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栄養と健康的な食事 32分で読める 8回

菜食と鉄分―ヘム鉄・非ヘム鉄の違いと不足を防ぐ食事法

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結論から言うと、菜食と鉄分の関係で最初に押さえるべきは、鉄には「ヘム鉄」と「非ヘム鉄」の2種類があり、植物性食品に含まれる非ヘム鉄は動物性食品のヘム鉄より体への吸収率が低いという点である。厚生労働省 e-ヘルスネットの報告によれば、両者で大きく異なるのは体内での吸収率であり、ヘム鉄で高く非ヘム鉄で低い[3]。NIH(米国国立衛生研究所)の資料でも、肉・魚・ビタミンCを含む混合食での鉄の生体利用率がおよそ14〜18%であるのに対し、菜食中心の食事ではおよそ5〜12%にとどまると報告されている[4]。

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つまり菜食と鉄分の両立には、鉄を多く含む植物性食品を選ぶだけでなく、ビタミンCと組み合わせて吸収を高め、お茶・コーヒーのタイミングをずらして吸収を妨げないよう工夫する必要がある。NIHの資料では、植物性食品にはビタミンB12がほとんど含まれないと明記されており、菜食が長期化する場合は別途の対策が必要になる[5]。強いだるさや動悸、息切れが続く場合は自己判断で高用量の鉄サプリメントを摂り続けず、医療機関で血液検査を受けることが大切である。本記事では、こうした菜食と鉄分の関係を、厚生労働省の公的基準とNIHなど海外の資料の両方から具体的な数値とともに整理していく。

要点まとめ

  • 鉄には「ヘム鉄」(肉・魚・レバー)と「非ヘム鉄」(野菜・大豆製品・穀類)があり、厚生労働省 e-ヘルスネットによれば非ヘム鉄は吸収率が低い[3]
  • 小松菜・ほうれん草・大豆製品・厚揚げ・レンズ豆・切り干し大根・あおさなど、鉄を多く含む植物性食品を組み合わせる(文部科学省 食品成分データベースより)
  • NIHの資料では、ビタミンCと同時にとると非ヘム鉄の吸収が高まり、タンニン(お茶・コーヒー)やフィチン酸、カルシウムの同時摂取は吸収を下げると報告されている[4]。日本人を対象にした研究でも緑茶・コーヒーの摂取量とフェリチン値の関連が報告されている[6]
  • 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では成人女性(月経あり)の推奨量は年代により6.0〜10.5mg/日と幅がある[1]
  • NIHの資料によれば植物性食品だけではビタミンB12が不足しやすく[5]、動悸・息切れ・強い疲労感が続くときは自己判断でサプリメントを増やさず受診する
  • NIHの資料では、ビーガン(完全菜食)はベジタリアンやペスカタリアンより鉄・B12ともに不足リスクが高くなりやすいと報告されている[5]
  • NIHの資料によると、鉄の耐容上限量は通常の食品では設定されていないが、サプリメントは成人でおよそ45mg/日を超えると消化器症状のリスクが高まる[4]

編集方針: JHO編集部がAIツールの支援を受け、厚生労働省・文部科学省・NIH(米国国立衛生研究所)・学術論文などの公的資料と照合して作成。最終確認は人の目で行っています。医師による個別診断の代わりにはなりません。数値・基準は改定により変わることがあります(2026年7月時点)。

ヘム鉄と非ヘム鉄とは?菜食と鉄分の吸収の仕組み

厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」の報告書によれば、体内の鉄の総量は成人でおよそ3〜4gであり、その約70%は赤血球中のヘモグロビン鉄として存在する[1]。厚生労働省 e-ヘルスネットの解説では、ヘモグロビンは酸素を全身に運ぶ役割を担っており、鉄が不足するとヘモグロビンが減少し、疲れやすさ・頭痛・息切れ・運動機能の低下などが起こりやすくなると報告されている[3]。

食品中の鉄には「ヘム鉄」と「非ヘム鉄」の2種類がある。ヘム鉄はレバーや赤肉、赤身の魚などの動物性食品に多く含まれ、非ヘム鉄は野菜や卵、牛乳、大豆製品などに多く含まれる。厚生労働省 e-ヘルスネットの解説では、両者で大きく異なるのは体内での吸収率であり、ヘム鉄で高く、非ヘム鉄で低いことが分かっていると報告されている[3]。NIHの資料でも、ヘム鉄は他の食事内容の影響を受けにくく生体利用率が高いのに対し、非ヘム鉄は食事に含まれる他の成分の影響を強く受けると報告されている[4]。

鉄はヘモグロビンの材料になるだけの栄養素ではない。厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」によれば、鉄は体内の様々な酵素の構成要素でもあり、その欠乏は貧血だけでなく、運動機能や認知機能の低下を招くことも報告されている[1]。同基準の解説では、体内の鉄は、ヘモグロビンのように酸素運搬という生理的な役割を果たす「機能鉄」と、鉄を貯蔵・運搬する役割を持つ「貯蔵鉄」に分けることができ、代表的な貯蔵鉄であるフェリチンの血清中濃度は、鉄の栄養状態を反映するよい指標と報告されている[1]。菜食と鉄分の関係を考えるときも、単に「疲れているかどうか」だけでなく、こうした鉄の役割全体を意識しておくと、なぜ食事からの継続的な鉄補給が重要なのかが理解しやすくなる。

