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皮膚科疾患 27分で読める 26回

しそ(大葉)は肌・ニキビに良い?皮膚科の科学的根拠を徹底検証

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しそ(大葉)にはロスマリン酸など抗炎症・抗酸化が期待される成分が含まれますが、「ニキビに効く」と直接示したヒト臨床試験は見当たらず、根拠は主に試験管内・動物実験の段階にとどまります。[3]

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PubMedに収載されたAdam Gらのレビューによると、ロスマリン酸を含むしそ抽出物のヒト試験は、アレルギー性鼻結膜炎やアトピー性皮膚炎を対象としたものが中心で、ニキビ(尋常性痤瘡)を対象にした試験は確認できませんでした[3][5]。手作りしそパックは、大葉のような植物性の素材が接触皮膚炎(かぶれ)を起こしうるとガイドラインでも指摘されているため、刺激・アレルギーのリスクを理解したうえで使う必要があります[2]。ニキビの標準治療は、日本皮膚科学会のガイドラインが強く推奨するアダパレンや過酸化ベンゾイル(BPO)であり、大葉はその代わりにはなりません[1]。

要点まとめ

  • しそに含まれるロスマリン酸には抗炎症・抗酸化・抗菌の作用が試験管内実験で報告されています[3][4]。
  • ヒトを対象にした試験は21〜29人規模のアトピー性皮膚炎・アレルギー性鼻結膜炎の研究が中心で、ニキビへの効果を直接検証した臨床試験は確認できませんでした[5][6]。
  • 手作りしそパックは、植物由来の素材による接触皮膚炎(かぶれ)のリスクがガイドラインで指摘されており、パッチテストなしでの広範囲使用にはリスクが伴います[2]。
  • ニキビの標準治療は、日本皮膚科学会「尋常性痤瘡・酒皶治療ガイドライン2023」がアダパレン0.1%やアダパレン/BPO配合ゲルを強く推奨しており、これが第一選択です[1]。
  • 赤み・痛みを伴う炎症性ニキビが広範囲にある場合や、市販ケアで2〜4週間改善しない場合は皮膚科受診が目安です[1]。

編集方針: JHO編集部がAIツールの支援を受け、日本皮膚科学会のガイドラインおよびPubMed・J-STAGE等で確認できる査読論文と照合して作成しました。最終確認は人の目で行っています。医師による個別診断の代わりにはなりません。大葉の成分研究は現在進行形であり、数値・評価はガイドライン改定や新しい研究により変わることがあります(2026年7月時点)。

大葉の主な成分 × 期待される作用 × 根拠レベル(早見表)
成分 期待される作用 根拠レベル ニキビへの直接データ
ロスマリン酸 抗炎症(COX-2・炎症性サイトカイン抑制)[3] 試験管内・動物実験が中心、ヒトはアトピー性皮膚炎等[5] なし(未確認)
ロスマリン酸(ニオソームゲル化時) アクネ菌(P. acnes)・黄色ブドウ球菌に対する抗菌作用が試験管内で報告[4] 試験管内(ニオソーム製剤・マウスでの評価)[4] アクネ菌への抗菌性は試験管内・動物実験で確認、ヒトでの効果は未確認[4]
ルテオリン 抗酸化・抗炎症(動物モデルで報告)[3] 試験管内・動物実験[3] なし(未確認)
ポリフェノール全般(しそ葉抽出物) UVによる細胞外マトリックス損傷の軽減が示唆[8] ヒト皮膚線維芽細胞(試験管内)+無毛マウス[8] なし(美肌全般の研究であり、ニキビ限定ではない)

出典:Adam G, et al. Antioxidants 2023;12(3):727[3]/Gaur PK, et al. Drug Delivery 2015;22(6):723-730[4]/Bae JS, et al. J Ethnopharmacol 2017;195:334-342[8]

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しそ(大葉)とは?肌への成分が働くしくみ

しそ(大葉、Perilla frutescens)はシソ科の植物で、日本の食卓では薬味として日常的に使われています。PubMedに収載されたAdam Gらのレビューによると、葉に含まれるロスマリン酸はポリフェノールの一種で、COX-2(シクロオキシゲナーゼ2)や炎症性サイトカインの働きを抑える経路が、培養細胞や動物モデルを使った研究で報告されていると考えられます[3]。また、Gaur PKらの研究によると、ロスマリン酸をニオソーム(脂質小胞)に封入したゲル製剤を使った試験管内実験では、アクネ菌(Propionibacterium acnes)や黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)に対する抗菌活性が確認されており、動物実験でも過酸化ベンゾイル配合の市販薬と比較した炎症軽減効果が報告されています[4]。

