職場復帰後も母乳育児を続ける完全ガイド|法律・会社の制度・搾乳のコツまで徹底解説
産後ケア

職場復帰後も母乳育児を続ける完全ガイド|法律・会社の制度・搾乳のコツまで徹底解説

職場への復帰を目前に控え、「これまで通り母乳育児を続けたいけれど、仕事と両立できるだろうか」「職場で搾乳する場所はあるのか、周囲の理解は得られるのか」といった、大きな期待と同時に深い不安を抱えていらっしゃるのではないでしょうか。あなた一人で悩む必要はありません。日本の法律は働く母親の権利を守り、適切な知識と準備があれば、職場復帰後も母乳育児を続けることは十分に可能です。この記事は、あなたの不安に寄り添い、信頼できる情報を提供するためのお守りのような存在です。


この記事の科学的根拠

この記事は、引用元として明記された最高品質の医学的根拠にのみ基づいています。以下は、提示される医学的ガイダンスに直接関連する、参照された実際の情報源のリストです。

  • 世界保健機関(WHO)/国際連合児童基金(UNICEF): この記事における母乳育児の国際的な重要性に関する指針は、WHO/UNICEFの共同声明に基づいています。
  • 日本の厚生労働省・農林水産省: 搾乳した母乳の衛生的な取り扱いや保存方法に関する具体的な推奨事項は、これらの省庁が公開するガイドラインに基づいています。
  • 日本の法律(労働基準法・育児介護休業法): 育児時間や短時間勤務制度など、働く母親を支援する法的権利に関する記述は、これらの法律の条文に基づいています。
  • 日本小児科学会・日本助産師会: 母乳の医学的利点や具体的な授乳支援に関する専門的な見解は、これらの国内主要学術団体の報告書やガイドラインに基づいています。
  • 各種調査・研究論文: 職場復帰後の母乳育児の実態や継続要因に関するデータは、査読付き学術論文や信頼できる機関による調査報告書を引用しています。

要点まとめ

  • 日本の法律では、生後1年未満の子を育てる女性は1日2回、計1時間の「育児時間」を請求する権利が保障されています1
  • 職場復帰後も母乳育児を続ける女性の約4割が、本人の意思に加え、職場の協力が重要な要因であったと報告されています2
  • 「育休復帰支援プラン」3を活用し、復帰前に会社と搾乳時間や場所について具体的に話し合うことが円滑な両立の鍵です。
  • 搾乳した母乳の衛生管理は極めて重要です。厚生労働省や農林水産省のガイドラインに基づき、正しい保存・運搬方法を実践しましょう45
  • 心身のセルフケアも大切です。産後うつは特別なことではなく、誰にでも起こり得ます。不安な時は一人で抱え込まず、専門家や公的機関に相談してください6

職場復帰、でも母乳育児は諦めなくていい

職場復帰という大きな節目を迎え、キャリアの再開に意欲を燃やす一方で、愛する我が子との大切な母乳育児をどう継続していくか、多くの母親が悩みを抱えています。厚生労働省の2024年の調査によると、女性の育児休業取得率は80%を超え、多くの母親が育児のために一時的に職場を離れることが一般的になりました7。しかし、問題はその先、復帰後の両立です。

この記事では、そのようなあなたの不安に寄り添い、科学的根拠と日本の法律に基づいた、信頼できる情報を提供します。この記事を読み終える頃には、あなたは以下のことを手に入れているでしょう。

    • 法律で保障されたあなたの「権利」の具体的な内容
    • 職場と円滑に交渉し、協力体制を築くための実践的な方法

– 安全な母乳育児を続けるための衛生管理と日々のケア

  • 何よりも大切な、あなた自身の心と体の健康を守るための知識

 

さあ、一緒に、あなたらしい母乳育児と仕事の両立スタイルを見つけていきましょう。


第1章:なぜ今、働きながら母乳育児を続けるのか?