図:JHO編集部が作成

肉・魚を食べない、あるいは頻度が少ない菜食中心の生活では、摂取する鉄のほとんどが吸収率の低い非ヘム鉄になる。そのため、同じ「鉄何mg」という数字であっても、実際に体に取り込まれる量は肉食中心の食生活より少なくなりやすい。これが菜食と鉄分の関係を考えるうえでの出発点になる。

鉄が体に取り込まれる過程はやや複雑である。食事中の鉄は主に十二指腸から空腸上部で吸収され、非ヘム鉄はいったん還元されたのち小腸の上皮細胞に取り込まれ、吸収された鉄は血液中でトランスフェリンというたんぱく質と結合して全身に運ばれるとされる(一般的な生理学の説明であり、本記事が参照した資料には詳細な記載はない)。同資料では、この一連の流れを調節しているのが、肝臓で作られるホルモンの一種「ヘプシジン」であり、体内の鉄が足りているときは腸からの鉄吸収を抑え、不足しているときは吸収を促す働きを持つと報告されている[4]。つまり体は鉄の状態に応じて吸収量をある程度自動調整しているが、菜食で非ヘム鉄しかとらない場合は、そもそも吸収されやすい形の鉄が少ないため、この調整機能だけでは十分な鉄量を確保しにくい。

また、厚生労働省 e-ヘルスネットの解説によれば、日本人成人の鉄の1日あたりの損失量は、代謝によって男性でおよそ1mg、女性でおよそ0.8mgとされ、月経のある女性はこれに加えて1日あたり換算でさらに約0.5mgが失われると報告されている[3]。この損失分を食事から補う必要があるために、鉄の推奨量は性別・年代・月経の有無で細かく分かれている。同解説では、摂取した鉄のうち実際に吸収される割合は、食事内容によって変わるものの平均でおよそ15%程度とされ、ヘム鉄・非ヘム鉄の比率や、後述するビタミンCやタンニンなどとの組み合わせによって上下すると報告されている[3]。

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菜食の種類によって変わるリスク―ベジタリアン・ビーガン・ペスカタリアンの違い

ひと口に「菜食」と言っても、動物性食品をどこまで避けるかによって鉄・ビタミンB12不足のリスクは変わってくる。魚介類は食べる「ペスカタリアン」は、魚由来のヘム鉄やビタミンB12を一定量とれるため、完全菜食の場合に比べてリスクはやや低くなりやすい。卵・乳製品はとる「ラクト・オボ・ベジタリアン」は、非ヘム鉄が中心になる点は変わらないが、卵や乳製品からビタミンB12を少量得られる。これに対し、NIHの資料によれば、卵・乳製品を含め動物性食品を一切とらない「ビーガン(完全菜食)」は、鉄・ビタミンB12ともに植物性食品だけで賄う必要があり、注意が最も必要なグループになると報告されている[5]。

NIHの資料では、動物性食品を全くとらないビーガンと、卵や乳製品を部分的にとるベジタリアンの双方が、通常の食事をする人に比べてビタミンB12欠乏のリスクが高いグループとして挙げられている[5]。菜食と鉄分の対策を考えるときは、自分がどのタイプの菜食にあたるのかを踏まえて、不足しやすい栄養素の優先順位をつけるとよい。

鉄の食事摂取基準(2025年版)―成人の推奨量

厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」の報告書では、性別・年代・月経の有無によって鉄の推奨量が細かく設定されている[1]。同報告書による成人(18歳以上)の主な値は次のとおりである。

年代 男性 推奨量 女性(月経なし)推奨量 女性(月経あり)推奨量
18〜29歳 7.0mg/日 6.0mg/日 10.0mg/日
30〜49歳 7.5mg/日 6.0mg/日 10.5mg/日
50〜64歳 7.0mg/日 6.0mg/日 10.5mg/日
65〜74歳 7.0mg/日 6.0mg/日 ―(月経なしの値を適用)
75歳以上 6.5mg/日 5.5mg/日 ―
妊婦(付加量・中期後期) ― +8.5mg/日
授乳婦(付加量) ― +2.0mg/日

出典:厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」策定検討会報告書 ミネラル(微量ミネラル)鉄の食事摂取基準(mg/日)より抜粋[1]

このように月経のある女性の推奨量は月経のない女性よりも4〜4.5mg/日ほど高く設定されている。これは月経による鉄の損失を食事から補う必要があるためで、月経のある女性が菜食中心の食生活を送る場合は、特に意識して鉄を多く含む食品を組み合わせることが求められる。なお、厚生労働省の基準表によれば、上記の数値は年齢区分ごとに丸め処理された基準値であり、一部の年代で男性より女性(月経あり)の推奨量が高くなる、体感的にやや意外な並びになっている点も、厚生労働省の報告書にある基準表の元の数値どおりである[1]。