ただし、こうした「成分に作用がある」という研究結果と、「しそを肌に塗ったらニキビが改善する」という臨床的な効果は、必ずしもイコールではありません。PubMedに収載されたAdam Gらのレビューが示すように、多くの研究は培養細胞や動物モデルでの結果であり、ヒトの皮膚にそのまま当てはまるとは限らないためです[3]。同レビューによれば、しそに含まれるもう一つの代表的な成分であるルテオリンについても、抗酸化・抗炎症の作用が動物モデルで報告されていますが、これも培養細胞や動物実験の段階にとどまり、ヒトの肌でニキビにどう作用するかを直接検証したデータは確認できませんでした[3]。

日本皮膚科学会のガイドラインによると、ニキビ(尋常性痤瘡)そのものの発生には、毛穴の詰まり、皮脂の過剰分泌、アクネ菌の増殖、炎症という複数の要因が関わっていると考えられています[1]。大葉の成分が抗炎症・抗菌のどちらかに部分的に働く可能性は基礎研究レベルで示唆されていますが、これらの要因すべてに同時に働きかけて臨床的な改善をもたらすかどうかは、別の話として区別する必要があります。下の図は、大葉の成分がどの段階の研究まで確認されているかを、健康な肌のバリア機能と手作りパックによる刺激の経路という2つの状態で整理したものです。

健康な角層は成分をブロックしつつ、内部では抗炎症の働きが試験管内実験で報告されています[3]。一方、バリアが乱れた肌では手作りパックの刺激物質が浸入しやすく、植物性の素材による接触皮膚炎(かぶれ)のリスクがガイドラインでも指摘されています[2]。パッチテスト済みの市販品と異なり手作りは濃度や衛生状態が不均一な点もリスクです[2]。日本皮膚科学会などの資料をもとにJHO編集部が作図。

根拠レベルで見る「しそ×肌」研究 — 試験管内・動物実験・ヒトの違い

日本皮膚科学会のガイドラインおよびAdamらのレビューをもとに、大葉の研究段階とニキビ標準治療の根拠レベルを整理した図[1][3]。(JHO編集部が作図)

「エビデンスがある」といっても、その中身は試験管内実験・動物実験・ヒト臨床試験で信頼度が大きく異なります。しそ・ロスマリン酸に関する研究を作用ごとに整理すると、次のようになります。

大葉の作用ごとの根拠レベル一覧
作用 試験管内(in vitro) 動物実験 ヒト臨床試験
抗炎症 LPS刺激マクロファージでの活性酸素・炎症性物質の抑制が報告[3] マウスの耳浮腫モデル、皮膚への外用でも好中球浸潤の減少が報告[3] アトピー性皮膚炎21例でロスマリン酸クリーム外用後、紅斑・経表皮水分蒸散量の改善を報告(ニキビ対象ではない)[5]
抗菌(アクネ菌を含む) ロスマリン酸のニオソームゲル製剤がアクネ菌・黄色ブドウ球菌に対し抗菌活性を示したと報告[4] マウスでの外用評価で、市販の過酸化ベンゾイル製剤と同程度の炎症軽減が報告[4] ヒト皮膚での抗菌効果を検証した臨床試験は確認できませんでした
抗酸化 ラジカル消去能・活性酸素抑制が複数の試験管内実験で報告[3] UV照射マウス皮膚での細胞外マトリックス損傷軽減が報告[8] ニキビや肌の抗酸化効果を直接検証したヒト臨床試験は確認できませんでした
抗アレルギー 肥満細胞からのヒスタミン遊離抑制が報告[3] マウスのI型アレルギーモデルで抑制効果が報告[7] 季節性アレルギー性鼻結膜炎患者29例でロスマリン酸摂取後の症状軽減を報告(ニキビ対象ではない)[6]

出典:Adam G, et al. Antioxidants 2023;12(3):727[3]/Gaur PK, et al. Drug Delivery 2015;22(6):723-730[4]/Lee J, et al. J Dermatol 2008;35:768-771[5]/Makino T, et al. Biol Pharm Bull 2001;24:1206-1209[7]/Osakabe N, et al. Biofactors 2004;21:127-131[6]/Bae JS, et al. J Ethnopharmacol 2017;195:334-342[8]

