薬物依存症のサイン5つ|受診の目安が60秒でわかるセルフチェック
依存症の主なサインは「薬物の使用を自分でコントロールできない」など5つ。済生会(2022年)が挙げる項目に答えると、受診の目安が約60秒でわかります。
「薬物の使用を自分でコントロールできない」「使用をやめると不快な症状が出る」— 済生会がアメリカ精神医学会のDSM-5診断基準をもとに解説する薬物依存症のサインに答えるだけ。このページで扱う『依存症』は、参照した資料の範囲に合わせて薬物依存症に限っています。
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※ 本チェックは医師の診断に代わるものではありません。判断に迷う症状や強い症状があるときは、医療機関にご相談ください。
済生会は、薬物依存症の診断基準について「アメリカの最新の診断基準であるDSM-5によると、以下のような症状があり、いずれか2項目以上が直近1年以内にみられれば、薬物依存症と診断されます」としています(2022年3月16日公開)。
済生会は「アルコール依存症の人の90%にニコチン依存が併せてみられるように、薬物依存症の人でもしばしば多剤の乱用が問題となります」と述べています。
済生会は「日本の2020年度の覚醒剤の検挙者数は1万人を割っており、ハームリダクションという考え方を適用すべき状況にはありません」と述べています。
このページのセルフチェックは、済生会が解説する薬物依存症の症状(アメリカ精神医学会のDSM-5診断基準)に沿って5つのサインを数え、受診の目安を出します。
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このセルフチェックでわかること
自分で使用をコントロールできない、生活上のトラブル、危険な使用、耐性、離脱症状 — 済生会が解説するDSM-5の診断基準に沿って当てはまる数を数え、受診の目安を確認できます。診断ではありません。
こんな症状のときに使えます
- 使う量や、いつ使うかを自分でコントロールできない
- 薬物の使用によって、仕事や家庭など生活上のトラブルが生じている
- 危険だとわかっていても、身体面や精神面で危険な使い方をしてしまう
- 以前と同じ感覚を得るために、使う量が増えてきた
- 使用をやめたり量を減らしたりすると、不快な症状が出る(離脱症状)
- つらさが強く、死にたい気持ちになったり、自分を傷つけたくなったりすることがある(この場合は早めの相談を)
受診の目安の考え方
① 薬物依存症とは、どんな状態か
済生会は「薬物依存症とは、薬物の使用を自分自身でコントロールできず、やめられなくなる状態のことをいいます」としています。そのうえで「仮説ではありますが、薬物使用を繰り返すことで脳内の報酬系(欲求が満たされたときや満たされると分かったときに活性化して快感をもたらす神経系)の神経路に機能の変化が起こり、障害といえる依存症の状態をつくり出すと考えられています」と説明しています。また「快感の追求ではなく、苦痛を緩和するために依存的な行動がエスカレートしていくという仮説もあります」とし、「薬物の使用により苦痛が緩和することで自己への報酬(快感)を得るのだと思われます」として、これを「自己治療仮説」と呼んでいます。
② 診断の目安はDSM-5の5つの項目
済生会は「アメリカの最新の診断基準であるDSM-5によると、以下のような症状があり、いずれか2項目以上が直近1年以内にみられれば、薬物依存症と診断されます」としています。挙げられているのは「①薬物の使用をコントロールできなくなる」「②薬物の使用によって生活上のトラブルが生じている(社会的障害)」「③身体面および精神面で危険な使用をする(危険な使用)」「④最初の頃と比べて同じ感覚を味わうための摂取量が増える傾向がある(耐性)」「⑤依存物質の使用をやめたり量を減らすと、薬物本来の作用とは異なる不快な症状が出現する(離脱)」の5項目です(参考:アメリカ精神医学会「精神障害の診断と統計マニュアル第5版(DSM-5)」)。
③ 検査は尿検査。通報より治療が優先されることが多い
