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妊娠中の食中毒|リステリア等のリスクと胎児への影響・予防

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結論から言うと——厚生労働省・国立健康危機管理研究機構によれば、妊娠中は免疫のはたらきが変化するため、健康なときなら軽い胃腸炎ですむ食中毒でも、リステリア菌・トキソプラズマ・カンピロバクターの3つは母体より先に赤ちゃんに重い影響を及ぼすことがあります[1]。

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特にリステリア菌は、厚生労働省の資料で「妊婦が感染すると、リステリアが胎盤や胎児へ感染し、流産や生まれた新生児に影響がでることがあります」と説明されている菌です[1]。発熱や下痢だけでなく、「なんとなく体がだるい」程度の症状しか出ないこともあるため、危険な食品を避けることが最大の対策になります。異変を感じたら自己判断で市販薬を使わず、早めに産婦人科・かかりつけ医に相談してください。

要点まとめ

  • 食品安全委員会によれば、妊娠中に特に注意すべき食中毒菌はリステリア菌・トキソプラズマ・カンピロバクターの3つ[3]
  • 厚生労働省によれば、リステリア菌は「4℃以下の低温や、12%食塩濃度下でも増殖できる」ため、冷蔵庫に入れていても安心できない[1]
  • 厚生労働省・国立健康危機管理研究機構が挙げる避けたい食品の代表例:加熱していないナチュラルチーズ、生ハム、スモークサーモン、レアステーキ・ユッケなどの生肉[1][5]
  • 厚生労働省の基準では、加熱の目安は中心部75℃で1分以上——カンピロバクターやトキソプラズマの多くはこの加熱で防げる[6]
  • 38℃以上の発熱が続く、水のような下痢が止まらない、お腹の張りや出血を伴う場合は自己判断で様子を見ず、すぐに産婦人科へ連絡する

編集方針:JHO編集部がAIツールの支援を受け、厚生労働省・食品安全委員会・国立健康危機管理研究機構(JIHS)などの公的機関の一次資料と照合して作成しました。最終確認は人の目で行っています。医師による個別の診断・治療の代わりにはなりません。数値や推奨は関連機関のガイドライン改定により変わることがあります(2026年7月時点の公表情報にもとづきます)。

そもそも食中毒とは何か——妊娠中に知っておきたい基礎知識

食中毒と聞くと「飲食店で何か悪いものを食べたときに起こるもの」というイメージを持つ方が多いかもしれません。実際には、食中毒は家庭の台所でも十分に起こりえます。厚生労働省が食中毒の原因として分類している中には、細菌(今回取り上げるリステリア菌やカンピロバクターなど)、寄生虫(トキソプラズマなど)、ウイルス、自然毒などがあり、それぞれ感染源も潜伏期間も異なります。

一般的な食中毒対策の合言葉として「つけない・増やさない・やっつける」という3原則がよく紹介されます。「つけない」は調理器具や手を清潔に保ち菌を食品に付着させないこと、「増やさない」は低温保存や早めの消費によって菌の増殖を抑えること、「やっつける」は十分な加熱によって菌を死滅させることを指します。この記事で紹介している対策の多くも、突き詰めればこの3原則のいずれかに当てはまります。

妊娠中に特別なのは、この3原則を守る「厳しさの度合い」です。健康な成人であれば多少の菌が体内に入っても症状が出ないか、軽い胃腸炎で済むことが多いため、3原則をそこまで神経質に守らなくても大きな問題にならないことがあります。しかし妊娠中は、母体の症状が軽くても胎児への影響が生じうるという非対称性があるため、同じ3原則を、より意識的に・より徹底して実践することが推奨されているのです。

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妊娠中はなぜ食中毒が重くなりやすいのか——免疫の変化という仕組み

「妊娠したら体が弱くなる」というのは漠然とした印象ではなく、免疫のしくみの変化として説明できます。妊娠中の体は、遺伝的に半分「他人」である赤ちゃん(胎児)を拒絶しないよう、免疫のはたらき方を意図的に調整しています。この調整によって、健康な成人であれば軽い胃腸炎で終わる菌への抵抗力が、妊娠していないときより下がることがあります。

厚生労働省の資料では、リステリア菌について「健康な成人の場合、感染しても軽い胃腸炎症状や無症状で終わることが多いです」としながらも、「高齢者、免疫機能が低下している人、乳幼児等では、髄膜炎や敗血症等、重篤な症状に陥ることもあります。妊婦では、母体が重篤な症状になることはまれですが、流産や早産、死産の原因となります」と厚生労働省は説明しています[1]。ここで重要なのは、「母体は軽症で済むことが多いのに、胎児・赤ちゃん側には重い影響が出ることがある」という非対称な構造です。母親自身の体調不良の強さと、赤ちゃんへの影響の大きさは、必ずしも一致しません。

また、リステリア菌そのものにも「他の一般的な食中毒菌と同様に加熱により死滅しますが、4℃以下の低温や、12%食塩濃度下でも増殖できる点が特徴」と厚生労働省の資料は説明しています[1]。つまり、冷蔵庫に入れておけば菌が増えないという一般的な感覚が、この菌には通用しません。「冷蔵庫は安全」という思い込みそのものが、妊娠中の食中毒対策では見直すべきポイントになります。

図:JHO編集部が作成

厚生労働省が保健師向けに配布した資料でも、妊娠中・育児中の食中毒予防が独立したテーマとして扱われており、「妊娠中・育児中の食中毒予防について」という表題のもと、リステリア菌をはじめとする複数の菌への注意が呼びかけられています[2]。これは、妊娠中の食中毒対策が単なる「体調管理の一環」ではなく、公衆衛生の重点課題として位置づけられていることを示しています。

