【肺がんと食事】治療中に意識したい栄養の基本と取り入れやすい13の食品
この記事でわかること
目次
- Japanese Health(JHO)編集部とこの記事の根拠について
- 要点まとめ
- 第1部:肺がんと食事の基本 — 日常生活でまず見直したいポイント
- 1.1. なぜ「痩せすぎないこと」が大切なのか
- 1.2. 肺がん治療中に避けたいNG習慣と、代わりにできること
- 第2部:治療とからだの変化を踏まえた栄養のポイント
- 2.1. 抗がん剤・放射線治療中に意識したいこと
- 2.2. 手術後・免疫療法中などの栄養の考え方
- 2.3. 日常に取り入れやすい13の食品アイデア
- 第3部:食事だけでは対処が難しいときに考えるべきこと
- 3.1. がん悪液質(がんによるやせ)とは?
- 3.2. うつ状態や不安障害による食欲低下
- 3.3. 消化器や心臓・腎臓など、他の臓器の病気が隠れていることも
- 第4部:今日から始める食事と生活のアクションプラン
- 第5部:専門家への相談 — いつ・どこで・どのように?
- 5.1. 受診や相談を検討すべき危険なサイン
- 5.2. どの診療科・誰に相談すればよいか
- 5.3. 診察・相談時に持参すると役立つものと費用の目安
- よくある質問
- 結論:この記事から持ち帰ってほしいこと
- この記事の編集体制と情報の取り扱いについて
- 参考文献
「肺がんと言われてから、何を食べればいいのか分からない」「インターネットには『これが効く』『これは絶対ダメ』といった情報があふれていて、どれを信じたらよいか不安……」。そんな思いを抱えている方も多いのではないでしょうか。
この症状、いつ受診すべきか確認しますか?
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肺がんの治療では、手術、抗がん剤、放射線、免疫チェックポイント阻害薬など、からだに負担のかかる治療が続くことがあります。そのとき「痩せすぎないこと」「筋肉と体力を守ること」は、治療の効果を十分に引き出すうえでとても大切だとされています。一方で、「がんに効く食べ物」や「絶対に避けるべき食品」といった極端な情報に振り回されると、本来必要な栄養まで不足してしまうおそれもあります。
本記事では、日本の公的機関や医学会、海外の専門団体が公表している情報をもとに、肺がん治療中・治療後の食事と栄養の考え方を整理しつつ、日常生活に取り入れやすい食品の例として「13の食品アイデア」をご紹介します。特定の食べ物だけでがんを治すことはできませんが、食事の工夫によって「からだの土台」を整え、治療と向き合う力をサポートすることはできます。
なお、ここで紹介する内容はあくまで一般的な目安です。実際の食事は、現在の病状や治療内容、持病、アレルギーなどによって大きく異なります。必ず担当医・看護師・管理栄養士と相談しながら、ご自身に合った形に調整してください。
Japanese Health(JHO)編集部とこの記事の根拠について
Japanese Health(JHO)は、健康と美容に関する情報を提供するオンラインプラットフォームです。膨大な医学文献や公的ガイドラインを整理し、日常生活で活用しやすい形でお届けすることを目指しています。
本記事の内容は、肺がんとその治療に関する日本の公的機関(国立がん研究センター、厚生労働省など)や、海外の専門団体(アメリカ肺協会など)が公開している情報、査読付き論文を中心とした一次情報源に基づいて、JHO編集部がAIツールのサポートを受けつつ、最終的には人の目で一つひとつ確認しながら作成しています。
- 厚生労働省・自治体・公的研究機関:e-ヘルスネット、国立がん研究センターの「がん情報サービス」、がん専門病院の栄養・食事ページなど、日本人向けの公式情報を優先して参照しています。
- 国内外の医学会ガイドライン・査読付き論文:日本肺癌学会、日本臨床腫瘍学会、世界保健機関(WHO)、NICE、Cochraneレビュー、海外の肺がん専門団体(American Lung Association など)の資料をもとに、科学的に検証されたエビデンスを整理しています。
