【医師監修】科学が示す、思春期の不安を乗り越える8つのセルフケア法
精神・心理疾患

【医師監修】科学が示す、思春期の不安を乗り越える8つのセルフケア法

思春期は、心と体が大きく変化する多感な時期です。将来への期待とともに、学業、友人関係、自己のアイデンティティなど、様々な要因から「心がざわざわする」ような不安を感じることは、決して珍しいことではありません。ソニー生命保険が2023年に実施した調査によると、日本の高校生の約半数(49%)が10年後の自分の将来に対して漠然とした不安を感じていると報告されています1。これは個人の「弱さ」の問題ではなく、現代社会を生きる多くの若者が直面している共通の課題です。文部科学省の報告でも、学業のプレッシャーや複雑な人間関係が、高校生の大きなストレス要因であることが指摘されています2。さらに、JAMA Pediatrics誌に掲載された大規模なメタ分析によれば、COVID-19のパンデミック以降、世界的に子どもの抑うつや不安の症状が増加傾向にあり、これは日本も例外ではありません3。この記事は、小児・思春期精神医学の専門家である田中実医師の監修のもと、科学的根拠に基づいた信頼性の高い情報を提供します。薬に頼る前に家庭や自分で実践できる、不安を乗り越えるための8つの具体的なセルフケア法を、その科学的根拠と共に詳しく解説していきます。これらの方法が、皆さんの心を少しでも軽くするための、確かで実践的な道しるべとなることを願っています。

医学的レビュー担当者:
田中 実 医師(小児・思春期精神医学専門医、医学博士)


本記事の科学的根拠

この記事は、インプットされた研究報告書で明示的に引用された、最高品質の医学的根拠にのみ基づいています。以下は、参照された実際の情報源と、提示された医学的ガイダンスとの直接的な関連性を示すリストです。

  • ソニー生命保険株式会社: 日本の高校生の将来に対する不安の割合に関する指針は、同社が発表した「中高生が思い描く将来についての意識調査2023」に基づいています1
  • 文部科学省 (MEXT): 青少年における学業や人間関係のストレス要因に関する記述は、同省が発行した報告書「高校生の心の健康のために」に基づいています2
  • JAMA Pediatrics掲載論文: 青少年における不安症状の世界的増加に関する背景情報は、同誌に掲載されたCOVID-19中の子どもの不安に関するメタ分析研究に基づいています3
  • 日本不安症学会 (JPSAD): 認知行動療法(CBT)が日本の標準的治療法であるとの記述は、同学会が共同で策定した「社会不安障害診療ガイドライン」に基づいています4
  • 厚生労働省 (MHLW): 若者向けのメンタルヘルスに関する公的支援や相談窓口の情報は、同省が公開している「こころもメンテしよう~若者を支えるメンタルヘルスサイト~」に基づいています5

要点まとめ

  • 思春期の不安は「弱さ」ではなく、脳の発達や環境の変化に伴う自然な反応ですが、深刻な場合は対処が必要です。
  • 運動は脳由来神経栄養因子(BDNF)を増やし、科学的に心を落ち着かせることが証明されています。
  • 質の高い睡眠は脳の老廃物を除去し感情をリセットする上で不可欠であり、睡眠衛生の最適化が重要です。
  • 食生活は「腸脳相関」を通じて気分に直接影響を与え、バランスの取れた和食などが推奨されます。
  • マインドフルネスや呼吸法は、脳の構造に働きかけ、ストレス反応を和らげる効果的な訓練法です。
  • 認知行動療法(CBT)は、否定的な思考パターンを特定し変えるための、日本でも標準的な心理療法です。
  • 日本発祥の森田療法は、「あるがまま」に不安を受け入れ、目的本位の行動に集中することを教えます。
  • 森林浴(しんりんよく)は、自然の力でストレスホルモンを減少させることが科学的に確認されています。

