尿管結石の症状とは?激痛の対処法と受診の目安まで解説
この記事でわかること
目次
日本泌尿器科学会などのガイドラインによると、尿管結石の症状は、腰から脇腹にかけて突然襲う波打つような激痛(疝痛発作)です。冷や汗や吐き気を伴うことも多く、じっとしていられないほどの痛みが特徴です[1]。
この症状、いつ受診すべきか確認しますか?
回答に合わせて必要な質問だけを表示します。診断は行いません。
症状はいつから続いていますか?
回答により質問数が変わります・途中でいつでも記事に戻れます
今まさに痛みの中にいる方へ先に結論を書きます。①痛みだけなら、まず楽な姿勢を探しながら泌尿器科(時間外なら救急)に相談を。②済生会の解説によれば、38℃前後以上の発熱を伴う場合は、様子を見ずにすぐ受診してください[3]。③ガイドラインによれば、結石の多くは10mm未満で、大きさが小さいほど自然に出て行く可能性が高くなります[1]。この記事では、痛みが起きた今できること、受診の目安、石が自然に出るまでの目安を順番に説明します。
要点まとめ
- 尿管結石の痛みは波のように強弱を繰り返す疝痛発作で、冷や汗・吐き気を伴うことが多い(詳しくは次のH2で)
- 発熱を伴う場合は結石性腎盂腎炎から敗血症に進む危険があり、最優先で受診が必要(詳しくは「受診の目安」章で)
- 長径10mm未満の結石の多くは自然排石が期待できるが、大きさと場所で確率も日数も変わる(詳しくは「自然に出る?」章で)
- 痛みの最中に無理に大量の水を飲むことは、かえって症状を強める可能性があるため注意が必要(詳しくは「石の出し方」章で)
- 妊娠中・腎臓が1つしかない・尿がまったく出ないときは、自己判断せず早めに泌尿器科へ相談を
編集方針:JHO編集部がAIツールの支援を受け、公的機関・学会・査読論文と照合して作成。最終確認は人の目。医師による個別診断の代わりにはなりません。数値・分類はガイドライン改定により変わることがあります(2026年7月時点)。
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尿管結石の症状とは?突然の激痛が起きる仕組み
尿管結石の症状の中心は、脇腹から腰・背中にかけての激しい痛みです。日本泌尿器科学会などのガイドラインは、上部尿路結石では腰背部から側腹部にかけて片側性の痛みが生じ、結石が尿管を下降するにつれて痛みの場所が下腹部・鼠径部・外陰部へと移っていくとし、悪心・嘔吐・冷汗・頻脈といった自律神経症状を伴うことがあるとしています[1]。持続時間は数時間から、長くて半日程度とされています[1]。痛みは一定ではなく、強くなったり弱くなったりを繰り返すのが特徴で、この波打つ痛み方は疝痛(せんつう)と呼ばれます。
ここで、意外に思われるかもしれない点があります。ガイドラインは、この痛みは体位を変えても大きくは変動しないとしています[1]。つまり「楽な姿勢を見つければ治まる」という性質の痛みではなく、痛みのあまりじっとしていられずに体を動かしてしまう人が多いのが実際のところです。お腹全体が持続的に痛み、じっとしていた方が楽な虫垂炎や腹膜炎などとは、この点でも違いがあります。
この激痛がどこから来るのかは、尿の通り道の構造から理解できます。藤田医科大学 医学部 腎泌尿器外科学講座の解説によると、結石が腎臓にとどまっている間は無症状か鈍痛程度で済むことが多いものの、結石が腎臓から尿管へ下降すると、腎盂内圧の上昇・腎被膜の伸展・腎盂の痙攣によって疝痛発作という強烈な痛みが生じます[2]。同学講座の解説では、尿管には生まれつき狭い場所が3か所あり、腎盂尿管移行部(腎臓から尿管への出口)・総腸骨動脈交叉部(尿管が骨盤内の太い血管と交差する場所)・膀胱尿管移行部(尿管が膀胱に入る場所)がそれにあたるとされています[2]。結石はこの3つの狭窄部で引っかかりやすく、下の図のように、詰まる位置によって痛みの現れ方も少しずつ変わります。
なぜあれほど強い痛みになるのか、もう少し詳しく見てみます。ガイドラインの解説によると、結石が尿管を急にふさぐと腎盂の中の圧力が上昇し、その刺激で局所のプロスタグランディンという物質の合成・放出が進みます。この物質は腎臓への血流を増やして尿量を増やす一方、尿管の平滑筋のけいれん(攣縮)も引き起こすため、圧力の上昇とけいれんが重なって、ガイドラインが述べるとおり、あの強烈な痛みが生じると考えられています[1]。逆にいえば、結石が腎臓や腎盂尿管移行部にとどまっていても、尿管を下降して完全にふさぐまでは痛みが出ないこともあり、これが「気づいたら結石があった」というケースにつながります。