妊婦が特に注意すべき3つの菌——リステリア・トキソプラズマ・カンピロバクター

数ある食中毒の原因菌・寄生虫のなかでも、妊娠中に特別な注意が必要とされているのは主に次の3つです。それぞれ感染経路も、赤ちゃんへの影響が出るタイミングも異なります。

菌・寄生虫 主な感染源 胎児・赤ちゃんへの影響 母体の症状
リステリア菌 加熱していないナチュラルチーズ、生ハム、スモークサーモンなど[1] 胎盤・胎児への感染により「流産や生まれた新生児に影響がでることがあります」[1] 多くは軽症、まれに「敗血症、髄膜炎、中枢神経系症状」[1]
トキソプラズマ 加熱不十分な豚・羊などの肉、ネコの糞に汚染された土や水[4] 初感染の場合「胎児に網脈絡膜炎、脳内石灰化、水頭症などの重篤な症状を引きおこすことがある」ほか「死産、流産」の報告あり[4] 健康な成人では無症状か軽いリンパ節腫脹程度が多い
カンピロバクター 生・加熱不足の鶏肉(鶏刺し、鶏たたき、鶏レバーの生食など)[6] 母体の重い下痢・脱水が間接的に子宮環境へ影響しうる(菌自体の胎盤感染の頻度は他の2菌ほど確立していない) 「下痢、腹痛、発熱、悪心、嘔気、嘔吐、頭痛、悪寒、倦怠感」、潜伏期間は「一般に1~7日間」[6]

出典:厚生労働省「リステリアによる食中毒」[1]/国立健康危機管理研究機構「トキソプラズマ症」[4]/厚生労働省「カンピロバクター食中毒予防について(Q&A)」[6]

3つの菌のうち、日本国内で最も報告数が多いのは実はカンピロバクターです。厚生労働省のQ&Aでは「生の状態や加熱不足の鶏肉、調理中の取扱い不備による二次汚染」が主な原因とされ、鶏レバーの刺身や鶏肉のタタキといった生食に近い調理法がリスクを高めると説明されています[6]。一方でリステリア菌は、国内の食中毒統計としての報告例自体は少ないものの、厚生労働省は「食品安全委員会の評価書によると、リステリア感染症の推定患者数は年間200人(平成23年)とされています」と紹介しており、統計に上がりにくい潜在的な感染が一定数あることを示しています[1]。トキソプラズマについては、国立健康危機管理研究機構(JIHS)が「日本では概ね10%程度の感染率であると推定されている」と説明しており、多くの妊婦がすでに免疫を持っている一方で、未感染のまま妊娠する人にとっては初感染時のリスクが重要になります[4]。

受診の目安——すぐに産婦人科・医療機関へ連絡が必要なサイン

  • 38℃以上の発熱が半日以上続く、または悪寒とともに震えが出る
  • 水のような下痢や嘔吐が半日以上止まらず、水分もとれない
  • お腹の張り・痛みや、出血・破水を思わせるおりものの変化を伴う
  • 厚生労働省の資料が示す、インフルエンザに似た「悪寒、発熱、筋肉痛」のような症状が続く[1](リステリア症は初期にインフルエンザ様の症状しか出ないことがあるため、妊娠中はこの段階で相談することが勧められます)
  • 市販の解熱剤・下痢止めを自己判断で使ってよいか迷う場合も、飲む前に必ず産婦人科・薬剤師に確認する

避けるべき食品・安全に食べられる食品の一覧

「何を食べてはいけないのか」が一目でわかることが、実際の行動につながります。ここでは厚生労働省・国立健康危機管理研究機構が公表している内容をもとに、妊娠中に避けたい食品と、加熱・加工により安全に食べられる食品を整理しました。

食品カテゴリ 避けたい状態 安全に食べられる状態
チーズ・乳製品 「ナチュラルチーズ(製造工程で加熱殺菌されていないもの)」[1] 加熱殺菌されたプロセスチーズ、加熱調理したピザ・グラタンなど
食肉加工品 生ハム、肉や魚のパテなど「加熱していない食品」[3] 十分に加熱したハム・ソーセージ料理
魚介類加工品 スモークサーモンなど、加熱工程を経ない燻製・生食品[1] 加熱調理した鮭料理、缶詰など加熱殺菌済みの製品
牛・馬・鶏の生肉 「レアステーキ、ユッケ、馬刺し、鶏刺し」[5]、鶏肉のタタキ[6] 中心部を75℃で1分以上加熱した肉料理[6]
豚・羊肉 加熱不十分な豚肉・羊肉(トキソプラズマの感染源になりうる)[4] 中心部までしっかり加熱した豚肉・羊肉料理
飲料水 殺菌が確認できない井戸水・生水[4] 水道水、煮沸した水、市販のミネラルウォーター

出典:厚生労働省「リステリアによる食中毒」[1]/食品安全委員会「お母さんになるあなたと周りの人たちへ」[3]/国立健康危機管理研究機構「妊婦さんおよび妊娠を希望されている方へ」[5]/厚生労働省「カンピロバクター食中毒予防について(Q&A)」[6]

加工食品を選ぶ際、パッケージの表示だけでは「加熱殺菌済みかどうか」が一目で分かりにくいこともあります。迷ったときは、購入前にお店のスタッフに確認する、あるいは輸入食材を扱う専門店では特にナチュラルチーズの加熱状況を確認する、といった一手間が安心につながります。妊婦向けのマタニティ雑誌やコンビニの妊婦向け商品コーナーなどでも、こうした情報がまとめられていることがあるため、日頃から目を通しておくのもよい方法です。

