【がん治療後の体力回復】たんぱく質のとり方と食事・運動のポイント
この記事でわかること
目次
- Japanese Health(JHO)編集部とこの記事の根拠について
- 要点まとめ
- 第1部:がん治療後の体力低下の基本と日常生活の見直し
- 1.1. 体力が落ちる仕組みとたんぱく質の役割
- 1.2. 悪化させてしまうNG習慣と、やめるところから始める
- 第2部:身体の内部要因 — 栄養不足・ホルモン・隠れた不調
- 2.1. がん治療とたんぱく質・エネルギー不足(PEM)
- 2.2. 【特に女性・高齢者】ライフステージとホルモン・サルコペニア
- 2.3. 鉄・ビタミン・ミネラル不足など「隠れた欠乏状態」
- 2.4. 腎臓・肝臓などの臓器機能とたんぱく質制限の可能性
- 第3部:専門的な診断・治療が必要な状態
- 3.1. がん悪液質(がんカヘキシア)と重度の栄養障害
- 3.2. 貧血・心肺機能低下・内分泌の異常
- 3.3. 消化管の手術・ストーマ・嚥下障害がある場合
- 第4部:今日から始めるたんぱく質&体力回復アクションプラン
- 4.1. 具体的なたんぱく質源の選び方と食べ方の工夫
- 4.2. 運動とたんぱく質を組み合わせて「動ける体」を取り戻す
- 第5部:医療者への相談 — いつ・どこで・どのように?
- 5.1. 受診を検討すべき危険なサイン
- 5.2. 相談先の選び方と伝えたいポイント
- 5.3. 診察時に持参すると役立つものと費用の目安
- よくある質問
- 結論:この記事から持ち帰ってほしいこと
- この記事の編集体制と情報の取り扱いについて
- 参考文献
手術、抗がん剤、放射線治療などのがん治療をやっと乗り越えたのに、「体力が戻らない」「少し動いただけで息切れする」「食欲がわかない」と悩んでいませんか。治療が一段落したあとも、筋肉量の低下や体重減少、だるさが続き、元の生活に戻れないと感じる方は少なくありません。
この症状、いつ受診すべきか確認しますか?
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そのなかでも特に大切なのが「栄養」とくに「たんぱく質」を中心とした食事と、無理のない範囲での運動です。たんぱく質は筋肉や臓器、血液、免疫細胞の材料になる栄養素で、がん治療後の体力回復や感染症への抵抗力アップに欠かせません。
一方で、がんの種類や治療の影響によっては、腎臓や肝臓の状態によってたんぱく質のとり方に制限が必要な場合もあります。また、日本の医療現場では、がん専門の栄養サポートチームや管理栄養士が関わることも増えており、「自分に合った量や食べ方」を相談しながら調整していくことが勧められています123。
この記事では、公的機関や医学会の情報をもとに、がん治療後の体力回復をめざす方に向けて、たんぱく質を中心とした栄養の基本、具体的な食べ方の工夫、サプリメント利用の注意点、運動との組み合わせ方、受診の目安などをわかりやすく解説します。読み終わるころには、「今日から何を意識して食べればよいか」「いつどこで誰に相談すればよいか」がはっきりイメージできるはずです。
Japanese Health(JHO)編集部とこの記事の根拠について
Japanese Health(JHO)は、健康と美容に関する情報を提供するオンラインプラットフォームです。膨大な医学文献や公的ガイドラインを整理し、日常生活で活用しやすい形でお届けすることを目指しています。
本記事の内容は、国立がん研究センター(がん情報サービス・東病院)、日本栄養治療学会(JSPEN)が発行したがん患者さん向け栄養ガイドライン、日本人の食事摂取基準2025年版、世界保健機関(WHO)や米国国立がん研究所(NCI)、American Cancer Society(ACS)、ESPEN などの一次情報源に基づいて、JHO編集部がAIツールのサポートを受けつつ、最終的には人の目で一つひとつ確認しながら作成しています12346789。
