肝臓がんのラジオ波焼灼療法(RFA)完全ガイド
この記事でわかること
目次
- 結論から言うと
- 要点まとめ
- ラジオ波焼灼療法(RFA)とは?肝臓がんを"焼灼"で消す仕組み
- マイクロ波焼灼療法(MWA)との違い — もう一つの局所治療
- 治療を担当する診療科 — IVR(画像下治療)の専門性
- RFAを受けられる基準 — 日本肝臓学会の資料が示す目安
- 治療の流れと入院期間
- 受診の目安
- 対象にならない場合 — RFAが選ばれないケース
- 治療後のフォローアップ — なぜ経過観察が続くのか
- 手術(肝切除)との違い — SURF試験が示すもの
- TACE・薬物療法との違い — 単純比較できない理由
- 治療効果 — 生存率と局所再発率のデータ
- 合併症とリスク
- 標準的な適応と単発症例での拡大適応の違い
- 費用について
- よくある質問
- 参考文献
結論から言うと
肝臓がんのラジオ波焼灼療法(RFA)は、日本肝臓学会の資料で腫瘍の最大径が3cm以内・個数が3個以内であることがよい適応の目安とされている、局所治療の第一選択の一つです。[1]
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手術のようにお腹を大きく開けず、皮膚の上から細い針を刺して腫瘍を焼き切るため、体への負担が比較的小さいのが特徴です。腫瘍の大きさ・個数・肝臓の働きの程度によって受けられるかどうかが変わり、入院期間はおよそ1週間が目安とされています。強い腹痛・止まらない出血・高熱が続く場合は、様子を見ずすぐに治療を受けた医療機関へ連絡してください。
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要点まとめ
編集方針: JHO編集部がAIツールの支援を受け、公的機関・学会・査読論文と照合して作成。最終確認は人の目。医師による個別診断の代わりにはなりません。数値・分類はガイドライン改定により変わることがあります(2026年7月18日時点)。
ラジオ波焼灼療法(RFA)とは?肝臓がんを”焼灼”で消す仕組み
ラジオ波焼灼療法(radiofrequency ablation:RFA)は、肝臓の中にできた腫瘍そのものを切除するのではなく、腫瘍の内部に針を刺して熱で焼き切る局所治療です。国立国際医療研究センター国府台病院の説明では、腫瘍の内部に約1.5ミリ径の針(電極)を挿入し、ラジオ波(約450キロヘルツの高周波)により電極周囲に熱を発生させて病変を焼き切るとされています[2]。日本肝臓学会の資料でも、RFAは局所治療の第一選択となる治療法として位置づけられています[1]。
焼灼にかかる時間は針を刺してから焼灼が終わるまでの手技自体は短時間で済みますが、術前の画像検査による位置確認や麻酔の準備を含めると、1回の治療で数十分から1時間程度かかることが一般的です。腫瘍の位置によっては、超音波(エコー)だけでなく、CTやMRIの画像と重ね合わせながら針を進める方法が使われることもあります。
「焼灼(しょうしゃく)」という言葉には馴染みがないという方も多いかもしれません。簡単に言えば、電気コンロやIH調理器が熱を発生させるのと似た原理で、針の先端の周りだけを高温にして、そこにあるがん細胞のたんぱく質を変性させ、死滅させる仕組みです。腫瘍だけでなく、その外側にも数ミリ程度の安全域(マージン)を含めて焼灼することで、目に見えないがん細胞の残存を減らす狙いがあります。焼灼された組織は、その後の画像検査では血流のない領域として確認され、時間の経過とともに体に吸収されて徐々に縮小していきます。
肝臓がんの成り立ちや種類、他の治療法との全体像については、肝臓がんのすべて:原因・症状から最新治療法、日本の医療制度まで徹底解説もあわせてご覧ください。
マイクロ波焼灼療法(MWA)との違い — もう一つの局所治療
日本肝臓学会の資料は、RFAと同様に針を刺して熱で焼灼する治療として、マイクロ波焼灼療法(microwave ablation:MWA)も紹介しています[1]。MWAはRFAに比較して、より高温で短時間に、より再現性に優れた焼灼ができる利点がある一方、以前は焼灼できる範囲が狭いことが欠点で、あまり普及していなかったと日本肝臓学会の資料は説明しています[1]。
