2025年最新版・五種混合ワクチン完全ガイド:四種混合との違い、副反応、全スケジュールを徹底解説
小児科

2025年最新版・五種混合ワクチン完全ガイド:四種混合との違い、副反応、全スケジュールを徹底解説

2024年4月から、日本の乳幼児の定期予防接種に「五種混合ワクチン」が導入されました。これまで馴染みのあった四種混合ワクチンから何が変わり、大切なお子様にとってどのような意味を持つのでしょうか。スケジュールの複雑さ、副反応への不安、そして「すでに四種混合で接種を始めてしまった場合はどうすれば?」といった切実な疑問をお持ちの保護者の方も少なくないでしょう。その不安を感じるのは、ごく自然なことです。この記事は、JAPANESEHEALTH.ORG医療専門チームが、日本の公的機関および専門学会の最新ガイドラインと、国際的な学術論文という信頼性の高い情報のみに基づき、皆様のあらゆる疑問や不安を解消するために作成した「信頼できる道しるべ」です。この記事を最後までお読みいただくことで、お子様の混合ワクチンに関するすべてが明確になり、安心して予防接種に臨めるようになることをお約束します。

この記事の科学的根拠

本記事は、ご提供いただいた研究報告書に明示された、最高品質の医学的根拠にのみ基づいて作成されています。以下に、提示された医学的指針の直接的な典拠となった実際の情報源とその関連性を示します。

  • 厚生労働省(MHLW): 本記事における五種混合ワクチンの定義、公的な接種スケジュール、副反応の公式データ、公費助成に関する記述は、厚生労働省が公開するガイドラインおよび審議会資料に基づいています。
  • 国立感染症研究所(NIID): ワクチンが予防する各疾患(ジフテリア、百日せき、破傷風、ポリオ、Hib感染症)の病態や危険性に関する医学的解説は、国立感染症研究所の最新情報に準拠しています。
  • 日本小児科学会(JPS): 臨床現場の専門家が推奨する最適な接種タイミングや、接種間隔がずれた場合の考え方など、より実践的な助言は、日本小児科学会の推奨する予防接種スケジュールに基づいています。

要点まとめ

  • 2024年4月から開始:従来の四種混合ワクチンにヒブワクチンを加えた「五種混合ワクチン」が定期接種に導入されました。
  • 接種回数が減少:これまで別々に受ける必要があった注射が1回で済むため、赤ちゃんの負担と保護者の通院の手間が軽減されます。
  • 原則は同一ワクチン:最初に接種したワクチン(四種混合または五種混合)で、最後まで接種を完了するのが原則です。
  • 切り替えは限定的に可能:転居などやむを得ない事情がある場合に限り、医師と相談の上で四種混合から五種混合への切り替えが認められています。
  • 安全性は確立:副反応は四種混合ワクチンと同程度と報告されており、その安全性と有効性は国内外で確認されています。

そもそも「五種混合ワクチン」って何?どんな病気を防ぐの?

五種混合ワクチンは、その名の通り、1回の接種で5種類の深刻な感染症から子どもたちを守るための不活化ワクチンです。特に抵抗力の弱い乳幼児期にかかると、重い後遺症を残したり、命に関わることもあるため、ワクチンによる予防が極めて重要です。

1回の接種で5つの怖い病気を予防

五種混合ワクチンが予防する5つの病気は、それぞれ次のような特徴を持っています。これらはすべて、ワクチンで予防できる病気(Vaccine Preventable Diseases, VPD)の代表例です。

  • ジフテリア:ジフテリア菌がのどや鼻に感染して起こります。国立感染症研究所によると、感染すると高熱やのどの痛み、犬が吠えるような咳などの症状が現れ、偽膜(ぎまく)と呼ばれる膜ができて窒息することもあります。また、菌の出す毒素が心臓の筋肉や神経に影響を及ぼし、重篤な合併症を引き起こすことがあります1
  • 百日せき:百日せき菌による呼吸器感染症です。大人がかかると長引く咳で済むことが多いですが、国立感染症研究所の報告によれば、特に生後6か月未満の赤ちゃんが感染すると、特徴的な激しい咳が続いた後に呼吸を止めてしまう無呼吸発作などを起こし、肺炎や脳症を併発して命に関わることがあります2
  • 破傷風:土の中にいる破傷風菌が、傷口などから体内に侵入して感染します。菌が作り出す毒素のために、口が開きにくくなったり、けいれんを起こしたりします。治療が遅れると、全身の筋肉が硬直して体をのけぞらせるような姿勢になり、命を落とすことも少なくないと国立感染症研究所は警告しています3
  • ポリオ(急性灰白髄炎):ポリオウイルスが口から入ることで感染し、手足の麻痺を引き起こすことがある病気です。国立感染症研究所によれば、麻痺が一生残ってしまうこともあり、呼吸筋に麻痺が及ぶと呼吸困難で死に至ることもあります4
  • ヒブ(Hib)感染症:ヘモフィルスインフルエンザ菌b型という細菌によって引き起こされる感染症です。この菌が血液や髄液に入り込むと、致命率の高い細菌性髄膜炎や喉頭蓋炎(こうとうがいえん)といった重篤な全身感染症を発症する可能性があり、特に5歳未満の乳幼児でリスクが高いとされています5

