線維筋痛症とは|全身の痛みの原因・症状と何科を受診すべきか
この記事でわかること
目次
結論から言うと:
この症状、いつ受診すべきか確認しますか?
回答に合わせて必要な質問だけを表示します。診断は行いません。
症状はいつから続いていますか?
回答により質問数が変わります・途中でいつでも記事に戻れます
線維筋痛症は、体のあちこちに慢性的な痛みが3か月以上続く病気で、女性に多く、有病率はおよそ2〜4%と報告されています。[1]
米国国立医学図書館(NLM)のMedlinePlusによると、血液検査やレントゲン、MRIでは異常が見つからないのが特徴です[2]。米国国立関節炎・筋骨格・皮膚病研究所(NIAMS)は、痛みの原因は関節や筋肉そのものではなく、脳や神経が痛みの信号を過敏に処理してしまう状態にあると説明しています[1]。何科を受診すべきか迷う方が多いですが、まずはリウマチ科・膠原病内科、または内科・整形外科で相談し、他の病気を除外してから診断を進めるのが一般的な流れです。
要点まとめ:
- 米国国立医学図書館のMedlinePlusによると、線維筋痛症は体の広範囲に3か月以上続く痛みが中心症状。全身のこわばり・強い倦怠感・不眠を伴うことが多い[2]
- 同図書館のMedlinePlusは、血液検査・画像検査で「異常なし」でも、痛みが本物であることに変わりはないとしている[2]
- 米国国立関節炎・筋骨格・皮膚病研究所(NIAMS)によると、原因ははっきり解明されていないが、脳の痛み処理システムの変化が関わっているとみられる[1]
- 同図書館のMedlinePlusによれば、根治する薬はまだないが、症状を和らげる治療法(薬物療法・運動療法・認知行動療法)は複数ある[2]
- 今までにない強い痛みの急な悪化、しびれの拡大、原因不明の体重減少や発熱を伴う場合は、別の病気を疑い早めに受診を
編集方針:JHO編集部がAIツールの支援を受け、米国国立関節炎・筋骨格・皮膚病研究所(NIAMS)、米国国立医学図書館MedlinePlus、米国リウマチ学会(ACR)、日本線維筋痛症学会・AMED線維筋痛症研究班「線維筋痛症診療ガイドライン2017」、Minds ガイドラインライブラリ、厚生労働省など公的機関・学会の一次情報と照合して作成しました。最終確認は人の目で行っています。医師による個別診断の代わりにはなりません。数値・分類はガイドライン改定により変わることがあります(2026年8月時点の公開情報に基づく)。
更新日:2026年8月10日。誤りや古い情報にお気づきの際はお知らせください。事実を確認のうえ訂正します。
線維筋痛症とは?痛みが起きる仕組み
線維筋痛症(せんいきんつうしょう)は、体の広い範囲に慢性的な痛みが起こる病気です。米国国立関節炎・筋骨格・皮膚病研究所(NIAMS)は、同疾患を「体全体に痛みと圧痛を引き起こす慢性の疾患で、疲労感や睡眠障害を伴う」と説明しています[1]。関節そのものが腫れたり壊れたりする関節リウマチとは異なり、この病気は関節や筋肉の組織そのものに炎症や損傷があるわけではありません[3]。
NIAMSによると、線維筋痛症の患者は痛みに対する感受性が高まっており、脳の画像研究では、痛みの信号を伝えたり受け取ったりする神経経路の働き方が変化していることを示す証拠が見つかっています[1]。つまり、痛みの発生源は「傷ついた組織」ではなく、「痛みの信号を処理する脳・神経のシステムが過敏になっている状態」にあると考えられているのです。米国国立医学図書館のMedlinePlusも、この仕組みのため、レントゲンやMRI、通常の血液検査を行っても、痛みの原因となる異常が映らないことがほとんどだと説明しています[2]。
米国リウマチ学会(ACR)は、本症は炎症性の病気でも自己免疫疾患でもないとしたうえで、神経系の関与が示唆されており、セロトニンやノルアドレナリンといった脳内の神経伝達物質のバランスの乱れが、痛み刺激への反応の変化に関わっている可能性があると説明しています[3]。
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これは診断ではありません。入力された数値を日本高血圧学会の血圧値の分類(高血圧の基準は診察室 140/90mmHg以上・家庭 135/85mmHg以上)に当てはめて「受診の目安」を機械的に示すもので、医師の診察に代わるものではありません。日本高血圧学会「高血圧管理・治療ガイドライン2025」では、降圧目標は年齢によらず診察室 130/80mmHg未満・家庭 125/75mmHg未満とされています。脈拍の目安は学会の分類ではなく一般的な参考範囲です。