- 厚生労働省・国立がん研究センターなどの公的情報:がんと食事、がん治療中・治療後の生活、栄養と体力維持に関する解説や統計資料を優先的に参照しています12。
- 国内外の栄養ガイドライン・査読付き論文:日本栄養治療学会のがん患者さん向け栄養治療ガイドライン、ESPEN のがん臨床栄養ガイドライン、NCI・ACS のサバイバー向け栄養・身体活動ガイドラインなどをもとに要点を整理しています356789。
- 医療機関・患者支援団体の一次資料:がんの副作用と栄養、治療中の食事の工夫など、実際の患者さんの声や医療者のアドバイスを紹介している日本語サイトも補助的に利用しています5。
AIツールは、文献の要約や構成案作成のアシスタントとして活用していますが、公開前には必ずJHO編集部が原著資料と照合し、重要な記述を一つひとつ確認しながら、事実関係・数値・URLの妥当性を検証しています。
私たちの運営ポリシーや編集プロセスの詳細は、運営者情報(JapaneseHealth.org)をご覧ください。
要点まとめ
- がん治療後の体力回復には、十分なエネルギーとともに、筋肉や免疫細胞の材料となるたんぱく質を意識してとることが重要です。一般的に、体重1kgあたり約1.0〜1.5gのたんぱく質が推奨されることが多いですが、腎臓病などの持病がある場合は医師の指示に従いましょう348。
- 食欲不振や吐き気があるときは、1日3回の「普通の食事」にこだわらず、少量を5〜6回に分けて食べる、飲むヨーグルトやプリン、プロテイン飲料など「飲めるたんぱく源」を活用するなど、食べやすさを優先することがポイントです125。
- たんぱく質は、肉・魚・卵・乳製品・大豆製品など複数の食品からバランスよくとるのが基本です。体調に合わせて、やわらかく煮る・刻む・ミンチにするなど、消化しやすい形に工夫することで摂取量を増やしやすくなります12。
- がん治療後は、栄養だけでなく、軽い筋力トレーニングや有酸素運動を少しずつ組み合わせることで、筋肉量や持久力の回復を助けられるとされます。ただし、手術部位や治療内容によって運動制限が異なるため、主治医やリハビリスタッフに相談しながら進めましょう69。
- サプリメントや高用量ビタミン・ハーブ製品は、治療の影響や薬との相互作用が問題になる場合があります。「体に良さそうだから」と自己判断で始めるのではなく、必ず主治医や管理栄養士に相談することが大切です78。
- 急激な体重減少、まったく食べられない状態が続く、強いだるさや息切れが治療終了後も長く続くときは、早めに医療機関に相談し、必要に応じて栄養サポートチームやがん相談支援センターにつないでもらいましょう125。
「何をどれくらい食べればいいのかわからない」「食欲がなくて、そもそも食べられない」「プロテインを飲んでも大丈夫?」——がん治療後の食事について、このような不安や疑問を抱える方はとても多くいます。
本記事では、まず「なぜがん治療後に体力が落ちやすいのか」「たんぱく質がなぜ重要なのか」といった基本から整理し、そのうえで、日常生活や食べ方、運動の見直し方、医療者への相談の仕方まで、段階的に理解できるように構成しています。
必要に応じて、JapaneseHealth.org トップページなど、JHO内の関連記事に自然な文脈で橋渡しを行いながら、栄養だけに偏らず、睡眠・ストレス・社会的サポートなども含めた「トータルな体力回復」をめざせるようサポートします。
この記事を読み進めることで、「自分の状態をどのように理解し、どこから手を付ければよいか」「いつどのタイミングで医療者や家族・職場に相談すべきか」が具体的にイメージできるようになることを目指します。
今の血圧・脈拍を確かめる
数値を入れると、日本高血圧学会の血圧値の分類と「次にすること」を表示します。記録はこの端末の中だけに保存され、登録は不要です。
身長と体重からBMIも調べる