藤田医科大学の解説を踏まえると、結石が上部(腎盂〜上部尿管)にあるうちは側腹部から背中にかけての痛みが中心になり、中部尿管まで下がると側腹部から下腹部へと痛みの中心が移り、下部尿管から膀胱の近くまで下がると下腹部の痛みに加えて、頻尿や残尿感といった膀胱を刺激する症状が出やすくなります[2]。結石が尿路の粘膜とこすれると血尿が出ることもあり、済生会の解説でも、結石が膀胱の方に下がってくると、残尿感・頻尿など膀胱炎のような症状が出る場合があると説明されています[3]。
今この激痛の中にいる場合、上で述べたとおり、姿勢を変えても痛み自体はあまり変わらないとされているため、無理に「楽な姿勢」を探し続けて時間を使うより、安全な場所で座るか横になり、早めに医療機関につながることを優先してください。市販の鎮痛薬をすでに自宅で使っている場合、その使用自体は選択肢になり得ますが、量や使い方の判断はご自身で決めず、添付文書の範囲を守り、痛みが治まらない場合はためらわず医療機関に相談してください。ガイドラインでも、尿管結石の疼痛では速やかな痛みの緩和が第一に行われるべきで、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)が第一選択とされています[1]が、これは医療機関での治療方針であり、薬の名称や具体的な使用量については、この記事では触れません。自己判断での薬の使用より先に、次の章の「受診の目安」を確認してください。
ここで、痛みのあまり自宅にある市販の鎮痛薬をとっさに使う方も多いと思いますが、注意すべき点が2つあります。①ガイドラインは、痛み止めとしてよく使われる非ステロイド性消炎鎮痛薬(NSAIDs)の坐薬について、アスピリン喘息(アスピリンなどの解熱鎮痛薬で強い喘息発作を起こす体質)のある方には禁忌としています[1]。喘息があり、特に鎮痛薬で発作が悪化した経験がある方は、NSAIDs系の市販薬を自己判断で使わないでください。②別の版のガイドラインでは、NSAIDsの使用はすでに腎機能が低下している場合に腎機能へさらに影響する可能性があり注意を要するとも指摘されています[6]。人間ドックなどで腎機能の数値(クレアチニンなど)を指摘されたことがある方は、市販の痛み止めを使う前に、できれば医療機関に相談してください。持病を伝えられない状況であれば、無理に薬を探すより、まず医療機関につながることを優先してください。
なお、尿管結石の症状は、虫垂炎(盲腸)・胆石発作・婦人科系の急な痛みなど、他のお腹の病気と紛らわしいことがあります。医療機関では、痛みの部位や性質、血尿の有無、画像検査などから総合的に見分けます。「きっと結石だろう」と自己判断して受診を遅らせるより、実際に医療機関で確認してもらう方が安全です。
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これは診断ではありません。入力された数値を日本高血圧学会の血圧値の分類(高血圧の基準は診察室 140/90mmHg以上・家庭 135/85mmHg以上)に当てはめて「受診の目安」を機械的に示すもので、医師の診察に代わるものではありません。日本高血圧学会「高血圧管理・治療ガイドライン2025」では、降圧目標は年齢によらず診察室 130/80mmHg未満・家庭 125/75mmHg未満とされています。脈拍の目安は学会の分類ではなく一般的な参考範囲です。
受診の目安 — 今すぐ救急を受診すべきサイン
すぐに受診が必要なサイン
- 38℃前後以上の発熱を伴う(結石性腎盂腎炎から敗血症に進む危険があります。詳しくは次の段落で)
- 尿がまったく出ない
- 痛みが薬などを使ってもまったく和らがない
- 嘔吐が続き、水分がまったく摂れない
- 妊娠中である
- 腎臓が1つしかない、または移植腎である
尿管結石の症状の中で、受診の目安として最も重要なのが発熱です。済生会の解説は、尿路結石の中でも38.5℃以上の発熱を伴う場合は結石性腎盂腎炎という重篤になりやすい状態であり、発熱を伴う場合はなるべく早く医療機関を受診するよう述べています[3]。国立病院機構大阪医療センターの解説でも、結石が尿路をふさいで尿の流れが悪くなり尿路感染症を伴う場合、結石性腎盂腎炎を発症し、発熱や倦怠感、さらに悪化すると敗血症による血圧低下や意識低下を認めることもあるとされています[4]。ガイドラインも、結石による尿の詰まりに感染が重なった状態(閉塞性腎盂腎炎)は、抗菌薬の投与だけでは敗血症性ショックやDIC(播種性血管内凝固症候群)に進むおそれがあるため、閉塞性腎盂腎炎があれば速やかに専門医への紹介が必要だとしています[1]。結石そのものは命に関わることがまれでも、結石が詰まった状態に感染が重なった「結石性腎盂腎炎(閉塞性腎盂腎炎)」は敗血症という命に関わる状態に進みうる、数少ない泌尿器の緊急事態です。医療現場では、体温が38℃を超える、または36℃を下回るといった体温の異常を、感染の重症化を疑う目安の一つとして参考にしています[1]。痛みだけでなく熱がある、あるいは寒気やがたがたと震える悪寒がある場合は、様子を見ずに医療機関を受診してください。