同症になりやすい人・原因とリスク要因
線維筋痛症は誰にでも起こり得ますが、女性のほうが男性より多く診断されており、ACRは有病率をおよそ2〜4%としています[3]。同研究所(NIAMS)によると、年齢を問わず子どもにも起こり得ますが、多くは中年期に発症し、加齢とともに発症リスクは高まる傾向があります[1]。
NIAMSは、次のような病気や状態を持つ人は同疾患を併発しやすいと指摘しています[1]。
| 併存しやすい病気・状態 | 関連の考え方 |
|---|---|
| 関節リウマチ | 慢性の痛みを伴う病気を持つ人はこの病気を合併しやすい[1] |
| 全身性エリテマトーデス(ループス) | 同上 |
| 強直性脊椎炎 | 同上 |
| 変形性関節症 | 同上 |
| うつ病・不安症 | 気分障害を持つ人はリスクが高い傾向[1] |
| 慢性的な腰痛・過敏性腸症候群 | 慢性疼痛を伴う病気との併発が多い[1] |
出典:米国国立関節炎・筋骨格・皮膚病研究所(NIAMS)「Fibromyalgia」(2024年5月改訂)[1]
また、この病気は家族内で複数人が発症する傾向があり、特定の遺伝子が関わっている可能性が指摘されています。ただし、家族歴がない人にも発症するため、遺伝要因だけでは説明できません[1]。NIAMS研究所は、環境要因(非遺伝的な要因)も発症リスクに関わるとみられ、痛みを伴う病気にかかることや、不安・うつといった心の健康問題が引き金になり得るとしています[1]。
本症の症状 — 痛み以外に何が起こるか
NIAMSがまとめる主な症状は次のとおりです[1]。
| 症状の分類 | 具体的な内容 |
|---|---|
| 中心となる3症状 | 体の広範囲・複数箇所にわたる慢性の痛み(腕・脚・頭・胸・腹・背中・臀部など)/強い倦怠感/不眠 |
| 痛みの性質 | うずくような、焼けるような、ズキズキするような痛みと表現されることが多い |
| そのほかの症状 | 筋肉・関節のこわばり/触れると痛い(圧痛)/手足のしびれ・ピリピリ感/集中力や記憶力の低下(「フィブロフォグ」と呼ばれる)/光・音・匂い・温度への過敏/腹部膨満感や便秘などの消化器症状 |
出典:NIAMS「Fibromyalgia」(2024年5月改訂)[1]/米国リウマチ学会(ACR)「Fibromyalgia」[3]
日本線維筋痛症学会・AMED線維筋痛症研究班のガイドラインが示すSS(症状スコア)の評価項目には、筋肉痛・過敏性腸症候群・疲労感や思考力の低下・頭痛・腹痛や腹部のけいれん・しびれや刺すような痛み・めまい・睡眠障害・気分の落ち込み・便秘・嘔気・神経質・下痢・口の渇き・耳鳴り・胸痛・視覚の変化・あざができやすい・抜け毛・頻尿・排尿痛・膀胱のけいれんなど、痛み以外の全身症状が幅広く含まれています[5]。これらは「気のせい」で片づけられる症状ではなく、同症の症状評価の一部として国際的な診断基準にも組み込まれている項目です。
ACRも、本症の症状は人によって異なるとしたうえで、最も多い症状は関節を含む体の広い範囲の痛みであり、強い疲労感と睡眠の問題も一般的だとしています。夜にしっかり眠っても、朝すっきりしないと感じる人が多いのが特徴です[3]。米国国立医学図書館MedlinePlusは、頭痛(片頭痛を含む)や、顎関節症(TMJ)による顔や顎の痛みを併発しやすい点も挙げています[2]。
他の病気の可能性を考えて早めに受診したいサイン
- 今まで感じたことのない強さの痛みが急に始まった、または急激に悪化した
- 体の片側だけのしびれ・脱力など、神経の障害を思わせる症状が新たに出た
- 原因不明の発熱、体重減少、寝汗を伴う
- 関節が明らかに腫れている、熱を持っている(米国リウマチ学会ACRは、同疾患そのものでは関節の腫れは起きないとしている[3])
この病気そのものは命に関わる病気ではありませんが、上記のような症状は関節リウマチ・全身性エリテマトーデス・甲状腺の病気など、別の治療が必要な病気のサインである可能性があります。自己判断せず医療機関で相談してください。
線維筋痛症の診断の進み方 — なぜ「検査で異常なし」でも診断できるのか
NIAMSによると、本症の診断は主に「体全体の痛み」と、それに伴う他の症状の有無に基づいて行われます。同研究所(NIAMS)によれば、現時点では同症を直接判定できる特有の血液検査や画像検査は存在しません[1]。痛みと疲労という中心症状は他の多くの病気とも共通するため、NIAMS研究所は、医師がまず他の病気の可能性を除外していく形で診断を進めると説明しています[1]。