済生会は「患者さんが乱用している薬物の種類を特定するために、薬物使用直後の場合は簡易尿検査を行ないます」としています。そのうえで「検査結果が陽性の場合、使用しているのが覚醒剤や大麻などの触法薬物(法律に違反するような薬物)であっても、医師の守秘義務の問題から原則としては警察への通報はしません。治療を優先するからです」とし、「ただし、コカインやヘロインなどの麻薬指定の薬物は医師に届出義務があり、都道府県知事へ通報を行ないます」としています。また「アルコール依存症の人の90%にニコチン依存が併せてみられるように、薬物依存症の人でもしばしば多剤の乱用が問題となります」とも述べています。
④ 受診のきっかけはさまざまで、経過から診断できることが多い
済生会は「本人自ら薬物依存を認めて受診することもありますが、警察による逮捕をきっかけに裁判対策のために弁護士に勧められて受診する場合や、処方薬を求めて複数の医療機関を救急受診(ドクターショッピング)している場合もあります」としたうえで、「いずれの場合も、経過によりほとんどのケースで診断可能です」としています。
⑤ 治療は薬物療法と認知行動療法、そして自助グループ
済生会は治療法について「薬物乱用に伴う幻覚・妄想、興奮や易怒性(怒りやすさ)に対しては、抗精神病薬がよく効きます」としたうえで、「抑うつ的(憂うつな状態)になっている場合は、自殺のリスクを慎重に見守る必要があります」としています。「精神状態が落ち着くまでには一定の期間がかかるので、入院治療を行なうこともよくあります」とも述べています。そのうえで「精神状態が落ち着いてきたら、薬物を再び使うことのない生活ができるように、依存症患者の認知(ものの受け取り方や考え方)や行動の仕方を修正するための治療を行ないます」とし、「入院中から依存症の自助グループへの参加を促し、回復へのきっかけをつかんだ人たちと接する機会をつくることで、気づきを強化していきます」としています。
⑥ 処方薬・市販薬は「歯止めがきかない」落とし穴になることがある
済生会は「現在、医療機関にかかる薬物依存症患者の使用薬物で最も多いのが覚醒剤で、その次に多いのが処方薬です」としています。「処方薬(特に抗不安薬や睡眠薬に多いベンゾジアゼピン系薬剤)や市販薬などは、本来治療を目的として使っていたものが、継続するうちに依存性を高めてしまったといえます。アルコールやタバコ(ニコチン)、カフェインなどと同様に使用自体は法に触れないため、より歯止めがきかなくなりやすいのです」としたうえで、「あえていうならば、早期発見という点でやっかいなのは依存薬物が処方薬の場合です」とし、「『治療としての必要性』と『依存状態の強さ』のバランスを考えると、薬物の使用をきっちりやめさせることがマイナスになることもある(苦痛が強くなり自殺や自傷行為に走ることがよくある)からです」と述べています。「依存する処方薬が両刃の剣となっているので、専門家と慎重に対応を進めていくことをお勧めします」ともしています。なお「覚醒剤や大麻などは1回の使用でさえ問題になります」とも述べ、「家族だけでも専門家(保健所、専門医療機関、民間相談機関)にアクセスすることは大事だと思います」としています。済生会は、社会復帰支援施設であるダルク(DARC)や自助グループであるナルコティクスアノニマス(NA)では、新しく薬物依存症患者が参加してくると仲間として「ようこそ」と迎え入れてくれるとし、「この温かさが回復のために大事なのです」としています。
⑦ 出どころについて — 正直に申し上げること
このページの症状・検査・治療の記述は、社会福祉法人恩賜財団 済生会「症状別病気解説」の薬物依存症のページによります。参照したページは2022年3月16日に公開されたものです。このページで扱う『依存症』は、参照した資料の範囲に合わせて薬物依存症に限っています。アルコール依存症、ギャンブル依存症、買い物依存症など、ほかの依存症については扱っていません。診断基準の出典はアメリカ精神医学会「精神障害の診断と統計マニュアル第5版(DSM-5)」です。なお、このセルフチェックの結果が実際の診断とどの程度一致するかを検証したデータは見当たりませんでした。当てはまる数が多いことは、薬物依存症であることを意味しません。
薬物依存症は何科を受診すればいいですか?