ここで注意したいのは、「生野菜や果物はすべて危険」というわけではないという点です。厚生労働省は家庭での予防方法として「生野菜や果物などは食べる前によく洗う」ことを挙げており[1]、洗浄を前提とすれば通常どおり食べて問題ないとされています。避けるべきなのは、あくまで「加熱していない動物性食品」と「殺菌が確認できない水」が中心です。この線引きを知っているかどうかで、妊娠中の食生活の窮屈さは大きく変わります。

ただし野菜のなかでも例外的に注意が呼びかけられているものがあります。スプラウト類(かいわれ大根やもやしなど、種子を発芽させた野菜)は、発芽・生育の過程が細菌にとっても好条件になりやすく、洗うだけでは菌を完全に落としきれない場合があるとされています。スプラウト類とリステリア菌との関係については、当サイトの「【産婦人科医監修】妊娠中のスプラウトは危険?」で詳しく取り上げていますので、スプラウトをよく食べる方はあわせてご確認ください。加熱調理すれば心配は少なくなるため、生食にこだわらないことが一つの対策になります。

魚については、水銀の観点からの注意点が別にあります。魚の種類ごとの目安量や避けたい魚種については、当サイトの「妊婦におすすめ!安心して食べられる海の魚リスト」で詳しく解説しています。今回のテーマである食中毒菌のリスクと、魚の水銀リスクは別の話題ですので、あわせて確認しておくと、魚介類全体の付き合い方が整理しやすくなります。

症状が出たらどうする——自己判断で薬を使わないことが大切な理由

妊娠中に発熱・下痢・嘔吐などの症状が出ると、「これは食中毒なのか、それともつわりや風邪なのか」の判断に迷う方が少なくありません。ここで大切なのは、症状の種類そのものよりも「様子を見てよい範囲かどうか」を自己判断しないことです。

リステリア症の厄介な点は、初期症状が「悪寒、発熱、筋肉痛などインフルエンザなどの他の感染症と区別が難しい場合」と厚生労働省の資料にあるとおりです[1]。つまり、「ただの風邪かも」と数日様子を見ているうちに、実はリステリア菌への感染だった、というケースが起こりえます。妊娠中に原因不明の発熱が続く場合は、自己判断で解熱剤を使って様子を見るのではなく、早めに産婦人科・かかりつけの医療機関に相談することが勧められます。

カンピロバクター感染の場合は、「下痢、腹痛、発熱、悪心、嘔気、嘔吐、頭痛、悪寒、倦怠感」といった、より典型的な胃腸炎の症状が中心で、潜伏期間は「一般に1~7日間」と厚生労働省のQ&Aは説明しています[6]。下痢や嘔吐が続くと脱水になりやすく、脱水は子宮の収縮を誘発しやすくなるとも言われているため、水分がとれないほどの下痢・嘔吐が続く場合は早めの受診が安心です。

つわりによる吐き気・嘔吐と、食中毒による嘔吐を見分けるのは簡単ではありません。目安の一つとして、つわりは特定の食べ物のにおいや空腹時に症状が強くなる一方、食中毒は「特定の食事をとった後、数時間から数日以内に」下痢や発熱を伴って始まることが多いという違いがあります。ただし、この見分け方はあくまで目安であり、確実な判断はできません。「いつもと違う」「発熱を伴っている」「下痢がひどい」といった要素があれば、つわりと自己判断せずに医療機関へ相談することをおすすめします。

市販薬についても注意が必要です。下痢止め・解熱鎮痛薬のなかには、妊娠週数によって使用を避けるべき成分を含むものがあります。「食中毒かもしれないから、とりあえず市販の下痢止めを飲んでおこう」という自己判断は避け、症状を医療機関に伝えたうえで、使ってよい薬を確認してください。応急処置の基本的な考え方(水分補給の仕方や、家庭でできる範囲の対応)については、当サイトの「簡単!家庭でできる!第1の食品中毒応急処置法」もあわせてご覧ください。ただし妊娠中は、そちらの記事の内容よりも「早めに医療機関へ相談する」ことを優先してください。

医療機関を受診する際は、口頭で症状を伝えるだけでなく、簡単なメモを持参すると診察がスムーズになります。「いつから症状が出たか」「何を食べた後に症状が出始めたか」「発熱の有無と体温」「下痢・嘔吐の回数」「市販薬を使ったかどうか」といった項目を、スマートフォンのメモ機能などに簡単に記録しておくと、医師が原因を推測しやすくなります。特に、直近数日間に食べたものを振り返っておくと、リステリア菌のように潜伏期間が長い菌の場合でも、原因の手がかりになることがあります。妊婦健診の母子健康手帳を持参し、現在の妊娠週数を伝えることも忘れないようにしましょう。

胎児への影響——何が、いつ、どのくらいのリスクで起こりうるのか

「胎児への影響」という言葉だけでは、実際に何が起こりうるのかが伝わりにくいため、菌ごとに整理します。

リステリア菌については、厚生労働省が国外の実例を紹介しています。「平成22年、アメリカでカンタロープ(メロンの一種)を原因食品とするリステリア食中毒が発生し、33名の方が亡くなられました。また、患者の多くは60歳以上でしたが、1名の女性患者は流産したと報告されています」という記述があり[1]、集団感染事例のなかで妊婦の流産が実際に報告されていることがわかります。これは「妊婦だから必ず流産する」という意味ではなく、「重症化した集団感染のなかに、妊婦の重い転帰が含まれていた」という事実です。件数としては多くはありませんが、リステリア菌が重症化した場合の結果の重さを示す実例として重要です。