受診の目安―すぐに受診が必要なサイン

  • 強いだるさ・疲れやすさが数週間以上続く(厚生労働省 e-ヘルスネットの報告が挙げる鉄欠乏の代表的な症状)[3]
  • 階段や坂道で以前より息切れしやすい
  • 動悸(心臓がドキドキする感じ)が続く
  • 顔色や下まぶたの裏側が明らかに白っぽい
  • 氷を無性に食べたくなる、めまいや立ちくらみが頻繁に起こる

厚生労働省 e-ヘルスネットの解説によれば、これらの症状は鉄欠乏性貧血以外にも、消化管の病気(痔・潰瘍など)や他の血液の病気が原因のこともあると報告されている[3]。食生活に心当たりがない場合は自己判断せず医療機関で血液検査を受けることが望ましい。

血液検査でわかること―ヘモグロビン値とフェリチン値

厚生労働省 e-ヘルスネットの報告によれば、貧血とは、赤血球に含まれる血色素(ヘモグロビン)濃度が低下した状態を指し、その原因としてもっとも多いのが鉄欠乏性貧血である[3]。医療機関では、まずヘモグロビン濃度を測定して貧血の有無を確認するが、貯蔵鉄の指標である血清フェリチン値もあわせて調べることで、ヘモグロビンがまだ下がりきっていない「隠れ鉄不足」の段階を把握できることがある。日本人を対象にしたある研究(J-MICC Studyのフェリチン関連論文)では、血清フェリチン濃度が12μg/L未満の状態を鉄欠乏の定義として用いている[6]。

菜食と鉄分の関係を自己判断だけで済ませず、気になる症状がある場合はヘモグロビン値・フェリチン値を含む血液検査を受け、必要であれば医師の指導のもとで食事の見直しや鉄剤の使用を検討することが望ましい。フェリチン値は体調や炎症の影響も受けるため、数値の解釈は自己判断せず医師に確認することが大切である。

植物性食品で鉄をとる―小松菜・ほうれん草・大豆製品・レンズ豆・海藻など

菜食と鉄分を両立させる基本は、鉄を多く含む植物性食品を毎日の食事に組み込むことである。文部科学省の食品成分データベースの調査報告「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」をもとに、代表的な植物性食品(可食部100gあたり)の鉄含有量を示す[7][8][9][10][11][12][13][14]。

食品(可食部100gあたり) 鉄含有量 備考
レンズ豆(乾) 9.0mg 文部科学省の食品成分データベースによれば、ゆでると4.3mgに下がる(水戻し・加熱による溶出)[11]
あおさ(素干し) 5.3mg 文部科学省の食品成分データベースによる海藻類の数値。少量で使うため摂取量には注意[13]
糸引き納豆 3.3mg 文部科学省の食品成分データベースによる大豆製品の数値。1パック(約45g)で約1.5mg[14]
切り干し大根(乾) 3.1mg 文部科学省の食品成分データベースによれば、乾物のため少量でも鉄が濃縮されている[12]
小松菜(葉・生) 2.8mg 文部科学省の食品成分データベースによれば、ゆでると2.1mgに減少[7]
生揚げ(厚揚げ) 2.6mg 文部科学省の食品成分データベースによる大豆製品の数値。木綿豆腐より鉄が多い[10]
ほうれん草(葉・生) 2.0mg 文部科学省の食品成分データベースによれば、ゆでると0.9mgまで減少するため、生食や汁物ごと食べる工夫が有効[8]
木綿豆腐 1.5mg 文部科学省の食品成分データベースによれば、絹ごし豆腐は1.2mg[9]

出典:文部科学省の調査報告「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」食品成分データベース/こまつな・ほうれんそう・木綿豆腐・生揚げ・レンズまめ・切干しだいこん・あおさ・糸引き納豆の各データより[7]〜[14]

表からわかるように、ほうれん草や小松菜は生の状態と比べて茹でると鉄の値が大きく下がる。これは鉄そのものが茹で汁に溶け出すためで、汁物やスープごと食べる、電子レンジで蒸す、油いためにするなど調理法を工夫すると鉄の損失を抑えやすい。またレンズ豆は乾物の状態では鉄が多く見えるが、実際に食べる調理後の量(ゆで)で比較する習慣をつけると、他の食品との比較がしやすくなる。

実際の献立では、これらの食品を単品で大量に食べるよりも、複数を組み合わせて日々の食事に散らす方が現実的である。例えば朝食に納豆、昼食に厚揚げや豆腐を使った煮物、夕食に小松菜やほうれん草のお浸しやスープを取り入れるといった形で、1日の中で植物性の鉄源を分散させると、菜食と鉄分の両立がしやすくなる。あおさや切り干し大根は乾物のため保存がきき、汁物や煮物に加えるだけで手軽に鉄を補える食材として使いやすい。日本の精進料理や家庭料理には、もともと切り干し大根の煮物、ひじきや豆類を使った煮物、豆腐や厚揚げを使った料理など、動物性食品を使わずに作られてきた献立が多くある。こうした伝統的な献立の中から、文部科学省の食品成分データベースで鉄の値が高いことが確認できる食品を意識的に選び直すことも、菜食と鉄分を無理なく両立させる一つの方法である。

