糖尿病薬とビタミンB12不足の関係|原因と対策まとめ
この記事でわかること
目次
- 糖尿病とビタミンB12不足の関係とは?なぜ「合併症」と呼ぶのが正確でないのか
- なぜメトホルミンがビタミンB12の吸収を妨げるのか
- 国内の症例報告に見る、実際の経過
- 発症までの期間とリスクが高まる条件
- メトホルミン以外の原因も見逃さない
- 症状 — 貧血と神経症状の両方に注意
- 対策 — 服用中止だけが答えではない
- 基本的な対策の流れ
- 日本と海外の資料の違い
- 糖尿病の神経障害とビタミンB12不足の神経症状、どう見分けるか(見分け方の一覧)
- 受診の目安 — どのタイミングで相談すればいいか
- よくある誤解を整理する
- 誤解1:「ビタミンB12不足は糖尿病の慢性合併症の一つ」
- 誤解2:「メトホルミンを飲んでいたら、すぐに不足する」
- 誤解3:「貧血がなければビタミンB12不足の心配はない」
- 誤解4:「症状が出たら自分でメトホルミンをやめればいい」
- 食事でビタミンB12を補う場合の注意点
- よくある質問
- 参考文献
結論から言うと、糖尿病薬とビタミンB12不足の関係で最も根拠がはっきりしているのは、糖尿病そのものではなく、治療薬メトホルミンの長期服用による腸での吸収低下です。(厚生労働省によると)[2]
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国内の症例報告では、メトホルミンを約4年間服用した78歳男性が、ビタミンB12欠乏による貧血(巨赤芽球性貧血)を発症したケースが報告されています(症例報告によると)[1]。海外の系統的レビューでは、メトホルミンを長期服用する人の14〜30%で血中ビタミンB12濃度が低下すると報告されています(国際レビューによると)[3]。
要点まとめ(20秒で読める要約)
編集方針: JHO編集部がAIツールの支援を受け、公的機関・学会誌の資料と照合して作成。最終確認は人の目。医師による個別診断の代わりにはなりません。数値・分類はガイドライン改定により変わることがあります(2026年7月時点)。掲載する症状・数値の基準は、参照した公的資料・学会誌の記載を基準にしています。更新日:2026年7月19日。内容に誤りや古い情報にお気づきの場合は、お問い合わせフォームよりご指摘いただければ確認のうえ修正いたします。
自分は当てはまるか、今すぐ確認
- □ メトホルミン(メトグルコなど)を3年以上服用している(症例報告によると)[1]
- □ 最近、疲れやすい・息切れ・顔色が悪いと感じる(厚生労働省によると)[2]
- □ 手足のしびれやピリピリ感がある(同資料)[2]
- □ ここ数年、血液検査でビタミンB12を測ったことがない
2つ以上当てはまる場合は、次回の受診時にビタミンB12の測定を相談することをお勧めします。
糖尿病とビタミンB12不足の関係とは?なぜ「合併症」と呼ぶのが正確でないのか
「糖尿病の合併症によるビタミンB12不足」という言葉を見かけることがありますが、正確には、糖尿病という病気そのものが直接ビタミンB12を減らすわけではありません。関係の中心にあるのは、2型糖尿病の治療で広く使われている飲み薬「メトホルミン」です。この記事では、糖尿病とビタミンB12不足がどうつながるのか、その正確な仕組みと、実際の症例に基づいた具体的な数値・対処法を、公的資料と学会誌の症例報告にもとづいて整理します。
厚生労働省eJIMの資料は、ビタミンB12欠乏の主な原因として「食品からのビタミンB12の吸収が困難であること、内因子の欠乏(悪性貧血など)、消化管の手術、特定の薬物の長期使用(メトホルミンやプロトンポンプ阻害剤など)、および栄養不足などがある」と説明しています(厚生労働省によると)[2]。つまり、公的資料でも、メトホルミンという薬の名前が名指しで原因の一つに挙げられているのです。
