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血液疾患 31分で読める 10回

貧血になりやすい人の特徴とは?原因12項目と受診の目安

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結論:貧血になりやすいのはどんな人か

貧血になりやすい人には共通点がある。月経のある女性、妊娠・授乳期の人、成長期の子どもや思春期、高齢者、胃を切除した人、菜食中心の人、慢性腎臓病の人、そして消化管出血のある人で、鉄の需要が増えるか鉄が失われやすいためだ。(各グループの根拠は本文中で個別に出典を示す)

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特に注意したいのは、月経のない成人男性や閉経後の女性に鉄欠乏性貧血が見つかったケースだ。この場合は自己判断で鉄剤を飲み続けず、消化管などに出血の原因が隠れていないかを調べることが勧められている(日本内科学会誌の総説による)[1]。ヘモグロビン・フェリチン・MCVという3つの検査値を確認すれば、原因の見当がつきやすい。

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要点まとめ

  • 鉄欠乏性貧血は、月経のある成人女性で11.9%、閉経後の女性で2.8%、成人男性ではほぼ0%という頻度差が報告されている[1]。
  • 高齢者は約8.5%、85歳以上では約20%に貧血がみられる[2]。
  • 成人男性・閉経後女性の鉄欠乏性貧血は「消化管からの出血」を疑って調べることが基本とされる[1]。
  • 診断にはヘモグロビン・フェリチン・MCVの3つを見る。フェリチンは体に貯蔵されている鉄の量を映す指標である(同誌の解説では)[1]。
  • 頭痛・めまい・動悸・爪の変形などが続くとき、また原因不明の鉄欠乏があるときは自己判断で鉄剤を続けず受診する。

編集方針: JHO編集部がAIツールの支援を受け、公的機関・学会・査読論文と照合して作成。最終確認は人の目。医師による個別診断の代わりにはなりません。数値・分類はガイドライン改定により変わることがあります(2026年7月時点)。

貧血になりやすい人とは?鉄が不足していく仕組み

体の中にある鉄の総量は成人でおよそ3〜4gで、その約70%は赤血球の中のヘモグロビンとして酸素を運ぶ仕事をしている[1]。人には鉄を能動的に体外へ排出する仕組みがなく、汗や粘膜、皮膚細胞がはがれ落ちることなどでごく少量が失われるだけである(2015年の学会誌の報告)[1]。そのため通常は、食事から吸収する少量の鉄でこの自然な喪失分を補えば釣り合いが取れる。

ところが、月経・妊娠・成長・出血など、特定の状況では鉄の「出ていく量」が急に増えたり、「必要な量」自体が増えたりする。この収支が崩れて貯蔵鉄(フェリチン)から先に減り、それでも追いつかなくなると血液中の鉄、最後にヘモグロビンが減って初めて「貧血」という形で表に出てくる(同じ総説の中で示されている)[1]。つまり貧血になりやすい人とは、この収支が崩れやすい・崩れていても気づかれにくい人のことだと言い換えられる。

図:JHO編集部が作成

食事に含まれる鉄には、肉類に多いヘム鉄と、野菜や豆類に多い非ヘム鉄の2種類があり、吸収率が大きく異なる。ヘム鉄の吸収率は10〜30%であるのに対し、非ヘム鉄は1〜8%にとどまるとされている(学会誌に掲載された総説による)[1]。この吸収率の差が、菜食中心の食生活が鉄欠乏のリスクになりやすい理由の一つである。

1日あたりに必要な鉄の量はおよそ10mgとされるが、成長期の若年者、月経のある女性、妊娠中の女性ではこれより多くの鉄摂取が必要になる(同誌の報告)[1]。基本的な鉄の喪失量は、集団を対象にした測定で1日あたり平均0.96mg程度と見積もられている(厚労省の調査研究による)[3]。この「毎日少しずつ出ていく分」を食事で埋め合わせられるかどうかが、貧血になりやすいかどうかの分かれ目になる。

貧血になりやすい人の一覧 — 自分に当てはまるか確認する

ここまでの内容をもとに、貧血になりやすい人の代表的なグループと、それぞれで鉄が不足しやすくなる理由を一覧にまとめた。複数の項目に当てはまる人ほど、鉄の収支がより崩れやすい状態にあると考えられる。

グループ 鉄が不足しやすくなる理由
月経のある女性(特に過多月経) 月経による定期的な血液・鉄の喪失(厚労省の策定資料による)[3]
妊娠・授乳期の人 胎児への鉄供給、循環血液量の増加、母乳への鉄供給(同省の調査による)[3]
成長期の子ども・思春期 体の成長にともなう鉄の蓄積需要の増大(厚労省の報告書による)[3]
高齢者 慢性疾患・薬剤の影響などが重なりやすい(同誌の別の総説による)[2]
胃切除後・萎縮性胃炎のある人 胃酸不足による鉄の吸収低下(同誌の解説)[1]
菜食中心の食生活の人 吸収率の低い非ヘム鉄が中心になる(同誌の解説)[1]
慢性腎臓病(CKD)の人 腎性貧血が重なり、鉄の必要量も増える(腎臓学会の推奨による)[4]
消化管出血(潰瘍・大腸がんなど)がある人 慢性的な出血による鉄の喪失(同総説による)[1]
ピロリ菌感染がある人 微小出血・鉄吸収の競合・胃酸分泌不足など(学会誌の記載による)[1]
頻繁に献血をする人 献血の基準は国の省令にもとづき定められている(厚労省令による)[7]。頻回の場合は鉄の喪失が積み重なる可能性も考えられる
激しい運動を続けている人 発汗などによる日常的な鉄喪失が増える可能性
一部の薬剤・サプリメントを使っている人 薬剤性の造血障害(学会誌の解説では)[2]、亜鉛サプリの過剰摂取による鉄吸収阻害(厚労省の研究班による)[3]

