コンテンツへスキップ
お問い合わせ
スポンサーリンク
糖尿病 23分で読める 268回

歯周病と糖尿病の深い関係|HbA1cが0.5%改善する理由

スポンサーリンク
文字サイズ





歯周病と糖尿病は「双方向」に悪化させ合う関係にあり、歯周病の炎症を治療するとHbA1c(血糖コントロールの指標)が平均で約0.5%改善するという、エビデンスの確実性「高」・強い推奨として日本歯周病学会が示しているデータがあります。[3]

受診の目安チェック・無料

この症状、いつ受診すべきか確認しますか?

回答に合わせて必要な質問だけを表示します。診断は行いません。

症状はいつから続いていますか?

回答により質問数が変わります・途中でいつでも記事に戻れます

スポンサーリンク
この症状、放置して大丈夫?次に確認すべきこと 関連記事
この記事では答えていない疑問です — 読み終えたら、続けてご確認ください
尿の泡立ちは要注意? 記事へ センサーは保険で買える? 記事へ 低血糖になりやすい? 記事へ 神経障害の初期症状は? 記事へ
この記事で気になったことを、AIにそのまま聞けます
健康アドバイザーオンライン ・ 24時間対応 無料
歯周病と糖尿病、どちらも気になりますよね。いつ頃から歯ぐきの調子が悪くなりましたか?
気になるものを、タップするだけ
厚生労働省・査読論文などの一次情報源をもとに、あなたの状況に合わせてお答えします

糖尿病がある人は、そうでない人に比べて歯周病を発症しやすく、悪化もしやすい一方で、歯ぐきの炎症が血糖値を押し上げてしまうことも分かってきました。歯医者は「歯を治す場所」ではなく、血糖コントロールの一部を担う場所でもあります。次の段落から、どんな数字が示されているのか、今日から何をすればよいのかを順番に説明します。

この記事は、日本歯周病学会が2023年に公表した最新の診療ガイドラインと、国立国際医療研究センターの糖尿病情報センター、日本糖尿病学会という、いずれも公的性格を持つ機関・学会が公開している情報だけをもとに構成しています[1][2][3]。歯科の専門用語はできるだけかみ砕いて説明しますが、正確さを優先するために元の数値や表現もあわせて残しています。

要点まとめ

  • 糖尿病がある人は歯周病の発症リスクが最大2.6倍高くなるという報告があります[3]
  • 歯周基本治療(歯石除去など)でHbA1cが平均約0.5%改善するというメタアナリシス結果があります[3]
  • 日本の40歳以上では歯周病がある人が半数を超えるとされています[1]
  • 血糖コントロールが不良(HbA1c 9%以上)だと、歯周炎のリスクがさらに2倍以上に上がるとの報告があります[3]
  • 歯ぐきからの出血・腫れ・口臭の悪化が続く場合は、放置せず歯科と内科の両方に相談することが勧められます[1]

編集方針: JHO編集部がAIツールの支援を受け、公的機関・学会・査読論文と照合して作成。最終確認は人の目。医師による個別診断の代わりにはなりません。数値・分類はガイドライン改定により変わることがあります(2026年7月時点)。

セルフチェック:あなたの歯ぐきは大丈夫?
次のうち2つ以上当てはまる場合は、糖尿病の有無にかかわらず歯科受診を検討してください。
□ 歯みがき時に歯ぐきから血が出る □ 歯ぐきが赤く腫れている □ 口臭が以前より強くなった気がする
□ 歯が長くなったように見える(歯ぐきが下がった) □ 歯がグラグラする □ 冷たいものがしみる
糖尿病がある方は、これらのサインが出にくいまま進行することもあるため、症状の有無にかかわらず定期受診が勧められています[1]

歯周病と糖尿病とは?双方向に悪化させ合う仕組み

厚生労働省の令和元年国民健康・栄養調査によると、日本において「糖尿病が強く疑われる者」の割合は男性19.7%、女性10.8%とされ、この10年間で男女とも有意な増減はみられていません[3]。年齢が高い層ほどその割合が高いことも報告されています[3]。糖尿病は、①1型糖尿病、②2型糖尿病、③その他の特定の機序・疾患によるもの、④妊娠糖尿病に分類され、日本における妊娠糖尿病の頻度は2010年の診断基準変更以降、増加傾向にあるとされています[3]。これだけ多くの人が関わる病気だからこそ、歯周病との関係を知っておく価値があります。