日本糖尿病学会の機関誌「糖尿病」に掲載された症例報告も、この関係を裏づけています。報告は「メトホルミンは,安価で体重増加を来さず心血管イベントを抑制することより,欧米では2型糖尿病の第一選択薬となっている」としたうえで、「メトホルミン服用によるビタミンB12欠乏はあまり知られていない」と指摘しています(症例報告によると)[1]。
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これは診断ではありません。入力された数値を日本高血圧学会の血圧値の分類(高血圧の基準は診察室 140/90mmHg以上・家庭 135/85mmHg以上)に当てはめて「受診の目安」を機械的に示すもので、医師の診察に代わるものではありません。日本高血圧学会「高血圧管理・治療ガイドライン2025」では、降圧目標は年齢によらず診察室 130/80mmHg未満・家庭 125/75mmHg未満とされています。脈拍の目安は学会の分類ではなく一般的な参考範囲です。
なぜメトホルミンがビタミンB12の吸収を妨げるのか
ビタミンB12は、食事から摂取したあと、胃で「内因子」と呼ばれるタンパク質と結合し、小腸の終わりの部分(回腸)で吸収されます。この吸収の仕組みのどこかが妨げられると、ビタミンB12が不足しやすくなります。
症例報告は、メトホルミンによるビタミンB12欠乏の原因について「回腸におけるビタミンB12-内因子複合体のカルシウム依存的吸収の阻害作用などが報告されている」と説明しています(症例報告によると)[1]。つまり、メトホルミンという薬が、腸の中でビタミンB12と内因子がくっついた状態を吸収する働きを、カルシウムが関わる仕組みを通じて妨げている可能性がある、ということです。
この仕組みは、胃や腸そのものに病気があるわけではなく、あくまで薬の作用による一時的な吸収低下です。そのため、後述するように、原因となっている薬を中止し、ビタミンB12を補充すれば、多くの場合は改善が期待できます。
国内の症例報告に見る、実際の経過
どのような経過をたどるのか、実際の症例報告を見てみます。報告された症例は78歳男性で、「X-4年10月よりメトホルミン750mgより開始したところ,X年6月頃よりHb 11.5g/dL,MCV 109 fLと大球性貧血を認めた」とされています(症例報告によると)[1]。その後「同年11月,ビタミンB12 50pg/mL未満と低値を示し,メトホルミン投与によるビタミンB12欠乏に基づく巨赤芽球性貧血と診断し,メトホルミン中止およびメコバラミン投与により速やかに改善した」と報告されています(同症例報告によると)[1]。
| 時期 | 経過 |
|---|---|
| X-4年10月 | メトホルミン750mg開始(症例報告によると)[1] |
| 約8か月後 | メトホルミン1000mgに増量(同報告)[1] |
| X年6月頃 | Hb 11.5g/dL、MCV 109fLと大球性貧血を確認(同報告)[1] |
| X年11月 | ビタミンB12 50pg/mL未満(基準180〜914)と判明、巨赤芽球性貧血と診断(同報告)[1] |
| 診断後 | メトホルミン中止+メコバラミン筋肉注射・内服開始(同報告)[1] |
| 約1か月後 | ビタミンB12が569pg/mLに回復(同報告)[1] |
出典:中村ほか「メトホルミン内服中にビタミンB12欠乏による巨赤芽球性貧血をきたした2型糖尿病の1例」糖尿病60(2):98-102(2017)[1]
この症例では、メトホルミンを中止してビタミンB12を補充したところ、約1か月という比較的短い期間で数値が改善しています。早期に気づいて対処すれば、回復が期待できることを示す例と言えます。
