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心血管疾患 28分で読める 37回

【動脈硬化とは】仕組み・原因・検査・治療と今日からできる予防法

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「健康診断でコレステロールが高いと言われた」「動脈硬化が進んでいると言われたが、何をどこまで気をつければいいのか分からない」「まだ若いのに心筋梗塞や脳梗塞が心配」――そんな不安を抱えていませんか。

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動脈硬化とは、血管が徐々に硬く・狭くなり、心筋梗塞や脳梗塞など命に関わる病気の大きな原因となる状態のことです。特に、日本では高血圧・脂質異常症・糖尿病・喫煙などの生活習慣病が重なることで、年齢にかかわらず動脈硬化が進みやすくなることが知られています1。

本記事では、厚生労働省のe-ヘルスネットや日本動脈硬化学会の「動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版」などの公的資料・ガイドライン13、世界保健機関(WHO)の心血管疾患に関するデータ5をもとに、動脈硬化の仕組み、原因、検査、治療・予防方法を、日常生活の具体的なイメージとともに解説します。

「今の自分の状態がどの程度心配なのか」「今日から具体的に何をすればよいのか」「いつ医療機関を受診すべきか」が分かるように構成していますので、ご自身やご家族の健康管理にお役立てください。

Japanese Health(JHO)編集部とこの記事の根拠について

Japanese Health(JHO)は、健康と美容に関する情報を提供するオンラインプラットフォームです。膨大な医学文献や公的ガイドラインを整理し、日常生活で活用しやすい形でお届けすることを目指しています。

本記事の内容は、厚生労働省e-ヘルスネット、日本動脈硬化学会の「動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版」、日本循環器学会のガイドライン、世界保健機関(WHO)の心血管疾患に関する資料など1345の一次情報源に基づいて、JHO編集部がAIツールのサポートを受けつつ、最終的には人の目で一つひとつ確認しながら作成しています。

  • 厚生労働省・自治体・公的研究機関:e-ヘルスネットや統計資料など、日本人向けの公式情報を優先して参照しています127。
  • 国内外の医学会ガイドライン・査読付き論文:日本動脈硬化学会・日本循環器学会などのガイドラインや、WHO・World Heart Federationによる報告書などのエビデンスをもとに要点を整理しています346。
  • 教育機関・医療機関・NPOによる一次資料:病気の背景説明や日本の医療制度に関する実務的な情報として利用します。

AIツールは、文献の要約や構成案作成の「アシスタント」として活用していますが、公開前には必ずJHO編集部が原著資料と照合し、重要な記述を一つひとつ確認しながら、事実関係・数値・URLの妥当性を検証しています。

私たちの運営ポリシーや編集プロセスの詳細は、運営者情報(JapaneseHealth.org)をご覧ください。

要点まとめ

  • 動脈硬化とは、動脈の壁が硬くなったり内側が狭くなったりすることで、心筋梗塞や脳梗塞などの重大な病気を引き起こす土台となる状態です1。
  • 加齢そのものに加え、高血圧・脂質異常症・糖尿病・喫煙・過度の飲酒・肥満・慢性腎臓病などが重なるほど、動脈硬化は進みやすくなります13。
  • 動脈硬化は長い年月をかけて「静かに」進行するため、自覚症状が出る前から健康診断や生活習慣の見直しで対策することが重要です13。
  • 血液検査(コレステロール・中性脂肪・血糖・HbA1cなど)や血圧測定、頸動脈エコー、心電図などの検査によって、動脈硬化のリスクや進行の程度を客観的に評価できます134。
  • 治療では、食事・運動・禁煙などの生活習慣の改善に加え、必要に応じてコレステロールを下げる薬や血圧の薬、糖尿病治療薬、抗血小板薬などを用いて総合的にリスクを管理します34。
  • 胸の強い痛み、突然のろれつ不良・片側の手足の麻痺などは、心筋梗塞や脳梗塞のサインの可能性があり、迷わず119番通報を含む緊急対応が必要です7。
  • 日本には特定健康診査・特定保健指導など、動脈硬化のリスクを早期に見つけて対策を促す仕組みがあり、40歳以上の方は積極的に活用することが推奨されています23。

