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糖尿病 23分で読める 15回

糖尿病と高血圧の関係とは?原因・降圧目標・合併症を解説

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糖尿病と高血圧の関係とは?結論から言うと、両者は「合併しやすい」だけでなく、共通のメカニズムで互いを悪化させる関係にあります。国際的な系統的レビューでは、2型糖尿病患者の多くの研究で高血圧の割合が50%を超え、多くで75%を超えていたと報告されています[3]高血糖はナトリウムの再吸収増加・RAAS(レニン-アンジオテンシン-アルドステロン系)の活性化・交感神経の過活動という複数の経路を通じて血圧を押し上げると報告されています[2]

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「糖尿病の診断に続いて血圧も高いと言われた」「糖尿病と高血圧、どちらを優先して治療すればいいのか分からない」という方に向けて、この記事では厚生労働省の公的資料と査読済み医学論文だけを根拠に、両者がなぜ合併しやすいのか、血圧の基準値、糖尿病患者に勧められる降圧目標、合併症リスク、生活習慣による対策までを整理しています。断定できない部分は「分かっていない」とはっきり書いており、数字はすべて出典を示しています。

要点まとめ

  • 2型糖尿病患者では、高血圧を合併している割合が多くの研究で50%を超え、75%を超える研究も多いと報告されている[3]
  • 高血圧の診断基準は、診察室血圧で収縮期140mmHg以上・拡張期90mmHg以上、家庭血圧で収縮期135mmHg以上・拡張期85mmHg以上とされている[1]
  • 糖尿病患者に推奨される降圧目標は収縮期140mmHg未満・拡張期90mmHg未満が一般的だが、若年者やアルブミン尿がある場合はより厳格な目標(収縮期130mmHg未満)が適切な場合があると報告されている[2]
  • 高血糖は、腎臓でのナトリウム再吸収増加・RAAS活性化・交感神経過活動という複数の経路を通じて血圧を上昇させると報告されている[2]
  • 糖尿病と高血圧が重なると、腎症・心血管疾患のリスクがさらに高まるという報告がある[2]

編集方針: JHO編集部がAIツールの支援を受け、公的機関・学会・査読論文と照合して作成。最終確認は人の目。医師による個別診断の代わりにはなりません。数値・分類はガイドライン改定により変わることがあります(2026年7月時点)。最終更新日:2026年7月19日。記載内容に誤りや古い情報にお気づきの場合は、サイト内のお問い合わせ窓口までご連絡いただけますと幸いです。

糖尿病と高血圧はなぜ合併しやすいのか — 共通するメカニズム

糖尿病と高血圧が同時に見られる患者が多い背景には、両者が共通の危険因子・共通のメカニズムを持っていることが挙げられます。PMC掲載の総説によれば、高血糖の状態が続くと、腎臓の近位尿細管でグルコースの再吸収が増加し、それに伴ってナトリウムの再吸収も増加することで、体内の水分量が増え、血圧が上昇すると報告されています[2]

もう1つの経路は、RAAS(レニン-アンジオテンシン-アルドステロン系)と呼ばれる、血圧を調節するホルモン系の過剰な活性化です。糖尿病があると、このRAASが過剰に働き、血管を収縮させたり、ナトリウムと水分をさらに保持させたりすることで、血圧上昇と血管障害の両方を引き起こすと報告されています[2]。さらに、交感神経系(体を興奮・緊張させる自律神経)の過活動も血圧を押し上げる要因として指摘されており、終末糖化産物(AGEs)の蓄積による血管の弾力性低下が、収縮期血圧の上昇と動脈硬化のリスクをさらに高めると報告されています[2]

これらのメカニズムに加えて、糖尿病と高血圧は、内臓脂肪の蓄積・脂質異常・運動不足・食塩の摂りすぎといった共通の生活習慣的な危険因子を持つことも、両者が同時に起こりやすい理由の1つです[1]。つまり、糖尿病と高血圧は「たまたま同時に起きた別々の病気」ではなく、内臓脂肪の蓄積や慢性的な炎症、血管の状態の悪化といった、体の中で密接につながった同じ根っこから生じている場合が多いということです。この考え方は、治療のアプローチにも影響します。片方だけを厳格に治療しても、もう片方を引き起こしているメカニズム自体が残っていれば、根本的な改善にはつながりにくいということでもあります。

