「妊娠検査薬で陽性が出た」「まだお腹も目立たないのに、体調も気持ちも大きく変わって戸惑っている」――妊娠がわかったばかりの妊娠初期(おおむね妊娠13週まで)は、うれしさと同時に不安も大きくなりがちな時期です。
つわりや眠気、情緒不安定、仕事との両立への心配、「流産してしまわないか」という恐怖、食べていいもの・避けたほうがよいものなど、短い期間の中で考えることが一気に増えます。特に初めての妊娠では、周りに聞きづらく一人で悩んでしまう方も少なくありません。
本記事では、日本の公的機関(厚生労働省や各種ガイドラインなど)や専門学会、海外の信頼できる医学情報をもとに、妊娠初期の体の変化、赤ちゃんの発育、日常生活や仕事で気をつけたいポイント、食事・サプリメント、受診の目安や危険なサインまで、できるだけやさしい言葉で整理して解説します。181012
「何をどこまで気にすればよいのか」「これは様子を見ていいのか、受診すべきなのか」といった判断軸もできるだけ具体的にお伝えしますので、妊娠初期の数ヶ月を少しでも安心して過ごすための参考にしてください。
Japanese Health(JHO)編集部とこの記事の根拠について
Japanese Health(JHO)は、健康と美容に関する情報を提供するオンラインプラットフォームです。膨大な医学文献や公的ガイドラインを整理し、日常生活で活用しやすい形でお届けすることを目指しています。
本記事の内容は、日本の厚生労働省や日本産科婦人科学会などの公的資料・ガイドライン、海外の信頼できる医学情報(WHO、Mayo Clinic、査読付き論文 など)をもとに、JHO編集部がAIツールのサポートを受けつつ、最終的には人の目で一つひとつ確認しながら作成しています。18910
- 厚生労働省・自治体・公的研究機関:妊産婦のための食生活指針、妊婦健診の基準、食中毒・水銀・アルコールに関する資料など、日本人向けの公式情報を優先して参照しています。14578
- 国内外の医学会ガイドライン・査読付き論文:日本産科婦人科学会のガイドラインや流産に関する情報、海外の妊娠初期ガイド・レビューなど、科学的に検証されたエビデンスをもとに要点を整理しています。9101112
- 教育機関・医療機関・NPOによる一次資料:妊娠中のカフェイン摂取量の目安など、臨床現場の解説も参考にしています。6
AIツールは、文献の要約や構成案作成の「アシスタント」として活用していますが、公開前には必ずJHO編集部が原著資料と照合し、重要な記述を一つひとつ確認しながら、事実関係・数値・URLの妥当性を検証しています。
私たちの運営ポリシーや編集プロセスの詳細は、 運営者情報(JapaneseHealth.org) をご覧ください。
要点まとめ
- 妊娠初期(妊娠0〜13週ごろ)は、赤ちゃんの脳・脊髄・心臓など重要な臓器が急速に作られる、大切で繊細な時期です。つわりや眠気、情緒不安定などは、多くがホルモン変化による自然な反応です。1012
- 妊婦健診は、おおむね妊娠23週までは4週に1回、その後は間隔が短くなります。妊娠がわかったら、できるだけ早く医療機関を受診し、母子健康手帳をもらって健診スケジュールを確認しましょう。811
- 食事は「主食・主菜・副菜」を基本に、葉酸・鉄・カルシウムなどを意識しつつバランスよく。妊娠前〜妊娠3か月までは、食事に加えて1日400μg程度の葉酸サプリメントが推奨されています。123
- ナチュラルチーズ(非加熱)、生ハム、スモークサーモンなどリステリア菌のリスクが高い食品や、水銀を多く含む一部の大型魚は、妊娠中は控えめに。魚そのものは大切な栄養源のため、種類・量を工夫して取り入れましょう。45