発熱以外にも注意すべきサインがあります。尿がまったく出なくなった場合、両側の尿管が同時に詰まっている、あるいは元々腎臓が1つしかない方の唯一の腎臓が詰まっている可能性があり、緊急の処置が必要になることがあります。ガイドラインが示す、通常の経過観察では対応しきれず個別に慎重な対応が必要な患者の条件には、複数結石・感染を伴う結石・妊婦・高度肥満・尿路の解剖学的異常・単腎(腎臓が1つ)・腎機能障害・出血傾向のある患者・両側尿管閉塞などが含まれています[1]。これらに当てはまる方は、痛みの程度だけで自己判断せず、早めに泌尿器科または救急に相談することが勧められます。腎臓が1つしかない方や移植腎の方についても、ガイドラインは通常の経過観察の対象から外し、個別に慎重な対応が必要な患者として扱っています[1]。「片方の腎臓しかないから重症化しやすいのでは」と不安になる方もいますが、大切なのは自己判断で様子を見続けないことで、早めに事情を伝えたうえで泌尿器科に相談すれば、状態に応じた対応をしてもらえます。
妊娠中の方については、ガイドラインはNSAIDsを妊娠中に使用しないとしています。妊娠後期の服用により、胎児の動脈管収縮や新生児の肺高血圧、羊水過少などの胎児毒性が報告されているためです[1]。妊婦の痛み止めには通常アセトアミノフェンが使われ、画像検査も胎児への放射線被曝を避けるため主に超音波検査が用いられます[1]。市販のNSAIDs系鎮痛薬(多くの解熱鎮痛薬に含まれます)を自己判断で使わないという点が、妊娠中の方には特に重要です。自己判断せず、早めに産科・泌尿器科に相談してください。症候性の尿路結石は妊娠中決してまれではなく、一定の頻度で起こるとされています[6]。
一度受診して結石があると分かっている方が、以前と似た痛みを再び感じた場合、毎回必ず救急を受診しなければならないわけではありません。ただし、「前回と同じ痛みだから大丈夫」と思い込むのは危険です。今回は発熱を伴っていないか、痛みの強さや場所は前回と同じか、水分や排尿の状態はどうかを、そのつど確認する習慣をつけてください。少しでも様子が違う、あるいは自己判断に自信が持てない場合は、軽く考えずに医療機関に相談することをおすすめします。「病院に行くべきか、救急車を呼ぶべきか迷う」というときのために、総務省消防庁は救急安心センター事業(♯7119)という電話相談の仕組みを設けています。医師・看護師・救急救命士が電話で症状を聞き取り、緊急性が高いと判断されれば救急要請につなぎ、そうでなければ受診のタイミングや医療機関を案内してくれる仕組みで、利用者アンケートでは約9割が「役に立った」と回答しています[5]。地域によって導入状況が異なるため、お住まいの地域で使えるかどうかは事前に確認しておくと安心です[5]。何科を受診すべきか迷う場合、日中であれば泌尿器科、夜間・休日で症状が強い場合は救急外来(内科・救急科)を受診し、結石が確認されたら泌尿器科につないでもらう流れが一般的です。
発熱を伴う結石性腎盂腎炎と診断された場合、医療機関ではまず感染のコントロールが優先されます。国立病院機構大阪医療センターの解説では、腎機能低下や感染を伴う場合、結石そのものの治療を始める前に尿管にステント(細い管)を留置し、まず症状の改善を図るとされています[4]。別の版のガイドラインも、腎盂腎炎や敗血症をきたしている場合は、適切な抗菌薬投与を行って感染を抑えてから、結石そのものの治療を予定すべきだとしています[6]。つまり、発熱を伴う結石性腎盂腎炎では、「結石を出す治療」より先に「詰まりを解除して感染を抑える治療」が優先されるということです。これが、発熱を伴う場合に一刻も早い受診が必要とされる理由でもあります。
医療機関では何を調べるか — 検査の流れ
尿管結石の症状で受診すると、まず尿検査で血尿の有無を確認します。尿路結石では尿に血が混じることが多いためです[3]。画像検査については、単純CT(NCCT)が結石の存在診断・合併症の診断にもっとも有用とされています[1]。別の版のガイドラインが紹介する診断率の比較では、単純CTの診断率は感度94〜100%、特異度92〜100%と高く、静脈性尿路造影(感度51〜66%、特異度92〜100%)より優れているとされ、国内の検討でも単純CTの診断正診率90.7%が、KUB(腹部単純X線)72.3%、超音波検査34.4%、静脈性尿路造影88.2%より高い結果でした[6]。超音波検査は被曝がなく手軽に行える一方、尿管の途中にある結石は超音波だけでは見つけにくいことがあるとされています[6]。妊娠中の方は胎児への放射線被曝を避けるため、主に超音波検査で評価が行われます[1]。検査で結石の大きさ・位置が分かれば、次の章で説明する自然排石率の目安と照らし合わせて、今後の見通しを医師と相談できます。