もう少し詳しく見ると、インスリン抵抗性(インスリンが効きにくくなった状態)そのものが、血管の内皮機能を低下させ、動脈を硬く狭くする方向に働くことも指摘されています[2]。動脈が硬くなると血流への抵抗が増し、それを乗り越えるために血圧が上がりやすくなります。さらに血圧が高い状態が続くと、その圧力自体が血管の内皮をさらに傷つけ、インスリン抵抗性を悪化させる方向に働くという悪循環が生じうると報告されています[2]。糖尿病と高血圧が「互いを悪化させる関係」と表現される所以です。

厚生労働省 e-ヘルスネット「高血圧」およびPMC5679430をもとにJHO編集部が作図

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これは診断ではありません。入力された数値を日本高血圧学会の血圧値の分類(高血圧の基準は診察室 140/90mmHg以上・家庭 135/85mmHg以上)に当てはめて「受診の目安」を機械的に示すもので、医師の診察に代わるものではありません。日本高血圧学会「高血圧管理・治療ガイドライン2025」では、降圧目標は年齢によらず診察室 130/80mmHg未満・家庭 125/75mmHg未満とされています。脈拍の目安は学会の分類ではなく一般的な参考範囲です。

糖尿病と高血圧の基準値・降圧目標

厚生労働省のe-ヘルスネットによれば、高血圧の診断基準は測定場所によって異なり、診察室血圧では収縮期血圧(最大血圧)が140mmHg以上、または拡張期血圧(最小血圧)が90mmHg以上、家庭血圧では収縮期血圧135mmHg以上または拡張期血圧85mmHg以上が高血圧の目安とされています[1]。家庭血圧の基準が診察室血圧より低く設定されているのは、診察室では緊張などのストレスにより血圧が高く出やすいためです[1]

糖尿病患者に推奨される降圧目標については、PMC掲載のガイドラインで、収縮期血圧140mmHg未満・拡張期血圧90mmHg未満が現行の一般的な推奨とされていますが、若年患者・アルブミン尿(尿にたんぱくが漏れ出ている状態)がある患者・その他の動脈硬化性心血管疾患の危険因子を1つ以上持つ患者では、より厳格な収縮期血圧130mmHg未満の目標が適切な場合があると報告されています[2]。ただし、厳格な降圧目標の利益とリスクは患者によって異なるため、主治医との話し合いを通じて個々の目標を決めることが推奨されています[2]。数値だけを追いかけるのではなく、自分にとって無理のない範囲でどこまで管理を強化できるかを、体調や生活背景も踏まえて話し合うことが望まれます。

指標 基準値の目安 備考
高血圧の診断基準(診察室血圧) 収縮期140mmHg以上/拡張期90mmHg以上 厚生労働省 e-ヘルスネット[1]
高血圧の診断基準(家庭血圧) 収縮期135mmHg以上/拡張期85mmHg以上 厚生労働省 e-ヘルスネット[1]
糖尿病患者の降圧目標(一般) 収縮期140mmHg未満/拡張期90mmHg未満 PMC掲載ガイドライン[2]
糖尿病患者の降圧目標(高リスク患者) 収縮期130mmHg未満 アルブミン尿・若年者などで検討[2]

出典:厚生労働省 e-ヘルスネット「高血圧」[1]/糖尿病合併高血圧の病態生理・治療目標に関するガイドライン(PMC掲載)[2]

どれくらいの人が両方を合併しているのか

糖尿病と高血圧の合併は、決して珍しいことではありません。国際的な系統的レビューによれば、2型糖尿病患者を対象にした観察研究の多くで高血圧の割合が50%を超え、多くの研究で75%を超えていたと報告されています[3]。地域別に見ると、肥満を伴う2型糖尿病患者における高血圧の割合は、アジアで70%以上、ヨーロッパで80%以上に達していたと報告されています[3]

この系統的レビューでは、インド・日本・イランなど一部の国では他国と比べて報告されている高血圧の割合が低く、最も高い推定値でも50%未満にとどまっていたことにも言及されています[3]。ただし、これは国ごとの診断基準・調査方法・対象集団の違いによる可能性があり、日本人の糖尿病患者において高血圧のリスクが本質的に低いことを意味するものではありません。糖尿病があるという時点で、高血圧の発症・進行に注意を払う価値は十分にあると考えられます。