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これは診断ではありません。入力された数値を日本高血圧学会の血圧値の分類(高血圧の基準は診察室 140/90mmHg以上・家庭 135/85mmHg以上)に当てはめて「受診の目安」を機械的に示すもので、医師の診察に代わるものではありません。日本高血圧学会「高血圧管理・治療ガイドライン2025」では、降圧目標は年齢によらず診察室 130/80mmHg未満・家庭 125/75mmHg未満とされています。脈拍の目安は学会の分類ではなく一般的な参考範囲です。
第1部:がん治療後の体力低下の基本と日常生活の見直し
がん治療後の体力低下は、治療そのものの影響に加え、入院中の安静や食欲不振などが重なって起こります。まずは、「自分の体力がどのくらい落ちているのか」「どのような場面で疲れやすいか」を振り返りつつ、日常生活の土台となる食事・睡眠・活動量のバランスから整えていくことが大切です。
1.1. 体力が落ちる仕組みとたんぱく質の役割
がん治療中・治療後は、体内で炎症反応が続いたり、ホルモンバランスが乱れたりすることで、筋肉が分解されやすい状態になります。十分に食べられない日が続くと、体はエネルギーを確保するために、筋肉のたんぱく質を分解してエネルギー源として使ってしまいます。その結果、筋肉量が減り、少し動いただけで疲れやすくなったり、階段を上るのがつらくなったりします358。
たんぱく質は、筋肉だけでなく、免疫細胞や赤血球、ホルモン、酵素など、体のあらゆる組織の材料です。国立がん研究センターや日本栄養治療学会の資料では、がん患者さんにおける栄養状態の悪化が、治療中の副作用の増加や感染症のリスク、治療効果の低下、予後の悪化と関連することが指摘されており、十分なエネルギーとともに、たんぱく質を意識して摂取することの重要性が示されています1238。
一方で、腎機能や肝機能が低下している方では、たんぱく質のとりすぎが負担になることもあるため、日本人の食事摂取基準やがん栄養ガイドラインでは、「推奨量の目安」を示しつつ、個々の病状に応じた調整が必要であるとされています348。
1.2. 悪化させてしまうNG習慣と、やめるところから始める
がん治療後の体力回復を妨げる生活習慣には、次のようなものがあります。
- 「食欲がないから何も食べない」日が続く:何も食べない時間が長くなるほど、筋肉の分解が進みます。少量でもいいので、ヨーグルトや牛乳、プリン、やわらかい卵料理など、たんぱく質を含むものを口にする習慣をつけることが大切です125。
- 甘い飲み物やお菓子だけで済ませてしまう:ジュースや菓子パン、スイーツだけでは、エネルギーはとれてもたんぱく質が不足しがちです。どうしても甘いものが欲しいときは、ヨーグルトや牛乳プリン、きなこをかけたアイスなど、「たんぱく質+甘さ」を意識すると良いでしょう。
- 極端なダイエットや糖質制限を始めてしまう:治療後に体重増加を心配して、自己流のダイエットを始めると、筋肉量がさらに減ってしまう危険があります。体力が戻り、主治医から運動制限が解除されるまでは、「減量」よりも「体力と筋肉を取り戻す」ことを優先しましょう69。
- 一日中横になってほとんど動かない:休養は大切ですが、必要以上に安静にし続けると、筋力低下がさらに進みます。体調が許す範囲で、短時間でも立ち上がる、家の中を数分歩くなどの「小さな活動」を取り入れていくことが、筋肉の維持につながります69。
| チェック項目 | 考えられる背景・注意したい点 |
|---|---|
| ここ1か月で体重が5%以上減った、またはベルトの穴が1〜2つ分ゆるくなった | エネルギー・たんぱく質不足による筋肉量減少や栄養不良の可能性。早めに主治医や管理栄養士に相談を |
| 食欲がなく、一日のほとんどを「飲み物だけ」で過ごしている | 必要なたんぱく質がとれていない可能性。飲むヨーグルト、牛乳、プロテイン飲料など「飲めるたんぱく源」を検討 |