1.1. 世界が推奨する母乳育児の重要性(WHO/UNICEFの見解)

母乳育児の継続は、単なる個人的な選択ではありません。世界保健機関(WHO)と国際連合児童基金(UNICEF)は、一貫して母乳育児を強く推奨しています。2021年の共同声明では、生後6ヶ月までの完全母乳育児と、その後2歳かそれ以上までの母乳育児の継続が、子どもを栄養不良から守り、健やかな成長を促す上で極めて重要であると強調されています8。さらに2023年の声明では、世界の母乳育児率が48%に留まっている現状を指摘し、2030年までに70%に引き上げるという目標を掲げ、社会全体で働く母親を支援する必要性を訴えています9

日本国内でも、その重要性は広く認識されています。日本小児科学会は、母乳が赤ちゃんにとって最適な栄養源であるだけでなく、感染症を予防する免疫物質を豊富に含むこと、そしてアレルギー疾患の発症を抑制する可能性があることなどを報告しています1011。これらの科学的根拠が、多くの母親が困難な中でも母乳育児を続けたいと願う背景にあるのです。

1.2. 赤ちゃんとママの心をつなぐ、かけがえのない時間

医学的な利点に加え、授乳は赤ちゃんと母親の間に特別な絆を育む、かけがえのない時間です。肌と肌が触れ合うことで、赤ちゃんは安心感を得て、母親は愛情ホルモンとも呼ばれるオキシトシンの分泌が促されます。職場復帰によって赤ちゃんと離れる時間が増えるからこそ、この授乳の時間を大切にしたいと感じるのは、ごく自然な気持ちです。日本助産師会も、授乳支援においては母親の自己決定を尊重することを基本姿勢としており、母親の「続けたい」という意志を支えることの重要性を強調しています12


第2章:あなたの権利を知る:法律と制度を味方につける

職場復帰後の母乳育児を支える最も強力な味方の一つが「法律」です。漠然とした不安を抱える前に、まずは法律で何が保障されているのかを正確に理解しましょう。

2.1. 労働基準法が保障する「育児時間」とは?

働く母親の権利として、まず知っておくべきなのが労働基準法第67条で定められた「育児時間」です1

育児時間の基本(時間、回数、対象者)

生後1年に満たない赤ちゃんを育てている女性労働者は、会社に対して1日に2回、それぞれ少なくとも30分の育児時間を請求することができます。これは正社員だけでなく、パートタイムや契約社員など、全ての女性労働者に認められた権利です。

有給?無給?給与に関する注意点

育児時間中の給与をどう扱うかについては、法律に定めがありません。そのため、会社の就業規則によりますが、一般的には「ノーワーク・ノーペイの原則」に基づき、無給とされることが多いのが実情です13。しかし、企業によっては有給として認めている場合もあるため、事前に総務・人事部門に確認することが重要です。

柔軟な使い方:授乳、送迎、通院にも

「育児時間」という名称ですが、その使い道は授乳に限定されません。例えば、勤務時間の始めや終わりにまとめて1時間取得し、保育園への送迎時間を確保したり、赤ちゃんの通院に充てたりすることも可能です14。搾乳のために利用することはもちろん認められています。

2.2. 育児・介護休業法にある、その他の支援制度

育児時間を補完する形で、育児・介護休業法にも働く親を支える様々な制度が設けられています15

短時間勤務制度

3歳未満の子を育てる労働者が希望した場合、事業主は1日の所定労働時間を原則として6時間に短縮する制度を設けなければなりません。これにより、心身の負担を軽減し、育児との両立を図りやすくなります。

所定外労働(残業)の制限

3歳未満の子を育てる労働者が請求した場合、事業主は所定労働時間を超えて労働させてはなりません。これにより、予期せぬ残業による生活リズムの乱れを防ぐことができます。

2.3. 【重要】「育休復帰支援プラン」で会社と円滑に連携する

これらの法的権利を絵に描いた餅にしないために、厚生労働省が推奨しているのが「育休復帰支援プラン」の活用です3

育休復帰支援プランとは?