一日の食事の組み立て方―菜食で鉄をしっかりとる工夫

菜食と鉄分を両立させる献立を考えるときは、「鉄を含む食品」と「吸収を助ける食品」をワンセットで考えるとわかりやすい。厚生労働省 e-ヘルスネットの解説でも、鉄の吸収を高めるビタミンCの摂取が大切だとされており、例えば、小松菜のお浸しには柑橘系の果物を添える、レンズ豆のスープにはトマトやパプリカなどビタミンCを含む野菜を加える、納豆や豆腐の料理には酢の物や柑橘系のドレッシングを合わせる、といった工夫が同報告で挙げられている[3]。

また、厚生労働省 e-ヘルスネットの同報告では、よく噛んでゆっくり食べることや、酢やレモンなど酸味のあるものを取り入れて胃酸の分泌を促すことも、非ヘム鉄の吸収を後押しする一般的な工夫として紹介されている[3]。逆に、食後すぐの濃い緑茶や食事中のコーヒーは避け、飲みたい場合は食事の前後1時間ほど時間をずらすと、せっかくとった鉄の吸収を妨げにくくなる。毎食完璧を目指す必要はなく、1日全体、1週間全体で「鉄の多い植物性食品+ビタミンC」の組み合わせがどれくらい登場しているかを振り返る程度で十分である。

吸収を高める食べ方・低下させる食べ方

非ヘム鉄は吸収率が低い分、何と一緒に食べるかによって体内への取り込まれ方が大きく変わる。菜食と鉄分の相性を良くするには、次のポイントを押さえておきたい。

区分 要因 内容
吸収を高める ビタミンC 厚生労働省 e-ヘルスネット・NIHの資料ともに、非ヘム鉄の吸収を高めるとしている。柑橘類や酢など酸味のあるものを一緒にとり、よく噛んで胃酸の分泌を促すことでも吸収率の向上が期待できる[3][4]
肉・魚・鶏肉 NIHの資料によれば、少量でも動物性食品と組み合わせると、非ヘム鉄の吸収を助けることが報告されている[4]
吸収を低下させる タンニン(お茶・コーヒー) 緑茶やコーヒーに多く含まれるタンニンは鉄の吸収を妨げる。日本人男女を対象にしたJ-MICC Studyの研究でも、緑茶・コーヒーの摂取頻度が高い群でフェリチン(貯蔵鉄の指標)値が低いことが報告されている[6]
フィチン酸 NIHの資料によれば、穀類や豆類に含まれるフィチン酸は非ヘム鉄と結合して吸収を妨げる[4]
カルシウムの同時摂取 NIHの資料では、カルシウムは非ヘム鉄・ヘム鉄の両方の吸収を低下させる可能性が指摘されている。乳製品やカルシウムサプリメントを鉄と同じタイミングで大量にとることは避けたい[4]

タンニンやフィチン酸が鉄の吸収を妨げるのは、これらの成分が腸の中で非ヘム鉄と結合し、体に吸収されにくい形に変えてしまうためと、NIHの資料では説明されている。ヘム鉄はたんぱく質(ヘム)に包まれた状態で吸収されるため、こうした結合の影響を受けにくいが、非ヘム鉄はイオンの状態で腸壁から吸収される過程でタンニンやフィチン酸などの影響を受けやすいと報告されている[4]。菜食では鉄のほとんどを非ヘム鉄に頼ることになるため、この「結合による吸収阻害」の影響がそのまま出やすい点を理解しておくとよい。

日本の大規模疫学研究(J-MICC Study)の論文では、コーヒーを肉を含む食事と一緒にとった実験で鉄の吸収が平均39%低下したという1983年の報告が紹介されている[6]。お茶やコーヒーを完全にやめる必要はないが、鉄を多く含む食事の直前・直後は避けて、食事の前後1時間程度ずらして飲むといった工夫が現実的である。なお、NIHの資料では、通常の混合食であれば吸収を促進する要因と抑制する要因は互いに相殺され、多くの人の鉄の栄養状態への影響は限定的と報告されている[4]。菜食中心の食事ではこの「相殺」が働きにくいため、意識してビタミンCを組み合わせる価値が大きい。

胃酸を抑える薬を飲んでいる人・胃の調子が悪い人の注意点

非ヘム鉄の吸収には胃酸が重要な役割を果たしている。NIHの資料では、胃酸の分泌を抑える薬(プロトンポンプ阻害薬など、逆流性食道炎や胃潰瘍の治療でよく使われる薬)を服用していると、胃の中の酸性度が下がるために非ヘム鉄の吸収が低下する可能性があると報告されている[4]。厚生労働省の食事摂取基準の解説でも、高齢になるほど萎縮性胃炎などで胃酸の分泌そのものが少ない人が増え、鉄だけでなくビタミンB12の吸収率も下がりやすいと報告されている[2]。

菜食中心の生活を送っていて、かつ胃酸を抑える薬を長期間服用している、あるいは胃の切除歴があるといった場合は、鉄・ビタミンB12ともに不足しやすい条件が重なることになる。持病で薬を服用中の場合は、自己判断で食事内容だけを変えるのではなく、かかりつけ医に菜食を続けていることを伝え、必要に応じて栄養状態を確認してもらうと安心である。