| 少し歩いただけで息切れし、階段や坂道を避けるようになった | 筋力低下や貧血、心肺機能の低下など、複数の要因が関わることも。無理をせず、医療者に相談しながら活動量を調整 |
| 夜遅くまでスマホやテレビを見ていて睡眠時間が短い | 睡眠不足はホルモンバランスや食欲、回復力に影響。就寝前の光刺激を減らし、休息の質を高める工夫が必要 |
第2部:身体の内部要因 — 栄養不足・ホルモン・隠れた不調
生活習慣を見直しても体力がなかなか戻らない場合、その背景には、栄養不足やホルモンバランスの変化、慢性的な炎症や合併症など、身体の内側の問題が隠れていることがあります。ここでは、がん治療後にとくに意識したい内部要因を整理します。
2.1. がん治療とたんぱく質・エネルギー不足(PEM)
がんとその治療は、食欲不振、味覚の変化、吐き気、飲み込みにくさ、下痢・便秘など、さまざまな「栄養インパクト症状」を引き起こします。その結果、エネルギーとたんぱく質の摂取が不足し、身体が自分の筋肉を分解してエネルギー源として使ってしまう状態(たんぱく質・エネルギー栄養不良:PEM)に陥ることがあります3578。
ESPEN のがん臨床栄養ガイドラインでは、がん患者では早期から栄養評価を行い、栄養指導やエネルギー・たんぱく質が豊富な食事、必要に応じて経口栄養補助食品(ONS)を用いることが推奨されています8。日本でも、栄養サポートチーム(NST)が介入し、ベッドサイドで食事内容や補助食品を調整する取り組みが広がっています11。
2.2. 【特に女性・高齢者】ライフステージとホルモン・サルコペニア
閉経前後の女性や高齢の方では、エストロゲンなどのホルモンバランスの変化により、筋肉量が減りやすくなります。がん治療によって卵巣機能が低下した場合や、ホルモン療法を受けている場合にも、筋肉量や骨量の低下に注意が必要です69。
高齢のがんサバイバーでは、とくに「サルコペニア(加齢に伴う筋肉量と筋力の低下)」が問題になります。サルコペニアがあると、転倒・骨折のリスクが高まり、入院や介護が必要になる可能性が上がるとされています。そのため、適切なたんぱく質摂取とともに、医師や理学療法士の指導のもとでの筋力トレーニングが大切です369。
2.3. 鉄・ビタミン・ミネラル不足など「隠れた欠乏状態」
一般的な健康診断では見逃されやすい栄養素の欠乏も、だるさや体力低下の一因になります。たとえば、鉄欠乏性貧血やビタミンB群の不足、ビタミンD不足などは、「なんとなく疲れやすい」「立ちくらみがする」「筋力がなかなか戻らない」といった症状の背景に潜んでいることがあります37。
がん治療後は、治療前後の血液検査に加え、必要に応じて追加の検査が行われることもあります。疲れやだるさが続くときは、「年齢のせい」「がん治療の後遺症だから仕方ない」と決めつけず、主治医に症状を具体的に伝え、必要に応じて検査や栄養相談を受けることが大切です。
2.4. 腎臓・肝臓などの臓器機能とたんぱく質制限の可能性
一部のがんや治療では、腎臓や肝臓に負担がかかることがあります。もともと慢性腎臓病や肝疾患がある場合や、薬剤性の腎機能低下が疑われる場合には、「たんぱく質をしっかりとる」と「腎臓・肝臓への負担を減らす」という2つのバランスを慎重に考える必要があります348。
日本人の食事摂取基準2025年版では、健康な成人に対して、体重1kgあたり約0.9g程度のたんぱく質を目安としていますが4、がん治療後の体力回復期や栄養不良が疑われる場合には、主治医や管理栄養士が個別に目標量を設定します。腎臓病がある場合には、むしろたんぱく質を制限する必要が出てくることもあるため、「一般向けの運動・筋トレ情報」をそのまま真似しないことが大切です。
第3部:専門的な診断・治療が必要な状態