この患者は78歳で、メトホルミンを750mgから開始し、約8か月後に1000mgへ増量していました(症例報告によると)[1]。血糖コントロールの指標であるHbA1cについても、報告は興味深い指摘をしています。「Hbの低下に伴いHbA1cは見かけ上低下していった」とされており(同報告)[1]、これは貧血があるとHbA1cの値が実際より低く出てしまうことがあるという注意点を示しています。血糖コントロールが急に「良くなった」ように見えるときも、実際には貧血が隠れている可能性を考える必要がある、という教訓がこの症例には含まれています。
発症までの期間とリスクが高まる条件
症例報告は、メトホルミンによるビタミンB12欠乏がどのくらいの頻度・期間で起こるかについても、他の研究を引用してまとめています。「メトホルミン内服によるビタミンB12欠乏に関しては,5~30%の範囲でみられるとの報告がある」とされ(症例報告によると)[1]、「一般的には5~10年後の経過を経て発症するとされている」とも述べられています(同報告)[1]。
リスクが高まる条件についても具体的に書かれています。「メトホルミン内服によるビタミンB12欠乏のリスク因子として,Ko や Ting らは,投与期間が3年以上または投与量が1000mg/日増加する毎にリスクが高くなると報告しており,投与期間が長い症例や投与量が多い場合は注意が必要であると考えられる」とされています(同報告)[1]。
| リスク因子 | 内容 |
|---|---|
| 服用期間 | 3年以上でリスクが高まる(症例報告によると)[1] |
| 服用量 | 1000mg/日増えるごとにリスクが高まる(同報告)[1] |
| 発症までの期間 | 一般的に5〜10年、報告によっては服用開始16週間後から発症する例も(同報告)[1] |
| 国際的な報告での頻度 | 長期服用者の14〜30%で血中濃度が低下(国際レビューによると)[3] |
出典:中村ほか 糖尿病60(2):98-102(2017)[1]/国際レビュー(PMC)[3](2026年7月時点で参照)
すぐに受診・相談が必要なサイン
| 適用時期 | 年収の目安 | 計算式 | 100万円の場合 |
|---|---|---|---|
| ~2026年7月診療分 現行 | 年収約370万~770万円(区分ウ) | 80,100円+(医療費-267,000円)×1% | 87,430円 |
| 2026年8月診療分から 見直し後(第1段階) | 年収約370万~770万円(区分ウ) | 85,800円+1%(PDF原文の表記) | 約92,940円<br><small>(編集部試算)</small> |
| + 年間上限 53万円(新設) | |||
※「100万円の場合」の金額のうち、現行(~2026年7月)欄は出典PDFに記載の計算例そのものです。2026年8月欄について、出典PDFに印字されているのは「85,800+1%」という表記のみです。1%を乗じる基準額(現行の267,000円に相当する部分)と、100万円の場合の約92,940円は、PDFに印字されておらず、現行制度と同じ計算方法にもとづくJHO編集部試算です。正確な金額は加入されている健康保険組合等にご確認ください。
※ 制度は改定されることがあります。受診・手術の時期によって自己負担額が変わるため、最新の情報は
厚生労働省の高額療養費制度ページで必ずご確認ください。
出典:厚生労働省「高額療養費制度の在り方に関する専門委員会」(令和7年12月16日) (PDF)
|JHO確認日:2026-07-16
メトホルミン以外の原因も見逃さない
ビタミンB12不足の原因はメトホルミンだけではありません。厚生労働省eJIMの資料は「食品からのビタミンB12の吸収が困難であること、内因子の欠乏(悪性貧血など)、消化管の手術、特定の薬物の長期使用(メトホルミンやプロトンポンプ阻害剤など)、および栄養不足などがある」と、複数の原因を並べて説明しています(厚生労働省によると)[2]。
国内の症例報告でも、原因を1つに決めつけていません。報告された症例では「上部消化管内視鏡検査にて萎縮性胃炎を認め抗胃壁細胞抗体が弱陽性であったことから,これらのいずれかが原因であることが疑われた」とされています(症例報告によると)[1]。つまり、この患者ではメトホルミンだけでなく、胃の粘膜の萎縮(萎縮性胃炎)や、自己免疫的な要因(悪性貧血)も同時に疑われていたということです。