- カフェインは1日200〜300mg未満(コーヒーならマグカップ2杯程度)を目安にし、アルコール・喫煙は妊娠がわかった時点で中止することが勧められています。67
- 「大量の出血」「強い腹痛」「我慢できない頭痛や吐き気」「水分もとれないほどのつわり」などは早めの受診が必要なサインです。心配なときは、自己判断せず医療機関に相談しましょう。8911
妊娠初期は、「つわりで仕事がつらい」「流産が怖くて動くのが不安」「食べてはいけないものが多すぎる気がする」など、情報が多すぎてかえって不安になる時期でもあります。
本記事では、まず妊娠初期の体の仕組みやよくある症状を整理し、そのうえで「生活習慣」「栄養」「仕事・家事」「受診の目安」といったテーマごとに、段階的にできる対策を紹介します。日常生活で工夫できることと、医療機関に相談したほうがよい場面を分けて説明することで、「何から手をつければよいか」がイメージしやすくなるように構成しています。
必要に応じて、 JapaneseHealth.org トップページ から、睡眠・メンタルヘルス・栄養などの関連ガイドもあわせて参照していただけます。
読み進めることで、「自分の状態をどう受け止めるか」「いつどこで誰に相談すべきか」をより具体的にイメージできることを目指しています。
第1部:妊娠初期の基本と日常生活の見直し
まずは、「妊娠初期とはどの時期を指すのか」「体の中では何が起こっているのか」といった基本を押さえたうえで、日常生活の中で見直しやすいポイントを整理していきます。
1.1. 妊娠初期とは?体の基本的な変化
妊娠週数は、最後の月経が始まった日を「妊娠0週0日」として数えます。妊娠初期は一般的に妊娠13週まで(約3か月)を指し、この間に受精卵が子宮内膜に着床し、胎盤や臍帯、羊膜が作られ、赤ちゃんの脳・脊髄・心臓・手足など、基本的な体の土台がほとんど形成されます。1012
お母さんの体でも、妊娠に伴ってヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCG)、プロゲステロン、エストロゲンなどのホルモンが急激に増加し、子宮や乳房が妊娠に適した状態になるよう調整が進んでいきます。その結果として、次のような症状が現れやすくなります。1012
- 月経が来ない(妊娠に気づくきっかけ)
- つわり(吐き気・嘔吐・むかつき・においに敏感になる など)
- 強い眠気やだるさ、疲れやすさ
- 胸の張りや痛み、乳頭の色の変化
- 便秘やおならが増える、お腹の張り感
- 頻尿(子宮が少しずつ大きくなり膀胱を圧迫するため)
- 胃もたれ・胸やけ(胃と食道の間の筋肉が緩む影響)
- おりものの増加(感染がなければ正常なことが多い)
- 感情の起伏が激しくなる、イライラ・不安・涙もろさ など
これらの症状は、同じ妊婦さんでも妊娠ごとに違ったり、ほとんど症状がない方もいたりと個人差が非常に大きいことが特徴です。「つわりが軽いから赤ちゃんに何か問題がある」「妊娠らしい症状がないからおかしい」といった心配は、多くの場合は不要です。
一方で、大量の出血や我慢できない腹痛、発熱、意識が遠のくようなめまいなどは、流産や子宮外妊娠などの可能性もあるため、早めの受診・救急受診が必要です(詳しくは第3部・第5部で解説します)。89
1.2. 悪化させてしまうNG習慣と、代わりにできること
妊娠初期の体調不良は、ホルモンの変化が大きな原因ですが、生活習慣や環境によって悪化することもあります。ここでは、ついやってしまいがちな行動と、その代わりにできる工夫を整理します。
- 長時間の立ち仕事・残業・徹夜
長時間の立ち仕事や夜遅くまでの残業は、つわりや腰痛、むくみ、切迫流産・早産のリスクを高める可能性があります。厚生労働省の資料では、妊婦が請求すれば時間外労働や休日労働の免除、深夜業の制限などが認められています。48 体調がつらいときは我慢せず、職場と相談しましょう。 - ストレス解消のための飲酒・喫煙