- 教育機関・医療機関・NPOによる一次資料:がん患者さんの療養生活や、栄養サポートに関する実務的な情報として、大学病院やがん専門病院、患者支援団体の情報を利用します。
AIツールは、文献の要約や構成案作成の「アシスタント」として活用していますが、公開前には必ずJHO編集部が原著資料と照合し、重要な記述を一つひとつ確認しながら、事実関係・数値・URLの妥当性を検証しています。
私たちの運営ポリシーや編集プロセスの詳細は、運営者情報(JapaneseHealth.org)をご覧ください。
要点まとめ
- 肺がん治療中は、「がんに効く食べ物探し」よりも体重と筋肉を極端に落とさないことが重要です。急激な体重減少は治療の継続や予後に悪影響を及ぼす可能性があります。
- 基本となるのは、主食・主菜・副菜をそろえたバランスの良い食事と、食べづらい時期には少量ずつでもエネルギーとたんぱく質を確保する工夫です。
- りんご・なし、緑茶、サーモン、しょうが、ターメリック(ウコン)、ベリー類、にんじん、トマト、かき、クレソン、亜麻仁など、研究で注目されている食品はありますが、あくまで「プラスαのサポート」として日々の食事に取り入れるイメージが大切です。
- 一方で、極端な糖質制限や自己判断でのサプリメント大量摂取、喫煙者に対するβ-カロテン高用量サプリメントなどは、かえって健康リスクを高める可能性が指摘されています。
- 食欲不振や味覚の変化、飲み込みにくさ、1〜2か月での体重5%以上の減少などがある場合は、早めに主治医や栄養サポートチームに相談し、ひとりで抱え込まないことが大切です。
- この記事を通して、「今日からできる小さな工夫」と「医療者に相談すべきサイン」の両方を把握し、ご自身やご家族の状況に合わせて一歩ずつ取り組んでいけることを目指します。
「食べたほうが良いのは分かっているけれど、なかなか食べられない」「どこまで頑張って食べるべきなのか分からない」。肺がんの治療を経験した多くの方が、食事に関する葛藤を抱えています。
この記事では、まずは「食べること」そのもののハードルを下げるために、生活習慣や環境といった身近な要因から整理します。そのうえで、治療や病状によって生じるからだの変化、栄養状態への影響、必要に応じて検討される専門的な栄養サポートについて段階的に解説します。
さらに、りんごやベリー類、サーモン、緑茶、かき、亜麻仁など、日常の食卓に取り入れやすい食品の特徴と活かし方を紹介しながら、「無理なく続けられる食べ方」のヒントもお伝えします。
必要に応じて、Japanese Health(JHO)のトップページや、今後公開される関連特集ページなどに自然な流れで橋渡ししながら、読者の方が「自分の状態をどのように理解し、いつどこで誰に相談すべきか」を具体的にイメージできるようにすることを目指します。
今の血圧・脈拍を確かめる
数値を入れると、日本高血圧学会の血圧値の分類と「次にすること」を表示します。記録はこの端末の中だけに保存され、登録は不要です。
身長と体重からBMIも調べる
血圧手帳(この端末に保存)
これは診断ではありません。入力された数値を日本高血圧学会の血圧値の分類(高血圧の基準は診察室 140/90mmHg以上・家庭 135/85mmHg以上)に当てはめて「受診の目安」を機械的に示すもので、医師の診察に代わるものではありません。日本高血圧学会「高血圧管理・治療ガイドライン2025」では、降圧目標は年齢によらず診察室 130/80mmHg未満・家庭 125/75mmHg未満とされています。脈拍の目安は学会の分類ではなく一般的な参考範囲です。
第1部:肺がんと食事の基本 — 日常生活でまず見直したいポイント
このセクションでは、病名や治療の種類にかかわらず、肺がんの患者さんに共通して大切になる「食べ方の基本姿勢」について解説します。難しい栄養計算の前に、日常生活の中で意識できるポイントから整理していきましょう。
1.1. なぜ「痩せすぎないこと」が大切なのか