ビタミンB12はどうする?菜食で不足しやすい栄養素

菜食と鉄分の話とあわせて必ず押さえておきたいのが、ビタミンB12である。厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」によれば、ビタミンB12は赤血球が作られる過程に必要な栄養素で、欠乏すると巨赤芽球性貧血や神経障害を招くことがあると報告されている[2]。NIHの資料では「植物性食品には本来ビタミンB12がほとんど含まれていない」と明記されており、動物性食品を全くとらないビーガンや、卵・乳製品のみをとるベジタリアンはビタミンB12欠乏のリスクが高いと報告されている[5]。

厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では、成人のビタミンB12の目安量は男女とも4.0μg/日と報告されている[2]。同基準によれば、ビタミンB12の消化・吸収の流れはやや特殊で、食品中のビタミンB12はたんぱく質と結合しており、まず胃酸やペプシンの働きで遊離する。遊離したビタミンB12は唾液由来のハプトコリンと結合したのち、十二指腸で膵液中の酵素によって部分的に消化され、最終的に胃の壁細胞から分泌される「内因子」というたんぱく質と結合して、主に回腸下部で吸収されると報告されている[2]。同基準では、健康な成人では食品中のビタミンB12の吸収率はおよそ50%とされるが、一度に2μg程度を超えると内因子を介した吸収の仕組みが飽和してしまうため、大量に一度にとるより、頻繁に少しずつとる方が効率的と報告されている[2]。

動物性食品を全くとらない食生活を続ける場合は、ビタミンB12を強化した食品やサプリメントの利用を医師や管理栄養士に相談することが望ましい。妊娠を考えている、または妊娠中の方は、鉄とあわせてビタミンB12の栄養状態にも注意が必要である。厚生労働省の報告書では、妊婦・授乳婦のビタミンB12の目安量も非妊娠時と同じ4.0μg/日とされているが[2]、これは通常の食事を前提とした値であり、動物性食品をとらない菜食を続けている妊婦・授乳婦は、食事内容を医師・管理栄養士と相談しながら調整する必要がある。

妊娠を考えている・妊娠中の菜食者は特に注意

女性は月経に加えて、妊娠・授乳期にも多くの鉄を必要とする。上記の摂取基準表のとおり、妊娠中期・後期の付加量は+8.5mg/日と大きく、菜食中心の食生活ではこれを食事だけで満たすことが難しい場合がある。厚生労働省 e-ヘルスネットの解説によれば、妊娠期・授乳期は、母体の健康・胎児の発育のため、また母乳の量や含まれる栄養成分を保つために、鉄以外にもビタミン・ミネラル全般の必要量が増える時期であると報告されている[3]。菜食中心の食生活を続けながら妊娠・授乳期を迎える場合は、通常時以上に食事内容を意識し、必要に応じて医療機関で鉄・ビタミンB12の栄養状態を確認することが望ましい。妊産婦の栄養については「妊娠中の鉄分サプリ、いつからどう飲む?安全で効果的な選び方と食事の基本」や「健やかな妊娠のための鉄分完全ガイド:食事から最新の医療ケアまで」で具体的な考え方をまとめているので、あわせて参考にしてほしい。

また、月経のある10代の女性も鉄の推奨量が高く設定されている。10代で成長期にありながら菜食を始めた場合、鉄・ビタミンB12ともに不足しやすい時期が重なるため、家庭内での食事管理がより重要になる。10代特有の注意点は「思春期の鉄欠乏性貧血:気づかれにくいサインから科学的根拠に基づく改善法まで【専門家による完全ガイド】」でも取り上げているので、家族に該当する方がいる場合は参考にしてほしい。子どもの鉄欠乏についても「子どもの鉄欠乏と貧血:発育への影響と保護者のための包括的ガイド」で解説しているので、家族で菜食を実践している場合はあわせて確認するとよい。

なお、日本人を対象にしたJ-MICC Studyの研究によれば、閉経後の女性は月経による鉄の損失がなくなる一方、体内の鉄代謝を調節するホルモン「ヘプシジン」の分泌が、閉経に伴うエストロゲンの低下によって増加し、腸からの鉄吸収がやや抑えられやすくなるとの報告もある[6]。年代によって鉄の必要量や吸収のされやすさが変化する点も、菜食と鉄分の対策を考えるうえで押さえておきたい。

日本と米国(NIH)の鉄に関する考え方の比較

厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」は、性・年代・月経の有無ごとに推定平均必要量と推奨量を細かく定める方式をとっている[1]。一方、NIHの資料では、菜食者(ベジタリアン)の鉄の推奨量は非菜食者のおよそ1.8倍に設定するという考え方が示されている。これは肉食を含む食事でのヘム鉄由来の吸収のしやすさを、菜食では非ヘム鉄のみで補う必要があることを踏まえた係数である[4]。

項目 日本(厚生労働省 2025年版) 米国(NIHの資料)
推奨量の算定方式 厚生労働省の基準では性・年代・月経の有無別に個別設定されている[1] NIHの資料では、非菜食者向けRDAに対し菜食者は1.8倍を目安とする考え方が示されている[4]
鉄の生体利用率の想定 厚生労働省の基準は策定の背景として吸収率を考慮するが、菜食専用の係数は設けていない[1] NIHの資料では混合食で14〜18%、菜食で5〜12%と明示されている[4]
通常の食品からの鉄の耐容上限量 厚生労働省の基準では成人の鉄の耐容上限量は設定されていない(表中は「―」)[1] NIHの資料では、サプリメント・強化食品を含めた摂取の目安として成人で45mg/日という数値が示されている[4]