この表からわかるとおり、しそ・ロスマリン酸のヒト臨床試験は実在しますが、対象はアトピー性皮膚炎やアレルギー性鼻結膜炎であり、ニキビ(尋常性痤瘡)を対象にした臨床試験は今回の調査では見当たりませんでした。PubMedに収載されたAdam Gらのレビューを踏まえると、「大葉はニキビに効く」と言い切ることはできず、確定的な結論はありませんという立場が現時点では妥当と考えられます[3]。

手作りしそパックのリスク — 接触皮膚炎・パッチテストの必要性

手作りしそパックを使う前に確認したいサイン

  • 塗布後に赤み・かゆみ・ヒリヒリ感が出た場合は、すぐに洗い流してください[2]
  • 大葉のような植物由来の素材は接触皮膚炎(かぶれ)を起こしうるとガイドラインで指摘されており、体質によっては刺激・アレルギー反応が起こり得ます[2]
  • 広範囲に長時間使う前に、二の腕内側などで数日間試す「パッチテスト」的な確認が望ましいと考えられます[2]
  • 症状が数日以上続く、範囲が広がる、水ぶくれができる場合は皮膚科を受診してください[2]

日本皮膚科学会「接触皮膚炎診療ガイドライン2020」では、植物由来の物質でパッチテストを行う際、刺激性のある植物は10%水またはエタノールなどに希釈して用いる必要があると説明されています[2]。これは裏を返せば、植物をそのまま濃い状態で肌にのせる手作りパックには、一定の刺激リスクがあることを示していると考えられます。また、PubMedに収載されたAdam Gらのレビューでは、家庭で作るパックには防腐剤が入らないことが多く、市販の化粧品と比べて成分濃度が均一でない・衛生状態を保ちにくいという指摘もあります[3]。

しそを使ったパック自体を全否定するものではありませんが、「天然由来だから安全」とは言い切れない点は理解しておく必要があります。見解が分かれており、体質や肌状態によってリスクの大きさは変わると考えられます。実際、レビュー論文でも、精製・標準化されていない自然由来の植物成分は、市販の化粧品成分と比べてアレルギー反応や刺激を引き起こす可能性がある点が指摘されています[3]。とくにニキビ肌はもともとバリア機能が乱れていることが多く、健康な肌よりも刺激を受けやすい状態にあると考えられるため、しそパックを試す場合は範囲を狭く、頻度を少なくして様子を見ることが無難と考えられます。

手作りケア全般の注意点は、【自宅でできるニキビケア】手作りマスクやパックの効果と注意点・皮膚科的に安全な向き合い方でも詳しく解説しています。

ニキビに本当に効くもの=標準治療(アダパレン・BPO)

ニキビ(尋常性痤瘡)の治療で科学的根拠が最も確立しているのは、大葉のような植物成分ではなく、外用薬のアダパレンや過酸化ベンゾイル(BPO)です。日本皮膚科学会「尋常性痤瘡・酒皶治療ガイドライン2023」では、炎症性皮疹(中等症から重症)に対してアダパレン0.1%と過酸化ベンゾイル2.5%の配合ゲルが強く推奨されており、面皰(コメド)に対してもアダパレン0.1%ゲルが強く推奨されています[1]。同ガイドラインでは、炎症が軽快したあとの寛解維持についても、アダパレン0.1%ゲルの継続使用が強く推奨されています[1]。

同ガイドラインでは、漢方薬について「他の治療が無効、あるいは他の治療が実施できない場合の選択肢の一つ」という位置づけで扱われており、第一選択とはされていません[1]。大葉はこの漢方薬治療の枠組みにも含まれておらず、ニキビ治療ガイドライン上での位置づけは今回確認できませんでした。つまり、しそを使ったケアは「補助的に試す選択肢」の一つにはなり得ても、アダパレンやBPOのような標準治療の代わりにはならないと考えられます。

ニキビの原因や標準治療の全体像は、【ニキビ(尋常性ざ瘡)】原因・種類・治療法と今日からできるケアを徹底解説で、保険診療の詳細は日本皮膚科学会ガイドラインに基づくニキビ治療の完全ガイド(保険診療から最新治療まで)でも解説しています。