肺がんでは、病気そのものの影響や薬の副作用、精神的なストレスなどが重なり、食欲低下や体重減少が起こりやすくなります。急激な体重減少や筋肉量の減少は、だるさや息切れを強めるだけでなく、抗がん剤や放射線治療の副作用に耐える力を弱め、治療計画の変更や中断につながることがあります。
国立がん研究センターなどの情報では、「がんの治療中は、必要なエネルギーとたんぱく質をしっかり摂り、極端なダイエットや偏った食事を避けること」が推奨されています。体重が少し増えるくらいであれば大きな問題にはならないことも多いですが、1〜2か月で5%以上の体重減少がある場合は、早めに主治医や栄養士に相談することが勧められます。
「食べなければがんが小さくなるのでは?」と心配される方もいますが、現時点で、強いカロリー制限や極端な糖質制限が肺がんの治療成績を改善するという十分な根拠はありません。一方で、栄養不良が悪影響を及ぼすことは多くの研究で示されています。そのため、まずは「今の体重と筋肉を守る」ことを優先すると考えてみてください。
1.2. 肺がん治療中に避けたいNG習慣と、代わりにできること
治療中はどうしても生活リズムが乱れがちですが、次のような習慣は、食欲低下や体重減少を助長することがあります。
- 食事を抜いてしまう(とくに朝食):吐き気が心配で何も食べないと、かえって体力が落ち、だるさやめまいが強くなることがあります。少量のパンやおかゆ、ヨーグルト、果物など、食べられるものを少しだけでも口にするほうが良い場合が多いです。
- 「がんに悪いから」と自己判断で多くの食品を禁止する:肉、卵、乳製品、油、果物などを一度に極端に制限すると、たんぱく質やビタミン・ミネラル、エネルギーが不足しやすくなります。気になる食材がある場合は、必ず医療者に相談してから判断しましょう。
- サプリメントに頼りすぎる:ビタミンや抗酸化サプリメントの一部は、喫煙者の肺がんリスクをかえって高めた可能性が報告されており、高用量サプリメントは治療との相互作用にも注意が必要です。基本は「食事から栄養をとる」ことを目指し、サプリメントは主治医と相談のうえで必要最小限にとどめましょう。
- 加工食品・揚げ物・スナック菓子中心の食事:超加工食品や脂っこい食事が多すぎると、肥満や生活習慣病リスクに加え、吐き気や胸やけ、胃もたれを悪化させることがあります。便利さを活かしつつも、主食・主菜・副菜のバランスを意識しましょう。
- 飲酒や喫煙を続ける:治療中のアルコールは、薬との相互作用や肝機能への負担を増やす可能性があります。喫煙は言うまでもなく、治療効果の低下や他の病気のリスクを高めます。無理のない範囲で、禁煙や減酒のサポートを医療機関や支援窓口に相談してみましょう。
すべてを完璧に実行する必要はありません。「朝は少しだけでも何か食べる」「揚げ物の日にはサラダやゆで野菜を足す」「サプリメントを増やす前に主治医に聞いてみる」など、できることから一つずつ試していくイメージで構いません。
| こんな症状・状況はありませんか? | 考えられる主な背景・原因カテゴリ |
|---|---|
| 1〜2か月で体重が5%以上減った(例:60kg→57kg以下) | 栄養不足、食欲低下、治療や病気による代謝亢進 など |
| 食事の途中で疲れてしまい、少量しか食べられない | 筋力低下、呼吸のしんどさ、食事姿勢の負担 など |
| 味が分かりにくい、金属っぽい味がする、においに敏感になった | 抗がん剤や放射線治療の副作用、口腔内の乾燥や炎症 など |
| 飲み込みにくい、むせやすい、咳き込みやすい | 嚥下機能の低下、腫瘍や手術の影響 など |
| 食欲がわかず、何を食べてもおいしく感じない日が続く | うつ状態、不安、痛み、吐き気、倦怠感 など |
上記のような状況が続く場合、自己流で我慢せず、主治医や看護師、管理栄養士に率直に伝えることが大切です。嚥下評価や栄養サポートチーム(NST)への相談など、医療側でできる工夫がいくつもあります。
第2部:治療とからだの変化を踏まえた栄養のポイント
生活習慣を見直しても食欲不振や体重減少が続く場合、その背景には治療そのものの影響や、からだの内側で起こっている変化が隠れていることがあります。この章では、肺がんの治療と栄養状態の関係を整理しつつ、実際の食べ方の工夫を紹介します。