これは、従業員の円滑な育児休業の取得と職場復帰を支援するために、企業が個々の従業員と面談しながら作成する計画書です。特に中小企業では、このプランを策定・導入することで国から助成金が支給されるため、企業側にもメリットがあります16

このプランを使って搾乳時間や場所を交渉する方法

専門家からのアドバイス
育休からの復帰前面談は、あなたの要望を会社に伝える絶好の機会です。この際に、「育休復帰支援プラン」を用いて、「育児時間を利用して1日に2回、1回15分程度の搾乳時間を確保したい」「衛生面を考慮し、空いている会議室や更衣室の一角を搾乳スペースとして利用させてほしい」といった具体的な要望を伝え、プランに明記してもらうことが極めて重要です。口約束ではなく、計画書として文書で残すことで、復帰後のスムーズな協力を得やすくなります17


第3章:復帰前の準備:スムーズな移行のためのステップ

職場復帰を成功させるためには、計画的な準備が欠かせません。復帰の1〜2ヶ月前から、段階的に準備を進めましょう。

3.1. 復帰1〜2ヶ月前:会社・上司・同僚とのコミュニケーション

円滑な職場復帰は、良好な人間関係から始まります。早めにコミュニケーションをとることで、周囲の理解と協力を得やすくなります。

上司に伝えるべきこと(相談タイミングと内容)

復帰の少なくとも1ヶ月前には、上司と面談の機会を設けましょう。その際、復帰後の働き方(短時間勤務の希望など)と共に、母乳育児を継続したい意思と、そのために搾乳時間・場所の確保に協力をお願いしたい旨を誠実に伝えます。前述の「育休復帰支援プラン」をたたき台にすると、話を進めやすいでしょう。

同僚への協力依頼と情報共有のポイント

業務を引き継いでくれた同僚への感謝を伝えると共に、復帰後の働き方について情報共有しておくことが大切です。「搾乳のために少し席を外す時間がありますが、その分、集中して業務に取り組みます」といったように、前向きな姿勢を示すことで、周囲の理解を得やすくなります。

3.2. 保育園との連携:預ける前に必ず確認すべきこと

保育園の方針は、母乳育児の継続計画に大きく影響します。入園が決まったら、速やかに以下の点を確認しましょう。

冷凍母乳の受け入れポリシー(可否、条件)

保育園によっては、衛生管理上の理由から冷凍母乳の受け入れができない、あるいは厳しい条件(保存容器の指定など)を設けている場合があります17。事前に受け入れの可否と、具体的なルールを必ず確認してください。

哺乳瓶やミルクへの慣らしは必要?専門家の見解

助産師の榎本美紀氏によると、完全母乳で育った赤ちゃんは、哺乳瓶の乳首を嫌がることがあるため、復帰の1ヶ月くらい前から、搾乳した母乳を哺乳瓶で与える練習を始めるとスムーズです17。また、万が一の事態に備え、保育園で使われている粉ミルクを試しておくことも安心材料になります。

3.3. 赤ちゃんの準備:哺乳瓶やミルクに慣れてもらうコツ

最初は嫌がるかもしれませんが、焦らず、遊びの延長のような感覚で少しずつ試してみましょう。母親以外の、父親や他の家族が与えるとすんなり飲むこともあります。様々な形状の乳首を試してみるのも一つの方法です。

3.4. ママの準備:搾乳の練習とセルフケア

復帰前に、実際に搾乳器を使ってみて、自分に合った搾乳器を見つけ、スムーズに搾乳できるか練習しておくと安心です。また、復帰後の生活は心身ともに大きな負担がかかります。今のうちから、意識的に休息をとる、栄養バランスの取れた食事を心がけるなど、セルフケアの習慣をつけておきましょう。


第4章:実践編:職場での搾乳と母乳の管理

いよいよ職場復帰。ここからは、日々の実践で重要となる搾乳と母乳の管理について、具体的な方法と注意点を解説します。

4.1. 搾乳の基本:いつ、どこで、どうやって?