厚生労働省の基準は「菜食者向けの割増」という形は取っていないが、月経のある女性の推奨量を高く設定するなど、鉄の損失量に応じた配慮がなされている。また、通常の食品を食べている限り鉄の耐容上限量は設定されていない点は日米で共通しており、問題になりやすいのはあくまでサプリメントや強化食品からの過剰摂取である。

参考として、NIHの資料に示されている米国の19〜50歳の鉄のRDA(推奨量に相当する値)は男性8mg/日、女性18mg/日である[4]。同資料が示す菜食者向けの1.8倍という考え方を単純にあてはめると、男性でおよそ14.4mg/日、女性でおよそ32.4mg/日という計算になる。日本の基準にはこうした菜食専用の倍率は存在しないが、この米国の考え方は「菜食では通常の推奨量よりもかなり多くの鉄をとる必要がある」という感覚をつかむ目安として参考になる。菜食を続ける人は、厚生労働省の推奨量を「最低ライン」としてとらえたうえで、NIHが示すような菜食時の吸収率の低さも踏まえて、表に挙げた植物性食品を積極的に組み合わせることが現実的な対策になる。

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菜食を続けている人が定期的に確認したいポイント

菜食と鉄分の関係は、始めたばかりの時期よりも、菜食を長く続けている人ほど注意が必要になることがある。体内に貯蔵されている鉄(貯蔵鉄)は数か月かけて徐々に減っていくため、菜食を始めた直後は症状が出なくても、半年、1年と経過するうちに少しずつ鉄が不足していくことがあるためである。次のような変化がないか、時々振り返ってみるとよい。

  • 以前と同じ運動量でも、以前より疲れやすくなっていないか
  • 爪が割れやすくなった、髪が抜けやすくなったなど、以前と違う変化がないか
  • 集中力が続きにくい、頭がぼんやりする感覚が増えていないか
  • 月経量が以前より増えている、または月経の周期が不規則になっていないか
  • 直近1年以内に血液検査(ヘモグロビン値・フェリチン値など)を受けたのはいつか

特に、菜食を始めてから一度も血液検査を受けていない場合や、月経のある女性で菜食歴が長い場合は、症状の有無にかかわらず一度医療機関で鉄の栄養状態を確認しておくと安心である。体調の変化に気づいたときにすぐ振り返られるよう、菜食を始めた時期や食事内容の変化をメモしておくことも、受診時に医師へ状況を伝えるうえで役立つ。

鉄サプリメントの注意点―自己判断の高用量は危険

菜食と鉄分の不足を心配するあまり、市販の鉄サプリメントを自己判断で長期間・高用量摂取することは避けたい。NIHの資料では、成人の鉄の耐容上限量(サプリメントや強化食品からの摂取を含む目安)は45mg/日とされており、これを超える高用量の鉄は吐き気や便秘などの消化器症状を招くことがあると報告されている[4]。同資料によれば、通常の食品からの鉄摂取で鉄過剰になるリスクは低いとされる一方、サプリメントの多量・長期摂取は肝臓など臓器への鉄の蓄積につながる可能性があるため注意が必要である[4]。

また、家庭に鉄サプリメントを置く場合は、小さな子どもの誤飲にも注意したい。「小児の鉄中毒:症状・対処法から救急治療まで【医師が解説】」でも触れられているとおり、子どもが大量の鉄剤を誤って飲み込むと重篤な中毒を起こすことがある。鉄剤は他の一般的なサプリメントに比べても子どもの誤飲事故で重症化しやすい成分の一つとされており、菜食中心の家庭で鉄サプリメントを常備している場合は、子どもの手の届かない場所に保管する、パッケージのまま保管し他の容器に移し替えないといった基本的な対策も欠かせない。鉄が本当に不足しているかどうかは血液検査(ヘモグロビン値・フェリチン値など)で確認したうえで、必要な量を医師の指導のもとでとることが安全である。

市販のサプリメントの中には、鉄とビタミンB12、葉酸などがまとめて配合された製品もある。菜食を続けている場合、こうした複数の栄養素を同時に補える製品は便利に見えるが、含有量や組み合わせによっては特定の栄養素の摂取量が過剰になったり、逆に必要量に届かなかったりすることがある。パッケージの表示をよく確認し、迷う場合は自己判断で選ばず、医師や管理栄養士に相談したうえで利用を検討することが望ましい。

〈受診時に伝えるメモ〉・いつから、どんな症状があるか(だるさ・息切れ・動悸・立ちくらみなど)/・菜食・ベジタリアン・ビーガンなど食事の内容と期間/・現在飲んでいるサプリメント(鉄・ビタミンB12など)の種類と量/・月経の状況(周期・量の変化)/・妊娠の予定や授乳の有無/・医師に聞きたいこと(血液検査の項目、鉄剤が必要か、B12の検査も必要かなど)