2.1. 抗がん剤・放射線治療中に意識したいこと
抗がん剤や放射線治療中は、吐き気や下痢、口内炎、味覚異常などの副作用が出やすくなります。同時に、正常な細胞の修復のためにも通常より多くのエネルギーやたんぱく質が必要になることが多いとされています。
- 「3食しっかり」よりも「小分けでこまめに」:一度にたくさん食べるのがつらい場合、1日3回にこだわらず、1日5〜6回に分けて少量ずつ摂る方法が有効です。
- においや見た目を工夫する:においに敏感なときは、冷ました料理や、酸味のあるさっぱりした味(レモン、酢など)を取り入れると食べやすくなります。
- 口内炎や飲み込みにくさがある場合:硬いもの・尖ったもの・熱すぎるもの・辛いものは避け、とろみをつけたり、やわらかく煮込んだりする工夫が役立ちます。
- 水分と電解質も忘れずに:下痢や発熱があるときは、経口補水液やスポーツドリンクなどでこまめに水分・塩分を補い、脱水を防ぎましょう。
食欲の有無や副作用の出方は人によって大きく異なります。「昨日は食べられたのに、今日は全然食べたくない」という波があって当然です。調子の良い時間帯(午前中だけ食欲がある、夜のほうが食べやすい など)を見つけ、その時間にエネルギー源やたんぱく質を優先的に摂ることも一つの方法です。
2.2. 手術後・免疫療法中などの栄養の考え方
肺がんの手術後は、呼吸機能の変化や痛み、疲れやすさなどによって、食べる姿勢や量に影響が出ることがあります。退院後もしばらくは「すぐにお腹いっぱいになってしまう」「呼吸が苦しくて食事に集中しづらい」と感じる方も少なくありません。
- 楽な姿勢で食べる:背もたれにもたれ、少し上体を起こした姿勢で、無理のないスピードで食べましょう。息が苦しいときは、一度フォークや箸を置いて呼吸を整えてから再開しても構いません。
- 高エネルギー・高たんぱくの工夫:少量でも栄養を確保するために、牛乳や豆乳に粉ミルクやきなこを足す、みそ汁に豆腐や卵、チーズを入れるなど、日常の料理にひと手間加える方法があります。
- 免疫チェックポイント阻害薬などを使っている場合:下痢や甲状腺機能の変化など、治療特有の副作用が出ることがあります。自己判断で食事を大きく変える前に、必ず主治医に副作用の可能性を相談しましょう。
術後や免疫療法中も、「良い・悪い食品」を決めつけるより、「そのときの体調で食べやすいもの」を中心に、少しずつバランスを整えていくことが大切です。
2.3. 日常に取り入れやすい13の食品アイデア
ここからは、研究や伝統的な食経験などから注目されている食品を、肺がん患者さんの食事に取り入れる際のヒントとして13種類ご紹介します。どれも「これだけ食べればがんが治る」というものではありませんが、バランスの良い食事の一部として加えることで、ビタミンやミネラル、抗酸化成分などを無理なく摂る手助けになります。
- りんご・なし
りんごやなしには、食物繊維やポリフェノールが含まれています。皮ごと食べられる品種であれば、よく洗って皮付きのまま薄切りにすると、噛む力が弱い方でも食べやすくなります。消化の負担が気になる場合は、コンポート(煮りんご)にしたり、すりおろしてヨーグルトに混ぜるなどの方法もあります。 - 緑茶
緑茶に含まれるカテキン(EGCGなど)は、抗酸化作用を持つ成分として研究されています。温かいお茶がつらい場合は、ぬるめに冷ましたり、水出しにしたりすると胃への負担が軽くなります。ただし、カフェインを含むため、寝る前の摂取には注意し、サプリメントや高濃度抽出物を自己判断で大量摂取することは避けてください。 - サーモンなどの脂ののった魚
サーモンやぶり、さばなどの青魚には、EPA・DHAなどのオメガ3脂肪酸が含まれています。これらは心血管の健康維持や炎症に関連する研究が進んでおり、エネルギー源としても優れています。焼き魚が食べにくい場合は、シチューやムニエル、缶詰を利用したスープなど、やわらかく食べられるメニューもおすすめです。 - しょうが