この一覧で複数の項目に当てはまる、あるいは原因に心当たりがないのに鉄欠乏性貧血を指摘されたという人は、次に説明するヘモグロビン・フェリチン・MCVの検査値を確認しながら、自己判断で済ませずに医療機関で相談することを検討してほしい。

鉄の吸収を調節するしくみ — ヘプシジンという物質

体内で利用される鉄のほとんどは、寿命を終えた赤血球から回収されるリサイクル鉄であり、食事から新しく吸収される鉄はごくわずか(1日1〜2mg程度)にすぎない(日本内科学会誌の総説による)[1]。この鉄の出し入れを調節しているのが、肝臓から分泌される「ヘプシジン」というたんぱく質である。ヘプシジンは、腸の細胞やマクロファージから血液中へ鉄を送り出す働きをする「フェロポーチン」というたんぱく質を分解し、その働きを抑える(同誌の解説では)[1]。

つまりヘプシジンの分泌が増えると、体の中に鉄はあっても血液中に送り出されにくくなり、利用できる鉄が減ってしまう。細菌感染や炎症があるときにヘプシジンの分泌が増えるのは、鉄を栄養源にする細菌から身を守るための防御反応の一つと考えられている(2015年の学会誌の報告)[1]。この状態が長く続くと起こるのが「慢性炎症に伴う貧血」であり、鉄が体に不足しているわけではないのに、血液中で使える鉄が足りなくなるという、鉄欠乏性貧血とは仕組みの異なる貧血である(同じ総説の中で示されている)[1]。健診で貧血を指摘されたときに、鉄欠乏なのか慢性炎症によるものなのかを区別する必要があるのは、このためである。

鉄を多く含む食品 — ヘム鉄と非ヘム鉄をどう組み合わせるか

ヘム鉄は肉類やレバー、赤身の魚などの動物性食品に多く含まれ、非ヘム鉄は野菜・豆類・海藻などの植物性食品に多く含まれている(学会誌に掲載された総説による)[1]。吸収率の良いヘム鉄と、吸収率は劣るが日々の食事で取り入れやすい非ヘム鉄をバランスよく組み合わせることが、無理なく鉄を補う工夫になる。

食品 目安量あたりの鉄量 分類
豚肉(レバー) 7.8mg/60g ヘム鉄
あさり水煮 11.3mg/30g ヘム鉄
牛肉(レバー) 2.4mg/60g ヘム鉄
ほうれん草 6.0mg/束 非ヘム鉄
小松菜 2.8mg/100g 非ヘム鉄
乾燥ひじき 5.5mg/大さじ1杯 非ヘム鉄
ゆで大豆 2mg/100g 非ヘム鉄

出典:日本鉄バイオサイエンス学会「鉄剤の適正使用による貧血治療指針」(2009)/張替秀郎「鉄代謝と鉄欠乏性貧血」日本内科学会雑誌104巻7号(2015)に掲載の表より抜粋[1]

ビタミンCと一緒にとると非ヘム鉄の吸収が助けられるとされる一方、食事だけで補いきれないほど鉄の需要が高まっている状況(月経過多や妊娠期など)では、食事の工夫だけに頼らず鉄剤による補充が必要になることもある。自己判断で長期間サプリメントを飲み続けるのではなく、フェリチン値などで実際に不足しているかどうかを確認しながら進めることが望ましい。

まず知っておきたい検査値 — ヘモグロビン・フェリチン・MCVの基準

貧血かどうかを見るときに最初に注目される値がヘモグロビン(Hb)濃度である。目安として、小児および妊婦でHb濃度11g/dL以上、思春期および成人女性では12g/dL以上、成人男性では13g/dL以上とされている(同誌に掲載された総説による)[2]。これを下回ると貧血と判定される。

検査項目 何を表すか 備考
ヘモグロビン(Hb) 血液が酸素を運ぶ能力そのもの。貧血の有無を最初に判断する値 小児・妊婦11g/dL以上、思春期・成人女性12g/dL以上、成人男性13g/dL以上が目安(同じ号の総説による)[2]
血清フェリチン 体に貯蔵されている鉄の量を反映する指標。Hbが下がるより先に低下する 日本鉄バイオサイエンス学会の指針では、Hb12g/dL未満かつフェリチン12ng/mL未満を鉄欠乏性貧血の診断基準としている[1]
MCV(平均赤血球容積) 赤血球1個あたりの大きさ。原因の見当をつけるのに使う MCV≦80fLは小球性貧血、81〜100fLは正球性貧血、101fL以上は大球性貧血に分類される[2]

出典:張替秀郎「鉄代謝と鉄欠乏性貧血」日本内科学会雑誌104巻7号(2015)[1]/成田美和子「貧血の分類と診断の進め方」日本内科学会雑誌104巻7号(2015)[2]

鉄欠乏性貧血は多くの場合、MCVが小さくなる「小球性貧血」の形をとる。血清鉄が低下し、フェリチンも低いことが確認できれば鉄欠乏性貧血とほぼ確定できる[2]。逆にMCVが正常〜大きめで、出血や溶血の所見もない場合は、鉄以外の原因(ビタミンB12・葉酸不足や骨髄の病気など)を考えて調べる流れになる(学会誌の報告による)[2]。ビタミンB12が原因の貧血は、鉄欠乏性貧血とは仕組みも対処法も異なる別のタイプなので、混同しないよう注意したい。