対象・地域 報告されている高血圧の割合 出典
2型糖尿病患者(多くの研究、地域を問わず) 50%超(多くは75%超) 系統的レビュー[3]
肥満を伴う2型糖尿病患者(アジア) 70%以上 系統的レビュー[3]
肥満を伴う2型糖尿病患者(ヨーロッパ) 80%以上 系統的レビュー[3]
日本・インド・イランなど一部の国 最高値でも50%未満 系統的レビュー[3]

出典:2型糖尿病患者における高血圧・肥満の有病率に関する系統的レビュー(PMC掲載)[3]

すぐに医療機関を受診すべきサイン

  • 血圧が180/120mmHgを超えるなど、著しく高い数値が出た場合[1]
  • 激しい頭痛・胸痛・息切れ・めまい・視覚の異常を伴う血圧上昇
  • むくみ・尿の泡立ち・排尿量の急激な変化(腎症の進行サイン)
  • 手足のしびれ・ろれつが回らない・顔の片側が動かしにくい(脳卒中を疑うサイン)
  • 糖尿病の血糖値が急激に悪化しているのと同時に血圧も上昇している場合

特に、激しい頭痛や胸痛、手足のしびれ、ろれつが回らないといった症状を伴う血圧上昇は、脳卒中や心筋梗塞などの緊急事態のサインである可能性があります。様子を見ず、すぐに医療機関を受診するか、症状が重い場合は救急要請を検討してください。「いつもの頭痛だろう」「疲れているだけだろう」と自己判断で様子を見てしまうことが、対応の遅れにつながる最大の要因です。少しでも普段と違うと感じたら、早めに相談する姿勢が命を守ります。

受診の目安 — 何科に相談すればいい?

糖尿病と高血圧の両方がある場合、多くは糖尿病を管理している内科(糖尿病内科・内分泌内科)が中心となって血圧の管理も行うことが一般的です。ただし、血圧のコントロールが難しい場合や、腎機能の低下が疑われる場合は、循環器内科や腎臓内科と連携することもあります。どの科にかかればよいか迷う場合は、まずかかりつけの糖尿病内科医に相談し、必要に応じて紹介を受けるという流れが現実的です。

状況 相談先の目安 備考
血糖値・血圧とも軽度〜中等度の上昇 糖尿病内科・かかりつけ医 生活習慣改善+薬物療法の一元管理が基本
血圧が180/120mmHgを超える すぐに医療機関を受診 高血圧緊急症の可能性[1]
むくみ・尿の異常が出てきた 腎臓内科(糖尿病内科から紹介) 腎症の進行を疑うサイン[2]
胸痛・息切れ・不整脈がある 循環器内科・救急 心血管イベントを疑うサイン[2]

出典:厚生労働省 e-ヘルスネット「高血圧」[1]/糖尿病合併高血圧ガイドライン(PMC掲載)[2]

受診時にメモして持っていくと役立つこと

  • 直近の血糖値・HbA1cの数値
  • 家庭で測った血圧の記録(できれば1〜2週間分)
  • むくみ・頭痛・胸痛など気になる症状の有無
  • 現在服用中の糖尿病治療薬・降圧薬
  • 他院で受けた検査結果(腎機能・尿検査など)
  • 血縁者に高血圧・糖尿病・脳卒中・心筋梗塞の既往があるか

合併したときの合併症リスク — なぜ両方の管理が重要か

糖尿病と高血圧が同時にあると、それぞれが単独である場合よりも、臓器へのダメージが重なりやすくなります。PMC掲載のガイドラインでは、両者が重なることで、腎症の進行・血管内皮の損傷・心筋梗塞や脳卒中といった心血管イベントのリスクが高まると報告されています[2]。腎臓は、糸球体という毛細血管の集まりでできており、高血糖による直接的なダメージと、高血圧による血管への負担の両方を受けるため、糖尿病単独・高血圧単独の場合よりも腎機能の低下が早く進むことがあると報告されています[2]