思春期の不安を理解する:それは「弱さ」ではなく「サイン」

不安を感じること自体は、危険を察知し、それに備えるための人間にとって不可欠な感情です。しかし、思春期にはこの不安が特に強く感じられることがあります。これは決して本人の「心が弱い」からではありません。この時期、感情を司る脳の部位である扁桃体(へんとうたい)が活発になる一方で、理性的な判断や感情のコントロールを担う前頭前野(ぜんとうぜんや)はまだ発達の途上にあります6。このアンバランスさが、些細なことでも過剰に反応してしまったり、漠然とした不安に襲われたりする原因の一つと考えられています。さらに、受験戦争という言葉に代表される学業のプレッシャー、SNSを通じた複雑な友人関係、そして「空気を読む」ことを求められる日本特有の社会的圧力も、若者の心に大きな負担をかけています78。自分の心の中で起きている変化が、生物学的・社会的な背景を持つ「サイン」なのだと理解することは、不必要な自己批判から抜け出し、建設的な対処法を見つけるための第一歩となります。


パート1:心と身体を整える基礎的セルフケア

心の健康は、体の健康と密接に結びついています。不安を管理するための最初のステップは、日々の生活習慣を見直し、心身の土台を安定させることです。ここでは、最も基本的でありながら、科学的に効果が証明されている3つのセルフケア法を紹介します。

1. 科学的運動療法:脳由来神経栄養因子(BDNF)を増やし、心を落ち着かせる

定期的な運動は、最も効果的な「天然の抗不安薬」の一つです。汗を流すことで気分がすっきりするだけでなく、脳内では重要な化学的変化が起きています。

科学的根拠

運動が不安を和らげる主なメカニズムの一つに、脳由来神経栄養因子(BDNF)の増加があります。BDNFは「脳の肥料」とも呼ばれるタンパク質で、神経細胞の生存と成長を促し、特に気分の調節や記憶に重要な役割を果たす海馬の機能をサポートします。2015年に行われたあるメタ分析では、身体活動が血中のBDNFレベルを有意に上昇させることが確認されました9。つまり、運動は脳の神経回路を物理的に強化し、ストレスに対する回復力を高めるのです。

実践的なアドバイス

文部科学省も、青少年の健全な発育のために定期的な身体活動を推奨しています2。「運動」と聞くと身構えてしまうかもしれませんが、激しいトレーニングは必要ありません。以下のような活動を生活に取り入れてみましょう。

  • クラブ活動(部活動)への参加:仲間と一緒に楽しむことで、継続しやすくなります。
  • 通学時の工夫:一駅手前で降りて歩く、エレベーターの代わりに階段を使うなど。
  • 週末のアクティビティ:家族や友人と一緒にサイクリングや水泳、ランニングを楽しむ。
  • 短い散歩:気分が晴れない時に、5分から10分程度外を歩くだけでも効果があります10

2. 睡眠衛生の最適化:脳の「掃除」と感情のリセット

質の高い睡眠は、心の健康にとって不可欠な基盤です。睡眠中、脳は日中に蓄積した老廃物を「掃除」し、記憶を整理し、感情をリセットします。睡眠不足は、不安やイライラを増幅させることが多くの研究で示されています。

科学的根拠

睡眠、特に深いノンレム睡眠は、前述した扁桃体の過剰な活動を鎮め、前頭前野との連携を回復させる働きがあります。これにより、翌日には感情的な出来事に対してより冷静に対処できるようになります。思春期の不眠に対する認知行動療法(CBT-I)の有効性を示したあるシステマティックレビューとメタ分析は、睡眠習慣への介入が精神的な健康全般を改善する可能性を強調しています11

実践的なアドバイス:睡眠衛生チェックリスト

良い睡眠習慣(睡眠衛生)を身につけることは、誰にでもできる強力なセルフケアです。以下のリストを参考に、自分の生活を見直してみましょう1213

  • ☐ 毎日同じ時間に起き、同じ時間に寝る:休日でも、体内時計を乱さないように心がけましょう。
  • ☐ 就寝1時間前にはスマートフォンやPCの使用をやめる:画面から出るブルーライトは、睡眠を促すホルモンであるメラトニンの分泌を妨げます。
  • ☐ 午後以降はカフェインを避ける:コーヒー、紅茶、緑茶、エナジードリンクに含まれるカフェインは、覚醒作用が数時間続きます。
  • ☐ 寝室を快適な環境にする:部屋を暗く、静かで、涼しい状態に保ちましょう。
  • ☐ 日中に適度な運動をする:ただし、就寝直前の激しい運動は避けましょう。
  • ☐ 夜にぬるめのお風呂にゆっくり浸かる:リラックス効果があり、自然な眠りを誘います13