標準治療としそケアの位置づけを、日本皮膚科学会ガイドラインの推奨度に沿って整理すると、次のようになります。

ニキビケアの選択肢と推奨度の比較
ケアの種類 ガイドライン上の位置づけ 推奨の強さ
アダパレン0.1%ゲル(面皰・炎症性皮疹) 第一選択の外用薬[1] 強く推奨[1]
アダパレン0.1%/過酸化ベンゾイル2.5%配合ゲル 中等症〜重症の炎症性皮疹に対する第一選択[1] 強く推奨[1]
漢方薬(内服) 他の治療が無効・実施できない場合の選択肢の一つ[1] C1〜C2(弱い推奨〜提案レベル)[1]
しそ(外用・食用) ニキビ治療ガイドライン上の記載は今回確認できませんでした 該当なし(未評価)

出典:日本皮膚科学会「尋常性痤瘡・酒皶治療ガイドライン2023」日本皮膚科学会雑誌133(3):407-450[1]

この比較からもわかるとおり、大葉はニキビ治療ガイドラインの評価対象にすら入っていません。これは「効果が否定された」という意味ではなく、「臨床試験による評価がまだ行われていない」という意味であり、両者は区別して理解する必要があります。将来的に質の高い臨床試験が行われれば評価が変わる可能性はありますが、2026年7月時点ではこのような位置づけにとどまると考えられます。

アダパレン・BPOの正しい使い方と、起こりやすい副作用

大葉の代わりにならない標準治療について、実際にどう使うのかを知っておくと、皮膚科を受診したときにイメージがつきやすくなります。日本皮膚科学会のガイドラインでは、アダパレンや過酸化ベンゾイル(BPO)は洗顔後の清潔な肌に、夜1回、米粒大程度を目安に顔全体(症状のある部分だけでなく)へ薄く広げて使う外用薬として位置づけられています[1]。同ガイドラインによれば、ニキビができている場所だけにピンポイントで塗るのではなく、面皰(コメド)ができやすい範囲全体に塗り続けることで、新しいニキビの発生そのものを抑えることが期待されています[1]。

使い始めに多くの人が経験するのが、いわゆる「レチノイド反応」と呼ばれる肌の乾燥・赤み・皮むけ・ヒリヒリ感です。日本皮膚科学会のガイドラインでは、アダパレンはビタミンA誘導体(レチノイド)の一種であり、角層のターンオーバーを促す作用があるため、使用開始から数日〜数週間はこうした刺激症状が出やすいと説明されています[1]。ガイドラインでは、この時期を乗り切るための工夫として、最初は1日おき・2日おきなど頻度を減らして肌を慣らしてから毎日の使用に移行する方法や、保湿剤を先に塗ってからアダパレンを重ねる、あるいは保湿剤とアダパレンを混ぜて使う方法などが紹介されています[1]。自己判断で「合わないから」とすぐにやめてしまうのではなく、刺激が強い場合は使用頻度や併用方法について医師に相談することが推奨されています。

日本皮膚科学会のガイドラインでは、過酸化ベンゾイル(BPO)についてアダパレンと同様に乾燥・刺激が出ることに加えて、酸化作用によって衣類やタオル、寝具の色が漂白されてしまう性質がある点も知っておきたいポイントとして挙げられています[1]。色柄物のタオルや枕カバーに触れると脱色することがあるため、白い綿素材のタオルを使う、乾燥後にしっかり肌に浸透させてから寝具に触れるなどの工夫が現実的な対策として挙げられます。また、同ガイドラインでは、アダパレン・BPOはいずれも光線過敏(紫外線に対する感受性が高まること)を起こしうる薬剤であるため、日中は日焼け止めを併用することが推奨されています[1]。

炎症性のニキビが落ち着いたあとも、すぐに治療をやめてしまうと再発しやすいことが知られています。ガイドラインでは、症状が軽快したあとも面皰の再発を防ぐ「維持療法」として、アダパレン0.1%ゲルなどの継続使用が強く推奨されています[1]。ニキビ治療は「赤みが引いたら終わり」ではなく、毛穴が詰まりにくい状態を保つための中長期的なケアという理解が大切です。大葉のような植物由来の素材を取り入れる場合も、こうした標準治療をやめる理由にはならず、あくまで標準治療と並行するかどうかを医師に相談したうえで検討する位置づけになると考えられます。

日本皮膚科学会「尋常性痤瘡・酒皶治療ガイドライン2023」で推奨される重症度別の標準治療ステップ。大葉はこのステップに含まれません[1]。(JHO編集部が作図)