がん治療後の体力低下のなかには、栄養や運動だけでは改善が難しく、専門的な診断や治療が必要な状態が隠れていることもあります。ここでは、一例として注意したい状態を紹介します。
3.1. がん悪液質(がんカヘキシア)と重度の栄養障害
がん悪液質(カヘキシア)は、十分に食べていても体重や筋肉量が減少してしまう状態で、炎症やホルモンの変化が複雑に関わっています。体重減少が続き、強いだるさや食欲不振、筋力低下がみられる場合は、自己判断で市販サプリや極端な食事療法に走るのではなく、がん専門医と栄養チームによる評価が不可欠です378。
3.2. 貧血・心肺機能低下・内分泌の異常
治療後の強い息切れや動悸、胸の痛みなどがある場合は、貧血だけでなく、心臓や肺の機能低下、内分泌の異常(甲状腺機能の変化など)が関わっていることもあります。とくに、胸部への放射線照射や特定の抗がん剤を用いた場合には、心臓や肺に長期的な影響が残ることがあり、専門的なフォローアップが必要です67。
3.3. 消化管の手術・ストーマ・嚥下障害がある場合
胃や腸の手術を受けた方、ストーマ(人工肛門)がある方、飲み込みにくさ(嚥下障害)がある方では、食べられる食品や一度にとれる量に大きな制限があることがあります。このような場合、栄養補助食品の選び方や、食事形態の調整(やわらかさ・とろみ・刻み方など)を、言語聴覚士や管理栄養士と相談しながら進めることが大切です125。
「人と違う食事が恥ずかしい」「家族と同じものを食べたい」という気持ちはとても自然なものです。そのうえで、今の体の状態に合った形で「一緒に食卓を囲む」工夫を探していくことが、心理的な支えにもなります。
第4部:今日から始めるたんぱく質&体力回復アクションプラン
ここからは、がん治療後の体力回復に向けて、今日から始められる具体的なアクションプランを、「今夜から」「今週から」「数か月かけて」の3つのレベルに分けて整理します。体調や主治医の指示に合わせて、できるところから少しずつ取り入れてみてください。
| ステップ | アクション | 具体例 |
|---|---|---|
| Level 1:今夜からできること | 一食に必ず「たんぱく質のおかず」を1品加える | ご飯と漬物だけで済ませていた夕食に、やわらかく煮た魚、温泉卵、冷奴、チーズ入りオムレツなどを1品追加する |
| Level 1:今夜からできること | 「飲めるたんぱく源」を常備する | 牛乳、豆乳、飲むヨーグルト、プロテイン飲料を冷蔵庫に常備し、食欲がないときはコップ1杯だけでも飲む習慣を作る |
| Level 2:今週から試したいこと | 1日5〜6回の「こまめな食事」に切り替える | 朝・昼・夕の3食に加え、午前と午後のおやつ(ヨーグルト+ナッツ、チーズトースト、ゆで卵など)を取り入れる |
| Level 2:今週から試したいこと | 1日の歩数や活動量を記録する | スマホや歩数計で1日の歩数を測り、無理のない範囲で「昨日より500歩多く」を目安に増やしていく |
| Level 3:数か月かけて取り組むこと | 管理栄養士・リハビリスタッフへの相談を習慣化する | 定期受診の際に、体重・筋肉量・食事内容・運動量を一緒に振り返り、必要に応じて栄養サポートチームに紹介してもらう |
| Level 3:数か月かけて取り組むこと | 筋力トレーニングとバランスのよい食事をセットで続ける | 椅子からの立ち座り運動、ペットボトルを使った簡単な筋トレなどを週2〜3日行い、その前後にたんぱく質を含む軽食をとる |
4.1. 具体的なたんぱく質源の選び方と食べ方の工夫
がん治療後は、消化しやすく、においや味の刺激が少ない食べ方を工夫することがポイントです。代表的なたんぱく質源と工夫の例を挙げます1259。
- 乳製品(牛乳・ヨーグルト・チーズ):少量でもたんぱく質とカルシウムがとれる優秀な食品です。飲むヨーグルトやミルクプリン、チーズ入りマッシュポテトなど、口当たりのよい形にすると食べやすくなります。