もう一つ覚えておきたいのが、フェリチン値と治療の終わりどきの関係である。鉄欠乏が進む過程では、まずフェリチン値だけが下がり(この段階ではヘモグロビン値はまだ正常)、それでも鉄不足が続くとようやくヘモグロビン値も下がって貧血として表面化する(同誌の報告)[1]。治療で鉄剤を飲み始めると、この順番が逆にたどられる。ヘモグロビン値のほうが先に正常化し、フェリチン値が正常化するのはそのあとになる。そのため、ヘモグロビン値が戻った時点で鉄剤をやめてしまうと、体に貯め直すべき貯蔵鉄がまだ不十分なまま治療を終えることになりやすい(同総説による)[1]。フェリチン値が正常化するまで治療を続けるのが望ましいとされる理由はここにある。

受診するとどんな検査が行われるか

貧血と診断された場合、同時に確認しておきたい検査項目として、網赤血球数(新しくつくられた赤血球の数)、血清鉄、総鉄結合能(TIBC)または不飽和鉄結合能(UIBC)、フェリチン、LDH、間接ビリルビン、CRP、腎機能・肝機能の検査が挙げられている(同誌の別の総説による)[2]。これらを組み合わせることで、単に「貧血がある」だけでなく「なぜ貧血になっているか」まで絞り込んでいくことができる。

実際の診断の流れでは、まず溶血(赤血球が壊れている状態)を示す所見の有無を確認し、溶血がなければMCVで小球性・正球性・大球性に分けたうえで、それぞれに応じた追加検査に進む(学会誌の解説では)[2]。小球性貧血で血清鉄が低下し、TIBCが上昇し、フェリチンが低値であれば、鉄欠乏性貧血としてほぼ確定できる(同誌に掲載された総説による)[2]。逆に炎症を示すCRPの上昇などがあれば、鉄欠乏ではなく慢性炎症にともなう貧血が疑われる(同じ号の総説による)[2]。骨髄の病気が疑われる場合には骨髄穿刺という検査が必要になることもある(学会誌の報告による)[2]。

⚠ 男性・閉経後女性の鉄欠乏性貧血は自己判断で鉄剤を続けない

  • 月経を有する若年女性や、成長期・妊娠中で鉄の需要が高まっている人であれば、鉄剤の投与から治療を始めることが多い(学会誌の記載による)[1]。
  • 一方、閉経後の女性や成人男性の場合は、鉄剤を始める前に積極的に消化管検査などを実施し、出血源のスクリーニングを行うことが基本とされている(日本内科学会誌の総説による)[1]。
  • 実際に、原因不明の重症鉄欠乏性貧血(ヘモグロビン4g/dL台)が男性で報告された例もある[1]。
  • 大腸がんが進行すると、血便や下血、便の表面への血液付着といった症状が現れることがある[6]。原因を探さないまま鉄剤の対症療法だけを続けると、背景にある病気の発見が遅れるおそれがある。

月経のある女性 — 過多月経は最も頻度の高いリスク

月経による出血は、鉄欠乏性貧血の発生と強く関連する要因として知られている(厚労省の調査研究による)[3]。2016〜2017年に31万人の日本人女性から得られた延べ600万の月経周期を解析した研究では、正常月経の血液損失量は1回あたり平均33.2mL(標準偏差13.5mL)と報告されており、この数値をもとに月経による鉄の喪失量は年代ごとに1日あたり0.49〜0.52mg程度と推定されている[3]。

過多月経(月経量が通常より多い状態)ではこの喪失量がさらに増える。実際の調査でも、月経のある成人女性は潜在的鉄欠乏(貧血にはなっていないが貯蔵鉄が減っている状態)が36.2%、鉄欠乏性貧血そのものも11.9%と、他のどのグループよりも高い頻度で確認されている[1]。閉経前の成人女性では10〜20%が鉄欠乏性貧血を発症しているとする報告もある[1]。月経量が急に増えた、レバー状の塊が混じる、経血で下着や衣服が頻繁に汚れるといった変化があれば、婦人科での相談が勧められる。

妊娠・授乳期 — 胎児の分と母体の分、両方の鉄が必要になる

妊娠期に必要な鉄は、通常時の基本的な喪失分に加えて、①胎児の成長にともなう鉄の貯蔵、②臍帯・胎盤中への鉄の貯蔵、③循環血液量が増えることによる赤血球量の増加、という3つの要因が上乗せされる(厚労省の策定資料による)[3]。これらは妊娠の初期・中期・後期で必要になるタイミングが異なる(同省の調査による)[3]。具体的な鉄の推奨量の付加量としては、妊娠初期は1日あたり2.5mg、中期・後期は1日あたり8.5mgを、非妊娠時の推奨量に上乗せする必要があるとされている(厚労省の報告書による)[3]。中期・後期になると必要量が3倍以上に増える計算になる。

興味深いことに、妊娠中は体が非ヘム鉄の吸収率そのものを高めて対応しようとする。妊娠していないときの非ヘム鉄の吸収率を16%とするのに対し、妊娠中期は40%、後期は30%として必要量が算定されている[3]。つまり体は「吸収率を上げる」というかたちで増える需要に対応しようとするが、それでも食事からの摂取が追いつかなければ、貯蔵鉄がどんどん取り崩されて鉄欠乏に傾いていく。妊娠中期以降に鉄剤を勧められることが多いのは、この需要の急増に関係している。