部位別に見るニキビケアの注意点

ニキビは顔の部位によって皮脂の分泌量や刺激の受けやすさが異なるため、しそパックのようなセルフケアを試す場合も部位ごとの特徴を理解しておくと安全性を高めやすくなります。額から鼻筋にかけてのTゾーンは皮脂腺が多く、毛穴が詰まりやすい一方で、頬やあご周りは皮脂量が比較的少なく、外部刺激に対して赤みや乾燥が出やすい傾向があります。日本皮膚科学会「接触皮膚炎診療ガイドライン2020」の考え方を踏まえると、しそパックを部分的に試す場合、皮脂の多いTゾーンよりも、刺激に弱い頬やあご・首まわりのほうが接触皮膚炎のリスクを感じやすい可能性があるため、狭い範囲から少量ずつ試すという基本姿勢がとくに重要になります[2]。

あご・フェイスラインにできる、いわゆる「大人ニキビ」は、思春期ニキビとは発生の背景が異なる場合があると考えられており、ホルモンバランスの変化や生活習慣が関わっているという指摘もあります。この部位は摩擦刺激を受けやすく(マスクのゴム、スマートフォンを当てる、頬杖をつくなど)、しそパックのような外用ケアを試す際も、こすらず優しく塗布し、短時間で洗い流すことが望ましいと考えられます。背中や胸元など体幹部のニキビについては、顔用に作られたしそパックのレシピをそのまま応用できるかどうかのデータはなく、体幹部は汗や摩擦による刺激も受けやすいため、同様の注意がより一層必要です。

生活習慣とニキビ — セルフケアの土台になる部分

しそパックのような外用ケアを検討する前段階として、日常生活の見直しがニキビ対策の土台になるという考え方は、多くの皮膚科診療で共有されています。日本皮膚科学会のガイドラインでも、規則正しい生活・十分な睡眠・偏りのない食事といった生活指導は、薬物療法と組み合わせて行うことが望ましいとされています[1]。具体的には、洗顔のしすぎで皮脂を取りすぎない・こすらず泡で優しく洗う・汗をかいたらできるだけ早く洗い流す・整髪料や日焼け止めが毛穴に残らないようにしっかり落とす、といった基本的なスキンケアの見直しが挙げられます。

睡眠不足やストレスがニキビの悪化に関与しうるという指摘は臨床の現場でもよく聞かれますが、これらとニキビの因果関係を数値で裏付けた大規模なヒト臨床試験は限られており、「絶対にこうすれば治る」という断定はできません。それでも、生活習慣の乱れが皮膚のバリア機能やホルモンバランスに影響しうることは広く知られており、しそパックのような特定の食材・成分だけに頼るのではなく、睡眠・食事・スキンケアの基本を整えたうえで、必要に応じて標準治療を取り入れるという優先順位で考えることが妥当と考えられます。枕カバーやタオルを清潔に保つ、髪の毛が触れる部分はこまめに拭く、といった衛生面の基本も、しそパックの有無にかかわらず共通して大切なポイントです。

判断フレーム — しそケアを試す前に確認したいこと

もし、すでに赤み・膿を伴う炎症性ニキビが顔の広範囲にある場合 → 日本皮膚科学会のガイドラインを踏まえると、しそパックなどのセルフケアより先に、皮膚科でアダパレン・BPOなど標準治療の相談を優先することをおすすめします[1]。

もし、軽い毛穴の目立ちや予防目的でしそに関心がある場合 → 日本皮膚科学会「接触皮膚炎診療ガイドライン2020」の考え方に沿うと、「効果を保証する成分」としてではなく、刺激が出ないか少量から試す程度の位置づけで考えるのが妥当と考えられます[2]。

もし、過去に植物由来の化粧品やハーブでかぶれた経験がある場合 → 同ガイドラインの考え方では、しそも同じシソ科の植物であり、同様の反応が起こる可能性があるため、使用は避けるか皮膚科医に相談することをおすすめします[2]。

この症状、放置して大丈夫?次に確認すべきこと 関連記事
この記事では答えていない疑問です — 読み終えたら、続けてご確認ください
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受診の目安と何科を受診すべきか

皮膚科を受診するかどうかの判断基準は、症状の重さによって次のように整理できます。日本皮膚科学会のガイドラインが示す重症度の考え方に沿って、軽度・中等度・重度の3段階に分けて確認しましょう[1]。