結石は自然に出る?大きさ・場所と自然排石率の目安
「石の出し方」を知りたいと思ったとき、まず知っておきたいのが、結石が自然に出て行く可能性がどれくらいあるのか、という点です。ガイドラインは、長径10mm未満の上部尿路結石は自然排石が期待できるため、適切な痛みの管理を行いながら保存的に経過をみることが可能だとしています。結石が小さく、膀胱に近い(下部尿管に近い)ほど、自然排石率は高くなるとされています[1]。
自然排石を予測するもっとも重要な因子は結石の大きさです。ガイドラインが紹介するメタアナリシスでは、尿管結石の自然排石率は長径5mm未満で68%、5〜10mmで47%と報告されています[1]。一方、10mmを超える尿管結石では自然排石率は約30%に低下するものの、それでも自然に排出された例があると報告されています[1]。10mm未満の尿管結石6,600例を集めた最近のレビューでは、保存的治療で全体の64%が自然排石し、大きさ別では5mm未満の結石の75%、5mm以上の結石の62%が自然排石したとも報告されています[1]。調査によって区切り方や数値に幅がありますが、「5mmを境に自然排石率が大きく変わる」「10mmを超えると自然排石はかなり期待しにくくなる」という傾向は共通しています。
| 結石の大きさ(長径) | 自然排石率の目安 | 備考 |
|---|---|---|
| 5mm未満 | 約68〜75% | メタアナリシスおよび6,600例のレビューによる[1] |
| 5〜10mm | 約47〜62% | 同上[1] |
| 10mmを超える | 約30%に低下 | それでも自然排石例はある[1] |
| 上部尿管(腎盂に近い側) | 約49% | 10mm未満の結石6,600例のレビューによる[1] |
| 中部尿管 | 約58% | 同上[1] |
| 下部尿管(膀胱に近い側) | 約68% | 同上[1] |
出典:日本泌尿器科学会などのガイドライン2023年版[1]。複数の研究の結果を併記しているため、区切りの数値が完全には一致しません。
結石の場所によっても違いがあり、上の表のとおり、10mm未満の結石6,600例を集めた最近のレビューでは、上部尿管で約49%、中部尿管で約58%、下部尿管で約68%が自然排石したと報告されています。膀胱に近いほど自然排石率が高くなる傾向は、複数の研究で共通してみられます[1]。
自然排石までにかかる日数の目安として、ガイドラインは平均的な排石までの日数を、2mm以下でおよそ8.2日、2〜4mmでおよそ12.2日、4mm以上でおよそ22.1日と報告しています。また、10mm以下の尿管結石では、症状が出てから4週間以内に約3分の2の症例で自然排石を認めるとされています[1]。逆にいえば、4週間以上経過しても自然排石が確認できない場合は、腎機能障害や感染症の発症率が上がるため、積極的な治療(体外衝撃波や内視鏡による砕石など)を検討すべき時期とされています[1]。ご自身の結石が今どのくらいの大きさで、どの位置にあるのかは、CTや超音波などの画像検査を受けた医療機関で確認するのが確実です。
石の出し方 — 水分・体の動かし方・排石を助ける方法
結石を自然に出すための基本は、十分な水分摂取と、体を動かすことだとされています。藤田医科大学の解説では、水分の摂取量が少ないことが尿路結石の危険因子の一つとしてあげられており、直径6mmくらいまでの小さな尿管結石は、痛みを抑えながら水分を摂取し、自然に排石されるのを待つという選択肢も紹介されています[2]。ただし、これは痛みがある程度コントロールできていることが前提です。
ここで一つ注意が必要です。痛みの発作が強く出ている最中、つまり結石が尿管を完全にふさいでいる可能性がある間は、水分を多量に摂ることが必ずしも良い方向に働くとは限りません。結石で尿の流れがせき止められている状態で水分をたくさん摂ると、行き場のない尿によって腎盂の内圧がさらに高まり、痛みを強めてしまう可能性があると考えられます[2]。実際、ガイドラインは、疼痛管理の一環として点滴で強制的に大量の水分を補う方法について、鎮痛薬の使用量が減ったり自然排石率が上がったりする効果は認められないと述べています[6]。より新しい版のガイドラインでも、小さな結石では輸液による利尿で下降することもあるが、過度の輸液は腎盂内圧をさらに上昇させるため避けるべきだと、より踏み込んだ書き方で注意を促しています[1]。