しかし、2017年に保険適用となった第2世代のMWAは、より広い範囲を球状に近い形状で焼灼できるようになり、日本肝臓学会の資料によれば、現在ではRFAとともに局所治療の第一選択となっているとされています[1]。どちらの治療法が選ばれるかは、腫瘍の大きさや位置、実施する医療機関が持つ機器や経験によって変わるため、担当医との相談が必要です。
治療を担当する診療科 — IVR(画像下治療)の専門性
RFAは、皮膚の上から針を刺して超音波やCT・MRIの画像を見ながら病変を治療する手技であるため、画像下治療(IVR:interventional radiology)や消化器内科の中でもこの手技に習熟した医師が担当します。国立国際医療研究センター国府台病院や東京大学医学部附属病院のように、消化器内科の中にRFAを専門に行うチームを置く医療機関もあります[2][3]。日本肝臓学会の資料も、造影超音波下のRFAや、CTないしMRI画像とリンクさせるリアルタイムバーチャルソノグラフィーなどの技術を活用することで、安全性と治療完遂率が向上していると述べています[1]。腫瘍が超音波だけでは見えにくい場所にある場合や、以前の治療でできた瘢痕と区別しにくい場合には、このような画像を重ね合わせる技術が特に役立つとされています。担当医がどの技術を使って治療を計画しているかは、診察の際に確認しておくとよいでしょう。
RFAを受けられる基準 — 日本肝臓学会の資料が示す目安
日本肝臓学会の資料によると、RFAのよい適応となるのは、腫瘍の最大径が3cm以内・腫瘍数3個以内で、コントロール不能な腹水がなく、血小板数が5万/µL以上かつプロトロンビン時間50%以上、総ビリルビン値3.0mg/dL未満の症例とされています[1]。また、単発(腫瘍が1個)の場合は、最大径5cmまでの症例を対象とすることもあると記載されています[1]。東京大学医学部附属病院の解説でも、1個なら直径5cm以内、複数個なら3個以内かつ直径3cm以下が好ましいとされ、日本肝臓学会の基準と近い数値が示されています[3]。
| 項目 | よい適応の目安 | 備考 |
|---|---|---|
| 腫瘍の最大径 | 3cm以内(単発なら5cmまでの場合も) | 日本肝臓学会の資料による[1] |
| 腫瘍の個数 | 3個以内 | 日本肝臓学会の資料による[1] |
| 腹水 | コントロール不能な腹水がないこと | 日本肝臓学会の資料による[1] |
| 血小板数 | 5万/µL以上 | 日本肝臓学会の資料による[1] |
| プロトロンビン時間 | 50%以上 | 日本肝臓学会の資料による[1] |
| 総ビリルビン値 | 3.0mg/dL未満 | 日本肝臓学会の資料による[1] |
出典:日本肝臓学会「肝がん白書 令和4年度」(第7章 肝がんの治療法の進歩と予後)jsh.or.jp[1]/東京大学医学部附属病院 消化器内科「ラジオ波焼灼術(RFA)」gastro.m.u-tokyo.ac.jp[3]
表の中の「肝障害度」や「Child-Pugh分類」は、肝臓がどれだけ働けているかを示す分類です。血液検査の値(ビリルビン値・アルブミン値・プロトロンビン時間など)や、腹水・肝性脳症の有無を点数化し、働きが良い順にA・B・Cの3段階に分けます。RFAのよい適応とされるのは、主にこの分類でAまたはBにあたる、肝臓の働きがある程度保たれている場合です[1]。分類Cのように肝臓の働きがかなり低下している場合は、RFAを行うこと自体が肝臓に負担をかけすぎてしまう可能性があるため、慎重な判断が必要になります。
ここでいう「腫瘍の大きさ」や「進行度」は、肝臓がんのステージ分類とも関係します。ステージごとに選ばれる治療法の全体像は、肝臓がんのステージ別解説|進行度と治療法の全貌で詳しく解説しています。
治療の流れと入院期間
国立国際医療研究センター国府台病院の案内では、RFAに必要な入院期間はおよそ1週間が目安とされています[2]。治療前には血液検査や画像検査で腫瘍の位置・大きさ・肝臓の働きを確認し、治療当日は超音波や画像を見ながら皮膚の上から針を腫瘍まで進めて焼灼を行います。東京大学医学部附属病院の解説では、腫瘍の位置や個数に応じて、1回の入院で複数回の焼灼を行うこともあると説明されています[3]。
治療後は数時間の安静のあと、発熱や痛みの有無、出血がないかを確認しながら経過観察が行われます。腫瘍が焼き切れたかどうかは、退院前後の画像検査(造影CTやMRIなど)で確認するのが一般的です。