済生会のページに受診科の直接の案内はありませんが、同会は治療について抗精神病薬による薬物療法や入院治療、認知行動療法を挙げています。気になる症状があるときは、精神科や心療内科など身近な医療機関にご相談ください。
検査を受けたら警察に通報されますか?
済生会は「検査結果が陽性の場合、使用しているのが覚醒剤や大麻などの触法薬物(法律に違反するような薬物)であっても、医師の守秘義務の問題から原則としては警察への通報はしません。治療を優先するからです」としています。ただし「コカインやヘロインなどの麻薬指定の薬物は医師に届出義務があり、都道府県知事へ通報を行ないます」ともしています。
処方薬や市販薬でも依存症になりますか?
済生会は「処方薬(特に抗不安薬や睡眠薬に多いベンゾジアゼピン系薬剤)や市販薬などは、本来治療を目的として使っていたものが、継続するうちに依存性を高めてしまったといえます」としています。使用自体が法に触れないぶん「より歯止めがきかなくなりやすいのです」とも述べています。
薬物をやめると、つらい症状が出ますか?
済生会は、依存物質の使用をやめたり量を減らしたりすると「薬物本来の作用とは異なる不快な症状が出現する(離脱)」ことをDSM-5の診断基準の一つとして挙げています。処方薬については「薬物の使用をきっちりやめさせることがマイナスになることもある(苦痛が強くなり自殺や自傷行為に走ることがよくある)」とも述べており、自己判断でのやめ方は勧めていません。
家族はどう関わればいいですか?
済生会は「生活習慣や言動に異常がみられるようになれば家族が気づきますが、そこから受診に至るまでにはさらに時間を要することが多いです」としたうえで、「家族だけでも専門家(保健所、専門医療機関、民間相談機関)にアクセスすることは大事だと思います」としています。
回復のために自助グループは役立ちますか?
済生会は「社会復帰支援施設であるダルク(DARC)や、自助グループであるナルコティクスアノニマス(NA)では、新しく薬物依存症患者が参加してくると、仲間として『ようこそ』と迎え入れてくれます」とし、「この温かさが回復のために大事なのです」としています。
依存症について詳しく読む
- 【アルコール依存症の薬物療法】断酒・減酒を支える主な薬と安全に向き合うためのポイント
- 【恋愛依存症】「相手がいないと生きていけない」と感じるときのサインと向き合い方
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くわしい解説は メタンフェタミン(覚醒剤)の危険性|作用・依存症から治療・社会復帰までの完全ガイド をご覧ください。
くわしい解説は 大人の依存症:その原因、種類、そして克服への完全ガイド をご覧ください。
結果に関わらず、すぐに救急を考える症状
- 強い胸の痛み・締めつけが続く/冷や汗を伴う
- 息が苦しくて横になれない・会話ができないほど苦しい
- 意識がもうろうとする・けいれん・呼びかけに反応が鈍い
- ろれつが回らない・片側の手足が動かない・顔がゆがむ
- 大量の出血、吐血・下血が続く
- けいれんが止まらない/けいれんが止まっても、意識がもどらない
- 意識がない(返事がない)またはおかしい(もうろうとしている)
- くちびるの色が紫色/顔色が明らかに悪い
- 激しい咳やゼーゼーして呼吸が苦しそう/呼吸が弱い
- 激しい下痢や嘔吐で水分が取れず食欲がなく意識がはっきりしない/嘔吐が止まらない
- 激しいおなかの痛みで苦しがる
- 生まれて3カ月未満の乳児で、様子がおかしい
よくある質問
薬物依存症は治りますか?
覚醒剤や大麻は少しだけならいいですか?
警察に逮捕されたら、治療はもう遅いですか?
子どもの依存症予防にできることはありますか?
「ハームリダクション」とは何ですか?
料金や会員登録は必要ですか?
結果はどのくらい信頼できますか?
参考にした情報
社会福祉法人恩賜財団 済生会「薬物依存症(やくぶついぞんしょう)とは(公開日:2022年3月16日)」(2026年8月4日参照)最終更新:2026年8月4日
本ページは医療者による個別の診断・治療に代わるものではありません。判断に迷う症状や強い症状があるときは、
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