歯周病は、歯と歯ぐきの境目にたまった細菌の膜(プラーク)によって歯ぐきに炎症が起き、進行すると歯を支える顎の骨(歯槽骨)まで溶けていく病気です。日本の40歳以上では半数以上に歯周病が認められ、年齢とともに割合が高くなると、糖尿病情報センター(国立国際医療研究センター)は説明しています[1]。歯周病は成人が歯を失う最も多い原因でもあります[1]糖尿病の基礎知識とあわせて理解しておくと、日々のセルフケアの意味がより分かりやすくなります。

糖尿病情報センターによると、歯ぐきの中等度以上の歯周ポケットをすべて足し合わせた表面積は、手のひらと同じくらいの大きさになることがあるとされています[1]。つまり歯周病が進行した口の中には、手のひら大の「炎症を起こした傷口」が常に存在している状態になり得るということです。この傷口から出た炎症性の化学物質が血流に乗って全身をめぐり、血糖値を下げるホルモンであるインスリンを効きにくくすると報告されています[1]

健康な歯周組織(上)と糖尿病で進行した歯周病(下)の断面比較、および双方向性の悪循環。歯肉の炎症性物質(TNF-α等)がインスリンの働きを妨げ、高血糖が免疫力を下げて歯周病をさらに悪化させる[3]。出典:糖尿病情報センター[1]/日本歯周病学会[3]/JHO編集部が作図

逆方向の悪循環も報告されています。日本糖尿病学会は、糖尿病があると細小血管の合併症(網膜症・腎症・神経障害)や、動脈硬化による大血管障害に加え、感染症にかかりやすく治りにくい状態になりやすいとしており、歯ぐきの感染症である歯周病もその一つに含まれると説明しています[2]。高血糖の状態が続くと免疫の働きが低下し、歯周病菌が繁殖しやすくなって歯周組織の破壊が進みやすくなると考えられています[2]。日本歯周病学会の診療ガイドラインでは、この歯周病が「糖尿病の6番目の合併症」であると報告されていることが紹介されています[3]

この炎症性の物質のうち、TNF-α(腫瘍壊死因子α)と呼ばれる物質は、血液中の糖分の細胞への取り込みを抑える働きも持っているため、血糖値を下げるホルモンであるインスリンの働きを妨げてしまうと考えられています[1]。歯周ポケットの中で炎症が続けば続くほど、こうした炎症性物質が血流に入り込む機会も増えると考えられ、歯周病を治療せずに放置することが、間接的に血糖コントロールを難しくしてしまう可能性があるということです[1]

今の血圧・脈拍を確かめる

数値を入れると、日本高血圧学会の血圧値の分類と「次にすること」を表示します。記録はこの端末の中だけに保存され、登録は不要です。

身長と体重からBMIも調べる

これは診断ではありません。入力された数値を日本高血圧学会の血圧値の分類(高血圧の基準は診察室 140/90mmHg以上・家庭 135/85mmHg以上)に当てはめて「受診の目安」を機械的に示すもので、医師の診察に代わるものではありません。日本高血圧学会「高血圧管理・治療ガイドライン2025」では、降圧目標は年齢によらず診察室 130/80mmHg未満・家庭 125/75mmHg未満とされています。脈拍の目安は学会の分類ではなく一般的な参考範囲です。

数字で見る、歯周病と糖尿病の関係

日本歯周病学会の診療ガイドライン2023年改訂第3版には、これまでの研究をまとめた具体的な数字が示されています[3]。代表的な数値を以下の表にまとめました。

糖尿病と歯周病の関係を示す主な数値
項目 数値 出典
2型糖尿病患者の歯周病発症率(非糖尿病者との比較、ピマインディアン対象6年間の追跡研究) 2.6倍 [3]
2型糖尿病による歯周炎の発症リスク上昇(4研究のメタアナリシス) 34%上昇 [3]
歯周基本治療によるHbA1cの改善幅(複数の無作為比較試験の平均) 約0.5% [3]
血糖コントロール不良(HbA1c 9%以上)の2型糖尿病患者における歯周炎リスク 2.22倍 [3]
1型糖尿病患者でHbA1c 7.0%以上の場合の現在歯数20歯未満(歯を失った状態)のオッズ比 2.36倍 [3]
日本の40歳以上における歯周病の罹患割合 半数以上 [1]