厚生労働省の資料では、高血圧が進行した場合の合併症として、心臓では狭心症・心筋梗塞・心不全、脳では脳梗塞・脳出血などの脳血管障害(脳卒中)や認知症が挙げられています[1]。糖尿病があると動脈硬化がさらに進みやすくなるため、これらの合併症のリスクは、高血圧のみの場合よりも高くなると考えられます。眼の網膜においても、高血糖と高血圧の両方が血管に負担をかけるため、糖尿病網膜症が進行しやすくなる可能性があります。

つまり、両者は互いに独立しつつも連動するリスク因子であり、糖尿病と高血圧は「どちらか一方を治療すればよい」という関係ではなく、両方を同時に管理することが、将来の合併症を防ぐうえで重要だということです。血糖値だけ、あるいは血圧だけを気にするのではなく、両方の数値を定期的に確認し、主治医と一緒に長期的な視点で管理していく姿勢が求められます。

特に腎臓は、糖尿病と高血圧の両方から負担を受ける代表的な臓器です。高血糖は腎臓の糸球体(血液をろ過する微細な組織)に直接ダメージを与え、高血圧はその糸球体にかかる圧力をさらに高めることで、ダメージを加速させると考えられています[2]。この2つの要因が重なると、蛋白尿(尿にたんぱくが漏れ出る状態)が進行しやすくなり、放置すれば将来的に人工透析が必要になるリスクが、糖尿病単独・高血圧単独の場合よりも高まる可能性があります。3〜6か月ごとの定期的な尿検査・血液検査で腎機能をチェックすることが、両者を合併している方には特に重要です。自覚症状が乏しい初期の段階で異常を見つけられるかどうかが、その後数年〜数十年の経過を大きく左右するため、症状がないからと年1回の健診や定期検査を先延ばしにしないことが勧められます。

降圧薬の選び方 — なぜRAAS系の薬が中心なのか

糖尿病を合併する高血圧の治療では、数ある降圧薬の中でも、ACE阻害薬やARB(アンジオテンシン受容体拮抗薬)といった、RAAS(レニン-アンジオテンシン-アルドステロン系)に作用する薬が中心的な選択肢として推奨されていると報告されています[2]。これは、単に血圧を下げる効果があるからだけではありません。糖尿病では、前述の通りRAASが過剰に活性化しやすく、この経路自体が腎臓の血管に負担をかける一因になっているため、RAAS系に作用する薬は血圧を下げると同時に、腎臓を保護する方向にも働くと報告されています[2]

ただし、生活習慣の改善や単剤の薬物療法だけでは目標値に届かないことも多く、PMC掲載のガイドラインでは、多くの患者でサイアザイド系利尿薬などを組み合わせた併用療法が必要になると報告されています[2]。降圧薬の選択・組み合わせは、腎機能・年齢・他の合併症の有無、さらには併用している他の薬との相互作用によって個別に判断されるべき事項であり、他の患者の治療内容をそのまま参考にすることはお勧めできません。薬の変更や中止は必ず主治医の指示のもとで行ってください。特に、体調不良で食事や水分が十分に摂れないとき(シックデイ)は、脱水と薬の作用が重なって血圧が急激に下がることもあるため、自己判断で服薬を続けるか中止するかを決めず、あらかじめ主治医と相談したルールに従うことが勧められます。

妊娠中・高齢者など特別な配慮が必要な場合

糖尿病と高血圧の管理は、患者の年齢やライフステージによって配慮すべき点が異なります。高齢の患者では、血圧を厳格に下げすぎることで、立ちくらみや転倒のリスクが高まる可能性があるため、年齢や全身状態に応じて降圧目標を緩やかに設定することが検討される場合があります。妊娠中に糖尿病(妊娠糖尿病を含む)と高血圧(妊娠高血圧症候群)が重なるケースでは、母体・胎児双方への影響を考慮した専門的な管理が必要になるため、産婦人科と糖尿病内科の連携が欠かせません。妊娠中は使用できる降圧薬にも制限があるため、妊娠を希望する時点、あるいは妊娠が判明した時点で、できるだけ早く主治医に相談し、薬の見直しを含めた管理計画を立てることが望まれます。

いずれの場合も、「一般的な降圧目標」をそのまま当てはめるのではなく、個々の患者の状態に応じて主治医が目標値を調整するという原則は共通しています[2]。年齢や体調によって「もっと厳しく管理すべきか、少し緩めてもよいか」は変わりうるため、疑問があれば遠慮せず主治医に相談することが勧められます。