「とにかくたくさん飲めば早く出る」と決めつけず、痛みが強い間の水分量については医療機関の指示を仰ぐのが安全です。痛みが落ち着いている時期には、水分をしっかり摂ることが結石を押し流す助けになり、再発予防の基本にもなるとされています[1]。具体的な量の目安として、ガイドラインは、1日尿量が2,000mL以上となるよう、食事以外に1日2,000mL以上の飲水を勧めています[1]。済生会の解説も同様に、食事以外に1日2,000mlの水分をとることが理想だとし、水道水・麦茶・ほうじ茶などで補うことをすすめています。一方で、プリン体を含むアルコールや、砂糖を含む清涼飲料水・甘味飲料は結石にとって好ましくないため控えめにし、コーヒーや紅茶も過剰な摂取は避けた方がよいとされています[3]。「水ならどれだけ飲んでもいい」わけではなく、痛みが落ち着いた段階で、飲み物の種類も意識しながら少しずつ量を増やしていくのが現実的です。
体の動かし方については、痛みが許す範囲でであれば、じっと寝ているよりも軽く体を動かした方が結石の下降を助けると考えられていますが、これは激しい運動を勧める趣旨ではなく、無理のない範囲での話です。発汗後は水分摂取を心がけることも大切だとされています[2]。
薬で排石を助けられるかという点については、ガイドラインはα1遮断薬あるいはカルシウム拮抗薬(いずれも尿管を広げる作用を持つ薬)を使うことで、10mm以下の結石では自然排石率が増加することが報告されており、症状がコントロールできている患者に対しては第一選択となり得るとしています[1]。一方で、これらの薬は尿管結石の排石促進という用途では保険の適用がないこと、ウラジロガシエキスや漢方薬なども排石促進によく用いられてきたものの、エビデンスレベルの高い報告はまだないことも合わせて示されています[1]。この記事では薬の名称や具体的な使い方には触れません。排石を助ける薬を使うかどうかは、結石の大きさ・位置・症状の程度を踏まえて医師が判断することであり、市販薬を自己判断で追加する前に、一度泌尿器科に相談することをおすすめします。薬でどうしても痛みがコントロールできない場合や、1か月以上自然排石がない場合には、体外衝撃波や内視鏡を使った治療が検討されます[1]が、手術の方法や費用については、別記事で詳しく解説しています。
日本の実臨床では、NSAIDsで痛みが十分にコントロールできない場合、医療機関でより強い医療用の鎮痛薬が使われることもあります。ただし、海外のガイドラインで第2選択にあげられている薬剤の一部は、日本の実臨床ではほとんど使用されていないとガイドラインは述べており、痛みへの対応は国や医療機関によっても違いがあります[1]。「市販薬が効かないから仕方ない」と諦めず、医療機関には痛みの強さをそのまま伝えることが大切です。
前兆はあるのか — 突然の痛みに予兆はあるのか
「尿管結石には前兆があるのか」という疑問について、正直にお答えすると、はっきりした前兆があるという十分に確立された根拠は限られています。ガイドラインの解説でも、典型的な症状を伴わない症例もあり、診断には適切な画像検査が必要だと述べられています[1]。つまり、症状の出方には個人差があり、「こうなったら結石が来る」と言い切れる決まった予兆があるわけではないと考えられます。
藤田医科大学の解説では、疝痛発作は就寝中、特に朝方によく起こるとされています[2]。つまり、確立された前兆というより、突然始まることが多いという点のほうが、根拠のはっきりした情報です。一方で、結石が腎盂の中で動き始めた段階や、まだ尿管を完全にふさいでいない段階では、背中の鈍い違和感や重だるさ、頻尿、残尿感、ときに軽い血尿などが先に現れることがある、と臨床の現場では言われることがあります。ただし、これらが「前兆」として確立された報告として存在するわけではなく、ここではJHO編集部の整理として、可能性の一つに留まる点をご理解のうえお読みください。これまでに結石になったことがある方が、以前と似た軽い違和感や血尿に気づいた場合は、次の激痛が来る前に一度泌尿器科で相談しておくと安心です。逆に、何の違和感もない状態から急に激痛が始まるケースが多いことも事実ですので、「前兆がなかったから結石ではない」とは言えない点にも注意してください。
なぜ自分が尿管結石になったのか — 原因とリスク要因