妊娠中の飲酒は、流産・早産、胎児性アルコールスペクトラム障害(FASD)などのリスク要因となることが知られており、妊娠がわかった時点でアルコールを控えることが勧められています。7 喫煙も胎児発育不全や早産、胎盤早期剝離などのリスクを高めるため、可能な限り早期に禁煙することが重要です。7 - 極端なダイエット・偏った食事
「体重を増やしたくない」「つわりで食べられるものだけ食べている」といった状況が続くと、母体・胎児ともに栄養不足になるおそれがあります。妊娠前のBMIによって適切な体重増加量は異なりますが、日本産科婦人科学会と厚生労働省は、妊娠前の体重に応じた体重管理を推奨しています。12 完璧な食事を目指すより、「主食+たんぱく質+野菜を少しずつ」など、小さな改善を積み重ねることが大切です。 - カフェインの摂りすぎ
カフェインは胎盤を通過しやすく、胎児の血中にも移行します。現時点の知見では、妊婦のカフェイン摂取量は1日200〜300mg未満(コーヒーならマグカップ2杯程度まで)が望ましいとされています。6 コーヒーを減らし、麦茶やルイボスティー、カフェインレス飲料などを上手に活用しましょう。 - 「冷蔵庫に入っていれば安心」と思い込むこと
妊娠中は、リステリア菌などの食中毒菌に対する感受性が高まり、重症化した場合には流産や死産のリスクになることもあります。49 ナチュラルチーズ(加熱殺菌していないもの)や生ハム、スモークサーモンなどは、冷蔵庫に入っていても菌が増えることがあるため、妊娠中は避け、加熱した食品を選ぶことが推奨されています。49
「これは絶対にやってはいけない」「一度でもやってしまったら終わり」というわけではありません。大切なのは、妊娠がわかったタイミングから、できる範囲で少しずつ生活を整えていくことです。気になる行動があった場合は、一人で抱え込まず、妊婦健診や自治体の相談窓口などで気軽に相談してみましょう。
| こんな状況はありませんか? | 考えられる背景・見直したいポイント |
|---|---|
| 平日は毎日残業があり、帰宅が22時以降になることが多い | 睡眠不足・疲労の蓄積、切迫流産・早産リスクの増加 → 上司への相談、勤務時間や業務内容の調整を検討 |
| つわりがつらく、水分よりもジュースや炭酸飲料ばかり飲んでしまう | 糖分過多による体重増加・血糖値上昇 → 麦茶や経口補水液、氷をなめるなど、少量ずつでも水分補給の方法を工夫 |
| 「体重が増えるのがこわい」と食事量をかなり減らしている | 母体・胎児の栄養不足 → 妊娠前BMIに応じた体重増加目安を知り、「質を良くして量は無理しない」方向へ調整 |
| チーズ・生ハム・スモークサーモンが好きで、ほぼ毎日食べている | リステリア食中毒のリスク → ナチュラルチーズや生ハムは控え、加熱済みのチーズ料理や良く火を通した肉・魚料理に置き換える49 |
| コーヒーやエナジードリンクを1日に何杯も飲んでしまう | カフェイン摂りすぎの可能性 → 目安は1日200〜300mg未満、ノンカフェイン飲料への切り替えを検討6 |
第2部:身体の内部要因 — 栄養・ホルモン・隠れた不調
生活習慣を見直しても体調不良が続く場合や、妊娠前から持病がある場合には、栄養状態やホルモンバランス、慢性疾患など、身体の内部要因が関係していることがあります。ここでは、特に妊娠初期に重要となるポイントを整理します。
2.1. 【特に女性】妊娠初期とホルモンバランスの変化