生活習慣でできる対策

糖尿病と高血圧に共通する生活習慣上の対策は、多くの部分が重なっています。

  • 減塩:厚生労働省の資料では、日本人の高血圧の最大の原因は食塩の摂りすぎとされています。減塩は血圧を下げるだけでなく、糖尿病の管理にもプラスに働く生活習慣の基本です[1]
  • 減量:肥満は糖尿病・高血圧の両方の危険因子です。PMC掲載のガイドラインでも、体重減少が糖尿病合併高血圧の治療の基盤の1つとして位置づけられています[2]
  • 運動不足の解消:運動不足は高血圧の原因の1つとして挙げられており、適度な運動習慣は血糖コントロールと血圧管理の両方に役立つと報告されています[1]
  • 節度ある飲酒:過度な飲酒は血圧を上げる要因として報告されています。飲酒量を見直すことも対策の1つです[1]
  • 薬物療法の遵守:生活習慣の改善だけで目標に届かない場合、RAAS系に作用する薬(ACE阻害薬・ARBなど)を中心とした薬物療法が推奨されており、多くの患者で複数の薬を組み合わせる併用療法が必要になると報告されています[2]

これらの対策は、糖尿病の食事療法・運動療法とほぼ重なるため、「糖尿病の管理をきちんと行うこと」自体が、高血圧の予防・改善にもつながるという側面があり、二重の努力ではなく一石二鳥の取り組みだと捉えることができます。逆に、血圧の管理をおろそかにすると、血糖コントロールがどれだけ良好でも、腎症や心血管疾患のリスクを十分に抑えられない可能性があります。

減塩については、「薄味に慣れる」ことがハードルに感じられる方も多いですが、だしや香辛料、酸味を活用して風味を補う、加工食品や外食の頻度を減らす、麺類の汁を残すといった、小さな工夫の積み重ねが効果を生みます。運動については、ウォーキングなどの有酸素運動を無理のない範囲で継続することが、血糖・血圧・体重のいずれにも良い影響を与えると考えられています。急に激しい運動を始めるのではなく、まずは日常の中で歩く機会を増やすところから始めるのが現実的です。エレベーターを階段に変える、一駅分歩く、テレビを見ながら軽いストレッチをするといった小さな積み重ねでも、長期的には血糖・血圧の両方に良い影響が期待できます。継続のコツは「完璧を求めすぎない」ことで、できなかった日があっても翌日また続ければよいという気持ちで取り組むことが、長続きの秘訣です。

血糖コントロールと血圧、どちらを優先すべきか

糖尿病と高血圧を両方指摘されると、「まずどちらを優先すべきか」と悩む方も少なくありません。PMC掲載のガイドラインの立場は明確で、両者は独立したリスク因子であり、どちらか一方だけを管理しても、もう一方由来のリスクは残るとされています[2]。つまり、血糖値だけを厳格に管理して血圧を放置する、あるいはその逆というアプローチでは、心血管疾患や腎症のリスクを十分に減らせない可能性があるということです。

現実的には、生活習慣の改善(減塩・減量・運動・節酒)は血糖・血圧の両方に働きかけるため、まずはここから着手し、それでも目標に届かない場合に、それぞれの薬物療法を主治医と相談しながら並行して進めていくというのが、多くのガイドラインが示す現実的なアプローチです[1][2]。どちらか一方を「後回し」にする合理的な理由は、基本的にはないと理解しておくとよいでしょう。

とはいえ、実際の診療の場では、患者の負担も考慮されます。減塩・減量・運動といった生活習慣の改善は血糖・血圧の両方に効くため優先度が高い一方、薬の種類を一度に増やしすぎると飲み忘れや副作用管理が難しくなることもあります。そのため、実際の治療計画では、生活習慣改善を土台としながら、薬物療法については症状や検査値の優先度に応じて段階的に調整していくというのが現実的な進め方です。焦って自己判断で薬を増減させるのではなく、次回の診察で数値の変化を報告し、主治医と一緒に計画を見直していくことが大切です。

この症状、放置して大丈夫?次に確認すべきこと 関連記事
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血圧を自分で測るときのポイント

