子宮筋腫の危険な兆候5つと早期発見の要点:専門家による完全ガイド
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子宮筋腫の危険な兆候5つと早期発見の要点:専門家による完全ガイド

子宮筋腫(しきゅうきんしゅ)は、生殖年齢にある女性において最も一般的に見られる良性の腫瘍です1。日本の産婦人科領域では非常に馴染み深い疾患であり、30歳以上の女性の約20~30%、30歳から50歳の範囲では実に30~50%が少なくとも一つの筋腫を保有していると推定されています1。世界的に見ても、50歳までに最大80%の女性が子宮筋腫を発症する可能性があるという研究結果もあり2、この問題がどれほど多くの女性にとって身近であるかを示しています。JAPANESEHEALTH.ORG編集委員会は、この重要な健康問題について、読者の皆様が抱える不安や疑問を解消するため、科学的根拠に基づいた最も包括的で信頼性の高い情報を提供することを使命としています。

子宮筋腫は、子宮の壁を構成する平滑筋(へいかつきん)から発生し、その成長は女性ホルモンであるエストロゲンとプロゲステロンに依存しています2。このホルモン依存性という性質が、筋腫が生殖可能年齢の間に増大し、ホルモン濃度が低下する閉経後に縮小する傾向がある理由を説明しています2。しかし、注目すべきは、多くの筋腫は特に小さい場合、症状を引き起こさず(無症状)、健康診断などで偶然発見されることが多いという事実です2。それでも、約20~50%の女性は症状を経験し2、日本で治療を求める患者数は2005年と比較して3倍以上に増加しているという厚生労働省のデータもあります3。この増加は、女性の健康意識の向上、高解像度超音波検査のような診断技術の普及、そして晩婚化・晩産化という社会的傾向が複合的に影響していると考えられます4

子宮筋腫は基本的に良性ですが、それを軽視することは深刻な結果を招く可能性があります。一部の症状は生活の質を著しく低下させ、時には生命を脅かす危険な状態に発展することもあります。したがって、「危険な兆候」を早期に認識することは極めて重要です。本稿は、日本産科婦人科学会(JSOG)や日本産婦人科医会(JAOG)5、さらには米国産科婦人科学会(ACOG)6などの権威ある機関の最新の診療ガイドラインや、主要な医学雑誌に掲載された総説7に基づき、監修されています。我々の目的は、女性が自らの健康を守るための正確で、信頼でき、そして理解しやすい知識を提供することにあります。

この記事の科学的根拠

この記事は、入力された研究報告書で明示的に引用されている最高品質の医学的根拠にのみ基づいています。以下は、参照された実際の情報源と、提示された医学的ガイダンスとの直接的な関連性を含むリストです。

  • 日本産科婦人科学会(JSOG)および日本産婦人科医会(JAOG): この記事における子宮筋腫の診断、治療選択肢、経過観察に関するガイダンスは、これらの組織が発行した「産婦人科診療ガイドライン」5に基づいています。
  • 米国産科婦人科学会(ACOG): 症状のある子宮筋腫の管理に関する推奨事項、特に低侵襲治療の位置づけについては、ACOGの実践報告6を参考にしています。
  • The New England Journal of Medicine掲載論文: MRIガイド下集束超音波治療(MRgFUS)などの新しい治療法や、子宮筋腫と子宮肉腫の鑑別診断に関する詳細な医学的考察は、同誌の論文7に基づいています。
  • The Lancet掲載論文: 子宮筋腫の基本的な病態生理やホルモン依存性に関する記述は、同誌の総説8を根拠としています。
  • 厚生労働省: 日本国内における子宮筋腫の患者数の推移に関する統計データは、厚生労働省の患者調査3から引用しています。

要点まとめ

  • 子宮筋腫は生殖年齢の女性に非常に多い良性腫瘍ですが、約20~50%の女性で症状が現れ、生活の質を著しく低下させることがあります。
  • 「突然の激痛」「コントロール不能な大出血」「急激なお腹の張り」「重度の貧血症状」「急な排尿・排便困難」は、緊急医療を要する5つの危険な兆候です。
  • 過多月経、月経困難症、腹部圧迫感(頻尿・便秘)、腰痛なども重要な症状であり、これらが悪化する場合は早期の婦人科受診が推奨されます。
  • 筋腫の大きさよりも、子宮内での位置(特に粘膜下筋腫)が症状の重さを左右することが多く、診断には超音波検査やMRIが用いられます。
  • 治療法は、無症状の場合の経過観察から、薬物療法、子宮を温存する手術(筋腫核出術、UAEなど)、根治治療である子宮全摘術まで多岐にわたり、個人の症状や挙児希望に応じて選択されます。