妊娠初期は、女性ホルモンが大きく変動する時期です。妊娠を維持するためにプロゲステロンやエストロゲンが増加し、胎盤が完成するまでの間、体内のホルモン環境が急速に変わっていきます。1012
その結果として、 つわり・眠気・便秘・情緒不安定・基礎体温の高温持続などが現れやすくなります。これは「心が弱いから」でも「体力がないから」でもなく、多くの場合は妊娠によって起こる正常な変化です。厚生労働省の資料でも、妊娠に伴う気分の落ち込みやイライラは、多くの妊婦さんが経験する心の不調であり、一人で抱え込まず休息と周囲のサポートを得ることの重要性が示されています。7
ただし、食事がほとんどとれないほどの強いつわり(1日に何度も嘔吐し、水分も摂れない)や、 「何も楽しくない」「眠れない」「死にたくなる」といった強い抑うつ症状が続く場合は、妊娠悪阻や周産期うつ病などの可能性もあります。早めに産婦人科や精神科・心療内科などに相談し、必要に応じて家族や職場の協力体制を整えていきましょう。
2.2. 妊娠初期に特に大切な栄養 — 葉酸・鉄・カルシウム など
妊娠中の食事の基本は、「多様な食品をバランスよく食べること」です。そのうえで、妊娠初期に特に重要になる栄養素として、葉酸・鉄・カルシウムなどが挙げられます。12
- 葉酸(ようさん)
葉酸は、細胞分裂や赤血球の生成に必要なビタミンで、胎児の神経管(脳や脊髄のもと)の形成にとても重要です。妊娠前〜妊娠初期の葉酸摂取不足は、二分脊椎など神経管閉鎖障害のリスクを高める可能性があるとされています。1310 厚生労働省は、妊娠を計画している女性や妊娠の可能性がある女性に対し、妊娠の1か月以上前から妊娠3か月までの間は、通常の食事に加えて1日400μgの葉酸サプリメントを摂取することをすすめています。310 - 鉄
妊娠が進むと血液量が増え、赤血球を作るために多くの鉄が必要になります。鉄不足は貧血を引き起こし、だるさや動悸・息切れの原因になるだけでなく、重度の場合は胎児の発育にも影響しうるため、肉・魚・大豆製品・緑黄色野菜などで意識的に摂ることが大切です。123 - カルシウム・ビタミンD
赤ちゃんの骨や歯を作る材料となるだけでなく、お母さんの骨の健康を守るうえでも重要です。牛乳・乳製品、小魚、緑黄色野菜、きのこ類などをうまく組み合わせていきましょう。12
サプリメントは便利ですが、「多ければ多いほど良い」というものではありません。葉酸以外のサプリメントを自己判断で多種類・大量に飲むと、ビタミンAなど一部の栄養素は過剰摂取により胎児への悪影響が懸念される場合もあります。13 新たなサプリメントを始める前には、妊婦健診の際にかかりつけの医師・助産師に相談すると安心です。
2.3. 食品の安全性 — 生もの・水銀・食中毒への配慮
妊娠中は食品の安全性にも注意が必要です。特に妊娠初期は赤ちゃんの臓器が作られる時期であり、食中毒や一部の化学物質の影響を避ける意味でも、「リスクの高い食品を避ける」「調理・保存方法に気をつける」ことが大切です。
- リステリア菌と生もの
リステリア菌は冷蔵庫内でも増殖することがあり、妊娠中に感染すると流産・死産などのリスクが高まるとされています。49 妊娠中は、ナチュラルチーズ(非加熱)、生ハム、肉・魚のパテ、スモークサーモンなどは避け、加熱したチーズ料理やきちんと火の通った肉・魚料理を選ぶことが推奨されています。49 - 魚に含まれる水銀
魚は良質なたんぱく質やDHA・EPAなどを含み、妊婦さんにも積極的に摂ってほしい食品ですが、一部の大型魚(メカジキ・キンメダイ・マグロの種類 など)は水銀含有量が高いため、摂取量の目安が示されています。5 厚生労働省は「妊婦への魚介類の摂食と水銀に関する注意事項」で、種類ごとに「1週間に何切れまで」などの目安を公開していますので、心配な方は一度確認してみるとよいでしょう。5 - 生肉・生卵・加熱不十分な料理