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これは診断ではありません。入力された数値を日本高血圧学会の血圧値の分類(高血圧の基準は診察室 140/90mmHg以上・家庭 135/85mmHg以上)に当てはめて「受診の目安」を機械的に示すもので、医師の診察に代わるものではありません。日本高血圧学会「高血圧管理・治療ガイドライン2025」では、降圧目標は年齢によらず診察室 130/80mmHg未満・家庭 125/75mmHg未満とされています。脈拍の目安は学会の分類ではなく一般的な参考範囲です。

第1部:動脈硬化の基本と日常生活の見直し

まずは、動脈硬化とは何か、その基本的な仕組みと、日常生活の中でどのような習慣が動脈硬化を進めてしまうのかを整理します。専門的な病名の前に、「血管がどう変化していくのか」というイメージをつかむことが大切です。

1.1. 動脈硬化の基本的なメカニズム

動脈は、心臓から全身に血液を送り出すための「ゴムホース」のような血管です。若く健康なときには、弾力があり、血液の流れに合わせてしなやかに伸び縮みします。ところが、加齢や生活習慣病などの影響で、動脈の内側(内膜)に悪玉コレステロール(LDLコレステロール)などが入り込み、粥状のかたまり(プラーク)が少しずつたまっていきます12。

この粥状のプラークが大きくなると、血管の内側が狭くなり、流れる血液の量が減ります。その結果、酸素や栄養が十分に届かない臓器では、狭心症や一過性脳虚血発作(TIA)などの症状が出ることがあります17。さらに、プラークの表面が破れて中の成分が血液に触れると、血小板が集まって血栓(血のかたまり)が急にでき、血管が完全に詰まってしまうと心筋梗塞や脳梗塞といった緊急事態につながります17。

動脈硬化にはいくつかのタイプがあり、大きな動脈にプラークができる「粥状動脈硬化」、脳や腎臓などの細い動脈が硬くなってしまう「細動脈硬化」、動脈の中膜にカルシウムが沈着して硬くなる「中膜硬化」などに分類されます1。いずれも血管の弾力性が失われ、詰まりやすくなるという点では共通しており、心臓病や脳卒中などの心血管疾患の大きな要因となります45。

世界保健機関(WHO)は、心筋梗塞や脳卒中を中心とする心血管疾患が、世界の死因の第1位であり、年間約1,790万人が亡くなっていると報告しています56。その多くの背景に、動脈硬化の進行があると考えられています。

1.2. 動脈硬化を悪化させるNG習慣

動脈硬化は「年齢が上がれば誰にでも多少は起こる」変化ですが、その進み方には個人差があります。その差を大きく左右するのが、日常生活の習慣です。日本動脈硬化学会のガイドラインでは、以下のような生活習慣が動脈硬化の危険因子として挙げられています3。

  • 喫煙:たばこの煙に含まれる有害物質が血管の内膜を傷つけ、プラークの形成や血栓を促進します。1日に吸う本数が少なくても、動脈硬化性疾患の早期発症や重症化につながることが報告されています23。
  • 高血圧:高い血圧が長期間続くことで、血管壁に強い圧力がかかり、内膜が傷つきやすくなります。その修復の過程でプラークができやすくなり、脳出血などのリスクも高まります14。
  • 脂質異常症(高LDLコレステロール・低HDLコレステロール・高トリグリセライド):LDLコレステロールが高い状況が続くと、血管内にプラークがたまりやすくなります。HDLコレステロールは「善玉」と呼ばれ、余分なコレステロールを回収する働きがあるため、低すぎるとリスクが上がります13。
  • 糖尿病・耐糖能異常:高血糖状態が続くと、血管内皮の機能が損なわれ、動脈硬化が進みやすくなります。糖尿病のある方は、同じコレステロール値であっても心筋梗塞や脳梗塞のリスクが高いことが知られています34。
  • 運動不足・座りがちな生活:長時間座ったままの仕事や、通勤・買い物以外ほとんど歩かない生活は、肥満や脂質異常症、糖尿病のリスクを高め、動脈硬化を促進します3。
  • 過度の飲酒:適量を超える飲酒は、高血圧や脂質異常症、心筋障害などを招き、動脈硬化性疾患のリスクを高めます13。
  • 睡眠不足・強いストレス:慢性的な睡眠不足や強いストレスは、自律神経やホルモンバランスに影響し、血圧や血糖、食欲などに悪影響を与えます。結果として動脈硬化の進行に関わると考えられています3。