| 原因 | 説明 |
|---|---|
| メトホルミンの長期使用 | 腸でのビタミンB12-内因子複合体の吸収を阻害(厚生労働省によると)[2] |
| プロトンポンプ阻害剤の長期使用 | 胃酸分泌を抑える薬。ビタミンB12の遊離に影響することがある(同資料)[2] |
| 内因子の欠乏(悪性貧血など) | 自己免疫的な要因で内因子が作られにくくなる(同資料)[2] |
| 消化管の手術歴 | 胃や腸の一部切除により吸収経路が変化する(同資料)[2] |
| 萎縮性胃炎 | 胃粘膜の萎縮により内因子の分泌が減ることがある(症例報告によると)[1] |
| 食事からの摂取不足 | 動物性食品の摂取が少ない場合など(厚生労働省によると)[2] |
出典:厚生労働省eJIM「ビタミンB12」[2]/中村ほか 糖尿病60(2):98-102(2017)[1](2026年7月時点で参照)
だからこそ、ビタミンB12が低値だった場合、「メトホルミンのせいだろう」と決めつけず、胃カメラなどの検査で他の原因が隠れていないか確認することが、正確な診断につながります。症例報告の患者も、上部消化管内視鏡検査(胃カメラ)を受けたうえで「萎縮性胃炎(O-III)を認めた」とされています(症例報告によると)[1]。血液検査だけでなく、必要に応じて胃の検査まで行うことで、原因をより正確に絞り込めることが、この症例からもわかります。
症状 — 貧血と神経症状の両方に注意
ビタミンB12不足の症状は、血液の症状と神経の症状の2種類に分かれます。厚生労働省eJIMの資料は、血液学的症状として「巨赤芽球性貧血(大型で核の異常な赤血球が特徴)のほか、白血球、赤血球、血小板の減少」を挙げています(厚生労働省によると)[2]。
神経学的な症状も見逃せません。「手足のしびれやうずきなどの神経学的変化も起こりうる」とされ、こうした神経症状は「貧血を伴わずに起こる可能性があるため、不可逆的な損傷を避けるためには早期の診断と介入が重要」と説明されています(同資料)[2]。そのほかの症状として「舌炎、疲労、動悸、蒼白、認知症、体重減少、不妊症などがある」とも記載されています(同資料)[2]。
| 分類 | 主な症状 |
|---|---|
| 血液の症状 | 巨赤芽球性貧血、白血球・赤血球・血小板の減少(厚生労働省によると)[2] |
| 神経の症状 | 手足のしびれ・うずき(貧血を伴わないこともある)(同資料)[2] |
| その他の症状 | 舌炎、疲労、動悸、蒼白、認知症、体重減少、不妊症(同資料)[2] |
出典:厚生労働省eJIM「ビタミンB12」[2](2026年7月時点で参照)
特に注意したいのは、神経症状が貧血より先に、あるいは貧血を伴わずに起こることがあるという点です(厚生労働省によると)[2]。「血液検査で貧血がないから大丈夫」と自己判断せず、しびれなどの症状があれば別途相談することが大切です。
対策 — 服用中止だけが答えではない
国内の症例報告では、メトホルミンを「直ちに中止し,メコバラミンの筋肉注射(500μg×3回)及び内服薬(1500μg/日)開始したところ,約1か月後にはビタミンB12は569 pg/mLと改善」したとされています(症例報告によると)[1]。ただし、これは医師の診断のもとで行われた対応であり、自己判断でメトホルミンの服用を中止することは推奨されません。糖尿病の血糖コントロールが崩れるリスクがあるためです。メトホルミンは長年の使用実績があり、体重増加を来しにくく心血管イベントを抑える働きも報告されている薬であるため、ビタミンB12の問題だけを理由に安易にやめてしまうと、糖尿病そのものの管理が悪化するおそれがあります。