日本皮膚科学会のガイドラインをもとにした、症状の程度別の受診の目安。市販ケアで2〜4週間改善しない場合や瘢痕リスクがある場合は皮膚科受診が目安です[1]。(JHO編集部が作図)

皮膚科受診を検討したいサイン(重症度の基準)

  • 【軽度】白ニキビ・黒ニキビが数個ある程度 — セルフケアで様子を見つつ、2〜4週間改善がなければ受診を検討[1]
  • 【中等度】赤く炎症したニキビが増えてきた — 市販薬より前に皮膚科でアダパレン等の処方を相談することをおすすめします[1]
  • 【重度】膿を持つ大きな炎症や、しこりのようなニキビが多発している — 早めに皮膚科を受診してください[1]

ニキビの治療は皮膚科が専門科です。日本皮膚科学会のガイドラインを踏まえると、手作りしそパックで赤み・かゆみが出た場合も同様に皮膚科での相談が目安になります[2]。保険診療の場合、自己負担割合や費用の目安は下記でご確認いただけます。

💰 高額療養費制度の自己負担限度額(医療費100万円の例)
自己負担限度額(70歳未満・区分別)— 適用時期に注意
適用時期年収の目安計算式100万円の場合
~2026年7月診療分
現行
年収約370万~770万円(区分ウ) 80,100円+(医療費-267,000円)×1% 87,430円
2026年8月診療分から
見直し後(第1段階)
年収約370万~770万円(区分ウ) 85,800円+1%(PDF原文の表記) 約92,940円<br><small>(編集部試算)</small>
+ 年間上限 53万円(新設)

※「100万円の場合」の金額のうち、現行(~2026年7月)欄は出典PDFに記載の計算例そのものです。2026年8月欄について、出典PDFに印字されているのは「85,800+1%」という表記のみです。1%を乗じる基準額(現行の267,000円に相当する部分)と、100万円の場合の約92,940円は、PDFに印字されておらず、現行制度と同じ計算方法にもとづくJHO編集部試算です。正確な金額は加入されている健康保険組合等にご確認ください。
※ 制度は改定されることがあります。受診・手術の時期によって自己負担額が変わるため、最新の情報は 厚生労働省の高額療養費制度ページで必ずご確認ください。
出典:厚生労働省「高額療養費制度の在り方に関する専門委員会」(令和7年12月16日) (PDF) |JHO確認日:2026-07-16

受診時に伝えたいメモ(印刷してお持ちください)

  • いつからニキビ・肌荒れが気になり始めたか
  • しそパックなどを使った時期・頻度・使用後の変化(赤み・かゆみの有無)
  • 現在使っている市販薬・化粧品・食品サプリメント
  • 過去に植物・化粧品でかぶれた経験があるか
  • 医師に聞きたいこと(アダパレンやBPOは自分の肌に合うか、しそケアと併用してよいか等)

しそを食べる vs 肌に塗る — 同じ「しそ」でも作用は別物

大葉は料理の薬味として食べることが多い食材ですが、「食べる」ことと「肌に塗る」ことでは、成分が体に働く経路がまったく異なります。食べた場合は消化管で吸収され血中に入りますが、肌に塗った場合は角層バリアを通過できるかどうかが問題になります。PubMedに収載されたAdam Gらのレビューが示すように、今回参照した研究の多くは、動物への経口投与や培養細胞への直接添加によるものであり、ヒトの肌に塗布した場合にどの程度成分が浸透し、実際に作用するかについては確定的な結論はありませんという状態です[3]。

食事としてしそを取り入れること自体は、通常の食材の範囲であれば大きなリスクは想定しにくいと考えられますが、肌に直接塗るケアとは切り分けて考える必要があります。とくに、しそを食べることでニキビが改善する、あるいは体の中から抗炎症作用が働いてニキビ予防になる、といった説明を見かけることがありますが、これを裏付けるヒトを対象にした介入試験は今回の調査では確認できませんでした。Makino Tらの動物実験では、ロスマリン酸を経口摂取した場合のアレルギー反応の抑制などが報告されていますが、対象はアレルギー症状であり、ニキビを指標にしたものではありません[7]。ニキビと食事全般の関係については、ニキビと食事の科学:皮膚科医が解説する最新エビデンスと実践ガイドで確認できます。