これらの習慣は、職場の残業やシフト勤務、家事・育児、介護など、現代日本の生活スタイルの中では「仕方がない」と感じてしまう要素も多いかもしれません。しかし、すべてを完璧に変える必要はなく、できるところから少しずつ改善するだけでも、10年、20年先の心筋梗塞や脳梗塞のリスクを確実に下げることができます34。

表1:セルフチェックリスト — 動脈硬化リスクの「思い当たる項目」
こんな症状・状況はありませんか? 考えられる主な背景・原因カテゴリ
健康診断で「LDLコレステロールが高い」と何度も言われているが、そのままにしている 脂質異常症・食生活の乱れ・遺伝的要因など13
若い頃から喫煙を続けており、禁煙に挑戦しては挫折している 喫煙による血管内皮障害・動脈硬化促進23
仕事が忙しく、運動はほとんどしないうえに、夕食が遅い・量が多い 肥満・脂質異常症・糖尿病リスクの上昇3
血圧が高いと言われたが、薬は飲まず様子を見ている 高血圧による血管へのストレス・脳卒中リスクの増大14
両親や兄弟姉妹に、心筋梗塞・脳梗塞・突然死などの家族歴がある 遺伝的素因や生活習慣の共通性による高リスク群3

上記の項目に複数当てはまる場合でも、今から対策を始めることでリスクを下げることができます。次の第2部では、特に女性や高齢者、持病のある方に関係する「体の内部の要因」について詳しく見ていきます。

第2部:身体の内部要因 — 栄養・ホルモン・隠れた不調

生活習慣を見直しても数値がなかなか改善しない場合、その背景にはホルモンの変化や、糖尿病・慢性腎臓病などの持病、家族性の要因など、身体の内側で起こっている問題が隠れていることがあります。ここでは、特に注意したい内部要因を整理します。

2.1. 【特に女性】ライフステージとホルモンバランス

女性の動脈硬化リスクは、ライフステージによって変化します。一般に、女性ホルモン(エストロゲン)は血管の働きを助け、若い女性では男性に比べて心筋梗塞などの発症が少ないとされていますが、閉経後はその保護作用が弱まり、動脈硬化性疾患のリスクが増えてきます34。

また、妊娠・出産の経験も将来のリスクに関係することが分かってきています。妊娠高血圧症候群や妊娠糖尿病になったことがある女性は、将来的に高血圧や糖尿病、心血管疾患を発症しやすいとされており、定期的なフォローアップが重要です3。出産後は育児で自分のことを後回しにしがちですが、「母子手帳に記録された妊娠中のトラブル」は中長期的なリスクのサインにもなります。

更年期の時期には、コレステロールが上がりやすくなったり、体重が増えやすくなったりすることも多いため、40代後半以降は、定期的な健康診断で血圧・血糖・脂質のチェックを受け、自覚症状がなくても生活習慣を少しずつ整えていくことが勧められています3。

2.2. 栄養・代謝の問題 — 脂質異常症・糖尿病・肥満

食生活や体質、運動不足などが重なると、脂質異常症や糖尿病、肥満・メタボリックシンドロームといった代謝異常が起こり、動脈硬化の進行を大きく加速します13。

  • 脂質異常症:LDLコレステロールが高く、HDLコレステロールが低い状態は、動脈硬化危険因子として特に重要視されています。日本動脈硬化学会のガイドラインでは、心血管疾患の既往の有無や糖尿病・慢性腎臓病の有無などに応じて、目標とするLDLコレステロール値が細かく設定されています3。
  • 糖尿病・耐糖能異常:血糖値が高い状態が続くと、血管内皮が傷つきやすくなり、動脈硬化のリスクが2〜4倍に高まるとされます34。糖尿病がある方は、血糖だけでなく、血圧・脂質の管理もセットで行うことが重要です。
  • 肥満・メタボリックシンドローム:内臓脂肪が多いタイプの肥満は、インスリンの効きにくさ(インスリン抵抗性)を通じて、糖尿病や脂質異常症・高血圧を引き起こしやすくし、結果的に動脈硬化リスクを高めます36。