トキソプラズマについては、国立健康危機管理研究機構(JIHS)が「未感染の妊婦が妊娠中に初めて感染した場合」に限って、「胎児に網脈絡膜炎、脳内石灰化、水頭症などの重篤な症状を引きおこすことがある」ほか、「死産、流産」のリスクがあると説明しています[4]。ここで重要なのは「未感染の妊婦」「初めて感染した場合」という条件です。妊娠前にすでにトキソプラズマに感染したことがあり免疫を持っている人は、通常、この経路のリスク対象にはなりません。逆に、妊娠前の感染歴が分からない場合は、抗体検査によって自分がどちらに当てはまるかを確認できると国立健康危機管理研究機構は案内しています[5]。

カンピロバクターについては、母体が重い下痢・脱水・発熱を起こすこと自体が、間接的に妊娠経過へ影響しうると考えられていますが、リステリア菌やトキソプラズマのように「菌が直接、胎盤を通じて胎児に感染する」という経路が確立した中心的なリスクとしては、公的機関の資料では前面に出されていません。そのため本記事では、カンピロバクターについては「母体の症状を重くしないための予防」という位置づけで扱っています。

なお、今回参照した資料の範囲では、3つの菌それぞれについて「妊娠何週での感染が最も危険か」という細かい週数別のリスク表までは記載が見当たりませんでした。トキソプラズマについては一般に妊娠後期ほど胎児への感染率自体は上がる一方、妊娠初期の感染ほど症状が重くなりやすいという傾向が知られていますが、これは複数の学術的知見の総合であり、本記事で引用した一次資料の中で数値として明記されているものではないため、確定的な数値としては提示しません。詳しい時期別のリスクについて知りたい場合は、妊婦健診の際に主治医に直接確認することをおすすめします。

もう一つ理解しておきたいのは、「感染したら必ず重い結果になる」わけではないという点です。トキソプラズマを例にとると、国立健康危機管理研究機構は日本での感染率を「概ね10%程度」と推定しており[4]、多くの人がすでに免疫を持っているか、あるいは感染していても症状が軽く経過しています。リステリア菌についても、厚生労働省は「健康な成人では非常に多くのリステリアを摂取しなければ発症しない」と説明しており[1]、日常的な食品の管理を徹底していれば、発症するほどの菌量に達することは通常考えにくいとされています。過度に恐れるのではなく、「確率を下げる行動を積み重ねる」という捉え方のほうが実践的です。

加熱の基準はどれくらい?——75℃1分が目安になる理由

「よく加熱する」と言われても、どの程度加熱すれば安全なのかが分からなければ実践できません。厚生労働省のQ&Aが示す加熱の基準は、「中心部を75℃以上で1分間以上加熱」というものです[6]。これはカンピロバクター対策として示されている数値ですが、トキソプラズマのように熱に弱い寄生虫や、多くの食中毒菌にも共通して当てはまる目安として扱われています。

家庭のフライパンや鍋で調理する場合、色の変化だけを見て「もう火が通っただろう」と判断すると、厚みのある肉の中心部までは十分な温度に達していないことがあります。目安としては、肉の中心部を切ったときに赤い部分やピンク色の断面が残っていないか、肉汁が透明になっているかを確認する方法が実践しやすいでしょう。鶏肉であれば、骨に近い部分ほど火が通りにくいため、骨付き肉は特に中心部の加熱状態を意識してください。

電子レンジでの加熱は、食品の場所によって温まり方にムラが出やすいという特徴があります。電子レンジで肉料理を温める場合は、途中で一度かき混ぜる、または裏返すなどして、加熱ムラをなくす工夫をすると安心です。「見た目が温かそうだから大丈夫」ではなく、「中心部まで確実に熱が通っているか」を基準に判断することが、この3つの菌すべてに共通する予防の考え方です。

出産後・授乳中も同じ対策を続けるべきか

この記事は妊娠中を主な対象としていますが、「出産したら、もう気をつけなくていいのか」という疑問を持つ方もいるでしょう。リステリア菌やトキソプラズマによる胎盤感染のリスクは出産とともになくなりますが、産後の体は出産や授乳による負担で一時的に体力が落ちていることが多く、食中毒そのものにかかりやすい状態は続きます。また、育児中は赤ちゃんの世話で忙しく、体調不良に気づくのが遅れがちになる時期でもあります。

厚生労働省が保健師向けに配布している資料のタイトルが「妊娠中・育児中の食中毒予防について」となっていることからもわかるように[2]、公的機関としても妊娠中だけでなく育児中の食品安全を一続きのテーマとして扱っています。授乳中の食事制限については、この記事で紹介したリステリア菌などの「胎盤感染」という経路とは別の考え方になりますが、加熱を徹底する、期限内に食べきるといった基本的な予防習慣は、産後もそのまま続けて損はありません。

予防法——買い物から調理・保存まで、今日からできること

「危険な食品を覚える」だけでなく、日々の買い物・調理・保存の習慣を少し変えることで、リスクはさらに下げられます。厚生労働省が示す家庭での予防方法をもとに、妊娠中向けに整理します。

  • 買い物:消費期限・賞味期限が近いものを選ばない。生鮮食品は買い物の最後に選び、保冷剤や保冷バッグを使って持ち帰る。
  • 保存:「リステリア菌は低温でも緩やかに増殖するので、冷蔵庫を過信せず、保存する場合は冷凍庫やチルド室を活用しましょう」という厚生労働省の考え方が参考になります[2]。開封後の加工食品は、表示の期限に関わらず早めに食べきる。
  • 加熱:肉全般は中心部の色が変わるまで十分に加熱する。厚生労働省のQ&Aが示す「中心部を75℃以上で1分間以上加熱」という基準は、カンピロバクターだけでなく、トキソプラズマなど他の食中毒菌・寄生虫にも共通する目安として役立ちます[6]。
  • 洗浄:生野菜・果物は食べる前によく洗う[1]。肉や魚を切ったまな板・包丁で、そのまま生野菜を切らない。
  • 調理器具:肉用と野菜用でまな板・包丁を分ける、または使うたびに洗浄・殺菌する。
  • 猫との生活:トキソプラズマ対策として、「飼い猫のトイレ掃除は可能な限り避ける」ことが望ましく、やむを得ず行う場合は「マスクと手袋を着用し、終了後に手を洗う」ことを国立健康危機管理研究機構は勧めています[5]。ペットを手放す必要はありません。
  • ガーデニング・土いじり:素手で土に触れず、手袋を使う。作業後は手をよく洗うことを国立健康危機管理研究機構は勧めています[5]。
  • 水:井戸水など殺菌状況が分からない水は生では飲まず、水道水や市販のミネラルウォーター、煮沸した水を使う[4]。