しょうがは、吐き気の軽減やからだを温める目的で古くから利用されてきました。抗がん剤による吐き気の補助的対策として検討された研究もありますが、薬ではないため、効き目には個人差があります。しょうが湯やしょうが入りスープなど、少量から試し、胃が痛くならないか様子を見ながら取り入れましょう。 - ケイパー(花のつぼみ)
地中海料理でよく使われるケイパーには、クエルセチンなどのポリフェノールが多く含まれるとされています。日本ではなじみが薄い食材ですが、サラダや魚料理のソースに少量加えることで、風味のアクセントにもなります。塩漬けや酢漬けが多いため、塩分の摂りすぎには注意しましょう。 - ターメリック(ウコン)
ターメリックの黄色い色素成分であるクルクミンについては、炎症や酸化ストレスとの関係で多くの研究が行われています。カレーやスープ、ターメリックライスなど、日常の料理に少量混ぜる形で取り入れるのが安全です。一方で、サプリメントとして高用量を摂ると、薬との相互作用が問題になることがあるため、必ず主治医に相談してください。 - ベリー類(ブルーベリー、ラズベリーなど)
ベリー類は、アントシアニンと呼ばれる色素成分を多く含む果物です。ヨーグルトやシリアルに少量トッピングするだけでも彩りが増し、食欲を刺激しやすくなります。冷凍ベリーを常備しておくと、体調が良いときにスムージーやデザートに使うこともできます。 - にんじん
にんじんにはβ-カロテンが豊富に含まれています。β-カロテン自体は野菜として摂る分には健康に役立つと考えられていますが、喫煙者が高用量サプリメントとしてβ-カロテンを摂取すると肺がんリスクが上がった研究結果もあるため、サプリメントでの大量摂取は避けるべきとされています。にんじんは、煮物、ポタージュ、きんぴら、ラぺサラダなど、やわらかく甘みを活かした調理法がおすすめです。 - 赤ぶどう
赤ぶどうの皮にはレスベラトロールと呼ばれるポリフェノールが含まれています。種なしの品種を選ぶと食べやすくなり、嚥下が心配な場合は、皮をむいたり、ゼリーと一緒に食べたりする方法もあります。ぶどうジュースは飲みやすい一方で、糖分も多いため、摂りすぎには注意しましょう。 - トマト・トマト加工品
トマトに含まれるリコピンは、加熱や油と一緒にとることで吸収が高まるとされています。トマトソース、トマトジュース、ミネストローネなど、温かいメニューも選択肢に入れてみましょう。塩分が多いトマトジュースや缶詰を選ぶ場合は、減塩タイプや「食塩無添加」表示にも注目してください。 - かき(オイスター)
かきは亜鉛を豊富に含む食品です。亜鉛は味覚や免疫機能に関わるミネラルであり、不足すると味が分かりにくくなることがあります。生食は食中毒のリスクがあるため、治療中は加熱したかき(フライ、グラタン、鍋など)を選び、体調や白血球数が低いときは控えるなど、主治医の指示に従ってください。 - クレソンやブロッコリーなどのアブラナ科野菜
クレソン、ブロッコリー、キャベツなどのアブラナ科野菜には、イソチオシアネートという成分が含まれ、がん予防との関連が研究されています。サラダやおひたし、スープ、蒸し野菜など、加熱と生の両方を組み合わせると、食感や風味のバランスが取りやすくなります。 - 亜麻仁(フラックスシード)
亜麻仁は食物繊維やα-リノレン酸、リグナンと呼ばれる成分を含む種子です。パンやヨーグルトに振りかけたり、スムージーに加えたりすることで、少量でも栄養価を上げることができます。腸閉塞のリスクがある方や、抗凝固薬を使用している方は、使用量について必ず主治医に確認してください。
これらの食品は、あくまで「食卓を豊かにする選択肢の一部」です。体調や噛む力、飲み込む力、味の好みなどに応じて、無理なく取り入れられるものを選んでください。
第3部:食事だけでは対処が難しいときに考えるべきこと
セルフケアや食事の工夫をしても、「どうしても食べられない」「体重が減り続けている」という場合、背景には別の病気や合併症、専門的な栄養サポートが必要な状態が隠れていることがあります。この章では、代表的な状況と受診の目安を整理します。
3.1. がん悪液質(がんによるやせ)とは?