🌍 最新研究 — 海外の試験管内・基礎研究から見えること

海外の研究データベースを見ると、Perilla frutescens(しそ)に関する研究は近年も増えています。2015年に発表された研究では、大葉の主要成分であるロスマリン酸をニオソーム(脂質でできた微小カプセル)に封入したゲル製剤を作製し、アクネ菌(Propionibacterium acnes)や黄色ブドウ球菌に対する試験管内での抗菌効果と、マウスを使った外用評価を行っています。Gaur PKらの報告によると、ロスマリン酸ニオソームゲルは市販の過酸化ベンゾイル製剤と同程度の炎症軽減効果を示しており、成分を「そのまま塗る」のではなく製剤化することで抗菌・抗炎症効果を引き出せる可能性が示唆されています[4]。ただし、同研究は特殊な製剤化を行ったうえでの試験管内・動物実験の段階であり、しそをそのまま肌に塗る手作りパックで同様の効果が得られるかどうかは別問題であり、ヒトでの臨床試験も行われていません[4]。

2023年に発表されたレビュー論文(Adam G, et al., Antioxidants誌)は、Perilla frutescens関連のヒト臨床試験を包括的に調べたものです。同レビューの結論として、「文献データの多くは動物実験と細胞培養実験に基づいており、治療効果に関する臨床的根拠は十分に示されていない」と明記されています[3]。Adam Gらのレビューでは、ロスマリン酸のヒト試験としてアレルギー性鼻結膜炎(29例)とアトピー性皮膚炎(21例)の2つが紹介されていますが、いずれもニキビを対象にしたものではありません[6][5]。

また、Bae JSらの研究では、しそ葉抽出物が紫外線による皮膚の細胞外マトリックス損傷を軽減する可能性が示されていますが、これはヒト皮膚線維芽細胞の培養実験と無毛マウスを用いたものであり、ヒトに塗布した臨床試験ではありません[8]。海外の研究動向を総合すると、しそ・ロスマリン酸の「肌への可能性」は基礎研究の段階では期待されているものの、ニキビという具体的な効果を裏付けるヒトのデータはまだ揃っていないというのが、現時点で誠実な言い方だと考えられます。

大葉の摂取量・塗布濃度とニキビ改善効果の量的な関係(どのくらいの濃度・頻度で使えば良いか等)については、今回参照した資料には記載が見当たりませんでした。また、しそに含まれる複数の成分(ロスマリン酸・ペリルアルデヒド・ルテオリンなど)を組み合わせて肌に使った場合の相互作用についても、確立されたデータは確認できませんでした。

よくある質問

しそパックを毎日使えばニキビは治りますか?
今回確認した範囲では、しそパックの使用とニキビ改善を直接結びつけたヒト臨床試験は見当たりませんでした。日本皮膚科学会のガイドラインが強く推奨する治療は、アダパレンや過酸化ベンゾイル(BPO)といった外用薬であり、しそパックはその代わりにはならないと考えられます[1]。
大葉(青じそ)と赤じそで肌への作用に違いはありますか?
今回参照した研究の多くは「Perilla frutescens」として品種を厳密に区別せずに扱っており、青じそ・赤じその違いによる肌への作用の差を直接比較したデータは確認できませんでした。品種差については確定的な結論はありません。
しそに含まれるロスマリン酸はニキビの赤みに効果がありますか?
ロスマリン酸には試験管内実験で抗炎症作用が報告されていますが、ヒトでの臨床試験はアトピー性皮膚炎の患者21人を対象にしたもので、紅斑の改善が報告された研究はニキビが対象ではありません[5]。ニキビの赤みに対する直接の効果はまだ確認されていないと考えられます。
しそパックでかぶれたらどうすればいいですか?
赤み・かゆみ・ヒリヒリ感が出た場合は、すぐに洗い流し使用を中止してください。植物性の素材は接触皮膚炎(かぶれ)を起こしうるとガイドラインでも指摘されているため、症状が続く場合は皮膚科を受診することをおすすめします[2]。
しそを食べることはニキビ予防に役立ちますか?
しそを食事に取り入れること自体は通常の食材の範囲であり大きなリスクは想定しにくいですが、食べることとニキビ予防効果を直接結びつけたヒト臨床試験は確認できませんでした。過度な期待は避けたほうがよいと考えられます。
大葉のアレルギーがある場合、食べても塗ってもだめですか?
植物由来の素材は接触皮膚炎やアレルギー反応を起こしうるとガイドラインでも指摘されており、しそにアレルギーがある、またはその疑いがある場合は食用・外用ともに避け、皮膚科やアレルギー科に相談することをおすすめします[2]。
市販のしそ配合コスメと手作りしそパックでリスクは同じですか?
市販のコスメは防腐剤や成分濃度の管理、パッチテストなどの安全性評価を経て製造・販売されているのに対し、手作りパックは濃度が不均一で防腐剤も入らないことが多く、刺激・アレルギーのリスクは相対的に高くなり得ると考えられます[2]。
ニキビにしそよりも根拠がある市販成分はありますか?
サリチル酸(BHA)などは、ニキビケア成分として研究・規制の両面で情報が整理されています。詳しくはBHA(サリチル酸)の正しい選び方と併用禁忌で解説しています。ただし最終的な標準治療はアダパレン・BPOです[1]。