糖尿病がある方にとって、家庭での血圧測定は、血糖自己測定と並んで日々の健康管理の柱の1つになります。厚生労働省の資料でも、診察室血圧は緊張などのストレスの影響を受けやすいため、日常の血圧管理には家庭血圧の記録が重視される傾向があると触れられています[1]。正確な測定のためには、毎日同じ時間帯(起床後・就寝前など)に、座った状態で1〜2分安静にしてから測定し、記録を続けることが基本です。

1回だけ高い数値が出たからといって過度に心配する必要はありませんが、数値の記録を主治医に見せることで、日中の血圧変動パターンや、薬の効果が正しく現れているかどうか、また季節や生活の変化が血圧にどう影響しているかを評価する手がかりになります。血糖値の記録とあわせて血圧の記録も持参すると、糖尿病内科での診療がより的確になります。スマートフォンと連携する血圧計や、血糖値の記録アプリを併用することで、日々の記録の手間を減らせる場合もあります。

測定時の姿勢や状況によって血圧は変動しやすいため、測定直前の喫煙・カフェイン摂取・激しい運動は避け、腕の位置を心臓の高さに合わせて測ることも、より正確な数値を得るうえでのポイントです。同じ条件で継続的に測ることで、数値そのものよりも「変化の傾向」を把握することが、日々の管理では重要になります。

糖尿病の種類によって高血圧のリスクは違うのか

糖尿病には主に1型糖尿病と2型糖尿病があり、高血圧との関係も同じではありません。今回参照したPMC掲載の系統的レビュー・ガイドラインは主に2型糖尿病を対象としたものであり、内臓脂肪の蓄積やインスリン抵抗性を背景とした高血圧の合併が中心的なテーマとして扱われています[2][3]。1型糖尿病の場合、高血圧の背景には、腎症の進行に伴う血圧上昇など、2型糖尿病とは異なるメカニズムが関わることがあります。

どちらのタイプの糖尿病であっても、血圧の管理が合併症予防にとって重要であるという基本方針は共通していますが、原因や治療アプローチの細部は異なる場合があるため、自分の糖尿病のタイプに応じた説明を主治医から受けることが大切です。「糖尿病だから一律にこの薬・この目標値」という単純な当てはめではなく、個々の病態に応じた管理が必要になります。診察の際に、自分の糖尿病のタイプ(1型か2型か)と、それに応じた血圧管理の考え方について、遠慮せず主治医に質問してみることをお勧めします。特に若くして1型糖尿病と診断された方は、糖尿病歴が長くなるにつれて腎症が進行し、それに伴って血圧が上昇してくることがあるため、症状がなくても定期的な検査を続けることが将来のリスクを早期に把握するうえで重要です。

他の生活習慣病との関わり

糖尿病・高血圧は、しばしば脂質異常症や肥満とともに「メタボリックシンドローム」と呼ばれる状態の一部として現れます。厚生労働省の資料でも、腹部肥満・血圧高値・血糖高値・脂質異常のうち複数の要因が重なることで動脈硬化が進行すると報告されており、これらは互いに独立した問題ではなく、束になって現れることが多い点に注意が必要です[1]。脂質異常症についても、糖尿病・高血圧と同様に動脈硬化を進める危険因子であり、これら3つが重なった状態は特に心血管疾患のリスクが高いとされています。血糖値・血圧に加えて、コレステロールや中性脂肪の数値も定期的に確認し、必要であれば食事療法や薬物療法による管理を検討することが勧められます。糖尿病の管理全般については当サイトの糖尿病管理 完全ガイド、糖尿病全般については糖尿病のまとめページ、皮膚に現れる糖尿病のサインについては環状肉芽腫と糖尿病の関連もご覧ください。

糖尿病と高血圧の合併率について、今回参照した国際的な系統的レビューでは、日本を含む一部の国で他国より低い数値が報告されていましたが、これが日本人特有の生理学的な要因によるものか、診断基準・調査方法の違いによるものかは、レビュー内では明確にされていませんでした[3]。また、糖尿病患者に対する厳格な降圧目標(収縮期130mmHg未満)についても、すべての患者に一律に当てはまるものではなく、個々の患者のリスクに応じて主治医が判断すべき事項とされています[2]。「分かっていること」と「まだ分かっていないこと」を分けて伝えることが、この関係と向き合ううえで欠かせない姿勢だと考えています。また、家庭用の血圧計や健康管理アプリで日々のデータを記録することは有用ですが、それらのデータだけをもとに自己判断で薬を調整することは推奨されません。記録はあくまで主治医との対話を助けるための道具であり、最終的な治療方針の決定は医療者と相談のうえで行ってください。