がん悪液質とは、がんそのものや炎症によって、食べていても体重と筋肉が減っていく状態を指します。肺がんでは比較的よく見られる状態で、「よく食べているはずなのに痩せる」「疲れやすく、筋力が落ちてきた」といったサインが特徴です。
悪液質が進行すると、日常生活だけでなく、治療の継続にも影響が出ることがあります。早期に気づき、痛みや吐き気、呼吸困難など、食事を妨げる症状をコントロールすることが重要です。体重や筋肉量の変化が気になる場合は、遠慮せずに主治医に伝え、必要に応じて緩和ケアチームや栄養サポートチームの介入を受けましょう。
3.2. うつ状態や不安障害による食欲低下
がんと診断されたショックや、再発への不安、仕事や家族のことを考えすぎて眠れない日が続くと、食欲がわかない状態が長引くことがあります。「食べなければいけない」と分かっていても、気持ちが追いつかないことも珍しくありません。
涙もろくなったり、興味がわかないことが増えたり、何をしても楽しく感じられない状態が2週間以上続く場合は、うつ状態の可能性も含めて、主治医や精神科・心療内科で相談することがおすすめです。適切なサポートを受けることで、食欲や生活リズムが少しずつ整っていくことがあります。
3.3. 消化器や心臓・腎臓など、他の臓器の病気が隠れていることも
むくみや強い息切れ、腹部膨満感、黄疸(皮膚や白目が黄色くなる)などがある場合、心臓や腎臓、肝臓、消化管などの病気が影響していることもあります。これらの臓器の状態によっては、塩分・水分・たんぱく質などの制限が必要になることもあるため、自己判断で食事を変えるのではなく、必ず担当医に相談して指示を仰いでください。
第4部:今日から始める食事と生活のアクションプラン
ここでは、「難しい栄養学」よりも、「具体的に何をどう変えればよいか」に焦点を当てます。すべてを一度に実践する必要はありません。ご自身の生活に合いそうなところから、1つずつ試してみましょう。
| ステップ | アクション | 具体例 |
|---|---|---|
| Level 1:今夜からできること | 食べやすい形でエネルギーとたんぱく質を補う | ・おかゆに卵やチーズをのせる ・みそ汁に豆腐・油あげ・卵を追加する ・ヨーグルトにりんごやベリー、亜麻仁を少量トッピングする |
| Level 2:今週から1〜2週間試してみること | 食事を小分けにし、食べやすい時間帯を見つける | ・朝はバナナ+ヨーグルトだけでもOKと決める ・10時と15時に小さなおにぎりやナッツ、チーズを用意しておく ・サーモンや白身魚のスープを作り、少しずつ温め直して飲む |
| Level 3:1か月ほどかけて整えていくこと | 主食・主菜・副菜のバランスと嗜好品との付き合い方を見直す | ・1日のうち1食だけでも「主食+主菜+副菜」をそろえる ・揚げ物や加工肉(ベーコン、ソーセージ)は回数と量を少し減らす ・アルコールを飲む日を減らし、ノンアルコール飲料やお茶に置き換える |
| Level 4:医療者と相談しながら進めること | 専門的な栄養サポートや運動の取り入れ方を検討する | ・体重や筋肉量、血液検査の結果を持参し、栄養相談を受ける ・理学療法士やリハビリスタッフと相談し、無理のない運動を始める ・必要に応じて経口栄養補助食品(ドリンクなど)の活用を検討する |
アクションプランは、あくまで一例です。「すべてをやらなければ意味がない」のではなく、「一つできたらそれで十分価値がある」と考えてみてください。うまくいかなかった日があっても、それは失敗ではなく、次の工夫につながる大切な情報です。
第5部:専門家への相談 — いつ・どこで・どのように?
食事や体重の悩みは、「わがままと思われたらどうしよう」「治療に協力していないと思われたくない」と感じて、なかなか口にしづらいテーマかもしれません。しかし、栄養状態は治療の一部です。遠慮せずに相談することは、ご自身のからだを守る大切な行動です。
5.1. 受診や相談を検討すべき危険なサイン
- 1〜2か月で5%以上の体重減少がある、または半年で10%以上減っている
- ほとんど何も食べられない日が2〜3日以上続いている
- 水分もほとんど摂れず、尿の回数や量が極端に減っている、尿の色が濃い
- 激しい息切れや胸痛、意識がもうろうとする、立ち上がれないほどの倦怠感がある
- むせやすく、食事中・食後に強い咳込みやゼーゼーする感じが続く
- むくみ、腹部膨満、黄疸などの新しい症状が出てきた
上記に当てはまる場合は、定期受診を待たずに医療機関に連絡し、指示を仰いでください。呼吸困難や胸痛、意識障害など、明らかに緊急と思われる症状があるときは、ためらわずに救急受診や119番通報を検討しましょう。