栄養や代謝の問題は、「年齢のせい」「体質だから」とあきらめたくなるかもしれませんが、食事と運動、必要に応じた薬物療法を組み合わせることで、多くの場合、リスクを大きく減らすことができます。特定健康診査の結果で「メタボリックシンドローム予備群」と言われた方も、放置せず、保健指導やかかりつけ医のサポートを活用しましょう23。

2.3. 慢性腎臓病・家族歴など、見落としやすいリスク

動脈硬化の危険因子として、慢性腎臓病(CKD)や家族性高コレステロール血症(FH)など、一般の健診では分かりにくい要因も知られています3。

  • 慢性腎臓病(CKD):腎機能が低下すると、血圧や電解質、ホルモンバランスが変化し、動脈硬化が進みやすくなります。eGFR(推算糸球体濾過量)が低下している方や、尿タンパクが出ている方は、心血管リスクが高い群として注意が必要です3。
  • 家族性高コレステロール血症(FH):生まれつきLDLコレステロールが非常に高くなる遺伝性疾患で、若い年齢から心筋梗塞などを起こすリスクがあります。親や兄弟姉妹に若年発症の心筋梗塞・脳梗塞がいる場合や、子どもの頃からコレステロールが高いと言われている場合は、専門医への相談が勧められます3。
  • 強い家族歴:遺伝子そのものに加え、食生活や喫煙習慣などの生活スタイルが似ていることで、家族単位で動脈硬化リスクが高くなることがあります。家族の病歴を一度紙に書き出して整理してみると、自分のリスクを客観的に把握する助けになります3。

このように、動脈硬化は「血管だけの病気」ではなく、全身の代謝やホルモン、腎機能、遺伝など、さまざまな要素が絡み合って起こります。次の第3部では、動脈硬化が進むことで実際にどのような病気が起こるのかを見ていきましょう。

第3部:動脈硬化が関わる代表的な疾患

ここでは、動脈硬化が進行することで起こりやすくなる代表的な病気について、症状や受診の目安、放置した場合のリスクを解説します。自覚症状が出たときは、すでに動脈硬化がかなり進んでいることも少なくありません。

3.1. 冠動脈疾患(狭心症・心筋梗塞)

心臓の筋肉(心筋)に酸素と栄養を届ける血管を「冠動脈」と呼びます。冠動脈が動脈硬化で狭くなったり詰まったりすることで起こる病気が、狭心症や心筋梗塞などの虚血性心疾患です7。

  • 狭心症:冠動脈が狭くなり、運動時や階段を上ったときなど、心臓の負担が増えたときに一時的に血流が不足して起こる病気です。胸の中央部が締め付けられるような痛みや圧迫感、肩や腕、あご、背中への放散痛などが特徴で、数分以内におさまることが多いとされています7。
  • 心筋梗塞:動脈硬化が進んだ冠動脈のプラークが破れて血栓ができ、血管が急に詰まることで起こる病気です。20分以上続く強い胸痛、冷や汗、息切れ、吐き気、顔面蒼白などが現れ、時には突然死に至ることもあります7。

こうした症状が突然出現した場合は、迷わず119番通報を含む緊急対応が必要です。胸以外(胃のあたりや左腕、肩、あごなど)の痛みとして感じることもあるため、「いつもと違う強い痛み」や「冷や汗を伴う違和感」が続く場合も要注意です7。

3.2. 脳血管疾患(脳梗塞・脳出血)

脳に血液を送る頸動脈や脳内の細い動脈も、動脈硬化の影響を受けます。血管が詰まることで起こるのが脳梗塞、破れることで起こるのが脳出血です14。

  • 片側の手足が突然動かしにくくなる・しびれる
  • ろれつが回らない・言葉が出てこない・人の言うことが理解しづらい
  • 片方の目が急に見えにくくなる、二重に見える
  • 激しい頭痛が突然起こる、今までにない頭痛

こうした症状は脳梗塞・脳出血のサインの可能性があり、時間との勝負となります。症状が出た時刻を確認し、すぐに救急車を呼ぶことが重要です。日本では、脳卒中は長らく主要な死因の一つであり、高血圧や動脈硬化との関連が指摘されています14。