出典:日本歯周病学会「糖尿病患者に対する歯周治療ガイドライン2023 改訂第3版」[3]/糖尿病情報センター「歯周病と糖尿病の深い関係」[1]

この数字が示しているのは、「血糖コントロールが悪いほど歯周病も悪くなりやすく、歯周病を治療すると血糖コントロールにも良い影響が返ってくる」という相互関係です。ただし、日本歯周病学会は、歯周治療をしても全ての患者で必ず血糖値が下がるわけではないとも明記しており[3]、効果に否定的な研究が存在することも紹介した上で、複数のメタアナリシス(当学会が実施したものを含む)で血糖コントロールの改善効果が支持されていると結論づけています[3]

血糖コントロールの状態によって、歯周病の悪化度はどう変わるか

日本歯周病学会のガイドラインでは、糖尿病の罹患期間や血糖コントロールの数値によって歯周病の悪化度がどう変わるかについても、多数の研究がまとめられています[3]。横断研究では、1型・2型を問わず糖尿病の罹患期間が5年を超えると、歯を支える組織の喪失(アタッチメントロス)が大きくなり、歯周病が悪化する傾向が示されています[3]

ドイツで行われた前向き研究では、血糖コントロールが不良(HbA1cが7.0%を超える)な1型・2型糖尿病の人は、5年後にアタッチメントロスと歯の喪失リスクが増えていたのに対し、血糖コントロールが良好(HbA1c 7.0%以下)な人ではそのような関連は認められなかったと報告されています[3]。米国で行われた20年間の大規模コホート研究では、2型糖尿病があると歯周病の発生率が29%、1年あたりの歯の喪失率が9%それぞれ上昇したとされています[3]。システマティックレビューのメタアナリシスでは、糖尿病が歯周炎の発生・進行リスクを86%増加させるとの報告もあります[3]。別の報告では、歯周病がある人の糖尿病の有病率は13.1%、歯周病がない人では9.6%で、歯周病がある人が糖尿病であるオッズ比は2.27だったとされています[3]

日本国内のデータもあります。糖尿病患者6,099人を対象にした大規模観察研究(JDCP study 6)では、1型糖尿病でHbA1cが7.0%以上になると現在歯数が20歯未満になるオッズ比は2.36、2型糖尿病でHbA1cが8.0%以上になると同オッズ比は1.16となり、血糖コントロールの悪化に伴って歯を失うリスクが高くなる傾向が報告されています[3]。これらの数字が示しているのは、「歯周病があるから糖尿病になる」という単純な一方向の話ではなく、罹患期間の長さと血糖コントロールの数値の両方が、歯周組織の状態に段階的に関わっているということです。

歯周治療は糖尿病の合併症予防にも良い影響を与える可能性

歯周治療の効果は血糖値だけにとどまらない可能性も報告されています。台湾の国民健康保険データベースを使った後ろ向きコホート研究(Peng らの報告)では、歯肉縁下デブライドメントや歯周外科治療を含む積極的な歯周治療を受けた2型糖尿病患者は、そうでない患者に比べて心筋梗塞の発症率(ハザード比0.92)と心不全の発症率(ハザード比0.60)が低かったと報告されています。脳卒中の発症率には明確な差が見られませんでした[3]

また、2型糖尿病と中等度〜重度の歯周炎がある患者を対象にした無作為比較試験では、より踏み込んだ歯周治療(IPT)を受けた群は、通常の清掃(CPT)を受けた群に比べて、12か月後のHbA1cが0.6%低かったと報告されています[3]。血管の状態や腎機能の指標も、より踏み込んだ治療を受けた群のほうが良好だったとされています[3]