カンピロバクターやサルモネラなどの食中毒菌のリスクがあります。妊娠中は、肉や魚は中心部まで十分に加熱し、生卵や半熟卵、レアステーキなどは控えることが勧められています。4
食べてはいけないものばかりを意識するとストレスが溜まってしまうため、「頻度を減らす」「加熱したものに置き換える」といった現実的なラインを見つけることも大切です。自治体が配布するリーフレットや母子健康手帳の食事ページも、日々の献立を考える助けになります。12
第3部:専門的な診断が必要な状態と主な合併症
妊娠初期の多くの不快症状は「よくあるもの」ですが、中には早めに受診したほうがよい病気や合併症もあります。ここでは代表的なものと、そのサインについて解説します。
3.1. 流産・子宮外妊娠など、緊急性の高い状態
妊娠12週未満の流産(早期流産)は、医学的には珍しいものではなく、妊娠全体の中で一定の割合で起こることが知られています。その多くは、赤ちゃん側の染色体異常など、妊娠のごく初期の段階で「たまたま」起こる変化が原因であり、お母さんの行動や生活習慣が直接の原因であることは少ないとされています。9
一方で、次のような症状がある場合には、流産や子宮外妊娠などの可能性もあるため、早めの受診・救急受診が必要です。89
- 生理よりも多い、またはそれ以上の量の鮮血〜暗赤色の出血が続く
- 生理痛より強い下腹部痛・腰痛が持続する、あるいは波のように繰り返す
- 出血に加えて、めまい・冷や汗・動悸・意識が遠のく感じがある
- 片側だけの強い下腹部痛、肩に響くような痛み(子宮外妊娠など)
- 血の塊や組織のようなものが出てきた
出血があっても、必ずしも流産につながるわけではありません。軽い出血で妊娠が継続するケースも少なくないため、「出血=すぐに終わり」と決めつけず、状況に応じて医療機関で評価を受けることが大切です。910
3.2. 妊娠前からの持病・妊娠に伴って明らかになる病気
妊娠をきっかけに、高血圧・糖尿病・甲状腺機能異常などの持病が悪化したり、新たに見つかったりすることもあります。これらは妊娠中の合併症(妊娠高血圧症候群、妊娠糖尿病など)につながる可能性があり、専門的な管理が必要です。811
妊娠初期の妊婦健診では、血圧測定や尿検査、血液検査(血糖、肝機能・腎機能など)、子宮頸がん検診、性感染症の検査(梅毒・B型肝炎・C型肝炎・HIV・クラミジアなど)が行われます。8 これはお母さんの健康状態を把握し、合併症を早期に見つけて適切なフォローにつなげるための重要なステップです。
以下のような方は、妊娠初期から特に密なフォローが必要になることがあります。
- 高血圧・糖尿病・心臓病・腎臓病などの持病がある
- 甲状腺の病気(バセドウ病・橋本病など)がある、または疑いがある
- 自己免疫疾患(膠原病、抗リン脂質抗体症候群 など)がある
- 以前に流産・死産・早産を繰り返したことがある
- 35歳以上での初めての妊娠、または40歳以上での妊娠
- 双子以上の多胎妊娠
妊娠前に通院していた医療機関がある場合は、妊娠がわかった時点で必ず主治医に報告し、産婦人科との連携方法を確認しておきましょう。
第4部:今日から始める妊娠初期のアクションプラン
「体調が不安定な妊娠初期に、具体的に何をすればよいのか分からない」という声は少なくありません。ここでは、今夜からできること・今週から始めたいこと・妊娠初期のうちに考えておきたいことを、ステップごとに整理します。
| ステップ | アクション | 具体例 |
|---|---|---|