ここまで見てきたように、菜食と鉄分の関係は「鉄の総量」だけでなく「どの種類の鉄をどう組み合わせてとるか」が鍵になる。小松菜やほうれん草、大豆製品、レンズ豆、切り干し大根、あおさといった鉄を多く含む植物性食品を毎日の食事に散らし、ビタミンCを含む食品と組み合わせ、お茶やコーヒーのタイミングを工夫する。そのうえで、ビタミンB12の不足にも目を配り、体調の変化があれば自己判断で対策を続けず、早めに医療機関で血液検査を受けることが、菜食を続けながら鉄不足を防ぐための現実的な道筋である。

個々の食品の非ヘム鉄の吸収率を厳密に数値化したデータ(品目ごとの正確な吸収率%)については、今回参照した資料には記載が見当たりませんでした。一般的な「ヘム鉄は高い・非ヘム鉄は低い」という傾向、および混合食と菜食での平均的な生体利用率の幅は本文中に示したとおりです。また、日本人の菜食者・ベジタリアン・ビーガンに限定した大規模な鉄・ビタミンB12の栄養調査データについても、今回参照した資料には見当たりませんでした。本文中の菜食者向けの数値は、主にNIHの資料および日本人一般を対象にした研究に基づくものであり、日本人の菜食者集団に特化したデータではない点にご留意ください。

よくある質問

菜食でも鉄は十分にとれますか?
小松菜・ほうれん草・大豆製品・レンズ豆・切り干し大根・あおさなど鉄を多く含む植物性食品を組み合わせ、ビタミンCと一緒にとる工夫をすれば、鉄の摂取量を確保しやすくなる。ただし厚生労働省 e-ヘルスネットの報告にもあるとおり非ヘム鉄は吸収率が低いため[3]、動悸・息切れ・強い疲労感が続く場合は自己判断せず血液検査を受けることが望ましい。
ほうれん草は鉄が多いと聞きますが、貧血予防に十分ですか?
文部科学省の食品成分データベースの調査報告によれば、ほうれん草(生)の鉄含有量は可食部100gあたり2.0mgだが、ゆでると0.9mgまで下がる[8]。また非ヘム鉄のため吸収率も低いので、ほうれん草だけに頼らず、大豆製品やレンズ豆なども組み合わせるとよい。
お茶やコーヒーは鉄の吸収を妨げるので、やめた方がいいですか?
日本人を対象にしたJ-MICC Studyの研究によれば、緑茶やコーヒーに含まれるタンニンは非ヘム鉄の吸収を妨げることが報告されている[6]。完全にやめる必要はないが、鉄を多く含む食事の前後1時間程度は控える、食後すぐではなく時間をずらして飲む、といった工夫が現実的である。
牛乳やヨーグルトと一緒に鉄分の多い食品を食べるのは良くないですか?
NIHの資料によれば、カルシウムは非ヘム鉄・ヘム鉄どちらの吸収も低下させる可能性が指摘されている[4]。乳製品やカルシウムサプリメントを鉄の多い食事と完全に切り離す必要はないが、大量に同時摂取することは避け、時間をずらすとよい。
ビタミンB12はどの植物性食品からとれますか?
NIHの資料によれば、植物性食品には本来ビタミンB12がほとんど含まれていない[5]。動物性食品を全くとらない場合は、ビタミンB12を強化した食品やサプリメントの利用について医師や管理栄養士に相談することが勧められる。
鉄サプリメントを毎日多めに飲めば安心ですか?
いいえ。NIHの資料によれば、耐容上限量の目安(成人で45mg/日程度)を超える高用量の鉄は消化器症状を招くことがあり、長期の過剰摂取は臓器への鉄の蓄積につながる可能性があると報告されている[4]。鉄が不足しているかどうかは血液検査で確認し、必要量は医師の指導のもとでとることが安全である。
月経のある女性はどのくらい鉄をとればいいですか?
厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では、月経のある18〜49歳の女性の推奨量は10.0〜10.5mg/日と報告されている[1]。月経のない女性(6.0mg/日)より4mg以上高く設定されており、菜食中心の場合は特に意識して鉄の多い食品を組み合わせる必要がある。
大豆製品はどれが一番鉄が多いですか?
文部科学省の食品成分データベースの調査報告によれば、糸引き納豆が可食部100gあたり3.3mg[14]、生揚げ(厚揚げ)が2.6mg[10]、木綿豆腐が1.5mg、絹ごし豆腐が1.2mgとなっている[9]。納豆や厚揚げの方が豆腐より鉄が多い傾向にある。
ベジタリアンとビーガンで、鉄・B12のリスクは同じですか?
同じではない。魚介類を食べるペスカタリアンや、卵・乳製品をとるベジタリアンは、動物性食品を一切とらないビーガンに比べてヘム鉄やビタミンB12を得やすい。NIHの資料でも、ビーガンと一部の動物性食品のみをとるベジタリアンの両方がビタミンB12欠乏の高リスク群と報告されている[5]ため、自分の菜食のタイプに応じて対策の優先度を考えるとよい。
切り干し大根やあおさなど乾物は、たくさん食べれば鉄が多くとれますか?
乾物は可食部100gあたりの鉄含有量が高く見えるが、実際に一度に食べる量は数g〜十数g程度であることが多い。文部科学省の食品成分データベースの調査報告によれば、切り干し大根(乾)は100gあたり3.1mg[12]、あおさ(素干し)は100gあたり5.3mgと報告されている[13]が、少量ずつ日常的に汁物や煮物に加える形で継続してとることが現実的である。
鉄分の多い食品を食べているのに、だるさが改善しません。なぜですか?
食事内容だけでなく、調理法(茹でこぼしで鉄が流出している)、お茶やコーヒーとの飲み合わせ、消化管の病気など食生活以外の原因が隠れている可能性もあると厚生労働省 e-ヘルスネットの報告でも指摘されている[3]。症状が長く続く場合は自己判断で対策を続けず、血液検査で貧血の有無や原因を確認することが優先される。
胃薬(プロトンポンプ阻害薬など)を飲んでいますが、菜食で鉄分をとる際に気をつけることはありますか?
NIHの資料によれば、胃酸を抑える薬は非ヘム鉄の吸収を低下させる可能性がある[4]。菜食中心で非ヘム鉄が中心になっている場合、薬の影響も重なって鉄が不足しやすくなることがあるため、自己判断で食事だけを工夫するのではなく、かかりつけ医に菜食を続けていることを伝えて栄養状態を確認してもらうことが望ましい。
閉経後の女性は、月経のある女性より鉄を減らしても大丈夫ですか?
厚生労働省の報告書「日本人の食事摂取基準(2025年版)」でも、月経のない女性の推奨量(6.0mg/日前後)は月経のある女性(10.0〜10.5mg/日)より低く設定されている[1]。ただし閉経後はホルモンの変化により鉄の吸収がやや抑えられやすくなるとの報告がJ-MICC Studyの研究にあるため[6]、必要以上に鉄を制限する理由にはならない。基準の範囲内で植物性食品からしっかりとることに変わりはない。