手洗いについては、石けんを使って手のひらだけでなく、指の間・爪の間・手首まで、20〜30秒ほどかけて洗うことが推奨されています。肉や魚、卵を触った後、トイレの後、外出から帰った後、猫や他の動物に触れた後は、調理を再開する前に必ず手を洗い直す習慣をつけましょう。アルコール消毒液は多くの細菌に有効ですが、油分や汚れが残っている手には効果が弱まることがあるため、目に見える汚れがある場合はまず石けんでの手洗いを優先してください。

これらはどれも特別な道具や費用を必要としない、日常の延長でできる対策です。すべてを完璧にこなそうとして神経質になりすぎるよりも、「危険な食品を避ける」「よく加熱する」「よく手を洗う」という3つの基本を意識するだけで、リスクの大部分は下げられます。

冷凍・解凍・作り置きのときに気をつけたいこと

妊娠中は体調に波があり、まとめて調理して冷凍保存しておく、という工夫をする方も多いはずです。冷凍・解凍・作り置きの場面でも、いくつか押さえておきたいポイントがあります。

冷凍する前:肉や魚は購入したその日のうちに、小分けにしてから冷凍すると、必要な分だけ解凍でき、繰り返しの解凍・再冷凍を避けられます。繰り返しの解凍・再冷凍は、菌が増殖する時間を余分に与えてしまう可能性があるため、できるだけ避けたい行為です。

解凍の方法:常温での自然解凍は、食品の表面が長時間、菌が増殖しやすい温度帯にさらされることになります。冷蔵庫内でゆっくり解凍する、または電子レンジの解凍機能を使い、解凍後はすぐに加熱調理することをおすすめします。

作り置きのおかず:加熱調理したおかずであっても、常温で長時間放置すると菌が増殖する可能性があります。調理後はできるだけ早く冷まして冷蔵庫に入れ、2〜3日以内を目安に食べきるようにしましょう。食べる際に再加熱すると、保存中にわずかに増えた菌があっても、リスクをさらに下げられます。

お弁当:妊娠中に自分でお弁当を作る場合も、詰める前にしっかり冷ましてから蓋をする、保冷剤を活用するといった、一般的な食中毒対策の基本がそのまま役立ちます。夏場や暖房の効いた室内では、常温保管の時間をできるだけ短くする意識が大切です。

妊娠週数によって気をつけ方は変わるのか

「妊娠初期・中期・後期で、注意すべきことは変わるのか」という疑問を持つ方も多いでしょう。基本的な予防対策——避けるべき食品を口にしない、しっかり加熱する、よく手を洗う——は、妊娠のどの時期でも共通して重要です。特定の週数だけ注意すればよい、というものではありません。

一方で、体調の変化という観点では、つわりのある妊娠初期は、食欲が不安定になり、いつもと違うものを口にする機会が増えることがあります。「体調が優れないから、いつもは避けている総菜に手を伸ばしてしまった」ということもあるかもしれません。そうした場合も、この記事で紹介した「避けたい食品」のリストを頭の片隅に置いておくと、選択の助けになります。

妊娠後期は、お腹が大きくなることで体調管理や買い物・調理の負担が増えやすい時期です。パートナーや家族と役割分担をしながら、無理のない範囲で予防対策を続けることが現実的です。なお、妊娠週数ごとの感染リスクの詳細な違いについては、今回参照した公的機関の資料の中では、数値として明確に示されているものは見当たりませんでした。気になる場合は、妊婦健診の際に担当医へ直接尋ねることをおすすめします。

外食・買い置き総菜での注意点——家庭での対策をどう応用するか

自分で調理するときは加熱状況を確認できますが、外食や持ち帰り総菜では、その食品がどのように調理・保管されていたのかを自分の目で確かめることができません。ここでは、日常でよくある場面ごとに、家庭での予防原則をどう応用すればよいかを整理します。

ビュッフェ・ブッフェ形式の食事:常温で長時間置かれた料理は、リステリア菌が増殖しやすい条件がそろいやすい場所です。特にチーズの盛り合わせや生ハムの前菜コーナーは避け、できるだけ提供されたばかりの温かい加熱料理を選ぶようにしましょう。

カフェ・ベーカリーのサンドイッチ:生ハムや加熱していないナチュラルチーズを使ったサンドイッチは、成分表示や店員への確認が難しい場合、避けたほうが無難です。ツナや加熱した肉、卵を使ったサンドイッチであれば、リステリア菌の観点からの心配は少なくなります。

焼肉店・鉄板焼き店:生肉と焼けた肉を同じトングや箸で扱うと、せっかく加熱した肉に生肉の菌が付着する「二次汚染」が起こることがあります。生肉専用のトングと、食べる用の箸を分けて使うよう、店員に確認したり、自分で意識したりすることが有効です。

コンビニ・スーパーの総菜:加熱調理済みの総菜は基本的に安心して食べられますが、購入後はできるだけ早く食べ、車内や常温での長時間の持ち歩きは避けてください。「食品は期限内に食べきるようにし、開封後は期限に関わらず速やかに消費しましょう」という厚生労働省の家庭での予防方法の考え方は[1]、外食・中食でも同じように意識すると安心です。