尿管結石の症状がなぜ自分に起きたのか、気になる方も多いと思います。尿管結石の原因は一つではなく、複数の要因が重なって起こると考えられています。ガイドラインが紹介する日本の全国調査(2015年)によると、上部尿路結石の年間罹患率は人口10万人あたり138人(男性192人、女性87人)で、1965年と比較して約3倍、1995年と比較して約1.6倍に増加していますが、2005年の調査と比べると伸びは鈍化しているとされています[1]。生涯のうちに一度でも尿路結石にかかる割合(生涯罹患率)でみると、男性ではおよそ7人に1人、女性ではおよそ15人に1人が一生に一度は尿路結石にかかると推定されています[1]。男性の罹患率は女性の2.2倍で、男性に多い病気であることに変わりはありません[1]。別の版の調査では、この当時、尿路結石を持っている人の割合(有病率)は人口10万人あたり429人(男性309人、女性120人)で、初めて結石になった人と再発した人の比率はおよそ1.7対1と、初発の患者の方が多いとされていました[6]。長期的に患者数が増えた背景として、ガイドラインは食生活や生活様式の欧米化が日本に定着したこと、CTや超音波検査など診断技術が向上して見つかる結石が増えたこと、人口の高齢化が進んだことなどをあげています[6]。「昔より結石が増えている気がする」という印象は、実際のデータにも裏付けがあるといえます。
「尿管結石 女性」と検索する方が多いのは、男性の病気だと思われがちだからだと考えられますが、女性でも決して珍しい病気ではありません。済生会の解説でも、日本人男性の7人に1人、女性の15人に1人が一生のうち一度は尿路結石にかかるといわれていますと紹介されています[3]。別の版のガイドラインが紹介する調査では、男性の好発年齢のピークが40歳代であるのに対し、女性の好発年齢は1965年・1975年の調査では20歳代にピークがあったものの、1985年以降の調査では50歳代にピークが見られるようになったとされています[6]。これは、女性ホルモンが結石のできにくさに関わっていると考えられており、閉経後にホルモンの影響が弱まることで発症しやすくなるためではないかと考えられています。
肥満・メタボリックシンドロームとの関係については、ガイドラインは、多くの疫学研究や基礎研究により尿路結石症とメタボリックシンドロームや生活習慣病との関連が強く示唆されているとし、上部尿路結石患者のメタボリックシンドロームの合併率は男性43%、女性31%で、国民健康・栄養調査による一般的なメタボリックシンドロームの統計(男性30.4%、女性11.9%)と比較しても高い頻度だと報告しています[1]。若い世代に多い尿路結石の発症は、将来のメタボリックシンドロームの兆候として捉えることもできるとガイドラインは指摘しており、結石の予防が生活習慣病全体の見直しにつながる面もあります[6]。
| リスク要因 | 内容 |
|---|---|
| 水分不足・尿の濃縮 | 1日の水分摂取が少ないと尿中の結石成分の濃度が上がりやすくなる[2] |
| 肥満・メタボリックシンドローム | 上部尿路結石患者のメタボリックシンドローム合併率は男性43%、女性31%と、一般統計(男性30.4%、女性11.9%)より高い[1] |
| 家族歴 | 別の版の調査対象4,958例中753例(14.8%)に二親等以内の家族歴あり。家族歴がある人はより若い年齢で発症しやすい傾向[6] |
| 季節(夏) | 四季のある地域では夏期に約2倍多く疝痛発作が起こるとされ、発汗による尿の濃縮が関係すると考えられている[1] |
| 食生活の欧米化 | 動物性たんぱく質・塩分・脂肪の摂取過多、野菜摂取不足などが関連すると考えられている[1] |
| 特定の生活習慣病 | 糖尿病・高血圧など生活習慣病の重積と尿路結石症の関連が多くの疫学研究で示されている[1] |
| 服用中の薬剤 | ガイドラインは、服用している薬剤が結石の形成に深く関与することがあるため、服用期間を含めた問診が重要としている[1] |
出典:日本泌尿器科学会・日本尿路結石症学会・日本泌尿器内視鏡学会「尿路結石症診療ガイドライン」第2版(2013年)[1]/藤田医科大学 医学部 腎泌尿器外科学講座「尿路結石」[2]
季節性については、外気温の上昇によって汗をかき、体の水分が失われることで尿が濃縮され、抗利尿ホルモンの分泌を通じて尿量が減ることが関係していると考えられています[1]。済生会の解説でも、結石の疝痛発作は夏になると汗をかくなどして尿が濃くなるので、起きやすくなるともいわれていますと述べられています[3]。夏場に脇腹の痛みが増える印象がある方は、水分摂取量を意識的に増やすことが予防につながる可能性があります。
コーヒー・食べてはいけないものは本当か