よくある質問

糖尿病になると必ず高血圧になりますか?
必ずというわけではありませんが、合併しやすいことが報告されています。多くの研究で2型糖尿病患者の50%以上、場合によっては75%以上が高血圧を合併していたとされています[3]。ただし個人差が大きく、生活習慣によって発症リスクは変わります。
血圧はどれくらいなら安全ですか?
厚生労働省の基準では、診察室血圧で収縮期140mmHg未満・拡張期90mmHg未満が高血圧ではない範囲とされています。ただし糖尿病がある方は、リスクに応じてより厳格な収縮期130mmHg未満の目標が勧められる場合があり、目標値は主治医と相談して決める必要があります[1][2]
減塩だけで血圧は下がりますか?
減塩は血圧を下げる基本的な対策の1つとして報告されていますが、それだけで目標値まで下がるかは個人差があります。減塩・減量・運動・節酒などの生活習慣改善を組み合わせても目標に届かない場合は、薬物療法が検討されます[1][2]
血糖値のコントロールだけしていれば血圧は自然に下がりますか?
血糖コントロールの改善が血圧に良い影響を与える可能性はありますが、血糖と血圧は独立したリスク因子とされており、血糖管理だけで血圧が目標値まで下がるとは限りません。両方を並行して管理することが推奨されています[2]
降圧薬にはどんな種類がありますか?
糖尿病合併高血圧の治療では、RAAS系に作用するACE阻害薬やARBが中心的な選択肢として推奨されており、多くの患者でこれらにサイアザイド系利尿薬などを組み合わせる併用療法が必要になると報告されています[2]。薬の選択は個々の腎機能や合併症の有無によって異なるため、自己判断せず主治医の指示に従ってください。市販の健康食品やサプリメントで血圧を下げようとする前に、まず処方薬との飲み合わせについて薬剤師や主治医に確認することも重要です。
家庭血圧と診察室血圧、どちらを信じればいいですか?
どちらも重要ですが、診察室では緊張などにより血圧が高く出やすいため、日常の血圧管理には家庭血圧の記録が特に重視される傾向があります。家庭血圧では収縮期135mmHg以上・拡張期85mmHg以上が高血圧の目安とされています[1]
日本人は糖尿病と高血圧の合併率が低いのですか?
今回参照した系統的レビューでは、日本を含む一部の国で報告されている合併率が他国より低い傾向にありましたが、これが診断基準や調査方法の違いによるものか、実際にリスクが低いことを示すものかは明確にされていません。合併率が低いという報告があるからといって、個人のリスクが低いとは限らない点に注意が必要です[3]。国ごとの平均的な数値は参考にはなりますが、最終的な判断は自分自身の検査結果に基づいて行うべきものです。健診で血糖値や血圧の数値を指摘された場合は、国や地域ごとの平均値にとらわれすぎず、自分自身の数値の推移を医療者と一緒に確認していくことが大切です。

参考文献

  1. 「高血圧」e-ヘルスネット(厚生労働省)健康日本21アクション支援システム https://kennet.mhlw.go.jp/information/information/metabolic/m-05-003.html
  2. “Addressing Hypertension in the Patient with Type 2 Diabetes Mellitus: Pathogenesis, Goals, and Therapeutic Approach.” PMC5679430, PubMed Central https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC5679430/
  3. “Prevalence of hypertension and obesity in patients with type 2 diabetes mellitus in observational studies: a systematic literature review.” PMC3785394, PubMed Central https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC3785394/
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本記事はAI技術を活用し、厚生労働省・WHO等の公的医療機関の情報に基づいて作成されています。医療専門家による個別の監修は受けておりません。健康上の判断や治療については、必ず医師にご相談ください。詳しくは編集ポリシーをご覧ください。

Trinh Van Dieu

Trinh Van Dieu

ITエンジニア(17年)・Japanese Health 運営者

ベトナム在住のITエンジニア。17年の技術経験を活かし、日本の公的医療機関の情報をAI技術で整理・発信しています。

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