また、生まれた赤ちゃんは生後4か月ごろまでは母親から受け継いだ体内の貯蔵鉄で鉄代謝を営むとされ、この期間の母乳中の鉄濃度は乳児の鉄摂取の土台になる(厚労省の研究班による)[3]。授乳期の母親も鉄の需要が続くため、出産後しばらくは鉄が不足しやすい状態が続きやすい。妊娠中に鉄剤やサプリメントを使う場合は自己判断で量を決めず、妊娠中の鉄分サプリの使い方を確認したうえで産科医に相談したい。妊娠中に感じる氷を無性にかじりたくなる「氷食症」は、鉄欠乏性貧血のサインの一つとして知られており、妊婦の氷食症と鉄欠乏性貧血の関係で詳しく解説している。妊娠期の鉄の必要量や食事の工夫は健やかな妊娠のための鉄分完全ガイドも参照してほしい。

成長期の子ども・思春期 — 体が大きくなる分だけ鉄も必要になる

子どもは成長にともなって体内に鉄を蓄積していく必要がある。これは、①ヘモグロビン中の鉄蓄積、②非貯蔵性組織鉄の増加、③貯蔵鉄の増加という3つの要素に分けて説明されている(厚労省の調査研究による)[3]。体重が急に増える時期ほど、この蓄積のために必要な鉄の量も増える計算になる(厚労省の策定資料による)[3]。

実際の調査では、小児・青少年の潜在的鉄欠乏の頻度は68.6%ととても高いが、貧血そのものにまで至る率は1.5%にとどまっている[1]。つまり成長期は「貯蔵鉄が減っている子」は多いが、そこからさらに進んで貧血になる子はそこまで多くない、という段階を踏んでいるとみられる。思春期に入り月経が始まった女子では、これに月経による鉄損失が上乗せされるため、より注意が必要になる(同省の調査による)[3]。朝礼で立ちくらみを起こしやすい、顔色が悪い、集中力が続かないといった様子があれば、貧血が背景にある可能性を考えたい。子どもの貧血や思春期の鉄欠乏性貧血については、それぞれ別記事でさらに詳しく解説している。

高齢者 — 「年のせい」で見過ごされやすい貧血

高齢者ではおよそ8.5%、特に85歳以上では約20%に貧血が認められると報告されている[2]。高齢者の貧血には明確な定義がなく、健診などでは成人と同じ基準値を使って判定されているのが実情である[2]。

高齢者の貧血の背景には、悪性腫瘍、感染症、膠原病などの重大な疾患が隠れていることが少なくなく、複数の薬を服用していることも多いため、薬剤が原因で血液がつくられにくくなっている可能性にも注意が必要とされている(同誌の別の総説による)[2]。動脈硬化や慢性閉塞性肺疾患をあわせ持つ高齢者では、貧血をきっかけに心不全を起こしやすいという指摘もある(学会誌の解説では)[2]。「年のせいで元気がない」と見過ごされたまま、実は治療が必要な病気が隠れている場合があるため、健診で軽い貧血を指摘されたときも自己判断で放置しないことが望ましい。また、食事や栄養の面から見ると、高齢期は「やせ」や低栄養の弊害が指摘される時期でもあり(厚労省の調査による)[8]、食欲の低下から鉄を含む栄養素全般の摂取量が減りやすいことも、貧血になりやすい背景の一つとして考えられる。

胃を切除した人・萎縮性胃炎のある人 — 胃酸が足りないと鉄を吸収しにくい

食事に含まれる鉄(非ヘム鉄)は、胃酸によって溶けやすい形に変えられたあと、十二指腸から上部空腸で吸収される(同誌の解説では)[1]。そのため、胃を切除した後は胃酸の分泌が不足し、鉄の吸収が低下して鉄欠乏状態になりやすいことが指摘されている(2015年の学会誌の報告)[1]。萎縮性胃炎で胃酸分泌が落ちている場合も同じ理屈で吸収が悪くなりやすい。

原因不明・鉄剤に反応しない鉄欠乏性貧血の症例を分析した海外の報告では、その一部に自己免疫性萎縮性胃炎が関わっていたことも示されている[1]。胃の手術歴がある人や、長年萎縮性胃炎を指摘されている人が鉄剤を飲んでもなかなか数値が改善しない場合は、胃の状態を含めて医師に相談することが勧められる。

ピロリ菌感染 — 原因不明の鉄欠乏性貧血に潜むことがある

ヘリコバクター・ピロリ菌の感染が、原因がはっきりしない鉄欠乏性貧血の発症に関わっているという知見が近年得られている(同じ総説の中で示されている)[1]。考えられているメカニズムとしては、胃炎による微小な出血、ピロリ菌と体の間で起こる鉄吸収の奪い合い、ピロリ菌感染による萎縮性胃炎にともなう胃酸分泌不足などが提唱されているが、現時点で断定はされていない(学会誌に掲載された総説による)[1]。

それでも、鉄剤を飲んでも十分な効果が得られなかった貧血の患者で、ピロリ菌の除菌によって劇的に貧血が改善した例が報告されている[1]。海外のメタアナリシスでも、ピロリ菌に感染している鉄欠乏性貧血の患者では、鉄剤単独よりも除菌治療と鉄剤を組み合わせたほうが貧血の改善が良好だったと報告されている[1]。鉄剤を続けても数値が改善しない場合、ピロリ菌感染の有無を調べる価値があるとされる理由はここにある。