米国のデータを使ったコンピューターシミュレーション研究(Choi らの報告)では、歯周治療を行うことで、歯を失うリスクを34.1%、糖尿病性腎症の発症リスクを20.5%、神経障害の発症リスクを17.7%、網膜症の発症リスクを18.4%までそれぞれ減らせる可能性があると予測されています[3]。ただし、これはあくまで統計モデルによる予測であり、実際にすべての患者でこの通りの効果が出ることを保証するものではない点には注意が必要です[3]。日本歯周病学会も、無作為比較試験の数はまだ少なく、合併症の種類によって研究の蓄積にはばらつきがあるとしています[3]

見逃さないで — 歯と歯ぐきの危険なサイン

次のサインがある場合は、様子を見ずに歯科(歯周病科・かかりつけ歯科医)を受診してください。

  • 歯みがきや食事のたびに歯ぐきから出血する状態が2週間以上続く[1]
  • 歯ぐきが赤紫色に腫れ、押すと膿が出る
  • 歯が以前より長く見える、または歯と歯の間にすき間が広がってきた(歯ぐきが下がったサイン)
  • 歯がグラグラ動く、噛むと痛い場所が固定してある
  • 口臭が急に強くなった、または人から指摘されるようになった
  • 糖尿病の治療中で、上記のいずれかがある(血糖コントロールにも影響する可能性があるため、歯科だけでなく糖尿病の主治医にも伝えることが勧められます[2]

歯周病そのものは自然治癒しない病気とされており、症状が軽いうちに歯科でのクリーニング(スケーリング)と自宅でのセルフケアを組み合わせることが基本になります[1]。放置すればするほど歯を支える骨が失われ、元に戻すことが難しくなるため、「痛くないから大丈夫」と自己判断せず、少しでも気になるサインがあれば早めに歯科を受診することが、結果的に治療の負担を軽くすることにつながると考えられます。

歯周病の進行段階 — 気づきにくいまま進むことがある病気

歯周病は、進行の度合いによっておおまかに次のような段階に分けて説明されることが一般的です。歯ぐきだけに炎症がある「歯肉炎」の段階では、歯を支える骨にはまだダメージが及んでいません。ここから炎症が骨まで広がると「歯周炎」と呼ばれる段階に進み、軽度・中等度・重度と進むにつれて歯周ポケットが深くなり、歯を支える骨が溶けていきます。今回作図した断面図のとおり、健康な歯周組織では歯周ポケットの深さが1〜2mm程度にとどまるのに対し、進行した歯周病では6mm以上の深いポケットが形成されることがあります。

歯周病がやっかいなのは、初期の歯肉炎の段階では痛みなどの自覚症状がほとんどないまま進行することが多い点です。歯みがき時の出血や口臭の変化といった軽いサインを見逃してしまうと、骨が溶けて歯がグラグラするようになって初めて気づくケースも少なくないと考えられています。糖尿病がある人は、細い血管の働きが変化しやすいことなどから、歯ぐきの症状の出方そのものが通常と異なる場合もあり得るため、症状の有無にかかわらず定期的な歯科受診が勧められる理由の一つになっています[1]

受診の目安 — どのくらいの頻度で歯科に通えばよいか

糖尿病情報センターは、歯周病の予防や早期発見のために、一般的には3〜6か月に1回程度の歯科受診が目安になるとしつつ、糖尿病がある人はそれよりやや頻繁に、3か月以内を目安に受診することを勧めています[1]。血糖コントロールの状態を歯科医と共有しておくと、歯周病のリスク評価や治療計画の参考になると考えられます。

血糖コントロールの指標であるHbA1cの測定頻度そのものについては、日本糖尿病学会の指針に沿った目安が別にまとめられています。あわせて糖尿病患者の血糖値測定頻度 完全ガイドも参考にしてください。

日本歯周病学会ガイドラインの8つのCQ(クリニカルクエスチョン)

日本歯周病学会は2009年に初版、2015年に改訂第2版、2023年に改訂第3版のガイドラインを発行しており、糖尿病患者への歯周治療について7つのQ(基本的な質問)と8つのCQ(臨床的な質問)で構成されています[3]。CQは、Minds(日本医療機能評価機構が運営する診療ガイドライン共有サイト)が採用するGRADEシステムに沿って、推奨の強さとエビデンスの確実性がパネル会議で決定されています[3]。特に重要な4つのCQの結論を紹介します。