治療当日の麻酔は、局所麻酔に加えて、痛みや不安を和らげるための鎮静剤を併用することが多く、意識はあるものの、うとうとした状態で治療を受けられるよう配慮されることが一般的です。呼吸に合わせて肝臓の位置がわずかに動くため、針を刺す瞬間には呼吸を止めるよう指示されることもあります。治療中は心電図モニターや血圧計、酸素飽和度モニターなどで全身状態を継続的に確認しながら進められます。退院後しばらくは、重い物を持つなどお腹に力が入る動作を控えるよう指導されることが一般的です。
受診の目安
すぐに医療機関へ連絡が必要なサイン
対象にならない場合 — RFAが選ばれないケース
東京大学医学部附属病院の解説では、RFAの対象にならない場合として、著明な出血傾向がある場合、コントロール不能な腹水があり出血のリスクが高い場合、消化管と胆管を直接つなぐ手術を受けている場合、他の重症な全身疾患がある場合、安全な穿刺経路が確保できない場合が挙げられています[3]。日本肝臓学会の資料でも、総ビリルビン値が3.0mg/dL以上など肝臓の働きが十分でない場合は、よい適応から外れるとされています[1]。
これらに当てはまる場合、あるいは腫瘍が大きすぎる・個数が多い場合は、肝動脈化学塞栓療法(TACE)や薬物療法など、別の治療法が選ばれることがあります。がんが肝臓の外にも広がっている場合の薬物療法の考え方は、進行肝細胞癌に対する薬物療法の革命:最新の治療戦略と日本の診療ガイドラインの変遷で解説しています。
これらの対象外の項目は、いずれも「針を刺す」という手技そのものに伴うリスクに関わるものです。出血傾向やコントロール不能な腹水があれば出血のリスクが上がり、安全な穿刺経路が確保できない場合とは、腫瘍までの道筋に心臓や消化管、大きな血管などが重なってしまい、針を安全に進められない状態を指すと考えられます。具体的にどの臓器がどの程度近いと対象外になるかという詳細な基準については、今回参照した資料には記載が見当たりませんでした。
治療後のフォローアップ — なぜ経過観察が続くのか
RFAで腫瘍が焼き切れたことが画像検査で確認できても、それで通院が終わるわけではありません。日本肝臓学会の資料が指摘するように、肝臓がんは焼灼した場所そのものよりも、肝臓の別の場所に新しいがんができる「異所再発」が起こりやすい病気です[1]。日本肝臓学会機関誌「肝臓」に掲載された研究でも、局所再発がなく経過できた症例に限っても、異所再発の累積発生率は3年で53.5%に達すると報告されています[4]。
そのため、RFAのあとは、定期的な血液検査(腫瘍マーカーなど)と画像検査(超音波・CT・MRIなど)による経過観察が継続的に行われるのが一般的です。新しい腫瘍が見つかった場合には、その時点での大きさ・個数・肝臓の働きに応じて、再びRFAが選ばれることもあれば、TACEや薬物療法など別の治療法に切り替えることもあります。もともとの肝臓の病気(B型・C型肝炎、肝硬変など)の治療を並行して続けることも、新しいがんができるリスクを抑えるうえで重要とされています。
手術(肝切除)との違い — SURF試験が示すもの
日本肝臓学会の資料によると、腫瘍数が3個以下かつ最大径3cm以下の肝細胞がんを対象に、外科切除とRFAを比較したSURF試験(第Ⅲ相比較試験)が行われました[1]。無再発生存期間(RFS)の中央値は、外科切除群が2.98年(95%信頼区間:2.33-3.86)、RFA群が2.76年(2.17-3.80)で、ハザード比は0.96(0.72-1.28、p=0.793)であり、日本肝臓学会の資料は「外科切除の優越性を示すことはできなかった」とまとめています[1]。
この結果は「RFAが手術より優れている」という意味ではなく、腫瘍が小さく個数が少ない早期の症例に限れば、手術とRFAの治療成績に統計的に明確な差が確認できなかったことを示すものです。日本肝臓学会の資料も、症例を適切に選択すればRFAの安全性は高く、治療効果も良好で、その成績は肝切除とほとんど変わらないとまとめています[1]。
それでも、手術とRFAのどちらか一方だけが常に選ばれるわけではありません。手術は開腹または腹腔鏡による体への負担がある一方、腫瘍とその周囲の組織をまとめて取り除けるという利点があります。RFAは体への負担が小さく入院期間も短い一方、腫瘍の位置によっては安全な穿刺経路が確保しにくい場合があります。日本肝臓学会の資料が示すエビデンスに基づく治療アルゴリズムでも、肝臓の働き・腫瘍の個数・大きさの組み合わせによって、手術とRFAのどちらが推奨されるかが分かれる場面があるとされています[1]。