- 卵:ゆで卵、茶碗蒸し、スクランブルエッグ、オムレツなど、さまざまな形にアレンジできます。嚥下が心配な場合は、よく加熱した卵をとろっとした状態に調理し、汁物やソースと一緒にとると飲み込みやすくなります。
- 肉・魚:脂身の少ない鶏肉や白身魚は、やわらかく煮込む、ミンチにしてハンバーグやつみれにするなどすると消化しやすくなります。魚の缶詰(ツナ缶・サバ缶など)は、骨まで食べられ、手軽なたんぱく源になります。
- 大豆製品(豆腐・納豆・豆乳):豆腐はのどごしがよく、胃腸への負担も比較的少ない食品です。納豆や豆乳も、味の好みや体調に合わせて取り入れてみましょう。
- ナッツ・種実類:アーモンドやくるみ、ピーナッツなどは、たんぱく質と良質な脂質を同時にとれます。ただし、噛みにくい場合や口内炎がある場合は無理をせず、ペースト状のピーナッツバターなどに置き換えるとよいでしょう。
- 経口栄養補助食品・プロテインパウダー:医療用の栄養補助飲料や、市販のプロテインパウダーは、食事だけで足りないたんぱく質やエネルギーを補うのに役立ちます。ただし、腎機能障害や特定の治療薬を使用中の方は、使用前に必ず主治医や管理栄養士に相談してください358。
4.2. 運動とたんぱく質を組み合わせて「動ける体」を取り戻す
American Cancer Society や Johns Hopkins などのがんサバイバー向けガイドラインでは、体力回復期には、主治医の許可のもとで、軽い有酸素運動と筋力トレーニングを組み合わせることが推奨されています69。運動によって筋肉に適度な負荷をかけ、その前後にたんぱく質を含む食事や軽食をとることで、筋肉の合成が促されます。
具体的には、次のような流れを目指します(体調や手術部位に応じて調整が必要です)。
- 最初の1〜2週間:家の中を1日数回、各5〜10分歩く。椅子からの立ち座り運動をゆっくり10回×1〜2セット行う。
- 慣れてきたら:外出時にエレベーターではなく階段を一部だけ使う、平坦な道を少し早歩きする。椅子に座ったままの足上げ運動や、ペットボトルを使った軽い腕の運動を取り入れる。
- さらに先の段階:主治医からの制限がなければ、週2〜3回、20〜30分程度のウォーキングと簡単な筋トレを続ける。
運動中や運動後に息切れや胸の痛み、めまい、強い倦怠感が出る場合は、すぐに中止し、必要に応じて医療機関に相談してください。また、がんの種類や治療内容によっては、特定の動きを避ける必要があるため、リハビリスタッフや主治医の指示を必ず確認しましょう。
第5部:医療者への相談 — いつ・どこで・どのように?
がん治療後の体力回復や栄養の悩みは、一人で抱え込む必要はありません。日本では、がん診療連携拠点病院などを中心に、がん相談支援センターや管理栄養士、リハビリスタッフなど、複数の職種が連携しながらサポートする体制が整いつつあります123。
5.1. 受診を検討すべき危険なサイン
- ここ1〜3か月で、意図せず体重が5〜10%以上減少している。
- 数日以上、ほとんど何も食べられず、水分もとれていない、または吐いてしまう。
- 安静時にも強い息切れや胸の痛み、めまいがある。
- 発熱が続く、ひどい下痢や嘔吐が続く、血便や黒色便が出る。
- 体力低下とともに、気分の落ち込み、不安、不眠が続き、日常生活に支障が出ている。
これらの症状がある場合は、がん治療を受けた医療機関や、かかりつけ医に早めに相談してください。夜間や休日に急激な悪化がみられる場合は、ためらわずに救急外来や119番への連絡を検討しましょう。
5.2. 相談先の選び方と伝えたいポイント
- 主治医(がん専門医):治療内容とその後の経過を一番よく把握している医師です。体力低下や食欲不振、体重減少について相談するときは、「いつから」「どのくらい」「日常生活にどんな影響があるか」を具体的に伝えましょう。