3. 栄養と腸脳相関:食べるものが気分を作る

「You are what you eat(あなたはあなたが食べたものでできている)」という言葉の通り、食事は私たちの気分や精神状態に直接的な影響を与えます。近年、この関係を説明する「腸脳相関」という概念が注目されています。

科学的根拠

私たちの腸と脳は、神経系や免疫系、内分泌系を通じて常に情報をやり取りしており、これを腸脳相関(Gut-Brain Axis)と呼びます14。腸内に生息する膨大な数の微生物(腸内フローラ)は、気分の安定に関わるセロトニンなどの神経伝達物質の生産に関与しています。2014年に発表された大規模なシステマティックレビューでは、加工食品や糖分の多い不健康な食生活と、子どもや青少年の精神的な不調との間に一貫した関連性があることが示されました15

実践的なアドバイス

不安を管理するためには、腸内環境を整え、脳に必要な栄養素を供給する食事が重要です。具体的なポイントは以下の通りです。

  • バランスの取れた和食を基本に:魚(特に青魚に含まれるオメガ3脂肪酸)、野菜、海藻、発酵食品(味噌、納豆など)を豊富に含む伝統的な和食は、心と体の健康に非常に有益です。
  • 加工食品や甘い飲み物を控える:これらは腸内の悪玉菌を増やし、血糖値の急激な変動を引き起こして、気分の不安定につながることがあります。
  • 朝食を抜かない:朝食は、一日の血糖値を安定させ、集中力や気分を維持するために重要です。

パート2:心を鍛える実践的テクニック

生活習慣の土台を整えたら、次は積極的に心そのものを鍛える技術を学びましょう。これらのテクニックは、不安の波に飲み込まれるのではなく、その波を乗りこなすためのスキルを与えてくれます。

4. マインドフルネスと呼吸法:「今、ここ」に集中し、不安の波を乗りこなす

マインドフルネスとは、「今、この瞬間」の経験に、評価や判断を加えることなく、意図的に注意を向ける心の状態です。過去の後悔や未来への不安から意識を現在に戻すことで、心の平穏を取り戻すことができます。

科学的根拠

マインドフルネスの実践は、脳の構造と機能に実際に変化をもたらすことが、機能的磁気共鳴画像法(fMRI)などの研究で示されています。具体的には、脳の「恐怖センター」である扁桃体の活動を抑制し、理性的な判断を司る前頭前野との連携を強化します616。これは、不安という感情の「アクセル」を緩め、理性の「ブレーキ」を効きやすくするようなものです。日本でも、マインドフルネスストレス低減法(MBSR)などのプログラムが導入され始めています1718

実践的なアドバイス:3分間腹式呼吸法

マインドフルネスは、特別な場所や時間を必要としません。授業の前や試験の直前など、緊張した時に試せる簡単な呼吸法を紹介します5

  1. 椅子に座るか、楽な姿勢で立ちます。背筋を軽く伸ばしましょう。
  2. 片手をお腹に当て、もう片方の手は胸に置きます。
  3. ゆっくりと鼻から息を吸い込み、お腹が風船のように膨らむのを感じます(胸はあまり動かさないように意識します)。
  4. 口からゆっくりと、吸う時よりも長い時間をかけて息を吐ききります。お腹がへこんでいくのを感じましょう。
  5. この呼吸を3分間、ただ呼吸そのものに意識を集中させて繰り返します。途中で他の考えが浮かんでも、「考えが浮かんだな」と気づいて、再び呼吸に意識を戻します。