| Level 1:今夜からできること | 休息と水分補給を優先し、つわりと睡眠環境を整える | ・「無理に3食きっちり」ではなく、食べられるものを少量ずつこまめに ・水やお茶がつらければ、氷をなめる・経口補水液を少しずつ ・寝る前1〜2時間はスマホ・PCを控え、照明を落としてゆっくり過ごす |
| Level 2:今週から始めたいこと | 妊婦健診の予約・母子健康手帳の取得・生活リズムの見直し | ・妊娠検査薬で陽性が出たら、できるだけ早く産婦人科を予約 ・自治体の窓口で妊娠届を提出し、母子健康手帳と妊婦健診の受診券を受け取る ・残業や夜勤が多い場合は、上司に妊娠を伝えるタイミングと業務調整を検討 |
| Level 3:妊娠初期のうちに考えておきたいこと | 出産予定の医療機関・里帰り出産・育休・家事分担の話し合い | ・自宅や実家から通いやすい産科・総合病院をリストアップ ・里帰り出産を希望する場合は、受け入れ条件や予約時期を確認 ・パートナーと家事・育児・仕事復帰のイメージを共有し、「今からできる分担」を決めておく |
妊娠初期はつわりや倦怠感で「何もできない」と感じやすい時期ですが、上の表のようにステップを分けて考えることで、「今日はここまでできた」と達成感を持ちやすくなります。うまくできない日があっても、それは決して失敗ではありません。体調は日によって大きく変わるものなので、その日その日の体の声を聞きながら、少しずつ前に進んでいきましょう。
第5部:専門家への相談 — いつ・どこで・どのように?
「これは様子を見てよいのか」「病院に行くと大げさなのではないか」と迷う方は多くいます。ここでは、妊娠初期の受診の目安と、診療科の選び方、受診時に役立つ準備についてまとめます。
5.1. すぐに受診を検討すべき危険なサイン
- 生理より多い出血、または鮮血の出血が急に増えた
- 強い下腹部痛・腰痛が続く、または波のように繰り返す
- 38℃以上の発熱が続く、または寒気を伴う高熱
- 1日に何度も嘔吐し、水分もほとんど摂れない(尿量が極端に減る)
- 激しい頭痛・視界のかすみ・まぶしさ・ろれつが回らないなどの神経症状
- 突然の息苦しさ・胸の痛み・意識が遠のく感じがある
- 強い不安感や抑うつ感、「消えてしまいたい」「死にたい」といった考えが頭から離れない
これらの症状がある場合は、夜間・休日であっても我慢せず、かかりつけの産婦人科や救急外来、地域の救急相談窓口(#7119など)、必要に応じて119番へ連絡し指示を仰いでください。89
5.2. 症状に応じた診療科の選び方
- 主に妊娠に関連する症状(出血・腹痛・つわり など):産婦人科・産科
- 強い抑うつ・不安・パニック症状:産婦人科に加え、必要に応じて精神科・心療内科
- 胸の痛み・息苦しさ・激しい頭痛など全身症状:救急外来(内科・救命救急 など)+妊娠中であることを必ず伝える
- 虫歯や歯周病など歯のトラブル:歯科(妊娠中でも可能な治療が多いため、早期受診が大切)
どこを受診すべきか分からないときは、まず妊婦健診を受けている産婦人科に電話で相談し、「今の症状ならどこに行くべきか」を聞いてみるのも一つの方法です。
5.3. 診察時に持参すると役立つものと費用の目安
- 母子健康手帳・健康保険証・各種受診券(自治体から配布される妊婦健診補助券など)
- 現在飲んでいる薬のリスト・お薬手帳・使用中のサプリメントの一覧
- 出血量や腹痛の程度、体温、嘔吐回数などをメモしたノート(いつから・どのくらい・どんなときに悪化するか)
妊婦健診は、自治体の公費負担によって自己負担が軽減される仕組みが整えられていますが、検査内容や医療機関によって自己負担額は異なります。妊娠届を提出した際にもらえる案内や、各自治体のホームページで確認しておくと安心です。811
よくある質問
Q1: 妊娠初期に少量の出血がありました。すぐに流産してしまうのでしょうか?