見過ごしてはならない5つの危険な兆候

ここでは、単なる不快感にとどまらず、深刻な合併症の警告サインとなる症状に焦点を当てます。これらの兆候を認識し、迅速に行動することが、ご自身の健康を守る上で極めて重要です。

1. 兆候①:突然の、耐え難い腹痛・骨盤痛

この痛みは、通常の月経痛とは全く異なります。「大激痛」と表現されるほどの、極めて激しく耐え難い痛みが特徴です9。主な原因は、子宮の外側に茎(くき)を持ってぶら下がるように存在する「有茎漿膜下筋腫(ゆうけいしょうまくかきんしゅ)」の根元がねじれてしまう「茎捻転(けいねんてん)」です9。筋腫の茎がねじれると、筋腫への血流が遮断され、組織が壊死(えし)してしまいます9。また、大きな筋腫が変性(性質が変化すること)を起こす際にも激痛が生じることがあります10

なぜ危険なのか? 茎捻転を放置すると、壊死した組織が原因で、腹部全体に感染が広がる腹膜炎(ふくまくえん)を引き起こす可能性があります。これは生命を脅かす外科的緊急事態です9

取るべき行動: このような症状が現れた場合は、絶対に我慢せず、直ちに病院の救急外来を受診する必要があります9

2. 兆候②:コントロール不能な大量出血

子宮筋腫の最も一般的な症状は過多月経ですが、「危険な兆候」として警戒すべきは、「ボコボコと溢れるようなとんでもない量」と表現されるほどの出血です9。この症状は、子宮の内腔に突出する「粘膜下筋腫(ねんまくかきんしゅ)」で最も多く見られます10。臨床的な目安として、1時間ごとにナプキンを交換する必要がある、あるいはレバーのような大きな血の塊(凝血塊)が多量に出る場合は、異常な出血量と判断されます11

なぜ危険なのか? このような急激かつ大量の失血は、生命維持に必要な血液量を保てなくなる出血性ショックを引き起こす可能性があり、命に関わる状態です9

取るべき行動: これは救急事態です。めまい、立ちくらみ、極度の脱力感などを伴う場合は特に、救急車を要請することも含め、直ちに医療機関を受診してください12

3. 兆候③:急速な腹部の膨満と硬いしこり

子宮筋腫は時にスイカほどの大きさにまで成長することがあり12、妊娠しているかのように見える顕著な「ぽっこりお腹」の原因となります13。お腹を触ったときに、石のように硬い、あるいはゴツゴツした塊(硬いコブ)として感じられることがあります13。これは筋腫そのものが腹壁を圧迫している物理的な証拠です。

なぜ危険なのか? 筋腫の成長は通常緩やかですが、数週間から数ヶ月という短期間での「急速なサイズ増大」は、極めて重要な警告サインです14。特に、筋腫が縮小するはずの閉経後の女性において急速な増大が見られる場合は、非常に悪性度の高い稀な癌である「子宮肉腫(しきゅうにくしゅ)」の可能性が疑われます14

取るべき行動: 腹囲の急激な変化や、腹部に硬いしこりを新たに触知した場合は、速やかに婦人科を受診し、精密な画像診断を受ける必要があります13

4. 兆候④:重度の貧血に伴う症状

過多月経が慢性的に続くことは、子宮筋腫の顕著な特徴であり、鉄欠乏性貧血の直接的な原因となります15。軽度の貧血は倦怠感程度ですが、重度の貧血になると、めまい、息切れ、動悸、立ち上がった際のふらつきや失神(立ちくらみ)といった、より警戒すべき症状が現れます9。これは、体が主要な臓器へ十分な酸素を供給するために苦闘しているサインです16

なぜ危険なのか? 重度の貧血を治療せずに放置すると、心臓に大きな負担がかかり、心血管系の合併症を引き起こす可能性があります。また、日常生活の遂行を困難にし、生活の質を著しく損ないます9

取るべき行動: 倦怠感は見過ごされがちですが、動悸や息切れ、失神といった症状が出現した場合、貧血が深刻なレベルに達していることを示します。鉄剤の補充と出血原因の根本的な解決のため、緊急の医療評価が必要です16

5. 兆候⑤:急性の排尿・排便障害

大きな子宮筋腫は、隣接する臓器を物理的に圧迫します10。膀胱への圧迫は頻尿(ひんにょう)を12、直腸への圧迫は便秘を引き起こします12。これらの症状が「危険なレベル」にまでエスカレートした状態が、完全に尿が出せなくなる「急性尿閉(きゅうせいにょうへい)」や、腸閉塞を引き起こすほどの重度の便秘です2