慢性腎臓病(CKD) — 「腎性貧血」という別の仕組みが重なる

赤血球をつくる司令塔の役割を果たしているのが、腎臓でつくられるエリスロポエチンというホルモンである。慢性腎臓病で腎臓の機能が落ちると、このエリスロポエチンの産生が減り、骨髄で赤血球がつくられにくくなる。これが「腎性貧血」と呼ばれる状態で、鉄が体に十分あっても、それを使って赤血球をつくる司令が弱まってしまう点が、単純な鉄欠乏性貧血とは異なる。腎性貧血は、まず十分な鉄補充を行ったうえで、ESA(エリスロポエチン刺激薬)もしくはHIF-PH阻害薬という薬剤を用いて管理するのが基本とされている(同学会の報告による)[4]。

この分野の推奨では、フェリチンが100ng/mL未満、または鉄の飽和度を示すTSATが20%未満になった場合、速やかな鉄補充療法を行うことが推奨されている(学会の recommendation による)[4]。特に血液透析を受けている患者では、フェリチン100ng/mL未満またはTSAT20%未満の状態にならないよう、鉄補充療法をこまめに調整することが望ましいとされている(腎臓学会の推奨による)[4]。

ヘモグロビンの数値が治療目標に届かないときも、鉄補充が十分かどうかを確認せずに治療薬の量だけを増やすのではなく、まず鉄欠乏の状態を評価したうえで鉄補充を優先することが勧められている(同学会の報告による)[4]。慢性腎臓病そのものが鉄欠乏の原因になるだけでなく、鉄が不足したままでは腎性貧血の治療薬も効きにくくなるため、CKDのある人は鉄の状態を定期的に確認しておくことが望ましい。

消化管出血(潰瘍・大腸がんなど) — 「出血源の検索」が優先される場面

貧血の一般的な診断の流れでは、赤血球が小さくなる「小球性貧血」で、かつ溶血(赤血球が壊れている状態)を示す所見がない場合、次に行うべきこととして「出血源の検索」が位置づけられている(同誌に掲載された総説による)[2]。鉄欠乏の原因として圧倒的に多いのは月経や妊娠・成長による需要増だが、それらに当てはまらない人での鉄欠乏は、体のどこかからの慢性的な出血を考える必要がある。

代表的な出血源が消化管である。胃・十二指腸潰瘍のようにゆっくりにじむような出血が続くと、自覚症状がないまま鉄欠乏性貧血だけが進むことがある。また、大腸がんが進行すると血便・下血や、便の表面に血液が付着するといった症状が現れることがある(国立がん研究センターの情報による)[6]。すでに述べた通り、月経のない男性や閉経後の女性で鉄欠乏性貧血が見つかった場合に消化管検査が優先されるのは、この「出血源の検索」という考え方に基づいている(同誌の報告)[1]。

出血源の検索で明らかな原因が見つかった場合は、その病気自体の治療が優先されるが、同時に鉄剤の投与も行われる(同総説による)[1]。一方で、消化管のスクリーニングを行っても出血源がはっきりしない鉄欠乏性貧血に出会うこともあり、そうした症例の一部にピロリ菌感染や自己免疫性萎縮性胃炎が関わっていたことも報告されている[1]。つまり「消化管を調べたのに異常が見つからなかった」からといって、それで原因探しを終えてよいとは限らない、という点も知っておきたい。

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献血の頻度・激しい運動 — 気づきにくい鉄の喪失経路

体からの鉄の喪失経路は、月経や出血だけではない。汗や粘膜、皮膚細胞のはがれ落ちなど、日常のわずかな喪失も積み重なれば鉄の収支に影響しうる(学会誌の記載による)[1]。発汗量が多くなる運動を継続的に行っている人では、この日常的な喪失分が普段より増えている可能性がある。マラソンなど長時間の持久系運動を行う人では、足の裏が地面を繰り返し強く叩く衝撃で毛細血管内の赤血球が壊れる、消化管の血流が一時的に減って微小な出血が起こりやすくなる、といった仕組みが一般に知られているが、この記事で参照した資料には、運動と鉄欠乏性貧血の関連を示す具体的なデータの記載は見当たらなかった。運動量が多いのに疲れやすさが続く場合は、自己判断せず血液検査を受けることをすすめたい。

献血についても、体重や血液の状態など一定の基準を満たした人を対象に行われており、採血基準は厚生労働省令にもとづいて定められ、対象年齢の拡大など制度自体もこれまで改正されてきた(厚労省令による)[7]。頻繁に献血をしている人で立ちくらみやだるさが続く場合は、次の献血までの間隔を献血ルームのスタッフに相談し、必要であれば医療機関での血液検査も検討したい。

一部の薬剤・サプリメント — 貧血の原因になりうるもの

高齢者の貧血を診るときには、服用している薬剤が複数にわたることが多いため、薬剤が原因で血液がつくられにくくなっている可能性(薬剤起因性造血障害)にも留意する必要があるとされている(同じ号の総説による)[2]。痛み止めの一部には胃粘膜を荒らして消化管からの出血を起こしやすくするものがあり、この場合は「薬の副作用」というより「薬をきっかけにした消化管出血」というかたちで鉄欠乏に結びつく。