| 比較項目 | 肝切除(外科手術) | RFA(ラジオ波焼灼療法) |
|---|---|---|
| 無再発生存期間(RFS)中央値 | 2.98年(95%CI 2.33-3.86) | 2.76年(95%CI 2.17-3.80) |
| ハザード比(切除に対するRFA) | 0.96(95%CI 0.72-1.28、p=0.793) | |
| 体への負担 | 開腹または腹腔鏡手術が必要 | 皮膚の上から針を刺すのみ |
出典:日本肝臓学会「肝がん白書 令和4年度」(SURF試験の結果)jsh.or.jp[1]
TACE・薬物療法との違い — 単純比較できない理由
肝動脈化学塞栓療法(TACE)は、肝動脈から塞栓物質や抗がん剤を注入して腫瘍を兵糧攻めにする治療で、日本肝臓学会の肝癌診療ガイドライン2021年版では、TACEないしDEB-TACEが推奨されているとされています[1]。日本肝臓学会の資料が示す国内の検討では、TACEの1年・3年・5年・7年生存率はそれぞれ82.4%、52.8%、34.9%、22.9%と報告されています[1]。
ただし、日本肝臓学会の資料自身が注意を促しているように、TACEは肝切除やRFAと比較して、治療の対象となる症例がより進行した段階であることが多いため、これらの生存率をそのままRFAの成績と並べて「TACEの方が劣る」と単純に比較することはできません[1]。腫瘍の大きさ・個数・肝臓の働きの状態によって、そもそも選べる治療法の候補が異なるためです。
日本肝臓学会の資料は、TACEの仕組みについても具体的に説明しています。肝動脈に挿入したカテーテルから、油性造影剤やゼラチンスポンジ細片、多孔性ゼラチン粒、あるいは球状の塞栓物質を用いて、肝細胞がんを栄養する血管や血洞を塞ぐ治療で、その際に抗悪性腫瘍薬を同時に用いる方法がTACEと呼ばれます[1]。ドキソルビシンやイリノテカンなどを吸着させた薬剤溶出ビーズ(drug-eluting beads)を用いるDEB-TACEが行われる場合もあり、抗悪性腫瘍薬を用いることができない症例では、塞栓のみを行うTAEが選ばれることもあると日本肝臓学会の資料は述べています[1]。
つまり、RFAは腫瘍そのものを熱で焼き切る「局所破壊」の治療であるのに対し、TACEは腫瘍への血流を断って兵糧攻めにする「血流遮断」の治療、薬物療法は血液の流れに乗せて全身から抗がん剤や分子標的薬を届ける治療というように、それぞれ体への働きかけ方が根本的に異なります。日本肝臓学会の資料によれば、肝切除・RFAなどの局所療法の適応がない進行した症例では、薬物療法が中心となり、分子標的薬を切り替えながら治療を続けることで全生存期間の延長が期待できるとされています[1]。
治療効果 — 生存率と局所再発率のデータ
日本肝臓学会の資料によると、腫瘍数3個以内・最大径3cm以下の症例にRFAを行った場合、3年・5年生存率は、肝障害度Aでそれぞれ88.9%と76.6%、肝障害度Bでそれぞれ75.2%と56.5%と報告されています[1]。東京大学医学部附属病院で初回RFAを受けた1,170例の集計では、5年生存率は約60%という結果でした[3]。生存率に差が出る背景には、肝臓の働き(肝障害度)や年齢、他の病気の有無など、腫瘍そのもの以外の要因も影響しています。肝障害度Aと肝障害度Bの間で生存率に10ポイント以上の差が生じているのは、RFAという治療そのものの効果というより、もともとの肝臓の予備能力(残された働き)の違いが、その後の経過に大きく影響することを示しています。言い換えれば、腫瘍を焼き切れたとしても、肝臓自体の働きが弱っていれば、その後の生活や別の合併症のリスクに影響が及びうるということです。
焼灼した場所そのものにがんが再び現れる「局所再発率」について、東京大学医学部附属病院の解説では、術後5年間で3.2%と低率であり、高い根治性を持っているとされています[3]。一方、日本肝臓学会機関誌「肝臓」に掲載された研究(初発肝細胞がん56例を対象とした検討)では、局所再発なく経過観察できた症例に限っても、肝臓の別の場所に新たな腫瘍ができる「異所再発」の累積発生率は1年で12.0%、2年で36.3%、3年で53.5%であったと報告されています[4]。これは、RFAが「刺した場所のがん」をよく抑え込める一方で、肝臓自体が発がんしやすい状態にあるため、別の場所に新しいがんができること自体は珍しくないことを示しています。