なぜ危険なのか? 完全に排尿できない状態は、腎臓に損傷を与える可能性のある医学的緊急事態です。重度の腸閉塞もまた、深刻な医療問題です。これらの症状は、筋腫による圧迫効果が危機的なレベルに達したことを示唆します。

取るべき行動: 尿が全く出ない場合は、救急外来を受診する必要があります。また、圧迫症状が日に日に悪化している場合も、緊急性はなくとも、早めの婦人科受診を強く推奨します13

表1:5つの危険な兆候の概要

兆候 具体的な症状 考えられる原因 緊急である理由 取るべき行動
1. 激痛 下腹部や骨盤の突然の、刺すような、持続的な痛み 有茎筋腫の茎捻転9 組織壊死、腹膜炎のリスク9 直ちに救急外来を受診
2. 大量出血 1時間以内にナプキンが濡れきる、血が流れ出る、大きな血の塊が出る 粘膜下筋腫9 出血性ショックのリスク9 救急車の要請を検討し、緊急医療機関を受診
3. 急激な腹部膨満 数週間〜数ヶ月で腹囲が目に見えて増大、硬いしこりを触れる 筋腫の急成長 子宮肉腫(悪性腫瘍)の可能性14 直ちに婦人科を受診
4. 重度の貧血 動悸、息切れ、めまい、立ちくらみ、失神 慢性的な過多月経9 心臓への負担、失神による外傷リスク9 緊急で婦人科・内科を受診
5. 急な排尿・排便困難 完全に尿が出ない、極度に重い便秘 巨大筋腫による臓器圧迫10 腎臓障害、腸閉塞のリスク10 直ちに救急外来を受診

早期発見のための包括的症状チェックリスト

5つの緊急事態以外にも、生活の質に大きな影響を与え、医療相談のきっかけとなるべき一般的な症状が数多く存在します。このセクションは、女性がこれらのサインを認識し、深刻な事態に至る前に医療機関を受診する一助となることを目的としています。

ここで強調すべき重要な点は、症状の出方は筋腫の大きさよりも、その「位置」によって大きく左右されるということです。例えば、子宮の内腔に存在するわずか1~2cmの小さな粘膜下筋腫が、深刻な出血や不妊の原因となることがあります15。対照的に、子宮の外側にできた5~6cmの漿膜下筋腫は全く無症状であることも珍しくありません15。子宮の筋肉内にできる筋層内筋腫は、大きくなるにつれて出血や痛みを引き起こします17。この事実は、なぜ大きな筋腫を持つ一部の女性が無症状である一方、小さな筋腫を持つ他の女性が多くの苦痛を経験するのかという逆説を説明する、繊細かつ重要な病態理解のポイントです。

月経の異常

  • 過多月経:月経血量が異常に多く、頻繁なナプキンやタンポンの交換(例:1~2時間ごと)が必要15
  • 過長月経:月経期間が8日以上続く10
  • 不正出血:月経周期以外の時期に異常な出血がある12
  • 大きな血の塊:月経血にレバー状の大きな凝血塊が混じる18
  • 月経困難症の悪化:以前と比べて月経痛がひどくなる15
  • 月経周期の短縮:月経から次の月経までの間隔が通常より短くなる19

圧迫による症状

  • 下腹部の張り・圧迫感:月経期間外でも下腹部が重く、張った感じがする13
  • 腰痛:月経周期と無関係に、腰部に鈍い痛みや激しい痛みを感じる13
  • 泌尿器系の問題:頻尿、排尿困難、残尿感13。咳やくしゃみをした際の尿漏れ。
  • 便秘:筋腫が直腸を圧迫することによる排便困難、硬い便、残便感9

痛みに関する症状

  • 慢性的な骨盤痛:骨盤領域に持続的な痛みや重苦しさを感じる10
  • 性交時痛:性交時に膣の奥や下腹部に深い痛みを感じる14

生殖に関する問題

  • 不妊症または流産:特に粘膜下筋腫や大きな筋層内筋腫は、受精卵の着床を妨げたり、流産のリスクを高めたりすることがあります14

これらの症状のうち一つでも当てはまるものがあり、特にそれが新たに出現したか、徐々に悪化している場合は、正確な診断と適切なアドバイスのために婦人科医に相談してください。