パートナー・家族ができるサポート

ここまで見てきたように、妊娠中の食中毒対策は「特別な菌の名前を暗記すること」よりも、「避けるべき食品のパターンを知り、加熱と手洗いを習慣にすること」に集約されます。妊娠中の食事管理は、本人だけが気をつければよいものではありません。一緒に食事をするパートナーや家族が、避けるべき食品や加熱の基準を知っておくことで、外食先のメニュー選びや、家庭での調理の分担がずっとスムーズになります。

買い物を担当する家族がいる場合は、この記事にある「避けるべき食品・安全に食べられる食品」の一覧を一緒に確認し、購入前に「これは大丈夫かな」と一言相談できる関係をつくっておくと安心です。調理を担当する場合は、肉の中心部の加熱状態を確認する習慣や、調理器具を生肉用と野菜用で分ける習慣を、家庭内で共有しておくとよいでしょう。

また、妊娠中は「これを食べてもいいのか」と一つひとつ気にすること自体がストレスになることがあります。パートナーが「それは避けたほうがいいものだったね」と後から指摘するのではなく、事前に「今日の食事、この中で気をつけたほうがいいものある?」と一緒に確認したり、「代わりにこれならどう?」と一緒に選択肢を考える姿勢のほうが、長い妊娠期間を穏やかに過ごすうえで助けになります。猫のトイレ掃除のように、家族の誰かが代わって担当できる作業については、可能であれば妊娠中は他の家族が担当することも、国立健康危機管理研究機構の勧めに沿った一つの方法です[5]。

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よくある誤解——「これって本当に危ないの?」を整理する

妊娠中の食事制限については、正しい情報と、必要以上に厳しすぎる俗説が入り混じって伝わっていることがあります。ここでは代表的な誤解を整理します。

よくある誤解 実際のところ
冷蔵庫に入れておけば食中毒菌は増えない リステリア菌は「4℃以下の低温…でも増殖できる」性質があり[1]、冷蔵保存だけでは防げない。期限内に食べきることが重要
妊娠中は生野菜・果物も一切食べてはいけない 厚生労働省は「よく洗う」ことを条件に、生野菜・果物そのものを禁止していない[1]。避けるべきは主に加熱していない動物性食品と生水
猫を飼っているとトキソプラズマに必ず感染する 感染経路の一つではあるが、国立健康危機管理研究機構は「ネコを捨てる必要は決してありません」としており[5]、トイレ掃除時の手袋・手洗いなど具体的な対策で管理できる
症状が軽ければ、赤ちゃんへの影響も軽い 厚生労働省の資料が示すとおり「母体が重篤な症状になることはまれですが、流産や早産、死産の原因となります」というように[1]、母体の症状の軽さと胎児への影響の大きさは必ずしも一致しない
加熱不十分な肉は「新鮮だから」大丈夫 新鮮さと安全性は別の話。カンピロバクターやトキソプラズマは、加熱の有無で防げるかどうかが決まる[6]。中心部までの十分な加熱が唯一の目安

出典:厚生労働省「リステリアによる食中毒」[1]/国立健康危機管理研究機構「妊婦さんおよび妊娠を希望されている方へ」[5]/厚生労働省「カンピロバクター食中毒予防について(Q&A)」[6]

誤解のなかでも特に多いのが、「妊娠中の食事制限はとにかく厳しく、多いほど安全」という考え方です。実際には、公的機関が明確に注意を呼びかけている食品は、加熱していない特定の動物性食品と、殺菌状況が不明な水に、かなり絞り込まれています。逆に言えば、この記事で挙げた食品カテゴリに当てはまらないものまで一律に避けてしまうと、たんぱく質やカルシウムなど、妊娠中に必要な栄養素が不足してしまう可能性もあります。「何を避けるべきか」を正確に知ることは、「何を安心して食べてよいか」を知ることでもあります。必要以上に食べられるものを減らしてストレスをためるよりも、リスクが明確な食品を避け、加熱と手洗いを徹底するほうが、無理なく続けられる対策になります。

もう一つ付け加えると、「実家や義実家で出された料理を、断りにくくて食べてしまった」という状況に悩む方もいます。角を立てずに伝えたい場合は、「今、体質的に生ものや加熱していないチーズを控えるように言われていて」というように、医師や助産師からの指導という形で伝えると、相手も納得しやすいことが多いようです。妊娠中の食事制限は、わがままではなく、公的機関が根拠を持って呼びかけている予防策であることを、自分自身も周囲も理解しておくことが、無用な衝突を避けるコツになります。

妊娠中のリステリア菌感染について、日本国内での重症化率や、菌量と症状の重さの関係を示す詳細な統計は、今回参照した資料には記載が見当たりませんでした。国内の食中毒統計としての報告例が少ないこと自体が、実際の感染が少ないのか、診断・報告に至っていないケースが多いのかを判断する材料としては十分ではないため、この点については確定的な結論を避け、公的機関から新しい統計が公表され次第、随時この記事を更新していきます。

気にしすぎて疲れないために——情報との付き合い方

妊娠中は、食べ物に関する情報がインターネットや周囲の人からたくさん入ってきます。なかには根拠のはっきりしない情報や、必要以上に不安をあおる内容も混ざっていることがあります。「あれもダメ、これもダメ」という情報を全部真に受けてしまうと、食事の選択肢がどんどん狭くなり、栄養バランスを保つこと自体が難しくなってしまうこともあります。