症例報告は「メトホルミン投与後にビタミンB12欠乏症が顕性化した悪性貧血の症例報告も散見される」ことにも触れ、「それらの症例では投与を長期中止してもビタミンB12補充療法後に徐々に再発低下している」例があるとも述べています(同報告)[1]。つまり、原因がメトホルミンだけとは限らず、他の原因(胃の病気など)が隠れている場合もあるため、医師による正確な診断が重要です。
基本的な対策の流れ
| 順番 | すること | ポイント |
|---|---|---|
| ① | 症状(疲労・しびれなど)や服用期間を確認する | 3年以上服用している場合は特に注意(症例報告によると)[1] |
| ② | 主治医に相談し、血中ビタミンB12を測定してもらう | 自己判断で服用を中止しない |
| ③ | 低値であれば、原因(メトホルミン以外の可能性も含め)を調べる | 胃の病気などが隠れている場合もある(症例報告によると)[1] |
| ④ | 医師の指示のもとで、注射・内服によるビタミンB12補充を行う | 症例では約1か月で数値が回復(同報告)[1] |
| ⑤ | メトホルミンの継続・中止・変更は医師と相談して決める | 血糖コントロールとのバランスを考慮 |
・現在服用している糖尿病の薬の名前と量、服用期間
・気になる症状(疲労・しびれ・息切れなど)とその期間
・過去の血液検査でビタミンB12を測ったことがあるか
・貧血を指摘されたことがあるか
・医師に聞きたいこと(B12を測ってほしい、薬の見直しなど)
日本と海外の資料の違い
この関係について、日本の資料と海外の資料では、示し方に違いがあります。
| 項目 | 日本(症例報告・厚労省資料) | 海外(国際レビュー) |
|---|---|---|
| データの性質 | 国内の症例報告1例を中心に、経過を詳しく記述(症例報告によると)[1] | 複数の研究をまとめた系統的レビューで頻度を報告(国際レビューによると)[3] |
| 頻度の示し方 | 「5〜30%」という報告を引用(同報告)[1] | 「14%から30%」という数値を提示(同レビュー)[3] |
| 定期検査の推奨 | 公式なガイドラインとしての明記は今回の資料には見当たらない | 「メトホルミン服用者への予防的なビタミンB12投与について、現行のガイドラインは存在しない」とされている(同レビュー)[3] |
興味深いのは、海外の系統的レビューでも「現行のガイドラインは存在しない」と明言されている点です(国際レビューによると)[3]。つまり、メトホルミンとビタミンB12欠乏の関連自体は広く報告されているものの、「何年ごとに測定すべきか」という統一されたルールは、日本にも海外にも確立していないのが実情です。だからこそ、症状や服用期間を自分で意識し、気になったら主治医に相談する姿勢が重要になります。
ガイドラインが存在しないからといって、「関連がはっきりしていない」という意味ではありません。むしろ、国内の症例報告と海外の系統的レビューの両方が、メトホルミンとビタミンB12欠乏の関連自体は一致して認めています(症例報告によると[1]、国際レビューによると[3])。統一された測定間隔のルールがまだない段階だからこそ、患者側が服用期間や症状を意識しておくことの重要性が、かえって高いとも言えます。
糖尿病の神経障害とビタミンB12不足の神経症状、どう見分けるか(見分け方の一覧)
糖尿病治療中の人が手足のしびれを感じたとき、「これは糖尿病の神経障害だろう」と思い込みがちです。しかし、ビタミンB12不足による神経症状も、糖尿病の神経障害とよく似た症状(しびれ、ピリピリ感、感覚の鈍さ)を起こすことがあります。
厚生労働省eJIMの資料は、ビタミンB12不足による神経症状について「貧血を伴わずに起こる可能性があるため、不可逆的な損傷を避けるためには早期の診断と介入が重要」と強調しています(厚生労働省によると)[2]。つまり、症状だけで「糖尿病の神経障害」と自己診断してしまうと、実はビタミンB12不足が背景にあるケースを見逃してしまう可能性があるということです。