激痛そのものは、多くの場合、数十分から数時間の波を何度か繰り返しながら、結石が下降するとともに徐々におさまっていくと考えられていますが、結石が狭窄部に留まる時間には個人差が大きく、痛みが一度落ち着いてもぶり返すことがあります。今の痛みが落ち着いたあと、尿管結石の症状を繰り返さないために食事を見直したいという方は多いと思います。「尿管結石 食べてはいけないもの」で検索すると、様々な食品名が挙がりますが、ここではガイドラインに基づいて、根拠がはっきりしているものとそうでないものを分けて説明します。まず比較的根拠がはっきりしているのがシュウ酸です。ガイドラインは、尿中に排泄されるシュウ酸の約70%は食事に由来する(外因性)とし、シュウ酸を多く含む食品として、葉菜類の野菜・タケノコ・紅茶・コーヒー・お茶(特に玉露・抹茶)・バナナ・チョコレート・ココア・ピーナッツ・アーモンドなどをあげています[1]。
「コーヒーは尿管結石によくないのか」という疑問については、コーヒーや紅茶、お茶は多くの日本人が毎日飲んでいる嗜好品であるため注意が必要だと、ガイドラインは指摘しています。別の版のガイドラインが紹介する東欧からの報告では、シュウ酸カルシウム結石の患者における食事由来のシュウ酸の80〜85%は紅茶やコーヒーだったとされています[6]。これは「コーヒーを絶対に飲んではいけない」という意味ではなく、毎日の習慣として積み重なる量が多くなりやすいため、飲みすぎには注意した方がよい、という位置づけの情報と考えられます。ガイドラインは、実際によく飲まれる飲料の中でシュウ酸を多く含むものとして、紅茶・玉露・煎茶をあげています[1]。玉露・抹茶が気になる方は、ほうじ茶や番茶に置き換えるといった工夫が考えられます(別の版のガイドラインでは、お湯を注ぐ回数が多いほど溶け出す量は減るとも紹介されています[6])。シュウ酸を減らす工夫としては、カルシウムを含む食品と一緒に摂ることで腸管でのシュウ酸の吸収が抑えられること、下茹でをすることでシュウ酸を50%以上減らせることなどが、ガイドラインで紹介されています[1]。
ここで、意外に思われるかもしれない点をお伝えします。それは、カルシウムを極端に減らすことがかえって逆効果になりうるという点です。従来、カルシウム結石の予防にはカルシウムを制限すべきだと考えられてきましたが、最近の前向き研究では、カルシウム結石の再発予防にはカルシウム摂取を制限するより、むしろ一定量のカルシウム摂取を行うことが勧められるとガイドラインは述べています[1]。仕組みとしては、カルシウムは腸の中でシュウ酸と結合して、吸収されにくい形に変わり、便として体の外に出ていきます。そのためカルシウムを極端に減らすと、結合する相手を失ったシュウ酸がそのまま腸から吸収されやすくなり、尿の中に出てくるシュウ酸の量がかえって増えてしまうことが分かってきたと説明されています[6]。ガイドラインは、バランスのとれた食事の一環として、1日600〜800mgの一定量のカルシウム摂取を推奨しています[1]。これは牛乳や豆腐であれば100gあたり約100mgのカルシウムが含まれる量から逆算できます[6]。カルシウムそのものを避けるのではなく、極端に減らしすぎないことが大切だと考えられます。
このほか、塩分の摂りすぎはカルシウムの尿への排泄を増やし、結石を防ぐ働きを持つクエン酸の尿への排泄を減らすため、適度な塩分制限が有用と考えられています。ガイドラインは、食事指導の目安として、動物性たんぱく質は体重1kgあたり1日1.0g以下、塩分は男性で1日7.5g未満・女性で1日6.5g未満に抑えることをあげています[1]。別の版のガイドラインが紹介する海外の5年間の追跡研究では、高カルシウム尿症を合併した再発性のシュウ酸カルシウム結石患者120名を60名ずつ2群に分け、一方には通常量のカルシウムに加えて動物性たんぱく質と塩分を控える食事を、もう一方には従来型のカルシウム制限食を続けてもらったところ、5年後の結石再発は前者で60名中12名、後者で60名中23名となり、カルシウムを我慢するより、動物性たんぱく質と塩分を控える食事の方が有意に再発予防に優れていたと報告されています[6]。「結石予防=カルシウム断ち」というイメージとは逆の結果である点に、注目する価値があります。プリン体を多く含む食品・飲料(特にビールなどのアルコール飲料)は尿酸結石やカルシウム結石の一因になりうるとされています[6]。ただし、これらの食事療法は結石の成分によって適した内容が変わり、長期的な再発予防にかかわる話でもあるため、より詳しい食事の工夫は、当サイトの食事療法の記事で個別に解説しています。
再発を防ぐには
一度おさまった尿管結石の症状も、何もしなければ再び起こることが少なくありません。尿管結石は再発しやすい病気として知られています。済生会の解説では、尿路結石はとても再発しやすい病気で、再発率は5年間で20%、20年間で80%ともいわれていますと紹介されています[3]。ガイドラインも、水分の多量摂取・肥満の防止・食生活の改善という3つが再発予防の基本であると述べ、定期的な通院そのものが結石の再発率を下げる効果(stone clinic effects)も証明されていると紹介しています[1]。