5.2. どの診療科・誰に相談すればよいか
- まずは現在通院しているがん治療の主治医:治療内容や全身状態を一番把握しているため、栄養や食事の相談の入口として適しています。
- がん専門病院・地域の中核病院の栄養サポートチーム(NST)や管理栄養士:食形態の工夫や、経口栄養補助食品の選び方、一日の必要エネルギーの目安など、具体的なアドバイスが得られます。
- 緩和ケアチーム:痛みや吐き気、息苦しさなど、食事を妨げる症状のコントロールに力を入れてくれるチームです。治療中のどの時期でも相談できます。
- 精神科・心療内科・臨床心理士:うつ状態や不安が強く、どうしても食欲が出ない場合は、心のサポートも含めて相談するとよいでしょう。
5.3. 診察・相談時に持参すると役立つものと費用の目安
- 体重の記録:可能であれば、ここ1〜2か月の体重の推移をメモやスマートフォンのアプリなどで記録しておくと、状態把握の助けになります。
- 食事内容のメモ:1〜3日分で構わないので、「何を・どれくらい・どのくらいの時間で食べたか」「そのときのつらさ(息切れ、むせ、吐き気 など)」を簡単に書き出しておくと、具体的なアドバイスにつながりやすくなります。
- お薬手帳:がんの薬だけでなく、持病の薬やサプリメントの内容も分かるようにしておくことで、相互作用のリスクを減らせます。
- 費用の目安:栄養相談は保険診療として行われることが多く、自己負担3割の場合、数百円〜数千円程度となることが一般的です。ただし、医療機関や相談内容によって異なるため、事前に確認しておくと安心です。
「こんなことを相談していいのだろうか」と迷うようなことこそ、ぜひ医療者に伝えてみてください。食事や栄養は、治療の「おまけ」ではなく、大切な一部です。あなたの疑問や不安には、相談する価値があります。
よくある質問
Q1: 食事だけで肺がんを治したり、小さくしたりすることはできますか?
A1: 現時点で、特定の食べ物や栄養素だけで肺がんを治したり、がんを確実に小さくしたりできるという科学的根拠はありません。手術、抗がん剤、放射線、免疫療法などの標準的な治療が治療の中心になります。
一方で、十分な栄養を保ち、体重や筋肉を極端に落とさないことは、治療の副作用に耐える力を支え、治療を予定どおり続けるうえで役立つと考えられています。食事は「がんを直接治す薬」ではなく、「からだの土台を整えるサポート役」として重要だと理解しておくと良いでしょう。
Q2: 肺がんなので、肉や油は完全にやめたほうが良いですか?
A2: 肉や油を完全にゼロにする必要はありません。むしろ、良質なたんぱく質や脂質は、筋肉やホルモン、免疫細胞などを維持するうえで欠かせない栄養素です。ただし、加工肉(ベーコン、ソーセージなど)や揚げ物、飽和脂肪酸の多い脂身の多い肉をとりすぎないようにする、というバランスが大切です。
肉を選ぶときは、鶏むね肉やささみ、赤身肉、魚、大豆製品など、脂肪が比較的少なくたんぱく質が豊富な食品を組み合わせると良いでしょう。揚げる代わりに蒸す・煮る・焼くなどの調理法を取り入れるだけでも、からだへの負担が変わります。
Q3: 糖質(ご飯やパンなど)を極端に減らすと、がんに良いと聞きました。本当ですか?
A3: 「がんは糖をエネルギーにしているから、糖質をゼロにすればがんが弱る」というイメージから、極端な糖質制限を勧める情報もあります。しかし、現時点で、厳格な糖質制限が肺がんの治療成績を改善するという確立されたエビデンスはありません。
一方で、ご飯やパン、麺類、果物などの糖質は、からだと脳の大事なエネルギー源です。がんの治療中に糖質を極端に減らすと、かえって筋肉が分解され、だるさやふらつきが強くなるおそれがあります。糖尿病などの持病があり、糖質制限が必要な場合も、必ず主治医と相談しながらバランスをとることが大切です。
Q4: ビタミンや抗酸化サプリメントは、多めに飲んだほうが良いですか?
A4: ビタミンやミネラルは健康維持に必要な栄養素ですが、サプリメントで高用量を摂ることが、必ずしもがん治療に有利に働くとは限りません。特に、喫煙者が高用量のβ-カロテンをサプリメントで摂取した研究では、肺がん発症リスクがむしろ増加した結果も報告されています。
また、一部の抗酸化サプリメントは、放射線治療や特定の抗がん剤の効果に影響を及ぼす可能性が指摘されています。基本的には、野菜や果物、穀物、魚、大豆製品など、さまざまな食品から栄養をとることを優先し、サプリメントが必要な場合は、必ず主治医や薬剤師に相談したうえで使用しましょう。
Q5: グレープフルーツやハーブティーは、がんの薬と一緒に飲んでも大丈夫ですか?