- 管理栄養士・栄養サポートチーム(NST):病院内で栄養指導を行っている専門職です。「何をどれくらい食べればよいか」「プロテインやサプリメントをどう活用すべきか」など、個別にアドバイスを受けることができます358。
- がん相談支援センター:治療を受けた病院や地域の拠点病院などに設置されている相談窓口で、栄養や仕事、経済的な不安なども含めて相談できます。
- かかりつけ医・訪問看護師:通院の負担が大きい方や在宅療養中の方にとって、日常的なフォローをしてくれる心強い存在です。
5.3. 診察時に持参すると役立つものと費用の目安
- 体重の記録:自宅の体重計で測った値を、週に1〜2回程度メモしておくと、体重変化の傾向がわかりやすくなります。
- 食事・症状のメモ:「一日何回・どのくらい食べられたか」「食べると吐き気が出る食品」「口内炎や味覚障害の有無」などを簡単に記録しておくと、栄養相談がスムーズになります。
- お薬手帳:サプリメントや市販薬を含め、現在使用しているものをすべて記録しておきましょう。特定のサプリメントが治療薬と相互作用を起こすこともあるためです78。
- 費用:栄養指導やリハビリは、健康保険が適用される場合が多く、自己負担は原則3割です。ただし、内容や施設によって異なるため、事前に医療機関や相談窓口で確認しておくと安心です。
よくある質問
Q1: がん治療後、たんぱく質は1日にどれくらいとればよいですか?
A1: 一般的には、体重1kgあたり約1.0〜1.5gのたんぱく質摂取が、がん患者さんの体力維持・回復に推奨されることが多いとされています38。例えば体重50kgなら、1日50〜75gが目安です。ただし、腎臓病や肝臓病がある方、特定の治療薬を使用中の方では、たんぱく質制限が必要になることもあります。必ず主治医や管理栄養士に、自分に合った量を確認してください。
Q2: 食欲がなく、普通の食事がほとんどとれません。どうしたらいいですか?
A2: 無理に「3食しっかり食べる」ことにこだわる必要はありません。1日5〜6回に分けて、少量ずつ食べる「こまめ食」を試してみましょう。飲むヨーグルト、プリン、ミルクスープ、茶碗蒸しなど、飲み込みやすくエネルギー・たんぱく質のとれるものを中心に選ぶのがおすすめです125。数日以上ほとんど食べられない場合や、水分もとれない場合は、早めに医療機関に相談してください。
Q3: プロテインパウダーやサプリメントは飲んでも大丈夫ですか?
A3: 市販のプロテインパウダーやサプリメントは便利ですが、がん治療後の体には予想以上の負担になることもあります。腎機能の低下がある場合や、特定の薬(ホルモン療法、分子標的薬、免疫チェックポイント阻害薬など)を使用しているときは、たんぱく質やハーブ類の高用量摂取が問題になる可能性があります78。自己判断で始めるのではなく、「この商品を使ってもよいか」を主治医や管理栄養士に必ず確認してください。
Q4: 肉や魚が苦手です。植物性たんぱく質だけでも大丈夫ですか?
A4: 肉や魚が苦手でも、豆腐・納豆・豆乳などの大豆製品や乳製品、卵、ナッツなどを組み合わせることで、必要なたんぱく質をとることは可能です129。ただし、がんの種類や手術の内容によっては、脂質や食物繊維の量にも注意が必要な場合があります。食の好みや体調に合わせて、管理栄養士と一緒にメニューを考えてもらうと安心です。
Q5: がん治療後に体重が増えてしまいました。たんぱく質は減らしたほうがよいですか?
A5: 体重が増えても、筋肉量が十分かどうかは別問題です。脂肪だけが増えて筋肉が少ない場合、「隠れやせ・サルコペニア肥満」と呼ばれる状態になることもあります36。むやみにたんぱく質を減らすのではなく、甘い飲み物やお菓子、揚げ物などのエネルギー過多を見直しつつ、適度な運動とバランスの良いたんぱく質摂取を続けることが大切です。体重増加が急激な場合や、むくみが気になる場合は、医療機関での評価を受けましょう。
Q6: 運動をしたいのですが、どのくらいから始めれば安全ですか?