3.3. 末梢動脈疾患・大動脈瘤など

動脈硬化は、心臓や脳だけでなく、足の血管や大動脈など、全身の血管に影響します。

  • 末梢動脈疾患(PAD):主に下肢の動脈が狭くなったり詰まったりすることで、歩くとふくらはぎが痛くなり、少し休むとまた歩けるようになる「間欠性跛行」が代表的な症状です。重症化すると、足先の潰瘍や壊死を起こし、場合によっては足の切断が必要になることもあります34。
  • 大動脈瘤:心臓から出る大動脈の壁が動脈硬化などの影響で弱くなり、風船のように膨らんだ状態を大動脈瘤と呼びます。多くの場合、自覚症状が乏しいまま進行し、破裂した場合は命に関わる大出血を起こします4。

これらの疾患は、健康診断や画像検査(エコー、CTなど)で偶然見つかることも多く、「症状がないから大丈夫」とは限りません。特に、喫煙歴が長い方や、糖尿病・高血圧・脂質異常症が重なっている方は注意が必要です3。

第4部:今日から始める改善アクションプラン

動脈硬化は長い時間をかけて進行するため、「今日少し変える」ことの積み重ねが、5年後・10年後の心筋梗塞や脳梗塞のリスクを大きく左右します。ここでは、生活習慣のレベル別に、今日から始められる具体的なアクションを整理します。

表2:動脈硬化予防の改善アクションプラン
ステップ アクション 具体例
Level 1:今夜からできること 食事と嗜好品を少しだけ見直す 夕食は腹八分目を意識し、揚げ物・脂身の多い肉は量を減らして魚や大豆製品に置き換える/寝る2時間前以降の飲酒・夜食を控える/コンビニで選ぶときは「野菜が多い弁当」「ノンオイルドレッシング」を選ぶ など13
Level 2:今週から始めること 歩く量と座り時間をコントロールする 通勤で一駅分歩く・エレベーターではなく階段を使う・仕事中1時間に1回は立ち上がってストレッチをする/週合計150分程度の中等度の有酸素運動(早歩きなど)を目標にする34
Level 3:今月中に取り組みたいこと 禁煙・飲酒量の見直し・体重管理 禁煙外来や禁煙補助薬の利用を検討する/週の飲酒日を減らす・1日あたりのアルコール量を日本の指針で示される「適量」以内に抑える/体重・ウエスト周囲径を記録し、月に1〜2kg程度のゆるやかな減量を目指す23
Level 4:数ヶ月〜数年単位で続けること 定期健診・かかりつけ医でのフォロー 特定健康診査や職場健診を毎年受け、結果を保管する/血圧・コレステロール・血糖が高めと指摘された場合は、かかりつけ医を決めて継続的にフォローしてもらう/薬が処方された場合は自己判断で中止せず、医師と相談しながら調整する234

すべてのステップを一度に完璧に行う必要はありません。自分にとって負担の少ないところから、少しずつ生活を整えていくことが、長期的には大きな差につながります。やることを1つに絞り、「まずはこれだけ」と決めて取り組むのもおすすめです。

第5部:専門家への相談 — いつ・どこで・どのように?

動脈硬化は、早い段階でリスクを把握し、生活習慣の改善や薬物治療を組み合わせることで、心筋梗塞や脳梗塞などの重い合併症を予防しやすくなります。一方で、「どのタイミングで受診すべきか」「どの診療科に行けばよいか」が分からず、受診が遅れてしまうケースも少なくありません。ここでは、受診の目安と、診察を有効に活用するためのポイントをまとめます。

5.1. 受診を検討すべき危険なサイン

  • 胸の中央部が締め付けられるように痛い、重い、焼けるように痛い感じが数分以上続く、または繰り返す(特に運動時)7
  • 冷や汗を伴う強い胸痛、息苦しさ、吐き気、強い不安感が突然現れた7
  • 片側の手足が突然動かしにくくなったり、しびれたりする/ろれつが回らない/言葉が出てこない/片方の目が急に見えにくくなった4
  • 歩くとふくらはぎが痛くなり、少し休むとまた歩けるが、最近距離が短くなっている
  • 安静時にも足先が冷たく痛い・色が白や紫っぽく変わる・傷が治りにくい