結論のまとめ

PubMedに収載された研究群によると、しそ(大葉)にはロスマリン酸・ルテオリンなど、抗炎症・抗酸化・抗菌の作用が試験管内実験で報告されている成分が含まれます[3][4]。しかし、ニキビへの効果を直接検証したヒト臨床試験は確認できず、根拠は現時点で限定的です。手作りしそパックは植物性の素材による接触皮膚炎のリスクがガイドラインでも指摘されており、刺激・アレルギーのリスクを理解したうえで、少量から試すのが妥当と考えられます[2]。ニキビ治療の標準は、日本皮膚科学会が強く推奨するアダパレン・過酸化ベンゾイル(BPO)であり、大葉はその代替にはなりません[1]。

「天然由来だから」という理由だけでリスクをゼロと考えず、赤み・かゆみが出たら使用を中止し、広範囲の炎症性ニキビや長引く肌トラブルは自己判断で抱え込まず皮膚科に相談することが、遠回りに見えて結果的に近道になると考えられます。

更新日:2026年7月17日。本記事の内容に誤りや古い情報を見つけた場合は、お問い合わせフォームよりご指摘いただけると幸いです。

参考文献

  1. 日本皮膚科学会「尋常性痤瘡・酒皶治療ガイドライン2023」日本皮膚科学会雑誌 133(3):407-450, 2023 https://www.dermatol.or.jp/dermatol/wp-content/uploads/xoops/files/guideline/zasou2023.pdf
  2. 日本皮膚科学会「接触皮膚炎診療ガイドライン2020」日本皮膚科学会雑誌 130(3):523-566, 2020 https://www.dermatol.or.jp/dermatol/wp-content/uploads/xoops/files/guideline/130_523contact_dermatitis2020.pdf
  3. Adam G, Robu S, Flutur MM, et al. Applications of Perilla frutescens Extracts in Clinical Practice. Antioxidants. 2023;12(3):727. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/36978975/
  4. Gaur PK, Mishra S, Bajpai M, Mishra A. Development and characterization of a novel antiacne niosomal gel of rosmarinic acid. Drug Delivery. 2015;22(6):723-730. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/24786487/
  5. Lee J, Jung E, Koh J, Kim YS, Park D. Effect of rosmarinic acid on atopic dermatitis. Journal of Dermatology. 2008;35:768-771. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/19239556/
  6. Osakabe N, Takano H, Sanbongi C, Yasuda A, Yanagisawa R, Inoue K, Yoshikawa T. Anti-inflammatory and anti-allergic effect of rosmarinic acid (RA); inhibition of seasonal allergic rhinoconjunctivitis (SAR) and its mechanism. Biofactors. 2004;21:127-131. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/15630183/
  7. Makino T, Furuta A, Fujii H, Nakagawa T, Wakushima H, Saito K, Kano Y. Effect of Oral Treatment of Perilla frutescens and Its Constituents on Type-I Allergy in Mice. Biological and Pharmaceutical Bulletin. 2001;24:1206-1209. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/11642335/
  8. Bae JS, Han M, Shin HS, Kim MK, Shin CY, Lee DH, Chung JH. Perilla frutescens leaves extract ameliorates ultraviolet radiation-induced extracellular matrix damage in human dermal fibroblasts and hairless mice skin. Journal of Ethnopharmacology. 2017;195:334-342. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/27888134/
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Trinh Van Dieu

Trinh Van Dieu

ITエンジニア(17年)・Japanese Health 運営者

ベトナム在住のITエンジニア。17年の技術経験を活かし、日本の公的医療機関の情報をAI技術で整理・発信しています。

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