A6: がんの種類や治療内容、手術部位によって運動制限は大きく異なります。まずは主治医に「どの程度の運動なら問題ないか」「避けるべき動きは何か」を確認しましょう。そのうえで、最初は1日数分の散歩や、椅子からの立ち座り運動など、ごく軽い活動から始めるのが一般的です69。息切れや胸の痛み、めまいなどの症状が出た場合は、すぐに中止し、医療者に相談してください。
Q7: がん治療後、いつまで栄養や運動に気をつける必要がありますか?
A7: 栄養や運動への配慮は、「治療が終わったから終わり」ではなく、長期的なサバイバーシップ(治療後の生活)の一部として続けていくことが勧められています679。とくに、再発や他の生活習慣病(心血管疾患、糖尿病など)の予防の観点からも、バランスのよい食事と適度な運動は重要です。完璧を目指す必要はありませんが、「自分なりに続けられる習慣」を少しずつ積み重ねていくことが大切です。
結論:この記事から持ち帰ってほしいこと
がん治療後の体力低下は、単に「年齢のせい」でも「気の持ちよう」でもありません。治療による身体への負担、炎症やホルモンバランスの変化、入院中の安静や食欲不振など、さまざまな要因が重なって起こるものです。そして、その回復には時間がかかります。
体力を取り戻すうえで中心となるのが、「十分なエネルギー」と「適切なたんぱく質」の摂取です。肉・魚・卵・乳製品・大豆製品など、複数の食品から少しずつでもたんぱく質をとりつつ、無理のない範囲での運動や休養を組み合わせていくことが、筋肉量や免疫力の回復につながります。
一方で、腎臓や肝臓の状態、がんの種類や治療内容によっては、たんぱく質の量や食品の選び方に制限が必要になることもあります。「インターネットで見た情報」や「友人の体験談」をそのまま真似するのではなく、必ず主治医や管理栄養士に自分の状況を相談しながら進めていきましょう。
あなたは、ひとりでがん治療後の不安や体力低下と向き合っているわけではありません。医師や看護師、栄養士、リハビリスタッフ、がん相談支援センターなど、頼れる専門職が必ずいます。今日できる小さな一歩からで構いません。「たんぱく質を含む一口をプラスする」「数分だけ家の中を歩く」——そんな一歩が、数か月後のあなたの体力と生活の質を支えていきます。
この記事の編集体制と情報の取り扱いについて
Japanese Health(JHO)は、信頼できる公的情報源と査読付き研究に基づいて、健康・医療・美容に関する情報をわかりやすくお届けすることを目指しています。本記事では、国立がん研究センターや日本栄養治療学会、厚生労働省、日本人の食事摂取基準2025年版、海外のがんサバイバー向け栄養ガイドラインなどの情報をもとに、がん治療後の体力回復とたんぱく質摂取について整理しました12346789。
本記事の原稿は、最新のAI技術を活用して下調べと構成案を作成したうえで、JHO(JapaneseHealth.org)編集委員会が一次資料(ガイドライン・論文・公的サイトなど)と照合しながら、内容・表現・数値・URLの妥当性を人の目で一つひとつ確認しています。最終的な掲載判断はすべてJHO編集部が行っています。
ただし、本サイトの情報はあくまで一般的な情報提供を目的としており、個々の症状に対する診断や治療の決定を直接行うものではありません。気になる症状がある場合や、治療の変更を検討される際は、必ず医師などの医療専門家にご相談ください。
記事内容に誤りや古い情報が含まれている可能性にお気づきの場合は、お手数ですが運営者情報ページ記載の連絡先までお知らせください。事実関係を確認のうえ、必要な訂正・更新を行います。
参考文献
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国立がん研究センター東病院 栄養管理室. がんと食事. https://www.ncc.go.jp/jp/ncce/CHEER/meal/index.html(最終アクセス日:2025-11-26)
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厚生労働省. 日本人の食事摂取基準(2025年版)の策定ポイント. https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/001396865.pdf(最終アクセス日:2025-11-26)
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