A1: 妊娠初期の少量の出血は、必ずしも流産の前触れとは限らず、子宮内で胎盤が作られる過程や子宮頸部からの出血など、妊娠が継続するケースも少なくありません。910
ただし、「生理より多い量の出血」「鮮血が増えていく」「強い下腹部痛や腰痛を伴う」「めまいや冷や汗が出る」といった場合は、流産や子宮外妊娠などの可能性もあるため、早めに医療機関を受診してください。夜間や休日の急な症状の場合は、救急外来や救急相談窓口に連絡し、妊娠していることを必ず伝えましょう。
Q2: つわりでほとんど食べられません。赤ちゃんに影響はありますか?
A2: 妊娠初期の短期間であれば、「量は少なくても食べられるものを食べる」「水分を最優先する」形でも、すぐに赤ちゃんの発育に重大な影響が出ることは少ないと考えられています。1012
しかし、水分もほとんど摂れない、尿が半日以上出ない、体重が短期間に大きく減る場合は、妊娠悪阻として点滴治療などが必要になることがあります。早めに産婦人科を受診し、必要に応じて入院の可能性も含めて相談してください。普段から、匂いの少ない食品・冷たい飲み物・ゼリー飲料など、自分に合う「つわり中でも口にしやすいもの」を探しておくと役立ちます。
Q3: 妊娠がわかったら、仕事はすぐに辞めたほうがいいのでしょうか?
A3: 妊娠=仕事を辞めなければならない、という決まりはありません。体調が安定しており、主治医から特別な制限が出ていない場合は、就労を続けながら妊娠・出産を迎える方も多くいます。48
一方で、長時間の立ち仕事・重い荷物を頻繁に持つ作業・夜勤や長時間残業などは、体調悪化や切迫流産・早産のリスクにつながる可能性があります。日本では、妊婦が申し出た場合に時間外労働や休日労働、深夜業の制限が認められる制度があるため、母子健康手帳付属のリーフレットや厚生労働省の資料を参考にしつつ、上司や人事・産業医と相談して働き方を調整することが大切です。4
Q4: 妊娠初期に妊娠と知らず、お酒やたばこを摂ってしまいました。どうしたらよいですか?
A4: 妊娠に気づく前の飲酒や喫煙を経験し、「赤ちゃんに影響が出てしまったのでは」と強く不安になる方はとても多くいます。単発または短期間の飲酒・喫煙が、必ずしも胎児に重大な影響を与えるとは限りませんが、妊娠がわかった時点でアルコール・喫煙をやめることが重要です。7
不安が強い場合は、妊婦健診の際に率直に医師や助産師へ伝えましょう。「いつ頃まで、どのくらいの量だったか」を一緒に振り返りながら、今後の妊娠経過の見守り方を相談できます。また、依存が疑われる場合は、専門外来や相談窓口と連携してサポートを受けることも可能です。
Q5: 妊娠初期に旅行や飛行機に乗っても大丈夫でしょうか?
A5: 医学的には、妊娠経過が順調で合併症がなければ、短時間の飛行機・新幹線・自家用車での移動は、多くの場合大きな問題にはなりません。ただし、つわりや疲労が強い妊娠初期は、長時間移動で体調を崩しやすいため、無理なスケジュールは避けることが大切です。1011
旅行を計画する際は、出発前に主治医に相談し、「移動時間」「宿泊施設の環境」「医療機関へのアクセス」を確認しましょう。また、飛行機や長距離バスでは、こまめに足首を動かしたり、可能であれば途中で立ち上がって歩いたりして、血栓症予防も意識すると良いでしょう。
Q6: サプリメントは何を飲めばよいですか?葉酸以外も必要でしょうか?