今回の痛みが落ち着いた後の長期的な水分の摂り方・食事の工夫・体重管理といった再発予防については、当サイトで結石の成分別に詳しくまとめた記事を用意していますので、そちらもあわせてご覧ください。
この記事でご紹介した自然排石率や日数はいずれも研究結果の平均的な傾向であり、実際にどうなるかは結石の成分・尿管の形・体格など個人差が大きく、同じ大きさの結石でも人によって経過は異なります。また、尿管結石の「予兆」については、信頼できる形で確立された基準を示す資料は見当たりませんでした。この点は経験的な報告にとどまるものとしてご理解ください。カルシウムの至適な摂取量についても、日本では大量摂取を勧める段階までのデータはまだ蓄積されていません[6]。この記事は主に2023年発行の尿路結石症診療ガイドライン第3版に基づいていますが、一部の統計(家族歴の頻度など)は、より新しい版に同じ調査が引き継がれているか確認できなかったため、あえて2013年発行の第2版のまま「別の版のガイドラインでは」と明記して紹介しています。ガイドラインは今後も改定される可能性があるため、最新の推奨については受診先の医療機関で直接確認することをおすすめします。
更新日:2026年7月25日。この記事の内容について、誤りや古い情報にお気づきの際は、下記の参考文献とあわせてご確認のうえ、編集部までお知らせください。事実を確認のうえ訂正いたします。
よくある質問
尿管結石とはどのような病気ですか?
尿管結石の症状にはどのようなものがありますか?
尿管結石はなぜ起こるのですか?
尿管結石は女性でもなりますか?
結石は自然に出ますか?石の出し方はありますか?
尿管結石に前触れ(予兆)はありますか?
コーヒーは尿管結石によくないのですか?
尿管結石で食べてはいけないものはありますか?
尿管結石はどのように治療しますか?
尿管結石を予防するにはどうすればいいですか?
尿管結石の診断はどのように行いますか?
仕事や日常生活は休んだ方がいいですか?
何科を受診すればいいですか?
痛みが我慢できないときはどうすればいいですか?
参考文献
- 日本泌尿器科学会・日本尿路結石症学会・日本泌尿器内視鏡・ロボティクス学会「尿路結石症診療ガイドライン2023年版」第3版 https://www.urol.or.jp/lib/files/other/guideline/46_urolithiasis_2023.pdf ↩
- 藤田医科大学 医学部 腎泌尿器外科学講座「尿路結石」 http://info.fujita-hu.ac.jp/~urology/explain05.html ↩
- 済生会「尿路結石」(解説:大地宏/山形済生病院 泌尿器科医長、2013年6月24日公開) https://www.saiseikai.or.jp/medical/disease/ureteral_calculus/ ↩
- 国立病院機構大阪医療センター 診療navi「尿管結石」 https://osaka.hosp.go.jp/shinryo-navi/disease/l07.html ↩
- 総務省消防庁「救急安心センター事業(♯7119)ってナニ?」 https://www.fdma.go.jp/mission/enrichment/appropriate/appropriate007.html ↩
- 日本泌尿器科学会・日本尿路結石症学会・日本泌尿器内視鏡学会「尿路結石症診療ガイドライン」第2版(金原出版、2013年、2005年全国疫学調査を収載) https://www.urol.or.jp/lib/files/other/guideline/03_urolithiasis_2013_2.pdf ↩
あわせて読みたい:腎臓の病気についてまとめた特集ページでは、腎臓に関わる症状や病気を横断的に紹介しています。手術後の生活や費用が気になる方は尿路結石の完全ガイド:症状、診断、最新治療から再発予防のすべてで治療の全体像を、長期的な食事の工夫は尿路結石の食事療法ガイド決定版:国際診療指針(JUA/AUA/EAU)に基づく科学的予防策で、生活習慣の見直しは腎結石の再発を防ぐ8つの生活習慣:自宅で実践できる完全ガイドで、それぞれ詳しく解説しています。結石ができる仕組みや合併症を含めた全体像は腎臓結石の包括的リスク管理:最新国際ガイドラインと日本の臨床現場から見た合併症、治療、予防の全貌で、初期症状から再発予防までを総ざらいしたい方は腎臓結石の症状(初期症状も)から原因、治療、再発予防の食事まですべて解説もあわせてご覧ください。
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