意外と見落とされやすいのが、亜鉛サプリメントの摂りすぎである。亜鉛を大量に継続的に摂取すると、銅の吸収が妨げられて銅欠乏が起こり、その結果として鉄の吸収も阻害されて貧血を起こすことがあるとされている(厚労省の報告書による)[3]。実際に、極端に偏った食事によって1日あたり約70mgもの亜鉛を長期間摂取し続けた人が、銅欠乏によるミエロパチー(脊髄の障害)を発症した例も報告されている[3]。「体によいから」と自己判断でミネラルサプリメントを大量に摂り続けることが、かえって貧血につながる場合があるという点は覚えておきたい。

お薬手帳を見ながら、いつからその薬やサプリメントを飲み始めたか、貧血を指摘された時期と重なっていないかを医師・薬剤師に確認してもらうことは、原因を絞り込むうえで役立つ。自己判断で薬をやめるのではなく、必ず処方した医師に相談してから調整することが望ましい。

菜食中心の食生活の人 — 非ヘム鉄だけでは吸収されにくい

肉や魚をほとんど食べない菜食中心の食生活では、吸収されやすいヘム鉄をほぼ摂取できず、吸収率の低い非ヘム鉄(1〜8%)だけに頼ることになる(日本内科学会誌の総説による)[1]。同じ量の鉄をとっても、実際に体に吸収される量は動物性食品を含む食生活より少なくなりやすい。

だからといって菜食そのものをやめる必要はなく、豆類・青菜・海藻など非ヘム鉄を多く含む食品を組み合わせて摂取量を増やす、ビタミンCを含む食品と一緒に食べて吸収を助ける、といった工夫で補える範囲も大きい。ただし、月経のある女性が菜食も併せて行っている場合など、鉄の需要が高い状態と吸収されにくい食生活が重なる場合は、フェリチン値など血液検査で実際の鉄の状態を定期的に確認しておくと安心である。

気づきにくい自覚症状 — 顔色・爪・舌にも変化が出る

貧血は慢性的にゆっくり進むことが多く、ヘモグロビン濃度が8〜9g/dLくらいまでは自覚症状がないことも珍しくない(学会誌の報告による)[2]。しかし7g/dL以下になると頭痛・耳鳴り・めまい・心雑音などが現れやすくなり、6g/dL以下が続くと心不全の症状を伴うことが多くなるとされている(同誌の別の総説による)[2]。健診でヘモグロビン値を指摘されたときに「自覚症状がないから大丈夫」と考えるのは、この点で注意が必要である。心臓や肺は、体が酸素不足になったときにそれを補おうとする代償の働きをするため、貧血がゆっくり進んだ場合はヘモグロビンが6g/dL台まで下がっても自覚症状の訴えがないことがあるとされる(学会誌の解説では)[2]。高齢者や、動脈硬化・慢性閉塞性肺疾患などをすでに持っている人では、この代償が追いつかずに急速に心不全へ進むことがある点にも注意したい(同誌に掲載された総説による)[2]。

体の表面に出るサインとしては、重要な臓器への血流を優先するために皮膚への血流が減って顔色が青白くなる、まぶたの裏側(眼瞼結膜)や爪、口腔粘膜の色が薄くなる、口の端が切れやすくなる(口角炎)といった変化が知られている(同じ号の総説による)[2]。鉄欠乏性貧血に特徴的な所見として、爪がスプーンのように反り返る「さじ状爪」が挙げられている(学会誌の報告による)[2]。頭痛・めまい・耳鳴り・集中力の低下・意識が遠のく感じなども、貧血が進んだときに共通してみられる症状である(同誌の別の総説による)[2]。

受診の目安

次のような場合は、自己判断で市販の鉄サプリメントを続けず、早めに医療機関を受診したい

  • 月経のない成人男性・閉経後の女性で、健診などで鉄欠乏性貧血を指摘された(同誌の解説では)[1]
  • 便に血が混じる(血便・下血)、便の表面に血液が付着する(同センターの情報による)[6]
  • 立ちくらみ・動悸・息切れ・頭痛・耳鳴りが続く、あるいは急に強くなった(学会誌の解説では)[2]
  • ヘモグロビン7g/dL以下、または6g/dL以下が持続している(心不全症状が出やすい水準とされる)(同誌に掲載された総説による)[2]
  • 鉄剤を数週間続けても数値が改善しない
  • 慢性腎臓病がある状態で、動悸や強いだるさが増えてきた(学会の recommendation による)[4]

日本の臨床とWHOの視点 — 「貧血の診断」と「鉄摂取の基準」は別の物差し

ここまで見てきたヘモグロビンの基準値は、あくまで「今、貧血かどうか」を判定するための臨床的な物差しである。一方、厚生労働省の食事摂取基準が定める鉄の推奨量は、日々の食事でどれだけの鉄をとるべきかという、まったく別の目的の物差しであり、この2つを混同しないことが理解のポイントになる。

項目 日本の臨床診断(Hb基準) WHOの捉え方
目的 今その人が貧血かどうかを判定する[2] 集団レベルで貧血の広がりを把握する[5]
主な指標 ヘモグロビン濃度に加え、フェリチン・MCVなど複数の検査値を組み合わせて原因を絞り込む[2] ヘモグロビン濃度を年齢・性・妊娠の有無で区分し、集団の割合を算出する[5]
強調される原因 月経・妊娠・出血源など個人ごとの背景疾患の特定(2015年の学会誌の報告)[1] 鉄欠乏に加え、感染症(マラリア等)や慢性炎症性疾患など地域差の大きい要因も含む(WHOの報告による)[5]