搾乳のタイミングと頻度の目安

搾乳のタイミングは、赤ちゃんが普段母乳を飲む時間帯に合わせるのが理想です。一般的には、3〜4時間おきに1回、10〜15分程度の搾乳が目安とされています18。これにより、母乳の分泌を維持し、乳房の張りを和らげることができます。

搾乳場所の確保:トイレ以外の選択肢を探す交渉術

メデラ株式会社が2015年に行った調査では、職場復帰後に母乳育児を継続した女性の約6割が「トイレ」で搾乳した経験があると回答しています19。これは非常に衝撃的な数字であり、衛生的にも精神的にも大きな問題です。トイレでの搾乳は、雑菌の繁殖リスクを高めるだけでなく、母親の尊厳を損なうものです20。復帰前の交渉で、鍵のかかる個室(空き会議室、医務室、更衣室など)を確保できるよう、粘り強く働きかけましょう。

手搾りと搾乳器、どちらを選ぶ?

短時間で効率よく搾乳したい場合は電動搾乳器が、手軽さや静音性を重視するなら手動搾乳器や手ціが適しています。それぞれの長所と短所を理解し、職場の環境や自分のライフスタイルに合ったものを選びましょう。

4.2. 衛生管理の徹底:安全な母乳を届けるために

搾乳した母乳は、赤ちゃんが口にするものです。衛生管理には細心の注意を払いましょう。

搾乳前の手洗いと器具の洗浄

搾乳前には必ず石鹸で丁寧に手を洗い、使用する搾乳器や保存容器が清潔で乾燥していることを確認します。これは、食中毒の原因となる細菌から赤ちゃんを守るための基本です5

厚労省・農水省推奨の母乳保存方法(冷蔵・冷凍)

搾乳した母乳の保存期間については、複数の公的機関から指針が出ていますが、安全性を最優先に考えることが重要です。以下の表を参考に、最も厳しい基準で管理することをお勧めします。

保存方法 温度 保存期間の目安 主な注意点 情報源
冷蔵保存 4℃以下 24時間以内 ドアポケットなど温度が変化しやすい場所は避ける。 農林水産省5
冷凍保存 -18℃以下 約3ヶ月 解凍後の再冷凍は厳禁。電子レンジでの解凍は不可(均一に解凍できず、栄養素が破壊される恐れ)。 厚労省研究班4

職場から自宅への安全な持ち帰り方(保冷バッグ活用法)

搾乳した母乳は、保冷剤を入れた保冷バッグやクーラーボックスで保管・運搬します。これにより、細菌の増殖を抑え、母乳の品質を保つことができます18

4.3. よくあるトラブルと対策

おっぱいが張って痛い(乳腺炎の予防と対処)

搾乳の間隔が空きすぎると、乳房が張って痛みを感じたり、乳腺炎になったりすることがあります。できるだけ決まった時間に搾乳することを心がけ、張りが強い場合は少し搾乳して圧を抜きましょう。痛みやしこり、発熱などが見られる場合は、速やかに産婦人科や助産院に相談してください21

搾乳量が減ってきた

ストレスや疲労、水分不足は母乳の分泌量に影響します。搾乳量が減ってきたと感じたら、まずは十分な休息と水分補給を心がけましょう。また、赤ちゃんの写真を見ながらリラックスして搾乳すると、母乳の出が良くなることがあります。


第5章:心と体のセルフケア:自分を大切にすることも仕事

母親が心身ともに健康であってこそ、仕事と育児の両立は成り立ちます。自分自身をケアすることを、決して後回しにしないでください。

5.1. 母親の栄養と休息:母乳の質と自身の健康のために

母乳は母親の血液から作られます。特定の食品が母乳の質を劇的に変えることはありませんが、バランスの取れた食事は母親自身の健康維持に不可欠です22。授乳中は水分も失われやすいので、意識的に水分を補給しましょう。また、睡眠不足は心身の健康を損なう最大の要因です。夜間の授乳はパートナーと協力し、少しでもまとまった睡眠時間を確保する工夫をしましょう。