米国疾病予防管理センター(CDC)も、これらの疾患の危険性とワクチン接種による予防の普遍的な重要性を強調しています6

四種混合ワクチンとの違いは「ヒブワクチン」だけ

では、これまで使われてきた四種混合ワクチンと新しい五種混合ワクチンは何が違うのでしょうか。厚生労働省のQ&Aによれば、その違いは「ヒブワクチンが含まれているかどうか」という、ただ一点です7

これまでは、「四種混合ワクチン」と「ヒブワクチン」を別々に、つまり腕に2回注射する必要がありました。2024年4月からは、この2つが1本にまとまった「五種混合ワクチン」が導入されたことで、1回の注射で済むようになったのです。これは、お子様が痛い思いをする回数が1回減ることを意味し、保護者の通院負担も軽減する画期的な進歩です8。このような混合ワクチンの導入は世界的な潮流であり、複数のワクチンを同時に接種しても、安全性や有効性は個別に接種した場合と変わらないことが、多くの学術研究によって確認されています。実際、複数の研究を統合・分析した報告(システマティックレビュー)でも、混合ワクチンの安全性と免疫獲得効果は十分に示されています9。例えば、世界130か国以上で承認されている類似の六種混合ワクチンは、10年間で1億8000万回以上接種された実績があり、その安全性と有効性が実社会のデータでも裏付けられています10

四種混合と五種混合の比較

項目 四種混合ワクチン 五種混合ワクチン
予防できる病気 ジフテリア、百日せき、破傷風、ポリオ ジフテリア、百日せき、破傷風、ポリオ、ヒブ感染症
接種回数(初回+追加) 計4回 計4回
ヒブワクチンの接種 別途必要(計4回) 不要(含まれている)
合計の注射回数(2歳まで) 8回(四種混合4回+ヒブ4回) 4回

【最重要】予防接種スケジュールと「切り替え」のポイント

ここからは、保護者の皆様が最も知りたいであろう、具体的な接種スケジュールについて解説します。よりスムーズにご理解いただくために、ぜひお手元に母子健康手帳をご用意ください。

基本の接種スケジュール(2024年4月1日以降に生まれたお子様)

2024年4月1日以降に生まれ、これから初めて混合ワクチンの接種を開始するお子様は、原則として五種混合ワクチンで接種を進めます。厚生労働省が定める標準的なスケジュールと、日本小児科学会が推奨するより具体的なタイミングは以下の通りです711

  • 初回接種(3回)
    • 開始時期:生後2か月に達した時から接種できます。
    • 接種間隔:20日以上の間隔をおいて3回接種します。日本小児科学会は、感染症にかかりやすい月齢を考慮し、27日(約4週)から56日(8週)までの間隔で接種することを推奨しています11
  • 追加接種(1回)
    • 接種時期:初回接種(3回目)終了後、6か月以上の間隔をおいて1回接種します。

合計で4回の接種となり、すべて公費負担(無料)で受けることができます。

四種混合ワクチンで接種を開始したお子様のケース

2024年3月31日以前に生まれ、すでに四種混合ワクチンとヒブワクチンの接種を開始しているお子様の場合はどうなるのでしょうか。この点が、多くの保護者の方にとって最大の関心事かと思います。

原則:最初に接種を開始したワクチンで、最後まで接種を完了する

厚生労働省は、原則として「同一のワクチンで接種を完了させること」を推奨しています。つまり、四種混合ワクチンで接種を始めた場合は、4回目の追加接種まで四種混合ワクチンで完了させることが基本となります12

しかし、「転居などにより、これまで接種していた医療機関で四種混合ワクチンを継続して接種することが困難になった」といった、やむを得ない事情がある場合は例外が認められています。東京都港区のQ&Aによれば、このような状況では、医師と十分に相談した上で、途中から五種混合ワクチンに切り替えて残りの接種を完了させること(交互接種)が可能です13。ただし、自己判断で切り替えることはできません。必ずかかりつけの医師に相談してください。

スケジュールがずれてしまったら?