| 手がかり | 糖尿病の神経障害を示唆 | ビタミンB12不足を示唆 |
|---|---|---|
| 血糖コントロールの状態 | 長年血糖値が高めで推移している | 血糖コントロールとは関係なく症状が出ることがある |
| メトホルミンの服用歴 | 特に関連なし | 3年以上の長期服用がある(症例報告によると)[1] |
| 貧血の有無 | 通常は貧血を伴わない | 貧血を伴うことも、伴わないこともある(厚生労働省によると)[2] |
| 血液検査での確認 | 血糖値・HbA1cで評価 | 血中ビタミンB12濃度の測定で確認できる |
出典:厚生労働省eJIM「ビタミンB12」[2]/中村ほか 糖尿病60(2):98-102(2017)[1](2026年7月時点で参照)
表だけで確実に見分けることはできません。しびれなどの症状がある場合は、自己判断せず、主治医にビタミンB12の測定も含めて相談することが、最も確実な見分け方です。特に、糖尿病の治療を長く続けていて神経障害と診断されている人ほど、新しく出てきたしびれの変化を「いつもの糖尿病の症状」と決めつけてしまいがちなので、変化に気づいたら一度立ち止まって確認する習慣が役立ちます。
受診の目安 — どのタイミングで相談すればいいか
症状や服用状況によって、相談のタイミングの目安を整理します。
| 状況 | 目安 |
|---|---|
| メトホルミンを3年以上服用しているが、症状は特にない | 次回の定期受診時に、ビタミンB12の測定を相談する(症例報告によると)[1] |
| 手足のしびれ・強い疲労感がある | 早めに主治医に相談する(厚生労働省によると)[2] |
| 血液検査でビタミンB12の低値・貧血を指摘された | 原因(メトホルミン・胃の病気など)の精査を相談する |
| すでに補充療法を開始している | 指示された頻度で経過観察を続ける(症例報告によると)[1] |
受診の目安に迷う場合でも、症状が軽いうちに相談しておくことで、原因の特定と対処が早まります。自己判断で市販のサプリメントだけに頼らず、まずは血液検査で状態を確認することをお勧めします。糖尿病の定期受診はすでに習慣になっている人が多いため、「次の受診のときに一言尋ねる」という形で始めれば、新たに病院を探す手間もかかりません。
よくある誤解を整理する
誤解1:「ビタミンB12不足は糖尿病の慢性合併症の一つ」
神経障害・網膜症・腎症のような、血糖値が長年高いことで血管や神経が傷つく慢性合併症とは性質が異なります。ビタミンB12不足の主な原因として名指しされているのは、糖尿病治療薬であるメトホルミンです(厚生労働省によると)[2]。
誤解2:「メトホルミンを飲んでいたら、すぐに不足する」
症例報告では「投与期間が3年以上または投与量が1000mg/日増加する毎にリスクが高くなる」とされ(症例報告によると)[1]、「一般的には5~10年後の経過を経て発症するとされている」とも述べられています(同報告)[1]。全員がすぐに不足するわけではなく、長期服用・高用量が主なリスク要因です。
誤解3:「貧血がなければビタミンB12不足の心配はない」
神経症状は「貧血を伴わずに起こる可能性がある」とされています(厚生労働省によると)[2]。血液検査で貧血が指摘されていなくても、しびれなどの症状があれば注意が必要です。
誤解4:「症状が出たら自分でメトホルミンをやめればいい」
症例報告の対応は、医師の診断のもとで「メトホルミンを直ちに中止し」補充療法を行ったものです(症例報告によると)[1]。自己判断でメトホルミンを中止すると、血糖コントロールが崩れるおそれがあります。必ず医師に相談したうえで対応を決めてください。
日本国内でメトホルミン服用者に対して「何年ごとにビタミンB12を測定すべきか」という統一的な推奨については、今回参照した資料には明確な記載が見当たりませんでした。海外の系統的レビューでも同様に、予防的な補充やモニタリングに関する確立したガイドラインは存在しないとされています(国際レビューによると)[3]。気になる場合は、自己判断で頻度を決めず、主治医に直接相談してください。