A5: グレープフルーツや一部のハーブ(セント・ジョーンズ・ワートなど)は、肝臓の薬物代謝に関わる酵素を強く変化させることがあり、抗がん剤や分子標的薬、免疫抑制薬などの血中濃度を大きく変えてしまう可能性があります。薬の種類によっては、重い副作用や効果の減弱につながることもあるため、自己判断での摂取は危険です。
グレープフルーツジュースやハーブサプリメントを日常的に摂っている方は、必ず主治医や薬剤師に伝えましょう。赤ぶどうやオレンジなど、代わりになる果物は他にも多くありますので、安全な範囲での選択を一緒に考えてもらうことができます。
Q6: 食欲がないとき、アイスやプリンなど「食べやすいもの」ばかりでも良いですか?
A6: 治療の副作用が強い時期には、「とにかく何か口にできること」が最優先になることがあります。そのような場合、アイス、プリン、ゼリーなど、食べやすいものだけでも摂れていれば、全く食べられないよりはずっと良いと考えられます。
少し余裕が出てきたら、プリンにきなこや粉ミルクを少量加える、アイスに刻んだ果物やヨーグルトを添えるなど、たんぱく質やビタミン・ミネラルを足していく工夫をしてみましょう。長い目で見て、主食・主菜・副菜のバランスに近づけていくイメージで構いません。
Q7: 家族として、何を作ってあげれば良いのか分からず悩んでいます。
A7: ご家族として「栄養のために、もっと食べてほしい」と願うのは自然なことですが、その気持ちが強くなりすぎると、ご本人にとってはプレッシャーになってしまうこともあります。「これならどうかな?」と、いくつかの選択肢からご本人に選んでもらうなど、「一緒に考えるスタンス」を大切にしてみてください。
また、「何を作るか」だけでなく、「どんな雰囲気で食卓を囲むか」も大切です。テレビを消してゆっくり話しながら食べる、好きな音楽を流す、一緒に少しだけ散歩してから食事をとるなど、食事以外の部分でもサポートできることがあります。必要であれば、ご家族も一緒に栄養相談に参加し、医療者と具体的な作戦を立てると安心につながります。
結論:この記事から持ち帰ってほしいこと
肺がんと向き合うなかで、「何を食べるか」という問いは、ときに治療そのものと同じくらい重く感じられることがあります。「これを食べれば治る」という魔法のような食品は存在しませんが、「痩せすぎないように栄養を保つこと」は、治療と生活の質の両方を支える、大切な土台です。
りんごやベリー、サーモン、緑茶、クレソン、亜麻仁など、研究で注目されている食品は、あくまで日常の食事を彩る「プラスα」の存在として取り入れてみてください。一方で、急激な体重減少や食欲の低下、水分も摂れない状態が続くときは、自己判断でがんばりすぎず、早めに主治医や栄養サポートチームに相談することが何より重要です。
あなたの食事の悩みは、決して「わがまま」でも「がんばりが足りない」わけでもありません。この記事が、ご自身や大切な方のからだを守るために、一歩踏み出すきっかけになれば幸いです。
この記事の編集体制と情報の取り扱いについて
Japanese Health(JHO)は、信頼できる公的情報源と査読付き研究に基づいて、健康・医療・美容に関する情報をわかりやすくお届けすることを目指しています。本記事では、国立がん研究センターや厚生労働省、日本肺癌学会などの国内情報に加え、アメリカ肺協会(American Lung Association)など海外の専門団体が公開している肺がんと栄養に関する資料も参照しています。
本記事の原稿は、最新のAI技術を活用して下調べと構成案を作成したうえで、JHO編集部が一次資料(ガイドライン・論文・公的サイトなど)と照合しながら、内容・表現・数値・URLの妥当性を人の目で一つひとつ確認しています。最終的な掲載判断はすべてJHO編集部が行っています。
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参考文献
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がん情報サイト「肺がんとともに生きる」. 肺がんでみられる体重減少、食欲減退、発熱などの全身症状. https://www.haigan-tomoni.jp/know/about/symptoms05.html(最終アクセス日:2025-11-30)
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Johns Hopkins Medicine. 5 Healthy Habits That Help You During Lung Cancer Treatment. https://www.hopkinsmedicine.org/health/wellness-and-prevention/5-healthy-habits-that-help-you-during-lung-cancer-treatment(最終アクセス日:2025-11-30)
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