同研究所の資料によると、具体的には次のような流れで診断が進みます[1]。
| ステップ | 内容 |
|---|---|
| ①問診 | 痛みの場所・強さ・続いている期間、強い疲労感や思考力の問題があるか、他に併発している病気がないかを確認 |
| ②身体診察 | 関節を診察し、関節リウマチや全身性エリテマトーデスなど、別の病気の兆候がないかを確認 |
| ③血液・画像検査 | 線維筋痛症そのものを診断するためではなく、他の病気を除外する目的で行われる |
出典:NIAMS「Fibromyalgia: Diagnosis, Treatment, and Steps to Take」[1]
ACRも同様に、血液検査やレントゲンで異常が出ないことは、痛みの原因が甲状腺の病気や炎症性の病気ではないことを確認するために有用であり、同疾患そのものを否定するものではないと米国リウマチ学会は説明しています[3]。「検査で異常が見つからない=気のせい」ではない、という点は、この病気の患者にとって特に重要な理解です。
MedlinePlusは、線維筋痛症の診断が難しい理由として、決め手となる単独の検査が存在しないことに加え、痛みと疲労という中心症状が他の多くの病気と共通することを挙げています。そのため、診断までに複数の医療機関を受診することになる人も少なくないと同図書館のMedlinePlusは指摘しています。医師は他の病気の可能性を一つずつ除外していく「鑑別診断」という進め方で診断を行います[2]。同図書館のMedlinePlusはまた、本症とその治療に詳しくない医療者もいるため、同症の診療経験がある医師・医療チームを受診することを勧めています[2]。
治療法 — 薬物療法・運動療法・認知行動療法を組み合わせる
NIAMS研究所によると、線維筋痛症を治す治療法は現時点ではありません。そのため治療は、症状を和らげ生活の質を保つことを目標に進められます[1]。NIAMSは、運動療法などの身体を動かす治療、心理・行動療法、薬物療法を組み合わせるのが一般的だとしています[1]。
薬物療法
ACRによると、同疾患の治療薬として米国FDAが承認しているのは、デュロキセチン(商品名Cymbalta)、ミルナシプラン(商品名Savella)、プレガバリン(商品名Lyrica)の3種類です。米国リウマチ学会の説明では、デュロキセチンとミルナシプランは脳内の神経伝達物質を調整して広範囲の痛みを和らげ、プレガバリンは過敏になった神経細胞の働きを抑える薬です[3]。同学会はこのほか、アミトリプチリンやシクロベンザプリンなどの抗うつ薬・筋弛緩薬が使われることもあるとしています[3]。NIAMSも、痛みを緩和し睡眠を改善する目的で、複数の種類の抗うつ薬や抗けいれん薬が処方されることがあると説明しています。NIAMS研究所によれば、抗けいれん薬は脳へ痛みの信号が伝わる働きを妨げることで痛みや睡眠を改善するとされます[1]。一方、この病気は組織の炎症を伴わないため、同研究所は一般的な抗炎症鎮痛薬(NSAIDs)は効果が乏しいとしています[1]。ACRは、オピオイド(医療用麻薬性鎮痛薬)や睡眠薬のゾルピデムは、線維筋痛症の症状治療には推奨されないとしています[3]。
運動療法・生活の工夫
ACRは、運動が最も効果的な治療法の一つであるとし、ヨガ、太極拳など体への負担が少ない有酸素運動を勧めています。米国リウマチ学会によれば、鍼治療、整体、マッサージが助けになる場合もあります[3]。同学会は、運動を始める際は無理をせず、少しずつ強度を上げていくことが大切だとしています[3]。
心理・行動療法
NIAMSは、痛みに対する考え方を変えることを目指す認知行動療法(CBT)が、特に他の治療法と組み合わせた場合に有効だとしています。NIAMS研究所によると、個別のカウンセリングでもグループでも実施でき、その他の心理カウンセリングも助けになることがあります[1]。ACRも、心理療法はストレスや不安の管理に役立つとしており、米国リウマチ学会は就寝1時間前は食事を控える、毎日同じ時間に寝る、就寝前はスマートフォンなどの画面を見ないといった睡眠習慣の改善を勧めています[3]。
ペース配分と補完療法