日本歯周病学会ガイドライン2023の主なCQと推奨
CQ 結論・推奨 エビデンスの確実性
CQ1:歯周基本治療はHbA1cの改善に有効か 有効であり、実施を強く推奨[3]
CQ2:歯周治療に抗菌療法の併用は有効か 併用を弱く推奨[3]
CQ3:血糖コントロール良好な糖尿病患者への歯周外科治療は可能か 実施を弱く推奨[3]
CQ4:歯周組織再生療法は可能か 実施を弱く推奨[3]

出典:日本歯周病学会「糖尿病患者に対する歯周治療ガイドライン2023 改訂第3版」[3]

このほか、透析患者の歯周病リスク(CQ5に関連するQ5)、高齢の糖尿病患者への対応(Q6・Q7)、インプラント治療の可否(CQ5)、外科処置時の抗菌薬投与(CQ6)、歯周基本治療前の抗血栓薬の扱い(CQ7)、SPT(メインテナンス)の間隔(CQ8)についても、ガイドライン内で個別に検討されています[3]。これらは主治医・歯科医と相談しながら決める専門的な判断が必要な項目のため、本記事では詳細な推奨度までは踏み込みません。持病の薬(特に血をサラサラにする薬)を使っている方は、歯科受診の前に必ず服薬状況を伝えてください。関連して糖尿病の薬 副作用大全もあわせてご確認ください。

改訂の歴史から見る、変わったこと・変わらなかったこと

ガイドラインが版を重ねるたびに、何が新しく分かり、何がまだ変わっていないのかを知ることは、患者にとっても有益な情報です。日本歯周病学会の序文には、次のような改訂の経緯が記されています[3]

糖尿病患者に対する歯周治療ガイドラインの改訂沿革
発行年 主な内容
初版 2009年 糖尿病患者への歯周治療の考え方を明確にするため発刊[3]
改訂第2版 2015年 1型・2型を問わず非糖尿病者より歯周病の発症率が有意に高く、糖尿病が歯周病を増悪させると判定(エビデンスレベル2)[3]
改訂第3版 2023年 エビデンスレベルを再検討、妊娠糖尿病と歯周病の関連を新たに検討、CQ2の抗菌療法についてメタアナリシスによる統計学的な再評価、高齢の糖尿病患者に関するQを追加[3]

出典:日本歯周病学会「糖尿病患者に対する歯周治療ガイドライン2023 改訂第3版」序文[3]

改訂第2版から第3版までは8年が経過しており、この間に蓄積された研究成果を反映する形で内容が更新されたと説明されています[3]。一方で、「歯周病治療がHbA1cを改善する」という大きな方向性そのものは、初版の時代から一貫して支持され続けている、変わらない結論だと考えられます[3]。ガイドラインは今後も改定される可能性があるため、本記事の数値も将来変わり得るものとしてお読みください。学会自身も、改訂第2版の序文で「抗菌療法の併用効果については明確なコンセンサスを導き出すことが困難であり、学会として取り組むべき重要課題の一つ」としていたことを明かしており、改訂第3版ではこの課題に対して新たなエビデンスの収集とメタ解析による統計学的な再評価を行ったと説明しています[3]。こうした経緯が公開されていること自体が、ガイドラインの信頼性を支える要素の一つだと考えられます。

💰 高額療養費制度の自己負担限度額(医療費100万円の例)
自己負担限度額(70歳未満・区分別)— 適用時期に注意
適用時期年収の目安計算式100万円の場合
~2026年7月診療分
現行
年収約370万~770万円(区分ウ) 80,100円+(医療費-267,000円)×1% 87,430円
2026年8月診療分から
見直し後(第1段階)
年収約370万~770万円(区分ウ) 85,800円+1%(PDF原文の表記) 約92,940円<br><small>(編集部試算)</small>
+ 年間上限 53万円(新設)

※「100万円の場合」の金額のうち、現行(~2026年7月)欄は出典PDFに記載の計算例そのものです。2026年8月欄について、出典PDFに印字されているのは「85,800+1%」という表記のみです。1%を乗じる基準額(現行の267,000円に相当する部分)と、100万円の場合の約92,940円は、PDFに印字されておらず、現行制度と同じ計算方法にもとづくJHO編集部試算です。正確な金額は加入されている健康保険組合等にご確認ください。
※ 制度は改定されることがあります。受診・手術の時期によって自己負担額が変わるため、最新の情報は 厚生労働省の高額療養費制度ページで必ずご確認ください。
出典:厚生労働省「高額療養費制度の在り方に関する専門委員会」(令和7年12月16日) (PDF) |JHO確認日:2026-07-16