参考文献

  1. 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」策定検討会報告書 ミネラル(微量ミネラル)2025 https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/001316469.pdf
  2. 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」策定検討会報告書 ビタミン(水溶性ビタミン)2025 https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/001316467.pdf
  3. 厚生労働省 e-ヘルスネット「貧血の予防には、まずは普段の食生活を見直そう」2020 https://web.archive.org/web/20240623232445/https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/food/e-02-008.html
  4. NIH Office of Dietary Supplements. Iron – Health Professional Fact Sheet. https://web.archive.org/web/20230102074530/https://ods.od.nih.gov/factsheets/Iron-HealthProfessional/
  5. NIH Office of Dietary Supplements. Vitamin B12 – Health Professional Fact Sheet. https://web.archive.org/web/20240102042101/https://ods.od.nih.gov/factsheets/VitaminB12-HealthProfessional/
  6. Association between green tea and coffee consumption and body iron storage in Japanese men and women: a cross-sectional study from the J-MICC Study Saga. Front Nutr. 2023 https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC10449390/
  7. 文部科学省 食品成分データベース「こまつな 葉 生」日本食品標準成分表2020年版(八訂)https://fooddb.mext.go.jp/details/details.pl?ITEM_NO=6_06086_7
  8. 文部科学省 食品成分データベース「ほうれんそう 葉 通年平均 生」日本食品標準成分表2020年版(八訂)https://fooddb.mext.go.jp/details/details.pl?ITEM_NO=6_06267_7
  9. 文部科学省 食品成分データベース「だいず 木綿豆腐」日本食品標準成分表2020年版(八訂)https://fooddb.mext.go.jp/details/details.pl?ITEM_NO=4_04032_7
  10. 文部科学省 食品成分データベース「だいず 生揚げ」日本食品標準成分表2020年版(八訂)https://fooddb.mext.go.jp/details/details.pl?ITEM_NO=4_04039_7
  11. 文部科学省 食品成分データベース「レンズまめ 全粒 乾」日本食品標準成分表2020年版(八訂)https://fooddb.mext.go.jp/details/details.pl?ITEM_NO=4_04073_7
  12. 文部科学省 食品成分データベース「(だいこん類)切干しだいこん 乾」日本食品標準成分表2020年版(八訂)https://fooddb.mext.go.jp/details/details.pl?ITEM_NO=6_06136_7
  13. 文部科学省 食品成分データベース「あおさ 素干し」日本食品標準成分表2020年版(八訂)https://fooddb.mext.go.jp/details/details.pl?ITEM_NO=9_09001_7
  14. 文部科学省 食品成分データベース「だいず 糸引き納豆」日本食品標準成分表2020年版(八訂)https://fooddb.mext.go.jp/details/details.pl?ITEM_NO=4_04046_7

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更新日:2026年7月21日。本記事の内容に誤りや古い情報にお気づきの場合は、お問い合わせフォームよりご連絡ください。JHO編集部で確認のうえ対応いたします。

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Trinh Van Dieu

Trinh Van Dieu

ITエンジニア(17年)・Japanese Health 運営者

ベトナム在住のITエンジニア。17年の技術経験を活かし、日本の公的医療機関の情報をAI技術で整理・発信しています。

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