育児中は、お子様の体調不良やご家庭の都合で、推奨されたスケジュール通りに接種を進めるのが難しいこともあるでしょう。もし接種間隔が推奨より空いてしまっても、慌てる必要はありません。日本小児科学会は、「規定の間隔を超えてしまった場合でも、接種を最初からやり直す必要はない」との見解を示しています11。できるだけ早く接種を再開することが大切ですので、気づいた時点ですぐにかかりつけ医に連絡し、残りの接種スケジュールを調整してもらいましょう。


ワクチンの副反応と安全性について

ワクチン接種後の副反応は、多くの保護者の方が心配される点です。しかし、副反応の多くは、体の中で病気と闘うための免疫が作られている証拠でもあります。正確な知識を持つことで、過度に恐れることなく冷静に対応できます。

よくある副反応(発熱・腫れ・しこり)と発生頻度

五種混合ワクチンの主な副反応は、これまでの四種混合ワクチンとヒブワクチンでみられたものと同程度と報告されています。厚生労働省が公開している添付文書データや、日本小児科学会の資料によると、主な副反応とその発生頻度は以下の通りです714

  • 接種した場所の反応:赤み(紅斑)が約75.7%、腫れ(硬結)が約55.1%、しこり、痛みなど。これらは最も多い副反応ですが、通常は数日以内に自然に軽快します。
  • 全身の反応:発熱(37.5℃以上)が約43.6%、不機嫌、食欲不振、睡眠障害など。発熱も通常1〜2日で解熱します。

これらのデータは、厚生労働省の予防接種後副反応疑い報告制度や審議会資料でも継続的に評価されており、ワクチンの安全性は常に監視されています1516

接種後のホームケア:こんな時どうする?【おうちでの対処法】

接種後にお子様の様子に変化が見られた場合の、ご家庭での基本的なケアをご紹介します。

  • 機嫌が良く、食欲もある場合:普段通りの生活で問題ありません。ただし、接種後24時間は激しい運動を避けて、様子を注意深く観察しましょう。
  • 接種部位が赤く腫れて痛がる場合:冷たいタオルや冷却シートで冷やすと、痛みが和らぐことがあります。ただし、お子様が嫌がる場合は無理に行わないでください。
  • 発熱した場合:水分補給をこまめに行い、衣服を調整して快適に過ごせるようにしましょう。熱が高くても機嫌が良ければ、慌てずに様子を見てかまいません。ぐったりして水分も摂れないような場合は、解熱剤の使用を検討するか、医療機関に相談しましょう。

すぐに受診すべき症状の目安

非常に稀ですが、以下のような症状が見られた場合は、重い副反応の可能性があります。接種した医療機関、あるいは夜間・休日であれば救急病院や相談窓口に速やかに連絡してください。

  • 接種後30分以内に、顔色が悪くなる、ぐったりする、息が苦しそう、じんましんが出る(アナフィラキシーの疑い)
  • けいれん(ひきつけ)を起こした
  • 40℃以上の高熱が続く、または解熱してもぐったりしている
  • 接種した腕全体がパンパンに腫れ上がるなど、局所の反応が異常に強い

よくある質問

Q. 同時接種はたくさんのワクチンを一度に打って、体に負担はないですか?

A. はい、安全性は確立されています。日本小児科学会や世界保健機関(WHO)は、同時接種を推奨しています。複数のワクチンを同時に接種しても、それぞれのワクチンの効果が弱まったり、副反応が強まったりすることはないと、世界中の研究で確認されています11。むしろ、必要な免疫をできるだけ早くつけるために、同時接種は非常に有効な方法です。

Q. 接種当日はお風呂に入ってもいいですか?

A. はい、問題ありません。多くの自治体では、接種後1時間以上が経過し、お子様の機嫌や体調に変化がなければ、入浴は可能としています17。ただし、注射した部位を強くこするのは避けてください。長湯も避けた方が良いでしょう。

Q. 卵アレルギーがありますが、接種できますか?

A. はい、原則として接種可能です。現在日本で使用されている五種混合ワクチンは、製造過程で卵の成分を使用していません。そのため、卵アレルギーのお子様でも問題なく接種できます。ただし、重いアレルギーがあるなど、心配な点があれば必ず接種前の問診で医師に伝えてください。