WHOの集計では、2019年時点で15〜49歳の女性のうち、妊娠していない女性の30%(5億3900万人)、妊婦の37%(3200万人)が貧血の影響を受けていたと報告されている(WHOの報告による)[5]。また、世界全体で約5億人の女性(15〜49歳)と2億6900万人の子ども(生後6〜59か月)が貧血の影響を受けていると推計されている[5]。地域別にみると、アフリカでは女性1億600万人・子ども1億300万人、東南アジアでは女性2億4400万人・子ども8300万人が貧血の影響を受けているとされ、地域差も大きい(同機関の集計による)[5]。世界的にはマラリアなど感染症が大きな要因になる地域もあるが(WHOの報告による)[5]、本記事でここまで見てきた日本の臨床の考え方は、月経・妊娠・成長といった鉄需要の変化と、消化管出血のような隠れた原因を一人ひとり丁寧に見分けていく個別診断のアプローチである。世界共通の物差しと、目の前の患者を診るための物差しは、同じ「貧血」という言葉を扱っていても見ている角度が違う、という点は知っておいて損はない。

まとめ — 貧血になりやすい人ほど「原因探し」を後回しにしない

貧血になりやすい人には、月経・妊娠・成長期のように鉄の需要が一時的あるいは継続的に増えているケースと、慢性腎臓病・胃の手術後・萎縮性胃炎・ピロリ菌感染・消化管出血のように鉄の吸収や保持そのものがうまくいかなくなっているケースの、大きく2つの方向がある。どちらの場合も、貧血になりやすいことそのものは珍しいことではないが、「なぜ自分が貧血になりやすいのか」を確認せずに市販の鉄サプリメントだけで済ませてしまうと、背景にある病気を見逃すおそれがある。

特に、月経のない成人男性や閉経後の女性で鉄欠乏性貧血が見つかった場合は、貧血になりやすい理由がほかのグループとは異なる可能性が高く、消化管出血の有無を含めた原因の確認が優先される(同じ総説の中で示されている)[1]。ヘモグロビン・フェリチン・MCVという3つの数値は、自分がどのタイプの貧血になりやすいのかを知るための出発点になる。健診の数値を「毎年ちょっと低いだけ」と流さず、気になる変化があれば早めに相談してほしい。自分が貧血になりやすい人に当てはまるかどうかは、本記事の一覧表で一度確認しておくと安心である。

💰 高額療養費制度の自己負担限度額(医療費100万円の例)
自己負担限度額(70歳未満・区分別)— 適用時期に注意
適用時期年収の目安計算式100万円の場合
~2026年7月診療分
現行
年収約370万~770万円(区分ウ) 80,100円+(医療費-267,000円)×1% 87,430円
2026年8月診療分から
見直し後(第1段階)
年収約370万~770万円(区分ウ) 85,800円+1%(PDF原文の表記) 約92,940円<br><small>(編集部試算)</small>
+ 年間上限 53万円(新設)

※「100万円の場合」の金額のうち、現行(~2026年7月)欄は出典PDFに記載の計算例そのものです。2026年8月欄について、出典PDFに印字されているのは「85,800+1%」という表記のみです。1%を乗じる基準額(現行の267,000円に相当する部分)と、100万円の場合の約92,940円は、PDFに印字されておらず、現行制度と同じ計算方法にもとづくJHO編集部試算です。正確な金額は加入されている健康保険組合等にご確認ください。
※ 制度は改定されることがあります。受診・手術の時期によって自己負担額が変わるため、最新の情報は 厚生労働省の高額療養費制度ページで必ずご確認ください。
出典:厚生労働省「高額療養費制度の在り方に関する専門委員会」(令和7年12月16日) (PDF) |JHO確認日:2026-07-16

受診時に伝えると診断がスムーズになる情報の例:①いつ頃から立ちくらみ・だるさなどの症状があるか ②月経周期・経血量に変化はないか(女性の場合) ③便の色に変化はないか(黒色便・血便など) ④現在服用中の薬(お薬手帳を持参) ⑤過去に胃の手術を受けたことがあるか ⑥ここ数か月で体重の増減はあったか ⑦健診でヘモグロビンやフェリチンの値を指摘されたことはあるか

スポーツ(運動)と鉄欠乏性貧血の関連の強さについて、また献血の具体的な間隔日数・年間回数の基準については、今回参照した資料には具体的な記載が見当たりませんでした。気になる場合は、かかりつけ医や献血ルームに直接確認することをおすすめします。

更新日:2026年7月21日。本記事の内容に誤りや古い情報があれば、お問い合わせフォームからご連絡いただけますと幸いです。気づいた点があれば遠慮なくお知らせください。