MedlinePlusは、本症の症状管理では「ペース配分(pacing)」の考え方が重要だと説明しています。一度に活動しすぎると症状が悪化することがあるため、体を動かすことと休息のバランスを取りながら、少しずつ活動量を増やしていく必要があると同図書館のMedlinePlusはしています。すでに活発に体を動かす習慣がない場合は、理学療法士と相談しながら、自分に合った運動計画を立てることも勧められています[2]。
また、マインドフルネス瞑想、バイオフィードバック(体の機能を電子機器で計測し、呼吸や心拍などを自分でコントロールできるよう学ぶ方法)、ヨガや太極拳などの運動療法、マッサージ、鍼治療といった補完療法が症状の助けになったという人もいます。ただし、MedlinePlusはこれらの効果を裏づけるにはさらなる研究が必要だとしたうえで、試す場合は事前に主治医に相談するよう勧めています[2]。
日常生活での工夫 — セルフケアが症状管理の土台になる
ACR(米国リウマチ学会)は、同症の症状を管理し生活の質を保つうえで、セルフケアが重要だとしています。健康的な生活習慣は、痛みを軽くし、睡眠を改善し、倦怠感を和らげる助けになるとされます[3]。具体的には、次のような工夫が挙げられています。
| 工夫の分野 | 具体的な内容 |
|---|---|
| 運動 | ウォーキングや水泳、特にストレッチやヨガはこの病気の患者に適している。最初は無理をせず、少しずつ強度を上げる[3] |
| 日常の活動量 | エレベーターの代わりに階段を使うなど、日常の動作に「動く機会」を増やす[3] |
| ストレス対策 | 深呼吸・瞑想・マインドフルネスがストレスの軽減に役立つ[3] |
| 睡眠習慣 | 就寝1時間前は食事を控える、毎日同じ時間に就寝する、就寝前は画面を見ない、といった規則正しい睡眠習慣を整える[3] |
| 目標設定 | 症状管理は時間がかかりやすいプロセスであるため、一度に多くを求めず、小さな目標を積み重ねていく[3] |
出典:米国リウマチ学会(ACR)「Fibromyalgia」(2025年2月更新)[3]
同疾患と関節リウマチ・他の病気との違い
体のあちこちが痛む病気は複数あり、この病気と混同されやすいのが関節リウマチです。両者は次の点で異なります。
| 比較項目 | 線維筋痛症 | 関節リウマチ |
|---|---|---|
| 組織の炎症・損傷 | 炎症性・自己免疫性の病気ではない[3] | 関節に炎症があり、関節の組織そのものが損傷し得る |
| 血液検査・レントゲン | 異常が見つからないことが多い[2] | 炎症の値の上昇や関節の変化が見られることが多い |
| 痛みが起こる主な仕組み | 脳・神経が痛みの信号を過敏に処理する状態[1] | 関節そのものの炎症 |
| 関節の腫れ | 通常は起こらない[3] | 腫れ・熱感を伴うことが多い |
この2つの病気は併発することも珍しくなく、NIAMSも、関節リウマチなど痛みを伴う病気を持つ人は本症を合併しやすいと指摘しています[1]。そのため、痛みの原因がどちらか一方だけとは限らず、専門医による見極めが必要になります。
日本の有病率と診断基準の変遷 — ACR2016年基準とは
日本線維筋痛症学会と日本医療研究開発機構(AMED)の線維筋痛症研究班がまとめた「線維筋痛症診療ガイドライン2017」は、わが国の有病率について、欧米のこれまでの報告と同様に人口の1.7〜2.1%と比較的頻度の高い疾患だとしています[4]。同ガイドラインによると、厚生労働省の研究班が2003年に行った全国医療機関調査では12歳以上人口のおよそ1.7%(推計約200万人)、2011年に行われたインターネット調査(20歳以上13万8千人を対象、回答者2万407人)では2.1%という結果が報告されており、日本でも同症は決してまれな病気ではないとされています[4]。
診断基準は、圧痛点を医師が指で押して数える方法から、患者自身の症状評価を重視する方法へと変わってきた経緯があります。Minds ガイドラインライブラリが公開する同ガイドラインの解説によると、1990年の米国リウマチ学会(ACR)分類基準は、体の左右・上下にわたる全身の痛みに加え、あらかじめ決められた18か所の圧痛点のうち11か所以上に指で4kgの圧力をかけて痛みを認めることを条件としていました[5]。この方法は医師の触診の熟練度によって結果がばらつきやすいという課題があったため、2010年にACRは、痛みの広がりを示すWPI(Widespread Pain Index)と、疲労感・起床時の不快感・認知機能の問題などを点数化するSS(Symptom Severity)を組み合わせた予備基準を提案しました[5]。