| 指標 | 数値 | 対象 |
|---|---|---|
| 3年生存率(肝障害度A) | 88.9% | 腫瘍3個以内・3cm以下[1] |
| 5年生存率(肝障害度A) | 76.6% | 腫瘍3個以内・3cm以下[1] |
| 3年生存率(肝障害度B) | 75.2% | 腫瘍3個以内・3cm以下[1] |
| 5年生存率(肝障害度B) | 56.5% | 腫瘍3個以内・3cm以下[1] |
| 5年局所再発率 | 3.2% | 東京大学医学部附属病院の集計[3] |
| 3年累積異所再発率 | 53.5% | 初発56例を対象とした研究[4] |
出典:日本肝臓学会「肝がん白書 令和4年度」jsh.or.jp[1]/東京大学医学部附属病院 消化器内科 gastro.m.u-tokyo.ac.jp[3]/日本肝臓学会機関誌「肝臓」47巻4号(J-STAGE)jstage.jst.go.jp[4]
合併症とリスク
東京大学医学部附属病院が11,087例を対象に集計したデータでは、重篤な合併症の発生率は2.7%(297例)と報告されています[3]。日本赤十字社大森赤十字病院が挙げる合併症の一覧にも、腹痛・発熱・出血といった比較的軽い症状が含まれています[5]。日本肝臓学会の資料は、RFA実施時に注意すべき合併症として、腫瘍の播種(がん細胞が広がること)や肝内散布、周囲臓器への熱による損傷を避ける必要があると述べています[1]。
また、日本肝臓学会の資料は、最大径が3cmを超える肝細胞がんでは、周囲に目に見えない微小転移や微小な門脈腫瘍塞栓が存在する場合が多いことに注意が必要だと指摘しています[1]。これは、腫瘍が大きいほど、焼灼した範囲の外にがん細胞が残っているリスクが上がりうることを意味します。
日本赤十字社大森赤十字病院が公表している実績データでは、RFAの全穿刺回数3,902回のうち、入院期間の延長を要した合併症の頻度は58回・1.5%であったと報告されています[5]。その内訳として、特別な処置を必要としたものは、腸管穿孔1例、胆道出血2回、胸腔内出血1回、肝膿瘍2回、気胸1回であったとされています[5]。同院はそのほかの合併症として、胃や腸などの消化管、胆のう、肺・横隔膜、心臓といった隣接臓器の損傷や、腹膜・皮膚のやけど、門脈血栓、肝梗塞なども挙げています[5]。
こうした合併症の多くは、治療前の画像検査で針の経路を慎重に計画し、超音波やCT・MRIの画像を見ながら針を進めることで、リスクを減らす工夫がなされています。それでも合併症が完全にゼロになるわけではないため、治療後に痛みや発熱、出血などの症状が続く場合は、自己判断で様子を見続けず、治療を受けた医療機関に連絡することが大切です。
標準的な適応と単発症例での拡大適応の違い
日本肝臓学会の資料は、標準的な適応(腫瘍3cm以内・3個以内など)に加えて、単発(腫瘍が1個だけ)の症例に限っては、最大径5cmまでを対象とする場合もあると述べています[1]。ただし同じ資料は、最大径が3cmを超える肝細胞がんでは周囲に微小転移が存在する場合が多いことに注意する必要があるとも述べており、単発5cmまでの拡大適応は「誰にでも当てはまる基準」ではなく、個々の症例の状態を見て慎重に判断されるものです[1]。
日本肝臓学会の資料内の2つの基準を比較すると、腫瘍が1個だけであれば大きさの上限が緩和されうる一方、個数が2個以上になると最大径3cmという基準がより厳格に適用される傾向がうかがえます[1]。これは、腫瘍が単発であれば、焼灼のための針を刺す経路や焼灼範囲の計画を1か所に集中できるのに対し、複数個ある場合はそれぞれの腫瘍について安全な穿刺経路と十分な安全域を確保する必要があり、肝臓全体への負担も増えるためと考えられます。実際にどちらの基準が適用されるかは、腫瘍の正確な大きさ・個数に加え、肝臓の働きや腫瘍の場所によっても変わるため、担当医が個々の画像検査の結果を見て総合的に判断します。
費用について
RFAは日本の公的医療保険が適用される治療法です。実際に窓口で支払う金額は、加入している健康保険の種類・年齢・所得区分による自己負担割合、入院日数、使用する医療材料などによって一人ひとり異なります。高額療養費制度を利用すると、1か月あたりの自己負担額に上限が設けられる場合があるため、事前に加入している健康保険組合や市区町村の窓口に確認しておくと安心です。具体的な目安は下記のツールをご参照ください。