よくある質問

貧血になりやすい人に共通する特徴は何ですか?
鉄の需要が急に増える(月経・妊娠・成長期)か、鉄が慢性的に失われる(消化管出血など)状態にある人だ。特に月経のある女性は鉄欠乏性貧血の頻度が最も高いグループとして報告されている[1]。
男性なのに鉄欠乏性貧血と言われました。心配ですか?
月経のない男性の鉄欠乏性貧血は、体のどこかからの慢性的な出血が隠れている可能性を考えて調べることが基本とされている[1]。自己判断で鉄サプリメントだけを続けず、消化器内科などでの検査を検討したい。
閉経後の女性はもう貧血にならないのですか?
閉経後の女性でも鉄欠乏性貧血は起こる(頻度は2.8%と報告されている[1])。月経という主な鉄喪失の原因がなくなった後の鉄欠乏性貧血は、消化管出血などほかの原因を積極的に調べる対象になる[1]。
ヘモグロビン・フェリチン・MCVはそれぞれ何を見ているのですか?
ヘモグロビンは今の貧血の有無、フェリチンは体に蓄えられている鉄の量、MCVは赤血球1個の大きさで原因の見当をつける値である(学会誌に掲載された総説による)[1](同じ号の総説による)[2]。
菜食中心の生活だと必ず貧血になりますか?
必ずではないが、リスクは高まりやすい。植物性食品に多い非ヘム鉄は吸収率が1〜8%と、肉類のヘム鉄(10〜30%)より低いためである(同誌の報告)[1]。フェリチン値などで定期的に確認するとよい。
子どもの貧血はどのくらいの割合で起こりますか?
貯蔵鉄が減っている「潜在的鉄欠乏」は小児・青少年で68.6%と高頻度だが、実際に貧血まで進むのは1.5%程度と報告されている[1]。
ピロリ菌の検査はどんな人に勧められますか?
鉄剤を飲んでも十分に改善しない鉄欠乏性貧血がある場合、ピロリ菌感染の関与が知見として報告されている[1]。除菌治療が貧血の改善につながった例もある[1]。
慢性腎臓病があると必ず腎性貧血になりますか?
全員がなるわけではないが、腎機能の低下にともないエリスロポエチンが減って起こりやすくなる。鉄が不足していると治療薬の効果も出にくいため、鉄の状態を合わせて確認する[4]。
高齢者の貧血は年のせいとして様子を見ていいですか?
高齢者の貧血に明確な定義はなく成人の基準で判定されているが、背景に悪性腫瘍や感染症、薬剤の影響が隠れていることもあるとされる(学会誌の報告による)[2]。様子見ではなく原因の確認が望ましい。
胃を切除すると、なぜ鉄欠乏になりやすいのですか?
食事に含まれる鉄は胃酸によって吸収されやすい形に変えられてから腸で吸収される。胃を切除すると胃酸の分泌が不足し、鉄の吸収が低下して鉄欠乏状態になりやすいとされている(同総説による)[1]。
爪がスプーンのように反り返っているのですが、貧血と関係ありますか?
「さじ状爪」は鉄欠乏性貧血に特徴的な所見として知られている(同誌の別の総説による)[2]。心当たりがあれば、血液検査でヘモグロビンとフェリチンを確認してもらうとよい。
亜鉛のサプリメントを飲んでいますが、貧血と関係ありますか?
亜鉛を大量に継続摂取すると、銅の吸収が妨げられて銅欠乏となり、鉄の吸収も阻害されて貧血を起こすことがあるとされている(厚労省の研究班による)[3]。自己判断で高用量を長期間続けている場合は、量や期間について医師・薬剤師に相談したい。
菜食中心でも鉄はしっかり摂れますか?
非ヘム鉄の吸収率(1〜8%)はヘム鉄(10〜30%)より低いが(学会誌の記載による)[1]、豆類・青菜・海藻を組み合わせ、ビタミンCと一緒に摂るなどの工夫で補える範囲は大きい。心配な場合はフェリチン値で確認するとよい。
妊娠中はいつ頃から鉄が特に不足しやすくなりますか?
鉄の推奨量の付加量は妊娠初期で1日2.5mg、中期・後期で1日8.5mgとされ、中期以降に必要量が大きく増える(厚労省の調査研究による)[3]。この時期に鉄剤を勧められることが多いのはこのためである。
健診でヘモグロビンだけ測って「異常なし」と言われました。それで安心してよいですか?
ヘモグロビンが正常でも、貯蔵鉄(フェリチン)だけが先に減っている「潜在的鉄欠乏」の状態はヘモグロビン値には表れない(日本内科学会誌の総説による)[1]。だるさなど気になる症状が続く場合は、フェリチンまで測ってもらえるか相談するとよい。

参考文献

  1. 張替秀郎「Ⅲ.鉄代謝と鉄欠乏性貧血―最近の知見―」日本内科学会雑誌104巻7号 1383-1388(2015) https://www.jstage.jst.go.jp/article/naika/104/7/104_1383/_pdf/-char/ja
  2. 成田美和子「Ⅱ.貧血の分類と診断の進め方」日本内科学会雑誌104巻7号 1375-1382(2015) https://www.jstage.jst.go.jp/article/naika/104/7/104_1375/_pdf/-char/ja
  3. 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」ミネラル(微量ミネラル)鉄(2024) https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/001316469.pdf
  4. 日本腎臓学会「HIF-PH阻害薬適正使用に関するrecommendation」 https://cdn.jsn.or.jp/data/HIF-PH_recommendation.pdf
  5. World Health Organization「Anaemia」Fact sheet https://www.who.int/news-room/fact-sheets/detail/anaemia
  6. 国立がん研究センター がん情報サービス「大腸がん」 https://ganjoho.jp/public/cancer/colon/index.html
  7. 日本赤十字社「献血について」 https://www.jrc.or.jp/donation/information/
  8. 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」高齢者(2024) https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/001316473.pdf
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医療情報に関する重要なお知らせ

本記事はAI技術を活用し、厚生労働省・WHO等の公的医療機関の情報に基づいて作成されています。医療専門家による個別の監修は受けておりません。健康上の判断や治療については、必ず医師にご相談ください。詳しくは編集ポリシーをご覧ください。

Trinh Van Dieu

Trinh Van Dieu

ITエンジニア(17年)・Japanese Health 運営者

ベトナム在住のITエンジニア。17年の技術経験を活かし、日本の公的医療機関の情報をAI技術で整理・発信しています。

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