医学的視点:診断プロセスと子宮肉腫の問題

診断プロセスを理解することは、患者の不安を和らげ、良性の子宮筋腫と稀な悪性の子宮肉腫を鑑別する臨床的な理由を明確にするのに役立ちます。

診断への道のり

  1. 問診と内診: 診断プロセスは、医師が詳細な病歴(症状、月経歴、妊娠歴など)を聴取し、内診を行うことから始まります。内診により、医師は子宮の増大や不規則な形状を触知し、筋腫の存在を推測することがあります12
  2. 第一選択の画像診断 – 超音波検査: 経膣超音波検査は、最初に行われるべき画像診断法です。筋腫の検出において非常に高い感度(90-99%)を持ち、そのサイズ、数、位置を特定することができます2
  3. 詳細な評価 – MRI検査: MRIはルーチンの検査ではありませんが、特定の状況下で極めて重要となります5。特に、筋腫のみを摘出する筋腫核出術の術前計画を立てる際5や、筋腫が巨大または多発していて超音波での評価が困難な場合7、そして最も重要なのが、子宮肉腫が疑われる場合です。
  4. 専門的な画像診断: 子宮腔に影響を与える粘膜下筋腫を鮮明に描出するために、子宮腔内に生理食塩水を注入しながら超音波検査を行うソノヒステログラフィーや、子宮鏡検査が行われることもあります10

子宮筋腫と子宮肉腫の鑑別診断

これは患者と医師双方にとって最大の懸念事項の一つです。核心的な事実として、子宮肉腫は稀な(筋腫と診断される症例の約0.5%)9、しかし非常に悪性度の高い癌です。重要なのは、子宮筋腫が癌に「変異」するのではなく、両者は最初から全く異なる病態であるという点です1。主な課題は、初期の画像診断では両者が非常に似て見えることがある点です。

肉腫を示唆する臨床的兆候:

  • 閉経後の急速な増大14
  • MRIでの特徴的な所見:腫瘍の境界が不明瞭、内部に出血や壊死の兆候がある、不均一な信号パターンなどは警告サインです15
  • 血液検査におけるLDH(乳酸脱水素酵素)の高値も補助的な指標となり得ます20

確定診断は通常、手術後の組織の病理検査を必要とします2。術前の生検は、確定的でないことが多く、癌細胞を拡散させるリスクがあるため標準的ではありません21。子宮肉腫の疑いは、治療方針を決定する上で重要な岐路となります。筋腫を小さく刻んで取り出すモルセレーションという手技は、もし疑われていなかった肉腫に用いると、腹腔内に癌細胞を拡散させ予後を著しく悪化させる可能性があります。そのため、臨床所見やMRIから肉腫が強く疑われる場合は、より安全な腫瘍学的アプローチとして、子宮を丸ごと摘出する手術が選択されます。これは、術前評価の重要性を強調するものです。

治療の選択肢:現代医療の全貌

子宮筋腫の治療は、症状のある場合にのみ行われるのが原則です2。無症状の筋腫は通常、介入を必要としません。治療法の選択は、症状、筋腫の特徴、年齢、そして将来の妊娠希望(妊孕性温存希望)などを基に、患者と医師が共同で決定する、高度に個別化されたプロセスです5

主な治療法

  • 経過観察:無症状または症状が非常に軽い女性が対象。婦人科での定期的な診察と超音波検査で、筋腫の大きさや症状の変化を監視します14
  • 薬物療法:筋腫をなくすものではなく、症状をコントロールすることが目的です。非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)による鎮痛、鉄剤による貧血治療、トラネキサム酸による経血量減少などがあります2。ホルモン療法(低用量ピル、黄体ホルモン放出IUD、GnRHアゴニスト/アンタゴニストなど)も出血や痛みのコントロールに有効です22
  • 子宮温存治療:
    • 子宮筋腫核出術(開腹、腹腔鏡、子宮鏡):子宮を温存し、筋腫のみを取り除く手術。将来妊娠を希望する女性にとっての「ゴールドスタンダード」です23。ただし、筋腫の再発リスクや、将来の妊娠時に帝王切開が必要になる可能性があります124
    • 子宮動脈塞栓術(UAE):筋腫を栄養する血管を塞ぎ、筋腫を縮小させるカテーテル治療。症状改善に非常に効果的ですが、妊娠への影響に関するデータが限られるため、挙児希望者への第一選択とはなりません23
    • 高周波アブレーション(RFA):高周波エネルギーによる熱で筋腫組織を焼灼・破壊する低侵襲治療です6
    • MRIガイド下集束超音波治療(MRgFUS):超音波を集束させて筋腫を加熱・破壊する非侵襲的治療法ですが、まだ普及は限定的です7
  • 根治治療:
    • 子宮全摘術:子宮全体を摘出する手術。筋腫と症状の再発を完全に防ぐ唯一の根治的な治療法です23。挙児希望がなく、症状が重い女性にとっての選択肢となります。卵巣を温存すれば、即時の閉経は避けられます24