この記事で紹介した内容は、厚生労働省・食品安全委員会・国立健康危機管理研究機構という公的機関が明示的に注意を呼びかけている範囲に絞っています。逆に言えば、ここに挙げられていない食品について、根拠のはっきりしない情報で不安になった場合は、まずは今回のような公的機関の一次情報や、かかりつけの産婦人科に確認することをおすすめします。「念のため」を積み重ねすぎると、かえって必要な栄養が偏ってしまうこともあるため、バランスを意識することも大切です。

また、一度うっかり避けるべき食品を口にしてしまったとしても、それだけで過度に自分を責める必要はありません。この記事の「よくある質問」でも紹介したとおり、少量を1回口にした程度であれば、多くの場合はただちに深刻な問題につながるわけではないと厚生労働省の資料からも読み取れます[1]。大切なのは、口にしてしまったこと自体を過去にさかのぼって変えようとするのではなく、その後の体調に注意を払い、気になる症状があれば早めに相談することです。完璧を目指すよりも、「知っておいて、できる範囲で対策する」という姿勢のほうが、長い妊娠期間を通じて続けやすいはずです。

「食中毒」と「魚の水銀」は別の話——混同しないための整理

妊娠中の食事制限について調べていると、「食中毒」の話と「魚に含まれる水銀」の話が、同じ記事の中で混ざって紹介されていることがあります。しかしこの2つは原因も対策もまったく別のものです。食中毒は、リステリア菌・トキソプラズマ・カンピロバクターのような細菌・寄生虫が食品に付着・混入することで起こり、加熱や衛生管理によって防げます。一方、魚に含まれる水銀は、加熱しても減らすことができない物質であり、「どの魚を」「どのくらいの量」食べるかという、頻度・量の管理で対応する話になります。

この記事では食中毒菌に絞って解説していますので、魚の水銀については別記事の「妊婦におすすめ!安心して食べられる海の魚リスト」を参照してください。「魚は加熱すれば水銀の心配もなくなる」という誤解もよく見られますが、これは正しくありません。2つの話題を区別して理解しておくと、情報が整理しやすくなります。

この記事のポイントを図で振り返る

ここまで紹介してきた内容を、記事冒頭の図とあわせて振り返ってみましょう。図の左側はリステリア菌、中央はトキソプラズマ、右側はカンピロバクターを表しており、それぞれのカードには「避けたい食品」と「対策のポイント」を並べています。3枚のカードの下にある帯には、3つの菌に共通する最も基本的な対策として「中心部までしっかり加熱する」「期限内に食べきる」という2点をまとめました。

もし忙しい毎日の中で、この記事の細かい内容をすべて覚えておくのが難しいと感じたら、まずはこの図の3枚のカードと、下段の共通メッセージだけを思い出せれば十分です。買い物や外食のときに「これはリステリア菌のカードにあった食品だったかな」と一瞬立ち止まって考える習慣ができれば、この記事の目的は十分に果たされたことになります。