上記のうち、特に胸の強い痛みや突然の麻痺・言語障害などは、一刻を争う救急疾患のサインの可能性があります。迷ったときは「念のため」であっても早めに119番通報し、救急隊や救急外来の医師の判断を仰ぐことが、ご自身の命を守ることにつながります。

5.2. 症状に応じた診療科の選び方

  • 自覚症状がないが、健診でコレステロール・血圧・血糖や心電図の異常を指摘された場合は、まずはかかりつけの内科(一般内科・循環器内科)で相談するのがおすすめです34。
  • 胸の痛みや動悸、息切れなど「心臓が心配な症状」がある場合は、循環器内科が専門となります47。
  • 片側の麻痺やろれつ障害など、脳卒中が疑われる症状がある場合は、救急搬送先として脳神経外科・神経内科などが検討されます4。
  • 足の冷感や歩行時の痛みなどが続く場合は、血管外科・循環器内科での評価が行われることがあります3。

まずは地域のかかりつけ医に相談し、必要に応じて専門医へ紹介してもらう流れが一般的です。日本の医療保険制度では、紹介状を持って大きな病院を受診することで、追加負担を抑えられる場合があります。

5.3. 診察時に持参すると役立つものと費用の目安

  • 健康診断の結果一式:過去数年分の結果(コレステロール・中性脂肪・血糖・HbA1c・血圧など)があると、動脈硬化リスクの経年変化を把握しやすくなります3。
  • 服用中の薬のリストやお薬手帳:血圧薬・糖尿病薬・サプリメント・市販薬を含め、すべて分かるようにしておくと、薬同士の相互作用や重複を避けられます。
  • 症状のメモ:胸の痛みや息切れ、足の痛みなどが「いつ・どんなときに・どのくらいの時間」起こるのかを、簡単にメモして持参すると、診察がスムーズになります。
  • 費用の目安:日本の公的医療保険に加入している場合、自己負担は多くの方で3割です。初診料や血液検査、心電図・胸部レントゲンなどの基本的な検査で数千円〜1万円前後になることが多く、CTやMRIなどの高度な検査を行う場合は、さらに費用がかかることがあります(具体的な金額は医療機関や検査内容によって異なります)。

「これくらいで受診していいのだろうか」とためらう方も多いですが、動脈硬化性疾患は早期発見・早期介入が何より重要です。不安なときには一人で抱え込まず、医療機関や保健師、職場の産業医などに相談してみてください。

よくある質問

Q1: 動脈硬化は何歳くらいから始まるのですか?

A1: 動脈硬化の変化自体は、実は10代・20代ごろから少しずつ始まるとされていますが、多くの人で自覚症状が出るのは40〜50代以降です13。加齢は誰にでも起こる要因ですが、高血圧・脂質異常症・喫煙・肥満などの危険因子が重なるほど進行が早くなります3。そのため、日本では40歳以上を対象とした特定健康診査が行われており、この年代からは毎年の健診で血圧やコレステロール、血糖をチェックすることが重要とされています2。

Q2: 健診で「動脈年齢が高い」と言われました。どのくらい心配すべきですか?

A2: 「動脈年齢」は、血管の硬さや血圧などから動脈の状態を年齢に置き換えて示した指標で、血管の老化の目安として使われます。実年齢より動脈年齢が高い場合、将来の心筋梗塞や脳梗塞のリスクが高めである可能性がありますが、一度の測定だけで「すぐに危険」という意味ではありません13。

大切なのは、血圧・コレステロール・血糖値・喫煙習慣など、他の危険因子と合わせて総合的にリスクを評価することです34。気になる場合は、健診結果を持参して内科や循環器内科で相談し、生活習慣の改善や必要な検査・治療についてアドバイスを受けましょう。

Q3: コレステロールを下げる薬(スタチンなど)は、一度飲み始めたら一生飲み続ける必要がありますか?

A3: 日本動脈硬化学会のガイドラインでは、心筋梗塞や脳梗塞を起こしたことがある方や、糖尿病・慢性腎臓病など高リスクの方では、LDLコレステロールを厳格にコントロールすることが推奨されており、そのためにスタチンなどの薬を長期的に継続することが多いとされています3。

一方で、リスクが比較的低い方では、生活習慣の改善によって薬の量を減らしたり、中止を検討できる場合もあります34。自己判断で中止すると、再びリスクが高くなる可能性があるため、「やめたい」と感じたときは必ず主治医に相談し、血液検査や全身の状態を見ながら一緒に方針を決めることが大切です。

Q4: 食事だけで動脈硬化を改善することはできますか?