表2:子宮筋腫の治療選択肢の包括的比較

治療の種類 方法 説明 最適な対象者 利点 欠点 妊孕性への影響
経過観察 定期的な監視 積極的な治療はせず、定期検診で様子を見る。 無症状または症状が非常に軽い女性。 介入リスクなし、非侵襲的。 症状が悪化、筋腫が増大する可能性。 直接的な影響なし。
薬物療法 ホルモン剤、鎮痛剤など 薬で出血、痛みなどの症状をコントロールする。 手術を避けたい女性、一時的な症状管理。 非侵襲的、子宮と妊孕性を温存。 筋腫は無くならない、副作用、中止後の再発。 温存可能。妊娠への橋渡しとして使用可。
子宮温存治療 筋腫核出術 手術で筋腫のみを摘出し、子宮は残す。 症状があり、将来子供を望む女性。 子宮と妊孕性を温存、筋腫の除去。 大きな手術、再発リスク、帝王切開の可能性。 妊孕性温存の最良の選択肢。
子宮温存治療 子宮動脈塞栓術(UAE) カテーテルで筋腫への血流を止め、縮小させる。 症状があり子宮温存を望むが、妊娠を優先しない女性。 低侵襲、症状緩和効果が高い。 術後の痛み、妊娠に関するデータが限定的。 妊娠希望者への第一選択としては推奨されない。
子宮温存治療 高周波アブレーション(RFA) 熱で筋腫組織を破壊する。 適切な筋腫を持ち、低侵襲治療を望む女性。 低侵襲、回復が早い、子宮温存。 特定の種類の筋腫にのみ適応。 妊娠に関するデータは限定的。
根治治療 子宮全摘術 手術で子宮全体を摘出する。 重い症状があり、挙児を完了または希望しない女性。 根治的治療、再発なし。 大きな手術、妊娠不可、子宮喪失。 妊娠能力の永久的な終了。

よくある質問

私の筋腫はがんに変わりますか?

いいえ、子宮筋腫は良性腫瘍であり、がんに変異することはありません。しかし、子宮肉腫と呼ばれる稀な癌が子宮筋腫と誤認されることがあるため、筋腫の急速な増大は慎重な評価を要する注意すべき兆候です1

筋腫が大きい場合、手術は必要ですか?

必ずしもそうではありません。治療の要否は、大きさだけでなく症状に基づいて判断されます。大きな筋腫でも無症状であれば、定期的な経過観察のみで十分な場合があります25。多くの女性が大きな筋腫を持っていても、介入なしで問題なく生活しています。

子宮筋腫があっても妊娠できますか?

多くの女性が妊娠可能です。しかし、筋腫、特に粘膜下筋腫や大きな筋層内筋腫は、受胎能力を妨げたり、流産やその他の妊娠合併症のリスクを高めたりする可能性があります14。妊娠を計画している場合は、医師と十分に話し合うことが重要です。

子宮を摘出したら、閉経してしまいますか?

卵巣も同時に摘出(卵巣摘除術)された場合にのみ、閉経します。子宮筋腫のための子宮摘出術のほとんどのケースでは、卵巣は温存されます。これは、手術後すぐに閉経期に入るわけではないが、月経はなくなることを意味します16

筋腫を縮小させる生活習慣や食事はありますか?

現在のところ、特定の食事やサプリメントが既存の子宮筋腫を縮小させるという強力な科学的根拠はありません。適正体重の維持やバランスの取れた生活習慣は、ホルモンバランスの健康全般に有益ですが、治療法とは見なされていません26

「経過観察」とは具体的に何をしますか?

積極的な治療を行わず、定期的な診察や超音波検査によって筋腫を監視し、急速に増大したり新たな問題を引き起こしたりしていないかを確認することを意味します5。これは無症状のケースにおいて安全かつ一般的なアプローチです。

結論

子宮筋腫はありふれた疾患であり、ほとんどの場合は管理可能です。知識は力です—ご自身の体と警告サインを理解することは、非常に重要です。たとえ些細な症状であっても、婦人科医に相談することをためらわないでください。医療専門家と緊密に連携することで、ご自身の健康状態、目標、そして生活の質に合わせた個別化されたケアプランを立てることができます。早期発見と適切な管理が、危険な合併症を防ぎ、健康な生活を送るための鍵となります。

免責事項本記事は情報提供のみを目的としており、専門的な医学的アドバイスを構成するものではありません。健康上の懸念がある場合、またはご自身の健康や治療に関する決定を下す前には、必ず資格のある医療専門家にご相談ください。

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