5. 認知行動療法(CBT)の基本:考え方の「癖」に気づき、変える技術

認知行動療法(Cognitive Behavioral Therapy, CBT)は、不安症に対して最も効果的な心理療法の一つとして、世界中のガイドラインで推奨されています。日本においても、その有効性は広く認められており、社会不安障害などの治療ガイドラインでも第一選択肢とされています419

科学的根拠

CBTの基本的な考え方は、私たちの感情や行動は、出来事そのものではなく、その出来事をどのように「解釈(認知)」するかによって決まる、というものです。不安を感じやすい人は、物事を悲観的に捉える「考え方の癖(認知の歪み)」を持っていることが多く、CBTはそれに気づき、より現実的でバランスの取れた考え方に変えていく手助けをします。日本でも、文化的な背景を考慮して調整されたCBTプログラム(例:JACA-CBT)が、日本の青少年に対して高い効果を上げることがランダム化比較試験で証明されています2021

実践的なアドバイス:認知の三角形を理解する

CBTの基本である「認知の三角形」を、日常的な例で見てみましょう。

  • 状況:友人からLINEの返信がなかなか来ない。
  • 自動思考(認知):「何か悪いことを言ったかな?嫌われたのかもしれない」
  • 感情・身体反応:不安、焦り、胸がドキドキする。
  • 行動:何度もスマートフォンをチェックする、不安で他のことに集中できない。

この時、CBTでは「本当に嫌われたと断定できる証拠はあるか?」「他にどんな可能性が考えられるか?(例:相手が忙しい、スマホを見ていないだけなど)」と自問することで、自動思考に距離を置き、より現実的な解釈を見つける練習をします。この小さな練習が、不安の連鎖を断ち切る力になります。

6. 森田療法のエッセンス:「あるがまま」を受け入れ、行動に焦点を当てる

森田療法は、1919年に精神科医の森田正馬によって創始された、日本独自の精神療法です。不安を敵視し、なくそうとするのではなく、それを「あるがまま」に受け入れるというアプローチが特徴です。

科学的根拠

森田療法の理論では、不安は「より良く生きたい」という欲望(生の欲望)の裏返しであると捉えます22。不安を消そうとすればするほど、かえって意識が集中し、不安は強くなります(精神交互作用)。森田療法は、この悪循環を断ち切り、不安はそのままに、今ここでなすべき「目的本位の行動」に注意を向けることを促します。このアプローチは、近年西洋で注目されているアクセプタンス&コミットメント・セラピー(ACT)とも多くの共通点を持っています。

実践的なアドバイス

森田療法の考え方は、日常生活で応用できます。著名な森田療法家である北西誠医師も、このアプローチの重要性を説いています23

  • 感情にラベルを貼る:「今、自分は不安を感じているな」と、客観的に自分の感情を認識します。
  • 行動に焦点を移す:不安を感じながらも、「今はまず、目の前の宿題を1ページだけやってみよう」「部屋の片付けを5分だけしよう」と、具体的な行動に意識を切り替えます。
  • 成功体験を積み重ねる:小さな行動を積み重ねることで、「不安があっても行動できる」という自信が生まれ、結果的に不安に振り回されにくくなります。

パート3:環境とのつながりを活用する

私たち人間は、周囲の環境と切り離されては生きられません。自然や社会とのつながりを意識的に活用することも、心を癒すための強力な手段となります。

7. 森林浴(しんりんよく):自然の力でストレスホルモンを減らす

森林浴(Shinrin-yoku)は、森の空気に浸り、自然を五感で感じるという日本発祥の健康法です。単なる散歩とは異なり、そのリラックス効果は科学的に証明されています。

科学的根拠

日本で行われた多くの研究により、森林浴がストレスホルモンであるコルチゾールの濃度を低下させ、心拍数や血圧を安定させ、リラックス状態を司る副交感神経の活動を高めることが示されています24。森の木々が発するフィトンチッドという化学物質にも、リラックス効果があると考えられています。2021年に発表された最新のメタ分析では、森林療法が抑うつや不安の症状を軽減する上で有意な効果を持つことが改めて確認されました25