特に注意が必要な人 — 高齢者・妊娠中の方・透析を受けている方

日本歯周病学会のガイドラインは、糖尿病患者の中でも特に配慮が必要な対象について、個別のQとして取り上げています[3]。具体的には、糖尿病に関連して透析を受けている方が歯周病になりやすいかという論点(Q5)、高齢の糖尿病患者では歯周病が悪化しやすいかという論点(Q6)、高齢の糖尿病患者に歯周治療が効果を発揮するかという論点(Q7)が、改訂第3版で新たに追加・検討されています[3]。これは、高齢化が進む日本において、高齢の糖尿病患者への対応がこれまで以上に重要な課題になってきていることを反映していると考えられます[3]

透析を受けている方や高齢の方は、そうでない方に比べて口腔内の状態が変化しやすく、また歯科受診そのものが難しくなる場合もあります。ご家族や介護に関わる方は、本人が痛みを訴えなくても、食事の量や噛む様子に変化がないか、口臭が強くなっていないかを気にかけていただくことが、早期発見の助けになると考えられます。妊娠中の方については、前述のとおり妊娠糖尿病と歯周病の関連は2023年の改訂で新たに検討が始まった段階であり[3]、現時点で確定的な結論は出ていませんが、つわりなどで歯みがきがおろそかになりやすい時期でもあるため、通常以上に意識したケアが勧められます。

この症状、放置して大丈夫?次に確認すべきこと 関連記事
この記事では答えていない疑問です — 読み終えたら、続けてご確認ください
尿の泡立ちは要注意? 記事へ センサーは保険で買える? 記事へ 低血糖になりやすい? 記事へ 神経障害の初期症状は? 記事へ

糖尿病がある方が歯周病を防ぐためにできること

日本糖尿病学会は、糖尿病の慢性合併症として、網膜症・腎症・神経障害といった細小血管合併症、動脈硬化による大血管合併症に加え、感染症にかかりやすく治りにくい状態や認知症などを挙げており[2]、歯周病もこの「かかりやすく治りにくい」感染症の一つとして日々の歯みがきだけでなく定期的な歯科受診を勧めています[2]。今日からできる具体的な行動は次のとおりです。

  • 血糖コントロールを整える:高血糖の状態が続くと歯周病が悪化しやすいと考えられているため[2]、糖尿病の治療自体が歯周病対策にもつながります。
  • 歯科でのクリーニングを定期的に受ける:歯周ポケットの中は歯ブラシだけでは届きにくいため、専門的な清掃(スケーリング・ルートプレーニング)が有効とされています[1]
  • 禁煙する:喫煙は歯周病の悪化要因として広く知られている生活習慣であり、糖尿病がある場合は特に注意が必要と考えられます。喫煙は歯ぐきの血流を悪くし、炎症からの回復を遅らせる方向に働くと考えられているため、糖尿病と歯周病の両方を抱える人にとって禁煙は特に効果が期待できる行動の一つです。
  • 毎日のセルフケアの質を上げる:歯ブラシだけでなく、歯間ブラシやデンタルフロスを併用して歯と歯の間のプラークを減らすことが、歯周ポケットの奥深くまでは届かないとしても、歯ぐきの表面の炎症を抑えるうえで役立つと考えられています。
  • 歯科医に糖尿病があることを伝える:血糖コントロールの状況(直近のHbA1cなど)を共有すると、歯科医が治療計画やメインテナンス間隔を調整しやすくなります。糖尿病の主治医と歯科医の間で情報を共有できると、双方向の悪循環を早い段階で断ち切りやすくなると考えられます。
  • 症状がなくても定期受診をやめない:歯周病は自覚症状が出にくいまま進行することがあるため[1]、痛みがないことを「大丈夫」の根拠にしないことが大切です。