2016年には、Wolfeらによってさらに改定が加えられ、①WPIが7以上かつSSが5以上、またはWPIが4〜6かつSSが9以上、②体を5領域に分けたときに4領域以上に痛みがあること、③少なくとも3か月間症状が続いていること、④他の疾患の存在で痛みを十分に説明できないこと、という4つの条件をすべて満たす場合にこの病気と判定する方式になりました[5]。この基準は「線維筋痛症でないことを証明する」ためのものではなく、他の病気を除外しながら経過を見ていくための目安である点は、NIAMSやACRの患者向け説明とも共通しています[1]。
| 基準 | 主な考え方 | 特徴 |
|---|---|---|
| 1990年 ACR分類基準 | 全身の痛み+18か所中11か所以上の圧痛点 | 医師が指で圧痛点を触診。触診の熟練度で結果がばらつきやすい[5] |
| 2010年 ACR予備基準 | WPI(痛みの部位数)+SS(症状スコア) | 圧痛点の触診なしで、問診票による評価が可能に[5] |
| 2016年 改定基準(Wolfeら) | WPI・SSに加え、全身5領域中4領域以上の痛み・3か月以上の持続・他疾患の除外を明記 | 現在、国際的に広く使われている基準[5] |
出典:日本線維筋痛症学会・AMED線維筋痛症研究班「線維筋痛症診療ガイドライン2017」[4]/Minds ガイドラインライブラリ「線維筋痛症診療ガイドライン2017」[5]
なお、診断基準を満たすかどうかの判定には、医師による問診と診察が必要です。市販のセルフチェックやインターネット上の簡易診断だけで「線維筋痛症です」と自己判断することは避け、気になる症状がある場合はリウマチ科・膠原病内科など専門的な知識を持つ医療機関を受診してください。
この基準は、あくまで「典型的な本症をどう見分けるか」という研究・診療上の目安であり、基準を1点でも満たさなければ治療が受けられない、という意味ではありません。日本線維筋痛症学会のガイドラインも、実際の臨床現場では、基準を厳密に満たさない場合でも、痛みの性質や経過、他の病気の有無を総合的に判断して治療方針が決められることを前提としています[4]。基準の数字だけにとらわれず、痛みや倦怠感がつらいと感じたら、まずは医療機関に相談することが大切です。
日本線維筋痛症学会のガイドラインでは、同症という疾患概念そのものの妥当性についても検討がなされており、「身体の広範な部位に原因不明の慢性疼痛と全身性のこわばりを主徴候とする疾患である」という定義文について、エビデンスの確信度は「弱(C)」、推奨の強さは「弱く推奨する(提案する)」という評価が示されています[4]。これは、線維筋痛症という疾患の存在自体を否定するものではなく、病態の理解がまだ発展途上にあることを、ガイドライン作成委員会が正直に示しているものです。厚生労働省が公開する難病・慢性の痛み関連情報のページでも、同疾患は慢性の痛みに関連する重要な疾患として位置づけられています[6]。
薬物療法の日本国内での扱い — 海外との違い
日本線維筋痛症学会のガイドラインは、薬物療法についても海外との違いを具体的に示しています。プレガバリンは、日本国内でも短期・長期の二重盲検比較試験(ランダム化比較試験)が行われており、痛みを含む随伴症状への改善効果と忍容性が確認されているとして、同ガイドラインは「行うことを強く推奨する」(推奨度A)と評価しています[4]。一方、デュロキセチンは海外の同種薬と同程度の効果が確認されているものの、この病気に対するエビデンスの確信度は中程度(推奨度B)とされています[4]。ミルナシプランは海外では線維筋痛症の適応薬として承認されている国もありますが、同ガイドラインは、日本国内では本症に対する保険適応がなく、うつ病・抑うつ状態に対する適応のみである点を明記しています[4]。米国ACRが紹介する3種のFDA承認薬[3]と、日本で実際に処方できる薬・保険が適用される薬は必ずしも一致しないため、日本国内での薬物療法については、医師・薬剤師に個別に確認することが欠かせません。
診断基準の点数配分や薬剤ごとの推奨度は、ガイドラインの改定によって今後変わる可能性があります。上記は2017年に公表された「線維筋痛症診療ガイドライン2017」の内容に基づいており[4]、より新しい版が公表されている場合は、日本線維筋痛症学会や医療機関で最新の内容を確認することをおすすめします。