| 適用時期 | 年収の目安 | 計算式 | 100万円の場合 |
|---|---|---|---|
| ~2026年7月診療分 現行 | 年収約370万~770万円(区分ウ) | 80,100円+(医療費-267,000円)×1% | 87,430円 |
| 2026年8月診療分から 見直し後(第1段階) | 年収約370万~770万円(区分ウ) | 85,800円+1%(PDF原文の表記) | 約92,940円<br><small>(編集部試算)</small> |
| + 年間上限 53万円(新設) | |||
※「100万円の場合」の金額のうち、現行(~2026年7月)欄は出典PDFに記載の計算例そのものです。2026年8月欄について、出典PDFに印字されているのは「85,800+1%」という表記のみです。1%を乗じる基準額(現行の267,000円に相当する部分)と、100万円の場合の約92,940円は、PDFに印字されておらず、現行制度と同じ計算方法にもとづくJHO編集部試算です。正確な金額は加入されている健康保険組合等にご確認ください。
※ 制度は改定されることがあります。受診・手術の時期によって自己負担額が変わるため、最新の情報は
厚生労働省の高額療養費制度ページで必ずご確認ください。
出典:厚生労働省「高額療養費制度の在り方に関する専門委員会」(令和7年12月16日) (PDF)
|JHO確認日:2026-07-16
RFAにかかる費用の具体的な内訳(麻酔代・入院室料など施設ごとの違い)や、穿刺経路の詳細な安全基準、妊娠中・授乳中の方への影響については、今回参照した資料には具体的な記載が見当たりませんでした。費用のめやすは上記のツールをご参照のうえ、詳しくは治療を受ける医療機関に直接ご確認ください。
よくある質問
RFAと手術(肝切除)はどちらが良いのですか?
入院期間はどのくらいですか?
TACEとRFAはどう使い分けられますか?
RFAが受けられないのはどのような場合ですか?
治療当日は入院が必要ですか、日帰りは可能ですか?
RFAとマイクロ波焼灼療法(MWA)はどちらが優れていますか?
RFA後に新しい腫瘍が見つかったらどうなりますか?
参考文献
- 日本肝臓学会「肝がん白書 令和4年度」2022年 https://www.jsh.or.jp/lib/files/medical/guidelines/jsh_guidlines/liver_cancer_2022.pdf
- 国立国際医療研究センター国府台病院「肝癌治療:ラジオ波焼灼療法(RFA)」 https://kohnodai.jihs.go.jp/subject/070/340/syoukai_04.html
- 東京大学医学部附属病院 消化器内科「ラジオ波焼灼術(RFA)」 https://gastro.m.u-tokyo.ac.jp/department/diseases/detail/id=163
- 日本肝臓学会機関誌「肝臓」47巻4号「初発肝細胞癌に対するラジオ波焼灼療法後の異所再発に関する予測因子の検討」(J-STAGE) https://www.jstage.jst.go.jp/article/kanzo/47/4/47_4_209/_article/-char/ja/
- 日本赤十字社 大森赤十字病院「肝癌に対するラジオ波治療について」 https://omori.jrc.or.jp/department/gastrointestinal-medicine/hepatobiliary-pancreas/liver-cancer/
更新日:2026年7月18日
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肝臓がんに気づくきっかけとなる初期症状については、肝臓がんの初期症状:気づきにくい9つの警告サインとリスク要因の完全ガイドもご参照ください。
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本記事はAI技術を活用し、厚生労働省・WHO等の公的医療機関の情報に基づいて作成されています。医療専門家による個別の監修は受けておりません。健康上の判断や治療については、必ず医師にご相談ください。詳しくは編集ポリシーをご覧ください。