食事・運動との関わり — 血糖コントロールを通じた間接的なケア

歯周病と糖尿病の関係を考えるとき、食事や運動そのものが歯周組織に直接効くわけではありませんが、血糖コントロールを整えること自体が歯周病対策の土台になるという意味で、間接的に深く関わっています。糖尿病の食事療法・運動療法によって血糖コントロールが改善すれば、歯周病が悪化しやすい高血糖の状態が続く時間を減らすことにつながると考えられます[2]。逆に、歯周病による炎症が続くとインスリンが効きにくい状態が続きやすくなるため[1]、食事療法や運動療法の効果そのものが出にくくなる可能性も考えられます。

また、噛む力が弱くなると、硬い食品を避けて柔らかい炭水化物中心の食事に偏りやすくなるとも言われており、歯を失うことが巡り巡って食生活の乱れにつながる可能性も指摘されています。歯を守ることは、単に「噛めるようにする」ことだけでなく、血糖コントロールの土台となる食生活を維持するためにも意味があると考えられます。糖尿病の治療を続けている方にとって、歯科受診は治療の「おまけ」ではなく、血糖コントロール全体を支える柱の一つとして位置づけて差し支えないでしょう。

歯科受診時に持っていくメモ(コピーしてお使いください)
・糖尿病の診断名(1型/2型/妊娠糖尿病)と診断された時期
・直近のHbA1cの数値と測定日
・現在使用中のお薬(インスリン、血をサラサラにする薬を含む)
・歯ぐきの症状がいつから、どのように変化したか
・歯科医に聞きたいこと(例:この症状は歯周病の進行によるものか/歯周治療で血糖値への影響はあるか)

歯周治療による血糖改善の効果には個人差があり、どのような患者でどの程度の効果が得られやすいかについては、今回参照した資料の範囲では確定的な結論はありません。妊娠糖尿病と歯周病の関連についても、日本歯周病学会は2023年の改訂で新たに検討を始めた段階であり[3]、今後さらに研究が蓄積されていく分野だと考えられます。

まとめ — 今日、何をすればよいか

ここまで見てきたように、歯周病と糖尿病は片方だけを見ていては見落としてしまう関係にあります。歯周病の炎症性物質はインスリンの働きを妨げて血糖値を押し上げる方向に働き[1]、逆に高血糖が続くと免疫の働きが落ちて歯周病が悪化しやすくなります[2]。この悪循環は、どちらか一方だけを断ち切ろうとしても十分ではなく、血糖コントロールと歯科でのケアの両方に同時に取り組むことで、より良い結果につながると考えられます。

今日からできることとして、次の3つを意識してみてください。第一に、歯ぐきからの出血や腫れ、口臭の変化といった小さなサインを見逃さないこと。第二に、症状の有無にかかわらず、糖尿病がある方は3か月以内を目安に歯科を受診すること[1]。第三に、歯科受診の際には糖尿病の診断名や直近のHbA1cの数値を必ず伝えることです。この3つを続けるだけでも、歯周病と糖尿病の悪循環に早い段階で気づき、対処できる可能性が高まると考えられます。