A4: 食事改善は動脈硬化予防・治療の基本であり、日本動脈硬化学会や日本循環器学会のガイドラインでも強く推奨されています34。特に、飽和脂肪酸(脂身の多い肉・バターなど)やトランス脂肪酸、過剰な塩分・砂糖を控え、魚や野菜・果物・食物繊維を多くとることがすすめられています3。

ただし、すでに心筋梗塞を起こした方や、糖尿病・慢性腎臓病を併せ持つ方など、高リスク群では、食事だけでは十分なリスク低下が得られない場合も多く、そのような場合は薬物治療との併用が標準的な治療とされています34。ご自身がどの程度のリスクにあるかを、医療機関で確認することが重要です。

Q5: 動脈硬化があっても、運動をしても大丈夫でしょうか?

A5: 多くの場合、適度な有酸素運動(早歩き・自転車・水泳など)は、血圧やコレステロール、血糖の改善につながり、動脈硬化の予防・管理に有益とされています34。ただし、狭心症や心筋梗塞の既往がある方、重い心不全や不整脈がある方などは、運動の強度や種類について医師の指示を受ける必要があります。

胸の痛み・息切れ・動悸・めまいなどが運動中や運動後に出る場合は、無理をせず運動を中止し、必ず医療機関を受診してください。運動を始める前に、一度かかりつけ医と相談し、自分に合った運動量を確認することをおすすめします。

Q6: 喫煙歴が長いのですが、今から禁煙しても意味はありますか?

A6: 喫煙は動脈硬化性疾患の大きな危険因子ですが、禁煙によってリスクを下げられることが多くの研究で示されています23。禁煙後、数年かけて心筋梗塞や脳卒中のリスクは徐々に低下し、長期的には非喫煙者に近づいていくとされています。

日本では禁煙外来や禁煙補助薬(ニコチンパッチ・内服薬など)を用いた支援が保険適用となる場合があり、一人で我慢するよりも成功率が高いことが報告されています3。これまで何度も失敗してきた方でも、年齢に関係なく「今からやめる」ことに大きな意味があります。

Q7: 動脈硬化は一度進んだら元に戻らないのでしょうか?

A7: 一度厚くなってしまった血管の壁や、大きなプラークを完全に元の状態に戻すことは難しいとされていますが、生活習慣の改善と適切な薬物療法により、プラークの成分や安定性を変化させ、破れにくい「安定プラーク」にすることで、心筋梗塞や脳梗塞のリスクを下げられる可能性があると報告されています34。

また、LDLコレステロールを十分に下げる治療を続けることで、プラークの一部が縮小したとする研究結果もあります3。大切なのは、「これ以上悪くしない」「危険な合併症を起こさない」ことを目標に、長期的な視点で対策を続けることです。

Q8: 妊娠中・授乳中でも動脈硬化の検査や治療は受けられますか?

A8: 妊娠中はホルモンバランスや血液量が大きく変化するため、血圧や血糖、脂質の値が一時的に変動することがあります3。妊娠高血圧症候群や妊娠糖尿病などがある場合は、産婦人科医と内科医が連携しながら、母体と胎児の安全を最優先に治療方針を決めます。

妊娠中・授乳中に使用できる薬には制限があるため、自己判断で薬を中止したり再開したりせず、必ず主治医に相談してください。妊娠を希望している段階で、あらかじめかかりつけ医や産婦人科で、現在の薬や動脈硬化リスクについて相談しておくことも大切です。

Q9: 家族に若いときの心筋梗塞や突然死の人がいます。自分は何歳から検査を受けるべきですか?

A9: 一親等(父母・兄弟姉妹)の中に、若い年齢(男性なら55歳未満、女性なら65歳未満など)で心筋梗塞や脳梗塞、突然死を起こした方がいる場合、家族性高コレステロール血症やその他の遺伝的要因が関係している可能性があります3。

具体的な年齢の目安は個々の状況によりますが、20〜30代でも一度は血液検査(脂質・血糖)、血圧測定、場合によっては頸動脈エコーなどを受けておくと安心です34。心配な場合は、家族の病歴をメモにまとめ、内科や循環器内科で相談してみてください。

Q10: 健康診断で「要精密検査」と言われましたが、忙しくて行けていません。どのくらい急いだほうがいいですか?

