的に予防する、確実に効果が証明された単一の治療法はまだ確立していない」という点です。ストレッチ・水分補給・電解質管理はいずれの国でも第一選択とされていますが、頻度そのものを減らす効果については、コクラン・レビュー自身が「非常に不確実」としており[7]、過度な期待は禁物です。もう1つの共通点は、こむら返りが「単独の病気」ではなく、糖尿病・肝臓病・腎臓病・薬剤性といった複数の背景を持つ「症状」として扱われている点です。日本の臨床現場では芍薬甘草湯のような頓用薬で症状そのものを和らげる対応が中心になりやすい一方、海外の研究では背景疾患ごとの生活の質(QOL)への影響や、ストレッチ・瞑想といった非薬物療法の効果検証に重点が置かれる傾向があります[4]。どちらか一方が優れているというより、症状を和らげる対症療法と、背景疾患の管理という2つのアプローチを組み合わせることが、現時点でもっとも現実的な向き合い方といえます。
🖨️ 受診時に持参するメモ(コピーしてお使いください)
- こむら返りが始まった時期:( )ヵ月前から
- 頻度:週( )回程度
- 片側だけの脱力・しびれ・ろれつが回らない症状の有無:あり/なし
- 持病:糖尿病/肝臓病/慢性腎臓病・透析/その他( )/なし
- 服用中の薬:利尿薬/スタチン/芍薬甘草湯/その他( )/なし
- 医師に聞きたいこと:( )
こむら返りが夜間・睡眠中に特に起こりやすい理由については、電解質の変動・体温低下・血流の緩やかな変化など複数の要因が関わっていると考えられていますが、どの要因がどの程度寄与しているかを定量的に示した確定的な結論は、今回参照した資料の中には見当たりませんでした。また、糖尿病性神経障害・肝硬変・慢性腎臓病のどの段階からこむら返りのリスクが明確に上昇するかについても、明確な数値基準を示す資料は確認できていません。芍薬甘草湯以外の漢方薬や、市販のマグネシウム・カリウムサプリメントがどの程度こむら返りの再発を減らせるかについても、大規模な比較試験による確定的な結論は今回の調査では確認できませんでした。今後の研究によって、こむら返りを起こしやすい人を早期に見分ける、より具体的な基準が示されることが期待されます。この記事も、新しい学会情報や論文が公表され次第、内容を更新していく予定です。
よくある質問
夜間のこむら返りが毎晩のように起こります。何科を受診すればいいですか?
こむら返りが起きたとき、その場でできる対処法は?
糖尿病があると、なぜこむら返りが増えるのですか?
肝臓病がある人は、なぜこむら返りが多いのですか?
人工透析を受けています。こむら返りは普通のことですか?
ストレッチは本当にこむら返りに効果がありますか?
妊娠中のこむら返りも同じように考えていいですか?
足がつるのを予防するために、日常でできることはありますか?
参考文献
- 日本神経学会「(症状編)筋肉の痛み」 https://www.neurology-jp.org/public/disease/kinniku_02.html
- 独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)「〔東洋〕芍薬甘草湯エキス細粒 医療用医薬品添付文書」2023年11月改訂 https://www.info.pmda.go.jp/go/pack/5200067C1051_1_14/
- Tapper EB, Trivedi H, Simonetto DA, Patwardhan V, Ospina E, Martinez B, Chen X, Walker S, Nikirk S. “The RELAX randomized controlled trial: Stretching versus meditation for nocturnal muscle cramps.” Liver International. 2024;44(9):2434-2441. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/38860445/
- Babroudi S, Tuttle M, Lacson EK. “Skeletal Muscle Cramp Prevalence among Patients Receiving Dialysis: A Global Systematic Review and Meta-Analysis.” Clinical Journal of the American Society of Nephrology. 2026. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/42545740/
- Maida N, Kondo S, Hayashi N, Iwata H, Kobayashi N, Yamaura K. “Sex Differences in Electrolyte Disturbances Among Diuretic Users According to Renal Function and Age.” Drug Safety. 2025;48(10):1149-1159. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/40560472/
- Hawke F, Sadler SG, Katzberg HD, Pourkazemi F, Chuter V, Burns J. “Non-drug therapies for the secondary prevention of lower limb muscle cramps.” Cochrane Database of Systematic Reviews. 2021;5:CD008496. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33998664/
- Tao W, Yu Y, Wu X, He J, Liu X, Huang J, Xiao F, Yu R. “Bioenergetic failure in diabetic peripheral neuropathy: from glucotoxicity to multidimensional metabolic imbalance.” Journal of Neurology. 2026;273(7):419. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/42342866/
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