何科を受診すればいい? 受診の目安
同症は特定の一つの診療科だけで完結する病気ではなく、症状に応じて複数の科が関わることが一般的です。海外の患者向け情報では、リウマチ専門医(rheumatologist)が中心的な役割を果たすことが多いと米国リウマチ学会はしており、睡眠の問題が強い場合は睡眠専門医が加わることもあるとしています[3]。日本国内での一般的な目安としては、まず内科・リウマチ科・膠原病内科で相談し、関節リウマチなど他の病気の可能性を確認したうえで、必要に応じてペインクリニックや心療内科と連携して治療を進める流れが取られることが多くあります。どの科にかかればよいか迷う場合は、まずかかりつけ医や内科に相談し、専門医への紹介を受けるとよいでしょう。
厚生労働省の「難病・慢性の痛み関連情報」ページは、線維筋痛症のように原因が特定しにくい慢性の痛みについて、一つの診療科だけで抱え込まず、複数の診療科・職種が連携する「集学的な痛みの診療体制」の必要性を紹介しています[6]。近年は大学病院や地域の中核病院に「ペインクリニック」「痛み外来」といった専門外来が設けられていることもあり、初診の科で診断がつかない場合でも、こうした専門外来への紹介を相談してみる価値はあります。
受診時に持参すると役立つメモ(印刷してお使いください)
- 痛みが始まった時期・きっかけに心当たりがあるか
- 痛みが強い部位・弱い部位(体の図に印をつけておくと伝わりやすい)
- 睡眠の状態(何時間眠れているか、途中で目が覚めるか)
- 倦怠感や「フィブロフォグ」(集中力・記憶力の低下)の有無
- 現在服用中の薬・サプリメント
- 関節リウマチ・甲状腺疾患・うつ病など、これまでにかかった病気
- 医師に聞きたいこと(例:この痛みの原因は何が考えられるか/どの検査を受けるべきか/治療の選択肢)
よくある質問
線維筋痛症とはどんな病気ですか?
この病気の原因は何ですか?
線維筋痛症は何科を受診すればいいですか?
線維筋痛症の症状にはどんなものがありますか?
線維筋痛症は難病指定を受けていますか?
線維筋痛症は治りますか?治る薬はありますか?
線維筋痛症の治療にはどんな薬が使われますか?
線維筋痛症になりやすいのはどんな人ですか?
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同症は、慢性的な痛みや睡眠、こころの不調と関わりの深い病気です。関連する症状で気になることがあれば、以下もあわせてご覧ください。
参考文献
- 米国国立関節炎・筋骨格・皮膚病研究所(NIAMS)「Fibromyalgia」(2024年5月改訂) https://www.niams.nih.gov/health-topics/fibromyalgia /「Fibromyalgia: Diagnosis, Treatment, and Steps to Take」 https://www.niams.nih.gov/health-topics/fibromyalgia/diagnosis-treatment-and-steps-to-take
- 米国国立医学図書館(NLM)MedlinePlus「Fibromyalgia」 https://medlineplus.gov/fibromyalgia.html
- 米国リウマチ学会(American College of Rheumatology, ACR)「Fibromyalgia」(患者向け情報) https://rheumatology.org/patients/fibromyalgia
- 日本線維筋痛症学会FM診療ガイドライン作成委員会・日本医療研究開発機構(AMED)線維筋痛症研究班「線維筋痛症診療ガイドライン2017 Clinical Questions(CQs)に対する推奨文最終案」 https://jsfcp.jp/pdf/170117_1.pdf
- Minds ガイドラインライブラリ(公益財団法人日本医療機能評価機構)「線維筋痛症診療ガイドライン2017」 https://minds.jcqhc.or.jp/common/summary/pdf/c00443.pdf
- 厚生労働省「難病・慢性の痛み関連情報」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/nanbyou_allergie/index.html
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