A10: 「要精密検査」は、「すぐに命に関わる」という意味ではない場合もありますが、「放置すると将来的なリスクが高くなる可能性があり、専門的な検査が必要」というサインです23。動脈硬化リスクに関する項目(血圧・脂質・血糖・心電図など)で要精密検査が出た場合は、できれば数週間〜数ヶ月以内には受診することが望ましいと考えられます。

仕事や家庭の都合で日中の受診が難しい場合は、土曜診療や夜間診療を行っている医療機関を探したり、かかりつけ医に相談してスケジュールを調整することも一案です。先延ばしにするほど、受診のハードルが心理的にも高くなってしまうため、「この日に行く」と具体的な日付を決めることが大切です。

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結論:この記事から持ち帰ってほしいこと

動脈硬化は、加齢とともに誰にでも少しずつ進む変化ですが、高血圧・脂質異常症・糖尿病・喫煙・肥満などの危険因子が重なるほど、心筋梗塞や脳梗塞などの重大な病気を起こしやすくなります134。一方で、生活習慣の改善と適切な医療によって、進行を遅らせたり、危険な合併症を予防したりすることが可能であることも、多くの研究やガイドラインが示しています346。

この記事を読んで、「自分は危険因子がいくつか重なっているかもしれない」と感じた方もいるかもしれません。しかし、それは「もう手遅れ」という意味ではなく、「今ここから対策を始めるチャンスが見えた」ということでもあります。食事・運動・禁煙など、今日からできる小さな一歩を積み重ねることで、未来の自分や家族の健康を守る力になります。

気になる症状がある場合や、健康診断の結果に不安がある場合は、一人で抱え込まず、かかりつけ医や専門医に相談してください。Japanese Health(JHO)編集部は、今後も公的機関や専門学会の情報に基づき、日本で生活する皆さんのために分かりやすい情報提供を続けていきます。

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情報源としては、厚生労働省e-ヘルスネット、日本動脈硬化学会や日本循環器学会など国内の専門学会ガイドライン、世界保健機関(WHO)やWorld Heart Federationの心血管疾患に関する報告書などを参照しています13456。これらの情報を、日本で生活する方々にとって実際に役立つ形に整理・再構成しています。

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参考文献

  1. 厚生労働省 e-ヘルスネット. 動脈硬化. 最終更新日:2024年7月18日. https://kennet.mhlw.go.jp/information/information/dictionary/metabolic/ym-082.html(最終アクセス日:2025-11-30)

  2. 厚生労働省 e-ヘルスネット. 動脈硬化(キーワード解説). https://kennet.mhlw.go.jp/information/information/keywords/arteriosclerosis.html(最終アクセス日:2025-11-30)

  3. 日本動脈硬化学会. 動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版. 2022年. https://www.j-athero.org/jp/jas_gl2022/(最終アクセス日:2025-11-30)

  4. 日本循環器学会ほか. 冠動脈疾患の一次予防に関する診療ガイドライン. 2023年. https://www.j-circ.or.jp/cms/wp-content/uploads/2023/03/JCS2023_fujiyoshi.pdf(最終アクセス日:2025-11-30)

  5. World Health Organization. Cardiovascular diseases (CVDs). https://www.who.int/health-topics/cardiovascular-diseases(最終アクセス日:2025-11-30)

  6. World Heart Federation. World Heart Report 2023: Confronting the World’s Number One Killer. 2023年. https://world-heart-federation.org/wp-content/uploads/World-Heart-Report-2023.pdf(最終アクセス日:2025-11-30)

  7. 厚生労働省 e-ヘルスネット. 狭心症・心筋梗塞などの心臓病(虚血性心疾患). https://kennet.mhlw.go.jp/information/information/metabolic/m-05-005.html(最終アクセス日:2025-11-30)

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Trinh Van Dieu

Trinh Van Dieu

ITエンジニア(17年)・Japanese Health 運営者

ベトナム在住のITエンジニア。17年の技術経験を活かし、日本の公的医療機関の情報をAI技術で整理・発信しています。

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