A6: 妊娠初期に特に重要とされるのは、神経管閉鎖障害のリスク低減のための葉酸です。厚生労働省は、妊娠を計画している女性および妊娠初期の女性に対し、通常の食事に加えて1日400μgの葉酸サプリメントを摂取するよう推奨しています。1310
それ以外のビタミンやミネラルについては、基本的には「食事でバランスよく摂る」ことが第一であり、特別な理由がない限り、多種類のサプリメントを自己判断で飲む必要はありません。ビタミンAなど一部の栄養素は、過剰摂取による胎児への影響も懸念されるため、新たなサプリメントを始める前には、妊婦健診で医師・助産師に必ず相談しましょう。13
Q7: 妊娠初期にどれくらい体重が増えるのが普通ですか?
A7: 妊娠中の望ましい体重増加量は、妊娠前のBMI(体格指数)によって異なります。一般的には、妊娠初期の体重変化はそれほど大きくなく、「ほとんど変わらない」「つわりでむしろ減った」という方も少なくありません。12
日本産科婦人科学会と厚生労働省は、妊娠前の体重に応じた体重増加の目安を示していますが、個々の妊娠によって適切な増え方は違います。急激な増減や、医師から注意を受けた場合を除き、「毎回の健診で経過を確認しながら、必要に応じて栄養や生活習慣の指導を受ける」イメージで捉えるとよいでしょう。
Q8: 妊娠をいつ周囲に伝えるべきか迷っています。
A8: 妊娠をいつ誰に伝えるかは、とても個人的な選択です。日本では、流産リスクが比較的高いとされる妊娠12週ごろまで家族以外には伝えない人もいれば、つわりや仕事の調整が必要なため、妊娠初期から職場の上司や近い同僚に伝える人もいます。910
特に立ち仕事や重労働、夜勤がある職場では、妊婦であることを知られないまま仕事を続ける方が、かえってリスクが高くなることもあります。仕事の内容や人間関係、職場の制度などを踏まえつつ、「安全に働き続けるために必要な情報共有」と考えて、信頼できる範囲から少しずつ伝えていくと良いでしょう。
結論:この記事から持ち帰ってほしいこと
妊娠初期は、赤ちゃんの体の土台が急速に作られる一方で、つわりや眠気、不安定な気持ちなど、お母さん自身も大きな変化の波に揺さぶられる時期です。「ちゃんとしなきゃ」と頑張りすぎてしまう方ほど、自分を責めたり、些細なことにも不安を感じやすくなります。
本記事でお伝えしたいのは、次の3点です。
- 妊娠初期の多くの症状は、ホルモンの変化や妊娠に伴う自然な反応であり、「自分のせい」ではないこと。
- 食事・生活習慣・仕事のしかたなどは、「完璧」を目指す必要はなく、妊娠がわかったタイミングから少しずつ整えていけばよいこと。
- 大量の出血や激しい腹痛、水分も摂れないほどのつわりなど、危険なサインがあるときは、迷わず医療機関や救急相談に頼ってよいこと。
一人で抱え込まず、パートナーや家族、友人、職場、医療者、自治体の窓口など、使えるサポートは遠慮なく頼ってください。妊娠・出産は「母親だけの責任」ではなく、社会全体で支えるべきものです。Japanese Health(JHO)編集部としても、公的なエビデンスに基づいた情報提供を通じて、少しでも安心して妊娠期を過ごせるようお手伝いできれば幸いです。
この記事の編集体制と情報の取り扱いについて
Japanese Health(JHO)は、信頼できる公的情報源と査読付き研究に基づいて、健康・医療・美容に関する情報をわかりやすくお届けすることを目指しています。
本記事の原稿は、最新のAI技術を活用して下調べと構成案を作成したうえで、JHO編集部が一次資料(厚生労働省・日本産科婦人科学会・国立成育医療研究センター・WHO・Mayo Clinic などのガイドライン・論文・公的サイト)と照合しながら、内容・表現・数値・URLの妥当性を人の目で一つひとつ確認しています。最終的な掲載判断はすべてJHO編集部が行っています。18910
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参考文献
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厚生労働省. ママのための食事BOOK. 2018年. https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/000520476.pdf (最終アクセス日:2025-11-26)
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