実践的なアドバイス

日本には、NPO法人森林セラピーソサエティによって認定された「森林セラピー基地」が全国各地にあります26。本格的な森林浴を体験したい場合は訪れてみるのも良いでしょう。しかし、もっと手軽に始めることもできます。

  • 近所の公園や緑地を訪れる:大きな森でなくても、緑の多い場所をゆっくりと歩くだけで効果が期待できます。
  • 五感をフル活用する:スマートフォンの電源を切り、木の葉のざわめき、鳥の声、土の匂い、木漏れ日の暖かさなどを意識的に感じてみましょう。

8. 社会的つながり:信頼できる人に話すことの力

一人で悩みを抱え込むことは、不安を増幅させる最大の要因の一つです。信頼できる友人、家族、先生、またはカウンセラーに自分の気持ちを打ち明けることは、非常に重要なセルフケアです。

科学的根拠

他者とのポジティブな社会的相互作用は、愛情ホルモンとも呼ばれるオキシトシンの分泌を促します。オキシトシンには、ストレス反応を緩和し、安心感や信頼感を高める効果があります。問題を共有することで、客観的な視点や新たな解決策が見つかることも少なくありません。家族のサポートが青少年のメンタルヘルスにとって極めて重要であることは、多くの研究で示されています27

実践的なアドバイス

「誰かに相談する」ことは、時に勇気が必要です。しかし、それは決して弱さの表れではありません。

  • 話す相手を選ぶ:自分の話を真剣に、そして否定せずに聞いてくれる人を選びましょう。
  • 公的な相談窓口を活用する:身近な人に話しにくい場合は、学校のスクールカウンセラーや、厚生労働省などが設けている若者向けの相談窓口を利用することもできます5。これらの窓口は、秘密厳守で無料で相談に乗ってくれます。

結論

思春期の不安は、多くの若者が経験する自然な心の反応です。しかし、それを放置せず、積極的に対処する方法を学ぶことは、生涯にわたる心の健康の土台を築くことにつながります。本記事で紹介した8つのセルフケア法―運動、睡眠、栄養、マインドフルネス、CBTの基本、森田療法のエッセンス、森林浴、そして社会的つながり―は、いずれも科学的な裏付けのある、実践的で強力なツールです。
全てを一度に始める必要はありません。まずは一つ、自分が「これならできそう」と感じるものから試してみてください。小さな一歩が、大きな変化を生み出します。そして何よりも大切なのは、一人で抱え込まないことです。もし、ここで紹介した方法を試しても不安が強く、学校生活や日常生活に支障をきたすような場合は、ためらわずに保護者や先生、そして専門の医療機関に相談してください。助けを求めることは、自分自身を大切にする、最も勇気ある行動なのです。

免責事項本記事の情報は、情報提供のみを目的としており、専門的な医学的アドバイスを構成するものではありません。健康に関する懸念や、ご自身の健康や治療に関する決定を下す前には、必ず資格のある医療専門家にご相談ください。

よくある質問

これらの方法はどのくらいで効果が出ますか?

効果が現れるまでの期間は、方法や個人差によって異なります。呼吸法のようなテクニックは、実践した直後にリラックス効果を感じられることがあります。一方で、運動や栄養改善、睡眠習慣の見直しといったライフスタイルの変更は、数週間から数ヶ月間継続することで、より安定した効果が期待できます。大切なのは、結果を急がず、一貫して続けることです。

不安が強すぎて何もする気になれません。どうすればいいですか?

そのように感じることは、決して珍しいことではありません。無理に大きな目標を立てる必要はありません。まずは、可能な限り最も小さな一歩から始めてみましょう。例えば、「30分運動する」と考える代わりに、「家の周りを5分だけ歩いてみる」という目標を設定します。もしそれさえも難しいと感じる場合は、心が助けを求めている重要なサインかもしれません。信頼できる大人(保護者や先生)に話すか、厚生労働省が提供する若者向けのメンタルヘルス相談窓口など、専門家の助けを借りることを強くお勧めします5

参考文献

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