よくある質問

妊娠中にナチュラルチーズを少しだけ食べてしまいました。すぐ病院に行くべきですか?
少量を1回口にした程度であれば、多くの場合はただちに受診が必要というわけではありません。ただし、その後2〜3週間以内に発熱・悪寒・筋肉痛などインフルエンザに似た症状が出た場合は、リステリア症の可能性も考え、早めに産婦人科に相談してください(厚生労働省の資料が示すリステリア症の初期症状の説明に基づく)[1]。心配な場合は、様子を見ずに一度電話で相談するのも一つの方法です。
加熱してあるナチュラルチーズや、プロセスチーズなら妊娠中も安心して食べられますか?
はい。厚生労働省の資料が避けるべき対象として挙げているのは「製造工程で加熱殺菌されていない」ナチュラルチーズです[1]。プロセスチーズは製造の過程で加熱殺菌が行われているため、この「避けるべきナチュラルチーズ」には該当しません。ピザやグラタンなど、しっかり加熱調理したチーズ料理も同様に心配は少ないとされています。
お寿司や刺身は妊娠中、絶対に食べてはいけないのですか?
魚の生食については、今回のテーマである食中毒菌のリスクとは別に、魚種ごとの水銀含有量という観点からの注意点があります。魚の種類別の目安量については、当サイトの「妊婦におすすめ!安心して食べられる海の魚リスト」で詳しく解説しています。今回の記事では、リステリア菌の主な原因食品としては、生魚そのものよりも「スモークサーモンなどの魚介類加工品」が挙げられている点を、厚生労働省の資料をもとに押さえておいてください[1]。
猫を飼っています。トキソプラズマが心配なので、手放したほうがいいですか?
手放す必要はないとされています。国立健康危機管理研究機構(JIHS)は「ネコを捨てる必要は決してありません」としたうえで、飼い猫のトイレ掃除は可能な限り避け、やむを得ない場合はマスクと手袋を着用し、終了後に手を洗うことを勧めています[5]。キスなどの過度なスキンシップは控えたほうがよいとされていますが、日常的に同じ空間で過ごすこと自体を制限する必要はありません。
トキソプラズマに、自分が妊娠前から感染しているかどうかを調べる方法はありますか?
はい。国立健康危機管理研究機構によれば、妊娠前や妊娠初期に抗体検査を受けることで、すでに感染したことがあり免疫を持っているかどうかを確認できます[5]。すでに感染歴がある場合、通常は再感染によって胎児に影響が出るリスクは高くないとされています。検査を希望する場合は、産婦人科・かかりつけの医療機関に相談してください。
職場や実家で出された料理を、妊娠中だからと断るのが気まずいです。どう伝えればいいですか?
「妊娠中は生ものや加熱していないチーズを控えるよう産婦人科で言われている」という伝え方をすると、個人的な好き嫌いではなく医学的な理由であることが伝わりやすく、相手も納得しやすい傾向があります。会食の予定がある場合は、事前にお店や主催者に「妊娠中で生ものが食べられない」と伝えておくと、当日の対応もスムーズです。無理に食べて後から不安になるより、あらかじめ一言伝えておくほうが、結果的にお互い気持ちよく過ごせます。
鶏肉を使った料理で、特に注意したほうがいい調理法はありますか?
鶏刺し・鶏たたき・鶏レバーの生食や半生調理は避けてください。厚生労働省のQ&Aでは「生の状態や加熱不足の鶏肉」がカンピロバクター食中毒の主な原因とされ、加熱の目安として「中心部を75℃以上で1分間以上加熱」することが挙げられています[6]。焼き鳥や唐揚げなども、中心部の色までしっかり火が通っているか確認しましょう。
症状が出てから病院に行くまで、家でできる応急処置はありますか?
水分をこまめに少量ずつとり、脱水を防ぐことが基本です。ただし妊娠中は、市販の下痢止めや解熱剤を自己判断で使わず、症状を早めに産婦人科・医療機関に伝えることが優先されます。一般的な食中毒の応急処置の考え方は当サイトの「簡単!家庭でできる!第1の食品中毒応急処置法」で紹介していますが、妊娠中は特に、様子を見る期間を短くして早めに受診することをおすすめします。
妊娠中に一度、微熱と軽い下痢がありましたが病院に行きませんでした。今からでも検査は必要ですか?
すでに症状が治まっていて、その後の妊婦健診で赤ちゃんの発育に問題を指摘されていなければ、多くの場合はさかのぼって特別な検査を追加する必要はありません。ただし気になる場合は、次の妊婦健診の際に症状があった時期と内容を医師に伝え、経過観察が必要かどうかを相談してください。自己判断で「大丈夫だろう」と済ませず、専門家に一言伝えておくと安心です。
スーパーの惣菜や、コンビニのサラダは妊娠中でも食べて大丈夫ですか?
加熱調理された惣菜は基本的に問題ありません。注意したいのは、加熱を伴わないサラダ・生野菜が長時間常温で置かれていた場合や、消費期限が近いものです。「食品は期限内に食べきるようにし、開封後は期限に関わらず速やかに消費しましょう」という厚生労働省の考え方は、惣菜やサラダにもそのまま当てはまります[1]。購入後はできるだけ早く食べ、常温で長時間放置しないようにしましょう。
冷凍していた肉を解凍したら、少し変色していました。妊娠中なので食べないほうがいいですか?
変色の原因はさまざまですが、明らかな異臭がある、ぬめりが強い、変色が広範囲にわたるといった場合は、もったいなくても食べずに廃棄することをおすすめします。妊娠中は「もったいないから加熱すれば大丈夫だろう」という判断よりも、少しでも不安がある食品は避ける、という選択のほうが安心です。
妊娠中、ワインやチーズフォンデュなど加熱するタイプの料理なら大丈夫ですか?
チーズフォンデュのように高温でしっかり加熱・溶解する料理であれば、リステリア菌の観点からの心配は軽減されます。厚生労働省の資料でも、リステリア菌は「加熱には弱い」とされており、十分な加熱工程を経た料理は基本的なリスクが下がると、厚生労働省の資料の説明から考えられます[1]。なお、アルコールについては食中毒とは別の理由で妊娠中の摂取が推奨されていないため、料理酒やワインを使う場合はアルコール分がしっかり飛んでいるかを確認してください。
妊娠中に一度リステリア菌やトキソプラズマに感染すると、次の妊娠でも同じリスクがありますか?
トキソプラズマについては、国立健康危機管理研究機構の情報によれば、一度感染して抗体ができると、通常は再感染によって胎児に影響が出るリスクは高くないとされています[5]。リステリア菌については、体内に免疫記憶が残る性質のものではないため、次回の妊娠でも同じように予防対策を続けることが必要です。次の妊娠を考えている場合は、事前に産婦人科で感染歴や抗体の有無について相談しておくと安心です。

受診時に持参できるチェックリスト(印刷用)

  • いつ・何を食べたか(食品名と時刻)
  • 症状の内容と出た時刻(発熱・下痢・嘔吐・腹痛)
  • 妊娠週数とかかりつけ産婦人科の連絡先
  • 持病・服薬中の薬
  • 医師に確認したいこと(胎児への影響・使える薬)

参考文献

  1. 厚生労働省「リステリアによる食中毒」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000055260.html
  2. 厚生労働省 医薬・生活衛生局食品監視安全課「妊娠中・育児中の食中毒予防について」(2021年) https://www.mhlw.go.jp/content/11907000/001127421.pdf
  3. 食品安全委員会「お母さんになるあなたと周りの人たちへ」 https://www.fsc.go.jp/okaasan.html
  4. 国立健康危機管理研究機構(JIHS)「トキソプラズマ症」 https://id-info.jihs.go.jp/diseases/ta/toxoplasma/index.html
  5. 国立健康危機管理研究機構(JIHS)「妊婦さんおよび妊娠を希望されている方へ」 https://id-info.jihs.go.jp/relevant-information/toxoplasmosis/20121213/index.html
  6. 厚生労働省「カンピロバクター食中毒予防について(Q&A)」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/shokuhin/syokuchu/campylobacterqa.html

更新日:2026年7月18日
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医療情報に関する重要なお知らせ

本記事はAI技術を活用し、厚生労働省・WHO等の公的医療機関の情報に基づいて作成されています。医療専門家による個別の監修は受けておりません。健康上の判断や治療については、必ず医師にご相談ください。詳しくは編集ポリシーをご覧ください。

Trinh Van Dieu

Trinh Van Dieu

ITエンジニア(17年)・Japanese Health 運営者

ベトナム在住のITエンジニア。17年の技術経験を活かし、日本の公的医療機関の情報をAI技術で整理・発信しています。

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