5.2. 産後うつは特別なことではない:サインに気づき、助けを求める

職場復帰による環境の変化やプレッシャーは、母親のメンタルヘルスに大きな影響を与えることがあります。授乳期間が短いことが産後うつのリスクを高める可能性を示唆する研究報告もあります11。気分が落ち込む、何事にも興味が持てない、涙もろくなる、食欲がない、眠れないといったサインが2週間以上続く場合は、産後うつの可能性があります。

産後うつのチェックリスト

  • わけもなく悲しくなったり、不安になったりする。
  • これまで楽しめていたことが楽しめない。
  • 疲れやすく、気力がない。
  • 自分を責めたり、罪悪感を感じたりする。
  • 集中力がなく、物事を決められない。

どこに相談すればいい?(保健所、専門医療機関)

産後うつは、本人の気力だけでは解決できない医学的な問題です。一人で抱え込まず、ためらわずに専門家の助けを求めてください。お住まいの地域の保健所や精神保健福祉センター、かかりつけの産婦人科、心療内科などで相談できます。また、休職からの復帰を支援する専門的な「リワークプログラム」23など、社会的な支援制度もあります。

5.3. パートナーシップ:ワンオペ育児を避けるために

母親一人に育児と家事の負担が集中する「ワンオペ育児」は、心身の健康を蝕む大きな原因となります。パートナーとの協力体制は、母乳育児を継続する上でも不可欠です。

父親の育児参加の重要性(男性育休の現状)

近年、男性の育児休業取得率は急速に上昇しており、2024年の厚生労働省の調査では過去最高の30%を超えました24。これは、育児における父親の役割が社会的に重要視されてきている証拠です。夜間の授乳を交代する、搾乳した母乳を父親が与えるなど、具体的な役割分担が母親の負担を大きく軽減します。

家事・育児の分担を話し合う

復帰前に、家事や育児の分担についてパートナーと具体的に話し合い、お互いの役割を明確にしておきましょう。「言わなくても分かってくれるはず」という期待は禁物です。感謝の気持ちを伝え合いながら、チームとして育児に取り組む姿勢が大切です。


よくある質問

Q1. 育児時間中に給料は支払われますか?

法律上、育児時間中の給与支払い義務はなく、多くの企業では無給として扱われています。ただし、企業の就業規則によっては有給の場合もありますので、必ずご自身の会社の総務・人事部門にご確認ください13

Q2. 職場で搾乳する場所がありません。どうすればいいですか?

まず、上司に相談し、衛生的なプライベート空間(鍵のかかる会議室、更衣室、医務室など)の確保を依頼することが第一歩です。「育休復帰支援プラン」3などの制度を活用し、会社の義務として対応を求めましょう。トイレでの搾乳は衛生的・精神的に推奨されません20

Q3. 冷凍母乳を保育園が受け入れてくれません。

保育園の方針は様々であり、残念ながら全ての園で冷凍母乳が受け入れられるわけではありません17。この場合、日中は粉ミルクを利用し、在宅中や休日には母乳を与える「混合栄養」という選択肢も考えられます。最も大切なのは、母親が罪悪感を抱かず、親子にとって最適な方法を見つけることです。地域の助産師などに相談してみるのも良いでしょう。

Q4. 母乳育児を続けると、夜泣きがひどくなりませんか?