食事でビタミンB12を補う場合の注意点
ビタミンB12は、レバー・魚介類(あさり・さんまなど)・卵・乳製品といった動物性食品に多く含まれています。厚生労働省eJIMの資料は、成人の推奨摂取量(RDA)を「2.4µg」としており(厚生労働省によると)[2]、通常の食事をしていれば大きく不足することは少ないとされています。
ただし、メトホルミンによる吸収障害が起きている場合、食事から多く摂取しても、腸での吸収そのものが妨げられているため、食事の工夫だけでは十分に改善しない可能性があります。症例報告で改善に用いられたのは、食事ではなく「メコバラミンの筋肉注射」や「内服薬」による直接的な補充でした(症例報告によると)[1]。すでに欠乏が進んでいる場合は、食事の見直しだけに頼らず、医師の指導のもとで適切な補充方法を選ぶことが重要です。補充の方法には、注射(筋肉注射)と内服薬(飲み薬)の両方があり、症例報告では両方が併用されていました(症例報告によると)[1]。どちらを選ぶか、どのくらいの期間続けるかは、欠乏の程度や原因によって異なるため、自己判断でどちらか一方だけを試すのではなく、医師の指示に従うことが望ましいです。
菜食主義(ベジタリアン・ヴィーガン)の人は、動物性食品の摂取が少ないため、メトホルミンを服用していなくてもビタミンB12が不足しやすい傾向があります。糖尿病でメトホルミンを服用しており、なおかつ動物性食品をあまり摂らない人は、特に注意して定期的な確認を検討する価値があります。
よくある質問
メトホルミンを飲んでいます。何年目からビタミンB12を測ったほうがいいですか?
手足がしびれます。糖尿病の神経障害でしょうか、それともビタミンB12不足でしょうか?
ビタミンB12のサプリメントを自分で飲んでおけば予防できますか?
ビタミンB12が不足していると分かったら、メトホルミンはやめるべきですか?
ビタミンB12を補充すれば、どのくらいで回復しますか?
貧血もしびれもありませんが、念のため検査したほうがいいですか?
メトホルミン以外の糖尿病の薬でも、ビタミンB12不足は起こりますか?
ベジタリアンで糖尿病もあります。特に気をつけることはありますか?
胃の手術を受けたことがあります。メトホルミンとの関係で余計に注意が必要ですか?
ビタミンB12の血液検査は、通常の健康診断に含まれていますか?
- インスリンの種類と糖尿病治療への取り入れ方 — 糖尿病治療薬全般について知りたいときに
- 糖尿病検査はいつ受ける?基準数値2024 — 血液検査全般の基準を確認したいときに
- 糖尿病性足病変とは?早期発見で防ぐ切断リスク — 糖尿病の神経症状について知りたいときに
参考文献
- 中村秀俊ほか「メトホルミン内服中にビタミンB12欠乏による巨赤芽球性貧血をきたした2型糖尿病の1例」糖尿病60(2):98-102(2017)日本糖尿病学会 https://www.jstage.jst.go.jp/article/%e7%b3%96%e5%b0%bf%e7%97%85/60/2/60_98/_pdf/-char/ja
- 厚生労働省eJIM「ビタミンB12[サプリメント・ビタミン・ミネラル – 医療者]」 https://www.ejim.mhlw.go.jp/pro/overseas/c03/14.html
- Metformin-Induced Vitamin B12 Deficiency in Patients With Type-2 Diabetes Mellitus (PMC) https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC10688235/
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