よくある質問

歯周病を治療すれば、糖尿病の薬を減らせますか?
歯周基本治療でHbA1cが平均約0.5%改善するという報告はありますが[3]、これは薬の減量を保証するものではありません。薬の調整は血糖値全体の推移を見ながら主治医が判断する事柄です。歯周治療はあくまで血糖コントロールを助ける一つの手段と考えられています。
1型糖尿病でも歯周病になりやすいですか?
はい。日本歯周病学会のガイドラインでは、1型・2型のどちらでも非糖尿病者に比べて歯周病の発症率が有意に高いと判定されています[3]。糖尿病の種類にかかわらず、血糖コントロールの状態が歯周組織の状態に影響すると考えられています。
歯周病があると糖尿病になりやすくなりますか?
歯周病の炎症性物質がインスリンの働きを妨げると報告されており[1]、双方向の関係が指摘されています。ただし歯周病だけが糖尿病の原因になるとは言い切れず、体質や生活習慣など複数の要因が関わると考えられています。
歯周病の治療は保険が使えますか?
歯周基本治療(歯石除去などのスケーリング)は健康保険の対象になるのが一般的です。自己負担割合や具体的な費用の目安は下記の早見表をご確認ください。
歯ぐきから血が出るのは糖尿病のサインですか?
歯ぐきからの出血の多くは歯周病そのもののサインであり、必ずしも糖尿病を意味するわけではありません[1]。ただし糖尿病があると歯周病が悪化しやすい傾向があるとされているため[3]、出血が続く場合は歯科受診に加え、健診で血糖値を確認することも選択肢の一つです。
糖尿病患者は抜歯やインプラントを避けるべきですか?
日本歯周病学会のガイドラインには、糖尿病患者へのインプラント治療の可否(CQ5)や外科処置時の抗菌薬投与(CQ6)についての検討項目があり[3]、血糖コントロールの状態によって判断が分かれる領域とされています。一律に避けるべきというより、主治医・歯科医と相談のうえで個別に判断する事柄と考えられます。
妊娠中に糖尿病と診断されました。歯周病にも注意が必要ですか?
日本歯周病学会は2023年の改訂で、妊娠糖尿病と歯周病の関連を新たに検討テーマとして取り上げています[3]。まだ研究が蓄積されている途中の分野ですが、妊娠中は口腔内の環境が変化しやすいとも言われており、通常より意識的な口腔ケアが勧められる場面です。
歯周病が進むと歯を失うのは本当ですか?
歯周病は成人が歯を失う最も多い原因とされています[1]。血糖コントロールが不良(HbA1c 7.0%以上など)だと歯を失うリスクがさらに上がる可能性を示すデータもあり[3]、早期の歯科受診と血糖管理の両方が歯を守ることにつながると考えられます。
歯周病の治療を受けると、すぐに血糖値は下がりますか?
歯周治療の効果がHbA1cの数値に表れるまでには、一定の期間が必要と考えられています。無作為比較試験では12か月後の時点でHbA1cの改善が確認された報告があり[3]、数日〜数週間で劇的に変わるようなものではなく、数か月単位の変化として捉えるのが現実的です。
歯周病と診断された糖尿病患者は、心臓病のリスクも上がりますか?
積極的な歯周治療を受けた2型糖尿病患者では、そうでない患者に比べて心筋梗塞や心不全の発症率が低かったという報告があります[3]。これは歯周病を放置すると心臓病のリスクが上がるとまで断定できるものではありませんが、歯周治療が全身の健康と無関係ではない可能性を示すデータの一つです。

参考文献

  1. 国立国際医療研究センター 糖尿病情報センター「歯周病と糖尿病の深い関係」 https://dmic.jihs.go.jp/general/about-dm/070/040/01.html
  2. 日本糖尿病学会「糖尿病の合併症について」 https://www.jds.or.jp/modules/citizen/index.php?content_id=3
  3. Minds ガイドラインライブラリ(日本医療機能評価機構)日本歯周病学会「糖尿病患者に対する歯周治療ガイドライン2023 改訂第3版」本文PDF https://minds.jcqhc.or.jp/common/summary/pdf/c00788.pdf

本記事で紹介した数値の多くは、日本歯周病学会が国内外の研究を系統的に集めて評価した診療ガイドラインに基づいています。個々の研究は対象人数や追跡期間、糖尿病の種類(1型・2型・妊娠糖尿病)が異なるため、数値には幅があり、そのまま自分自身に当てはまるとは限りません。気になる症状がある場合は、この記事の数値を参考にしつつ、最終的な判断は歯科医・糖尿病の主治医に相談することをお勧めします。

更新日:2026年7月19日。本記事の内容に誤りや古い情報があるとお気づきの際は、事実を確認のうえ訂正しますので、下記お問い合わせよりお知らせください。

この記事はお役に立ちましたか?
はいいいえ

この記事をシェア

LINE 𝕏
この記事について(運営者情報・免責事項) タップで表示

医療情報に関する重要なお知らせ

本記事はAI技術を活用し、厚生労働省・WHO等の公的医療機関の情報に基づいて作成されています。医療専門家による個別の監修は受けておりません。健康上の判断や治療については、必ず医師にご相談ください。詳しくは編集ポリシーをご覧ください。

Trinh Van Dieu

Trinh Van Dieu

ITエンジニア(17年)・Japanese Health 運営者

ベトナム在住のITエンジニア。17年の技術経験を活かし、日本の公的医療機関の情報をAI技術で整理・発信しています。

運営者情報を見る →