夜泣きの原因は様々であり、母乳育児だけが直接の原因であるという科学的根拠は明確ではありません。母乳は消化が良いため、ミルクに比べて授乳間隔が短くなる傾向はあります。しかし、夜間の授乳は母親と赤ちゃんの絆を深める大切な時間でもあります。パートナーと協力して対応するなど、負担を軽減する工夫を考えましょう。


結論:自信を持って、あなたらしい両立スタイルを

職場復帰後の母乳育児の継続は、決して簡単な道ではありません。しかし、この記事で解説したように、日本の法律や社会制度はあなたの強い味方です。正しい知識を身につけ、計画的に準備し、周囲の協力を得ることで、仕事と育児を両立させることは十分に可能です。四国大学の研究によると、職場復帰1ヶ月後も母乳育児を継続している女性は約4割にのぼり、その継続には職場の協力や人的環境が大きく関わっていることが示唆されています2

完璧を目指す必要はありません。時にはミルクの力を借りる「混合栄養」も、素晴らしい選択肢の一つです。何よりも大切なのは、あなたが心身ともに健康で、笑顔で赤ちゃんと向き合えること。この記事が、あなたが自信を持って、あなたらしい両立のスタイルを築くための一助となることを心から願っています。

もし困難に直面したときは、一人で抱え込まず、かかりつけ医や地域の助産師、そして以下に示す公的な相談窓口に、ためらわずに助けを求めてください。

専門家や公的機関への相談窓口一覧

  • お住まいの地域の保健所・保健センター: 育児に関する全般的な相談が可能です。
  • 日本助産師会: ウェブサイトを通じて、お近くの助産院や相談窓口を探すことができます。
  • 厚生労働省「こころの耳」: 働く人のメンタルヘルスに関する相談窓口です。
免責事項本記事は、情報提供のみを目的としており、専門的な医学的アドバイスを構成するものではありません。健康に関する懸念や、ご自身の健康や治療に関する決定を下す前には、必ず資格のある医療専門家にご相談ください。

参考文献

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  2. 大坂美穂, 谷岡ルミ子, 中野あけみ. 出産後職場復帰した女性の母乳育児の実態と 母乳育児継続の関連要因. 四国大学紀要. 2023;61:23-32. Available from: https://shikoku-u.repo.nii.ac.jp/record/2000055/files/%E5%87%BA%E7%94%A3%E5%BE%8C%E8%81%B7%E5%A0%B4%E5%BE%A9%E5%B8%B0%E3%81%97%E3%81%9F%E5%A5%B3%E6%80%A7%E3%81%AE%E6%AF%8D%E4%B9%B3%E8%82%B2%E5%85%90%E3%81%AE%E5%AE%9F%E6%85%8B%E3%81%A8%E6%AF%8D%E4%B9%B3%E8%82%B2%E5%85%90%E7%B6%99%E7%B6%9A%E3%81%AE%E9%96%A2%E9%80%A3%E8%A6%81%E5%9B%A0.pdf
  3. 厚生労働省. 育休復帰支援プラン策定マニュアル [インターネット]. [引用日: 2025年7月23日]. Available from: https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/000344772.pdf
  4. 厚生労働省科学研究費補助金成育疾患克服等次世代育成基盤研究事業. 冷凍母乳を選択された場合の母親への説明 [インターネット]. [引用日: 2025年7月23日]. Available from: https://mhlw-grants.niph.go.jp/system/files/2012/123031/201219015A/201219015A0007.pdf
  5. 農林水産省. 赤ちゃんを守るために [インターネット]. [引用日: 2025年7月23日]. Available from: https://www.maff.go.jp/j/syouan/seisaku/foodpoisoning/baby.html
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  9. 公益社団法人 日本WHO協会. 世界母乳育児週間 (ユニセフ、WHO共同声明) [インターネット]. 2023. [引用日: 2025年7月23日]. Available from: https://japan-who.or.jp/news-releases/2308-3/
  10. 日本小児科学会. 小児科医と母乳育児推進 [インターネット]. [引用日: 2025年7月23日]. Available from: https://www.jpeds.or.jp/uploads/files/saisin_110916.pdf
  11. 日本小児科学会. 新しい授乳・離乳の支援ガイドについて [インターネット]. [引用日: 2025年7月23日]. Available from: http://www.jpeds.or.jp/uploads/files/shokuiku_12-1.pdf
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