結論

2024年4月から導入された五種混合ワクチンは、従来の四種混合ワクチンとヒブワクチンの有効性・安全性をそのままに、接種回数を減らすことでお子様と保護者の負担を大きく軽減する、非常に優れたワクチンです。接種スケジュールの管理、特に四種混合からの切り替えについてはいくつかのルールがありますが、この記事で解説したポイントを押さえておけば、決して難しいことではありません。

ワクチンは、科学的根拠に基づき、お子様の命を深刻な病気から守るための、最も有効で安全な手段の一つです。この記事が、皆様のワクチンに対する理解を深め、不安を和らげる一助となれば幸いです。しかし、最終的にお子様の予防接種に関する判断を下すのは、お子様の体質や健康状態を最もよく理解している「かかりつけ医」です。この記事で得た知識を基に、ぜひ次の健診で先生とよく相談し、納得のいく形で予防接種を進めてください。

免責事項本記事は情報提供を目的としたものであり、専門的な医学的アドバイスに代わるものではありません。健康上の懸念や、ご自身の健康や治療に関する決定を下す前には、必ず資格のある医療専門家にご相談ください。

参考文献

  1. 国立感染症研究所. ジフテリアとは. 2024. Available from: https://id-info.jihs.go.jp/diseases/sa/diphteria/index.html
  2. 厚生労働省. 百日せき. 2024. Available from: https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/whooping_cough/index.html
  3. 国立感染症研究所. 破傷風. 2024. Available from: https://id-info.jihs.go.jp/diseases/ha/tetanis/010/tetanis-info.html
  4. 国立感染症研究所. IASR 44(8), 2023【特集】ポリオ 2023現在. 2023. Available from: https://id-info.jihs.go.jp/surveillance/iasr/44/522/article/010/index.html
  5. ワクチン安心相談窓口. ヒブ (Hib) ワクチン. Available from: https://www.vaccine4all.jp/files/news/news-1-71-1.pdf
  6. U.S. Centers for Disease Control and Prevention. DTaP (Diphtheria, Tetanus, Pertussis) Vaccine: What You Need to Know. 2021. Available from: https://www.leawoodpediatrics.com/storage/app/media/15month%20VIS%20sheets.pdf
  7. 厚生労働省. 5種混合ワクチンに関するQ&A. 2024. Available from: https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/yobou-sesshu/vaccine/dpt-ipv-hib/index.html
  8. Lee H, Choi UY, Kim KH, et al. Changes in vaccination practices among infants after the introduction of DTaP-IPV/Hib combination vaccines. Hum Vaccin Immunother. 2024;20(1):2343820. doi:10.1080/21645515.2024.2343820. Available from: https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC11035106/
  9. Choe YJ, Lee HJ. Immunogenicity and Safety of Childhood Combination Vaccines: A Systematic Review and Meta-Analysis. Vaccines (Basel). 2022;10(3):479. doi:10.3390/vaccines10030479. Available from: https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC8954135/
  10. Vesikari T, Lattanzi M, Sadorge C. DTaP-IPV-HB-Hib vaccine (Hexaxim): an update 10 years after first licensure. Expert Rev Vaccines. 2023;22(1):893-909. doi:10.1080/14760584.2023.2280236. Available from: https://www.tandfonline.com/doi/full/10.1080/14760584.2023.2280236
  11. 日本小児科学会. 【医療関係者用】日本小児科学会が推奨する予防接種スケジュール. 2025. Available from: https://www.jpeds.or.jp/uploads/files/20250523_vaccine_schedule.pdf
  12. 盛岡市. 四種混合(ジフテリア・百日せき・破傷風・不活化ポリオ). 2024. Available from: https://www.city.morioka.iwate.jp/kosodate/1002139/1002154/1029743.html
  13. 港区. 令和6年度予防接種Q&A(令和6年4月1日現在). 2024. Available from: https://www.city.minato.tokyo.jp/documents/146726/qandagokon.pdf
  14. 日本小児科学会. B-05 五種混合ワクチン. 2024. Available from: https://www.jpeds.or.jp/uploads/files/VIS_14kaitei20240405.pdf
  15. 日本医師会. 資料版 予防接種後副反応報告書 集計報告書(厚生労働省). 2014. Available from: https://www.med.or.jp/nichinews/n140420g.html
  16. 厚生労働省. 予防接種後副反応・健康状況調査検討会. 2013. Available from: https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000002tim0.html
  17. 今治市. 四種混合ワクチンの予防接種について. 2024. Available from: https://www.city.imabari.ehime.jp/kenkou/kodomo_yoboseshu/setumei_4kongo.pdf
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